270 「 」に至る病
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[私が欲しかったのは
返して欲しかったのは、家族。 おとうさん、おかあさん
お兄ちゃん
お兄ちゃん、じゃなきゃ お兄ちゃんじゃ ないのに
私が、あんなこといったからだ。
白い犬のアリスを抱きしめて、 消えてしまった命を想う]
(4) 2019/10/08(Tue) 08時頃
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ぃ……ぅ (ちとふ)
[毛布のなか、燃え盛る炎の夢をみた夜。 一緒に、そばにいてくれたのは彼だった。
おとうさんとも、おかあさんともちがう 髪に、額に触れる小さい柔らかなくちづけは
涙を拭うそのちいさな指は、 家族の誰とも違ったけれど
私のこころをゆっくりほぐしていく]
(5) 2019/10/08(Tue) 08時頃
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い (っしょ) に い (て)
[ぎゅって、抱きついた。 きっと抱きしめ返してくれていた。
出ない声を、 取り戻そうとするのは きっとあなたのために。
ありがとうをつたえたくて、一緒にいたいって伝えたくて 小さな身体に一生懸命力をこめた。
私はきっと]
(6) 2019/10/08(Tue) 08時頃
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[君の思惑どおり。
そんなことも、気づくことなく。
ゆっくりこころを、言葉を取り戻していく。 大好きな、君。
私が大人になって 一緒の毛布で眠る必要がなくなっても それは、変わらないよ]
(7) 2019/10/08(Tue) 08時半頃
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――何度目かのクリスマス――
[クリスマスの日は会社までお休みにしてまで お誕生日をお祝いしてくれる。
どうしてそこまで。 そう、おもった。
クリスマスは嫌ことを思い出す。 だから好きじゃ、なくなったけれど
みんなが喜んでくれるなら、って 綺麗なかざりと笑い声に混ざって
心の中で泣いていた。]
(10) 2019/10/08(Tue) 12時半頃
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[夜。 良い子はサンタさんを待って眠りにつく頃。 ベッドの中で一人泣いてるのを知られたくなくて チトフくんの声がきこえても>>0:521 眠ってるフリをするとっても悪い子だったかもしれない。
でも、]
(11) 2019/10/08(Tue) 12時半頃
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[枕元で聞こえるその声は いつもの愛らしくて元気な声じゃない。
怯えるみたいに、迷子みたいに。]
チトフ……くん?
[ベッドの中、眼鏡なしじゃちゃんとよく見えなかったから おいでって手を広げる。
ちいさなころ、君がしてくれたみたいに。 腕の中にすっぽり埋めてしまった男の子は 私より年上かもしれない、けれど
思ったより、小さく感じたのは 私が大人になったから?]
(12) 2019/10/08(Tue) 12時半頃
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[ふたりの孤独が身を寄せあって ひとつの毛布の中。
ゆっくり君の頭を撫でてみる。 前にそうしてくれたように て、髪に、額に、愛おしむように優しくキスをして
目の前の2つの瑠璃色を覗き込んで 優しく、柔らかく微笑んで。]
お誕生日、ありがとう。 メリークリスマス。チトフくん
私、おねえさんになっちゃったけど わたしを、あげる。
(16) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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けんぞく、っていうのになれば 私はずっと、一緒に居られるんでしょ?
[それは、誰に聞いたんだったかな。 そんなこと、今はなんだっていいや。
どうやってなるのかも、これからどうなるかも分からない。 怖くないっていったら嘘になる。
でもそれが、君のために、できることならば、って。 頬に手で触れて。
一緒に泣きながら、微笑むんだ]**
(19) 2019/10/08(Tue) 13時頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 13時頃
読書家 ケイトは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 22時頃
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― 眷属になった日―
[ わたしをあげる”
今思えば結婚の申し込みにも良く似た文字の羅列。 けれど、あの時の私はそんな事も頭になくて
君の寂しいが、悲しいが どこかへとんでいけばって
そればっかりで ]
(171) 2019/10/09(Wed) 01時頃
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[ ―――計画通り? 兎は、罠に堕ちた事すら 知らない。 ]
(172) 2019/10/09(Wed) 01時頃
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……私と、一緒に生きて。
[家族は還らない。 本当の家族は、もういないけれど
新しい「大切」を護るためなら
きみが わらってくれるなら
ねえ、きっと、怖くない]
[ベッドの中、見つめ合って 眷属になる儀式がいま、始まる]
(173) 2019/10/09(Wed) 01時頃
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痛いの? わ、わかった。 ……覚悟、する
[血を飲むって事は どこかから血を流さなければならない。 血を流すって事は、傷をつけなきゃ流れない。
傷つくって事は、痛い。 どうやって傷つけるの? 首筋に触れる手。 少し不安げに赤色のふたつが揺れて見つめ
ぎゅっと、シーツを握りしめた]
(174) 2019/10/09(Wed) 01時頃
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……ひぁ……んっ
[首筋に突き立てられた牙に 揺れていた瞳から一筋が流れ落ちれば
堪えきれずに、その小さな身体にしがみ付く。
その刺激は、痛みは
何物にも代えがたいほどに、
酷く、甘く。
それがどれほどの時間が経っていたか 私には解らない。
少しだけ零れた血が、シーツに小さな赤い染みを創る。]
(175) 2019/10/09(Wed) 01時半頃
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……私、これで
なれ、た?
[頭がふわふわするのは、きっと血を抜かれたから? ぼんやりする意識の中、落ちそうになる瞼はそのままに。
抱きしめたのか、抱きしめられたのか。 初めての夜の帳は落ちていく]
(176) 2019/10/09(Wed) 01時半頃
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(……アリス?)
[瞼が落ちる前 確かに"私"を呼んだその声。>>110
よく聞きなれた、耳馴染みのよいその音は
けれどそれは 私の、名前じゃ、ない。
でもそんなこともすぐに 微睡みの中に消えてゆく――*]
(211) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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―― 或る日の事 ――
[首筋に突き立てられる牙。 日に日に、その甘い猛毒に絡め取られていくように。
あなたにはわたしがひつようで わたしがあなたの糧となる多幸感と
ふわふわ、血がなくなる浮遊感
それは私しか知らない、麻薬のような]
(212) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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[朝食中、きちんと秘書らしく 今日のスケジュールを確認しながら、主人の言葉に耳を傾ける]
おつかい……
行かなきゃ、だめ?
[グスタフ先生の事は全く知らない訳ではないけれど。 チトフと家族になった日以来、敷地から一人で出ることなんて ほとんどなかったかもしれない。
犬のアリスのお散歩も、 外へ出たがるアリスを懸命に窘めて 広い敷地の中だけで済ませてる。
土産の品を持つことは良い>>132 けれど]
(213) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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[お小遣いを握らされた顔は 困惑しているのはどんな人にだって分かるほどに]
要らない……。 欲しいもの、今は無いよ。
[どうしても、って言われるのならば 納めることになるのだろうけれど そうじゃないのならば返してる。
どちらにせよ、今は 久々の外出に必要な準備をしなければ。
これは、お仕事ではないかもしれないけれど それでも私はホワイトラビットの社長秘書。 社長の居ない場であっても失礼があってはならない]
(215) 2019/10/09(Wed) 04時頃
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[私の姿と良く似た女の子は 憎しみと、苦しみと そして羨望の眼差しを遺して、私に「眷属」を教えた。]
私が居なくなったら あの子が、眷属になるのかな……?
[首筋にはまだ彼が残した痕がある。 そっと触れれば、なんだか疼くよう。
……流石の私も、もう気づいてる。 君は私を"ケイト"と呼ばなくなったこと。]
(216) 2019/10/09(Wed) 04時半頃
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[あの子達と同じ、"アリス"の名で呼ぶ事を]
(217) 2019/10/09(Wed) 04時半頃
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[ごちそうさまを告げて、ダイニングは先に出る。 自分にあてがわれた部屋 机の上に先生への贈呈品を置く。 写真たての中には新聞記事。
あの日、何もかも燃えてしまったから 家族の写真すら残っていない。]
お洋服、選ばないと
[放つ言葉とは裏腹に ベッドの中へと沈みこんだ**]
(218) 2019/10/09(Wed) 04時半頃
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―― 声を失った少女の話 ――
[ 虚ろな少女がアルブレヒト医院へ 小さな友人に手を引かれやってきたとて>>0:499
長い永い時を過ごす医師の記憶の片隅に 果たして残っているかは、少女の知る事ではなかったけれど それは確かに、 カルテの中のひとつに、その名は刻まれているかもしれない。]
…………、
[そしてその名が、"ケイト"であったか。 "アリス"であったか。
それも、少女が知ることではないのかもしれない。]
(254) 2019/10/09(Wed) 20時頃
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[まだ、愛らしい白兎が 人の在り方を理解していない頃の話>>0:514
見目は綺麗に整えられていても まともに食事を受け付けない身体は 影響をうけ、肌も荒れが見受けられるような。]
……( )
[2人が話しているのとは別の場所か。それとも。
声を失った少女は声の代わり、絵を描く。 お世辞にも上手いと言えないそれは
炎をまとう家の絵を。 黒色の人の影のような絵を。]
(258) 2019/10/09(Wed) 21時頃
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[そんな1人の患者が居たことを。
かのひとが、もしくはそれを手伝う白の少年が>>0:629
覚えていたかは、
いまの私が、知る事では
やっぱり、無いのだけれど。*]
(259) 2019/10/09(Wed) 21時頃
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[沈んだベッドの上で>>218 おつかいの行き先に思いを馳せながら
――そういえば、今朝 ちゃんとご馳走さま、言ってなかった事を思い出す。
今日の朝ごはんの不満点と言えば 嫌いなピーマンがサラダに添えてあった事だったけど
甘いオムレツは嫌いじゃなかった。 美味しいねって、ちゃんとお返事できてなかった。]
(260) 2019/10/09(Wed) 21時頃
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チトフ……くん、悲しかったかな
[おかあさんの料理の味を忘れそうになるくらい ここでのお食事は美味しい。
最初でこそ、蜂蜜パンケーキやショートケーキ クリームブリュレのような甘いものばかり並んだっけ]
(261) 2019/10/09(Wed) 21時半頃
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