278 冷たい校舎村8
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/24(Wed) 17時頃
鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/24(Wed) 17時頃
鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/24(Wed) 17時半頃
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―― 現在:病院前 ――
[ 誠香の名前を呼ぶ声が聞こえて、>>47 はっと誠香は顔を上げた ]
連城! 辰美!
[ こちらに向かって手を振る連城の姿に、 暗いものは見当たらない気がする。 ということは。 慌てて駆け寄って、おかえり、という言葉も忘れて、 ]
しおちゃんは!?
[ 病院前にいる誠香が、今病院に来たばかりの2人に 聞くというのもおかしな話だけれど、 きっと、2人の方がよく知っている。 誠香はそう確信していたので* ]
(48) takicchi 2020/06/24(Wed) 21時頃
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―― 現在:病院前 ――
[ みんなで。>>51 辰美のその返事に、体の力が抜けた。 思わずへなへなとその場にしゃがみこんでしまう ]
よ、よかったぁ……。
[ 信じていたけど。信じていたけど! それでも、実際に本人たちからその言葉を聞くと、 どっと安堵が押し寄せてくる。 しゃがみこんでしまったせいで、さらに目線の高さが すごいことになってしまったけれども、 2人の顔を見上げて誠香は言った ]
2人とも、おつかれ。ありがと。 しおちゃん、連れて帰ってきてくれて。*
(59) takicchi 2020/06/24(Wed) 21時頃
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―― 現在:病院前 ――
[ けっこー大変だった。>>60 めちゃくちゃ逃げた。>>61 それも無理もないだろうなと誠香は思う。 死を決意して、実行に移したのだ。 やっぱりやーめた、なんて簡単に思えるなら、 きっと最初から自殺なんてしていなかった ]
褒める褒める。偉い偉い。 ほんと、おつかれ。
[ それはそれとして。 ポケットからスマートフォンを取り出して、 ぴろり〜ん♪ と誠香はVサインする2人を撮った。 だって、ここなら消えてしまわないし。面白いし ]
(63) takicchi 2020/06/24(Wed) 21時半頃
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大丈夫大丈夫。しおちゃんが帰ってきたんなら、大丈夫。 ちょっと安心しただけだからさ。
[ しゃがみこんだまま、問題ないと手をひらひら。 抜け駆け……不本意ながら、してしまいましたね ]
阿東とか、千夏ちゃんとか、来てるよ。 僕はまだ会ってないけど、多分、他のみんなも。
[ 怜と連絡を取るという辰美を見送って、 よいしょ、と立ち上がりながら連城にそう言った* ]
(64) takicchi 2020/06/24(Wed) 21時半頃
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―― 現在:病院前 ――
[ なぜ撮られたのかと問われれば>>71 それは面白かったからとしか言いようがない。 しかも笑顔の連城との対比まで。お得である(?) ]
おっけー。
[ 送っといてと連城に頼まれれば、>>120 OKと快諾して、 連城に送る……より、こっちがいいかと あの校舎のメンバーに一斉送信しておいた。 素敵な思い出は分かち合わないとね! ]
(122) takicchi 2020/06/24(Wed) 23時半頃
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うん、僕もすぐ行くよ。 きっと、しおちゃんが峠を越えたって、 はっきり教えてもらえるだろうし。
[ 先に病院の中に行ってるという連城に頷いて、 送信完了したスマートフォンを コートのポケットに戻して手を振った* ]
(123) takicchi 2020/06/24(Wed) 23時半頃
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―― 現在:病院前 ――
……よー。
[ 待ってたのに。 いざ、本人を目の前にすると、>>139 なんだか言葉が出てこない。 おかえり、とか。おつかれ、とか。 そんな言葉が浮かんでは、結局声にならずに消えた。 心配した? なんて聞かない。心配したに決まってるし。 代わりに、ごそりとコートのポケットに手を入れる ]
……ちょっと、冷めちゃった。
[ カイロの代わりに買ったのは缶コーヒー。 誠香は飲まないブラック。>>+5:65 いつぞや奢ってもらったお返しとばかりに、 少し温いそれを怜に差し出した* ]
(140) takicchi 2020/06/25(Thu) 00時半頃
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―― 後日談・その1 ――
[ 前に進もうと決めた誠香が、 真っ先にしなければいけないのは、 両親へ打ち明けることだった。
父さんと母さんに、 言わなきゃいけないことがある。>>+5:26 病院まで送ってもらう車の中で 父にそういった約束を果たすために、 誠香は数日後、両親の前に座った ]
(196) takicchi 2020/06/25(Thu) 21時頃
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[ 震える唇で、兄が事故に遭った あの日のことを話した誠香に、 両親は、知っていたと言った ]
(197) takicchi 2020/06/25(Thu) 21時頃
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[ あの日、家を出る前に、 兄は両親に、誠香と喧嘩したことを話したらしい。 ……いや、兄は“喧嘩”という表現は使わなかった。 受験勉強の邪魔をして、誠香を怒らせてしまった。 だから、お詫びの差し入れを買ってくる。 そう言って、兄は家を出たのだそうだ。 事故現場には、コンビニスイーツでいっぱいになった レジ袋が転がっていたらしい。 その話を誠香にしたら、 兄が事故に遭ったのは自分のせいだと気に病むだろう。 だから、言えなかった、と両親は言った。 兄の死は、間違いなく事故だった。 決して自殺なんかじゃないと言われて誠香は泣いた* ]
(198) takicchi 2020/06/25(Thu) 21時頃
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―― 現在:病院前 ――
おー。
[ 差し出した缶コーヒーが受け取られる。>>199 うま、と目を細める顔を眺めながら、 誠香は言葉を探していた。 示された長椅子に並んで座って、 誠香も飲みかけのジャスミンティーの ペットボトルのふたを開ける。 のどが渇いていた。なんだか、少し緊張しているらしい ]
あー、聞こえたな。 看護師さんに怒られなきゃいいけど。
[ 喜多仲の歓声は、もちろん誠香にも届いていて。>>200 ちびちびとジャスミンティーを飲みながら相槌を打った ]
(216) takicchi 2020/06/25(Thu) 22時半頃
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氷室と、辰美と、連城と。 3人でしおちゃん、連れ戻してきてくれたんだろ? 結構大変だったって聞いた。 そりゃ、そうだよな。 きっとしおちゃんは、覚悟を決めて、 死のうとしたんだから。
[ 誠香だって、死を考えたことがある。 それでも、あの校舎の2階から外を見ただけで 足がすくんだ。 あそこから飛び降りるようなことを、紫織は選んだのだ ]
(217) takicchi 2020/06/25(Thu) 22時半頃
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[ 心配した、と言われてうんと頷いた。>>201 心配かけたに決まっている。 誠香だって、マネキンに代わったクラスメイトを見るたび 落ち込んだ。 本当に帰ったことだって、確かめようがなかった。 心配しないはずがない ]
置いていかない、つもりだったんだけどな。 問答無用だった。 ごめん。
でも、生きてるし! 僕も、みんなも、しおちゃんも、ちゃんと生きてるから! みんなで帰ってこれたのは、氷室たちのお陰だから。 だから、ありがとな。
[ 珍しく素直にごめんとありがとうを言ったというのに、 茶化した顔を向けられて、誠香は口をへの字に曲げる ]
(218) takicchi 2020/06/25(Thu) 22時半頃
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……みんな、しおちゃんのこと、待ってたから。 僕くらい、残りの3人、待ってたっていいだろ。 そのコーヒーはカイロにしてただけだし!
[ 言い訳がましくそんな言葉を並べ立てたけれど、 いや、違うな、と首を横に振って、誠香は言い直した ]
そうだな。待ってた。 僕の顔見るまで、安心できないだろ? そう思ったから、待ってたんだよ。
[ 氷室のこと。そう言って、 ジャスミンティーをごくごくと飲み干した。 おかしいな。飲んでも飲んでも喉が渇く* ]
(219) takicchi 2020/06/25(Thu) 22時半頃
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―― 後日談・その2 ――
[ 後日、出版社の人と会った。 誠香は一人で会うつもりだったが、誠香はまだ未成年だ。 保護者として責任があると言って、 両親も立ち会ってくれた ]
作家を、辞めさせてください。 今までお渡ししてきた原稿を書いたのは ……僕ではありません。 3年前に亡くなった、兄です。
[ 今まで、本当に申し訳ありませんでした。 そう言って、誠香は頭を下げた。 他に謝罪の方法など思いつかない。 誠香にできたのは、正直にすべてを告白し、 謝ることだけだった ]
(248) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時頃
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[ 出版社は、いくつかの条件を提示した。 迷った末に、誠香はその条件を、飲むことにした ]
(249) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時頃
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[ 一つ目の条件は、残った兄の作品をすべて渡すこと。 その中から、書籍化に値するものを 出版社が選ぶことになる。
二つ目の条件は、出版社の提示する筋書きに従うこと。 志半ばで命を落とした兄の夢を叶えようとした妹の過ち。 誠香の行動は、そんな筋立てになった。 理由は簡単だ。そんな美談の方が、 話題性があって売れるから。>>2:591 真実を明らかにすることよりもそちらの方が 出版社にとっては重要だった。 嘘が真実になることだってあるのだ>>*5:1 ]
(250) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時頃
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[ そして今、誠香はノートパソコンに向かっている。 ああでもない、こうでもないと頭をひねりながら、 ポチポチとキーボードを叩いている。
出版社の出した、三つ目の条件は、 最初で最後の、誠香の小説を書くこと。 兄の夢を叶えようとした、妹の物語を書くこと。 話題性は十分だし、映画化も狙えると言われている。
誠香のしたことは、そんな綺麗なことじゃない。 けれど嘘が真実にされ、真実は闇に葬られる。 それが、誠香が一生背負わなければいけない罰だ。 誠香がこれから一生、世界に向かってつき続ける嘘だ。
小説のタイトルは、ゴーストライターという。 正直、ダサいと誠香は思っている。 ニセモノの作家にはお似合いだろう* ]
(251) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時頃
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―― 現在:病院前 ――
辰美が言ってたよ。 しおちゃんが帰ってきたのは、連城と氷室のお陰だって。 もちろん僕は、辰美のお陰でもあると思ってるけどね。 だから、そんな謙遜しなくていいんだよ。 どやって胸張って威張りなよ。
[ 何もしていないという怜に、誠香は首を横に振って、 穏やかな声で言う。 頭に伸ばされかけた手がゆっくりと下ろされるのを 目で追って、ペットボトルに視線を戻した ]
(258) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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……そっか。そうなんだ。
[ 怜は、紫織の心象風景を見たという。 人間関係に悩んでいた、その言葉に、それで、と思った。 信じてほしかった。 許してくれなくてもいい。 メールにあったその言葉は、 人間関係の悩みと言われれば、 なんとなく分かるような気がした。 ……けれども ]
………………………………は?
[ 続いた言葉が大問題だった>>256 ]
(259) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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[ 喧嘩の続きをするつもりだった。 好きでもない、付き合ってもいない女の子と デートをして噂になって、笑っていた一件だ。 ぽつりぽつりと落とされたのは、その真相 ]
いやいやいやいやいや……。 待て待て待て待て待て……。
[ 怜は冷静だ。>>257 そうだ、誠香、ここはCOOLになれ。 …………なれるかー!!! ]
(260) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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……いやほんと、氷室、なにやってんの?
[ 怜は、反省している。 しかし誠香が怒っているのはそこじゃない。 いや、そこもだけど、そこだけじゃない ]
……ほんと、なにやってんの?
[ だめだ。冷静になれない。 誠香はもう一度同じ言葉を繰り返した。 こいつは馬鹿だ。知ってたけど。 知ってた以上に馬鹿だった ]
(261) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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僕がしおちゃんから聞いた話とは違ってるけど、 そこはとりあえず置いておく! 論点はそこじゃないから! 氷室さあ、今まで散々見た目のせいで 嫌な思いしてきたんだろ!? 女装で自衛したくなるくらい 嫌な目に合ってきたんだろ!? それなのになんで、自分の見た目を そんなことに使おうって発想になるわけ!? サドなの!? マゾなの!? 僕には自爆テロにしか思えないんだけど!
[ 立て板に水の勢いでまくし立てた。 息が切れた。はあっと息を吐きだす ]
(262) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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氷室はさ、自分の見た目、嫌いかもしれない。 見た目のせいで、散々嫌な目に合ってきて、 こんな見た目でさえなけりゃって思ったかもしれない。 でもさ、それも氷室の一部なんだよ。 自分の一部なんだから、大事にしなよ。 そんな風に使うの、僕は嫌だよ。
[ 少し落ち着けば、今度はやり切れない気持ちになる。 落胆をにじませた声で、そう言って、 もう一度大きなため息をついた。 それに、と誠香は言う ]
(263) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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仕返しって氷室は言うけどさ、 僕からしてみたら、それ、ふつーに辰美にも迷惑だぞ? 考えてもみなよ、付き合ってるって噂になってた女の子が 今度はイケメンと噂になったら。 辰美、イケメンに負けて振られた男って目で 見られるんだぞ。 それって喧嘩別れとかよりよっぽど不名誉だと思うけど。 [ 友達を思ってのことにしても、暴走しすぎだ。 とにかく、と誠香は判決を下した ]
辰美としおちゃんに謝りなさい。*
(264) takicchi 2020/06/25(Thu) 23時半頃
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―― 現在:病院前 ――
[ なにやってんの、と呆れたらきょとんとされた。>>271 天然か。そうだ、この男は天然だった ]
……あのさあ……、
[ 思わずペットボトルを額に当てて呻いた。 好きじゃないのに唯一の長所。>>272 どこからツッコめばいいのかわからなくなりそうだ ]
あのさあ、僕、氷室と友達のつもりなんだけど。 何? 僕は氷室の見た目に惹かれて 友達になったって思ってんの? それとも、僕のこと、 何の長所もない人間と友達になる、 聖人君子かなんかだと思ってんの?
[ どっちもごめん被る。そこからかあ、と思うと、 頭が痛くなりそうだった ]
(279) takicchi 2020/06/26(Fri) 01時頃
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[ 大事にできない、と怜は言い切った。>>273 んー、と誠香は考えて、残念だけど、と言ってやる ]
氷室が人目を惹く見た目をしてるのは事実だし、 見た目だけで寄ってくる人間もいるよ。 そりゃ、絶対に。なくならない。 でもさ、それってどうしようもなくない?
お金持ちだったらお金目当てに寄って来る人、 絶対いるよ。 有名人だったらあわよくば何かおこぼれにって人、 絶対寄ってくるよ。 よく言うじゃん、何かで有名になった途端、 親戚とか自称友達が増えたとか、そういうの。
それはなくならないよ。仕方ないよ。 問題は、そうじゃない友達をどうやって作るか、 どうやって見分けるかじゃないの?
(280) takicchi 2020/06/26(Fri) 01時頃
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[ 紫織との噂への、諦めのこもった評価に、>>274 誠香はそれ見たことか、と息を吐きだした ]
……だから、自爆テロだって言ってんじゃん。 そうなるだろうと思って、 そうなることを狙って、 実際そうなったらがっかりしてるの。 自爆としか言いようがなくない?
(281) takicchi 2020/06/26(Fri) 01時頃
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[ 辰美には謝ると言った怜は、 しかし紫織には謝らないと言った。>>276 む、と誠香は眉を寄せる ]
……しおちゃんの嘘で迷惑かけられたのは、 辰美でしょ。氷室じゃない。 辰美が仕返ししたんならともかく、 今回のは氷室の単独行動でしょ。 僕の目には、友達が迷惑かけられたのを見て怒った 氷室の単独暴走にしか見えないんだけど。 辰美が怒っていない以上、お門違いだし、 謝るべきだと思うけどな。
あの校舎に呼ばれたこととか、 これからしおちゃんを支えることとかは、 それとは別の話じゃないの?
(282) takicchi 2020/06/26(Fri) 01時頃
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……まあいいや。好きにしなよ。
[ 謝るなら一緒に行ってやろうと思ってたけど。 ぼそりとそう言って、空っぽになったペットボトルを コートのポケットに押し込んだ* ]
(283) takicchi 2020/06/26(Fri) 01時頃
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―― 現在:病院前 ――
まあ、そりゃそうだ。 僕は氷室のお母さんでも何でもないし、 僕の考えが絶対正しいなんて押し付けるつもりもないよ。 どうするか決めるのは氷室だと思ってる。 ……何笑ってんだよ。
[ こちらは真剣な話をしているというのに、 怜の頬がなんだか少し緩んでいるように見えて、 誠香は少しムッとする ]
……否定する権利なんか、僕にはないけど。 自爆テロみたいなやり方だけは、僕は嫌いだ。 そこだけは譲らないからな。 次やったら、また切れるぞ。
[ 正しいとか正しくないとか、権利があるとかないとか、 そういう問題じゃない。嫌なものは嫌だ。 そのことだけは主張しておいた ]
(305) takicchi 2020/06/26(Fri) 12時半頃
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[ 似た者同士と思われていることなど露知らず>>290 誠香は、氷室は優しすぎるんだよなあ、 なんて考えていた。 自分とは違って、とも ]
……氷室はさあ、優しすぎるんだよ。 優しいっていいことだけどさ、 その優しさを向ける価値のない相手だっているんだよ。 優しすぎるから、見た目だけで寄ってくるようなやつに、 まともに対応しちゃって、だから苦しくなるんだよ。
(306) takicchi 2020/06/26(Fri) 12時半頃
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氷室の気持ちの全部が分かるなんて、僕は言わない。 けど、僕だって、“高校生作家”っていう肩書きだけに 寄ってくるようなやつだっていたよ。 そんなのにいちいちまともに対応したって、 こっちがすり減るだけじゃん。 時間と自分の無駄遣いだよ、そんなの。
自分の時間とか体力とか頭の中とかさ、 有限なんだから、無駄なことに使うだけ損だよ。
[ そんな暇があったら僕と遊べばいいじゃん。 誠香はそんな軽口をたたく ]
(307) takicchi 2020/06/26(Fri) 12時半頃
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[ 分かっているならいい。>>293 誠香はそう頷いて、 けれど、なにやら言い淀む様子に>>294 やれやれ、と肩をすくめる ]
なまじ、顔が良すぎるのも考えもんだなあ。 氷室、顔が良すぎるせいで、 そこ以外の部分の自己肯定感低すぎ。 氷室はいいやつだって。もっと自信持ちなよ。
[ そんなことを言ったけれども、 続いた言葉に思わず目を瞠った ]
(308) takicchi 2020/06/26(Fri) 12時半頃
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いやいやいや、何言ってんの!? 氷室、他にも友達いるじゃん! 辰美とか、阿東とかさあ! 氷室のことめっちゃ心配してたっつーの。 なんならめっちゃ僕のこと応援してたし。 氷室が思ってる以上に、 氷室はいろんな人に大事にされてんの! 自覚しろ!
大体、“たったひとり”って……
[ そんな極端な。 そう言いかけて、ふと誠香は声が止まった。 そのフレーズを、どこかで聞いたような気がしたのだ。 いや、言った? ]
(309) takicchi 2020/06/26(Fri) 12時半頃
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………………え?
[ いつだったか。どこだったか。 考えて……思い出して、しまった。 え、ともう一度繰り返す ]
それって……その、もしかして、 えーと…… ……レンアイ的な意味、だったり……?
[ いやそんなまさか。 そんなことあるわけないし、だったらこれはとっても 恥ずかしい勘違い質問になってしまうわけだけれども。 思わず聞いてしまった。 うわあああ、やっぱり今のナシ! と言いたい気持ちを 必死で抑えて、恐る恐る隣りにある顔を見上げた* ]
(310) takicchi 2020/06/26(Fri) 12時半頃
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―― 少し未来の話 ――
急に呼び出したりして、ごめんね。
[ 小さなカフェの隅っこの席で、 誠香は千夏にぺこりと頭を下げた ]
千夏ちゃん、何にする? このお店、紅茶の種類が多くて、 ぼ……私、いつも迷っちゃうんだ。
[ はい、とメニューを手渡す。 大学生になってから、僕という一人称を改めようと 努力しているけれど、 まだ高校時代の友人相手には、時折昔の一人称が 出てきてしまう ]
(319) takicchi 2020/06/26(Fri) 15時頃
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[ 千夏と2人だけで会うのは、珍しいことだった。 女の子たちで集まってメイクレッスンしてもらったり、 みんなでゲームをやったりもしたけれど、 2人だけという機会はなかったように思う。 けれど今日は、 どうしても2人で会わなければならなかった ]
……ずっと、千夏ちゃんに、 謝らないといけないことがあったんだ。
[ 注文した紅茶が届き、 砂時計の砂が落ちるのを眺めながら、 誠香はゆっくり話し出す ]
何から話せばいいんだろう。 ……そうだ。まずはこれ、見てくれる?
[ 鞄をごそごそとあさって、手帳を取り出す。 その中から出したのは、一枚の写真だった。 誠香と、兄が写っている ]
(320) takicchi 2020/06/26(Fri) 15時頃
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この人ね、私のお兄ちゃん。 それで……千夏ちゃんが読んでくれた本の、 本当の、作者。
[ ごめんなさい、と誠香は言った。 中3の時、兄が事故で亡くなったこと。 兄の夢は、作家になることだったこと。 兄の残した原稿を誠香が応募したこと。 そんなことをぽつぽつと話した。 砂時計が落ちきったら、飲もうか、と言って 紅茶に口を付けたけれど、誠香の話は続く ]
(321) takicchi 2020/06/26(Fri) 15時頃
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だからね、サインしてほしいって言われた時、 どうしてもうんって言えなかった。 それは、本当は私の本じゃないから。 お兄ちゃんの本を、私のサインで汚すなんて、 とてもできなかった。 今まで黙ってて、本当にごめん。 あと……お兄ちゃんの本を好きになってくれて、 ありがとう。
[ 椅子に座ったまま、誠香は千夏に頭を下げた。 それでね、とまた鞄をごそごそとあさる ]
(322) takicchi 2020/06/26(Fri) 15時頃
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……これ、私の本。多分、最初で最後の。 お兄ちゃんと、私の話。 千夏ちゃん、受け取ってくれる?
[ 差し出したのは、出来上がったばかりの小説。 当然まだ発売はされていない。 著者献本として誠香が手に入れたもののうちの一冊だ。 誠香は千夏に受け取ってほしいと思った、けれども、 千夏はあくまでも兄の本のファンで、 しかも誠香は千夏を今まで騙していたことになる。 受け取ってもらえるだろうか。 本を差し出した手は、微かに震えていた* ]
(323) takicchi 2020/06/26(Fri) 15時頃
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/26(Fri) 15時頃
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―― 現在:病院前 ――
なら良し。
[ 誠香のどうしても譲れない部分は、 どうやら肝に銘じていただけたらしい。>>430 参りましたという声音に、偉そうに頷いた。
自分のことを客観視できないという発言に、>>431 仕方ないやつだなあ、と眉を下げて、 1から10まで教えてやろう ]
(453) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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あっは。何それ。 自分の見た目が好きじゃないのにナルシスト? 傲慢は……んー、どうかなあ。 僕の方がよっぽど偉そうにしてる気がするけど。 あー、でも氷室、自分の見た目のこと謙遜しないからな。 僕はそれ、自虐が入ってる気がするけど、 聞く人によっては傲慢ナルシスト発言に 聞こえるのかもなあ。 まあそんなのほっときゃいいじゃん。
(454) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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いいとこ? 暴走しちゃうくらい友達思いなとことか? それくらい怒ってたしおちゃんのことも、 必死になって連れ戻そうとするとことか?
友達同士でいいところ褒めあうなんて、 わざわざしないでしょ。 口には出さなくても、こいつのこと好きだなあって 思うから友達やってんじゃないの?
(455) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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氷室があまりにもわかってないみたいだから、 僕だってわざわざ言ってるんだよ。 僕しか言わないからって、 僕しかそう思ってないわけじゃない。
[ 本当に世話がかかるやつだなあと言わんばかりに、 誠香は丁寧に教えてやった。 だって、辰美や阿東の気持ちが 怜には伝わってないような気がして、 それがとても歯がゆかったのだ ]
(456) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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[ だがしかし、色々ちゃんと伝わってなかったのは、 誠香も同じだったらしい>>432 ]
……え。
[ そんなわけないだろって言葉が返ってきて、 そうだよね! びっくりした! って返す心の準備は できていたのに。 笑い飛ばされるはずが、返ってきたのは苦笑だった。 差し出された写真に、 わけがわからないまま視線を向けて、 誠香はもう一度、え、と声を上げる ]
これって、
[ それは、ここにあるはずのないものだ。 幻と消える、とショックを受けた。>>4:402 芸のないピースで笑っている誠香の写真。>>0:1415 信じられないものを見る顔で、写真と怜の顔を見比べて、 信じられない言葉を聞いた ]
(457) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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[ そして次の瞬間、がっくりと頭が膝のあたりまで落ちた。 頭を抱えて喉の奥で呻く ]
僕の、僕の今までの苦労は、なんだったんだ……。
[ 今度は、がば! とばね仕掛けのように顔を上げて ]
僕はずっと、氷室が僕とは 性別度外視の友達付き合いをしたいんだって思ってた。 でもな……でも、それって結構大変だったんだぞ!? わかってるか!?
(458) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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氷室は完全に僕を女の子扱いしてさ! 車道側歩くし! マフラーしてるのに追いマフラーするし! 頭撫でるし! それなのに、僕が氷室を男扱いして照れたらヘコむんだ。 おかしくないか!? おかしいだろ!? 氷室、辰美と歩く時に意識して車道側歩くか!? 僕が何の躊躇いもなく阿東に撫でられてたら 変じゃないか!? そういう無茶苦茶な関係を、 危ういバランスを崩さないように、 僕がどれだけ……どれだけ……
(459) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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[ うあああああ、とまた呻いた。 ちょっと涙目で、僕はな! と言い放つ ]
言っとくけど僕はな! 氷室に運命なんか感じてないんだからな! びびびっときたことなんてないし!
なんとなく知り合って、 なんとなく仲良くなって、 なんとなく一緒にいるのが当たり前になって、 そういう……そういう、空気みたいなもんなんだからな!
(460) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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……空気だから、いるのが当たり前だし。 空気だから…… いなくなったら、きっと僕は息ができないんだ。 だから……ずっと一緒にいろよ。 前からずっと、言ってただろ。 僕は氷室のこと、男子だとしか思ったこと、なかったよ。
[ 真っ赤な顔をプイっと背けて、言い捨てた ]
……男の格好、 僕より先にしおちゃんに見せてんじゃねえよ、馬鹿。*
(461) takicchi 2020/06/27(Sat) 00時頃
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―― 現在:病院前 ――
[ 打ち明けるつもりなんかなかった、 涙ぐましい(?)誠香の苦労は、 当然ながら怜の知るはずのないものだ。 食ってかかられて>>494 苦労は苦労だよ! と返す。 およそ告白の現場とは思えない、 甘さのかけらもない空気だった ]
(501) takicchi 2020/06/27(Sat) 02時頃
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性別度外視なんだったらそんなこと気を使わないんだよ! 辰美はでかい? それなら阿東なら、 意識して車道側歩くんだな!? 確かに阿東が僕の頭撫でるなんて 全くイメージできないけど! 今言ってるのはそういうことじゃないだろ!? 僕が男子に照れもせず撫でられるのは 変だって話をしてるんだろ!?
無茶苦茶じゃないってんならあれだ、 めっちゃ矛盾してたよ! 僕を女の子扱いしながら、 氷室を男扱いするなって、横暴だ! おーぼー!
[ それでも、その関係は居心地が良くて、 苦労といいつつ、誠香はその関係が大事だったのだ ]
(502) takicchi 2020/06/27(Sat) 02時頃
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[ 運命なんか感じてないと言ってやったら、 運命かわからないと返ってきた。>>497 それでもいいや、と誠香は思った。 そんな劇的なの、求めてない ]
……お互い、一緒にいるのが当たり前なら、 一緒にいるしかないじゃん。
[ 電流が走らなくても人は生きていけるけど、 空気がなければ生きてはいけないのだし ]
(503) takicchi 2020/06/27(Sat) 02時頃
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[ 零してしまった小さなヤキモチには、 これからいくらでも独り占めできるときた。>>499 それならそうさせてもらおう、と誠香は思う。 なにしろ、怜の彼女は嫉妬されていじめられたり 大変らしいし?>>1:693 割り込む隙なんてありませんよー残念でしたー。 それくらいのアピールという名の先制攻撃は 必要だろうなあ、と思っている。 ……とはいうものの、 ]
照れる! 照れるから!
[ 頭を撫でられるのはやっぱり照れる。 恥ずかしいものは恥ずかしい。ので。 誠香は逃げる……のではなく、距離を詰めた。 ぼふ、と怜の胸に顔を埋める。 抗議するように、ぼそりと言った ]
……だから、顔見んな。
(504) takicchi 2020/06/27(Sat) 02時頃
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[ 背中に怜の手が回って、強く強く抱きしめられる。 噛み締めるように告げられた言葉に、>>500 怜が自分のことを大好きなのは知ってたけど、 その大好きは知らなかったな、と思った。 だから、ぐりぐりと怜の胸に頭を押し付けて、 誠香も自分の気持ちを返す ]
僕も好きだよ、怜。 ……ずっと、好きだった。**
(505) takicchi 2020/06/27(Sat) 02時頃
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―― ゲームの話 ――
[ そのメールを受け取ると、>>410 誠香はすぐに怜と連絡を取った。 女子が来るか来ないかわからないので、 怜も来ないのであれば行くのはよろしくない。
怜の確認が取れてから、 さくっと誠香は返信した ]
(557) takicchi 2020/06/27(Sat) 11時頃
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From:せーか To:みんな
――――――
行くー!
――――――
[ 一斉送信にしたのは、 少なくとも誠香が行くと判明すれば、 他の女の子も来やすくなるんじゃないかな、と 思ったからだ ]
(558) takicchi 2020/06/27(Sat) 11時頃
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[ そして当日、 誠香はエコバッグにお菓子と飲み物をしこたま詰めて、 辰美の家へとやってきた。 袋はそれはそれは重くて、 あの校舎の連城と喜多仲をちょっと思い出した。 でも、誠香はゲームは見る専なので! お菓子と飲み物は必須なので!
あ、罰ゲーム用の激辛お菓子も持ってきました。 誠香はゲームは参加しないので、 高みの見物を決め込むつもりでいる* ]
(559) takicchi 2020/06/27(Sat) 11時頃
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/27(Sat) 11時頃
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―― ゲームの話 ――
腹が減っては戦はできぬって言うし! いや、僕は見る専だから戦わないけど!
[ 出迎えの挨拶より先に荷物の感想を言われて、>>574 誠香も挨拶よりも先にそんなことを言って胸を張った。 あ、千夏ちゃんも来るかな、と思って、 0カロリーの寒天ゼリーなんかも用意しています。 最近の誠香の夜更かしのお供です ]
お邪魔しまーす!
[ 家、広っ! と内心思いながら、 案内されるままついていく。 和室の部屋に案内されて、 さあまずはなんのお菓子を開けようかな、と思っていると 流れるような動きでコントローラーを手渡されていた。 反射的に受け取ってしまっていた ]
(656) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時頃
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えっ!? 僕は応援と冷やかし担当だよ!? やらないし!
[ 抵抗してみたものの、 頑なに拒んで場の雰囲気を壊すようなこと、 誠香にはできようはずもなく ]
ぐああああああああああ……。
[ 誠香が持ってきた罰ゲーム用お菓子の被害者第一号は、 めでたく持ってきた張本人になった。 誰だこんな酷い食べ物持ってきたの! 僕だよ!! ]
(657) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時頃
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……まなっち、無事?
[ その後、まなも毒々しい赤い食べ物……いや、 あんなもの食べ物だと誠香は認めない……の犠牲者となり 誠香はぐったりしているまなに声をかける>>564 ]
ちょっと横になった方がいいよ。
[ おいでおいでと膝にお招きして、膝枕を提供。 お互い酷い目に遭ったねと慰めあったけれども、 その酷い食べ物を持ってきたのは誠香である* ]
(658) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時頃
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From:せーか To:しおちゃん
――――――
おかえり。
なんでもって言ったな!? そうだなあ、それじゃ、 千夏ちゃん先生のメイク講座の 会場提供してくれたら 助かるな☆
――――――
(668) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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―― お見舞い ――
[ コンコン、とノックをして、 扉の向こうから返事の声がするのを聞いて、 そうっと誠香は扉を開けた ]
こんにちは。 しおちゃん、来たよー。
[ 扉の陰から室内を覗き込んで、 紫織の姿しかないのを認めるとへらりと笑って中に入る。 最初は他愛もない雑談をしていたけれど、 話がふっと途切れたタイミングで、 あのさ、と誠香は言った ]
(669) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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僕はっていうか僕もっていうか…… もう、死ぬしかないかな、って考えたことあるんだ。 でも、今は生きなきゃなって思ってる。 それってさ、あの校舎のお陰だって思うんだ。 あそこで、生きることと死ぬこと、いっぱい考えた。 最後は死んでさ。死ぬって怖いことだなって思った。 ……怖いだけじゃなかったけど。 でも、変な話、あそこで死んだから、 僕は生きようって思えたんだ。
[ 窓辺に飾られた花籠>>582を眺めながら、 ぽつりぽつりと誠香は言う。 でもさ、と言葉を続けた ]
(670) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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でもさ……結局、僕がそう思えたのって、 あの校舎のことが、いい経験になったって思えるのって、 しおちゃんが帰ってきてくれたからなんだ。 しおちゃんが帰ってきてくれなかったら、 僕はまた苦しい思い出が一つ増えて、 きっと、生きていくのがもっと苦しくなってたと思う。
だからさ、しおちゃん、帰ってきてくれてありがとう。
[ そう言って誠香は笑みを浮かべる。 ちょっと涙目になってたかもしれないけれど ]
(671) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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だからね、しおちゃんはメールで許してくださいって 書いてたけど、ほんとは許すも許さないもないんだ。 ありがとうって言わなきゃいけないのは僕の方。
……でも、僕、しおちゃんと2人で最後に過ごした 夜のこと、忘れられなくて。
[ 阿東にはあまり気に病むなと言われたけれども>>+5:52 あの日、残っていた女子は紫織の他には誠香だけだった。 女子として何かできたのじゃないか、という気持ちは、 誠香の中にくすぶっている ]
(673) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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あの夜、僕は帰ったらみんなで千夏ちゃんに メイク教えてもらおうってまなっちと話してたんだよ、 って言ったよね。 その時しおちゃん「いいなぁ」って言ったんだ。>>5:0 後から気づいた。その返事って、まるでそこに、 しおちゃんはいないみたいだって。 賛成してるっていうより、羨ましがってるみたいだって。 どうしてもっと早く気付かなかったんだろうって、 後悔したんだ。 ……でも、しおちゃんは、ちゃんと帰ってきてくれた。 だから、絶対しおちゃんと一緒にやりたくて。
[ それであんなメールを返したんだよ、と誠香は笑った。 あ、いけない、忘れるところだった、と鞄を探る ]
(675) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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お見舞い、何がいいかなあと思って。 お菓子とかお花とか、もう一杯貰ってるだろうし。 それで、さ。
[ はい、と机に置いたのは小さな包みだ。 メイク講座に先立って、そもそも化粧と名の付くものを 一切持っていなかった誠香は一通り揃える必要があった。 その買い物の時に見つけたもの。 この冬の新色! と銘打たれたマニキュアである ]
ベッドの上ってなんとなく、 手を見る機会も多いんじゃないかと思って。 爪が綺麗だと、ちょっと気分も上がるかなって。
[ 良かったら使ってみて。そう言って誠香は笑った* ]
(677) takicchi 2020/06/27(Sat) 21時半頃
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/27(Sat) 22時頃
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―― 映画館へ行こう ――
[ “まなっちと映画館に行きたいです”>>4:172 あの校舎の3-8の黒板に、確かに誠香はそう書いた。 阿東がまなにそのことを伝えたなんて 知る由もない誠香は、誘わなければ、と思う。 お願い事は、待っていても叶わない ]
まなっち! あの、あのさ、 今度、一緒に映画館に行かない? まなっちのオススメの映画があったら教えてほしい。
[ 実は、女の子と2人で映画館、という経験が、 誠香には全くなかった。 なんだか妙に緊張する。 だからまなからOKがもらえた時は、 締まりのない顔で笑ってしまった ]
(720) takicchi 2020/06/27(Sat) 22時半頃
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[ まなのオススメのもの、とお願いはしたものの、 ホラーだったらどうしようと、内心怯えていた。 誠香は怖いのが得意じゃない。 そのことは、あの校舎でこの上もなく証明された。 だから、まなが選んだものが青春もので>>680 誠香はとてもほっとした。 たとえそれが、あの校舎を思い出させる、 悩める高校生を題材にしたものだとしても、 あの校舎のようなホラーな舞台はないはずだ ]
ありがとう。僕のもどうぞ。
[ 誠香が選んだのは、塩バター味のポップコーンだ。 まながキャラメル味を選んだのでそうした。>>682 甘いものとしょっぱいもの。 交互に食べると止まらなくなる。 無限に食べられてしまう ]
(721) takicchi 2020/06/27(Sat) 22時半頃
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僕の好きな映画? そうだなあ……コメディが好き。 でも、ただ笑えるだけ、じゃなくて、 ちょっとだけほろっとしたりする感じの。
[ 泣ける! と銘打たれた 泣かせにかかる映画はあまり好きじゃない。 楽しい話だけど、どこかしんみりしたりもする、 そういうのが誠香の好みだ ]
また一緒に観に行ってくれる?
[ ……なんて、確かに映画の始まる前にする話では>>683 なかったかもしれない ]
(722) takicchi 2020/06/27(Sat) 22時半頃
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[ 映画が終わって、ほうっと息を吐きだす。 紙コップの中では、氷がすっかり解けていて、 水っぽくなってしまったジュースの残りをすすった ]
……うん。 いい映画だった。
[ エンドロールが流れ始めると、立ち上がる人たち。 スクリーンがさえぎられて、ちょっと邪魔。 もったいないなあ、と思う。 映画によっては、エンドロールのあとに、 少しだけ、おまけのように“その後”が 描かれたりするのに ]
また、来ようね。
[ まだスクリーンを眺めているまなの横顔をそっと見て、 上映前にかわした約束を、再確認した* ]
(723) takicchi 2020/06/27(Sat) 22時半頃
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―― 病院前 ――
[ 思えば、冷静さが足りなかったのかもしれない。 深夜とはいえ、ここは病院前だ。入口の前だ。 人が出入りするところだ。 そういうことすら頭から抜け落ちる程度には、 冷静ではなかった。 辰美と阿東が気を利かせて、 別の出入り口を使っていたなんてことも、>>175 もちろん知るわけがない。 そんなすっかりログアウトしていた冷静さんは、 響いた足音によって急いで帰ってきた>>699 ]
!!!!!
[ ばばばっと光速で離れた誠香は自分を褒めたい。 マフラーで顔の下半分がそれなりに隠れていたことも 幸いした。 なによりも夏美の頭の中は 今それどころじゃなかっただろう ]
(750) takicchi 2020/06/27(Sat) 23時頃
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うん、喜多仲の歓声、外まで聞こえてたよ。 ありがとう夏美ちゃん。
[ 紫織の無事を知らせる夏美の言葉にそうお礼を言って、 去っていく夏美を見送った後、 はああああ、と大きくため息をついた ]
……いや、僕らが時と場所を選ばなすぎじゃない?
[ ちくしょう、と言いながら笑っている怜に、>>700 余裕だなあ、と誠香は思う。 誠香の方はというと、まだ動悸が激しくて、 笑うどころじゃない。 別にドキドキしてるんじゃない。 夏美にばれそうになって動揺したせいだ。 そのはずだったのに ]
(751) takicchi 2020/06/27(Sat) 23時頃
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……ばか。
[ 続きって何だ、続きって。 別の意味でも心臓が壊されそうになった ]
(752) takicchi 2020/06/27(Sat) 23時頃
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[ 紫織の無事も、今日は会えないことも、 確認済みだったけれど、 病院前まで来て中に入らず帰るというのも どうかと思って、誠香は中に入る。 もう帰った人もいたかもしれないけれど、 少なくとも、千夏やまなには会えたはず。>>676>>99 担任の姿が目に入ると、 あの校舎以外メンバーを全く予想していなかった誠香は、 驚くと同時に納得もした。 そうだ、この担任は、そういう人だった ]
せんせー、お疲れ様です。 しおちゃん、面会っていつからできそうですか?
[ そんなことを聞いてみたりした。 はよ帰れ、と言われれば、はあい、と素直に頷く。 正直、そろそろ眠い ]
(753) takicchi 2020/06/27(Sat) 23時頃
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[ 帰りは、父がまた迎えに来てくれた。 怜とはその前に手を振って別れた。>>701 なにしろ、これから誠香は両親に、大事な話を 打ち明けなければならないのだ。>>196 その話とセットのように彼氏の存在を告白するのは いくらなんでもハードモードすぎる。
車の助手席に座ると、眠気がどっと押し寄せてきて、 頭がかくっと落ちそうになったけれど、 そんなタイミングで届くメール。>>223
返事を打ち終えて、>>668 今度こそ誠香は目を閉じる。 まだ問題は山積みだけれど、 今はほんのり幸せな夢が見られそうな気がした** ]
(754) takicchi 2020/06/27(Sat) 23時頃
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―― ゲームの話 ――
[ それは誠香の舌が激辛をようやく忘れた頃だったか。 連城が、なにやらカミングアウトすると言う。>>737 誠香は、大学合格した! とか、 実は〇〇ちゃんと付き合うことになりました! とか、 そういう類のカミングアウトだと思っていた。 ちょっと恋愛脳になっていたのかもしれない。 実際のところ、連城のカミングアウトは そんなものとはまったく違っていて、 衝撃に誠香はぽかんと口を開けることしかできなかった。
めっちゃ緊張してんじゃん。 なんで無理して笑ってんだよ連城。 そんな言葉が浮かんだけれど、声になっては出てこない。
結局、部屋を出ていく連城を、>>739 ぽかんとしたまま見送ることしかできなかった ]
(804) takicchi 2020/06/28(Sun) 00時頃
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[ 補足するように言葉を足す辰美に>>758 ああ、辰美は知ってたんだなあ、と思った。 そして、すとんと落ち着いた。 なにしろ、事情を知っている辰美が落ち着いているのだ。 だったら、大丈夫なんだろう。 切り替えが早いのが誠香のいいところである ]
(805) takicchi 2020/06/28(Sun) 00時頃
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[ おずおずと自己紹介するもうひとりの連城に>>741 阿東が勝負を持ち掛けた。>>748 ああそうか、違う人格なら、 ゲームの強さだって違うのか! それがなんだか誠香は目からうろこで、 興味津々でゲームの行方を見守ることになるのだけど、 もう一人の連城は、むしろゲームが強かった!>>-177
誠香の出る幕はないので、 敗者に罰ゲームを性懲りもなく差し出すのだった* ]
(806) takicchi 2020/06/28(Sun) 00時頃
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―― デート、じゃない話 ――
会って、話したいことがあるんだ。 デート、じゃなくて。
[ 年が明けて、1月。ますます受験が迫る頃。 受験勉強の夜更かしの合間に、 いつものように怜と通話していた誠香は そんなことを切り出した。 努めて何気ない風に言おうとしたけれど、 どうしても声が硬くなってしまったのは 伝わってしまったかもしれない ]
(884) takicchi 2020/06/28(Sun) 13時半頃
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[ 待ち合わせに選んだのは、少し遠めのカフェだった。 知り合いと鉢合わせすることのなさそうなところにした。 店内に程よく客が入っていて、 会話の邪魔にならない程度にBGMもかかっていて、 誰もこちらの会話なんか気にしないような、そんな店 ]
急にごめんな。
[ 色々覚悟を決めるのに時間がいった。 だから、誠香は待ち合わせの30分前からそこにいて、 1杯目のカプチーノをほとんど空っぽにした状態で 怜を迎える。 怜の注文に合わせて、お代わりを注文して、 少し強張った笑みを浮かべた ]
(885) takicchi 2020/06/28(Sun) 13時半頃
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[ まるで別れ話でもするようなムードを漂わせているが、 今日呼んだのは断じてそんな理由ではない。
「もしも言えるようになったら、 一番に言わなきゃいけない人がいるんだ。 その人たちに話せるようになるまでは、 氷室にも、言えない」>>4:252
誠香は、両親に打ち明けた。 出版社とも話が付いた。 それなら、次に話す相手は怜だと誠香は思った ]
(886) takicchi 2020/06/28(Sun) 13時半頃
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今日さ、わざわざこうやって来てもらったのは、 怜に話しておきたいことがあって。 ……あの校舎で聞かれただろ。 どうして僕が死にたかったのか。 その理由……話せるようになった、と思う、から、 だから……呼んだ。
[ 届いたカプチーノは可愛いラテアートが施されている。 笑っているラテアートのくまさんを見つめながら、 ぽつりぽつりと誠香は話す。 けれども、話す前に確認しなければならないことがある。 誠香は顔を上げて、じっと怜の顔を見た ]
(887) takicchi 2020/06/28(Sun) 13時半頃
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ただ……これを聞いちゃうと、怜も僕の共犯になる。 僕は今までも嘘つきだったけど、 これからも一生つき通さなきゃいけない嘘がある。 聞いちゃったら、怜も僕の嘘に巻き込まれることになる。 それでも、聞きたい?
[ 誠香は、出版社と取引をした。 一生嘘をつき通すことを決めた。 けれど、怜にだけは、 本当のことを知っておいてほしいと思った。 けれど、真実を知るということは、 誠香の嘘に巻き込むことを意味する。 共犯にしてしまう ]
どうする?
[ それでも聞く? と微笑んで、 誠香は小さく首を傾げた* ]
(888) takicchi 2020/06/28(Sun) 13時半頃
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/28(Sun) 13時半頃
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―― お邪魔虫の話 ――
[ 脳は糖分を消費する。 だから、受験勉強の合間に甘いものは必要だ。 であるからして、これは脳の糖分補給だ。 断じて受験勉強をサボって遊んでいるわけではない。 大体、受験生だってたまの息抜きは必要だ! 問題ない! 何が悪い! ……あ、本音が漏れた。 というわけで誠香は怜にねだってカフェへとやってきた。 女子のための女子による女子の店である。>>353 貴重な息抜きなのだ。 どうせなら思いっきり羽目を外したい。 可愛くて美味しい甘いものを 頭痛がするくらい食べてやりたい。 そんなわけで誠香はうっきうきの上機嫌だった ]
(917) takicchi 2020/06/28(Sun) 18時頃
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あー、楽しみ! めっちゃ楽しみ! クレープにしようかなあ? パンケーキにしようかなあ? やっぱパフェかなあ!?
[ まだ手を繋ぐのは少し照れるけれど、 今日はちっとも恥ずかしくない。 繋いだ手をぶんぶん振って、 怜は何にする? なんて話しつつ、 テンションマックスで誠香はお店の扉を開けた ]
(918) takicchi 2020/06/28(Sun) 18時頃
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…………?
[ そして誠香は首を傾げる。 女の子たちの話し声で華やいだ感じのはずの店内が、 なんだか少ししんとして、張り詰めたような空気? まで 感じたので。
なにごと? と店内を見回した誠香は、 衝撃に目を見開いた ]
あ、あれは、
[ 伝説のクリーム30倍盛りパンケーキ!!>>914 しかもそれが運ばれる先にいるのは、 きゃっきゃうふふな店内で、異質な空気を放つ男…… ]
(919) takicchi 2020/06/28(Sun) 18時頃
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って、辰美としおちゃんじゃん!?
[ 2人の組み合わせに驚けばいいのか、 伝説のパンケーキに驚けばいいのか、 情報が散らかりすぎて、 誠香は感情の行く先が見つからない。 とりあえず ]
邪魔はしないようにしよっか……。
[ こそこそと店内に入り、 伝説のパンケーキ完食チャレンジの行方を こっそり見守るのだった。 食べきった!? まじか!!* ]
(920) takicchi 2020/06/28(Sun) 18時頃
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/28(Sun) 19時頃
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―― パフェの話 ――
[ この間のカフェで、パフェを選ばなくて本当に良かった。 巨大パフェを前にして、誠香は心からそう思っていた。 パフェは美味しい。見た目も綺麗だ。 パーフェクトの名にふさわしい。 だがしかし、この美しさは有限だ。 パフェの攻略、それは時間との戦いなのである。 つまり、だらだらと時間をかけて食べて、 アイス部分が溶けて混ざると……悲惨なことになる ]
なにやってんだ辰美ー! 辰美の実力はそんなもんじゃないでしょー!
[ パフェに刺さっていたショートケーキを攻略しながら、 誠香は辰美に檄を飛ばす。>>939 クリーム30倍を攻略したその才能を出し惜しみするとは なんたることだ! ]
(945) takicchi 2020/06/28(Sun) 19時半頃
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[ パフェのお供の飲み物は、 いつもなら絶対飲まないブラックコーヒー。 甘味がリセットされるのでお勧めです。 ショートケーキを完食したら、 今度はちょっと溶けかかっていたバニラアイスを お玉に一杯分くらい引き受けた。 気分はすっかりフードファイターで、 あれ、パフェってこんな風に食べるものだっけ? もっと美味しさを噛み締めながら 食べるものじゃなかったっけ? そんな疑問がよぎったけれど、 考えなかったことにした。 楽しければいいんじゃないかな!!* ]
(946) takicchi 2020/06/28(Sun) 19時半頃
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―― デート、じゃない話 ――
[ 何の躊躇いもなく即答されて>>1028 唇が少し震えた。
聞いてくれるんだ、という安堵の気持ち。 これでもう逃げ道はなくなった。 全部、話さなければいけない。 その結果、軽蔑されるかもしれなくても。 ……そんな、気持ち。 それでも誠香は話すと決めた ]
……ありがと。
[ 一緒に背負っていきたいという言葉は素直に嬉しくて、 全部、話し終わった後も、 その気持ちでいてくれたらいいな、と思う。 軽蔑されても仕方のないことだけど、 できれば、嫌いにならないでほしいな、と思う ]
(1046) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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僕さ、お兄ちゃんがいたんだ。 僕が中3の時、交通事故で亡くなったんだけど。 ……事故の前、僕、お兄ちゃんに酷いこと言ったんだ。 それで……ずっと僕、本当は、 お兄ちゃんは自殺したんじゃないかって、疑ってた。 ……どうやらそれは、 僕の考えすぎだったらしいんだけど。
[ ラテアートのくまさんは、 誠香が口をつけると歪んでいく。 見るともなしにそれを見つめて、 誠香は小さく息を吐きだす ]
(1047) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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……自殺じゃなくて事故だって、 僕がはっきりわかったのって、つい最近のことなんだ。 どうもお兄ちゃん、僕と仲直りするために、 僕にお菓子を買いに行って事故に遭ったらしいんだよね。 僕がそれを聞いたらきっと気に病むだろうって、 両親はそのことを僕に言わなかったんだ。
[ 両親は悪くない。誠香が悪い。 兄は自殺したのかも。 誠香が両親にそう言ってさえいれば、 即座に否定されていたに違いないのだから ]
(1048) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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それでね、僕はお兄ちゃんに言った酷い一言が、 せめて“嘘じゃなかった”って証明したくなった。 そんなの、何の救いにもならないんだけど、 でもその時はもう、 僕にはそれしか縋るものがなかったんだ。 [ 肝心のことはぼかし続けたけれど、 このあたりで限界だった。 誠香はグラスを手に取ると、 レモンの香る水を一口飲んで、ため息をつく。 覚悟を決めて、顔を上げた ]
(1049) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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……お兄ちゃんの夢は、作家になることだった。 事故の日、僕、模試の結果にイライラしててさ、 のんきそうなお兄ちゃんに八つ当たりしたんだ。 それで、言っちゃった。 ……お兄ちゃんには、才能なんか、ないって。
[ 酷いよな、と誠香は笑う。 ああ、これ、辰美が嫌いな笑い方だよな、なんて思って けれど他の表情が見つからなかった ]
(1050) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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酷いよな。そんな言葉を投げつけたこともだけど、 その言葉が嘘じゃないって証明しようなんてさ。 でもその時はもう、そうするしか逃げ道はないと思って。 それで、応募したんだ。 お兄ちゃんの残した原稿を、僕の名前で。 だって、亡くなった人の名前を使って応募なんて できないと思ったし。 ……才能がないことを証明する、つもりだったし。
……そしたら、証明されちゃった。 お兄ちゃんには、才能があったって、証明されちゃった。
[ はあ、と大きく息を吐くと、 誠香はやっぱり泣き出しそうな笑みを浮かべた ]
これが、高校生作家の正体。 今まで僕の名前で出された本は全部、 お兄ちゃんの残した原稿なんだよ。
(1051) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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[ だから死にたかった、と誠香は言った ]
もう、耐えきれなかったんだ。 お兄ちゃんが僕の言葉に傷ついて、 自殺したかもしれなかったことも、 お兄ちゃんの原稿を盗むみたいにして、 作家になってしまったことも、 お兄ちゃんの残した原稿が、 どんどん少なくなっていくことも、 ……お兄ちゃんはもういないのに、 時々、普通に楽しく暮らしてる自分のことも。 全部、全部、辛かった。投げ捨ててしまいたかった。
(1052) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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[ 本当のことを言うと、 そんな気持ちが全部なくなったわけではなかった。 兄の死が自殺じゃなかったとしても、 あの日喧嘩をしていなければ、という気持ちはあるし、 兄の原稿を盗んで作家になってしまったことに 変わりはない。 なにもかもなかったことにはならない ]
(1053) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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だけど、あの、しおちゃんの作った校舎で、 色んなこと考えたし、 一度、本当に死んじゃったし、 ……怜を置いて死ねないなって思ったし、 向き合う覚悟、決めた。
それで、両親に打ち明けて、 出版社にも、事情を説明したんだ。 なんとか、許してもらえた。 ……いろいろ、条件を出されちゃったけど。 だから、ごめんね、怜。
[ 情けない笑みを誠香は浮かべた。 カプチーノに口をつける。 くまさんは無残なことになった ]
(1054) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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これで、怜も、共犯。 今話したこと全部は、 絶対に漏らしちゃいけない秘密なんだ。 それが、出版社の出した条件の一つだから。
[ 馬鹿みたいだよねえ、と自嘲の笑みを浮かべながら、 出版社の出した条件を伝える。 売れるための美談にすること ]
(1055) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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……ある意味、僕にとっても都合がいいけどね。 本当のことなんか発表したら、 バッシングで僕死にそうだし。 でもこれで、僕はまた、 新しい嘘をつき通さなきゃいけなくなったってわけ。
[ 全部話し終えたタイミングで、 カプチーノの入ったカップは空っぽになった。 空っぽになったカップをしばらく眺めて、 はあ、と誠香は大きくため息をつく。 それから、顔を上げて、微笑んで。 軽蔑した? って、聞いた* ]
(1056) takicchi 2020/06/28(Sun) 23時頃
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―― デート、じゃない話 ――
[ 軽蔑した? って聞きながら、 肯定されたらどうしようと思っていた。 否定の言葉を期待しながら、 虫のいいことを考えているなと思う。 だって、誠香だったらきっと軽蔑する。 全部自滅の自業自得じゃん、と思ってしまう。
それなのに、返ってきたのは 思いがけない感謝の言葉。>>1077 誠香は思わずきょとんとして、 それから意味を理解すると苦笑した ]
……お礼を言うことじゃないよ。 僕の嘘に、巻きこんじゃったのに。
[ 頭を撫でる手に、 怜は僕に甘すぎだ、なんて思う ]
(1117) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 感想を伝えられたことは確かになかった。>>1079 あの雪の日に、 初めて読者だったことを知って驚いたくらいだ。 だから誠香はうんと頷いて、 僕は、と言った ]
僕は、そのことに感謝してたよ。
[ 正直、知り合って間もない頃に小説の話をされていたら、 仲良くなれたか怪しいとすら思う ]
(1118) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 初めて怜から聞く兄の本への感想に、>>1081 誠香は目の奥が熱くなった。
兄は優しい人だった。 兄は、優しい文章を書く人だった。 誠香は、兄が好きだった。 兄が書く文章が好きだった。
そう、兄に才能がないなんて、そんなはずなかった。 そのことを、誰よりも誠香は知っていたはずだったのだ ]
(1119) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ うん、うん、と涙をこらえながら、 誠香は相槌を打っていたけれど、 ファンレターを送っていた、と聞いて>>1082 ぽかんと口を大きく開けた。 そんなこと、知らなかった。 全然、気づかなかった ]
なにそれ……知らない。 うそ……まじで?
[ ファンレターは、もちろん全部読んだ。 大切に取ってあるけれど、読むたび誠香は胸が痛かった。 その感想を受け取るべき人は、誠香ではなかったから ]
(1120) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ だから、兄は誠香を恨んでいない。>>1083 その言葉に、表面張力ぎりぎりだった、 誠香の瞳の涙が、とうとうあふれてしまう ]
そう、かな……? おにーちゃん、許してくれる、かなあ……? 僕……僕、おにーちゃんのこと、好きだった! 大好きだった! おにーちゃんに才能がないなんて、 ひどい……ひどいうそついた! それでもっ、許して、くれる、かなあ……?
[ きっと誠香は涙でぐちゃぐちゃで、酷い顔をしている。 両手で顔を覆ったけれど、 指の隙間から涙があふれて止まらない。 墓参り、という言葉に、>>1084 声にならずうんうんと頷いた ]
(1121) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 思い出したのは、あの校舎でのこと。 あの時誠香はわんわん泣く怜を慰めたけれど、 今は完全に立場が逆転していて。 きっと今、誠香はとてもブサイクだ。
こんな恥ずかしいとこ見られたら、 女だったら嫁にいけないとこだった。>>2:52
そんな言葉を思い出したタイミングで、 怜が何か言った>>1085 ]
いやそれは気が早すぎだろ!?
[ 食い気味でツッコんだ誠香はきっと悪くない。 驚きのあまり涙も止まっちゃったよ!!* ]
(1122) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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―― ニセモノ作家の進む未来 ――
[ 誠香の書いた、最初で最後の小説が世に出た。 出版社の力の入れようはそれはもうものすごく、 今まで世間を欺いていたことを告白する自伝的小説、 という内容も世間の注目を集めた。 どうやら本当に映画化の話まであるらしい。
嘘が真実になっていく現実を、 誠香は黙って受け止めていた。 誠香はそれだけのことをしたのだし、 その道を選んだのは、誠香自身だ ]
(1123) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 最初で最後の小説、という約束だった。 これで作家は終わり。そのはずだった。 ふつーの大学生に戻ります! ちなみに進学先は海星大学だ。 国公立への進学はやめた。 もともと、そこを第一志望にしたのは、 そこが兄の入学した大学だったからだ。 兄の陰を追いかけるのは、もうおしまい。 あと、美貌の彼氏に群がる女どもを ちぎっては投げちぎっては投げするためには、 やっぱり近くにいたかったので。
そうしてふつーの大学生になった、はずだったが、 出版社は諦めが悪かった。 誠香の書いた小説が売れたので、欲が出たらしい。 暴露本みたいなものだから話題になっただけだよ、 と誠香は思っているのだが ]
(1124) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ その日も、出版社に呼ばれていた。 出版社あてに届いたというファンレターは開封済みで、 批判的な内容の手紙は弾かれたのだろうなと知れた。 正真正銘誠香の小説に宛てられた感想の手紙だ。 ありがたいとは思うけれど、 まだどこか、現実味がないというか、 信じられないような気持ちでいる。 ……本当だったとしても、あの小説の内容は、 誠香が一生つき通す嘘なのだけど ]
「あと……そうそう、これ、見てください」
[ 相変わらず誠香はエゴサはしない。 きっと誠香のついた嘘への批判なんて、 山ほど出てくるだろうし。 受け止める勇気は正直なかった。 受け止めようとしたら、ごめんなさいと叫びながら、 今度こそ死にたくなってしまいそうだ ]
(1125) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 出版社の人が示したディスプレイに、 気のない顔を向けた誠香は、 目に飛び込んできたものに大きく目を見開いた ]
(1126) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ それは、CG作品だった。 重苦しいフクロウの幻影がほどかれて、 その中から翼を広げた白鳥が出てくるような>>733 ]
「このCG描いた子、福住さんと同い年らしいですよ。 それで……」
[ 出版社の人が何か言っていたけれど、 誠香の耳には届いていなかった。 食い入るようにディスプレイを見つめる誠香の目から、 ぱたぱたと透明の雫が零れる ]
(1127) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 怜があの世界から持ち帰った何枚かの写真。>>75 その中に、深緑色のフクロウを描いたCG作品を>>5:56 撮影したものは含まれていただろうか。>>5:256 見たことがあればすぐにわかったし、 見たことがなくても、同い年のHN『Hanon』の名に、 きっと誠香は察しただろう。 あの時は、気づけなかったけれど。>>0:1192 察したというより、きっとそうだと信じた、という方が 正しいかもしれない ]
(1128) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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……ひとつだけ、書いてみたいお話があります。
[ 涙を拭った誠香は、顔を上げて出版社の人間を見つめた。
悩みを抱えた人々が、自らの悩みと向き合いながら 仲間と手を取り合って前に進んでいく物語。 それなら、書けるかもしれないと思った。 それなら、書いてみてもいいと思った ]
ひとつ、条件を出してもいいですか? 表紙のデザインを『Hanon』さんにお願いしたいです。
[ 作者と同い年の若手デザイナーが表紙を手掛ける。 出版社の好きな“話題性”という意味でも、 悪くはないはずだ ]
(1129) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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おにーちゃん。 おにーちゃんと違って、私には才能なんか、ないけど。 それでも、作家になったよ。 きっと一生、おにーちゃんには敵わないけど。
(1130) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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[ 真実になってしまった大きな嘘を一つ胸に抱えたまま、 白鳥はもう兄のいない未来へと羽ばたく** ]
(1131) takicchi 2020/06/29(Mon) 00時半頃
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―― デート、じゃない話? ――
[ 誠香は知る由もないことだが、 あれが“ごく自然な流れ”で “遠回し”のつもりだとしたら>>1132 怜の直球って何だろう。 知る由もなくてよかった。 知ってたら戦慄を禁じ得ないところだった ]
早いよ!? 僕たち、まだ高校生だし! これから大学生! 学生! が・く・せ・い!!
[ 未来を見据えてくれている、というのは、 嬉しくないわけではないのだが、 それよりやっぱり 「気が早すぎぃ!」という気持ちが勝るのは 仕方のないことだと思う ]
(1137) takicchi 2020/06/29(Mon) 02時頃
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[ こんな展開、予想していなかった。 誠香はずっと隠してきた秘密を打ち明けるつもりで、 それは、怜以外には絶対聞かれてはならないことで、 だから落ち着いたこの店を選んだのに。 まさか迷惑行為になるほど 自分たちが騒ぐ羽目になるなんて、 思ってもみなかったのだ>>1134 ]
すみませんすみません。
[ まだ泣きはらして赤い目元を ハンカチで誤魔化し(誤魔化せてない)ながら、 ぺこぺこと頭を下げて、お店を出る羽目になった ]
(1138) takicchi 2020/06/29(Mon) 02時頃
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……まあ、このお店、ちょっと遠いし。
[ 絶対知り合いには会わないように、遠めの店を選んだ。 だから、行きつけにするには少し不向きだ。 未練がましく店を見つめる怜に>>1135 誠香はそう言って笑う。
場所変えよっか、という言葉に少し驚いたように瞬いて、 それからふにゃっと笑みを浮かべた。 これで解散、ではないことが嬉しくて ]
(1139) takicchi 2020/06/29(Mon) 02時頃
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……って、これじゃ、デートじゃん! 僕、デートじゃないって言ったのに!**
(1140) takicchi 2020/06/29(Mon) 02時頃
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鉄血の福音 セイカは、メモを貼った。
takicchi 2020/06/29(Mon) 02時頃
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―― パフェの話 ――
なにやってんの喜多仲! 甘いもの好きって言ったじゃん! その程度でギブなど許されんわ! 食え! もっと食え!
[ いつの間にかパフェ攻略はスポ根と化していた。 ソファに沈んでいる喜多仲に 容赦なくツッコんだ。>>963 なんだよローズティーって。オシャレか!>>962
マカロンを摘まんでいるまなには何も言わない。>>-919 誠香は基本的に女子には甘い ]
(1236) takicchi 2020/06/29(Mon) 20時半頃
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何のことだと!? 一から十まで説明してやろうか!? あの場違い感半端なかった
[ 辰美の雄姿を! とか言ってやろうかと思ったが、 がっつり皿に取る姿を見て途中で止めた。>>950 無事の情けである(?) ]
(1237) takicchi 2020/06/29(Mon) 20時半頃
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うん、美味しい! だからこそ美味しい間に食べ切らないとね!
[ にこにこしながらパフェを平らげていく心乃には>>1167 そう頷く。 そう、美味しいのだ。 だからこそ、アイスが溶けてまじりあい、 すべてがでろでろになって見た目も味も台無しになる前に なんとしても完食せねばならぬのだ。 心乃のパフェのお供のドリンクは見なかったことにした。 あれはさすがに誠香の理解を超えている ]
(1238) takicchi 2020/06/29(Mon) 20時半頃
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[ 阿東は頼りにならないなあ、と、 ちまちまと食べる姿に>>944 誠香は割と失礼なことを考えていた。 まさかパフェ会を呼びかけた本人が 甘いものが苦手だなんて>>1184 夢にも思わなかったのだ。 ちょっとは連城を見習えよ! という気持ち。>>952 嬉しそうに食べる姿は気持ちがいい。なんか癒される ]
(1239) takicchi 2020/06/29(Mon) 20時半頃
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さすがここのん……!
[ そんな阿東だったが、心乃に勧められて>>1168 やる気を出したようだった。>>1185 そうか、これが北風と太陽……! 北風のような己の対応を思い返し、 誠香はちょっと反省した ]
喜多仲ならもっと行けるって! 僕、信じてるから!
[ にこっ☆ 心乃を見習って太陽っぽく振舞ったつもりだったけれど、 絶対なんか違う* ]
(1240) takicchi 2020/06/29(Mon) 20時半頃
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―― 花火大会 ――
自分が招集かけといて遅刻するとはいい度胸だな! アウトだ! 完全にアウト!
[ あの冬からちょっと伸びた髪を後ろでまとめて、 誠香は仁王立ちしている。 チョー重い、と示された ラムネがたくさん入っているらしい袋に>>1383 あの校舎で、教室に食べ物を運んでいた喜多仲を 思い出した ]
今日は腕もげるー! って言わないんだな。
[ 仕方ない。ラムネに免じて許してやろう、 なんて偉そうに。 だって仕方ない。こうして集まると、 誠香はどうしたって テンションが上がってしまうのだもの ]
(1420) takicchi 2020/06/30(Tue) 00時頃
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[ 橋の上でみんなで花火を見た。>>1387 やべー! とはしゃぐ喜多仲に、>>1388 いつもならうるさいこれ食べてろ! と 飴の一つでも投げつけるところだったけれども、 今日は花火の音の方が大きくて、 そんなに気にならなかった。 ……嘘。誠香も同じくらいはしゃいでいた ]
(1421) takicchi 2020/06/30(Tue) 00時頃
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[ 次々に打ちあがる花火を眺めながら、 ぷしっとラムネのビー玉を押し込む。 ……と、
ぶしゃああああ、とラムネが噴き上がってきて ]
喜多仲ああああああ!!
[ そりゃがたがたした地面を走って持ってきたら そうなりますよね。>>1382 花火の音をBGMに、 お約束の展開に誠香の怒声が響くのだった。 ラムネ噴きこぼれるけど許す? ナンノコトデスカ** ]
(1422) takicchi 2020/06/30(Tue) 00時頃
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