237 それは午前2時の噺。
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[裏山に抜けるには、住宅街の先、用水路と田んぼを抜けて行かなくっちゃいけない。 アヤと手を繋いで歩く道は驚くほど静かで、そして、ここまで誰とも遭遇せずに来てしまった。
大人に内緒の冒険だけど、繋いだ手の温かさは私だけが知っている。 一緒に見上げた星空の明るさは、わたしたちが一緒に感じてる。
まだおねむな蛙は田んぼの中でじいっと春を待っている。あぜ道を行く間、アヤの草履がたてるぺたぺたした音が嫌に大きく聞こえた。]
あ、ねえ、あそこから裏山に入れるよ!
[指差した先に、遊歩道の入り口がある……とはいってもそんなごーじゃすなものじゃなくて、どんより生い茂った木と、その下に踏み固まった道、そして申し訳程度にぽつぽつと灯りがあるだけなんだけれど。]
この山のね、ピクニック広場なら星がきれいに見えると思うんだ。
[そこでみんなお弁当を食べたり、お花見をしたりする。まだ桜は咲いていないだろうけれど、咲いていたらきっと素敵だ。]
(16) 2018/03/26(Mon) 00時半頃
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[一歩、アヤの手を引いて遊歩道に踏み入ろうとしたとき……ブズン、と音を立てて、わたしの真上にあった電灯が消えた。 夜の森の中、たったひとりで森の入り口を守っていた門番が死んだみたい。 何の前触れもなく、突然、世界は闇に包まれる。]
アヤ、大丈夫?!
[掌に感じるアヤの手……大丈夫、アヤはここにいる。見えないアヤの顔がもっと見えなくなってしまったけど、ちゃんといるのが分かる。 でも、アヤは声を潜めて囁いた。]
「なにか、きこえる」
[確信を持った声音に、わたしは耳をそばだてた。 視界が閉ざされた中、木々の間を通り抜けるように、微かな音が確かに聞こえる。]
(17) 2018/03/26(Mon) 00時半頃
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[音がだんだん近づいてくる気がして、慌ててアヤの腕を掴んで、近くにあった茂みに押し込んだ。 距離が近くなると、アヤのにおいがいっそう強くなった気がする。それでも声を殺し、息を殺して、その気配が通り過ぎるのを待った。
それは、山の奥から、遊歩道に降りてきている。]
(18) 2018/03/26(Mon) 00時半頃
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…… リィィーーーン ……
…… カラン …… カラン ・・・・・・
…… うう ……うぅぅ ……
……ズルズル…… ズリ ……
(19) 2018/03/26(Mon) 00時半頃
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[なにこれ。なにこれ。なにこれ。何がいるの。
わたしたちが隠れた茂みのすぐ真横、何かを引きずるような音が聞こえる。 苦しそうな息遣いが聞こえる。……でも、真っ暗闇に包まれて、もう何も見えない。 ただぎゅっとアヤの手を握りしめ、それが通り過ぎるのを待った。 掴んだアヤの手は、ほんのちょっと震えて、手先が冷たい。]
大丈夫……大丈夫、わたしがついてるから……。
[ついているからなんだ、って言われたら困るんだけれど。 それでも、公園でわたしの手をアヤは取ってくれた。]
アヤは友達……おばけなんていない……。
[何度も口の中で呟いた。消えろ、消えろ、と強く願う。 ……やがて、音は遊歩道から田んぼの方への消えていった。]
(20) 2018/03/26(Mon) 00時半頃
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[そおっと茂みから顔を出したら……やっぱり真っ暗森。鼻をつままれても分からないほど、って比喩表現がぴったり当てはまるような。 あの変な音を出すものは何処かに行っちゃったんだろうか。 茂みにしゃがんだままのアヤの手を引っ張り上げて、服についた泥を払うと、アヤがおずおず口を開いた。]
「ともだちになってくれるって、ほんとう?」
[わたしはびっくりして目を見開いた。ここにくるまではじゃあ一体何だったんだろうって。 黙っていたらアヤはすまなさそうに「ごめんね」と言った。]
「いままで、おともだちできたこと、なかったの。 ……ねえ、あなたのなまえは?」
[わたしの手をアヤが握り返してくる。細い手。冷たい手。爪の間に泥が入った手。 なんで今更そんなことを聞くの?]
(21) 2018/03/26(Mon) 01時頃
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わたしは、エリ。
[真っ暗でアヤの顔は見えなかった。でも「そう」と返したアヤの声は、何だかひどく悲しそうだった。]**
(22) 2018/03/26(Mon) 01時頃
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[裏山に生い茂った木は、一片の光も通さないとでもいうように、下を歩くわたしたちに意地悪をする。 飛び出す木の根も、湿った腐葉土も、全然先に進ませてくれない。 アヤは草履だし、わたしはガラスの靴……ママの買ってくれたお気に入り。 それでも真っ暗闇に慣れてきた目に、僅かに映るものを頼りに、一生懸命アヤの手を引いて歩く。
きっと真っ暗な街に取り残されてる人たちの誰も、ここにいるわたしたちのことを知らない。 大人も、子どもも、犬も、猫も、みんな。 おうちにいる人たちはみんな、誰も気が付かない。 早く山を登らなきゃ……焦る手が、アヤの身体を強く引く。
と……ずるり、腐葉土に足を取られてアヤの身体が落ち葉の上を滑り落ちていく。]
アヤ!
[わたしの手からアヤが離れてく。 体温が 遠 く は な れ て
それから、真っ暗闇だけが残った。]
(27) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[葉っぱの滝つぼに飲まれていくように、軽くて小さなアヤの身体は私の届かないところまで落ちて行って……]
「……ごめん、サンダルがこわれちゃった」
[やがて、ぽつりと声だけが返ってきた。 冷たい風に乗って、アヤのにおいが鼻先を擽る。生臭くて酸っぱいにおいと……ブランコのさびた鎖のにおい。 アヤの無事を確認しないといけないのに、そんなことばっかりが気になった。
助けに来ないわたしに、アヤは静かに口を開いた。]
「ねえ、わたしね、おかあさんからくつをかってもらえないの すぐおおきくなって はけなくなるから。」
[生臭い風に乗って、またあの鈴の音が聞こえた気がした。]
(28) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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…… リィィィン …… 「ねえ、わたし、ともだちがいないの」
「だから、あなたのほんとうのきもちがわからない」 …… リィィン ……
…… リン …… 「わたしにはなにもうらやましいものはないよ」
「わたしをにくんでうらんでねたんでも」 ……カラ、コロン……
…… ふぅ、うぅぅ …… 「あなたはきっとみたされない」
「ねえ、おしえてほしいの」 …… シャン、シャン、カラン ……
「わたしがにくい?ともだちになりたい?……ころしたい?」
(29) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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「あなたのほんとうのなまえは なあに?」
(30) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[こういうのをきっと「息も止まるよう」っていうんだろうか。 今までアヤはちっともおしゃべりしてくれなかったから、こんなにしゃべる子なんだって知らなかったの。
アヤの姿は、わたしには見えない。でも、確かにアヤはここにいる。見えなくても、アヤのにおいがするから。 酸っぱい汗のにおい、取り換えられない服の饐えたにおい、垢とほんのちょっとおしっこみたいなにおい。]
……だって、アヤ、くさいんだもん。
[それが、わたしの答えだった。]
(31) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[うらやましくて仕方が無い、“いきてる”におい。
わたしより背が低くて、がりがりで、友達もいない可哀そうなアヤだけど、そのうちわたしより大きくなってしまう。 背が伸びて、靴が入らなくなって……わたしなんか見えなくなる。わたしなんかいないのと同じになってしまう。
だから、大人なんてバカだ。ここにわたしはいるのに、誰も気が付かない。 おばけなんてうそだ。わたしだっていつかおばあちゃんにカーディガンを編んでもらって、お父さんから髪を結うゴムを買ってもらって、ママから靴を買ってもらって……
それから、可愛い名前で呼んでもらえる。想いを込めて、成長を願って、つけた名前。
大人にも見える子だけずるい。ずるい。わたしはここにいるのに。]
(32) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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「あなたがブラン子さんでしょう?」
[ああ、でもその名前は、大嫌いなの。]*
(33) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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