268 オリュース・ロマンスは顔が良い
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─道中─
気紛れで餌やってたら 気が付いたら増えてたっつーか な…
[やけに寄ってくる猫たち>>+19へ、餌を適当にバラ撒きながら歩く。 魚の入ったビニール袋は早い段階で空っぽになったというのに、猫の挨拶は続く。
話し相手になるような友達なんて特にいないし。 勝手に引っ付いて勝手に離れる猫との適当な関係が、居心地良かった。 …その結果がコレだ。]
(+38) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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─マーケット中心部─
なー? 結構難しいだろ?
[同じ結果のヒイラギ>>+21に、決してオレの腕が悪いわけじゃないと主張してみる。 付き合うように遊んでくれるヒイラギは優しい。
缶ビールを片手に歩きながら、ちらりと隣の様子を伺う。 …気になる相手と一緒にマーケットを回る──という夢見たいな事態に舞い上がってしまい、なんだか変にテンションが上がってしまっている自覚は、一応ある。 普段なら子供の遊びだと断じてやろうとも思わない射的や輪投げが、今は妙に楽しく感じてしまうのはそのせいだ。
呆れられていないといい──。 不安をゴクゴクと、ビールで喉の奥に流し込んだ。]
… ン?
[名を呼ばれ>>+22、視線を再び彼の上へ。]
(+39) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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─舶来市─
織物…?
[ヒイラギに案内されたのは、金持ちでないと馴染みがなさそうな布製品が並ぶ店>>+25。刺繍や織り方が凝っているそれらには、機械製ではなく職人の手作りの品だとの手書きの説明が添えられていた。
意外な趣味だな──…という感想に被さるようにして、突然語られた昔話>>+25に。]
……… へエ…
[なんだか神妙な心地になって耳を傾けた。 語る彼から、目が離せなかった。]
(+40) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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[一通り聞き終えてから店頭のショールに指を這わせる。 滑らかで肌触りが良くて…ずっと触っていたくて…
つぅーー と布の端まできて。
指が離れる。
指先に残る感触が、切ない。]
(+41) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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あ、 あア、 そうなのか。 じいさんがまだいるンなら…
[せっかく運んでくれた明るい話題だが、ああそうだった国に戻るのだ彼は…という事実を突きつけられてしまい、なんだか微妙な表情になる。]
……・・・
オレは、
[気になったものを問われ、視線をゆると市場に流す。 しばらく間を置いて、]
……アレ、かな
[店頭に括りつけられた赤い風船を指差す。 舶来市特有のものでもなんでもない、ありふれた市販の風船だ。]
(+42) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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小さい頃によ 風船をもらったンだ。親から。
嬉しくて舞い上がったオレは風船の紐から手を離しちまって… 空を高く、たかく飛んでいきやがるんだ。 だからオレは慌てて追いかけてさ。
その背後で突然悲鳴が聞こえた。 急ブレーキを踏んだタイヤが石畳を擦る耳障りな音も。
振り返って見りゃ──── 大惨事さ。 余所見運転していた車に巻き込まれて 親が血ィ流してブッ倒れてた。
[もうすっかり風化した記憶だった。 語る言葉は淡々と乾いて。]
(+43) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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あとで顔も知らねェヤツに言われたよ。 『風船のおかげであなただけ助かったのね』ッて。
…どーーーうだかな。
[あの日に独り残され生きる方が、 シアワセだったのか。どうか。]
気紛れな風船は空高く消えちまった。 それっきり。そんなオハナシ。
[ヒイラギに向き直って、少し苦笑してみせた。]
アンタの話を聞いたら思い出しちまった。 すっかり忘れてたのによ。
(+44) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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─朝方─
[気が付けば空が白み始めていた。 流星を店仕舞いした空は、朝の装いに着替えて新しい週を始めようと伸びをしている。
名を呼ばれる。 立ち止まる。 こんなことを、今宵何度繰り返したか。]
オレの方こそ…
ヒイラギと一緒に回れて 楽しかった。
(+45) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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あーーーー そういやァ そうだな…
[言われて>>+28気づいた。 確かに、全然星を見上げなかった。 地上で輝く隣ばかりに目を奪われていたから。]
来週…
[また一緒に会おうと。 誘われて、…彼も同じ気持ちでいてくれたのかと、嬉しくて。心の奥が震える。]
いーぜ。 …オレも、また行きたいって思ってた。
[定職についていない自分にとって、時間などあってないようなものだ。 相手の懸念には気づかない侭。]
(+46) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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じゃア 来週の同じ時間に また。
[次の約束をして別れる─── そのことが今は嬉しかった。**]
(+47) 2019/08/03(Sat) 16時半頃
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─幕間・3週目の平日─
[路面電車の停留所の傍で、いつものように観光客を物色しながら。]
なァんか 気がノらねえな……
[人差し指でとんとん、と。 ポケットに突っ込んだ指先を遊ばせる。
他人様の金を非合法にいただくことに、今まで罪悪感を抱いたことはなかった。 間抜けな方が悪い。 金は天下の回りもの。 不幸は油断してるヤツに忍び寄るもんだと。
かつては…働いてみたこともあったのだ。これでも一応。 ただいつも続かなくて…一度手をつけたスリが性にあったし実入りも良かった。生業にしたきっかけなんて些細なものだ。]
(+48) 2019/08/03(Sat) 18時半頃
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[それなのに。]
……………くそッ
[ヒイラギの顔が脳裏にちらつく。 真っ当に生きている青年の隣に、汚れた自分が居ることが、ひどく罪深いことのように思えて。]
あーーーー… あちィ。
[結局なにをするでもなく。 白壁に反射して強さを増した照りつける日差しの眩しさを理由にして、その場を退散した。**]
(+49) 2019/08/03(Sat) 18時半頃
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─店の裏手─
[ペルセウス・マーケット3週目。 この日は海の寝どこ亭には顔を出さず、直接0時過ぎに店の裏手に行った。]
… よゥ。
[顔を見つければ挨拶代わりに緩く手を挙げる。
気恥ずかしさと、気後れと。 嬉しさと、申し訳なさと。
約束通り会えたのは嬉しい。…でも。 熱に浮かされたまま勢いで手を繋げた先週とは違い。 冷却期間が置かれた分──自分と相手の立ち居地の違いを、どうしても意識してしまったから。*]
(+58) 2019/08/04(Sun) 00時頃
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─2週目・舶来市─
なんで。
謝る必要なンてないだろ。
[浮かんだ苦笑に自嘲が滲む。 自分が勝手に思い出したのだ。
同じ親が居ない境遇でも随分違う生き方してきたな、って… それだけ。]
アンタの家族の話とかさ 聞けたの楽しかったぜ。
[そう言って、この話題はオシマイにした。
言葉少なに終わりかけのマーケットを歩く。 沈黙が、やがて朝を連れて来た。*]
(+88) 2019/08/04(Sun) 03時半頃
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─3週目・店の裏手─
あッ そのぬいぐるみ…
[相手のリュックのファスナーにぶら下がっている見覚えのあるクマ>>+79が、まず目に飛び込んできた。
渡した時は仕方ないなって素振りで受け取っていたので、まさか身につけているとは思わず。 驚きが口をつく。]
あーーー 別に無理して使わなくてもよ…
[間抜けでのんきな顔のクマのぬいぐるみは、どう考えてもリュックとの比率がおかしい。]
(+89) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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[でも、 出店の景品とはいえ自分がプレゼントしたものを、ヒイラギが使ってくれているのは嬉しかった。 その気持ちを素直に伝えるのは気恥ずかしくて出来ないから、]
…まァ、その
似合ってるンじゃねェの。割と。
[くしゃりと髪をかきあげながら、笑顔と困惑の中間顔で感想を述べた。]
(+90) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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いや…忙しいッつーか、 うン…
[なんとも歯切れの悪い返事だ。 自覚はあるが、理由を全部さらけ出す訳にもいかない。
今日は向こうから差し出された手>>+83を]
………
[少し躊躇ってから、 握り返す。]
(+91) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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あァ。今日は星を見に行くンだったな。
[空を見上げるのに座席は要らない。街の何処でも流星を探すことは出来る。 ただ騒がしい場所よりも静かな方が…ゆっくり星を探すのに向いているように思えたから。]
ンーーーー…
マーケットじゃねェけどよ、 星が見える いー場所があるンだ。
[行こうぜ、と誘った。
並んで歩けば、道中はやっぱり猫の挨拶に見舞われた。 今日は魚入りビニール袋を持っていなかったというのに。 餌がなくフギャーと不満そうに鳴かれたので、明日な、と流しておいた。]
(+92) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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[しばらく石畳の路地を進んで。 一見、袋小路めいた場所の──奥を目指す。]
まーァ、 見てなって。
[積んであった木箱をひょいと身軽に登る。 次いでヒイラギを手招きし、登るのが大変そうであれば手を貸した。]
そんでこの壁のくぼみに足の爪先を引っ掛けて 身体を持ち上げて あっちの突起を掴んで…
そう、そっち。 ほォら頑張れ。あとちょっと。
[それは猫と付き合う内に憶えたルート。夜空近くへと続く道。]
(+93) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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[登って、登って。
ヒトの背丈も、路地を覆っていた家の壁の高さも越えて。
暗い空に瞬く星々が。 広く、視界いっぱいに溢れる瞬間。]
(+94) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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ヒイラギ、
…──── 着いたぜ。
[オレンジ色の屋根の上。
普段は見上げるだけの筈の、その場所は。 何も遮るもののない…流星群の特等席。]
ここに寝転がってさ。 空を見るの、好きなンだ。
[そう言って。言葉の通りゴロンと仰向けに寝転がった。**]
(+95) 2019/08/04(Sun) 04時頃
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─屋根の上─
[息を呑んで驚く相手の様子に、ふふんと得意気に鼻を鳴らした。 普通に暮らしているニンゲンが屋根に登るなんて稀だろう。
その顔>>+99が見れただけでも連れてきて良かった──と思う。]
だろ? 見飽きないッつーか さ。
[満天の星夜に包まれる。 街の喧騒は遠く、微かで。 隣の息遣いだけが傍に在る。]
それに展望台やら何やらと違って 場所代0でタダってのもいい。
[定期的な収入が確約されていないスリ稼業なので、無駄金は使わない主義だ。]
(+105) 2019/08/04(Sun) 15時半頃
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[地上より涼やかな風が、頬を撫でて過ぎてゆく。 身じろぎする衣擦れ音>>+100に応じるように、同じく寝転がったままヒイラギの方へ顔を向けた。]
クハッ、 そりゃいーや ヒトといるよか猫といる方が多いかもしれねェし。
[猫の首魁の正体は猫人間でした──なんて。 そんな冗談もアリかもしれない。
暗がりにほんのり浮かぶ彼の横顔を。 嗚呼やっぱ綺麗だな、って… ぼんやり眺めていたら仰向けの格好に戻られてしまった。]
ン。
あァ、綺麗…… だな。
[星も。…彼も。]
(+106) 2019/08/04(Sun) 15時半頃
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[自分も仰向けに戻って、再び夜空を見上げる。 マーケット初日よりも流星は増えたが、いざ探すと案外降ってこないものだ。物欲センサーというやつかもしれない。
でも構わなかった。 流れる星を待つ時間の分、二人きりでいられるから。]
こんな風にペルセウス・マーケットを過ごしたの 初めてかもしンねェ。
[ぽつり呟いて。]
(+107) 2019/08/04(Sun) 15時半頃
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[二人きりの天体観測の時間は。 …鼓動が次第に制御を失って、時間とともに早くなる。
嗚呼。
星は、星は、星は…────]
(+108) 2019/08/04(Sun) 15時半頃
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[あっ、と呟いたのはどちらだったか。 一筋の白い線を天上に描いて、星の光が流れ落ちる。]
……
流れ星 見えたな。
[待っていたものが得られた時の、ふっと肩の力が抜けた心地で、表情を弛緩させる。 詰めていた息を吐いて、ゆっくりと。横たわったまま身体を隣に向けた。 彼の顔が、すぐ近く。]
なァ なンかお願いでもした?
[そのくせ視線を合わせづらくて。 一瞬ちらとヒイラギの顔を伺ったあと、眼差しを絡ませ続ける代わりに彼の柔らかそうな薄い唇を眺めながら訊いた。**]
(+109) 2019/08/04(Sun) 15時半頃
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