262 【R18】軽率に花見…何でここに薔薇が!?
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[ ――朝日が差し込んでくる。
顔をざらりと撫でる何かが擽ったい。 うっすらと目を開けば、 低木の木の枝に引っ掻かかれたのだとわかる。
漏斗型の特徴的な濃いピンクの花と 新緑が目の前に飛び込んで来て、 そのまま仰げば、桜の樹木が高らかに伸びている。 ]
………ん?
[ 家でもなければ、終電>>@0が間に合わない日に 駆け込むシティホテルの天井でもない。 ]
(1) 2019/03/29(Fri) 23時頃
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[――昨日は確か…。
花見会があって。]
(2) 2019/03/29(Fri) 23時頃
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[ …だが。 此処に桜の樹木は一本だけだ。 噴水も見当たらない。
そして――肌寒い事に気が付く。 何故だろうと上体を起こせば …全裸だった。 ]
(4) 2019/03/29(Fri) 23時半頃
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[ となりの彼も、全裸だった *]
(6) 2019/03/29(Fri) 23時半頃
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[ 自分一人で全裸で寝ていたのなら、 記憶が薄かろうと何であろうとも 即座に服を着用し、近隣のパーキングに停留した 社用車に乗って無言の帰路を目指すだろう。
緑の絨毯の上には会社の制服も散乱している。 誰にこの状況を見つかって 会社に損害を与える問題になっては困るから。 酔い過ぎて家と間違えてこの場に寝転び 脱ぎ散らかしたのだろうと憶測を立てるだろう。 嵩む残業と休日返上の日々で疲れていた、 ビールを数本開けたあとの日本酒が 心地よい酒気から泥酔に誘い込んだ。 経緯だけは、想像がつく。
桜が綺麗だと現実逃避をしそうになったのは、 ――それだけでは無かったから、だ。]
(17) 2019/03/30(Sat) 00時頃
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[ 此処には自分だけではなく、 企画部の中田も寝転がっており>>13 互いに一糸纏わぬ状態であることから>>14 ヌーディストビーチを連想させる。
彼が生まれた国はヌーディズム先進国であり ドナウ川にはヌーディスト河岸があるらしいが モネの絵画の世界に浸るようなナチュラリスト達が 自然の開放感に包まれる目的で楽しむ場所だ。
彼の肌の色が変哲なく馴染める 黄色人種国家の、この国では。 全裸で自然と戯れるような公共機関は無い。
互いにどうしたものだろうと見つめ合い>>15 赤裸々に晒されている彼の身体中に 明らかな鬱血の跡が散っていることも 動揺に拍車をかけたが、 目を見開きはしても、大声までは上げず。 ]
(18) 2019/03/30(Sat) 00時半頃
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………肌寒いはずだ。 日本では、こんな格好で寛ぐことは無いからな。
[ 無論、かの国も決められた区画以外では、 全裸で過ごす習慣など、あるはずも無かろうに。 まして、八年前といえば彼は二十代だろう。 言語の壁に悩んでいた当時を知っているせいか ヌーディストを嗜む環境に居たとはあまり、思えず。 ――春とはいえど、明け方は流石に寒い。
芝生の上に広がっていたジャンパーを手にし 彼の肩にかけようと、添える。 嫌がられれば無理には羽織らせないが。 ]
(22) 2019/03/30(Sat) 00時半頃
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ズッテ……いや、中田くん、 何を……
[ おそらくは、気が動転しているのだろう。>>16 営業職時代に培った体力はいくらか残っているが 自分の裸身は中年腹が出ていない程度で、 お世辞にもモデルのように均整がとれているとはいえない
むしろ、彼のほうこそ――
いや、いつの間にか名前で呼ばれている事に。 部内の一部の職員から呼ばれている彼の渾名を 自分もまた初めて口にしている事に。
(初めて――ではない。
昨夜、彼をそう呼んだ。)
過ごした状況を少しずつ理解してしまう。 ]
(23) 2019/03/30(Sat) 00時半頃
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[ 木の枝におまけ――土をつけられた頬。 彼の手が取り払う事に不思議と。 嫌悪感も、警戒心すらも沸かなかった。
身を寄せ合うことで、更なる違和感を自覚する。 互いの上半身の露出を気にするよりも、 彼の股の間を伝う精液が、 昨晩起こった何事かを、強く示唆していた。 ]
(24) 2019/03/30(Sat) 00時半頃
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……………っ。
[ 情事の最中に付けたのであろう跡や、 もっと分かりやすい痕跡を見つけたことで なんて事をしでかしたのだと頭を振るう。 離婚した妻を思えば、ノーマルな性的嗜好だった筈
だが、今はどうだ。 彼の裸身に同性としての認識だけでなく じっと見つめていると男としての欲求が沸く。 ]
(25) 2019/03/30(Sat) 01時頃
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とにかく――服を。 社用車をパーキングに停めてあるから、 そこで話をしようか。 今の状態で服を着るのは…気持ち悪いだろうが [ つつじの濃い花の色や淡い桜の花弁… 囲む美しい自然に目を奪われる事はなく、 春を咲かせたような、彼の頭髪や顔に視線を戻す。 意識しないと、首から下ばかり凝視しかねない。
幸いにも、部下が社用車を停留した駐車場は 大通りに面していない、穴場だ。 早朝のこの時間なら、 他に車も停まっていない可能性すらある。
彼を人目に触れない安全な場所へ誘う意味だけでなく ――もしかすると、まだ、 足らないのかもしれず ]*
(26) 2019/03/30(Sat) 01時頃
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[ 生粋の日本育ちの自身とは違い、 彼はまだ驚愕と混乱の渦中に居るようだ>>32 互いに一糸まとわぬ格好でありながら 肌を寄せ合う距離に身構える事なく 時折、何かを不安がるような素振りも覗える>>33
野外――ましてや公園で裸であることや ついまじまじと見てしまう此方の視線に 怯ませているのかもしれないと上着を掛ける。
言葉や立ち振る舞いは七年の月日と 自身が彼に日本語を教える切っ掛けがあった事で 大分馴染んだように見受けられるが 服を纏わない青年は何処か自然体で――それこそ。
モネの絵画の一部になってもおかしくないくらい 裸で自然に溶け込んでいるようにも思えた。 ]
(42) 2019/03/30(Sat) 08時半頃
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[ ホイップクリームのように柔らかな巻き毛が 頬に触れ合う距離になった事で首元を擽る。 見た印象だけでなく、実際に柔らかだ。 まるで、彼が大事に抱えているぬいぐるみのよう。
かつて――営業職だった自身が。 ゲームソフトの初回限定特典として 販売店に持ち込んでいた 非売品のキャラクターグッズ。
七年前、発注が多すぎたらしいと 娘にあげたものを、彼にも譲渡したが 今も彼に愛着されている事は昨晩知った。 いや、ぬいぐるみよりもずっと。 春の風を取り込んで、軽くて心地よい触れ心地。 ]
(43) 2019/03/30(Sat) 08時半頃
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[ 仕事とほんの少しの私用を共にした彼の 新たな一面に直面すると共に、 頼る先を探すような様子>>16が 妙に愛らしく思え、自分の感性に困惑し―― ……慌てて咳払いをする。
それに、裸体なだけではなく色事の痕跡は>>34 ほんの数時間前につけられたかのように 鮮明で真新しいものであり。
ガールフレンドと一泊しない限り存在しないものを 自身と共に低木に紛れて一夜を明かした彼が 「身につけている」という事は―― おそらく、そういう事なのだろう。 ]
(44) 2019/03/30(Sat) 08時半頃
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俺が君に…、それは……無いんじゃないか? 異性なら兎も角、俺みたいなおじさんを 抱こうとして勃つような事は、ないだろ。
桜………。 ……そんな事を言われると、照れてしまう。
[ 直ぐに目を反らしたが彼の股の間を伝うものだけでなく 彼自身の痕跡と思われる腹の上の精液も覗えたが 無理矢理に抱いて男で感じさせてしまったのだろうと まだ完全に蘇らない記憶が罪悪感を抱かせる。
しかし、跡を確かめて悪気なく好感を口にする彼に 硬い表情をいくらか紅潮させはしたが 後始末をするのをただ見守るだけではなく ポケットティッシュを制服のポケットから取り出し 全部使用して、彼の腹部を拭こうとも。 一晩を風に晒されていたせいか 乾いて張り付いている分までは落とせなかったけれど ]
(45) 2019/03/30(Sat) 09時頃
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[ それから、木の枝に引っかかっていた下着を履き 上下分かれた制服を着込むことにした。 彼の方が時間を食うのは当然ともいえる。>>35 股の間をハンドタオルで拭う一挙一動すら 淫猥で魅力的な光景のように感じられる。
謝罪や慰め以外の何を口にして良いものやら。 部署が違うだけに―― たまたま居合わせて昼食を共にしたり デザイン企画部と技術開発部を互いに行き交う位だが。
昨晩は長い時間を彼と共有したというのに こんな、取り返しのつかない事をしてしまって。 だが、彼の口から漏れた言葉は、 非難や中傷ではなく、彼からも謝罪が返るくらいだ 君が謝ることじゃないと小さく呟き、 自らの過失を恥じるも ――続く言葉に。
何処か切なそうな申し出に、瞳を丸くする。>>36 ]
(46) 2019/03/30(Sat) 09時頃
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[ 淋しがり屋。 いつの間にか消えてしまうのは嫌だ、 彼の意思には、詰る意図こそ感じられなかったが 縋るような意味を、いくらか想像してしまう
昨晩、まだ彼の所有にあると知ったぬいぐるみが 弄ばれるのを視界に入れながら 渡されたジャンパーを羽織り、ジッパーを閉める。 制服の着用を他者から見て目立たない程度に。 ]
………俺も。 君と一緒に居たいと、思う。
[ それは今の一時に限った話か。 ……教わった言語を無駄にするのを惜しみ、 彼にとっては故郷を懐かしむ旅行へ誘おうとして、 結局は―――一度も口に出来なかった記憶の所為か。 ]
(49) 2019/03/30(Sat) 09時頃
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迷惑じゃないなら。 俺と居れば寂しくないと、思ってくれるなら。
[ 困ったような、照れたような物言いで。 セットが乱れた髪を軽く整えてから 服を着た彼の手を引くように腕を伸ばす。 後ろを歩こうとしていたのは分かっていたが 今は、ほんの僅かな移動時間も 「ひとり」にはしたくなかった。 ]
……社用車は一日くらい借りたままでも 叱られることは、無いだろうから。
俺の家に、行く? 広いバスルームもあるし、貸せる寝室もある。 ……元は、三人暮らしだったからね。
[ シャワーも浴びたいだろう。 ただ、到着まで此方の理性が揺らがないかといえば けしてイエスと胸を張れないから。 ]
(52) 2019/03/30(Sat) 09時頃
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……ズッテル……。
[ 初めて会った時、彼が名乗った渾名を口にし、 隣へ引き寄せた彼の柔らかな巻き毛にキスをする。 歩行中であるし、掠めるようなものだけれど。
すぐに、顔は離し、先を急ぐことにする。 人目を気にしたというよりかは 人目を気にするような場所で 年甲斐もなく甘えそう ――甘やかしそうになったのが、恥ずかしくて。
公園を抜け―― 夜しか営業していない焼肉屋と焼鳥屋の 中間にある駐車場には社用車が一台だけ停車している 車の鍵に付いている遠隔ロックを解除して 自身は運転席に、彼には助手席を勧めよう。 *]
(56) 2019/03/30(Sat) 09時頃
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[ 互いに気まずいばかりの時間だと思えば、 頬の汚れを落としたり腹を拭ったりと>>75 ひとつの企業の職員同士であるにしては 親密感のある距離感が普通になっている。
昨晩何をしたか、どの様に距離を共にしたかが 距離感の狂いの意味を 体現しているのでは無かろうか。>>76
疑いようのない痕跡を始末し、 互いに服を着用した後でも 意識してしまうのなら、只事ではない。 ]
(90) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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[ 顔を合わせるのを迷うのは気まずさよりも 面映いことが理由だなんて、 彼が知ったら、何を思うのだろう。
もう顔も見たくないと嫌がられても 何らおかしいことでは無かった。 この場で走り去られても正常な感覚ですらある。
だが、罵倒も逃走も彼の選択肢に無く まさか、寂しいと思ってくれているなんて。
それはどんな感情から来るものなのだと 彼の深層と自身が抱く感情の 答え合わせをしたい欲求と 聞いたら戻れなくなりそうな不安で 内心せめぎ合いながらも 一先ずは移動と、行き先を提示する。>>77 ]
(91) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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……うん。 じゃあ、行こうか。
[ 彼の家が電車を何本も乗り継ぐくらいに 途方もなく遠いなら理解出来る答えだ。 だが、そうでは無いだろうことを 過去の会話で知っている。
それに、差し出した手は取られて 恋人がそうするように躊躇いなく繋がる。
同性だと分かっているつもりだが 個性的な状態になっている ユーモアなフェイスの猿よりも 彼の方が懐っこさを強く感じる。
離し難いと自覚してしまうくらいに。 向けられた言葉に、>>78 自然と笑みが深くなってしまうほどに。 ]
(92) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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ありがとう。
良かった、嫌がられなくて。 職場以外で君と、こうして……。
[ そこまで言いかけて、何を口にしているのだと 慌てて口を閉ざし、口髭を空いた手で抑えた。 これでは、職場以外でも逢いたかったと 明るみにしているようなものだ。
誤魔化すように顔を横向けかけた時 風に揺れて軽やかに弾む巻き毛が注目を惹き 誘われて顔を寄せれば、花の薫りがした。 不快臭を気にする彼の耳元で、そっと囁く ]
(93) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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[ ――だって。
桜の花弁に好かれる髪だ。>>79 ]
(94) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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[ 自らの言葉に気恥ずかしさが蓄積され 社用車を前にして、慌てて手を離す。 ]
…ごめん。 変なことを言った。
[ どのみち、タクシーと違って 同じ方向から乗り込む訳でもないから。 だが、拒絶では無いと明かすように 先に運転席に乗り込んでから 助手席の窓の外に居る彼に向けて おいで、と口の動きで促そう。
運転前の当然な気遣い。 シートベルトを締めようと手を掛けた時 鼻を鳴らす仕草が目に留まる。 ]
(95) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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あぁ… 俺こそ臭いかもな。 娘にも言われたし。
[ 三十前半の彼には覚えは無いだろうが 小学生の娘にとって中年のうなじは 加齢臭が鼻につくらしく、苦笑を浮かべる。
彼にもシートベルトを勧めなければ。 このセダンに乗った過去が無いのなら 肩の後ろにある位置を教えてやろうとして 助手席側へと身を乗り出す。 ]
ん……?音楽?
[ 打ち明けられた申し出に、瞳を丸くする。 外で過ごしていた寒さもあるだろうに 暖房よりも先ず音楽を聴きたがるところは 仕事熱心なのもあるのだろうけれども 音楽制作に携わる、――彼らしく思え。 彼を横目で見つめる眦が、自然と下がる。 ]
(96) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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いいよ、ラジオでも流そうか。 [ エンジンを入れ、まずは暖房で車内を暖め それからカーステレオの電源を入れようとするも 寒さでいくらか悴んでいた指が DVDの方の電源を入れてしまった。 ] おっと間違え…… ………?!
[ 通常空である筈のDVDプレイヤー。 で、あるのだが、中に入っていたのは、 アダルトDVDのディスクであるようだ。
この社用車が古いから普段誰も使用せず 誰かがこっそり鍵を持ち出して使っていた忘れ物か はたまた、昨日買い出しを任せた部下が 花見の前に使ったのかは解らないけれども 丁度良いところで停止をしていたらしく あられもない声を上げる全裸の女が 背後から突かれる度、画面の中で好がっている ]
(97) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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[ 音楽を聴きたがっていた彼に対し、 とんでもない「音」を聞かせてしまった。 慌てて電源を切り、カーステレオを押す。 ]
一応言っておくけれども、 俺の私物とかでは無いからな。
この社用車を動かすのは 七年ぶりでね。 たぶん、他の職員が使ったんだと……
[ 頗る平静とは言い難い声音で 慌てて言い訳をしてしまうのは、何故だろう。 彼がどんな表情をしているのかが見れない。 ]
(98) 2019/03/30(Sat) 18時頃
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[ パーソナリティが紹介する曲が流れ始める。 ドライブに最適な明るいヒップホップだ。 運転しようとハンドルに手を伸ばすが 俯いた顔が彼の膝を一瞥した。 そういえば、昨晩もこうして隣に座り……。 ]
一応、聞いておきたいんだけど。 君は、異性愛者か?
[ 迷った挙句、核心に触れておくことにする。 ゆうべは――そんな事も確かめず、 彼に夢中になってしまったものだから *]
(99) 2019/03/30(Sat) 18時半頃
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[ 問い返されて、吃ってしまう。>>101 もとより伝えるつもりの無かったことだ。 忘れてほしいと舌を滑らしそうになるが 消えないで欲しいと訴えかける声が>>36 場所を変えた今も耳に滲み渡っている。 今思い返せば、まるで。 彼に失恋の痛みを与えたかのような言葉だ。 言語を繋ぐやり取りはたしかに途絶えたが 彼はもう、日本語も達者だ。
でも――どうだろう。 自分の居住へと誘いかけたのと近しい願望を かつて伝えたいのでは無かったか。 夢を薄れさせた娘では無く、自分が。 彼の故郷に行きたいと。 きっと、ただの観光では無くて 彼を連れて―――…
思考は溶ける。 彼の髪が甘い薫りで誘うのがいけない。 ]
(113) 2019/03/30(Sat) 20時頃
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[ 心まで囚われそうな居心地を 車に乗り込む名目で離れたことで …… なんとか、体裁を保ち、話を区切る。
甘くて、美味しそうで。
金平糖を溶かした、わたあめのような彼。 髪型だけではなく、言葉選びや ぬいぐるみを抱き留める所作すらも 相応しい糖度を秘めた――同性。 ジャンパーの匂いを確かめていたとは知らないが 物心ついた娘に嫌がられても、 彼に喜ばれる体臭なら良いかと自惚れそうだ>>102 ]
嫌じゃないなら、良いんだ。 君にきらわれたら胸にくる。
[ 良い意味ではなくて、きっと落ち込む。 彼は娘でも無ければ異性の恋人でもない でもきっと――、避けられるのは耐えられそうにない ]
(114) 2019/03/30(Sat) 20時頃
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[ 想像していた自己評価を訂正する必要がある。 彼が傷つき、心を歪ませる要因は この世にあってはならないと強く願うくらいに 中田一輝という青年に向ける思慕が重い。
この歳になって、ましてや同性相手に 向けるものとしては相応しくないと自覚もしているが 彼の善性や愛くるしさが侵されることは あってはならないとさえ思う。 そんな彼を穢してしまったことが申し訳なく 同時に、征服欲めいた欲望が――…、 子供のような、独占願望が花を咲かせている。 愚かしく、恥知らずで。 よくない感情だと分かっているのに。
だからこそ、彼を脅かすものを 突きつけてはならないと再度心に留めようとしても 運悪く遭遇させてしまった事に困惑し、 驚きに身構える声に潜む欲求が どろりと溢れ出すようだった。>>103 ]
(115) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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[ 性感を刺激されて悦ぶ女に何を想うか>>104 画面を直ぐに消す判断が遅れたのは 横目で、彼の様子を見守ってしまった所為だ。
こちらにとってもアクシデントでありながら 反応を――甘くて柔らかい彼が。 感じる女と満たす男を見て何を想うのか 酒に溺れた昨晩ではなく、―――今、何を。 ]
まるで、君が感じているような「音」だ。
[ 不埒な感想は、実にちいさく。 淫靡な女優の高い嬌声に紛れるくらい。 だが、紛れもない本心であり
実際に――股間を覆うものが波打ったのを 停止と同時にじっと、見つめてしまった。 彼らしい感想を受ける頃には弁解の方に頭を回し 居心地を整える仕草も目敏く確かめてから>>105 深い溜息をついてしまったが。 ]
(116) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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[ しかし、確かめておく必要がある。 男としてマスターベーションの道具になる映像で 彼が感じ、興奮を見出しているのか。
あるいは――
そうでは無いか、 知りたくて。 ]
…………一度だけ?
[ 魅力的な異性は彼の故郷にも部署にも居るだろうが たった一度だけしか覚えが無いと聞けば 彼の真意を測るように 股間を隠すぬいぐるみから横顔に視線を戻す。 ハンドルも添えてあるだけに過ぎない。 まだアクセルも踏まず、彼の声を――聞いている。 ]
(117) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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[ ―――同性―――… ]
(118) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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[ 聞けば聞くほど、>>106明かされれば明かされるほど まるで自分に言われているような気分になってしまう。 先ほどの、彼は人ではなく妖精か花の化身かと 疑うくらいの魅力的な表情と薫り、――言葉も蘇る
ぬいぐるみに縋る彼は幼気を持て余しており 清廉さと色恋に憧れる乙女の間に居るようだった。 それがとても愛くるしくて。
同時に―― ]
………妬けるな。
それが、俺では無かったら。
[ 大人と自重の単語で押とどめていた欲求が 口髭を揺らして、こぼれ落ちていく。 「なーくん」の意味、彼の縋る場所。 誰が与えて、誰が仲良くすることを望んだのか 恥ずかしい話だが、ぬいぐるみにすら嫉妬しそうだ。 ]
(119) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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………… かず、てる。
[ 苗字ではなく 渾名ではなく 昨晩奏でた名を
独占欲と、願望を隠さずに 彼の耳たぶに顔を近寄せ 甘く噛み付いてから、 ――囁く。 ]
(120) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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[ ……彼は。 抱いた抱かれた関係にある存在の隣で 他の誰かに焦がれていることを告げはしないだろう ましてや、触れられる事を嫌わず 自身と身体を合わせたことに 後悔が無いような口ぶりだった>>76 ]
もし、今の話が俺のことだとしたら 俺は――そんな大仰な男じゃない 君を渡墺に誘おうとして 挫折するような男なんだから。
[ ひとりで道を開けるか、そうでないか。 仕事はチームでやるものであり 転向も会社の助けなくして叶わなかった。 そして。 彼に望もうとした旅行のことだって。 今になって漸く、こうして打ち明ける事が出来た。 それは自分自身の力などではなく。 ]
(121) 2019/03/30(Sat) 20時半頃
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[ 囁きと呼気は彼の耳の中に注がれる。 もう酒気を帯びていないというのに 熱く爛れた息だった。 ]
君は隠せるが、俺はそうじゃない。 ―――ずるいな。
[ 男の膝の上には、ぬいぐるみは無い。 あるのは、隠しようもなくテントだ。 記憶で感じ入る彼を見て熱を持つ怒張を 今も持て余し、反り返らせている。 ぬいぐるみに縋る彼の手を片方剥がして どくりどくりと熱を帯びる足の間へ誘おうか。
君が魅力的な所為だよ、と実直な本心を 彼の柔らかい髪を撫でながら、 困ったように口元を歪ませて伝え。 *]
(122) 2019/03/30(Sat) 21時頃
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