270 「 」に至る病
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
2
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
|
[季節は巡る。惜しむひとの心を置き去りに しずかに形ないものを積み上げて]
(20) 2019/10/08(Tue) 13時半頃
|
|
―― 13年後 ――
もう五回は起こしただろうに 「あと10ぷ〜ん」、なんて駄々をこねた子は 一体どこの誰だろうねえ。
[新聞記事から視線をあげずに珈琲をすすり、>>0:677 吸血鬼教授は慌ただしくやって来た少女の抗議を流した。
彼女が席につけば改めて新聞記事を畳み、 自分もトーストを口にする。]
(21) 2019/10/08(Tue) 13時半頃
|
|
おはよう、ミルフィ。 [微笑んで挨拶をかわし、 トーストを齧って頬をゆるめる娘を 目を細めて見てから、 母親に似てきたな、と内心で思い、首を横に振る。]
( ……血がつながっているわけではないんだから )
[気のせいだろう、と思いたい気持ちと 美しく成長してくれてうれしい気持ちと 両方を抱えながら、 血をいれすぎてキツいブラックコーヒーに砂糖を混ぜた。]
(22) 2019/10/08(Tue) 13時半頃
|
|
[口が大きいからか図体が大きいからか、 食べ終わるスピードは娘よりずっと早い。 皿をまとめて食卓を立とうとして、 「そうだ」とセイルズは独り言ちる。]
近々、ミルフィにはお使いを頼もうと思うんだ。 僕以外の吸血鬼に会ってお茶をしてくるだけだけどね。
[定期健診の事をつまびらかにミルフィに話した事はないが 国から降りてくる勤めだ。 きっとどこかの本、あるいは学校で知りえているだろう。 眷属の遣いのことを。
皿をキッチンの流しに置いてから、 セイルズは封をした手紙を鞄にいれて、 コートを羽織り歩き出す。]
(23) 2019/10/08(Tue) 13時半頃
|
|
――さあ、わが娘よ。 君の父親は遅刻する生徒には厳しいぞ。 [レポートが10は出るかもね、と茶化しながら 彼女の今朝の授業が歴史だったか 他のものだったかはさておき セイルズ・ウォルフォードは家を出て歩き出した。**]
(24) 2019/10/08(Tue) 13時半頃
|
|
[「吸血鬼」という言葉を彼女の前で口にするのは いつぶりだろうか。 ――もしかすると初めて、かもしれない。
セイルズは不思議そうに瞬いたミルフィに 答えるように口を開く。]
クチキ アオさん という―― 東洋から来た方のところに行ってほしいんだ。
翻訳家の方で、 僕は幾らか彼の翻訳を読んだことがあったと思う。 瑞々しい訳だった。 リビングの本棚にも多分彼の翻訳したものがあるよ
……怖いかい?
(74) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
[セイルズは首を傾げてみせた。
依存度を測るための定期健診。 娘が不安なように、父親もまたそれに不安を感じていた。
毎回立ち寄ってお茶をしてくれていた眷族が ふっと姿を見せなくなった――と思いきや 新聞の片隅、心中事件を起こしたものとして 名前だけ挨拶に来ることもあった。
妻も最初の頃は嬉しそうに行っていたが 次第に、「そんなことしなくていいじゃない」と 使いを拒むようになっていった。
依存が深まるにつれてそうなるのだというが 願わくば、ミルフィは長く、 ”お遣い”を楽しんでほしいものだと思う。]
(75) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
( きれいごとだ。……わかっているよ、クラリッサ。)
(76) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
[ふっと伏せた目を上げる。 「うん」と肯定と共に、 愛らしい文句めいた言葉が飛んでくるので、 セイルズは噴き出した。>>38
”まだまだ子供だなあ。”
笑いに混ざる吐息には、そんな色が混ざっている。]
おやおや。 ミルフィ。僕の愛らしい子。 ナンパされてもいいけど、 結婚式の招待状くらいはくれるんだろうね?
[一夜の過ちとか遊びは駄目だぞ、と笑って嗜めて、 もしも吸血鬼と他の吸血鬼の眷属が結ばれることがあれば 吸血鬼の方は苦労するのだろうなあと くだらない思考実験をする。]
(77) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
[何せ、他の吸血鬼の血に感染した眷属の血は 劇物に等しい、と言う。
依存の病にしても、血の穢れにしても 吸血鬼と眷属というのは 本当に同族で群れるのに向いていない。]
(78) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
[そんな事を考えながら、セイルズは朝食を片付け 娘と同じ行き先へと歩きだす。>>39>>40 むしろミルフィを置いていく。]
学問とは探究のためにあるもの。 その前段階で立ち止まっているようじゃあ 僕の生徒は名乗れないぞ、ミルフィ君。
[何せ百年単位で学者をやっているものだから 普段物腰は柔らかくとも、 真面目さお固さは折り紙つきである。
ミルフィが10を越えたころ、 次第にセイルズは今のように少しだけ意地悪になってきた。 きっと”可愛くない”娘にもそれは受け継がれている。
いつもどおりのやりとりを交わして>>41 あわてて口に朝食をねじこんだミルフィが角を曲がれば セイルズはゆっくりした歩調で彼女を待っている。]
(79) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
そんなに慌てるなら、 毎朝ちゃあんと起きればいいのに。
[片眉をあげてそう告げてから、 セイルズは丁度やってきたバスに乗り込んだ。
無数の人間たちの中にまぎれる吸血鬼。 食べ物も違うのに人間の顔をして生きる自身を おかしな生き物だ、と思うことには慣れた。]
(80) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
[リンディン警察のパトカーが対向車線に見え 乗客ともども訝しげな様子で窓の外を見る。
――――事故ですって。 ――――車に誰か轢かれた?
そういう乗客たちの言葉を耳にしては 遠ざかる赤い光を凝視して、 先ほどまでにこにこ笑っていた顔を ほんのわずかに蒼ざめさせた。
よくある話だ。
セイルズは小さくため息をついて首を横に振ると ミルフィと同じバス停で降りる。 講義のための教室に向かいながら、 途中で別れたか、進行方向は同じか
いずれにせよ、娘に心配そうにこう投げかけただろう。]
(85) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
お遣い、ちゃんと気をつけていくんだよ。
[それはまるで――――
――まるで、初めて買い物にいく少女が 轢かれないか心配でもするように。*]
(86) 2019/10/08(Tue) 22時頃
|
|
目覚めのキスが欲しいほどお姫様じゃないだろう?
[肩を竦めて軽口に軽口を返す。 こうしていると、妻と過ごしていた時を思い出してしまう。 くだらないことで口を尖らせあって 言葉の裏で信頼を、親愛を、示していたあの頃のことを。
クラリッサに似てきたミルフィの後ろ頭をちらりと見て ふいふいと首を横に振る吸血鬼教授の心中を きっと誰も知らない。>>114]
(145) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
[目を射る赤色灯が雨を思い出させる。 袖を握る感触に瞬いて、 セイルズは視線を落とし、ミルフィの細い指を見る。]
ミルフィ…………
[手が伸びる前に車内アナウンスが次の停留所を指し示し セイルズは我に返って 「大丈夫だよ」という言葉だけ噛み潰した。
もう、19歳だ。立派なレディだ。 ミルフィの成長限界がどこにあるのか、 セイルズは知らないが、もはや子供ではない。
結婚したいというのであれば それを見送ってやらねばならないし 辛い事もある程度は1人で耐えるだけの力はあってほしい。
ひとの親としてそう思うのに、 惜しむ心が、いつまでも後を引いた。]
(146) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
父親だから、仕方ないだろう? 僕にとっちゃあいつまでも子供だよ。
[ほんの少し、少しだけむっとした様子で>>116 セイルズは少し前まで「大人になった」と思っていた娘を 子ども扱いする。
自分の矛盾に小さく肩をすくめてから、 近づいてきている彼女の友人>>120に気がつき シューマッハ社の革靴を鳴らして踵を返した。]
(147) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
[研究室に立ち寄る。 白薔薇が枯れていないかを確認してから 授業用のテキストを持ち、出て行こうとして 古い名簿に挟まれた一つの新聞記事を見る。
20数年前の記事だ。]
(148) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
『キング・ストリートで事故 ――5名が死傷
XX日20時頃、キング・ストリートで20代の若い女性を含めた4名が自動車に跳ねられ死亡。運転手も意識不明の重態。”車両が1人の女性を跳ね、動転した運転手がはずみで他の通行者も巻き込んだ”との証言が得られている。当時あたりは雨が降っており……』
(149) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
[被害者の実名に目を滑らせる前に、 セイルズは名簿を閉じる。]
[頬をべたつく甘い匂いが這った。 苺ジャムにも似た質感。塊。 おいしいでしょう? ――そうわらった妻の顔が忘れられない。]
(150) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
("You'll never ever, never ever, never be happy without me !)
(151) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
[記憶の中の妻の顔がミルフィのそれと重なる。 首を横に振った。
セイルズは血の気が引いた頬をいくらか己で叩いてから、 大学に入りたての生徒たちが待つ教室へ向かった。]
(152) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
―― 講義 ――
[板書はそこそこに、 プリント中心で講義を進める吸血鬼教授の授業は、 ノートを文字で埋めなくて良いので楽だ、という声がある。 その代わり――レポートはかなりの量を誇っているが。]
(153) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
――このように、帝国の皇帝たちというのは 単なる世襲でもなく僭主でもなく、 信任された代表者として存在した。 今の国家と少し似ているね。
だが当時は暗君に対してもっと辛らつだった。 一切の存在を無かったこととして 遺したあらゆる痕跡を抹消する―― ダムナティオ・メモリアエ、記憶の破壊、と言ってね。 貨幣から銅像まで、 全て壊されたり削り取られた皇帝もいたんだ。
(154) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
――……今日はそうして歴史から葬られた皇帝の ”名前を削られた”硬貨を持ってきました。
前から回していくから、見てみて欲しい。 おっと、それなりに貴重だからなくさないでおくれよ。
[セイルズはそう言って両端の生徒に硬貨を手渡す。 青色の錆びた硬貨は兵士の横顔が刻まれている。 その周囲にあるはずの名前は、削り取られている。]
(155) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
共同統治を行っていた皇帝なんだが 権力に溺れてね。 家族――姉妹、母、娘を娶っただとか 苛烈な信者がいた、だとか 吸血鬼だったという話まである。 現物はないが、当時の彼の家族を描いた肖像画は 彼だけが削り落とされている ――プリントに印刷したようにね。 [授業の始まる前に生徒たちに渡したプリントを示しては、 セイルズは「余談はこれくらいにして」と言葉を続ける。]
(156) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
さて、 決して磐石の地位を築いていたとはいえない彼らだが 歴史に暗君がいるならば名君も必ずいる。 長話で眠くなってきただろうから 初歩的なことに立ち返ろう。
賢帝として有名な五人を当ててもらおうか――
[そう言ってセイルズはちらりと教室内を見渡す。 ミルフィと目が合うことはあったか、なかったか 目が合ったものから答えを言わされていったことだろう**]
(157) 2019/10/09(Wed) 00時半頃
|
|
[歴史の授業というのは眠いものなのだろうか。
随分昔に卒業した吸血鬼も 歴史の授業は少し眠そうに見えた。 そういえば、自分のところに来るのは彼の眷属だったな、と ちら、とそんなことを考えていたら
ぱちぱちと瞬きを繰り返し眠そうなミルフィと目が合った。 彼女に回答を促す。]
(248) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
|
|
……よろしい。
[五人の名を聞き届けて頷くと、 セイルズの講義は帝国の華やかな時代へと向かう。 受験勉強の知識だけでなく、 大学らしい知識、知見を伴って。
授業のおしまいにレポート課題を一枚出したところで、 時間をはみ出すことなく、講義は終了する。
参考書を手に質問に来る生徒たちと談笑を交わしながら 現代的な吸血鬼は娘の端末に一言、]
(249) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
|
|
『寝ちゃ駄目だぞ』
[とメッセージをよこした。
大学の時間はゆるゆると流れていく。 次の講義の時間が近づけば、吸血鬼教授は教室を後にし、 自分の予定を確認してから研究室に向かうのだ**]
(250) 2019/10/09(Wed) 13時半頃
|
|
―― 内緒の子育て相談会 ――
[世界一可愛い、と愛しそうに語るチトフに 吸血鬼教授は目を細めて頷いた。>>234
聞けば、彼には随分と「アリス」に思いいれがある様子。 そこにどんな思い出が眠っているのかセイルズは知らない。 かつて「アリス」が何であったのか 知らないままに耳を傾ける。]
(281) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
[――いきすぎた愛、とも呼ぶべき何かがあったとしても 内緒の子育て相談を交わす今この時には関係の無い事。
幼い吸血鬼社長の内心を知りえぬ教授は 先輩の顔をして、或いは父親の顔をして、 チトフに助言をする。
全く即物的な助言は ただのお説教よりも効いたらしく>>236 ぱあっと表情を明るくしたチトフにつられて、 セイルズはにこりと笑った。]
(282) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
ああ、本当だとも。 なかなか骨が折れるが、やってごらん。
[お堅い吸血鬼教授はロールプレイをしない。 けれども、いつもはどこか大人びたチトフが 子供めいて表情を曇らせたり、楽しそうにするから やはりつられて>>236、父親めいた物言いになる。
――――あいされるべき子供>>231、に手を伸ばして、 その幼く小さな頭を大きな手で撫でた。]
僕はね…… 娘のことも、楽しみだけど 君たちのことも楽しみなんだよ。
[それは独り言にすぎないけれど 子供の将来を楽しみにする親の顔をして、 セイルズはそっとチトフの頭から手を下ろす。]
(283) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
[見目がどうあれ年が倍以上違えば>>230、 ”先人”は眩しそうに若い旅人が歩む道を振り返る。>>229
かつて自分が歩んだ道筋に、彼もまたいるのだろうかと。 かつて自分が感じた痛みを、彼も感じてはいないかと。]
(284) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
(まどろむような少しの間でもいい、 飴玉を転がすような心の安寧があればいい。
――僕らはきっと、「 」なしでは生きられない)>>0:495
(285) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
[娘と自分の幸せを願われれば、 軽快に笑って、「ああ」と相槌を打った。]
ありがとう。
"Happily Ever After." 願わくば君たちの御伽の国(ワンダーランド)が 長くありますように。
[天使様のような笑みを浮かべる彼と彼の眷属の前途を もう一度だけ祈って――]
(286) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
[それから数年の時が経って 彼の会社から「トナカイのほっぺ」以外の菓子が出ても
吸血鬼教授はまだ、かの製菓会社の商品を買っているし 彼に出会えば新作の感想を述べたし 講義の途中でその小さな頭が見えはしないかと考える。
時折”子供”のことを話すこともあっただろうか。
生徒であり、子育て仲間であり、 セイルズから見て子供のようでもあり そんなチトフとの不思議な関係は、 今日現在まで、穏やかに続いているはずだ*]
(290) 2019/10/09(Wed) 22時半頃
|
|
―― 回想:何でもない昼下がりの事 ――
[きっと、それは遠い昔の、何でもない昼下がりの事。]
(320) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
|
|
[あらゆる学問の徒に学びの場を与えるリンディン大学は その日は静かな秋晴れの空に包まれていた。
外のカフェテラスで学生達がランチを食んだり 本を捲ったりしている。 石畳からちらちら生えた白い野草を優しい風が撫でている。
現代では完全にカフェとして改装されているその場所で 一人の教授が、一人の医学生の傍に腰掛けた。]
(321) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
|
|
[学生の姓は『アルブレヒト』といったかもしれないし そうではないかもしれない。――些細なことだ。
数十年前か数百年前かもわからぬ昔のこと。 あらゆる学問の徒に学びの場を与えるリンディン大学でさえ 珍しいとされる「吸血鬼」の教授が やはり珍しいといわれた「吸血鬼」の学生と相席した。 それだけのことだった。]
(322) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
|
|
やあ、 席が空いていないんで 隣、いいかい。
[古い本を片手に、眼鏡をかけた教授は笑みを投げかける。 答えがなんであっても彼は座り、少しの間、 その吸血鬼の生徒と同じ時間を過ごした。
お互いの学問のことを話すこともあったかもしれない。 あるいは、吸血鬼について語ることがあったかもしれない。
それら全ては、 白い花を撫でる秋風のようにささやかに過ぎ去る。 昼休みの時間のお終いに、教授は生徒に対して 興味を持ったかのようにこう問いかけた。]
(323) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
|
|
歴史を学び、人に学び、 かくありたい、かく終わりを遂げたい、と思えど なかなか上手くはいかないみたいだ。
僕なんかは、 歴史の中で死んだ彼らよりも ずっと長い時間を生きているのに…… 吸血鬼のくせに、いつも人間のように迷っている。
君はどうだい。 君は、長い時間をかけて、 どんな風に生きてみたいと思う?
[どんな答えが返ったとしても、 教授は「そうか」と頷くことはしただろう。]
(324) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
|
|
[白い花が風に揺られている。 リンディンの鐘が鳴れば、 同じ場に憩っていた人々も吸血鬼も別々の道を歩みだす。
それは遠い昔の、秋晴れの昼下がりの事。
”娘”のために手紙の封をあけた教授が、 何年も昔の記憶の扉を開けて その昼下がりの事を思い出したかどうかは――*]
(325) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
|
|
―― 静かな夜に ――
[今も昔も、願う――願い続けている。 愛するものの笑顔を。ただそれだけを。]
(341) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
[読みふけっていた文献を閉じた。
ライトを消しても、昔のように絵本を閉じる音も 「おやすみなさい」を言うあどけない声もないことに 慣れてしまって随分時間が経つ。
疲れ目を揉んで伸びをし、ベッドに入り込んだ。 まどろんでいたセイルズの耳に、ノックの音が入り込む。]
……なんだい、ミルフィ。 眠れないのかい?
[やはり、明日のことが不安なのか。 セイルズは少しだけ表情を曇らせ、 ミルフィのほうへ振り向こうとして――
その前に、するり、と入ってくるものがある。 セイルズはぱちぱちと眼鏡をはずした目を瞬きさせて 身を寄せてきた娘のつむじを見下ろした。]
(342) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
[ドライヤーをかけて尚少しだけ濡れた髪から、 ふっと、シャンプーのものではない甘い香がする。
大きくなったなあ、という感慨と、 「女」になった娘への多少の動揺を抱えて セイルズは彷徨わせていた手を、彼女の背に添えた。]
この年になっても添い寝が必要かい? ……仕方のない子だ。
[そう囁くと、額に小さくキスを落とした。 それから、とんとんと彼女の背を叩く。 そして絵本を読み聞かせるように、静かに語りだした。]
(343) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
――……パパの夢を聞いてくれるかい。
僕はね……
(嗚呼。 例えばその白いうなじに深く牙を突きたてて 十年来傷つけなかったその肌を暴いたならば)
……ミルフィが、優しい人を好きになって 互いを深く愛して、
(344) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
(首筋を食み体を食み 他の誰にも触れさせた事のない体に触れて こころゆくまで愛することが叶うならば)
ウェディングドレスは白が似合うだろう。 君が晴れ着をきて、青い空の下で 愛する人と挙式を挙げる……
(――――白い肌を赤く染めて、 ただ、自分のものにできたならば、)
僕は新婦の付き添いとして式に出る。 そうして、幸せそうに泣く君を眩しそうに見て こう、言うんだよ。
(345) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
”幸せにおなり” ……って
(その時はじめて、僕はこう言うだろう。)
(346) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
( ”You are mine, my love." )
(347) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
[見下ろしたミルフィの姿がクラリッサのものと重なる。 めまいと頭痛に襲われ、セイルズは奥歯を噛んだ。
首を横に振る。]
( ――ああ、なんて反吐が出る衝動だ。 それ以上ふざけた事を考えてみろ、殺してやる。 畜生にも劣る思考、欲求。 お前に父親を名乗る権利はない! )
[ミルフィの背を撫でる指先が少し震える。 それを隠すように、 セイルズは彼女の体を軽く抱きしめると、 目を閉じ、昔と同じ言葉を呟いた。]
……明日はちゃんと起きるんだよ。ミルフィ。
(348) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
"I'm so happy to be your daddy, my love."
(349) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
|
[何よりも娘として愛している。
――本能にきつく蓋をして**]
(350) 2019/10/10(Thu) 00時半頃
|
1
2
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る