268 オリュース・ロマンスは顔が良い
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[デリバリーを受け取る時] [マネークリップのまま渡そうとしているのを見て>>5:97] [うわあ、って思った] [この人、他人を疑うことを知っているのだろうかと]
[マネークリップを受け取った配達員を] [ネコババしたらわかってんだろうなって] [じーっと見ていたけれど] [変にだまし取ったりしてなさそうだった]
[配達員が立ち去ってから]
それ、そのまま持っていかれたらどうすんすか
[あの時もそうだったけど…] [危なっかしくて心配になる]
(10) Cadenza 2019/08/07(Wed) 01時半頃
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[料理をテーブルへ一緒に運んで] [保温ケースに入ったデザートは] [ソッコー冷凍庫へ] [食べる直前まで冷凍庫にって書いてあったから]
[デザートの他に頼んだものは] [軽いものばかりだ] [キッチンの戸棚からボトルを一本取り出して]
…お酒、飲みます? あんまいいやつじゃないと思うけど。
[怪我は?] [こういうのって雰囲気が大事じゃん] [ダメって言われたら、おとなしく仕舞うし] [OKが出れば、新しいグラスを2つ持っていく]
(11) Cadenza 2019/08/07(Wed) 01時半頃
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[そうして]
…………(あれ)
[テーブルに皿を置く素手に気がついた] [本人が意識したら戻ってしまうかもしれないと] [敢えて黙って見つつ、小さく笑う] [こうやって、ちょっとずつ慣れていけたらいいのに]
[……って、俺保護者じゃねえし] [微妙に憮然とした顔になった時]
へ? あ、いいっすよ。
[触れてもいいかと聞かれて、頷いた] [着たままだったパーカーの脇に触れる指]
(12) Cadenza 2019/08/07(Wed) 01時半頃
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それくらいじゃ痛くないから。 もっとベタって触っても大丈夫っすよ。
[触りたいと思う気持ちは止めはしない] [それどころか、もっと、触れてもいいとすら]
[塞がった傷口の奥で疼く脈動が生む熱は] [傷を伝って皮膚の表面へと漏れ滲んでいる] [パーカーの上からではわからぬが] [薄いガーゼ越しならば、きっと――*]
(13) Cadenza 2019/08/07(Wed) 01時半頃
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[触りたいのなら、もっと触っていい] [パーカーの上から、下へ移る指の動きに] [そっと息を呑む]
[気を悪くしないで欲しい>>19] [なんて前置きに] [今更何をと小首を傾げた]
知恵熱? …たぶん。
[思考を辿るような言葉] [何考えてるのか全然わからない人だったのに] [急に胸の内を晒されて] [心がざわざわする] [待って] [ちょっと、待って] [それって、まさか]
[――しかし]
(62) Cadenza 2019/08/07(Wed) 23時頃
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――――では?
[まさかの疑問形>>-118] [頭の中だけでズッコけたが] [茶化しているわけではなくて]
[つまり?] [俺のことが、好きかもしれないけど] [確証がなくて知恵熱出す勢いでぐるぐるしてる] [……ってことだよな]
[わかった] [えっと――]
[口にする言葉を考えかけたら] [ドキッとさせられるかもしれないのにと] [悩み顔>>21]
[ちょっと、これ……、は] [ああ、ダメだ]
(63) Cadenza 2019/08/07(Wed) 23時頃
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[Tシャツの上から触れる彼の手] [その上から、己の手をそっと重ねて]
俺を、ドキっとさせて…その後は?
[苦悩の表情を、見つめる]
そんなことしなくたって、 俺、今すげードキドキしてるし。
[重ねた手で彼の手を優しく掴んで] [己の胸の上へ]
……わかる? 驚いて心臓が飛び出そうになってる。
[本当に、驚いた]
俺のことでそんなに悩んでたなんて。 なんか、嬉しいな。
(64) Cadenza 2019/08/07(Wed) 23時頃
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ザーゴさんとさ、 初めて会った時は顔よくわからなかったし 二度目に会った時も変なことになったから 本当に好きな顔だったか疑ってたんだよね。
でも、ホテルに絵を届けた時に やっぱり好きな顔だなって思ったし 刺されて気が遠くなった時も 顔が見たいって、思った。
だから、俺は… ザーゴさんがこの街にいる間だけでも 会えたらいいって、そう思ってた。
[結局は去ってしまう人なのだし] [生きる世界が違いすぎるし] [己がどう足掻いたところで] [引き止めることなんて出来ないって]
(65) Cadenza 2019/08/07(Wed) 23時頃
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俺は……そうだな。 もっともっと知りたいって思ってるよ。 ザーゴさんのこと。
[それはそれで] [色々違いが見えてしまいそうだけど] [それでも、知らないよりはずっといい]
なんでだろう。 やっぱ、こうして傍にいたいからなんだろうな。
だからさ 助手の話は前向きに考えさせてもらえたら 嬉しいって思ってるんだ。
見習いじゃなくて、一人前になれるように これからでも色々教えて欲しいな。
[胸に当てていた手をまた握ると] [顔を寄せ、指先に口づけた*]
(66) Cadenza 2019/08/07(Wed) 23時頃
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[きっと、自分から彼の手を取ったのは] [初めてだっただろう] [病室で頬に触れた時も] [初めは触ろうとしなかった気がする]
[なんだか、タブーを犯している気分だ] [触れたら壊れてしまうのでは] [いつか抱いた印象は今もそう変わっていない] [触れたところから穢してしまうのではないか] [思ってはいるけれど] [―――彼の温度が、しみるようで離せない]
[傍にいたいのは恋愛感情では>>76] [聞こえ、途切れた言葉に] [指先に口づけたまま、目を細め] [さあ、どうかな] [表情ではぐらかした]
(86) Cadenza 2019/08/08(Thu) 03時半頃
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[嫌いなものや過去ではなく] [彼が知って欲しいことは――] [前向きで、ポジティブな部分と] [彼のこの先>>77]
俺が変えちゃっていいの? …わーお、大胆。
[それを受けれいてしまえば] [きっと己の未来も変わる] [それは予感よりもずっと強い確信] [思案するかのように、一度目を閉じる]
[それでも] [この手は、離してはいけない] [そんな気がするんだ]
(87) Cadenza 2019/08/08(Thu) 03時半頃
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[目を開くと、彼の顔がすぐ前に迫っていて] [思わず数回またたいた]
[鼻先が触れる] [もう、整った顔へ焦点が合わない]
……ええ。 いいですよ。
[問い>>-316に答えた唇が、彼のそれに触れる] [乾いた感触を感じたのと]
――――っ。
[薄く開かれた隙間をこじ開けたのと] [どっちが先だったろうか]
(88) Cadenza 2019/08/08(Thu) 03時半頃
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[握ったままだった手を引き寄せて] [反対の手を背に回す] [裸の背中を抱き寄せれば] [今まで遠かった熱は腕の中]
[唇を離す] [でも、話せばまだ触れてしまうくらい]
……ずっと、こうしたかった。
俺とは違う、白い肌と
[頬に口付け]
この、瞳に
[瞼に、口付けて]
(89) Cadenza 2019/08/08(Thu) 03時半頃
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えっ、あ。 ごめん。
[きつい>>100に、抱き寄せる手を緩める] [そうだった] [忘れていた] [でも、完全に離れたら落ちてしまいそうで] [背中から手はなすことはしなかった]
[ふつうの人は、>>101]
…する、かも?
[慣れていないとわかっていて違う答えを返した] [だって、俺はするから]
[あれ] [このまま俺の好みを教えていったら] [どうなるんだ?] [ふと沸いた邪な思考にぞくりとした]
(103) Cadenza 2019/08/08(Thu) 20時頃
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あ、ああ。うん。 そう、だね。
[わずかの沈黙の後] [運ばれた食べる前だったことを思い出す] [危なかった] [あらぬ方向に進んでしまいそうだった] [いいタイミングだとばかりにテーブルへ視線を逸らして]
……っ
[背中を伝う指に息を止めれば] [再び重なる唇]
[なんだ、これ] [ちょっとくらくらする] [まるで全身の血が引いていくような…]
[あっ待ってこの感覚はアレなやつ] [待て血液、そっちに流れちゃダメ絶対!!]
(104) Cadenza 2019/08/08(Thu) 20時頃
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お、お酒!飲みましょ、ね! デザートもあるし!
[急に余所余所しい態度で体を離すと] [キッチンの方へ行って] [冷凍庫からクラッシュアイスを持ってくる]
[用意したグラスに氷を入れると] [白ワインのボトルの封を切って、注いでいく] [いわゆる、かち割りワイン] [甘口ワインだから、ちょうどいいはずだ]
[どうぞ、ってグラスを差し出して]
……あ、いや。 キスすんの、嫌ってことじゃないんすよ。 ないです。 [むしろ好き] [大好きなんデス]
(105) Cadenza 2019/08/08(Thu) 20時頃
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[しかし、ことらお腹に傷があるだけの健康な男子] [体があらぬ反応を催しかけては引くしかない]
[グラス半分くらいを一気に流し込んで] [冷えたワインが体の内側から熱を鎮めていくのに] [危なかったと大きく息をついた]
…ザーゴさん、大丈夫だった? 俺、結構強くべたべた触っちゃたから。
[触って大丈夫なのは俺だけなんでしょ?] [なんて余裕ぶった言い方をしたこともあったけど] [どんな接し方をしても大丈夫だとは思ってない]
[性急な接触をしてしまった自覚はあるし] [大丈夫かな、と顔を覗き込んだ**]
(106) Cadenza 2019/08/08(Thu) 20時頃
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[顔を覗き込んで見えたのは不意に帯びる羞恥の色]
[へえ] [こんな顔もするんだ] [また一つ、見えた初めての表情と] [着替えのシャツを羽織る様子にくすりと笑って] [ワインと一緒に氷をひとかけ口に含んだ]
[キスは嫌じゃない>>115] [汗ばんだままシャツを着たのにも驚いたけれど] [そこも厭わなかったほうが驚いた] […んだけど]
(142) Cadenza 2019/08/09(Fri) 01時頃
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な、泣く?? な、なんで
[いやまてよ] [前にも泣きそうってどっかでも言ってた…] [その時も大丈夫そうじゃなかったし] [じゃあ今も…大丈夫じゃないじゃん]
……あぁ、やりすぎたっすね。 ごめんなさい。
[そこは俺が悪い] [反省できる子のつもりだ]
(143) Cadenza 2019/08/09(Fri) 01時頃
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[何故か余るスモークサーモン] [オードブルのクラッカーとチーズに乗せて] [ぱくり]
[かち割りのワインもグラス二杯空けて] [小腹も満ちたし] [昂りも落ち着いたし] [そろそろデザートを出す頃だろうか]
[よいしょ、と立ち上がると] [いつもの調子に戻った彼が] [これからの事を話し始める>>117]
え…と、ちょと急っすね。
[整理しなければいけないことが] [まだいくつもあるし、傷も全快してない]
(144) Cadenza 2019/08/09(Fri) 01時頃
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[いや、こまけーことはなんとかなる] [最後まで迷惑なやつだと言われるかもだけど] [それでも] [天秤にかけたら大事なのはそっちじゃない]
でも、いいっすよ。 お供、させてください。
[なんていうと怒られるかもしれないけど] [荷造りに荷物持ちだし、旅費もお任せだし] [やっぱり、そう言うのがしっくり来る]
俺が傷が痛くて困ったら、キスしてくれます? そしたらきっと痛いの治るし、労ってもらえるし。
[ね?] [いいでしょ?って首を傾げて問いかけた] [合法的にキスをねだるいい作戦] [俺って天才かもしれない?!]
(145) Cadenza 2019/08/09(Fri) 01時頃
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[それから、再びキッチンへ向かい] [冷凍庫から、保温…保冷ケースを取り出した] [中身は器と、種類別に分かれた中身] [つまり、完成品じゃない、だと?!]
[盛り付け方の説明書きと] [いつも店で食べている実物の記憶を頼りに] [器の底にシロップ漬けのフルーツ] [その上にアイスと] [冷凍フルーツと氷を一緒にマシーンにかけたかき氷] [最後に数種類のフレッシュフルーツを盛って] [凍った生クリームとシロップ漬けのチェリーを乗せて]
[こんな感じだったかな] [もっと見栄え良かったよーな…] [やり直す?] [いや今更無理、解けちゃう]
(146) Cadenza 2019/08/09(Fri) 01時頃
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[ホイップクリームが解けかけてからが食べ時だが] [その間に氷が溶けるから難しい]
[一緒に入っていたロングスプーンを持って] [急いでソファの方へ運ぶ]
はいはい、できましたよ。 お店で食べるともっと立派なんすけどねー
[見た目はよくないけど、味は同じはずなんで!*]
(147) Cadenza 2019/08/09(Fri) 01時頃
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[こんなんじゃなかったはず、なパフェを] [立派で美しいって>>-649] [スプーンを持つ彼に、こくこくと頷いて]
食べないと解けちゃうっすよ。
[いちおー急いで盛り付けたからね] [解けないうちに食べて欲しいじゃん]
[自分といえば] [氷やアイスを掬って食べるところ] [マスカットを口に放り込むところ] [パフェを食べてるところを眺めて] [漏れた感想に]
んふ、でしょー。 俺のまごころも入ってるっすからね
[とか言って笑ってた] [もちろん、眺めてるだけじゃなくて一緒に食べました]
(166) Cadenza 2019/08/09(Fri) 19時頃
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はー、うまかった。 今日もごちそうさまっした。
[お金出してもらったからにはお礼はちゃんと言います] [空いた入れ物や皿をキッチンへ持って行って] [戻ってくると、なにやら改まった感じ?>>156]
あ、謝ったってそんな
[なんだかこっちの方が慌ててしまう] [もっと、軽く捉えてもらっていいのに、と] [――だけど]
えっ
[労いのキス?>>158] [それは、傷が痛いときで…] [言おうとしたら、困ってなくても抱きしめたい、と]
(167) Cadenza 2019/08/09(Fri) 19時頃
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[待って] [その先の言葉を制止しようとした手が] [今までの彼らしくないド直球の言葉を受けて] [へなへなと力なく垂れ下がった]
――――――――――。
[整理がつかない] [頭の中が茹ってしゅうしゅう湯気を立ててる] [でも一つだけ、はっきり言えることは] [この顔がめろめろになるなんてご褒美すぎるってこと!]
(168) Cadenza 2019/08/09(Fri) 19時頃
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いいですよ。 めろめろに、なっても。 てか、……させたい。
[隣に座る彼に手を伸ばす] [顔を覆っている手を解いて] [代わりに己の手を彼の頬に触れさせた]
俺も、今のでいろいろぶっ飛んじゃいました。
[恋愛に至らないもどかしさとか] [触れる事への躊躇いとか] [今まで抑え込んでいたものが全部]
[好意と恋愛感情を隔てていたナニカも] [一緒にぶっ飛んで行ってしまったなら] [押し寄せる感情に流されるだけだ]
(169) Cadenza 2019/08/09(Fri) 19時頃
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―――――。
[まだ、心臓が煩い] [すぐ傍の温度と、息遣いに] [そっと胸をなでおろした]
[わかってる] [やりすぎたって]
[ソファからベッドに抱いていった] [その後あたりからセーブできなくなって] [彼の中を全部己で満たしたくて] [何度も――]
[だって仕方ないじゃないか] [たすけて、とか、もうむり、とか] [理性の飛んだ泣き声に体がゾクゾクしっぱなしだった] [あんなん興奮しないわけがない]
(214) Cadenza 2019/08/10(Sat) 23時頃
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[全身がぐったりしている] [腕を上げるのも気合が要るくらい] [最後の方から目が腫れてしまっていたから] [冷やしてあげなければ、と思うのに]
[触れている額を、手を] [離したくない]
―――――。
[ガーゼが取れてむき出しの傷跡に触れる手に] [己の手を重ねる] [掠れた吐息に目を細めて] [そのまま、うとうとと]
(215) Cadenza 2019/08/10(Sat) 23時頃
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[それから程なくして] [カリカリ カリカリカリカリ] [窓枠を引っかく音で目を覚ます]
[そうだ、目…冷やさないと] [重たい体をのそりと起こして] [瞬間冷却剤をタオルで巻いて戻ってくる]
ザーゴさん。 ………目。
[声をかけて] [寝ているようならそっと目の上に]
(216) Cadenza 2019/08/10(Sat) 23時頃
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[体が起きてしまうと、頭も起きてくる] [ドロドロでくしゃくしゃのシーツ] [潤滑剤のボトルは蓋が開いたままで] [空っぽになっていた] [ソファの上にも、濡れたバスタオル] [これは……] [そう、彼のあの姿を記憶に留めるための] [尊い犠牲であり、代償だ]
[後で片付けるものはともかく] [汗とかあれとかそれとか] [少しベタつく体は流したほうがいい]
[でも、確か…] [彼は汗ばんだ体をシャワーで流すことは] [しなかった]
[少し考える] [昨夜は、変なのと思って流したが] [それってもしかして……]
(217) Cadenza 2019/08/10(Sat) 23時頃
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[チェストからタオルを何枚か取り出して] [キッチンで濡らして軽く絞る] [それを持ってベッドへ戻って]
ザーゴさん、起きてます?
[ベッドの縁に腰掛け、声をかける]
シャワー、浴びられます? それとも、お拭きしましょうか?
[濡れタオルを手に、首を傾げた**]
(218) Cadenza 2019/08/10(Sat) 23時頃
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[やっぱ、シャワーは苦手なんだ] [一つ明らかになった事実に笑う] [そりゃ、あの執事だってああなる] [これは助手の仕事が多そうだ]
すごいでしょ? 連れてって損はないよ?
[かしこまりました、の代わりにウインクをして] [濡れタオルを広げて、面積の広い所から] [背中を終えると、後ろからタオルで包むように] [タオルを持った手を前に回して、胸とお腹]
[なるべく優しく充てがっても] [勢いを殺した声が漏れてくるのに苦笑い] [なるべく気にしないようにしても] [声に残る余韻に数刻前の快感が蘇る]
[だからといってはなんだけど] [胸とか、お尻とかは入念に拭いていたり]
(238) Cadenza 2019/08/11(Sun) 02時頃
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ん?
[名を呼ばれたのは、足を拭いていた時] [わざと内腿をゆっくり拭いたら、腰が浮いた]
つらい?
[一瞬、痛いのかと思ったけど] [すぐに違うと気づいて、ああと笑う]
はいはい、承知。 何の話がいいっすかね。
[使い終わったタオルを床に投げ] [新しい濡れタオルを広げて]
じゃあ、俺のこと、とか?
[あんま面白い話なんてないっすけどね] [足を拭き続けながら、肩をすくめる]
(239) Cadenza 2019/08/11(Sun) 02時頃
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前も言ったかもだけど、 俺の親父とおふくろは、移民なんだ。
[足の指を拭いて] [次は反対の足]
[父親は町医者で母親は保育士] [普通に食うには困らない生活だった]
[同じように、内腿をゆっくり拭いて] [外腿と、膝から下と]
[母親には持病があって] [己を身籠った時に、国を出たという] [厳しい気候環境と母体の安全を天秤にかけたのだろう]
[話をしながら] [足の指を拭いて、足は終わり]
(240) Cadenza 2019/08/11(Sun) 02時頃
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[また新しいタオルを手にして、次は腕] [肘から先をタオルで包んで拭いて] [手のひらと、指を]
おふくろはさ、ハーフだったのもあって すっげー美人だったんだ。 じーちゃんが、こっちの人だったらしい。
俺の髪色はじーちゃんと同じ色なんだってさ。 見たことないけどね!
[反対の手も、同じように拭けば] [残りは、少し敏感なところ…]
(241) Cadenza 2019/08/11(Sun) 02時頃
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ってか、俺も医者の息子なら もうちょっと頭良く生まれてもいいと思うんだけど 髪色とかじゃなくてさー。
[髪ではなく、頭だよ頭] [からからと笑いながら、足の付根を拭いて] [一番ねとねと、どろどろしている場所が最後]
足、ちょっと広げてください。
[努めてなんでもないことのように言って] [新しいタオルを手に取る]
(242) Cadenza 2019/08/11(Sun) 02時頃
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[広げてくれたなら] [内股から前の方と] [後ろの方] [乾いた潤滑液を濡れタオルで溶かしながら] [少ししっかり目に拭き取っていく]
すっげ……どろどろ。
[まって、すごくえっちだこれ] [俺のを飲み込んでた後ろから] [溢れたやつが流れて乾いてたってことでしょ?]
……えっ、と。
[気づいちゃったら] [ちょっと無口になって、拭いている**]
(243) Cadenza 2019/08/11(Sun) 02時頃
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そう、すかね。 じゃぁ……
[なにか話さないと、意識が持っていかれる] [もう目が離せなくなっているのに] [口数がなくなった己の代わりなのか] [聞こえる彼の声に、相槌を打つ]
ザーゴさんの手伝い、俺ができることも 力仕事の他にあるっすかねえ。
[公私、共にってやつ?] [表立つ部分でも] [必要とされたい、なんて] [いや、こんなことしながら考えることでは…]
[懸命に気をそらそうとするのに] [話す声が跳ねて、まるで]
[閨事が続いている、ような]
(260) Cadenza 2019/08/11(Sun) 14時半頃
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[あちゃー、また拭き直しかな] [家の中にあるタオルの枚数に不安を覚えると] [シャワーで洗う、って]
えっ……ひとりで、大丈夫ですか?
[これもしかして] [俺んちに連れてくるよりも] [彼のホテルの部屋に俺がお邪魔したほうが] [良かったのでは……?!?!] [なんて思ってももうだいぶ後の祭だ]
い、いいっすよ 俺もついてきますから
[俺の体も流したいし] [大丈夫、今度は刺激しないようにする!]
[――――ホテルに連れて帰れたのは] [その日の夜遅くだった、とかなんとか**]
(261) Cadenza 2019/08/11(Sun) 14時半頃
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-- ローズ・ホテル --
[2度めのジュニアスイートは] [部屋の前で引き返すつもりだったけど] [ぐったりしている彼も心配だからと言い訳して] [促されるままにお邪魔します]
[まず服を脱ぐんだ] [なるほど] [彼の"生態"をひとつひとつ覚えるのも] [きっと助手の大事な役目だ]
[星のよく見える窓際] [テラスに出たら気持ちいいだろうと思うけど] [湿った夜風はきっとダメだから] [空調の効いた窓の内側から星を見ていた]
(264) Cadenza 2019/08/11(Sun) 21時頃
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ええ、まあ、ぼちぼち。
[体の調子を問われ、脇腹に手を当て頷いた] [傷の治りはあともう一息というところ] [体を無理に捩ったりしなければ大丈夫だ]
それ、本当に俺で大丈夫なんすか? てか、ザーゴさん一体何者…。 や、俺はまあ。全然問題ないっすけど。
[街の便利屋から謎のエリートお金持ちの助手] [冷静に考えるとなるほどすごい転身だ]
俺は、明日病院行ってきますよ。 この街を出ても問題ないか聞いてきます。
……ん?
[伸ばされた手、はにかんだ表情] [この人のこんな顔、見れるのはきっと俺だけだ]
(265) Cadenza 2019/08/11(Sun) 21時半頃
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[伸ばされた手を取って、口元に笑みを浮かべて]
この街で見る夜空も、そろそろ見納めっすね
[この先、どんな夜空の下でも] [こうして手を繋いでいるのだろう]
(266) Cadenza 2019/08/11(Sun) 21時半頃
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-- 翌日〜 --
[オリュースで過ごす、最後かもしれない1週間] [始まりは、ジュニアスイートの部屋からだった]
[週末に体力を使い果たして] [このまま泊めて…ってそのまま爆睡だった]
ザーゴさん。起きてます?
[時計を見れば昼前だ] [寝ているようであれば、黙って] [少し起きてしまったようであれば]
病院行ってきますね。
[そう言って、手の甲にキスして部屋を出る] [もう一寝入りして起きる頃には] [きっと戻ってこれるだろう**]
(267) Cadenza 2019/08/11(Sun) 21時半頃
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[病院に行く前に一度家に寄って] [大量の洗濯物を洗濯機に放り込んだ]
[それから病院へ行き] [診察を受け、長旅の適否を聞くと] [医師は少し険しい顔をしつつも頷いてくれた] [その代わりに、出した薬は必ず使い切るようにと] [念を押されまくった] [受け取ったのは軟膏と、飲み薬を軽く一月分] [薬の量と出費に、うええと顔を歪めたけれど] [これで済むなら軽いものだ]
[そしてまた家に戻り] [洗濯機から洗い終わったタオルを] [ベランダの物干しに片っ端から干していく]
[メールが届いたのは、その頃だ>>-1418]
(299) Cadenza 2019/08/12(Mon) 05時頃
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[それから、街のファストフードショップで] [バーガーとポテトにフィンガーチキンパック] [それとコーラとグァバジュースを買って] [ホテルに戻る]
[俺の主食っす] [そんな説明をして差し出したジャンクフードは] [果たして受け入れてもらえたか] [己の好きなものは食べられる、なんて聞いたら] [もうちょっと健康的な物を好物にすればよかったと] [後悔したことだろう]
(300) Cadenza 2019/08/12(Mon) 05時頃
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[それからの日々は] [大家に街を出ることを話して大泣きされたり] [ザーゴの体のこと、仕事のことを聞いたり] [助手にと言い出した本当の理由を知ってしまったり] [馴染みの面々に、お別れを言いに行ったり] [それなりに忙しかった]
[家の片付けもあったから、1日2日は家に帰ったが] [あとは全部ホテルに泊まって一緒の時間を作った] [その間に、好きな音楽の話や小さい頃の話] [とりとめのない事を、寝るまで話したはずだ]
(301) Cadenza 2019/08/12(Mon) 05時頃
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-- そして6週目。極大を迎えて --
[いつものように、夜の賑わいが静かになる頃]
星、見に行きましょうよ。
[そう言ってホテルから外へと連れ出した] [もしかしたら金曜の夜からずっと部屋に籠もっていて] [少し疲れた顔をしていたのかもしれないが…] [これ見ないと、今年も終わらないですよ、って]
[港を見下ろす丘の上] [遊歩道のベンチに座って、星空を見上げ]
……ね、来年もまた、ここに来ましょう。
[俺の里帰りにもなるし、っていうのは建前で] [流れ星を見るなら、ここで一緒がいい、って**]
(302) Cadenza 2019/08/12(Mon) 05時頃
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-- ひねくれマダムと失恋猫 -- "なんだいアンタ。借金取りなら用はないよ!"
[身なりを整えたザーゴを見て最初の一言がこれ] [あちゃぁ…と頭を抱えた]
[街を出るって話は一応つけてあるから] [無理に挨拶しなくてもいいから、と言ってたんだ] [でも……なんか正装っぽいの見ちゃったら] [イケメンぷりを俺も見たくなっちゃって…]
"うちのヤニクをどこに連れてこうってんだい。 この子はね、あの藪医者からアタシが預かってんだ ろくでもないところに連れてったら容赦しないよ"
[しかし、大家の啖呵には驚いた] [そんな気はしていたものの本当のところは知らなかった] [そうでなくても、母親代わりとは思ってたけど]
(332) Cadenza 2019/08/12(Mon) 17時頃
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あんがとな、マダム。 俺、マダムがいてくれなかったら今ごろ野垂れ死んでた。 本当に感謝してるよ。 でもさ、俺、この人についてくって決めたんだ。 そんで親父とおふくろの生まれたとこに行ってくる。
[ザーゴの手を、大家の前でしっかりと握る] [大事な人ができたんだって、それで伝わればいい] [合図なしに触ったから、彼は驚いたかもしれないけど…]
あと、親父は藪医者じゃないから!!
[そこは大事だ] [この国での医師免許がなく医師として働けなかったが] [医者に行く前に相談に来る人が多かったのを覚えている] [中でもよく来てたのがこの大家だった] [この人は……つまり、ひねくれているだけなのだ] [だから最後には勝手に持って行きなって許してくれた] [それから、いつでも帰ってきていいから、とも]
(333) Cadenza 2019/08/12(Mon) 17時頃
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[ザーゴと一緒に大家の前を去った後]
[途中からどこかへ行っていた巨猫が戻ってくると] [元気がない飼い猫の頭をくしゃくしゃと撫でる]
"おやマドンナ、どこ行ってたんだい。 お前さんも派手に失恋しちまったもんだね。 よりによって男とは……アタシも思わなかったさ。 ありゃ…あの子は顔にやられたんだねぇ]
[お前の方がずっとべっぴんなのにねえ] [アイツは見る目がない男だよ]
"まあいいさ。 もし白けた面で帰ってきたら 今まで以上にこき使ってやろうじゃないか"
[う゛にゃー] [飼い主の言葉が通じてるのかどうかは知らないが] [巨猫は喉を鳴らして飼い主の足に擦り寄っていた]
(334) Cadenza 2019/08/12(Mon) 17時頃
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[一方こちらといえば] [ホテルに戻るなり熱をだしたザーゴに慌てて] [ルームサービスで氷嚢を頼んだり]
[なるほどあれは確かにストレスだったな…] [またひとつ明らかになった生態に] [苦笑いの助手なのだった]
(335) Cadenza 2019/08/12(Mon) 17時頃
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-- 流星群の下で --
[あれだけタイミングを逃し続けた流れ星が] [今は一つ二つ…数えるのが追いつかない] [また、と見つける声に、目を細めた]
[己の夢] [今だって半分叶っているような気がするけれど]
きっと、そーなんじゃないっすかね。 なんて。 それより俺は一人前の助手にならなくちゃ。
[横顔を見ているザーゴに気づいて彼の方を向く] [目で合図してから手を取って]
――اريد حمايتك(俺が、貴方を護るから)。
[星に、誓おう**]
(336) Cadenza 2019/08/12(Mon) 17時頃
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[言葉は苦手] [それは、間違いないんだけど]
貴方は俺が護るって意味。 ……親父が、よく言ってたんだ。
[だから、覚えていた]
でも、今のなんて序の口でしょ? 大丈夫、腹決めてっから。
[世界中でただ一人なんて言われたら] [背負う覚悟決めるしかないっしょ] [あの一言で大家の表情も変わってたし]
うん、面倒っすよ。 でも、それも俺が変えていくんでしょ?
[どこまで変えられるかわからないけど] [あ、美容は気をつけてくれると嬉しいです]
(377) Cadenza 2019/08/12(Mon) 23時頃
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[不意に、血を飲んだら―と] [言われて、どうしたのって]
じゃあ、飲んでみますか?俺の血。 逆に俺がザーゴさんと同じものになったりして
[ヴァンパイアに血を吸われたら] [眷属になるんじゃなかったなかったっけ?]
あ、じゃあ俺が吸えばいいのかな。
[言い直して、俺じゃあサマにならないなって] [一人でくすくすと笑った]
[あ、そういえばあの若い出張執事…] [あの人とか超ソレっぽかった] [すげえ怖かったので] [あんまり仲良くなれそうになかったけど]
(378) Cadenza 2019/08/12(Mon) 23時頃
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