158 Anotherday for "wolves"
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/17(Sun) 03時頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/17(Sun) 03時半頃
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─ ??? ─
[何かに呼ばれたような気がした。 どろりとした暗い底から、意識がゆっくりと覚醒する。
ぼうっとしていた。 喉に無意識のうちに手が添えられる。 切り裂かれた傷を補おうとするかのように]
… キャシー ……?
[夢の続きを呼ぶようにして辺りを見渡す。 ここはどこだ。どうしてこんなところに。 見渡せば、どこからか微かな音がする。 先ほどまでも聞こえていた音だ。
求めるようにゆうるり頭を巡らせた。 あれは置いてきた幼子の泣き声>>+3だろうか]
(+4) 2015/05/17(Sun) 14時半頃
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メアリー…?
[名を呼ぶと、ずきりと痛んだ。
─── どく どく どく
切り裂かれた喉から血が、手を伝い腕を濡らして流れる。 まるで涙の代わりだとでもいうように、止まることなく流れ続ける]
(+5) 2015/05/17(Sun) 14時半頃
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[おとうさん。と呼ぶ声が聞こえた。 どこにも行かないでと手を伸ばしてきた、幼い子。 ようやく綻びかけた、小さな蕾。
彼女はどこだろう。 濃密な血の匂いを纏いながら、男はゆらと頭を揺らす]
(+6) 2015/05/17(Sun) 14時半頃
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[死の匂いに誘われるように、男が向かったのはマーゴットの家。 そこに嘆き悲しむ娘を見つけた>>3:176 ベッドに横たわるのは黒い髪の優しい眠り姫。 その優しさゆえ、その愛らしさゆえに命を落とした哀れな娘]
( メアリー… )
[声は届くことはない。娘は友の亡骸の上で泣き続ける。 小さな部屋に、死者と死体と生者がひとりずつ]
(+7) 2015/05/17(Sun) 14時半頃
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[止めるべきだったと、ぼんやり思う。 マーゴットの死を、せめて男は止めてやるべきだった。 いずれ自らが死を望むなら。 せめて娘に、親しい友を遺しておいてやるべきだったのだ。
─── ぽたり ぽた、 ぽた
しずくが零れて血と交じり合い、二人の少女の上に降り注ぐ。 決して彼女たちを濡らすことのない雫が]
(ああ、)
[ふと。何かに気付いたという風に、男は外に目を向けた。 ゆらり漂う希薄な影は、嘆く娘を置いてふわりと壁をすり抜ける。 泣き声が大きくなっている]
(+8) 2015/05/17(Sun) 14時半頃
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…───どう 、したんだい?
[辿ったのは、先に聞こえた泣き声>>+3 幼子のような泣き声を辿り、泣きながら歩む娘に声を掛ける。
彼女の顔は先ほど見てきた死体と同じ。 泣きじゃくりながら歩くらしきその娘の魂へ向け、希薄な男の幽霊が*首傾けた*]
(+9) 2015/05/17(Sun) 14時半頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/17(Sun) 14時半頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/17(Sun) 15時頃
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[ゆらと振り向いた娘の目に、この身は映ったろうか。 ひょっとしたら見えていないのかも知れない。 そんなこともあるだろうと、男はひどく納得していた。
何故未だここにいるのか。 願いは叶えられて、全ては終わったのではないか。 分からない。分からないまま、娘の視線の先を追う]
( …───、ああ。)
[やはり見えていない。 いや、ひょっとしたら娘の方が、己の幻想なのかも知れない。 他者の夢を覗くように、或いは古い過去の夢を見るように、 遠い昔の食卓がぼんやり向こうに姿を見せるのだから>>+26]
(+34) 2015/05/18(Mon) 00時頃
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[向こうに見える、あれは幼い日のメアリー。 グレッグはもう随分と馴染んでいて、 メアリーと並べば、丁度年の離れた兄妹のよう。 今よりおさない印象の黒髪の娘が、遠慮がちに笑っている。 暖かな、───遠い日の風景。
男は目を細めて少しの間、じっと幼い従兄妹を見つめていた。 そして俯きながら…涙を堪えるようにしながら、 塩に手を伸ばす黒髪の娘へと目を向ける]
… マーゴットや、
[音は音になっただろうか。 かふりと、喉の穴から抜けて消えてはいないだろうか。
男は知らない。 淡い夢に手を伸ばした時、 男もまたかつての幻想の姿を纏っていることに]
(+35) 2015/05/18(Mon) 00時頃
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[懐かしい夢、あたたかで優しいスープ。 それへ手を伸ばして、俯きがちな娘へと差し伸べる。
…ああ、この子はまた、寂しいのかも知れない。 甥も、ここに来たばかりの時はそうだった。 無理もない、両親を亡くして一人ぼっちでここに来たのだ]
………、そら、
[ぬくもりを手渡すように、手を差し伸べた。 ──── パシン。小さく、夢の弾けるような音がした*]
(+36) 2015/05/18(Mon) 00時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/18(Mon) 00時頃
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[ああ、やっぱり。この子は泣いていたんだ。…心の中で。 心細げな顔をしていた。 メアリーやグレッグらと親しくなって、次第に笑顔が増え。 そんな様子を暖かく──見守っていた日もあったのだ。
大切なものを喪う痛み。 この家では、誰しもがその痛みを抱えていた。 けれど──…、いや、だからこそ。 この”家族”は黒髪の娘を、家族のように迎えられたのだろう]
……、ああ、
[おとうさん。その呼びかけが、すとんと落ちた。 大切なもの、喪いたくはなかったもの。 緩やかな狂気を引き止め続けていたものに、それは良く似ていたから]
(+41) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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[探すように伸ばされた白い指に、皺じみた指を絡める。 握れば、こんな時なのに暖かさを感じた]
…────、
[つきり、痛みを覚える。 男の狂気は、この娘を見殺しにした。 彼女がここにこうしている責任の一翼を、男は担っている。 分かっている。だから本当は資格などないのだ、分かっている。 こんなことで許しを得たいわけでもない。……ただ、]
(+42) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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[ただ。幼子めいて伸ばされた指先を。 存在を問いかけて、泣いている魂を。 そのままにしておくことは、出来なくて]
(+43) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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だいじょうぶ。 君はここにいるよ。…だいじょうぶ。
…──── ほら。 こうしたら平気だろう?
(+44) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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───… マーゴット …
(+45) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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[最後にもう一度、ちいさな彼女の名を呼びかけて。
ここにおいでよ。ここに住んでしまいなよ。 明るく子どもたちが笑って、男が頷いたあの時のよに。 この娘の涙が止まればいいとだけ、今は本当にそれだけ願って、 幼子にするように、柔らかな黒髪をとんとんと優しく撫で続けた*]
(+46) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/18(Mon) 02時頃
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[腕に縋り来る娘へと視線を落とす>>+47 彼女に自分の今の顔はきっと見られてはいないだろう。 情けないような、泣き笑いのようなその表情は]
(救われているのは、───どちらの方か)
[絡めた指先に、抱き寄せた腕の中のぬくもりに。 存在を、ここに在ることを確かめ許して貰った気になっているのは、むしろ、こちらの方かも知れなくて]
(+59) 2015/05/18(Mon) 16時頃
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ああ。
[サイラスから、生きる大切な者から目を背けて。 搾り出すように湿った声で紡がれる、愛しい娘の名前>>+48
こたえた男の声は、罅割れてはいなかったか。 後悔やら悲しみやら罪悪感やら、それでも断ち切れぬ未練やら。 そうしたものを綯い交ぜに、ほつりと短く声が落ちる]
… ああ。
[あの子も、置いていかないでとあんなにこの腕に縋っていたのに]
(+60) 2015/05/18(Mon) 16時頃
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そうだね、
[この娘は気付いているだろうか。 自分を励ますだろうその言葉、 それがこの愚かな男をも励ましてくれていることに。
犯した罪悪、それを口にするのはやめた。 少なくとも今この時彼女に告げるべきことではない。 言えば自分は楽になろうか、彼女をきっと苦しませて。
そんなことはもう、充分以上にやって来た。 己の為に友を苦しませ、娘を甥を嘆かせた。 この上更に、重ねることに意味があるのか。
…───それともこれも、弱い愚かな男の逃げか]
(+61) 2015/05/18(Mon) 16時頃
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傍にいて欲しいと、きっと思っているよ。
[君にはつらいことだろうけど。 そう音にせず思うのは、互いに知ることだろうから。 だからと、彼女が与える希望だけを口にして]
君は強いな。強い、いい子だ──… ああ。行っておいで、マーゴット。 気をつけて行くんだよ。
[自分勝手な感傷を裡に押し込め、目を細め、 かつて、宿から娘と出掛ける彼女に向けたと同じ声を掛ける。 そして淡い花の微笑>>+49に、笑みを返した*]
(+62) 2015/05/18(Mon) 16時頃
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─ 墓場 ─
[聞き覚えのある声>>160がした。 男はは、その声>>160に呼ばれるようにそっと動き出す。 マーゴットのような強さを持ってのものではなく。 ただ”呼ばれた”のだ。
見えるのは、娘一人の”おそう式” 震える肩はやはりあどけなく、ひどく小さく見えた]
メアリー……
[嗚咽。嘆き。 この娘をもっと見守っていたかった。 ずっと傍にいて守ってやりたかった。
…ああ、これが未練かとぼんやりと思う。 未練が未だに、この身を縛り付けているのかと]
(+63) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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…………、
[いつものように、大丈夫だよと言える声も腕もなく。 風に紛れて寄り添い、娘の肩を抱くようにする。 透明な腕は草も娘もすり抜けていて、気付かれることもないけれど]
(+64) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[娘が泣き止むまでそうしていて、 やがて真っ赤なアネモネが供えられるに手を添えた。 娘の目が、花と同じように真っ赤に泣き濡れている。
涙を拭ってやれる指はなく、 男は微かに歯をかみ締めて俯いた。 喉に手を当てる。ああ、やはり涙の代わりに血が流れている]
……、すまない。
[死んだというのに、妻の気配は近くにはない。 こんな罪に塗れた男に、もはや彼女に会う資格もないのか]
(+65) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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────…、すまない …。
[もう一度繰り返して、立ち上がる娘を見守った。 決意を口にする健気さ>>169に目を伏せる。 願い篭めるようにして、その小さな背を見送った。 暫くの間、ずっと、ずっとそうして*いた*]
(+66) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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─ ??? ─
[おとなになる。ということが、 どれだけ変わったことかと───今は、思う。
死後に、こんなことを考えていても仕方ないのかも知れないが。 まったく、大人になってどれだけ成長したかと思う。 未だ若い者たちからは、男は大人に見えただろうか。 ───とんでもない。
まったく、残念なほどに成長していない。 それどころか、身動き硬くなった分だけより悪い。 友と呼んだ男を八年苦しめ続けたことなど、その最たるものだ]
(+67) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[妻を喪い、その死を嘆き。 救えなかった──救ってくれなかった彼を恨んだのは本当だ。 悲しみに沈みながら恨んだ…怒った。 そうしていないと、悲しみに押し潰されそうだった。 そうしていることで、自分を支えた時期が確かにあった。
ひどい話だろう。 医師はなにも、神じゃない。 救えない患者がいたって当然だ。 分かっている──…分かっていた、けれど。 彼なら、スティーヴならと思ってしまったのだ。 妻を助けて欲しいと、無茶な願いで縋ってしまった。
彼女が助かるならば、自分は何だってしただろう。 禁忌を犯すことすら出来たろう。 けれどその前に彼女は死に、その機会は永遠に失われた。
─── 見殺しにされたと、あの時思った]
(+68) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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メアリー…
[愛しい娘の嘆き声が微かに聞こえる。 ああ、彼女は今どうしているだろう。 生前最後に聞いたのは、悲しい絶叫>>3:169
可哀相なことをしてしまった。 彼女の為に生きなくてはと、確かに思っていたはずなのに]
(+69) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[妻の居なくなった世界は、色を失ったようだった。 あの時、多分、男のどこか大切な部分も一緒に死んだのだろう。 それでも時の流れは残酷で、痛みも次第に麻痺をする。
気付いたのはいつ頃からだったろう。 妻の墓に、折に触れてはそっと供えられる花のあることに。 甥ではない、娘でもない。 レオナルドに、それとなく聞いてみたこともある]
『いや。ルパート、多分それは──…』
[それは多分、”彼”の供えた花であろうと]
(+70) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[…かつてキャサリンが笑って教えてくれたことがある。 スティーブンに教えて貰った、おまじない。 願いをするには蒲公英の綿毛を吹いて、一息で飛べば叶うだろう。
他愛もない、可愛らしいまじない>>1:345だ。 そんな無邪気なことを口にするところもある男だった。 あの時の彼女の願いは、叶ったか。 そういえば結局、聞きそびれてしまった。
優しい思い出の向こうに、冷たい雨音と嗚咽が重なる。 遠く記憶の向こうに蓋をしてきた声>>1:101と一緒に。
────「すまない」と。繰り返し、響く]
(+71) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[花の贈り主が分かっても、彼との関係が変わることはなかった。 変えられなかった…というのが、少し正しい。 もう、無邪気に声を掛けられる間柄ではとうになかった。 顔を合わせても、気まずい沈黙の続くばかり。 やがてすぐ耐え切れずに、どちらかが居なくなるという感じだ。
臆病だったのじゃないかと思う。 どちらも、相手に声を掛けることが出来ずにいた。 いや、声を掛けるなら自分からだったろう。 でも出来なかった。 もう何を言っていいのかすら、分からなくなっていた]
(+72) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[それでも、表向きは互いにどうにかやっているようだった。 村医者は偏屈ながらも村人に頼られる医者としてやっていたし、 宿の主も細々ながらも一見穏やかに、店を続けていた。
年を取ればそれなりに出会いもあるもので、 どのみち幼い娘と多感な年頃の甥がいて家は賑やかだったし、 時折やって来る奇妙な傭兵の世話も焼いたし、 宿に長逗留した、気の毒な娘の世話も家族で焼いた。
彼らから、男は大人に見えただろうか。 穏やかに人当たりの良い、父や年長者に見えただろうか。
天秤は危うい均衡を保ち続ける。 平穏はそうして続いていくはずだった]
(+73) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[ ───けれど ]
(+74) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[”裏切り者”が捕まれば、それで良いのだろう?]
(”彼ら”は逃れられるかも知れない。)
[同胞を殺すなど───、愚かなことを。]
(”裏切り者”と何が変わるというのだ。)
[死は、八年前のあの日からずっと身近にあり。 届かない憧れのように、男の傍らに座り続けていた。 天秤が揺らいだ時、その壁も、また揺らいだ。
身近にやって来た死の誘惑に手を伸ばす。 …ああ!なんて強い誘惑だったことだろう。 彼らのため、子どもたちのため。 そんな言い訳を幾ら尤もらしくつけてみても、知っている。
これは単に、男が自分の為に望んだことだ。 何ひとつ”大人らしい”思慮分別もなしにして。 ひどく傲慢でわがままな子どものように]
(+75) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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グレッグ、
[遠い日の少年も、逞しい青年になった。 彼が居てくれるからと、少し安堵があったのを否定はしない。 …しないけど。最後に見た彼のまなざしを思う。 ”また”彼に、親を亡くす痛みを負わせてしまった]
メアリー…
[愛しい娘の嘆き声が、聞こえ続けている。 お前にそんな思いをさせるつもりじゃなかった。 …いや、分かっていたのだ。分かっていたはずなのに。
怯えたように服の裾を掴んで、 どこにもいかないでと願う娘の瞳に確かに知っていた筈なのに。 それなのに、その切なる願いを破ってしまった]
(+76) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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(……お前たち、)
[お前たちが生き延びる道ならば、と。 男は共存のまどろみから醒めた者らに語りかけた。
ほんとうに、それは願いだったのだ。 だから聞こえる嘆きにも、悲しみにも]
(忘れておくれ)
[復讐など考えてくれるなと。 彼に重荷背負わせたのは自分なのだと───…]
( …ああ、)
[声を届けることが出来たら良かったのだけど]
(+77) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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………、スティーヴ。
[八年間。あれ以上苦しめたくはなかったなと思う。 遠い昔、彼は心優しい少年だった。 大人になってもそれは同じこと。 ならば八年、苦しんだんだろうなと思う。
苦しめたのは自分。 その上、更に背負わせたのもやはり自分だ。そしてその上、]
… ごめん …。
(+78) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[赤々と教会を焼く炎が闇の向こうに見えている。 あれは今か過去か未来か、時の流れは今や曖昧で。
ただ、男はその中に誰がいるかを”知っている” 十字架に貫かれた人が誰かを、分かっている]
(+79) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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[己の罪の末路だ。 真に焼かれるべきは、この愚かな男じゃなかったか。
自分に───彼に手を下させてしまった。 彼にも、あの子らにも。 ではこの罪をどうしたらいいのだろう… こたえを求めて、ゆらり頭を巡らせる。
向かうべきところは一つだろう。 マーゴットに、死なせてしまった娘に貰った なけなしの勇気を手に、目を上げる。
生前避け続けてきた”彼”のところへ。 幽霊はゆらり、彷徨い*はじめた*]
(+80) 2015/05/18(Mon) 18時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/18(Mon) 18時半頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/18(Mon) 18時半頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/18(Mon) 22時半頃
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[ゆらり、幽霊の行き着いた先は懐かしき木の根元。 死出の道行にも見かけた、一本の木の下に>>+87]
…─────、
[ひゅう。と、喉から開いた穴から空気が抜けた。 これではタンポポの綿毛は飛びそうにない。 向こうを向いたまま、昔がたりを口にする黒焦げに、 そんな、他愛もないことを思って]
(+89) 2015/05/18(Mon) 23時半頃
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… スティー 、ヴ
[名を呼び返す音は掠れて聞き取りにくく、 ひゅうと空気の通る不快な音が混じる。 おかしいなと喉に手を遣れば、またそこから血が滴っていた。
少し眉を顰めてみる。 こんな姿を、また晒しに来たかった訳じゃない。 これでは、あまりにこれ見よがしではないか。 とはいえ向こうも黒焦げなのだから、これで丁度というわけか]
(+90) 2015/05/18(Mon) 23時半頃
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……………………………。
[ああ、やはり。彼を前にすると言葉を失う。 なんだ、これは死んでも同じか。 死んでも人は変わりはしないか…当たり前の話だろうか。
血を押さえるようにして、喉に手を当ててみる。 可笑しかった。こんなに穴から空気を吐いて、 なお、喉に言葉が詰まるとでもいうつもりか]
(+91) 2015/05/19(Tue) 00時頃
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……………………。
… 謝りに、……───来たよ。
[長い沈黙の後、ひどく聞き取りにくい囁き声を風に乗せ。 一歩を踏み出しす足が、タンポポの上に重なった。
透き通る足の下、タンポポの白い綿毛が身体を抜けてふわり、闇に白く浮き上がる*]
(+92) 2015/05/19(Tue) 00時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/19(Tue) 00時頃
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[かつての友から向けられる声は、あくまで柔らかく>>+95 それが逆に、彼まで届く距離の遠さを思わせた。 実際には目前にすぐ、手を伸ばせば届く位置にあるというのに]
……、君に、
[手を、伸ばそうとする。 持ち上げられた腕は、躊躇うように宙で止まった。 黒焦げの背後に、ゆらと揺れるものがある。 息を失った鼻腔に焦げ臭さまで漂うようで、 差し伸べた手は宙に軽く握られ落ちた]
(+96) 2015/05/19(Tue) 02時頃
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辛い、 思いを───…
… させた、ろう ?
[あの時の、瞳の奥の迷いと恐れ>>3:10に。 あの時押し殺した声で呼ばれた、名の響きに>>2:276
どうして気付かない筈があったろう。 彼とは親しい───友だったのに]
(+97) 2015/05/19(Tue) 02時頃
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…………。 君が悪かった───…、
…─── わけじゃ、ない。
[いつの。とは言わぬまま]
(+98) 2015/05/19(Tue) 02時頃
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…もう恨んでも、 ない。
だから、
…────、ごめん。
君にそれだけは、言って……おきたかったんだ。
[仲直りというには不器用に、男はゆらと頭を下げた。 けど、これだけはというように、 空気の漏れる喉から切れ切れに声を押し出して。 下げた腕を再び伸ばすことなく、ついと向こうへ身体を*向けた*]
(+99) 2015/05/19(Tue) 02時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/19(Tue) 02時頃
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