270 「 」に至る病
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視点:
人
狼
墓
少
霊
全
この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
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どうせ、殺されるわみんな。…みんな
/* 死ねばいいのに */
(0) 2019/10/05(Sat) 01時頃
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[曇天に鐘が鳴る。 ねっとりと湿度が肌に絡みつく夏が過ぎ、時計塔から響く音色は冷たい風に乗ってカーテンを揺らした。]
ごめんなさい…、我慢しようと思ったのに。 ごめんね、アイリス…。
[透明な雫を眦からぽろぽろと零し謝っても、自身の膝に頭を乗せた幼馴染は虚ろな呟きを繰り返すばかり。 彼女の首に宛がったハンカチが赤く染まっていく。]
(1) 2019/10/05(Sat) 01時頃
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私は食べなくても平気。本当よ。 お腹なんか全然空かない、心配しなくていいのよ。
[もう何十年も同じ言葉で嘘を吐いてきた。 けれど一度も幼馴染を欺けたことがない。
今だって本当は、自身の口元に残る余韻を意識するだけで気が触れそうな多幸感に包まれる。]
(2) 2019/10/05(Sat) 01時頃
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[静かに泣く彼女の腰に、するすると細い腕を絡める。 囲った腹の中では自分の血が彼女の肉と一緒くたになっているだろう。]
(3) 2019/10/05(Sat) 01時頃
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離れて行かないで? いつも、
ねーぇ、ドリベルぅ
[甘えた声を出すと幼馴染の吸血鬼は一層顔を歪めた。その苦しそうな顔がとても。]
(4) 2019/10/05(Sat) 01時頃
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いつでも、ょ?
[縋りつくように彼女の頭を抱え、そぅっと鮮血の乾かぬ首筋へ導いた。**]
(5) 2019/10/05(Sat) 01時頃
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・10月8日朝7時に自動開始いたします。それまでに入村をお願い致します。
・秘話を使えるのはペア相手のみ。
ただし2dは秘話禁止、それ以外は秘話に籠るのも可。
・白ログでは吸血行為以外のエログロ描写禁止。
・中の人発言は灰とメモのみ許可。
メモでの過度な打ち合わせや過度な中身会話はご遠慮ください。
ただしペア間での村外相談は進行中も可です。
不特定多数が閲覧できる場所ではご遠慮下さい。
・プロローグは吸血行為によって眷属契約を結んだ経緯を描いてください。
(経緯を書き終わったら1dを先取りし、現在の物語を始めるのも可)
(#0) 2019/10/05(Sat) 01時半頃
プロローグは長めにとっているので焦らず転ばずゆっくりお越しください。
また季節の変わり目で体調を崩しやすい時期です、
体調管理に気を付けて楽しんでくださいね。
ついでに御使い相手決めに使用しますので、
全員[[fortune■]]を振っておいていてくださいな。
(■を抜いて振ってください)
入村パスワードは企画WIKIに埋めておきます。
分からない場合はお手数ですが村建てまでご一報ください。
よろしくお願いいたします。
(#1) 2019/10/05(Sat) 01時半頃
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[結露で曇った窓の向こうで、真っ白な亡霊が笑っている。
”調子はどうだい?”と唇だけで問いかけても 昔のような色鮮やかな笑みは返らない。
柔らかな髪も絹の肌も、愛らしい唇さえ色を失った亡霊が 白い顔をまっすぐこちらに向けて、 枯れかけた白薔薇のように微笑むだけ。]
(6) 2019/10/05(Sat) 03時半頃
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("Keep your promise.")
(7) 2019/10/05(Sat) 03時半頃
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[亡霊が記憶どおりの言葉を紡ぐ。 それに何かしらを返す前に溜まった結露が窓を滑り落ちた。
雫に拭い去られるかのように窓の向こうの亡霊が姿を消す。 後には曇天を背にした大学キャンパスがあるだけだ。
ほんの少しの血を混ぜた珈琲が香る机上で 窓も開けていないのに鼻先を雨の匂いが掠める。 出したばかりの煙草が湿気ていく。]
(8) 2019/10/05(Sat) 03時半頃
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("You'll never ever, never ever, never be happy without ....")
(9) 2019/10/05(Sat) 03時半頃
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[音もなく、またあの季節がやってくる。]*
(10) 2019/10/05(Sat) 03時半頃
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―― 回想:リンディン大学 ――
[巨大な時計塔にまで重い雲が垂れ込めそうな、 コートが手放せない季節のことだった。
大学の教室で、1人の男が教鞭を執っていた。]
「運命は我らを幸福にも不幸にもしない。 ただその種子を我らに提供するだけだ」
そう、ある哲学者は語ったが 君たちがこの教室で学ぶ歴史についてもその通り。 この学問が直接君たちの食費あるいは就職先、 あるいは未来の恋人に結びつくことはそう無いだろう。 ――教授になろうという奇特なものでもない限り!
[男は言い切って軽く笑い飛ばす。 生徒が笑ったのを見ると、 人差し指を立てて「けれど」と添えた。]
(11) 2019/10/05(Sat) 03時半頃
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先人が積み上げてきた歴史の上に 僕たちは今も生きている。 土台を知っておくことは今の話をする上で有用だ。
政治家がしきりに口にするあの話題は一体何なのか? 国家間の協定や経済の動きの理由は? 歴史の文脈を読み解いていけば今がわかってくる。 今がわかれば、よりよい未来へ向かう一助にはなる。 君たちにはそのつもりで大いに学んでほしい。
[彼は――リンディン大学に籍を置く”吸血鬼”教授、 セイルズ・ウォルフォードは、 にこりと微笑んでそう語った。]**
(12) 2019/10/05(Sat) 04時頃
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セイルズは、参考書の71(0..100)x1頁に指が触れ、――少し、追憶するように目を細めた**
2019/10/05(Sat) 04時頃
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[ジャーディン・ヴィラドメアは世界に絶望していた]
……太陽が、憎い
[何故ならこの肌を焼いてくれない]
……ニンニクが、憎い
[何故ならこの身体に対して劇物ではない]
……銀が、憎い
[何故なら銀製のナイフで皮膚を裂いても普通に治る]
……水が、憎い
[何故なら流れる水を普通に渡れてしまうからだ]
(13) 2019/10/05(Sat) 07時半頃
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……十字架が、憎い
[何故なら掲げられても1ミリも苦痛がないからだ]
……どうしてだ
[何故招かれてない家に普通に入れてしまうのだろう。 その行為は普通に犯罪であるだが――]
……どうして、オレは不完全なんだ
[鏡に写る自分を見る。 吸血鬼らしい白い肌、赤い瞳、金髪をした青年の姿]
(14) 2019/10/05(Sat) 07時半頃
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……蝙蝠にも、狼にも、霧にもなれない ご先祖様に申し訳が立たないじゃないか
[ジャーディンは正真正銘の"吸血鬼"。 ただし"物語上の吸血鬼"を理想としてしまった為に 現実を拒絶している拗らせた"吸血鬼"なだけである]
(15) 2019/10/05(Sat) 07時半頃
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―― 書斎 ――
[黒を基調とした室内は肌の白や血の赤を思わせる色合いの 調度品で装飾されていた。 部屋のカーテンは閉め切られており日光を通さない。 電気もつけない薄暗い部屋には立派な机があり、 その上には乱雑に本や紙束が置かれている。 紙の合間からは大型のモニターがその威を示しており、 煌々と光る画面を見るのは『毎朝の日課』を済ませた ジャーディンであった。
黒張りの革椅子に胡坐をかいて座る男は、 キーボードを叩いていた]
(16) 2019/10/05(Sat) 08時頃
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[不意に電話が鳴る。 ジャーディンは手を伸ばし子機を取ると通話ボタンを押した]
『スチュアート先生ですか』
[子機から編集の不躾な声が聞こえジャーディンは眉を顰めた]
「我が名はヴィラドメア…… 至高にして孤高、高貴な……」
『あー、はいはいそうでしたね』
[その様な何時ものやり取りをしながら話をする。 "吸血鬼"作家、ジャーディン・ヴィラドメア。 執筆の片手間に自分を主人公とした同人誌を描く、 この世界では極々一般的な吸血鬼である**]
(17) 2019/10/05(Sat) 08時半頃
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[そして――打ち合わせは5(0..100)x1分後に終わった**]
(18) 2019/10/05(Sat) 08時半頃
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── 少女は語る ──
[それは、今よりずっと前のこと。 あるところに小さな女の子が一人いました。 女の子が暮らしていたのは集合住宅という古い家で、そこには"お母さん"という名前の人も一緒に暮らしておりました。
"お母さん"は一人だけでしたが、女の子の"お父さん"と呼ばれる人は何人もいました。 いつもは伸びきったワンピースを着ている"お母さん"が、キラキラする粉を肌にまぶすようになり、綺麗な洋服を着て出掛けるようになる。 そんなときには何日かすると、決まって新しい"お父さん"が家に来るのです。
それでも、女の子の家族は"お母さん"一人だけ。 背が高かったり、低かったり。髪の毛が多かったり、少なかったり。 いろんな"お父さん"が家に来ましたが、長く"お父さん"で居てくれる人はいませんでした]
(19) 2019/10/05(Sat) 11時頃
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[新しいお父さんが来て少し経った後のことです。 その日、朝起きると家の中には女の子が一人だけ、 "お母さん"の姿はどこにもありませんでした。 その日はあいにく雨降りでしたから、 外に遊びに行くことはできません。 そもそも、文字も時計も読めませんから 家の中に暇をつぶすものもありません。
それでも、 テーブルの上には菓子パンの袋が置いてありましたから。 退屈だなぁなんて呑気に考えて、 女の子は一人でお留守番をしておりました。
けれど、その日もその次の日も、 女の子の"お母さん"は家には帰ってきませんでした]
(20) 2019/10/05(Sat) 11時頃
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[それから何日か────
いなくなった"お母さん"のかわりに、家の扉を開けたのは"お父さん"でした。
その頃にはもう、食べるものはありませんでしたから、女の子は起き上がるのも面倒くさくて床に寝っ転がったまま。 なにやら酷く慌てた様子のお父さんをじっと眺めておりました。
"お父さん"と"お母さん"に何があったのかは知りません。 帰ってこなくなった理由ももちろん。
ただ、荷物のように"お父さん"に担ぎ上げられたとき。 もうここには帰れないのだと、女の子はなんとなく感じました。
そうして、その日から。 女の子は"チビ"と呼ばれるようになりました*]
(21) 2019/10/05(Sat) 11時頃
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── そして ──
[それから何年か 誕生日も、元の名前もすっかり忘れた頃。 家がわりになった古い倉庫で]
うん、わかった ねぇ。兄さん 上手くいったらたくさん褒めてくれる?
[地を這う虫が鳥になれるわけもなく。 底辺を這うものは底辺のまま。
生きるためには金が必要なことも、 貧相な体でも需要があることは教えてもらった。 金がなければ、あるところから奪えばいいということも。
言われた通りに動けばいい、それで間違いはない]
(22) 2019/10/05(Sat) 11時頃
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メルヤっていう女の子ね? 兄さんたちがお仕事している間 その子と仲良くしていればいいのね
それで、できたら その子から家族の帰宅時間を聞いて──
[年は自分の方がずいぶん上だそうだけど問題ない。 栄養の偏った身は肉付きも悪く、年齢よりもだいぶ幼く見える。 子供二人が話しているのを不審に思う者も少ないだろう。 あとは会話の端々を電話に拾わせればそれで充分。
いつもより危険らしいけれど、実入りの良い仕事だと かつて"お父さん"と呼んだ相手へ頷いて]
(23) 2019/10/05(Sat) 11時頃
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["お父さん"の知り合いが教えてくれたという そのおいしい仕事がある場所は45(0..100)x1番地にある、青い屋根の家。
昼間は家主は仕事で居らず、子供と世話係、それに使用人がいるのみ。 子供が友達などを呼べば当然、世話係の大半はそちらへ注意が向く。
その間に──と、頷いて背を丸め路地裏から大通りへ**]
(24) 2019/10/05(Sat) 11時半頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 11時半頃
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[この種は急き過ぎた。
自重を自らの脚で支えられない生き物は、 大切な進化の過程を間違えたのだろう。]
(25) 2019/10/05(Sat) 14時頃
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― アルブレヒト医院 ―
身体の痛みや心の不安、生活環境や制度。 私たちはあらゆる手段を講じて医療にあたっています。
その努力により患者さんたちの苦しみを 少しでも和らげることが出来れば、 医師としてこれ以上報われることはありません。
お大事に。
[アルブレヒト医院と冠する診療所を郊外に開業したのは、歴史深いリンディン大学の学位を修めてから程なくのことだった。]
(26) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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INTRODUCTION 人類の変異体である吸血鬼は、稀ではあるが身近な種として共に社会を形成してきた。しかしながら、老い、病、死と闘う者達にとって、”治療としての吸血行為”という概念は多く意識にのぼるところであるにも関わらず*1 その議論や研究は長年にわたり明らかな成果を得られていない。これには歴史的、宗教的、倫理的な抵抗という社会的課題も大きいが、最も大きな問題は-誰もが知るとおり-“感染症としての吸血行為”である。 非吸血者-眷属と呼称される-にもたらされる身体的変化もダイナミックなものであるが、彼らは同時に精神疾患罹患者となり、この依存症は、現在のところ進行性かつ不治の病であるとみなされている。*2 疾患の終末期にはしばしば悲劇的な結末を迎えることが知られているが、その詳細な経過を体系的に分析してつまびらかにしようという試みは進んでこなかった。近年になり文献や資料の検討は行われているが、前向き研究としては症例件数自体の少なさに加え、社会的ハードルや疾患特性から、当事者の研究への協力自体が得られにくいことも理由として挙げられている。*3*4*5 本研究は、これまでの報告を踏まえ、長期計画で情報の集積を進
(27) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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は
[読みかけの雑誌をテーブルに投げ出した。 唇に挟んでいた烟草を摘んで灰皿に押し付ける。そこには短くなった燃えさしが3つ。そろそろ休憩時間の終わりだ]
──、
[医療雑誌の表紙、何かの顕微鏡写真の上にへばりついていたパンくずをティッシュで拾って塵箱に。
実際、熟読していたわけではない。 そこに文字が見えると、特に理由はなく読んでしまう癖があった。それが菓子箱の成分表であれ、便所の落書きであれ]
(28) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[立ち上がって腰にエプロンの紐を巻きつける。 この日のバイトは、ビアホールのウェイトレス。伝統ある醸造所のリンディンビールは地元民にも滞在客にも人気で、臨時の求人には事欠かなかった。
清掃員、左官、カメラマン、シッター、運び屋……接客以外も”なんでも”やる。 契約は日雇いに限った。 いつ死ぬかわからないのに明日のことなど考えない。 烟草代とドミトリーのベッド代くらい稼げればなんでも良かったが、たまに払いのいい仕事で小銭が貯まることもある。気が向いたら、カメラとノートだけ持って旅に出たりもする。
いつからそうやってリンディンで暮らして来たか。日記はノートがいっぱいになるたび捨ててきたから、はっきりと覚えてはいなかった]
(29) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[吸血鬼とラベリングをされる一群に属している我が身は、その特徴に漏れず、在学当時からある専門分野において頭角を現していた。
ペインクリニック。
緩和医療などとも呼ばれるそれは“治す”ためではなく、少しでも苦しくないように、少しでも惨めにならないように、少しでも息がし易いように、病魔に阻害される人間らしさを取り戻すことに特化した医療である。
―――― 己が携わる分には 自らに流れる万能の血を研究対象として。と但し書きが付くが。]
(30) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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ああ、いいね アガリまで生きてたら行くよ
[酒場で働いてるのにバイト後の飲みに誘って来る同僚。たぶん顔を見るのは3回目くらいか。 緩やかに唇を撓めて、騒々しいホールの仕事に戻って行く。
この日は、そういう日だった。 出逢いの35(0..100)x1時間前。
日常はただ刹那をつなぎ合わせただけのもので、 それがいつか途切れることに、憂いも希みもなにも、なかった**]
(31) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[吸血鬼の特性を研究し、その過程で得た知見によって医学進歩の糧とする。
進化の最先端――― 突然変異であるとされる吸血鬼に不明な点は多いが、何も魔法や呪いの類ではない。……そのように表現する人間がいないとは言わないが、少なくとも自身にとってはまやかしではない。 現代の医療技術で模倣し、医学的なアプローチを試みる。 人の肉体は吸血鬼よりもずっと脆いが、医術の手が届く範囲にある。
無論、設備の限られた診療所でやることではないが、大病院に所属するにはこれもまた己の血が邪魔をした。 リンディンが大都市であるからか、己が早くに築いた地位故か。吸血鬼に対する露骨な偏見や差別は受けたことがなかったが、他者の身体と精神の健康に携わる者としては望まれていなかった。
今でこそ痛みを和らげたいならアルブレヒト医院へ、と年間に何枚も紹介状を書かれるが、それでも全てが破られず己の下に届いているとは思わない。 根幹を治癒できない病を恐れる気持ちは、痛いほどよくわかる。]
(32) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[結露で曇った窓の向こうは、 あたたかで幸せな景色が広がっている。
室内に飾られたクリスマスツリー。 ほのかに湯気がたちのぼるテーブルの料理。 微かに漏れ響いてくる、家族たちの談笑。
“あたしも中に入れて”と唇だけで問いかけても 誰も応えてくれやしない。
曇った窓には、愛らしい子供ではなく 枯れ枝のように痩せ細った みすぼらしい孤児の姿が反射するだけ]
(33) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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("I'm lonely.")
(34) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[覆りようのない事実を反芻する。 街はクリスマス一色。 鉛色の曇天とは反対に、華やかな飾りに彩られている。
しあわせな人々。ふしあわせなあたし]
(35) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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("Anyone will never ever, never ever, never save me ...")
(36) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[音もなく、またあの季節がやってくる]*
(37) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[己は優秀な医学の徒ではあったが、敬虔ではなかった。 人命とは限りがあり救えないと諦めた先に、それでも安寧を探すのが緩和医療の理念だ。
己が職務に没頭したのは単に、それ以外の生き方を知らなかった所為だ。 普通の人間なら往生している時間を生きても、まだ折り返しにも至らない。己の人生から最初に脱落したのは両親で、次は同じ幼少を過ごした友人だった。 己以外の人間はみな、先に欠け逝くのだと理解すれば、寄る辺は職務だけになった。
幸い、世界には痛みも苦しみも溢れている。 決して救うことは出来ないが、救う振りは出来る。 代償行動であるとは自覚があっても、終わりがないのは都合が良かった。**]
(38) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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―― 回想:裏路地 ――
[大通りには沢山のしあわせが溢れていて、息苦しい。
華やかな街にあたしの居場所なんてなくって、 あたしは掃き溜めのような臭いの漂う 灰色の裏路地へと逃げ込んだ。
湿ったアスファルトに腰を下ろして、 こんとひとつ咳をする]
さむい。
[口を覆った手を離せば、 微かに指先に血がついている]
(39) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[流行り病に掛かったところで、 ドブネズミのように生きるちっぽけなあたしを 誰も助けてくれやしない。
孤児仲間たちも、今はあたしに誰も近付かない。 病気を移されたら大変だもんね。 あたしはきっと、ひとりで死んでゆく]
……あめ。
[ぽつり、と頬に当たる冷たいものを感じて あたしは目を細めた]
(40) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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[何だか立ち上がる気力がなくって。
雨が本降りになって、髪も服もずぶ濡れになっても あたし鉛色の曇天を見上げていた。
こん、と空に向かってまた咳をする。 今度は血の塊が口から零れ落ちた]
あれ。
[嫌だなあ。足に力が入らない]
(41) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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("I'll die to ever, never ever, never feel...")**
(42) 2019/10/05(Sat) 14時半頃
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ミルフィは、7(0..100)x1回、荒い息を吐き出した。**
2019/10/05(Sat) 14時半頃
山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 14時半頃
逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 15時頃
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[物心ついた時から、胸の真ん中に一本の線があった。
引き攣れ、一定の間隔に隆起する皮膚。 境目の溝から覗く肉の色は、赤みが濃く。
成長しても消えることのないそれは、この身体が 生まれた瞬間から欠陥品だったことを示す証。]
(43) 2019/10/05(Sat) 16時半頃
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|
[どれだけ手を尽くしても正常に機能しない心臓。
過去の手術による臓器の癒着や、器の虚弱さにより 現状の医学ではこれ以上の治療は見込めない。
──奇跡でも起きぬ限り、二十歳まで生きられないと 医者から宣告を受けたのは、十五の春。]
(44) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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[ 『 "サクラ" を 見に 行こう』
と、
彼は言った。]
(45) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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[ けれど。
その季節が来る前に――
彼は逝った。**]
(46) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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|
[その頃には既に、この身との付き合い方は理解していた。 動悸がするような激しい運動はご法度で それは感情の揺らぎについても同じこと。
思うように動かぬ身体に苛立ち、 泣いて、喚いて、暴れて、癇癪を起こす度、 余計に苦しい想いをするのは、ほかでもない自分自身。
──だから。 長きに渡る不妊を経て、漸く授かった子を溺愛する 両親からの繰り返される無益な懺悔に眉ひとつ寄せず 敢えて笑って、優しく諭してやれた。]
(47) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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|
父さんたちは何も悪くないよ これは僕の運命で、どうすることもできない
だから、もう泣かないで ふたりには笑って、元気に、長生きして欲しい ……僕の分まで
[彼らにとってどれだけ酷な願いか知っていて。]
(48) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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|
それに──… あんまり謝られても かえって責められているみたいで
今すぐ死にたくなっちゃう から、 …さあ
悪いと思っているなら、残りの人生 僕の好きにさせてよ
ほんの少しでも、──…生まれてきて良かった って、思えるように
(49) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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[そう思えたことなど一度もない、と。
薄い唇に乗せぬ本音を、感情の乗らぬ双眸に乗せて。]**
(50) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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フェルゼは、某医院への紹介状を受け取るのは、それから11(0..100)x1日後。**
2019/10/05(Sat) 17時頃
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[その日も、雨の匂いが鼻を掠める曇天の日だった。]
(51) 2019/10/05(Sat) 17時頃
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[120年前、 リンディン大学にまだ電子機器といったものが見当たらず 参考書も随分不恰好だった頃、 セイルズ・ウォルフォードは1人の生徒の面倒を見ていた。
クラリッサ・ローズブレイド。 当時の名簿にはその名前が記されている。
男女両者の高等教育の有用性が認められてそう間もない頃 「彼女」は、セイルズにとって 「人間の可能性」の一つだった。]
(52) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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|
「先生、……ウォルフォード先生。 論文の相談に乗っていただきたいのです」 [冬の冷たい雨が降る時期、 クラリッサはよくセイルズの研究室の扉を叩いた。
利発だが女性であるがゆえに 教授陣には相手にしてもらえないことが多い彼女を セイルズは時に応援し、時に研究の相談に乗った。
二人が親密になるのに、そう時間はかからなかった。]
(53) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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|
[ある令嬢が家を勘当された、などという噂は リンディンの片隅すら震わせなかったが、
程なくしてリンディン大学には、 ある歴史学の教授と揃いの指輪を左手につけた 淑女が現れるようになった。
よき教師と生徒、よき夫婦、 そして、よき吸血鬼と眷属となったセイルズとクラリッサは 時にお似合いだと祝福され、時に笑われ冷やかされながら いつしか、大学の中で認知されていった。]
(54) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[長い年月の中で研究は枝葉を伸ばし、 愛情は根をはり地を巡った。――――けれども。
季節は巡る。 はじまりがそうであったように、いずれ終わりが訪れる。
(55) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[15年前。 灰色の冬の時期に、教授セイルズ・ウォルフォードと その妻クラリスは一度姿を消した。
10年前。 大学へ戻ってきたセイルズが左手に携えていたものは 真っ白な薔薇の花束。
120年前の静かさを取り戻したセイルズの研究室は、 今日も、珈琲と煙草、 ――それから白薔薇の匂いに満たされている。]
(56) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[季節は巡る。時間は降り積もる。 望まぬ全てを引き受けて、悔恨は今も部屋に燻っている。]
(57) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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―― 回想:大通り ――
[リンディンの時計塔が鐘の音を響き渡らせて、 セイルズは灰色の空を見上げた。
頬を拭い指先を見て、雨か、とひとりごちてからようやく 鞄の中身が濡れないように黒い傘を差す。
クリスマスが近づく町はどこもかしこも彩りに溢れている。 ぴかぴかと光る電飾に目を細めて、 黒い傘の花を咲かせた男が町を歩いていくと 石畳を歩く人々の中に幸せそうな親子の姿が見えた。]
(58) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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|
「ママ、パパ、サンタクロースが来たら ぼくあれが欲しいなあ」
「いい子にしてたらきっとくれるわ」
「おいおい、いつもいい子にしてるじゃないか、なあ? クリスマスを待ちなさい」
(59) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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(「ねえ、セイルズ。私達の間に子供が出来たら、 あなたはサンタクロースになるのかしら?
私はきっとね、ターキーを焼いて、ケーキも用意して サンタクロースが運んできたプレゼントを見て 子供と一緒に喜ぶでしょう。
イブの日に誰が白いお髭をつけていたか、 思い出しながらね…………」)
(60) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[耳をくすぐる懐かしい笑い声に、 セイルズは思わず首元にかけたリングネックレスを握った。
それから灰色の空に似つかわしい、 重苦しいため息をつくと、 大通りから逸れて裏通りへと向かう。
勝手知ったるリンディンの都で それは自宅へ向け近道するためのもの――の、筈だった。]
(61) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[季節は巡る。終わりを齎したように、 報せなくはじまりを連れて。]
(62) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[いよいよ本降りになってきた雨を傘で弾きながら 男は裏通りを歩いていた。 足元駆け抜けるねずみを見るとも無しに眺めて、 今日はここをたむろする孤児の数が少ないな、と考える。
革靴が浅い水溜りを踏む。 白い波紋が石畳に現れては消える。 自宅まであと少し、と言った頃合に、]
――……クラリッサ?
[セイルズの唇は、音もなく、今は亡き女の名を呼んだ。]
(63) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[呼んでから、違う、と思い至る。 亜麻色の髪。紅茶色の瞳。愛した妻と同じ色をした孤児が 裏通りの片隅で、ねずみよりも酷い有様でそこに居た。
病に罹っているのだろう。 口から血を零した少女の姿に生気はない。
黒い傘がひらりと落ちた。]
きみ、大丈夫かい
[セイルズは少女に近づき、肩を抱こうとする。 けれどもその命の火が消えかけている事に気づき あたりの病院の場所に思いを至らせてから、 再び、揺れる視界で少女の姿を見た。
雨の音がやけに強く聞こえる。 眼鏡にかかる水滴が視界を濁らせる。]
(64) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[少女を連れて少し遠い病院に駆け込めば良い。 こんな事は日常茶飯事なのだから見捨てれば良い。 そういった思考の只中で、
――僕なら救ってあげられる。 ――今度こそ。
確信に近い何かを抱き、 とっさにその軽い体を抱き上げる。>>41]
(65) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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……死ぬな。
[短く呼びかけ、細い首に唇を押し当てる。 やせ細った肌に牙を立てて
――――つぷりと食い破った。 食い破ってから、 傘も置き去りに少女を抱いて自宅へ駆けていくだろう。
セイルズの白いシャツに点々と赤が滲む。 襟にささやかにあしらわれた白薔薇が、赤く、紅く。**]
(66) 2019/10/05(Sat) 17時半頃
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[淡い花びらが舞う季節。東洋の島国でのこと。
それは、『朽木』の表札が下げられた一軒家。 静まり返った家屋のポストに詰め込まれた紙の束が、春特有の突風でバサリ、と落ちた。]
(67) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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本日、○○市内の一軒家で子どもが保護された。 警察によると、昨日川辺で発見された遺体の女性の身元を確認するため家を訪れたところ、一人でいた子どもを発見。 この子どもは人類の変異体である吸血鬼であり、遺体の女性が母親だった。 しかし近所の住人の話によれば、ここ数年子どもの姿を見かけた者はおらず、眷属となった母親が監禁していたとみられる。 こういった吸血鬼と眷属のトラブルについて────
(68) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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[落ちた拍子に開いた紙面に綴られた記事。 それを攫ったのは、再度、淡い色の花びらを巻き込んで吹き荒れる突風。
バサバサ、と騒がしい音が人気のない道を過ぎ去っていき。 後には、住人を失った一軒家だけが残されていた。*]
(69) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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── アパートメントの一室 ──
[所狭しと本がる部屋の中。 ペンを動かす手を止めたのは、徐にずしりと肩にかかる重みと。べろり、と頬にあたる生温かさ。]
わっ、おい。ちょっと重いって、 モモ!
[慌ててペンを置けば、傍らに開いた本の頁にしおりを挟んで閉じ。 こちらを見上げる桃色の首輪をした大型犬を振り返れば、はぁ、とため息をひとつ。壁にかかった時計を見れば、そろそろ散歩の時間だ。
椅子から立ち上がり、仕事部屋を出ようとして。 向かおうとした先。薄く開いたドアに、ギクリ、とした。]
(70) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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────……
[あの日もああして、薄くドアが開いていた。
そして閉じ込められた箱庭の中から。 僕は、隙間から薄く零れるその光に手を伸ばして──]
(71) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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[どすっと膝裏に食らった頭突き。 思わず尻餅をついて我に返れば、息を吐きながら黒目を伏せ。 じゃれついてくる大型犬の頭をわしゃわしゃと撫でてやれば、ちぎれんばかりにぶんぶんと揺らす尻尾に、ふ、と小さく吹き出した。]
……はいはい。 わかったよ、早く散歩にいこうか。
[わぅ、と一鳴き。 返事のようなそれに、眼鏡の奥の黒目を細めて。 再び立ち上がったなら、ゆっくりとドアに手を掛けて部屋から出た。]
(72) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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[クチキ・アオ。 大都市リンディンの一角にある古びたアパートメントの一階に住む青年。 東洋人の顔立ちをしてることもあり、大学生にも度々間違われるその容姿は、ここに住みはじめてから数十年間変わらない。
朝夕にはこの辺りで犬の散歩をしている、青年の”吸血鬼”。 それが今の僕だ。**]
(73) 2019/10/05(Sat) 18時頃
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アオは、今日の散歩は36(0..100)x1分歩いた先にある公園へ行ってみようかな。**
2019/10/05(Sat) 18時頃
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── 青い屋根の家 ──
[路地裏から大通りへ入り、またいくつもの路地を抜けていく。 そうして歩いてくうちに、いつの間にか人々の服装も変わり、徐々に辺りの風景も変わっていった。
中流のいわゆる普通の人々が暮らす場所。 そんな住宅地へ移動した頃には、路上で物を売る人々の姿もなく、鼠はおろか野良犬の姿もなく 身なりの良い子供達が道端で遊んでいる光景は、同じ国の景色なのにまるで遠い国の景色のようで──]
──── ……。
[さらに急ぎ足。逃げるように通りの奥へ、奥へ。 目的の場所、富裕層の暮らす住宅街へと足を進ませる。 羨ましくない、なんて自分を騙しながら]
(74) 2019/10/05(Sat) 18時半頃
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[リンディン郊外に古くからあるその屋敷に 『新たな住人』が越して来たのはつい最近のこと] [もっとも、その『住人』が屋敷の外に姿をあらわすのは 天文学的な確率で、 ふだん屋敷を出入りするのは もっぱら口髭と顎髭をどっさり蓄えた 初老の使用人ひとり] [たまたま、“その日”が星の数ほどのうちの一日に当たっただけ]
(75) 2019/10/05(Sat) 18時半頃
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[やがて辿り着いたのは、目的地のすぐ側の公園。 どの家にも公園のような庭があるのに、この区画に住む人々はそれだけでは足りないらしく、こうした遊具のない公園がこの住宅街のあちらこちらに点在している。
花と緑と、人口の川が流れる公園。 ゴミの匂いも新聞紙に包まれ眠る人もいない。そんな場所の片隅で、持参した石を右手に持ち]
────っぅ
[石の尖ったところで膝を叩き、傷を作る。 左右両方と、反対側の手のひらにも大きく一箇所。 いかにも転んだように見せるため、血の滲む傷口へと砂利を少し擦り込んで。 足を引きずり、ぽろぽろと涙をこぼしながら歩く。 程なく目的地へと辿り着けば、教えられた通り庭には女の子が一人]
(76) 2019/10/05(Sat) 18時半頃
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[ "────いけ、チビ。"
胸のポケットに入れた電話から 仲間の声が聞こえ、ごくりと喉が鳴った]
(77) 2019/10/05(Sat) 18時半頃
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そこでいいわ、ありがとう。 [黒塗りの高級車を降りる乗客が最初に響かせたのは かつ、と地を突く白杖の足音 次いで蝋のごとく白い両足を覗かせ、 仮面の女が路上に降り立つ] [――代々続く資産家の血筋に産まれたのは幸か不幸か 生まれ持っての弱視を苦と感じたことはなかった それ以上に厄介な己の“性質”も**]
(78) 2019/10/05(Sat) 18時半頃
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[そこから先は、自分でも驚くほどにうまくいった。
傷を作ったことが良かったのか。 それとも元々人を疑わない性なのか。 怪我を見せれば相手はあっさりと鉄門を開けてくれた。
名前が入ったハンカチを貸してくれて。 さらには、ちょうどお茶の時間だからと家の中にまで。
そうして友達がいなくて退屈していたこと、 両親は日が暮れるまで帰ってこないこと。 飼っている鳥の名まで、全て話してくれたから───
そんな時間が楽しくて、楽しくて つい忘れてしまったのは、役割のこと]
(79) 2019/10/05(Sat) 19時頃
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──ぁ。
[一回、二回。メルヤの電話が鳴るのを聞いた。 彼女の両親からだろうと思いながらも、仲間に伝えなかったのは自分の過失。
気が付けば窓の外は暗く、彼女の両親の帰る時間に近づいていて── 窓の外に車のライトが見えてもなお、自分は仲間の存在自体を忘れていた。 思い出したのは、屋敷の奥から銃声と警報が聞こえてきた時。
慌てて自分はメルヤの手を払い、窓から外へ逃げて]
(80) 2019/10/05(Sat) 19時頃
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[そうして逃げた先。 いつもの倉庫であっさりと仲間へ捕らえられ 麻縄でぐるぐる巻き 床に転がることになったのも、きっと当たり前]
逃げようがない、っか……
[ぽつんと呟けば、鋭い針が腕を刺した**]
(81) 2019/10/05(Sat) 19時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 19時半頃
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― アルブレヒト医院 ―
[長く生きていると人の儚さを思い知る。
一代で開業した診療所は後継者問題に頭を悩ませることもなく、長く郊外に佇んでいる。時代に合わせて更新したのは施術と技術のみならず、建物は二度の改築を経て、今は白亜の二階建てだ。 受付としてパートタイマーを雇う時期もあるが、長続きする人物を探すのは意外と難しい。自身が吸血鬼だから、と言い訳するのは簡単だが、何分、自身の感覚で“長く”務めてくれる気骨のある人物そのものがあまりいないのだ。 長く独りでいると、何でも独りで行うようになり、 何でも独りで行うと、何でも独りで出来るようになる。
吸血鬼の孤独はこうして形成されるのかと、働き盛りの外見に老成の空気を纏わせはじめた頃、なんとなく理解した。]
(82) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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[吸血鬼とは孤独な病だ。 孤独は時薬をもって慣らしてゆくしかない。 ――― 否、ひとつだけ覿面に孤独を癒す方法はあるが、毒を煽るに等しい。
診察室で手帳を開く。 予定をすべて暗記しておくのも難ではないが、約束は果たされてしまえば消えて、頭のリソースに穴を空けてしまうので好きではなかった。
孤独も生き方もそれを癒す術も、考えないに越したことはない。吸血鬼が辿り着く、結論も、その先も、先人たちが自らの犠牲を以って歴史書に残してくれている。 同じ轍は踏みたくない。]
(83) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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今日の予約はまた若いな。 15って何の話が合うんだろうな。
[申し送りされてくるのは身体の真ん中、重要な臓器に難題を抱える少年。紹介元の病院から受け取った患者のデータには、身体も精気も薄い写真が添付されていた。>>44
生憎200年以上昔のことは忘れてしまったし、そもそも若い患者はあまり此処を訪れない。若ければ若いほど治療に意欲的なものだ。夢も未来も諦めて辿り着くには早すぎる。
カルテとペンを用意して、診察室のソファを見下ろす。 カウンセリングも同じ場所で行う為、座り心地には気を使っているが、子供が心を寛げさせるようなものはない。]
(84) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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―― 夜・街中 ――
[リンディンには夜空を飛ぶ影がある。 正確には跳ぶであるが飛んでいる本人は認めない。
漆黒のマントを纏った姿は理想的な"吸血鬼"。 どうして夜に飛ぶのかと問われれば、 『その方が吸血鬼らしい』と真顔で答える始末である。
カメラを片手に"吸血鬼"視点の写真を撮影する。 唯一持ち合わせている高い身体能力を駆使して 屋根の上を伝い跳ぶ。
普通の人間には見れない景色を見ていることは 作家としての強みであった]
(85) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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んー、
[少し考えてから、時計を確認した。 少年の来院までまだ時間がある。
窓から外を臨めば、柔らかい風が丘を撫でていた。*]
(86) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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[とある日のとある夜。 何時ものように夜空を飛びまわり撮影を重ね >>81とある倉庫の上に降り立った。
古い倉庫は屋根も壁も襤褸であり リンディンの街に相応しくない建物だった。 何れは再開発の波に呑まれ消えていくのだろう。 そう考えると資料として残す価値はあるかもしれない。
珍しく興が乗ったジャーディンは 倉庫を撮影して回ることにした。
屋根の上から撮影が終われば屋根から飛び降り地面に着地する。 下から見上げるアングルで外観を撮影して回り 一周すると扉に手を掛けた]
(87) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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[『めきょ』などという金属が拉げる音がして扉が開く。 どうやら鍵が掛かっていたようだが "吸血鬼"の前には無力である。
中を覗きこもうとしたジャーディンは 背中へと手を回すと振り下ろされた鉄棒を掴んだ。 振り返ると驚いた表情の男が居り額に青筋を立てていた。
無言の一撃は"吸血鬼"でなければ 下手をすれば死んでいたかもしれないものである。 三百年も生きていれば気配くらい気づけるし、 ある程度の喧嘩も出来るようになるものだ。
"吸血鬼"的には愚かなる人間に対しては シリアナから鉄棒をぶっ刺して地面に刺すのが 正答ではあるがそこまでやってしまうと 過剰防衛だと言われ法律的に裁かれてしまう]
(88) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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グスタフは、診察室に81(0..100)x1本の白い野草を飾った。
2019/10/05(Sat) 21時頃
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……世知辛い世界に噎び泣き 黒い悪魔の様な法律に感謝しろ
[宣告の言葉と共に顎を掌底打ちし脳を揺らして気絶させる。 周囲には物音に気付いたのか知らないが 何人か近寄ってくる音がしたので同様に意識を刈り取った。
そうして年齢の異なる男たちを川の字に並べると ジャーディンは躊躇なく全員のズボンを下ろして ベルトで後ろ手に拘束し草むらから生えるしめじを並べて放置した]
(89) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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[倉庫の中に入ると意外にも誰か住んでいる雰囲気があり、 広い敷地の所々に毛布やブルーシートで 覆われた囲いがあった。
ジャーディンは変わらず珍光景を撮影して回る。 そうしていると地面に大きな蓑虫が転がっていた。 麻縄で簀巻きにされているのはどうやら少女であり、 拉致されてきたとしては身形が汚らしく 外のしめじたちの仲間のようにも見える]
今時簀巻きとか前衛的すぎるな
[そう呟くとシャッターを切っていき、 簀巻き少女の資料を入手していくのであった*]
(90) 2019/10/05(Sat) 21時頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 21時頃
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[その日も、日々積もっていく刹那の続き、いつもと変わりない日常のはずだった]
は?嫌だわ
[働く気がないのに早起きだった。 午前中、ドミトリーの共用スペースで3日前の新聞を眺めながら一服していた。 そこへたまたま、持ち込みの”仕事”がやってきた。 一つずつはさほど低い確率ではなく、 たまたま それらが巡り合わせただけ]
今日はやる気ない
[長い前髪の下から、顔見知りの男を見上げた。 他を当たれと言わなかったのは、今日は働く気なかったけどやる気を出させてくれるならいい、という意思表示で]
(91) 2019/10/05(Sat) 21時半頃
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─ 路上 ─
ダウンタウン方面か。ふぅん
[バイクにまたがって、小包を受け取った。 急ぎの配達の依頼、 正規のメッセンジャーを呼び出す時間が惜しいのか、中身に問題あって頼みたくないのか。 ツヅラは中身に興味はなかったが、報酬の他に昼食代と、なんだかいう地元の作家の小説一冊で手を打った]
……じゃ行って来るわ
[エンジンの回転数が上がる感触と音。 タイヤが路面を噛んで、走り出せば革のジャケットが都会の風を受けとめる]
(92) 2019/10/05(Sat) 21時半頃
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[古いけれど、そこそこの馬力と頑丈な骨格が売りのバイクを繰って、目的の住所へ。 渋滞するストリートを避け、裏路地を飛ばして。 車両通行止めの階段は縁を駆け下りて まあ、自転車を使うメッセンジャーよりは速いだろう。
チャイナタウンを抜けて、スパイスの香りのする店の角を蹴るように曲がり、一方通行の暗く湿った道を走り抜ければ、広い路へ戻って来る]
(93) 2019/10/05(Sat) 21時半頃
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ち、邪魔
[目的の建物の少し手前、黒塗りで図体のデカい車が塞ぐスペースに舌打ち。 高級車すれすれの真後ろにバイクを駐め、外したメットをハンドルに引っ掛けた。
指定の時間には間に合っている。少し早すぎたくらいだった。 尻のポケットから烟草を抜き出して、唇の端に咥えた。擦ったマッチは用が済めば、携帯灰皿にねじ込んで**]
(94) 2019/10/05(Sat) 21時半頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 22時頃
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― 今から二百年前のお話 ― [シャンシャンと鈴の鳴る音が遠くから聞こえる。 窓の外に飾られたキラキラの飾りはとても綺麗。 ターキーを、ケーキを、ご馳走を焼く匂いがする。
「クリスマスおめでとう、パパ!ママ!」
「いい子にしていた私の可愛いぼうや。 サンタさんがきっと素敵なプレゼントをくれるわ」
「たくさん遊んだらゆっくりお休み。 愛しているよ、お前は私達家族のの宝物だ」
お祝いをする声が遠くから聞こえる。 温かな声、幸せそうな声、 愛された子供と優しい家族の幸福な一場面]
(95) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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[ ――でも、その中にいつも僕はいなかった。 いなかったよね。父さん、母さん。
家の中に設けられた僕の部屋。 夥しい本と武器と菓子に囲まれた”独房”の中。 僕は使用人が放り投げた鼠の生き血を啜り窓の外を見る。 (ドアも窓も、僕が外出できないよう施錠されていたけど)
世界の福音は遥か彼方、僕の元へは届かない。 でも、ねえ、お願いしたら叶えてくれるかな、ねえ?]
サンタさん。僕、今年はとびっきりいい子にしてます。 勉強もいっぱいしました、両親の言いつけも全て守りました。 そうして全ての人々の幸せを祈り続けました。
だから、ねえ――、お願い、サンタさん。
[吐息を吐けば室内だというのに寒く、息は白く。 香る匂いは今しがた啜った鼠の血の生臭さ。 (それでも、命を捧げてくれた君を儚く想う)]
(96) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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僕に友達をください。
[祈り続けて幾星霜。 ああ、叶わない、敵わない。
世界の全てが僕を否定し拒み続けた。 (それでも、僕はやっぱりこの世界が案外好きで)
誰からも愛されず、求められなくても。 やっぱり僕は諦めきれなくて、 たくさん勉強したノートの端、 そこに僕は僕だけの”友達”を作り出した]
(97) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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君は可愛い女の子。 ピンクのおさげ髪に眼鏡をかけてる女の子。 甘いものが好きでよく食べてて、 ……そう、僕とも一緒に食べてくれたよね。 それから、いつも公園で日が暮れるまで遊ぶんだ。 何があっても君は僕を見捨てない。 何があっても君は僕を裏切らない。 大切な大切な、ずっと傍にいてくれる僕の友達。
[(――ええ、そうよチトフ。私の大切なお友達) どこからか、声が聞こえた気がした。
だからああ、やっぱり君はそこにいるんだって思えて]
(98) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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[大切な友達だもの、名前もつけてあげなくっちゃ。 何がいいかなぁ、いいかなぁって考えて]
……アリス! アリスにしよう! 僕の大切な友達。
ねえ、ねえ、これから先もずっと一緒にいようねぇ。 どこまでもどこまでも。 ずっとずぅぅーっと、僕ら一緒なんだぁ。
[(ええ、そうね。チトフ。私達ずっとずっと一緒よ)
ふふって楽しそうに笑って、 さらさらと僕はアリスと僕の物語を本に壁に書き綴る。 (寂しい石壁も、経済学の本も軍事書も!) そうしてやがて僕の中に築かれる。 誰も踏み入れない永遠の理想郷が]
(99) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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[世界の全てに拒まれ、否定され続ける日々。 でも、それでも。 僕にはアリスがいるから生きていけた。
アリスは僕の光、僕の希望。 僕の――僕だけの、永遠の友達。*]
(100) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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── 余命宣告から明けて ──
[『残りの人生を好きに過ごしたい。』
漠然とした息子の願いに、両親は困惑していた。 無理もない。彼らからしてみれば息子は体調を除けば 何ひとつ不自由のない生活をしていたから。
幼体に鞭打って働かせることもなければ>>22 寒空の下に放り出したこともなく。>>33 莫大な治療費を惜しげもなく支払い、 希む前にすべてを与え、尚、顔色を窺っていた。
不運な星の元に生まれた吾子が 少しでも幸せに暮らせるようにと。
彼らにとっての"正しい愛情"が、 ただでさえ浅い呼吸を更に圧迫しているとも知らず。]
(101) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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[とはいえ、自身でもじゃあどうしたいのか、 具体的な願望はすぐには浮かばなかった。
ほぼ休学に近かった学校へ行こうか。 勉学以上に、遅れた交友を取り戻すのは憂鬱だが ずっと家にいて、専用の看護師や家庭教師から 監視と機嫌伺いと、億劫な視線を貰い続ける生活は 病院のベッドで過ごすよりも気詰まりして、退屈だ。
残り僅かの時間の過ごし方を考える中、 主治医から紹介されたのは「アルブレヒト医院」>>32 診療案内を見るに、如何にも匙を投げられた患者の 終末医療、といった印象を受けたが。]
ここなら、うちが持っている別荘からも近いし ……行ってみようかな
[一時の退屈凌ぎくらいにはなるだろう。 それに、最先端の設備が揃う都会の大病院しか 知らぬ身として、個人経営の病院に少し興味があった。]
(102) 2019/10/05(Sat) 22時頃
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── アルブレヒト病院 ──
はあ、……っは… あ、の、 …藪医者め…
[別荘から歩いて行ける距離、に間違いはなかった。 ただし健常者に限る。 道中になだらかな丘があるとは略式の地図から 読み取れず、運転手を置いてきたことを後悔した。 ──が、退き返せはしない。 そんなことになれば不承不承、緩んだ過保護が 更に厳重なものになると目に見えている。
息が切れる度に立ち止まり、滲む脂汗を拭い、 田舎独特の柔らかな風を受けて睫毛を伏せる。>>86
目的の建物は少し前から視界に映っているのに 全く近づいている気がしなかった。]
(103) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[曇天を、ただ見つめていた]
(104) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[零れてくる雨粒に目を細めて、鉛色の空を仰ぐ。
指先を動かす力すら既になく、 天から零れ落ちる涙をただ無気力にこの身に浴びる。 体が凍えるように冷たくて、震えが止まらない。 肌に張り付く濡れた亜麻色の髪が、 今はただうっとおしかった。
今年の冬を越せないであろうことは、 なんとなく分かっていた。
それでも、こんなにあっけないものかと あたしは他人事のように思う]
(105) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[僕のアパートメントがあるのは、いわゆる中流層の住宅地。 富裕層と貧困層に挟まれた場所に位置する公園は、今日も穏やかに時間が過ぎていき。 散歩から帰ってきたのは、一時間半ほど経った頃。]
……ただいま。
[返事をする相手の居ない部屋に帰ったなら、調理器具のないキッチンへ向かい。 ドッグフードを用意しながら、ふと。]
(106) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[華やかな大通りから外れた路地裏で、 血反吐を吐きながら息絶えてゆく。
――なんと惨めな最期だろう!
そんな自分の身を嘆く気力すら 今のあたしには残されていなくって、 すべてを諦めていつまでも曇天を見つめていた。
だから、知らない女の人の名>>63で呼ばれて 「大丈夫かい」>>64と彼に声を掛けられたときも]
(107) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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("...The cloudy sky disappeared.")
(108) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[あたしは彼の影で空が見えなくなったことにしか 意識が向かなくって、何の反応も示さなかったと思う。
ふわり、と身体が浮き上がる感覚。 自分が抱きかかえられたことに気付くのに しばしの時間を要した]
……ないてるの。
[なんで、あたしはそう思ったんだろう。 あたしの頬を伝う雫も、彼の頬を伝う雫も きっとただの雨粒だっただろうに。
それでも、彼の「死ぬな」>>66という声が 泣きそうなほどに悲しい響きに満ちていたから あたしはハッと息を飲んだんだ]
(109) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[首筋を噛まれた痛みすら、もう感じなくて。
どうして彼があたしを 助けようとしてくれているのかも、分からなくて。
ただ。伝わる振動が、彼のあたたかさが、 あたしを助けるために彼が必死になっていることを 何よりも雄弁に物語っていた。
不思議な人だなあって、 あたしは虚ろな瞳でじっと彼を見上げる]
(110) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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今日はあいつ、来なかったな。
[ぽつり。 こぼれたのは、ここ一月程の間よく訪ねてくる男のこと。 自ら吸血鬼の眷属を望む、物好きだ。 いらない、と断っても懲りずに頼みにやってくるそのしつこさにはほとほと呆れるし、正直うざったいと思うことも多いけど。 あの男の話を聞くのは、嫌いじゃない。
仕事の話をはじめ、面白かった映画や、まだ読んだことのない本の話。そして僕にはなかった、学校の話。 だから訪ねてきたら部屋に上げるくらいは構わない。]
(111) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[催促するよう傍らに身を寄せる頭を撫でてやり。 フードボウルをリビングのいつもの場所へ置けば、飛びつくように顔をつっこむ犬に目を細め。 なんとなく仕事に戻る気も起きず、ソファに腰を下ろせば、テーブルに積んだままの本を一冊手に取った。]
……まあべつに、待ってるわけじゃないしな。
[これはただの休憩時間だ。*]
(112) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[こんな痩せこけた孤児を助けたところで、 きっとあなたには何の益もないのに。
――赤と白。サンタさんの衣装みたいね。
白いシャツに滲んだ血の赤を見て、 そんな場にそぐわないことを考えた]*
(113) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[こんな調子であったから、白亜の壁を間近にしたのは 予定時刻より30分ほど後だったかと。]
あ──…国立リンディン大学付属病院から 紹介を受け、 まし…た、…
フェルゼ・シューマッハと申し…、ます
[緩いニットの胸元に手を当て、ゆっくりと呼吸して それでも挨拶が途切れ途切れとなるのは、 発作というより単に緊張しているからだろう。
想像以上にこぢんまりとした施設の様子と、 看護師すら在席していないような規模、それから。
道中に耳にした噂。主治医が隠していた事実。 ──曰く、此処の医師は"吸血鬼"だということ。]*
(114) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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――"サクラ"のはなし――
[東方の島国で生まれ育った男は、世間から見れば「恵まれた」環境にいた。
代々政治家の家庭の長男は、幼い頃から興味がある習い事は何でもやらせて貰えたし、勉強が出来れば両親も祖父母も褒めてくれた。 子どもが貰うには充分過ぎる額の小遣いを貰い、上等なオーダーメイドの服を身に着け、父親に同伴して大人の社交場にも顔を出した。
誰もが彼は父親の後を継ぎ、ゆくゆくはこの国を背負って立つ総理大臣になると思っていただろう。 誰も、彼が内に秘めた計画に気づくことはなかった。]
(115) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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― 百年ほどの月日のお話 ― [僕の家は、僕の産まれた家の一族は、 世界中に数多の武器を売りさばく死の商人の家。
「ホワイトウルフ」って怖がられてたんだ。
それを先祖代々に渡って護り、受け継ぎ続けたんだ。 当然、僕もそれを受け継ぐはず、だったんだけどね。 僕の成長が10歳から止まった時、 両親達は僕を見捨てたんだ。
「子供を作れない子供はいらない」ってね。
世襲制で受け継がれる会社。 だから、子供のままの僕はいらないんだって。
10歳まではいっぱい愛してくれたのに。 僕はいらないんだなぁって思った]
(116) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[彼だけが、自分の居場所は此処ではないと思っていた。]
(117) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[そうして、吸血鬼じゃない人間の子供を産んだら僕はいよいよ自室って名前の独房に監禁だ。 僕は生まれた人間の子供の補佐をするべく一日中部屋に篭って勉強ばかりしていたよ。
つまんなかったけど、僕、頑張ったよ。 だって、だって、ねえ。 頑張れば、きっといい子にしていれば。 サンタさんは僕のお願い、聞いてくれるよね?]
サンタさん、あのね。 僕、勉強いーっぱい頑張るから、だから。 僕をホワイトウルフの社長さんにしてください。
[そうお願いして数十年経ったかなぁ? お父さんはよぼよぼのお爺さんになって、 僕より後に生まれた子供は恰幅のいいおじさんになって。 いっぱい時間が経ったねぇって思いながら]
(118) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[気付けば、僕は会社の全権限を受け継いでたんだ。 恰幅のいいおじさん(僕の弟)がね、
「チトフの経営手腕には敵わない。 私はチトフに会社の権限を全て譲渡したい」
って、言ってくれたんだ。 だから僕、うんって素直に頷いたよ。
やっぱりサンタさんはいるんだなぁって。 僕、その時とっても嬉しかったんだ。 だから、プレゼントをもらった子供みたいに笑うんだ]
(119) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[だが「子ども」の内は反抗しても何の得にもならないことはわかっていた。 父親に反抗した秘書が無様な末路を辿るのを幼少の頃から目の当たりにしていたからだ。 だから、表向きは従順な子どもを演じて与えられた金と時間とを減らされない努力をした。
そうして18になった。
まだまだ世間では大学進学率が高くなかった時代で、国一番の難関にも余裕で合格できるだけの学力を持った男は――ほんの少しだけ両親に期待してみることにした。]
(120) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[『モノを つくる 職業に就きたいのです。 美大を受験しても、』
良いですか、という言葉は紡げなかった。 父親の拳が飛んできたからだ。 母親は息子が殴られたというのに心配顔ひとつもせず、反抗した男をまるで虫けらを見下すような冷たい目でじっと見ていた。
期待は無駄だったと知った男は、そのまま家を出た。
隠し口座に貯めてあった金で国すら捨てた。
行先は、芸術が発展した国だ。 長命の――「吸血鬼」が住む街へ、船を乗り継いだ。*]
(121) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[それからね、お爺さんになったお父さんが死ぬ時にね。 僕、ベッドの傍で優しくその手を握るんだ。
「チトフ、ホワイトウルフはお前に任せたぞ」
って、お父さんがそう言うから。 僕、にっこり笑ってお父さんに言ってあげるんだ]
うん、安心してお父さん。 僕これからこの最高につまんない武器会社を、 なんとなく気分で楽しそうだから美味しいお菓子会社にしてあげる。 武器会社も工場も、もう全部ぶっ潰してやったよ。 これからは銃をチョコレートに、弾丸を飴玉にして、 世界中にお菓子をいーっぱい売りさばいていくんだ。
[にっこりと僕は父さんに僕の夢を語る。 その時の父さんの顔! すっごく面白くて今でも笑っちゃうなあ]
(122) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[爆破した工場の動画、稼働し始めたお菓子工場の写真。 全利権を手中に収めた僕の書類。 代わる代わる父さんに見せながら]
あ、そうだ! 会社の名前も変えちゃおっか。 ホワイトウルフ、なんて正直ダサイもんね。 ホワイトラビットにしよ?
白兎はアリスの友達なんだよ、知ってた? ねえねえ、可愛いでしょ? ねえったらぁー?
[僕は虚ろな目で虚空を見る父さんをゆさゆさ揺すって]
(123) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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あっははははははははは!!!!!
[とってもとっても、楽しそうに笑うんだ。 子供が蟻の巣を踏み潰すように。 (だって父さんも弟も蟻以下なんだもの!)
サプライズプレゼントが成功した子供みたいにはしゃいで。 (そういえばもうすぐクリスマスだね。 最高のプレゼントになったかな、父さん)
そうして、父さんが臨終するまで傍で見守ってあげたよ。*]
(124) 2019/10/05(Sat) 22時半頃
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[ころころと、口の中で飴玉を転がす。 今日はこれで70(0..100)x1個の飴だった。
ホワイトラビット社の主力商品。 「アリスの微笑み」
あれからどれだけの月日が経っただろう。 今やホワイトラビットは世界有数の菓子会社だ。 僕はその社長として「世界中の武器をお菓子に変えた平和の人」ともてはやされて賞ももらったかな?
みんなが僕に優しくしてくれるようになった。 (でも、みんなはいつ僕を裏切るのかなぁ?) 大切に、愛してくれるようになった。 (でも、結局最後は裏切るんでしょ?)
でも、どうしてかなぁ? いつもちょっぴり寂しいんだ。*]
(125) 2019/10/05(Sat) 23時頃
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チトフは、飴を無邪気にころころ口の中で転がし続けた。
2019/10/05(Sat) 23時頃
炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/05(Sat) 23時頃
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――と、こんな時間か。
[呟きは、誰に拾われることもない。 男が過去を思い出して佇んでいた場所には、かつてもう二人男が暮らしていたが、今はどちらもいない。 窯には火の気配はなく、かつてテーブルいっぱいに並べられていたガラス工芸品の数は今やほんの数点のみ。
ヒトひとりが生涯作れる数には限りがあるのだ。
元の持ち主から受け継いだ工房をあと何年守れるのか――
出来れば、出来得る限り、長く。 その為ならば、何だってする。
吸血鬼の「眷属」は、ヒトの寿命を延ばせると聞いた。 これしかない、と思って始めた訪問だった。]
(126) 2019/10/05(Sat) 23時頃
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――「吸血鬼」のアパートメント――
[工房兼自宅は町中からやや離れた場所に存在する。 そこを出て暫く歩いて目的地に着くと、日はすっかり傾いていた。]
ごめんください、
[声楽も習っていた名残か、職人となってからも声の張りや響かせ方には力がある。 所謂バリトンボイスは室内にいる人物に届いたか。]
「俺」を押し売りに来たよ。 それと、美味い酒を。
[相手は学生に見えるが自分よりもずっと年上の吸血鬼だ。 酒を勧めても捕まることはないだろうが、本人が飲めるかどうかまでは確かめていない。 飲めなければ持参したお猪口には別の液体が入ることになるだろう。]
(127) 2019/10/05(Sat) 23時頃
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ソウスケは、扉が開くまで35(0..100)x1秒カウントした。
2019/10/05(Sat) 23時頃
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[痛みと苦しみを和らげるの診療所は生に遠く、死に近い。 沢山のものを捨てた人間が辿り着く最後の場所だ。 完治を諦め、せめて穏やかに死にたいと願う人々の。
インフォームド・コンセントの観点から、自身が吸血鬼であることは隠していないが“万能”と呼ばれる治癒力を持つ吸血行為を患者らから求められたことは一度もない。 無論、どれだけ真摯に求められようと治療行為として吸血する気はないが、此処に訪れる多くの人々は既に生を諦め、死を受け入れている。 そもそも痛みや苦しみから逃れ、死に縋りついてきた人々は何処か達観しているものだ。二度目の生を受け、すり替えた苦しみに喘いでも生きたいと思うほど愚かではない。
喧噪を遠ざけ郊外に診療所を構えたのも、患者への安寧を追求した結果だった。穏やかな風が吹く場所は心に優しい。 ―――― が、万人の身体にも優しいかと言えばそうでもない。>>103]
(128) 2019/10/05(Sat) 23時頃
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えっ、歩いてきたの。
[少年に思わず聞いてしまってから、自らの失言に片目を歪めた。怒った心算はないがまるで咎めるような物言いになったのは仕方ない。 彼が来院したのは予定時刻を三十分ほど過ぎた後。 てっきり今回の紹介状も破られたのだろうと、気を切り換えた直後だったのだ。直前の無断キャンセルと言うのも珍しくない。]
いや、此処までの道のりは結構急勾配だから。 歩き慣れていないと辛いだろう?
[この時期は確かに白いレースの花と柔らかい風が気持ちが良いが、心臓に難のある少年に歩かせる傾斜ではない。 挨拶より先に言い訳を口にして、苦笑しながら掌を差し出した。ようこそ、と彼の手を軽く握って握手しようか。]
(129) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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あら、御免なさい [声がした>>94 目が自由でないぶん、耳は敏感に出来ている 次いで、漂う香りにそちらへ顔を向ける 何を見るためでもない。何が見えるわけでもない。 反射的にそうしただけの行動だったが、図らずしもそれが決定打となった] ……、まあ [女の声色が嬉々として弾む]
(130) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[腕に抱いた感触は、 かつて自ら死を望んだ妻の重さよりも軽かった。
セイルズは焦燥の滲んだ瞳で、 腕の中にある小さな体を 反応の薄い少女の顔を見下ろした。
ひび割れた唇が紡ぐ「ないてるの」を うまく処理できずに、 唇を歪ませて苦しそうに笑ってみせる。]
……大丈夫だよ。 大丈夫だから。
(131) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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("Please kill me, darling. I wanna be with you forever.")
(132) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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私はアルブレヒト。 これから君の主治医になる。 ――― シューマッハくんさえ良ければ、だがね。
今日はカウンセリングだけになるが……、 今後も歩いて通うなら、丘の下まで迎えにいこう。
[年配者の患者相手にはもう少し丁寧な敬語を使うが、対面した少年の幼さに少々砕けた。 儚く薄く折れそうな少年は重ねた掌すら、包み込んでしまえそうだった。*]
(133) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[耳元で優しい声がする。 見下ろした幼子の白い顔に妻の笑顔が重なる。
セイルズは否定するように小さく首を横に振り、 口の中に広がる甘い味に見て見ぬふりをしながら 振り切るように言葉を吐いた。]
(134) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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…………殺したりしない。
[地を蹴る。 灰色の空を映し出した水溜りが白く揺れて、 真っ黒な傘が転がった。
にぎやかなクリスマス・ソングが 場違いのように流れる街中を プレゼントの時間に遅れそうなサンタクロースのように セイルズは少女を連れて駆け抜けた。]
(135) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[1人で暮らすには広い自宅の扉を開けて、 自分のベッドが濡れるのもかまわず、 寝室に少女を横たえ 冷え切った体にタオルをかける。
血を吸ったところで 吸血の力が病魔に勝てるかはわからない。 死の足音のほうが近いかもしれない。
まずは救急車が先か、と慌てて電話を手に取る様は 子供を世話する事にはまるで慣れておらず、 早口で住所を言い終えてから、 セイルズはようやく少女に再び向き直った。]
(136) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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今、救急車が来るからね。 大丈夫だから。
[セイルズは努めて落ち着いた様子で呼びかけたが 濡れた髪の毛をタオルで拭ってやる手つきは震えている。
何を語りかければいいかもわからずに 救急車のサイレンが聞こえてくる頃合になって、 ようやく、再び唇を開いた。]
(137) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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僕はセイルズ。 きみは、なんという名前だい。 ……仲間になんと呼ばれているんだい。
教えておくれ。
[震える声が薄暗い部屋の壁を打つ。 救急車のサイレンは、もう間近にまで聞こえていた。*]
(138) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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なんて、美味しそ…… いえ、 あなた、とてもいい香りがするのね [思わず本音が洩れかけた紅い唇をぐいと引き締め、 穏やかに笑みの曲線を描く] [ふだん嗅ぐヒトの香りといえば、使用人の加齢臭くらいのもので。 べったりとしたヤニの匂いの裏側で囁くように馨る 久々の若い人間の――新鮮な血肉の香りに女の胸が密かに踊る 杖を引き摺るのも忘れ 足は花に誘われる蝶のごとく引き寄せられ] 車はすぐに退かすわ。 でも、それより……
(139) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[そうして彼女の頬へと手を伸ばす]
私と、永遠の夜を見ない?**
(140) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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― 甘い施しとたくさんの”アリス”達 ― [ころころころころ。飴玉を転がす事70個! 頬張ればそれだけで微笑みが溢れる素敵な飴玉。 僕の大好物なんだ。
吸血鬼っていいね。 虫歯があってもすぐ治っちゃうもの!
ところで、僕はお菓子会社の他に、ポケットマネーでささやかな孤児院も運営してるんだ。 少しでもこの街から可哀想な子供が減ればいいなって。 僕がみんなのお父さんになってあげるの。 (もちろん、救えない子もいるよ。>>22>>40 でも、僕は僕の手で救える精一杯を救うんだぁ)
孤児の子達はみんな可愛らしくて一途だよ。 お父さん、お父さんって。 僕より大きな子も、みんな僕を父親みたいに慕ってくれる]
(141) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[だから僕、にっこり笑って子供達を抱きしめるんだ]
大好きだよ、僕の可愛いアリス達。
[愛情を込めてそう呼べば、みんな笑ってくれる。 ”アリス”――それはこの孤児院の子供の呼び名。
大人になるを拒み、子供を無心に護り続ける。 永遠の子供。 そんな僕が贈る子供達への、最高の愛の言葉だ。 (ある人はそれを”呪い”と言うけれど。 ――誰が、言ったんだったっけ……?)*]
(142) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[来訪者の声に、パサリ、と足元に寝そべっていた大型犬の尻尾が揺れた。>>127 頁をめくる手を止め、一瞥した玄関のドア。 ソファから動かずにいれば、催促するよう足をつつく犬の鼻先にため息をつき。 仕方なく本を置いて、向かったドア。
開ければそこに立っている男を見上げて。]
……どうも。 押し売りは間に合ってる。 酒だけ買い取ろう。
[素気ない口調で、いつものお断りを口に乗せ。 ちらりと眼鏡の奥の目を向けたのは、その手元の酒。]
飲んだことがない銘柄だ。
[外はすっかり陽も落ちて、ひんやりとした空気が頬を撫ぜる。 僅かに首を縮めれば、冷気から逃げるように一歩下がり。]
(143) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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美味い飲み方を教えてくれるなら、 おまけも一緒に入ってもいいぞ。
[もうひとつ。 毎回この男が選ぶ手土産も、嫌いじゃない。*]
(144) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[待合室と、形ばかりと思しき受付にて対面した 医師からの。開口一番の台詞に唇が歪む。>>129
此処に通う患者は専ら自家用車か、タクシーか 日に数度、この近くを通過するバスを利用すると 知るのはもう少し後のこと。
まさか主治医も、患者がいきなりこのような 大冒険に及ぶとは予見しなかったのだろう。]
────…いえ、 多少の運動は必要です、し 景色を楽しみながら歩いていたので 遅くなりました
[解りやすい言い訳と強がりを口にしつつ、 視線は道すがらにも目にした大量の野草へ。]
(145) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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[騒がせないことが目的だったらしく 打たれたのは、麻酔のような薬だった。
眠る直前のような感覚に、思考が纏まらない 話し声や感覚もどこかぼやけて感じられる。 そんな状態で、仲間達の話し声に耳を傾ければ]
──夜があけたら……? お父さんは、もう?
[面白半分もあるのだろう。 丁寧に説明される言葉に、のたりと首を傾ける。
最初から自分は囮であったこと。 犯人としてカメラに顔を撮られる役割が必要で そのために、他に繋がりの少ない自分が選ばれたこと。 夜が明ければ"お父さん"同様に海へ落とされること。 そんなことを他人事のように聞きながら、意識はぼやけていき]
(146) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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────── ……ぅ、ん
[次に起きたのは倉庫の外で物音が聞こえた後>>88>>89
ぼんやりと瞼を明ければ 目の前でカメラを構える人の姿があって>>90]
あのね苦しいのも、冷たいのやだ 写真も、死ぬところを撮られるのはいや
[なぜ写真を撮られているのかはわからない。 それでも、死んでいくところを撮られるのは嫌だと 駄々っ子のようにしきりに『嫌』と首を振る*]
(147) 2019/10/05(Sat) 23時半頃
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……、 …あ、の
[活けるにしても摘み過ぎじゃないか。 道中、所々剥げていた白の絨毯を思い出したせいで 握手を辞する機を失った。
如何にも血の巡りが良さそうな、 大きく太く、厚くて、熱い。 発育不良な少年の手指とまるで違う形と、 慣れない他人の体温に思わず肩が跳ねる。>>133 ともすれば怯えているように見えたかもしれないし 実際、少しだけ慄いてもいた。
彼が吸血鬼だから、だけではない。 思えばひとりで外出するのは何カ月かぶりで 知らない場所に知らない人とふたりきり、というのは ほとんど初めてに近かったから。]
(148) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 00時頃
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ええー?
[断り文句に眉を下げるのも最早何度目か。>>143 自分よりも低い位置にある髪は、彼の出自が自分と同じ国であることを示唆する色をしている。 足元では大型犬が自分の訪問を歓迎するように尻尾を振っていた。
土産を彼の視界にちらつかせれば、どうやら下戸という訳ではなさそうな反応。 感情が表情に表れやすい男は途端に口元を緩ませる。]
こっちに来る前は、飲める年齢じゃなかったのか? 取り寄せたんだ、 ――東の方から。
[冷気から逃げるように離れた距離を、踏み出した一歩が縮める。]
(149) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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入れてよ。 上手く酔わせてやるから。
(150) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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[彼は何だかんだで優しい。 眷属になることは断られるが、なんだかんだで部屋に入れてくれるのだから。>>144
吸血鬼にとって、ヒトと同じ食物が同じ栄養効果を齎すものではなくとも。 それを理由に土産を断られたことは、一度もない。]
おじゃまします、
[普段の会話はこの街の公用語だが、それに置き換わらない故郷の言葉はそのまま口にする。 挨拶を省略できないのは、棄ててきた家の躾の賜物かもしれない。]
(151) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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きゅうきゅうしゃ。
[聞き慣れない単語に、目を瞬かせた。
そんなものを呼ばれても、 払うお金なんてあたしには一銭もなくって。 それを伝えようとしても、口が上手く回らない]
セイルズ、さん。
[消え入りそうな声で、彼の名を呼んだ。 不思議と、その名前の響きは あたしの耳によく馴染んだ]
(152) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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……ミルフィ。
(153) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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ファミリーネームはないの。 ただの、ミルフィ。
[それが、あたしの名前。
結露で曇った窓の向こうから、 けたたましいサイレンの音が聞こえてくる。 ぼうっとした頭で、外の赤色灯を見つめていたあたしは そのとき気付いたんだ。
ああ、あたし。 いま中に入れてもらえたんだ>>33って。
途端に、安心感と疲労感に意識が遠のく]
(154) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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("Sir, Father Christmas...")
(155) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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[ねえ、サンタさん。
ずっとずっと欲しいものがあったんだ。 もう、ひとりぼっちはいやなんだ。
――あたしは、家族が欲しいです。
あたたかさに包まれて。 視界が、真っ白になった]*
(156) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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[緊張と困惑は、医者でなくとも伝わるだろう。 気さくな態度を前に、じ、と顔を見上げ。]
フェルゼ、でいいです。アルブレヒト、先生。 こちらに通うかどうかは… カウンセリングを受けてから考えます 迎えについても
──…あの、……
[そのまま、飲み込まれそうな錯覚を覚えて 握り込まれる前にさっと右手を引こう。>>133
触れ合った時間はほんの僅かであるのに 常に冷えている掌に残る温もりへの違和感を、 拳を握って、開くことで紛らわせ。]
(157) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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鍋借りるな。
[借りる、とはいえこれもまた男が持ち込んだものだが。 何せこの家には調理器具らしきものが殆ど存在していなかったので。
もしかすると家主よりも既に台所に立つ回数は男の方が多いかもしれない。]
新作。 こっちが徳利で、こっちがお猪口。 陶器が一般的なんだけどさ、ガラスでつくると中の酒が煮えるのがよく見えて綺麗だよ。
[そうして火元に誘う。 沸かした湯に酒を入れた徳利を置き、温める。 ガラスの中で揺れる液体はアルコールの香りを室内に広がらせた。]
(158) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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熱燗より温めの燗が好きなんだよね俺は。 だからここらで引き上げて……っと、あちち、 ち、
[タオル越しでも感じる熱に思わず声を上げつつトレイに置いて、並べたふたつの桜のお猪口と一緒にテーブルに誘うようにトレイを軽く持ち上げて見せた。*]
(159) 2019/10/06(Sun) 00時頃
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先生は吸血鬼だって、本当ですか 痛みを和らげる治療ってもしかして
……血を…吸うの…?
[質素なソファに、背筋を伸ばして腰を下ろす。 何と口にするか逡巡する間もなく 向ける問いは、彼にとってはありふれた誤解。>>128
別にいきなり取って食われるなんて思っちゃいない。 ただ、ただ。 吸血鬼と言えば血を吸う、という程度しか 世間を知らない雛が、急に野生に飛び出して 何をどうすればいいのかわからない。 そんな心細さを乗せた視線が、じ、とあなたを見上げる]*
(160) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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ミルフィ。 かわいらしい名前だね。
[セイルズは舌足らずに己の名を呼ばれ、>>152 微笑んで頷き、少女の名前を呼んだ。
孤児院はあれど、 その救いの手から零れ落ちた子供の1人。 ファミリーネームも無いなら、 生まれてすぐ捨てられたのかもしれない。
咄嗟にそんな孤児に手を伸ばしてしまった事実を 自覚するのはまだ先の話だ。
暖めた室内と外気の気温差で窓が曇る。 救急車の鈍い光が目を射る頃合になって 迎えにいかねばと立ち上がろうとした。]
(161) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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|
……ミルフィ?
[目の前の少女が目を閉じている。 セイルズは慌てて彼女の顔を覗きこむ。
そしてその口元から寝息がこぼれている事に気づけば ほっと息をはいて目を閉じ、軽く頭を掻いて笑った。
薄暗い部屋の中を静かに出ていく。 ほどなくして呼び込まれた救急隊員が少女を運ぶ。
救急車に同乗しながら、 セイルズは心配げにその顔を覗きこみ その小さな頭を無骨な手のひらで撫でた。]
(162) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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(「子供が――欲しかったわ。 あなたとの間に子供がいれば……
……何かが変わったかしら……」)
(163) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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―― 冷たい雨降る日の後 ――
[少女の罹っていた病は、吸血の力か医療の力か いずれかによって癒えただろう。
どれほど入院していたかわからないが、 すっかり病気が癒えてしまってから、 セイルズは少女と目線をあわせ、彼女にこう言った。]
(164) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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君の血を飲んだ。 ……「吸血鬼」はわかるかい。
わからなくても良い。 良いんだ。 けれども、これからいう事をよく聞いておくれ。
君はこれから、ミルフィ・ウォルフォードだ。 僕が、君の「パパ」になる。家族に、なる。
もう、路地裏で眠らなくていいんだよ。
(165) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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[ミルフィの肩を両手で優しく持って セイルズは努めて微笑んだ。
咄嗟に眷族にしてしまった少女への罪悪感。 これからうまく育ててあげられるかという不安。 ……人の血への「怖れ」。
それら全てをひたかくしにして 孤児を養子に迎えた吸血鬼教授は、 眼鏡の向こうの瞳を撓めて、優しく微笑んだ。**]
(166) 2019/10/06(Sun) 00時半頃
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[彼を迎える素朴な野草は診療所中に飾られていた。 レースのような白く小さい花が幾つも集まって咲いているが、花瓶はひとつだけ。あとはグラスや水差しで賄われている。
お蔭で彼が何処へ眼を向けても、彼と同じ白銀色が視界を彩った。ようこそ、と彼を言葉で迎える以上の歓迎が静かに香るように。]
勿論、君の人生だ。 君が少しでも安寧を感じられる手伝いが出来れば、 医療に携わっている者としてこの上ない。
私と合わなければ、知り合いのホスピスにも当ろう。 どうしても相性というものはあるからね。
[揺れた指先に釣られるほど若くはない。 だが、その緊張と戸惑いを無碍にするほどヤブでもない。
言外に無理強いしないと告げれば、逞しい掌で軽く圧を掛けてから手を解放し。]
(167) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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私は君に必要だと思えば投薬も生活改善も指示する。 だが、相性が悪ければそれもストレスに感じるだろう。
[よく躾けられているが少し人見知りで、少し負けず嫌い。 人との触れ合いに慣れていないのは生活環境故だろうか。 彼と言葉を交わしながらも、そんな風に彼の欠片を集めて頭の中で繋いでいく。
見上げてくる眼差しを見つめ返せば、緩く掌をスライドさせてソファを勧めた。老いた患者らが半日半生を語っても腰が痛くならないほどふかふかだ。]
ドクターで構わないよ、フェルゼくん。 いや、もっと畏まらない方が話し易いかな。
(168) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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[向かい合わせに腰を落ち着けた己も、久々の若い患者に距離を測りかねていた。此処に辿り着く者にしては彼は若すぎるのだ。 彼に定められた運命は遠くない死に繋がっているのだと、自身を都度都度説得させねば忘れてしまいそうになるほど。]
………、
[その上、勿体ぶった上で吐いたのは、子供が御伽噺の怪物を怖がるような言の葉だ。>>160 幽霊って本当にいるの?と神妙な面持ちで聞かれる親はこんな気分なのだろうか。否、自身は結婚する気も、子を成す心算もないが。]
(169) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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[YESNOで回答するのは簡単だが、わざと焦らすように間を置いて足を組み替える。]
君に必要なのは―――…、 そういった都市伝説を笑い飛ばす友人かもしれないな。
[ポツリと呟けば、大きく息を吐いた。]
(170) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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[>>147写真を撮影していた簀巻き蓑虫は声からすると女の様である。 身体的特徴が分からないので半信半疑である。
頻りに首を振る様を写真に収めて首を傾げる]
流石に"吸血鬼"たる俺の叡智を以てしても、 写真を撮られるのが嫌しかわからないぞ
[シャッターにかけていた指を離してカメラをポケットにしまう。 その後、簀巻き芋虫の頬を突く。 栄養価が足りていないのだろう。 柔らかさの足りない感触である]
何故苦しいのか分からない 冷たいのは今か、昔か、どちらだ どうしてお前は死ぬのだ
[締め付けがきついのだろうか。 地面に転がっていると寒いのだろうか。 死ぬほどの怪我をしているのだろうか]
(171) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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それで死ぬところを撮られるのが嫌なら、 お前はどうしたいんだ
外のしめじに並びたいのか?
[頬を突くのを辞めて顎に指を添える。 力を入れこちらを向かせると 赤い瞳で簀巻きの瞳を見下ろした**]
(172) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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俺は其処までヤブじゃねぇよ。 あのな、フェルゼ。 誰に吹き込まれたかしらないが、 お前、担がれてるからな?
[少々凄んで告げれば亀の甲より年の功。 背中をどっかりとソファに預ければ、指摘に組んだ両手から人差し指を立てた。]
(173) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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その世間知らずを直してやるから、来週も来い。
[彼が世間に理解を深めても、先は長くない。 彼には明確な終わりがあって、己もそれを知っている。
だが、少しでも心と体が穏やかで在れるように。
彼に提案したプランニングは酷く素朴なものだった。 部屋を白く飾る、小さな花のように。**]
(174) 2019/10/06(Sun) 01時頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[そのわざとらしく下がる眉や緩む口元に対して、敢えて無表情のままあしらうものの。 年齢を持ち出されれば微かに顔を顰めながら、こくりと頷いた。>>149]
ああ。 この国に来たのは二十歳より前だった。
[別に隠すことでもない。
こういう時その低い声は、押し売りというよりも。>>150 懐いて甘えてくる犬のような響きを含んでいて。 ちらりと傍らでご機嫌な大型犬と交互に見て、はぁ、と息をついた。
何にせよ、自信ありげな物言いに呆れた目を向け。 早く入れ、と顎をしゃくれば室内へ。]
(175) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[懐かしさを思い出させる言葉に、どうぞ、と短く返し。 キッチンへ入っていく男の邪魔にならないよう、少し離れた場所で犬の頭を撫でながら。>>158]
別に、あんたが持ってきたものだ。 好きに使えばいい。
[ここ一月で、キッチンに物が増えた気がする。 元より、普通の人間ならば栄養になるはずの食事が栄養にならないこの身だ。 娯楽的要素しかない料理を、わざわざ口にする気もなければ。調理など論外である。
それでも一応、毎日犬用のフードボウルを洗うために立つ回数なら負けはしない。たぶん。]
(176) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[リンディンを目指した理由は単純に自分がつくりたい モノ に出逢う為だった。 異国は初めてではない。既に数度旅行でも父の仕事の同伴としてでも訪れていた。 語学も堪能な男は特に痛い目を見ることもなく日々を過ごし、その内ガラス工芸品に魅せられ、その職人に弟子入りし、幸せな毎日を過ごした。
『インプットを疎かにしてはいけない』
師の教えは元々の男の気質に合っていた。 貪欲に知識を吸収し、よく遊び、よく食べた。 そして制作にも真面目に取り組んだ。
売れるモノをつくれるようになってからは、自らの苗字「佐倉」に通じる故郷の花「桜」の意匠を好んで取り入れた。
このままずっとこうして死ぬまで師匠と――そしてその一人息子の兄弟子と一緒に工房でガラスを生み出していくことを信じて疑いもしていなかった。]
(177) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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……それ。 あんたが作ったやつ?
[手際よく準備をしていく手元に見えた、ガラスの器。 グラスには小さく、不思議な形をしたそれを本の中でだけ見たことがある。]
ふーんどれどれ。 …………曇って見えない。
[誘われるまま、一歩近づいて男の横から覗きこめば。 温度差に眼鏡のレンズが曇り、渋い顔ですぐに一歩下がる羽目になった。 ぶすっとしたままレンズを拭って掛け直し。]
火傷するなよ。 人間の傷は、治りにくいんだから。
[見た目は同じでも、ただの人間は脆いのだと。 棚からしまいこんだトレイを出してやり。 ふわりと漂う酒の香りに、ほんの少しくらりと視界が揺れたのを、傍らの犬の頭を撫でて誤魔化した。]
(178) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[常駐する看護師や偶々不在なのか、 元から存在しないのか定かでないが、 質素な診察室を飾る花が誰によって活けられたかは 要所に感じる無骨と無計画さから察せられた。 これまで受けたことのない、素朴な歓迎の意。>>167]
僕の、人生……
[握手というより、握られた、に近い感覚の 掌を開閉しながら、反芻する。 はたしてそんなものがあるのかと言わんばかり。
重ねて、患者の意志を尊重する言葉に>>168 疑心暗鬼になるのは、病状と未成年という立場から そのような機会、与えられた覚えがないから。]
(179) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[『サクラ を 見に 行こう』
と、
彼は言った。]
(180) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[それが、この街には咲かない薄桃色の花のことなのか、飛び出したまま帰ってもいないのにいまだ捨てずにいる「佐倉」のことなのか――聞きはしなかったがきっとその両方だったのだろう。
国を出るのが初めてと言う兄弟子の為に、色々手続きをした。 二人で桜を見て、もし機会があれば遠目からでも生家を見て、二人で帰る。 そしてまた日常に戻って切磋琢磨しながら師匠が大事にしてきた工房を二人で盛り上げようと話した。
だが彼が船に乗ることはなかった。 納品の為に工房を出て街に行ったところで、自動車に跳ねられて呆気なく逝ってしまった。
さよならも、 ――言えなかった。]
(181) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[一人息子を亡くした師匠は塞ぎ込んで、食事を受け付けなくなった。 まるですべてのインプットを拒むように、起きている時間が短くなった。
師匠がまだ掘られて間もない土の横に埋められるまでには、然程時間はかからなかった。]
(182) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[遺言らしきものを口にした時、師匠が正気だったのかはわからない。 病院のベッドの上で男の手を握り、「工房を頼む」と、それだけははっきり聞き取れた。
自分も息子も必ず生まれ変わるから。 それまで頼む、と。
嗚呼その輪廻転生の発想は、自分が持ち込んだ故郷の宗教観だ。 自らの罪深さを嘆き、苦しみ。 それでも来世を信じる師匠を肯定した。
長生きをして、工房を「返す」と――"冥途の土産"に約束を与えた直後、師匠は息を引き取った。]
(183) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[長生きしなければならない理由が出来た。 今まで以上に健康に気を遣い、防犯意識は高めるけれど、そんな微々たるものではなく、もっと時間が必要だ。
師匠が入院していた病院の医者は吸血鬼で、肉体年齢が老いないままもう長く時を生きているという。 男は今更吸血鬼にはなれないが、吸血鬼に吸血されることにより「眷属」となればより長くを生きられるだろうという「答え」はすぐに算出できた。 手っ取り早くその医者に頼まなかったのは、単純に。
『どうせ長く生かして貰うなら、その間ずっと血を捧げるなら、好みの顔がいい』
そんな我儘極まりない理由からだった。 医者にも好みはあるだろうし、その場合多分男のように30過ぎた元々健康で筋肉質の髭面はきっと範疇外だろうが、打診する前に思っていたことなど、話さなければ相手に伝わることもないのだから良いのだ。]
(184) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[準備ができたらしい酒と共にテーブルに移動したなら、今度は湯気を立てる酒に注意して距離を取りながら。 徳利とお猪口を覗きこんで。]
……これ、どうやって持てばいいんだ?
[コップのように持つには、小さすぎる。 ガラスに浮かぶ桜の模様を指先でなぞりながら。 隣に座った男の手元を見つめて、お手本を急かそうか。]
(185) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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…………、 なるほど。こうか。
[男の持ち方を真似して、お猪口の片方を口元へ運んでみる。 強くなる香りに再びくらりと視界が揺れるのを覚えながら、透明な酒を一口。 少し温めの液体が通り過ぎた後、舌と喉が熱くなるのに目をぱちぱちと瞬かせた。]
……不思議な味だけど、悪くないな。 もう一杯。
[酒を飲めないことはない。 ただ、料理と同様にほとんど口にしたことはないだけだ。 つまり飲んだことがなければ、酒の限界量を知る由もなく。
数分後。 僕はくらくらとする頭を支えきれずに、テーブルにつっぷしていた。**]
(186) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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――さて、アパートメントにて――
そう。出来たてほやほや。
[この家には既に男の作品がいくつも存在している。 ガラスはもう見慣れたかとも思うけれど、この吸血鬼はこうしてちゃんと「興味」の片鱗を示してくれるから、男は緩んだ目元を締める間もない。>>178
眼鏡が曇るのに合わせてむくれるのを見れば、ククッと喉奥で笑いを噛み締めた。]
そりゃあ悪かった。 ……曇らないレンズはまだつくれていないな。
[眼鏡を外した視界では、男の表情は見えるだろうか。 鼻当ての形に凹んだ鼻梁になんとも言えない笑みを浮かべる髭面はちょっと――いやかなり、気味が悪いかもしれない。]
ニンゲンじゃなくなれば、治るようになるんだろう?
[忠告には、営業で返す。]
(187) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[ソファは、少年が座るには些か柔らかすぎる心地。 恐らくこういった医院を利用するのは 末期のがん患者や、老人が多いのだろう。
少しでも穏やかに余生を過ごせるように? それとも、ひと思いに……?
"緩和医療"の主旨くらいは理解している癖、 それが吸血鬼によるものだと知った途端 覗かせるのは稚拙な恐怖と、仔猫のような好奇心。
関わる理由も機会もない故に、これまで興味もなく 結果としてお伽噺めいた印象しかなかったが "ホンモノ"と対峙できたのだ。 確かめたくなるのが人間(ヒト)の心理というもの。]
(188) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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こうやって、ちょっとずつ注いでちびちびやるんだよ。 一気に呷ると回るからな?
[持ち方を問う吸血鬼に、手本を示す。>>185 二十歳前に此方に来た>>175とはいえ、一度も大人がこうして飲む機会を目にしなかったのだろうか。 どこまで踏み込んで聞いても良いものか躊躇して、今はその疑問を飲み込むことにした。 地雷だけは踏みたくない。
最初は「顔が好み」で「近づきやすい同郷出身者だから」近づいた吸血鬼に気に入られようとしていた。
でも今は]
……美味いか?
[この物静かな吸血鬼の反応のひとつひとつを楽しみにしている自分がいる。 勿論眷属にして貰いたい気持ちは薄れてはいないけれど――焦って別の候補を探すことは、まったく考えられない程、この訪問そのものを楽しんでいた。]
(189) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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[──しかし。 微妙な反応に、何かまずいことを口にしたかと 別の不安が過った、直後。>>170]
な、……ッ
[返る指摘は、図星のど真ん中を突く。 無知で世間知らずの餓鬼と馬鹿にするよな台詞に 憤慨が追い付かないのは、急に瓦解した態度と 凄みのある啖呵に心臓が跳ねたから。>>173
羞恥と戸惑いで巡る血液が頬に紅を差し、 きゅ、と筋肉が収縮するのに呼応するよな痛みに 胸元を押さえ、眉根を寄せて。]
(190) 2019/10/06(Sun) 01時半頃
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びっくりした…… 急に大声出さないでください、よ
……さっきは僕の自由って言った癖に…
[結局、命令されるんじゃないかと不満を漏らすも 不思議と不快でなく、拒否を示さないのは。
彼が向ける視線が、これまで自身の周りにいた 大人たちとまるで違うことに気づいたから。
"シューマッハ社の可哀想な御曹司"ではなく。 いち患者として、フェルゼ自身のことを 観て呉れるような気がしたから。
来週もこの曜日でいいのか、時間は、とか。 日常の中で特に気になる、痛む部分を早速伝えて。]
(191) 2019/10/06(Sun) 02時頃
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[酒が喉を通るのに瞬きをする様子を見る男の顔はまた何とも複雑な笑みだった。>>186 乞われれば素直に酌をして、酒だけ飲むのは胃に負担がかかるからと、さっと台所に立っては前回取り寄せた故郷の野菜を置いていたストッカーから取り出した長ネギを焼いてオリーブオイルと塩をかけるだけの簡易つまみも提供した。
酒精にほんのり赤く染まる頬に思わず触れそうになる手は、モモを撫でることで誤魔化した。]
(192) 2019/10/06(Sun) 02時頃
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……ドクター?
[何か言いかけたような気配に口元を窺うが 気のせいか。 ここで、ドクターも牙って生えてるの、と聞けばまた 都市伝説だなんだと言われそうだから黙っておいた。]
(193) 2019/10/06(Sun) 02時頃
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……アレ? もしかして……潰れた?
おーい、アオくーん、 ここで寝ちゃ駄目だよー ……って判断で来てたらこんなんなってないッスよねー。
[その内かくりと吸血鬼の頭が傾いだと思ったら彼は既に目を閉じていて。 声を掛けてみるものの、自力で寝室には行けそうにない。
うーん、と思案は数秒。
突っ伏しているテーブルから腕を引き抜いて自分に引っ掛け、身体の下に自らの手を差し込んで持ち上げる。 びっくりするぐらい軽くて、おかげで戸締りを先に出来たくらいだ。
覗いたことのない部屋の扉を開けて寝台の上に吸血鬼の身体をそうっと横たえる。 もしもの場合に備えて頭の角度はあった方が良いだろうと自分の腕を枕にして、もう片方の手でずり落ちそうな眼鏡を外し。]
(194) 2019/10/06(Sun) 02時頃
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[酔いに任せた呟きは、吸血鬼の耳元を掠める。
欲望を持て余した男もいつしか眠りに落ちていた。**]
(195) 2019/10/06(Sun) 02時頃
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[────思い返せばひどい初診であったが、 翌週、少年は予約した通りの時間に医院へ現れた。 やはりひとりで、今度はバスを使って。
次も。その次の週も。
医師が吸血鬼だと主治医が明かさなかったのは 知れば両親が反対すると予想したのだろう。 実際、少年が通院すると決めた理由も、 彼の態度が他の大人と違ったことが一番だが グスタフ・アルブレヒトが吸血鬼だった部分も大きい。
両親への、ひと匙ほどの反抗心と。 これまで何の変化もなく。 息をしながら死んでいるような生活に、 何かしらの変化を齎してくれそうな予感と、期待]
(196) 2019/10/06(Sun) 02時頃
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[変化は訪れたか? ──わからない。 ただ、少年の通院歴は何度か体調を崩し欠けはせど その後も定期的に続き、次第に回数も増え。
その頃には、吸血鬼に対する正しい知識も備わり、 交友と信頼を重ねたことによる態度の軟化と 相変わらずの無神経な好奇心は、 彼の耳に痛い問いを拭き込むことも幾度か。
何故、血を吸わないのか。眷属を持たないのか。 行為が招く弊害も多少知りはしても、 それが生きていくための糧で術ならば、仕方ないのでは。
意見の対立は、暫し口論も招いたか。 最終的にはいつもはぐらかされるか諭されて終わり、 何となく歯がゆい心地だけが、胸の底に残る。]
(197) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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―― 冷たい雨降る日の後 ――
[それからの日々は、 めまぐるしくってあまりよく覚えていない。
体にたくさんのチューブを繋がれて、 段々とそれが外れていって。
お医者さんは「すばらしい回復力です」を 連呼するばかり。
病院食はあたしにとってはすごいご馳走で、 毎日こんな食事がとれる病院は 天国みたいな場所だって神さまに感謝をした。
隣のベッドの子が、 いつもまずそうに病院食を食べていたのが とても不思議で印象的だったけれども]
(198) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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……きゅうけつき?
[あたしはセイルズの言葉>>165に、 こてりと首を傾げた。 まだ読み書きもできなかった6歳のあたしにとって、 そんなものは御伽噺の世界の話。
けれど、続くセイルズの台詞に あたしはひとつ、ふたつと大きく瞬きをして]
あたしたち、家族に、なるの。
[ぽつりと呟いた囁きは、存外に大きく病室に響いた]
(199) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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あたし、もう、ひとりでいなくていいの?
[瞳から、涙があふれた。 入院着で拭っても拭っても、涙が止まらなくて。 あたしは困った顔でセイルズを見上げた]
もう、さむいところで、寝なくていいの?
[肩に置かれたセイルズの手は、あたたかくて。
そのときあたしは、 サンタさんが夢を叶えてくれたことを知ったんだ]
(200) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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……パパ。
[ぎこちなくセイルズをそう呼ぶと、 くしゃくしゃになった顔で彼に抱きついた]
(201) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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[その日から、あたしは ミルフィ・ウォルフォードになった]*
(202) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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―― それから ――
たくさん、お勉強がしたいの。 パパ、あたしに文字の読み書きを教えてくれる?
[セイルズは偉くてすごい大学の先生なんだって 病院で看護婦さんが言ってた。 だからあたしは退院すると、まずそんなお願いをした]
(203) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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[家族っていうものが どういうものなのかあたしは知らなかったから。 セイルズに捨てられるのが、怖かったから。
――だって、親は簡単に子を捨てるものだって あたしはようく知ってる。
あたしは勉強をして、 すこしでもセイルズの役に立とうと思ったんだ。
またあの冷たい路地裏に戻るのが、ただ恐ろしかった]
(204) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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[香ばしいトーストの匂い。 湯気を立てるティーポット。
テーブルマナーのなっていないあたしは 慣れないナイフとフォークを見様見真似で使いながら、 セイルズと共に朝食をとる。
ふと、疑問に思っていたことを彼に聞いた]
ねえ、ママはどんな人だったの?
[会ったことのないあたしのお母さん。 あたしによく似た、髪と瞳を持った人]
(205) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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[しばらくセイルズと過ごせば どうして彼があたしを助けたのか、 幼いあたしにも朧げながら事情が察せられてくる。
だから、聞きたかった。
あたしに似た、クラリッサという人のことを]**
(206) 2019/10/06(Sun) 02時半頃
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[季節は巡り、気づけば3年の月日が流れ。 風の冷たさを肌で感じる季節に、嵐は突然、訪れた。
季節の変わり目の影響もあり、急降下する体調。 揺らぐ情緒は、理性をすり抜け、本音と違う感情を 一番向けたくない相手にぶつけてしまう。]
先生……吸血鬼って、すごい長生きで 滅多なことじゃ死なないのに、さ
なんですぐ死ぬ奴の相手ばっかしてんの それってむなしくなんない?
[すっかり座り慣れたソファで膝を抱え、 こんな調子の日は来るべきじゃなかったと悔いても襲い。 共に過ごした時間の中で、彼の抱える孤独の一端や どんな思いで医師として患者と接しているか すべてには足りずとも、まったく知らないわけでも なかった筈、なのに。]**
(207) 2019/10/06(Sun) 03時頃
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[烟草の煙が溶けていく、リンディンの空は小さく、燻んでいた。 大都会には燦めく摩天楼もあれば、ネズミの這い回る下水道もある。
夢のように甘いお菓子の並ぶ店。 異界めいた霧の街角。 そういうもののごった煮]
ん
[小さく瞬いた。 かけられた声>>130に空から目線を下ろして、 そうしたら走った痛みに。
胸が絞られるような痛み、弾む動悸]
(208) 2019/10/06(Sun) 09時頃
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[随分と。目立つ外見のひとだった。 仮面も、それに一部隠された容姿も、障害を示す白い杖も含めて]
……いい香り?
[浮世離れした、幻想のような遭遇。 海霧の底を歩くようなふわふわとした足取りで近づいて来るそれに眉を寄せる]
別に、そっちも用があって停めてるんだろう 早い者勝ちだよ
[車が邪魔だったのは事実にせよ]
(209) 2019/10/06(Sun) 09時頃
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[そうして顔へと伸びてきた手に、一歩後ろへ下がった。 烟草を指の先で摘んで唇から離す。火が見えていないのだと思って]
それ、ナンパ?
(210) 2019/10/06(Sun) 09時頃
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永遠を見たいなんて 思ったことないけど
[女の顔を眺める。 ほとんど、街で看板の文字をつい読んでしまうのと同じ感覚で]
永遠の夜──なにそれ美味しい?美しい?
[皮肉げだと言われる声。 愛想笑いは省略しがち。 女の紅い唇に浮かぶ表情の色を眺めながら**]
(211) 2019/10/06(Sun) 09時頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 09時頃
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[カメラを構えている人は、若い男の人のようだった>>171 フラッシュの光がちらつき、顔まではよくわからない ただ目の前の靴は仲間の履くものとは明らかに違う 綺麗に磨かれて光沢のある、高い靴]
きゅうけつ、き? ──ん、と。ごめんね 頭の中、ぼんやりしちゃってるから でも、……うん。写真はやだ
[この人は仲間ではないのだろうか 素直に止んだシャッター音に微かに思う。
頬を突かれれば相手の顔が間近に見え 金の髪や、宝石のような瞳の赤が一瞬目に映り 綺麗なものを避けるよう、視線をそっと逸らし]
(212) 2019/10/06(Sun) 10時頃
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冷たいのも苦しいのも、これから 夜が明けたら海に落とすんでしょ? そうしたら、死ぬ
[締め付けもたしかにきつい コンクリの床もたしかに冷たい けれど、先にある冷たさや苦しさの方が上。
冷たいのも、苦しいのもこれからの事 ここにいるのなら、知ってるでしょ?と 倉庫の隅を見つめたまま独り言のように呟けば また質問を投げかけられ>>172]
……ぇ、しめじ?
[訊ねられたことより、まずその単語に意識が奪われる。 どういう意味かと口を開きかければ、顎に指先がかかり]
(213) 2019/10/06(Sun) 10時頃
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撮るなら生きてるところがいい ……死ぬのは、いや
あのね、本を読んでもらったの それに沢山、楽しいお話も
[思い出すのは半日前、一緒にいたあの子のこと。
皺のない服も、梳られた髪も ささくれのない指先も、全てが羨ましくて]
死にたくない まだ生きていたい、な
[叶うならあの子のようにと 朦朧と口にして、また夢見るように瞼を閉じた*]
(214) 2019/10/06(Sun) 10時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 10時頃
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― 今から数年前のお話 ―
[シャンシャンとすずの鳴る音はいろんな場所で。 街中でかざられたキラキラの飾りはとてもきれい。 それもそのはず。 だってもうすぐ、クリスマスなんだもんね。]
おみせやさん、こんにちはー! あのね、ありす、くださいな。
[手の中ににぎったおかねは、アリスの微笑み>>125ふたつぶん。]
(215) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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[ほんとはチョコのほうが好きだけど わけっこで食べるお小遣い、ちょっと足りなかった。 しょんぼり。 でも、アリスのほほえみもとっても美味しいから わたしはとってもうれしい。
おみせやさんにありがとうございます、ってご挨拶して かったばっかりのおおきなめがねがズレちゃったら よいしょってなおして。
太陽に透けたらピンクに見える、あんずのいろのおさげをゆらして 今日は会えるかなって。
わたしは、そのすがたをきょろきょろ探す。]
(216) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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おにいちゃん、今日はあえるかな?
[わたしのお兄ちゃんとおなじくらいの男の子。 でもわたしのお兄ちゃんと違ってやさしい。 いじわるだってしない。
みっかまえ公園でであって、いっしょにありすわけっこした。 おなまえも、すんでるところもわかんないけど またいっしょに食べたいな。
おにいちゃんの分と、わたしの分を手の中に きょうは数を46(0..100)x1数えれたら会えるかな?
公園でぶらぶら、あしをゆらして いーち、にーい こえにだす。]
(217) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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おにいちゃんにあえたら おたんじょうかい おさそいしなきゃ
[かばんのなかからスケッチブック取り出して
おにいちゃんへ。 お手紙と、おとうさんおかあさん、お兄ちゃんが笑ってる顔と こいぬのアリスのえを描いて
さいごにわたしとおにいちゃんが仲良く手を繋いでる絵を描いて 「きてください」 って書いて。
あえるかな、あえるかな
きょうは、あえるかな、あえるかな―――]
(218) 2019/10/06(Sun) 10時半頃
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―――
(219) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[真っ白な病室で 清潔に整えられたミルフィの体は瞬く間に回復した。 その様子にセイルズは安堵の息を漏らす。
吸血鬼のことは、やはり六歳児には分からないようだった。 ――否、わからなくて良い。>>199
いっそ眷属であるという自覚もなく、 妻を蝕んだ「 」の病さえ、現れてくれなければ良い。
セイルズはただ彼女を生かしたいだけなのだから。]
(220) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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そう、家族だ。 ……これからは僕がいる。
ひとりじゃないよ。 暖かい部屋で眠っていていいんだ。 ……ミルフィ。
[ミルフィの瞳から涙が溢れ出すのを、 セイルズは落ち着かない心地で見ていた。 この子はどれほどの孤独にどれだけ耐えてきたのだろう。 そう思えば胸が苦しくなってくる。
血が繋がっていない、とはいえ、 すでにその血を汚した後だ。
赤の他人とももう思えずに、 セイルズは優しくミルフィの頭を撫でる。]
(221) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[「パパ」という音が鼓膜を打った。 幼い腕が体に抱きついた。 産声などなくとも、それで十分だと思った。]
ミルフィ。
[セイルズは少女の名を呼ぶ。 自分がつけた名のように、優しく呼んで 腕にすっぽり収まってしまう小さな体を、 ぎゅっと抱きしめた。]
(222) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[その日から、2人は家族になった。]
(223) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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――それから――
……文字の読み書きを? ああ、もちろん、いいとも。
[退院後すぐにミルフィが言ったお願いに セイルズは微笑んで頷いた。 この子が小学校に行くための手続きもしなければ。
そう思いながら、「でも」と添えた]
遊んでも、いいんだからね。 ミルフィはまだまだ小さいんだから。
[何かを怖れるような眼差しに肩を竦めて>>204 警戒を解くのに苦労しそうだな、と思った。]
(224) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[セイルズはミルフィのために出来るだけのものを整えた。
1人で暮らすには広すぎた家の中で 殆ど空だった一部屋を子供部屋に作り変えた。 仕事の合間に彼女に読み書きを教えて、 できるだけ楽しい児童書・絵本をそろえた。
「食べている気がすればいい」 「血の味を誤魔化せればいい」
そう思い雑に作っていた食事を、 栄養バランスを考えて丁寧に作るようになった。
子供と暮らすというのは、数百年生きてきてはじめての事で セイルズはわからないなりに手を尽くした。]
(225) 2019/10/06(Sun) 11時頃
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[薄暗い灰色の部屋が、明るい家庭の色に塗り変わる。 それでも尚、リビングには白薔薇が鎮座した。]
(226) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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[ある日、朝食をとりながら>>205 ミルフィが尋ねてきたことに、 セイルズはぱちぱちと瞬きをした。 トーストを齧ってから珈琲を飲む。
今は使われていない一室のことに思いを馳せる。 クラリッサの部屋には 彼女が大切にしていた私物と、 セイルズと撮った写真が置かれている。
あの部屋の写真を見れば、幼いミルフィでも かつて”ママ”がいたという事はわかってしまうだろう。
セイルズは目を細めて「そうだね」と呟いた。]
(227) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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彼女は、僕の生徒だったんだ。 同じ歴史を研究していてね。 当時の女性が大学で学ぶのは珍しかった。 けれど、彼女は違った。
賢くて、明るい、白薔薇のような人だった。
[セイルズは2つのリングがつけられたネックレスを 祈るように握り、過日を思い出して少し目を閉じる。]
生きていたら、 ミルフィのためにケーキを作ってくれただろう。 彼女は料理が得意だったんだ。
(228) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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[それから微笑んでミルフィを見た。]
今週の休日は、お勉強をお休みして出かけようか。 遊園地とか、行ってみたくないかい?
[六歳の子供が喜ぶことはわからないけれど 出来るだけ勉強だけでなく遊んでもほしい男親は 考え付く限りで一番楽しそうなところを挙げて、尋ねた**]
(229) 2019/10/06(Sun) 11時半頃
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[>>213簀巻き少女?の答えに傾けていた首を戻す。 話の内容から察するに私刑の半ばであったようだ。 何とも前時代的で野蛮な内容である。
簀巻きのまま海に落ちれば間違いなく死ぬだろう。 死んだことがないので過程は分からないが そういう事もあるかもしれない]
お前はしめじも知らないのか?
[どうやら知らないようである。
>>214譫言を紡ぎ続けてはいるが>>212自己申告通り 頭が呆けているのだろう。 理解できないところもあったが 概ねは「死にたくない」に集約されるのだろう]
(230) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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蚯蚓のように地面を這いつくばるしめじも その内に起きるだろうしそうすればお前は死ぬな
成程、成程……生きていたいか
[問題は簀巻きは再び瞼を閉じてしまったことである。 何かしら危険な薬でもやっているのだろうか。 あまり触れたことがないジャンルであるために 持ち得る知識もそう多くはない。
普通の人間ならば病院にでも運び込むのだろうが、 生憎と"吸血鬼"たる身であるためにそれは最後の手としたい。
より"吸血鬼"らしい行動と考えれば――]
(231) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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……よかろう 死にたくないならばお前を俺の下僕にしてやろう 至高の"吸血鬼"ジャーディン・ヴィラドメアの眷属となれるのだ 感涙に噎び泣き24時間俺に尽くすがいい
[指先で掴んでいる顎を二度三度程引いて頷かせる]
宜しい、では血の誓約をしよう ――とは思うが先ずは家まで戻るか
[簀巻きを肩に担ぐと倉庫の外へと出た。 しめじたちは仲良くしめじをしていたので、 後でこの簀巻きに見せるために写真を撮影しておく。
撮影が終われば再びリンディンの夜空を飛んでいく。 今宵に月が出ていなくて幸いである。 何しろ何処からどう見ても事案である]
(232) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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―― 自宅 ――
[自宅に到着すれば簀巻きを床に敷いたマットレスの上に転がした。 麻縄をナイフで切って身体を解放してやると 頬を叩いて声をかける]
目覚めよ、少しは動けるだろう ……もしは動けないのか?
[それ程衰弱しているのだろうか。 産まれた時より吸血鬼であったため、 残念なことに人間の脆弱性を身を以て知ることがない。
見た目で言えばミドルスクールくらいだろうし、 何か口にすれば多少は元気になる気もするが――。
どうしたものか。 取り合えず着ているものは引ん剝いて湯で身体を拭いてやろうかと、 目覚めなければその衣服に手をかけていく*]
(233) 2019/10/06(Sun) 12時頃
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自由と無礼は違うだろう。 ほら、カルテ書くぞ。
[彼との間に横たわらせていた医者と患者の溝を埋める。 15歳の子供に必要なのは従順で臆病な大人ではない。試す心算で叱ったが、彼には案外効いたようだ。>>191
確かに彼は何処へ出しても恥ずかしくないプレミア付きの御曹司ではあるが、この場所に辿り着いたからには多くの患者と同じく死にゆく人だ。 痛みと苦しみを取り除き、代わりに柔らかなもので空隙を埋める。
患者の未練を解消するようにロールプレイを採用するのも、終末医療では珍しいことではない。――― その場合は大体が息子役となり、彼のように友人関係で括るのは初めてであったが。]
(234) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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基本的に投薬とカウンセリングで様子を見る。
時々は麻酔薬も使うが、 神経を麻痺させるだけなんで手術はしない。 同意書も時々書いて貰うことになるから、親に頼め。 んー、
[申し送りされた彼の病状と問診を合わせ、あっさりと計画を立てていくが、彼の身体は脆かった。あと五年持てば良い方で、手は全て尽くした後。 人の器の限界だ。彼の隣には死が寄り添っている。
未来在る少年に見えても、諦めるしかない命だ。]
(235) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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……グスタフだ。 俺は友人は下の名前で呼ぶ派。
[だが、控えめに問われた友情の確認にはっきりとした声色で是を返した。友達と呼ぶには些か年が離れ過ぎていたが、己にとっては世界の大半が年下だ。*]
(236) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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[二度目の来院の際、男は診療所の前で待っていた。 バスで来たと知れば、三度目はバス停で待った。
迎えに行くと約束しただろ。とは主治医の談。 子供扱いと捉えたかは彼次第。
毎週のメニューは決めた通りにカウンセリングと投薬が主。時折、麻酔によって交感神経を麻痺させる治療も行った。――― あとは、彼との雑談の時間も多分に取った。]
チェスにバックギャモン、オセロに……ショーギもある。 俺の方が強いから手加減してやるよ。
[最初のうちは他愛無いボードゲームを用い、慣れてくれば彼のことも聞いた。生き方と死に方、なんて重い話題ではない。趣味はなんだとか、好きなものはとか、親はどうだとか。そういった、15歳の少年がしそうな話題だ。]
(237) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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[医者と患者、兼友人。 そんな関係性で括れば、ゆっくりだとが彼も軟化する。 彼が軟化するまでは己も意図的に友人らしく振舞っていたが、一般人なら忌避するであろう吸血鬼の生態についてまで突っ込むようになってきた頃には大分境目が曖昧になっていた。>>197]
お前が考えてるほど良いもんじゃないよ。 マトモな吸血鬼なら眷属なんか持つべきじゃない。
医者の端くれとして言うが、碌なことにならない。
[のらりくらりと交わせば良いのに、彼の興味が強いほど此方の口調も強まった。彼は全く自覚がないのだろうが、己は唆される気持ちで好奇心に耐えていたのだ。]
(238) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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[20年も生きていないような子供に、己の孤独と空腹を理解しろなんて言う気はなかったが、それでも彼の言葉は毒のようだった。
己の吸血衝動は理性と言う名の杭で打ち付け、飼い殺している。 空っぽの腹の中に理性と多忙を詰め込んで働き、時折小動物の生餌に牙を立てて、吐き気を抑えながら人としての尊厳を守っているのだ。 だが、そんな己の惨めな生き方を、彼は肯定しない。
下がるべきは年長者である己だと理解していたのに、何度も熱くなった。 それでも最終的に折れて誤魔化したのは、己が成熟していたからではない。]
(239) 2019/10/06(Sun) 13時頃
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[
『自分が咬まれても、同じことを言えるのか?』
その言葉を、口論の終わりに何度も飲み込んだ所為だ。 糾弾にも文句にも聞こえるそれを喉に押し返すと、頭がスッと冷えた。
未来もなく、年端もいかない子供に問う言葉ではない。 ―――― 求めていい救済ではない。]
(240) 2019/10/06(Sun) 13時半頃
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[死が迫るほどに患者の精神は不安定になるものだ。 経験則から知っていたのに、時と信頼を重ねるごとに上手く躱せない頻度が増えた。
不安を上手く口にできない患者は沢山いる、命のコントロールが出来ないのに情緒を支配下に置けと言うのは無理な話だ。そんな相手にも安定して接するのが医者の務めであるが、彼相手にはどんどん下手になった。
今も、無意識に眉が跳ねた。>>207]
今ほどは。
―――……いや、言い返した。 違うな、如何してそう思う?
[冷えた声を絞り、理性で取り繕う。 頭を振れば腰を持ち上げて彼の傍まで脚を運んだ。
彼の体調を看るように掌を額に翳し、]
(241) 2019/10/06(Sun) 13時半頃
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……苦しみながら生きるより、楽に死にたいだろ。 誰だって。
[小さく零す溜息のような一片。 今必要なのは己の本音ではない。 患者の安寧を誘う言葉だ。
己の勝手な言葉は、窓を揺らす北風に紛れ、 彼の耳まで届かなければ良いと思った。*]
(242) 2019/10/06(Sun) 13時半頃
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[しめじが食材の一種なのは知ってる>>230 ただ、その名が出てくる理由がわからないだけ。 キノコが生えるような場所ではないと、頭の隅で考えて。
しめじが起きれば自分は死ぬ>>231 ならば一刻も早く、ここから逃げなければ そう思うのに瞼は鉛でできたように重たくて]
うん。生きていたい ──……ジャーディン
[ようやく口にできたのは名前の上半分だけ>>232
それでも相手の名を呼べたことに安堵して 誘導されるがままに頷くと、意識はそのまま闇へ]
(243) 2019/10/06(Sun) 13時半頃
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── そして ──
[次に気がついた時は知らない場所>>233 頬を叩かれ、どうにか瞼を開ければ 縄はすでに解かれていたようで]
……ここ、は?
[動けるかと訊かれれば のろのろと指先を動かし動けることを示す。 膝や手に傷はあったがそれは自分で作ったもの 他にあるのは擦り傷ぐらい、そう大きな傷はない。
とはいえ、打たれた薬の効果は切れてはおらず またとろとろと眠りの淵へ落ちかけて]
(244) 2019/10/06(Sun) 13時半頃
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──うん、
[うっすらと再度、瞳を開いたのは ちょうど、衣服に手がかけられたころ。
下に敷かれたマットレスと、脱がされかけた衣服 その光景は、自分にとっては見知ったものだから]
────……?
[怖いと思うわけもなく 相手へと、抱きつくように腕を伸ばした*]
(245) 2019/10/06(Sun) 13時半頃
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[>>244簀巻きは瞼を開くがすぐに閉じようとする。 死に体の人間がそうであるように 脳が活動を拒絶しているのだろうか。 矢張り危ない薬をヤっているとしか思えない。
指先は動かせてはいるし大した怪我はない。 海に没シュートされるとか言っていたし、 もしかすると睡眠薬の過剰投与でもされているのだろうか]
意識をはっきりと持て 此処は我が本拠地だ
[簀巻きを開きにして裸にすると下半身にはしめじはついていなかった。 簀巻きは少女であるようだ。
>>245腕を伸ばしてきたのでその手にペンを握らせる]
(246) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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しめじを知らなくても名前くらいは書けるだろう 死にたくないならこの書類の此処に署名しろ
[次いで見せたのは"血の誓約書"である。 ジャーディン・ヴィラドメア(以下、甲)の 眷属となる上での眷属契約書である。
その内容を確認させる時間も与えずに、 世知辛い世界の設定に従って契約書に署名させようとした*]
(247) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[────箱庭の中。 僕は、「アオ」と呼ぶ声に振り返った。
そこには、僕に微笑みかける彼女がいて。 僕は「母さん」と駆け寄って抱きつき。 抱きしめ返される温かい腕の中で、いつもの甘い甘い蜜をもらう。
いつから、僕の”しょくじ”がその赤い蜜だったのかなんて、覚えていない。 ただ彼女が僕と違うものを口にするのを見て真似してみたりもしたけど、やっぱり甘い蜜のが美味しかったし。蜜をねだれば、彼女が嬉しそうに笑ってくれた。
それが僕にとっての、”ふつう”であり。 僕と彼女にとっての、”しあわせ”だった。 それだけのこと。]
(248) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[優しい声が、僕を呼ぶ。 渇く喉に、その温もりを欲しがって。
僕は彼女へ、両手を伸ばそうと────……]
(249) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[ぱちん、とシャボン玉が弾けるように世界が変わる。 少しぼやける視界に、ぱちぱちと瞬きを。
そこには、見慣れた天井があった。]
………… 夢、 か。
[懐かしい夢だった。 箱庭だけが世界であり、それがしあわせなんだって疑いもしなかった頃の夢。 ゆっくりと息を吸って、吐いて。
ふと耳元を掠める息遣いに、くすぐったいそうに肩を揺らして。 寝返りを打ちつつ横を向いた、瞬間。]
(250) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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〜〜〜〜っ!!?
[思わず飛び起きた。]
なんでこいつが……、ぅ…頭痛い………
[ガンガンと殴られたように痛い額を手で押さえて呻く。 てっきり大型犬が横に潜り込んできたのかと思っていたのが、髭面の男だったとか。 頼まれても想像したくないが、今はこれが現実である。
そういえばなんか、ざりざりしたものが頬に当たっていたような気もするし。 枕もいつもより固い割に、温かかったような気がする。>>194]
眼鏡、眼鏡……ああ、あった。
[見つけた眼鏡をかければ、クリアになる視界と共に。 記憶も幾分かクリアになってきて。 間抜けな顔で眠る男を見下ろしながら、まさかの酔い潰れるという失態に、もう一度呻くことになった。]
(251) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[この一月で、わかったことがある。 押し売りと言いながら図々しく部屋まで上がりこんできたり。色々持ちこんでは、栄養にならない料理をわざわざ勧めてきたりするくせに。 僕の事情には、何故かあまり踏み込んでこない。>>189 だからしつこいお節介をうざったいと思っても、嫌悪を覚える程でもなくて。望みを断りはしても、来るのを拒絶しきれないでいたけれど。
この男なら大丈夫だろう、なんて。
いつの間にか、思ってた以上にこの男に気を許していることに気づかされて。 はぁ、とため息を吐き出した。]
…………そこまでして、 長く生きたいもんなのか。
[何かの折、眷属になりたい理由だけ聞いた覚えがある。 長く生きたい理由までは、知らないけど。]
(252) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[でもだったら、尚更。]
…………。 眷属になったからって、 長生きできるとは限らないのにな。
[そうであることを、僕は知っているから。]
(253) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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喉、渇いた……
[夢を思い返せば、疼くような渇きにそっと喉をさすり。 黒い瞳が探すのは、大型犬の姿。 散歩の時間には早いから、まだリビングで寝ているのだろうか。人間の食事から栄養をとれない僕が、ここ数十年なにから血を分けてもらって生きているかなんて言うまでもない。
例えそれが、吐き気がするような臭いのする不味いものだとしても。それしかなければ、我慢するしかないし。 実際、これまで我慢できている。
隣に眠る男の肌に向きかける視線を、引き剥がし。 起きないうちに”食事”を済ませてしまうべく、ベッドから降りようと。*]
(254) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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― 医者の忠言 ―
[患者の心身を安寧に導くのが己の使命であるが、医者として出来ることが限られる相手と言うは少なくない。特に生を諦め、死を抱き寄せるようになると、身体の痛みはともあれ、心は一気に摩耗する。 きっかけのひとつでもあれば、それこそ瞬きの間に命の灯火が尽きる。
――― とある職人気質の老人もそうだった。 年齢に似合わず矍鑠とした硝子職人だと聞いていたが、己の診療所に訪れた時には明らかに生を拒んでいた。>>182
彼ら一門が持つ宗教観には疎いものの、患者の魂は既に今生を見つめておらず、来世に向かっているように思えた。彼らにとって死とは土塊に還ることではないらしい。]
私の力不足です。 至らず申し訳ない。
[最後まで治療に携わったが、結局老人を送りだしたのは医療ではなかった。弟子と聞いていた青年だけが老人の寄る辺だったのかもしれない。>>183]
(255) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[ただ―――、
人を見送ることの多い終末医療に携わっていると、自然と理解出来るものがある。人が生を諦めているのか、死を望んでいるのか。その反対も。 そして彼の瞳に宿る何かの決意もうっすらと。>>184]
……止めておいた方が良いですよ。
[彼の思惑を察した訳ではないが、別れの握手際に、ついそんな言葉が零れていた。直感半分、御節介半分。深入りしないが釘は刺す。
もっとも、彼は医者の話を聞くタイプには見えなかったけれど。*]
(256) 2019/10/06(Sun) 14時半頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 14時半頃
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[医者は、男の瞳に宿る想いを見透かしたかのようだった。>>256
『血の気の多さなら自信あるんスけどね』
決意は変わらないと伝えるのには、その一言で充分だったろう。 医者には最後まで自分を噛んでくれと乞うことはなかった。
医者は「医者として」手を尽くしてくれていた。 遠い故郷に置いて来れなかった最敬礼でもって感謝の気持ちを表した男が次に医者の前に姿を現したのは――――……
]
(257) 2019/10/06(Sun) 15時頃
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[あの時には医者の言葉は単に「吸い尽くされて死ぬ」程度の悲劇を示していると思っていた。 その後勉強して、それ以外にもう一つ眷属の寿命を縮める致命的な「副作用」の存在を知った訳だけれど。]
…… "マスター"に依存して壊れる眷属の話なら知ってる。
[腕から離れようとするのを反射的に捕まえる。>>254 とはいえ寝起きだから、振り解こうと思えば簡単な力加減。
くあ、とひとつあくびをして「おはよう」と、微笑んだ。]
(258) 2019/10/06(Sun) 15時頃
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"マスター"しかいない、と思うから「そう」なるんだろ、きっと。 長く生きて、周りは死んで。 自分を保つのに"マスター"の存在だけが拠り所になるんじゃねぇのか。
[寝台の上には既に「傍ら」を奪うように大型犬が乗りかかっていた。 普段は男にも愛想の良い犬が、主人の喉の渇きを訴える呟きを聞いたからか、引きはがそうとぐいぐい圧をかけてくる。]
アオくん、俺は、さ。
美味いモン食うのも、それをつくんのも好きで。 ガラスに向き合ってる時は幸せで。 新刊が楽しみな吸血鬼作家もいて、映画だってまだまだ観足りない。
大事なモンが既にいっぱいあって、長生きしたい欲だけは人一倍あるし、そう簡単には死なねぇよ?
[話す内にモモの敵意が大きくなるのを感じる。 あまり食い下がるのもマズいかなと思いつつ、隣で一晩過ごしたからか、或いは昨晩の酒が抜けきっていないのか、いつもよりも踏み込んでしまった。 そうしないからこそ、今まで許されていたというのは内心で察していたというのに。>>252]
(259) 2019/10/06(Sun) 15時頃
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まー、あと、
アオくんが「美味い」って心から思ってる時のカオが見たいっつーのも、ある、
……なんて。
[踏み込んだところから引く為に、揶揄するように言う心算の言葉は存外告白めいて響いたけれど、髭面が照れても可愛くはないことはわかっているので、妙な空気になる前に今度こそ大型犬にポジションを譲った。
もふもふに視界を遮られれば、きっと男の表情は見えなくなる、筈。*]
(260) 2019/10/06(Sun) 15時頃
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[初めて医院を訪れた時の、世間知らずな坊ちゃんが 両親の愛情と過保護により育った結果ならば、 時に可憐な野草を平気で踏み荒らすよな遠慮のなさは ここで過ごした時間が培ったもの。
何人目か忘れた主治医で、初めての友人。 胎児を相手にするような煩わしさもあるだろうに 彼は、過不足ない気遣いと、これまで誰もくれなかった 本当は欲しくてたまらなかったものを呉れた。
それが医者としての演技だとしても構わなかった。 フェルゼにとって大事な友人であることに変わりない。]
(261) 2019/10/06(Sun) 15時半頃
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ふーん…眷属を持たない吸血鬼の方が よっぽどマトモじゃないと思うけどなあ
だって普通の血ってマズいんでしょ? うなぎのゼリーよりミンスパイが美味しいって 知ってるのにどうして食べないの
[ルールブック片手にボードゲームに勤しみながら 食事と同列に語るのもまた、歳相応の至らなさか。 吸血衝動を堪えることの辛さや苦悩は、>>239 心臓病の発作のように、他者には伝わり難いもの。]
(262) 2019/10/06(Sun) 15時半頃
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[眷属が持つ受難についても同じ。 そして、散々薦めておきながら自身が眷属になる という発想が微塵もないのは>>240 彼と自分の間に引かれた境界線によるもの。]
無理強いするもんじゃないだろうけど…… グスタフっていい奴だからさ 勿体無いなって 吸血鬼同士で結婚とかしな
あ!待て、それはダメ。ダメったら、 あー… また負けた……
大人げないぞ、グスタフ
[──どうあがいても、あと数年で消える命。 いまの、穏やかな関係はいつか絶対の終わりが訪れる。
彼を孤独から救うには、僕(人間)ではダメなのだ、と。]
(263) 2019/10/06(Sun) 15時半頃
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── 三年後の或る日 ──
[友人から医者の顔に切り替わるのを避けるように、 額に宛がわれた手を勢いづけて払う。>>242
これが、臓器が賄える質量の限界なのだろう。 成長期の終わりに差し掛かっても、あれから身長は 5センチほどしか伸びなかったが、これでも18歳だ。 いつまでも少年扱いされるのは癪に触る。]
は……ばかじゃないの 誰だって楽して生きたいに決まってる
[フェルゼよりずっと重く沈むソファを見下ろす。 だめだ、だめだと警鐘を訴えても逸る鼓動を 鎮められぬのと同じで、薄い唇は勝手に音を紡ぐ。]
明日には死ぬかもって怯えてる人に同じこと言える? ……言えるか。だって本当はわかんないだろ? もうすぐ、…いつ死ぬかわからねー奴の気持ちなんて!
(264) 2019/10/06(Sun) 15時半頃
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……わかってる振り、してるだけじゃねーの
(265) 2019/10/06(Sun) 16時頃
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[平生より更に青白い顔が、自嘲めいて笑う。 苦しみながらでも何とかして生きたい。 できれば少しでも楽に生きたい。 15歳の自分は、そんな思いから此処の扉を叩いた。
人にとっては悠久に等しい時間を生きる者へ いつ消えるか解らぬ灯への怯えや不安を訴えたとて、 消えた後にはすぐに忘れていまうだろう。 理解しろと言う方が難しいだろう。
それくらいは解っていて、責めることじゃない。 医者としての務めは立派に果たしている。 おまけに友人としても、これ以上ないほどに。
だから。 何度も感じる不安と憤りは、彼にだけは 言ってはいけないと言い聞かせ続けてきたというのに。]
(266) 2019/10/06(Sun) 16時頃
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[平生なら気にならない静謐が耳に痛い。 何度も繰り返した経験が、発熱の兆しを伝えている。]
───…ごめん、グスタフ。言い過ぎた 今日は帰るよ ……見送りはいらない
[失言したことを直後に理解した痩躯は、 ずきずきと痛む胸や軋む間接を無理やり駆動させ 項垂れながら立ちあがると、扉へと向かう。]*
(267) 2019/10/06(Sun) 16時頃
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[いつもなら、こうして腕を伸ばせば 大抵の場合、人の体が覆いかぶさってくるもの あとは抱きついて、適当に声を上げていればいい。 そう思っていた指先に触れたのは固い感触>>246 細長く固いそれは、少なくとも人の肌ではない。
細長い棒と、模様の入った紙切れ 差し出された二つをぼんやりと眺めていれば また説明があり>>247漸く自分の状況を思い出すも]
──なま、え……? わたしは……えっと
[言葉に詰まる。
この紙に名前を書かなければいけない けれど自分の名前など、もうわからないから]
(268) 2019/10/06(Sun) 16時半頃
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|
[どうしようかと記憶の底を探せば ひとつだけ、見つけた名前を口に]
────『 』
[その名前ならば綴りも知っている。
自分にはないものをたくさん持っていた女の子 自分たちが幸せを壊してしまった女の子。
彼女のようになりたくて 汚いものなどなかったことにしたくて]
(269) 2019/10/06(Sun) 16時半頃
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|
[
──────────『Merja』
契約書の中身など読めないまま 握り締めたペンでそう記す*]
(270) 2019/10/06(Sun) 16時半頃
|
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[渇いた音が高く鳴った。 そこまで力を込めた訳ではないだろう。 勢いに構えなかった自分が悪い。>>264
ただ、鋭い音色に誘発されて空気が凍り付く。 患者の興奮を収める前に、拒絶された不快感が前に出た。咄嗟に吐き出す謝罪が喉に張り付いて、無言を噛む。 垣根を下げ過ぎたと自覚したのは随分前。 だが彼の望みが気の置けない友を得ることならばと、オーバーラインを黙認した。もって数年の命。己が我慢することで、彼の心が安らぐならば、医師としても友人としても正しい選択だと信じて。
しかし、そのお蔭で最近の口論は沈黙が増えた。 咽喉に押し返し続けた言葉が多すぎて、感情が渋滞する。
空中に留めた指先が一度揺れて、だが彼に今一度伸ばすことなく、静かに爪先を握り込む。]
……紹介、 受けるべきじゃなかったんだろうな。
(271) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[此処は死の一歩手前。死体の無い墓場。 生きることを諦めた人が辿り着く場所。 だが、彼は?>>264
薄々感付いていた。 彼が死を受け入れきれていないこと。 だから死期が近付き、不安を覚える。 大人にはなれないのに、子供扱いに憤る。 彼は本当は、無駄と知りながら大金を積んで延命を試みるべきだったのだ。決して治らない心臓を、痛苦と言う名の医術を施し、浪費すべきだったのだ。
生きたいと願うのならば、 墓場で吸血鬼と戯れている場合ではない。
己は主治医として、導いてやるべきだった。]
(272) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[痛みと戦うことを諭し、此処から送り出さねばならなかった。どうせ、と言い訳し続けたのは彼じゃない、己だ。]
死ぬのが恐いのか。 ……俺のプランニングが悪かったな。
今日からもう少し強い安定剤を出そう。
[医者として正しい発言が何故か上滑りして聞こえた。 もう彼に効く薬は多くないのに。
今日は生きてる。だが明日は知れない。 彼が朝を迎える確率は着実に下がっている。]
(273) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[彼の主治医になって三年。 いよいよ末期なのだと彼の悲鳴に焦燥が煽られる。
医者として力不足を悔やむこともあれば、人として痛む心も持っていた。されど、彼に覚える苛立ちにも似た憂いはどうにも処理しきれない。]
――― 此処に通っている内に、 大体の人間は生に見切りをつけていく。 俺が吸血鬼だから下心から来院する患者が いない訳じゃないんだろうが。まぁ、最初だけだ。 言って聞かせて、諦めさせる。
せめて穏やかに逝けるように。お大事にって。
[彼と終わりについて話したことはない。 生き方も、死に方も、諭さなかった。 今ですら、死を恐れる彼に何故か安堵の念が湧く。]
(274) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[緩く顎を引くと、今回は彼が先に白旗を振った。>>267 時間を置いたところでどうにもならないし、そもそもその時間が彼には足りない。それを彼ほど理解している人間もいないだろうに。>>266
逃げるように立ち上がる彼の脚は覚束ない。 思わず瞳が心許無く揺れた。]
――――― フェルゼ、
[彼が開きかけた扉に腕を伸ばして五指を押し付け、硬い声と一緒に扉を閉ざす。 呼び声は彼の近くで響き、気配は真後ろに在った。]
(275) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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お前だって、
[リンディンの空は相変わらずの曇天に覆われている。 冷たい風が運んだ濁った雲から最初の一粒が落ちた。]
俺の気持ちが分からない癖に?
[主治医の低い声は、患者の首裏を撫でた。**]
(276) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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パパとママは、先生と生徒だったの?
じゃあ、早くあたしもパパの生徒になりたい。 だいがく、ってところに行く。
[ママのことを語るセイルズの声音が 微かに弾んだことを、あたしは聞き逃さなかった。
――ああ、この人はママを愛しているんだ。今も。
あたしは、クラリッサという人を 心底羨ましいと思った。
会ったことのないあたしのママ。 今はきっと、遠いところへいってしまった人]
(277) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[パパとママは、 すてきな家族だったんだろう。 あたしもママみたいに、 セイルズに愛される家族になれるのだろうか。
わからない。心中で小さく首を振った]
(278) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[朝食に意識を戻す。
香ばしい匂いのするトーストに、 たっぷりのバターと、パパお手製の苺ジャムを塗る。
ぱくりとトーストに齧りつけば、 やさしい甘さが口いっぱいに広がった]
ママのケーキがなくても パパの作ってくれるおいしい朝食があれば、 あたしはしあわせ。
[前よりはずいぶんと、ぎこちなさのない笑顔を 浮かべられるようになったと思う]
(279) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[トーストを飲み込むと、セイルズの動作を見ながら 見様見真似でソーセージにナイフを入れる。 溢れる肉汁に喉を鳴らし、フォークで口に放り込んだ。
残飯を漁っていた灰色の日々は、 あたたかな家庭の日常に塗りつぶされてゆく]
遊園地……?
[聞き慣れない単語に、首をこてりと傾げた]
(280) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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そこは楽しいところなの? 怖いものはない?
……ううん。 パパといっしょにお出かけできるなら きっとどこでも楽しい。
[あなたといっしょなら、 今のあたしはきっとしあわせな顔をして 華やかな大通りだって歩けるから。
もうひとりで隠れるように 裏路地にいることなんて、ないんだ]
(281) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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はやくお休みの日、来ないかな。
[そのときのあたしは、お行儀の悪さなんて よく分からなかったものだから。
まだ床に爪先が届かない椅子の上で、 ぷらぷらと上機嫌に足を揺らしたのだった]
(282) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[段々と、あたしたちは家族になっていく]
(283) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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[路地裏の汚いドブネズミだったあたしは、 ヒトらしくなってゆく]**
(284) 2019/10/06(Sun) 17時半頃
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ああ、そうだよ。 ははは。ありがとう、ミルフィ。
大学に行くには、よく学びよく遊ぶことだ。
[セイルズは目を細めて小さな頭を見つめた。>>277 懐いてくれているのだろうか。 そう思えば、パパの生徒になりたい、という言葉も かわいらしいものに聞こえてくる。
眷属、ではあるけれど 養子、ではあるけれど 彼女自身の可能性を狭めてほしくない。 その思いから、「待っているよ」と言う事はなかった。]
(285) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[幼子の心中は知らず>>278 手ずから作った苺ジャムを塗ったトーストを咀嚼して 家畜の血を溶かした珈琲を揺らした。
食卓に食事を並べる時、 いつも飲み物だけは、ミルフィと同じものを飲まない。
苺ジャムの甘さと珈琲の苦さに混ざって、 独特の不味さを伴う血が喉を流れる。
けれども、血の一つも混ざっていない朝食を食べて ミルフィが「おいしい」「しあわせ」と言うので セイルズは淀みなく笑顔を浮かべた。]
(286) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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そうだ、遊園地。 沢山の遊び道具があって、 沢山、おいしいものがあるんだよ。
色んなところに連れて行ってあげよう。 灰色の路地裏しか知らないだろう? ミルフィの世界を、広げなくてはね。
[見よう見まねでナイフとフォークを扱ってみせても 行儀を知らず、足をぷらぷらと揺らす姿を 微笑ましく思いながら>>282 彼女と出会わせてくれた神に少し、感謝した。]
(287) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[吸血鬼にとっては濃い時間が流れていく。
遊園地に連れて行き、回転木馬や他の遊具をさして 慣れない様子で共に遊ぼうとした事もあっただろう。
ミルフィの知らない甘いデザートが売られた店に赴き 後日の胃もたれと引き換えに 彼女の笑顔を見つめることもあっただろう。
ミルフィが学校に通うようになれば 父母向けの情報に目を通し、 あれが足りないこれが足りないと慌てて用意をする一方、 彼女の授業参観を心待ちにすることだってあった。
一度近所の意地悪な子供が彼女を孤児だとからかった時は 「僕の娘だぞ」と憤り、相手方の親御と膝をつき合せて 話し合ったことがあったとか、なかったとか。]
(288) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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―― 墓地 ――
……クラリッサ。 僕は随分と生きて、 人間の世の中を理解してきたつもりだったが まだまだ知らないことが沢山あるな。
[一年に一度訪れるリンディン郊外の墓地で、 小さな墓石に白薔薇を添えながら、 冷たい風に吹かれセイルズは苦笑する。
ここにミルフィを連れてきたことはない。 クラリッサの冥福を祈り、子供の様子を報告し たった一人で祈って家路につくのだ。]
(289) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[白い曇り空を見上げて、 ぼうと吹きすさぶ風に吹かれた。 遠くリンディンの鐘が聞こえる。
あるはずもない天国を探せど、何もない。]
(290) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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クラリッサ。 ……僕は、あの子に生きていてほしいんだ。
(291) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[ぽつりと降る言葉は雨だれのように消えうせる。 白い空を映し出した眼鏡に、点々と水滴が落ちる頃 セイルズは墓地に踵を返す。
夕刻、帰宅したセイルズが 手に提げているのは色とりどりの食料。 先に帰っているミルフィに向けて微笑み、 明るく呼びかける。]
ミルフィ。ただいま。 奮発して沢山買いこんできたんだ。 ホワイトラビットの菓子もね。
今日は暖かいシチューにしよう。
[――――墓地の湿気た風を振り払うように。]
(292) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[季節は巡る。はじまりを齎して終わりへ向かい 病めるものも健やかなるものも止め処なく。]
(293) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[1人の吸血鬼と1人の孤児は、”家族”になっていく。**]
(294) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[>>268ペンを握らせた簀巻き少女の手が止まる。 まさか契約書をじっくりと読んでいるのだろうか。 微妙に紙を揺らして読むのを阻害しながら 簀巻き少女の再起動を待った。
止まっていた時間は如何ほどであったか。 >>269何かしら発しようと口を動かして >>270動いた手は簀巻き少女の名を記していた]
『Merja』……イェルヴァ……違うのか
[握りしめているペンを回収すると契約書と共に 近くのテーブルの上に置いた。 読み方を一つ呟くが違うようである]
(295) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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違うなら……メルヤか
[また読み方を一つ呟いて、 マットレスへと戻れば裸の少女の身体の首筋を 湯に浸して絞ったタオルで拭いた]
(296) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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ではメルヤよ―― 今、この瞬間よりお前は俺の僕となる 俺の為に働き、俺の役に立て
[前髪をかき分けて赤い瞳でメルヤを見つめる。 血の従者を持つのは"吸血鬼"らしいと言えるし、 何よりも助手ができれば色々な服を着せて 生デッサンモデルにもできる。
海に放り込まれる寸前であったのだから、 探す者もいないであろう、しめじを除けば。
万事問題無し――そう判断して小さな体に覆い被さり その首筋に牙を立てた。
問題があったとすれば吸血行為は"吸血鬼"として 至極相応しいのに対し、 吸血したことによりその甘露に溺れてしまい "吸血鬼"らしくなく性欲が暴発したことで――]
(297) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[ジャーディン・ヴィラドメアはまた一つ、
己の"吸血鬼"らしくない有様に絶望した*]
(298) 2019/10/06(Sun) 19時頃
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[ドアから覗く大型犬の姿にホッとして。 ベッドから降りようとした、その時。
引き止める腕と低い声に、ギクリとして振り返った。>>258]
……起きてたのか。
[寝た振りをして耳を澄ませてたんだろうか。 ベッドの端に浮かせかけた腰を戻し、起きてるならそう言え、と抗議を込めた黒目を向けたなら。 呑気にあくびをする髭面に顔を顰めた。]
眷属がかかる”依存症”のこと、知ってるなら。
わかるだろう 僕が、あんたを断り続けてるのは あんたの望みを叶えられないからだってこと。
[掴む男の指を振りほどく。 モモ、と呼べばベッドに飛び乗る大型犬が、間に割って入って。威嚇まではいかないものの、男を圧し退けようとする犬の背を撫でて宥めてやり。]
(299) 2019/10/06(Sun) 19時半頃
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そういうことも、あるんだろうな。 でも十年もたずに死んだ眷属もいることを、 僕は知ってる。
つまり眷属だからって、長生きできるもんじゃない。 僕があんたを咬んだところで、 あんたの望みが叶うとは限らない。
[拠り所の話に、犬を撫でたまま訝しげな顔を。>>259 確かにその理論で行けば、趣味も多くて図太そうなこの男なら、簡単には死なないかもしれないし。 男は、死んでしまった彼女ではない。
でも、それなら。]
(300) 2019/10/06(Sun) 19時半頃
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|
[呟いた瞬間、ズキ、と刺すような痛みに顔を歪ませた。 きっとこれは、昨日飲みすぎたせいだし。 こんなに喉が渇くのも、シャツから覗く男の肌に視線が留まりそうになるのもきっと、あんな夢を見てしまったせいだ。
早く、”食事”をしないと。 わかっているに、その場所から動けずに。
心配そうに見上げてくる大型犬に、何でもないと小さく首を振って俯き、黙り込んだなら。 妙に居心地の悪い沈黙が、部屋に満ちていく。]
……………。
[気まずい空気の中。 再び口を開いたのは、男の方だった。>>260]
(301) 2019/10/06(Sun) 19時半頃
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[思わず顔を上げて、目を瞬かせる。]
……あんた、物好きだな。 知ってたけど。
[確かにまだ、男の前で「美味い」と言った記憶はない。 でもそんなものを見たところで、何の得があるのか。
不可解なまま首を傾げた僕に、犬が遮る直前に見えた男の表情の意味がわかるはずもなければ。 空気とか読めるわけがない。
僕の異変に気づいたのか、くぅん、と犬が不安げに鳴くのも構わず。 咄嗟に手が動くまま。 指先は、離れようとする男のシャツを掴んでいた。]
(302) 2019/10/06(Sun) 19時半頃
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[疼くように、喉が渇く。]
あんたの望みが叶う保証はできない。 でも、あんたの見たい顔くらいは、見せられると思う。
……それでもいいなら、
[あんな夢を見てしまったせいだ。 思い出してしまった温もりと甘い蜜の味。
こくりと僕の喉が鳴る音は、男にも聞こえただろう。*]
(303) 2019/10/06(Sun) 19時半頃
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ふふ、そうかもしれないわね。 [ナンパかと問われれば>>210くすりと微笑う] [火の匂いが遠ざかった 彼女の視線を感じる>>211 ――目で見るよりもずっと確かに、彼女を感じる]
(304) 2019/10/06(Sun) 20時頃
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[女は仮面をわずかに上へずらし、裸眼を覗かせる 彼女だけに見えるよう よく“珍しい”と称されるその虹彩の色 彼女はどう形容するだろう] そう どんな御馳走より美味しくて―― どんな果実よりも甘くて―― どんな物語よりも美しい―― [目を合わせたまま 女の指先は無遠慮に彼女の頬に触れる 輪郭をなぞるように、けれどそっと ――囁きながら顔を近づけて]
(305) 2019/10/06(Sun) 20時頃
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終わらない夢を見せてあげる [良い夢とは限らないけれど] ――少なくとも、刹那(いま)を繰り返すよりは ずっと素敵な夢を [唇が触れるか触れないかのところで、 止める まだ牙は立てない 人差し指の爪の先で 軽く擦るように彼女の唇を撫でて]
(306) 2019/10/06(Sun) 20時頃
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……見たくなったら、いらっしゃい [口づけのかわりに差し出すのは1枚の紙切れ 書かれているのは番地と通り名だけ それを彼女の唇に挟ませて] いまはお仕事中でしょう? ふふ、邪魔して御免なさいね [さっと彼女から身を離し仮面を元に戻す 運転席の使用人に命じて車を出させ]
(307) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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いつでも待ってるわ、……あなたをね。 [そう言い残して白杖の女は路地裏へ消えて行く ――そこまでが、天文学的な出逢いの物語]
(308) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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―時は変わって現在― [リンディン郊外の屋敷の一室 クラシックの音色が微かに響く部屋の中央で 安楽椅子を揺らしながら、 仮面に白杖の主がいつものように使用人を呼ぶ] ハニー、お茶を替えて頂戴。 今度はダージリンをお願い [その声色はわざとらしいほどに朗らかで。 ここからは、必然的に続いていく物語 それが刹那か永遠かは、まだ誰にもわからない*]
(309) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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[一つ、呟かれた名前に首を振る>>295 初めて書いた文字は、その拙さからか どうやら違う名前に読めてしまったようで 違う──と、意思表示。
声を出そうとしても舌がもつれて上手く話せず 試行錯誤を繰り返しているうちに 相手の方が早く正しい読み方に行き当たった>>296]
──うん、そぉ
[こくん。頷いて、されるがままに身をまかせる。
膝の擦り傷ではなく、首筋を綺麗にされれば 一瞬、瞳に不安の色が宿りはしたけれど そもそも自由に体が動かない今、隠すこともなく]
(310) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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うん、そうすれば 生きられる……なら
[──僕として 誰かのために働くのには慣れている ずっとずっと、そうして生きてきたのだから 仕える相手が変わることに不安もない。
役に立つ間は生きていられるし 役に立たなければ、そこで終わるだけ 結んだ契約を単に命の期限が伸びただけだと そんな風に解釈し、覆いかぶさる体に腕を回せば]
(311) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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……────っ
[結んだ契約の意味を知るのは 首筋に鋭い痛みが走った後のこと。
与えられる安堵感に これからは、メルヤとして生きるのだと心に決めた*]
(312) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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― 今から数年前のお話 ― [シャンシャンシャンと鳴る鈴の音は軽やかに。>>215 ああ、もうすぐクリスマスの季節! 僕はたたっと軽やかな足取りで駆けていくんだ。
三日前に会った素敵なあの子のもとへ!>>217 ピンクのおさげ髪に少し大きな眼鏡。>>216
可愛い可愛い、僕のアリスの所]
今日は会えるかな? 会えるよねっ♪
[弾む吐息は白く、綿あめみたいにふわふわ浮かぶ。 初めて君を見た時から、僕はもう分かってたんだ]
(313) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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[僕のアリスはね。 僕の作ったキャンディを美味しそうに食べてくれる。 本当はチョコが好きなのに。
少ないお小遣いをやりくりして、僕の為に! 大きなチョコを独り占めするんじゃなく、 飴玉二つを一緒に分け合って笑ってくれる優しい子。
(冷たい独房の中、飴を分け合い微笑んだあの日)
だから分かってるよ。 君が僕のアリスなんでしょ? ずっとずっと探してた、僕の、僕だけの大事な友達!]
(314) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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[公園に着いたなら、きょろきょろ君を探して。 「46!」 数える声も愛おしく、 ブランコを漕ぐ君を見て無邪気に手を振るんだ]
みーつっけた! えへへ、また会えたね♪ 今日はね、美味しいチョコを持って来たんだ。 一緒に分けっこして食べよ?
[たたって元気に駆け寄って笑って。 今日は美味しい板チョコを半分こ。 大好きな君に渡して一緒に食べるんだ。
甘くて美味しくて、とっても幸せだなって。 にっこり君の隣で笑いながら。 君の隣のブランコに座ってぶーらぶら]
(315) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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[それからね、お誕生日会の話を聞いて。>>218]
うん、誕生日! クリスマスだよね。 僕、知ってるんだ。
[だって、僕のアリスの誕生日はクリスマス。 だから当然知ってたよ。 にっこりとスケッチブックを見て]
…………?
[そこに描かれた見知らぬ人間の顔に首を傾げた。 冷静に見れば(考えれば)、それは、 ”家族”の写真だろう――]
(316) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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[ ――???????????? それが、”分からない” 理解はできるが、決定的に”分からない”
(どうして?アリスは僕だけのアリスでしょ? なんで”家族”がいるの? 僕だけじゃないの? ええ? 違うよ、ねえ違うよね? 僕のアリスは僕とずっと二人だったもの。 家族がいるなんてそんなの僕のアリスじゃない。 おかしいおかしいおかしいお菓子イなァ。
ああこれはバグだエラーだ。 誰かが僕とアリスを引き離そうとしてるんだ。 だめだよそんな、僕許さないよ。 止めないと、止めないと僕のアリスを取り戻さなきゃ 早く、はやくはやくはやく 今 す ぐ に !!)]
(317) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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[――にこりと、愛らしく無邪気な笑みを見せて。 アリスと僕が仲良く手を繋ぐ絵を抱いて。 「きてください」って招待状を受け取って]
――ありがとう、絶対に行くね。 とびっきりのプレゼントも用意するね。
[ふわりと、無垢な瞳を細めて笑う。 君の頭をよしよしと撫でてあげて、 そっと君の耳元に唇を寄せて、
甘く優しく、祝福を言葉を囁こう]
(318) 2019/10/06(Sun) 20時半頃
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ねえ、君の誕生日はクリスマスだもの。 君の家族に君からもプレゼントをしたらどう? きっと喜んでくれるよ。
内緒でこっそり用意しよ。 誕生日パーティーが始まる夜までは、 僕と一緒にここで遊んでいてほしいんだ。
クリスマスのお昼ごろ。 この公園で集合ね、ねえ、いいでしょ?
[にっこりと無邪気にそう言って。 君はなんて言うかなぁ? キラキラ輝く目で君を見ているんだ。*]
(319) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 21時頃
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……いま、なんて
[灰青の瞳が胡乱な眼差しを向ける。 自身でも無意識のうちに避けていた話題。 記憶が正しければ、彼の方から己を死へと促すのは これが初めてだ。
ぐ、と。 左胸に押し潰されたような圧迫感と痛みが重なった。 が、投薬の増加は緩く頚を振ることで拒否を示す。
安定剤を使えば確かに楽にはなるが、 その間の言動や記憶が曖昧になるのが嫌だった。]
(320) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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[確かに、彼と出会い、此処に通うようになってから 少し、ほんの少しだけ、生きるのが楽しくなった。
自分の命を惜しむ瞬間が増え、 死を迎える瞬間を想像して震える夜も増え 一番に相談するべき相手に、只管に隠していた。
穏やかな死を迎えるための場所であるのに。 仮初の友人、という立場が心地良過ぎて────。]
(321) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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下心、って何の話……ッ、… 諦めさせるって…?
[生きることを、か。それとも他に何か。 吸血鬼に付随するものといえばひとつだが フェルゼはそれを求めた覚えがない。
朦朧としつつある意識の中、冷静を取り戻したくて 半ば逃げるように向かった扉は、開くことなく。]
(322) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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[これまで聞いたことのない声音で呼ばれ、肩が跳ね 首裏から背中にかけてぞわ、と悪寒が走る。
ごく近くに感じる彼の気配に怯えるのは三年ぶりだ。]
何……。あんたの気持ち…? 解るわけないだろう、だって… だって何も、言ってくれないじゃないか 僕だって…
[力になりたいのに、なんて。 死に際の患者が言えたことではなくて、唇を結び。 ゆっくりと振り返り、長躯を見上げる。
これが最期の逢瀬になるかもしれないという予感は 悲観や諦観ではなく、裡に響く死の足音から。]
(323) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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[次に目覚めるのは病院のベッドか、それとも棺か。 いずれにしても、せめて知っておきたかった。
彼の本音を。 これまで飲み込み続けてきた苦悩を。 知らぬまま逝った方が幸せだったとしても。
だって他に、彼にしてやれることが見つからない。]
……そこまで言うなら教えてよ あんただってずっと、我慢してたんだろう?
餓鬼のお守は……もう、 …ざり、 …って……
[なのに、今までにない激しい発作に、足元がぐらつく。 咄嗟に支えを求めて伸ばす腕は、扉ではなく彼へと。]*
(324) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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「叶えられない」理由が、依存症による早死にの懸念なら、覆し甲斐もあるっていうものだろ?
[振り解かれた指の残り香を嗅ぐように、鼻先に触れさせて息を吸い込んだ。>>299]
男の血が生理的に受け付けない、とか。 吸血鬼だけどニンゲンの血よりも別のいきものの血の方が美味い、とか。
そういう俺にはどうしようもない理由で弾かれてんじゃねぇなら。
[長生きできるとは限らないはなし。 それが「一般論」ではなく経験談だというのは「十年もたずに」という具体的な言い方で知れる。
嗚呼彼は自分が眷属を持とうとしない理由が何を指すのか自覚しているのだろうか。]
吸血鬼は眷属を生涯一人しか持てねぇってこともねぇんだろ。 死んだら次のメシを探せば良い。 実際そういう吸血鬼だってたくさんいる。 調べたからな。
(325) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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早く死なせるのが怖い? 本当に優しいな、君は。
[歪んだ顔を見て、「痛そうだ」と呟いた。>>301 死なせた誰かを思い出しているのだろうか。 それ以来楽しめない食事でただ生きるのは、"朽木"という姓がその人生を象徴しているようで、もう何年そうしてきたのだろうと思うと、堪らない気持ちになる。
その木に桜を咲かせたい、なんて詩人みたいな言葉は流石に言わずに済んだものの、零れた言葉は冗談以上の熱量を帯びた。 引かれたり嫌悪されても当然なくらいの。
けれどこのやさしい吸血鬼は、その黒目を瞬かせるだけで。]
(326) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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ははっ、「知ってた」かー。 そっか、もう俺、ちゃんとアオくんに認識されてんね。
[嬉しくてついモモの間から顔を覗かせて笑みを見せた。 指が掴んだのはシャツなのに、直接触れられたみたいにくすぐったい。]
美味いってカオ、見せてくれる予想は出来んだな。 保証なんて気にすんな、俺から頼んだことだし、俺は俺でびっくりするぐらい長く生きる気しかしてねぇから。
[喉の音に呼応して、男の喉仏も上下する。>>303 ただしそれは食欲によるものではないけれど。
「吸血鬼」のイメージ通り、シャツのボタンを開けて肩口を晒せば、彼の意識は上半身に誘えるだろうから、浅ましく湧き上がる衝動には気づかれないと思いたい。*]
(327) 2019/10/06(Sun) 21時頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 21時半頃
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─ 運命を見た日 ─
[ほんのちょっとした、天文学的な確率の邂逅]
……
[垣間見た星は、 ヘーゼルに分類されるだろう虹彩>>305 瞳孔の漆黒を取り巻く薄紅、色は混じって萌黄と輝翠に揺らめいて
極地の天を飾るオーロラのようだ、と]
(328) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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はっ……夢に溺れたいとも、思わないけど 気が向いて──まだ死んでなかったら行くかもね
[握りしめた指で烟草が潰れかけていた。 唇に触れたカードを爪先で挟み、女の感触の残る頬を掻く。
出ていく車を見送りながら、放り出すように皮肉を嘯いて]
……、
[ぐ、と胸を押さえた。 痛い。心臓が暴れる。首の後ろに汗をかいているのを感じ]
(329) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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[紙切れに記された文字を、眼は追った。 文字があれば読んでしまう。
その紙を握り潰して、携帯灰皿に捻じ込んだ]
(330) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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─ そして現在 ─
[あれから、半世紀はまだ経っていない。 リンディン郊外の、吸血鬼の屋敷。 雇用主であるヴェルヌイユの容姿は、まったく変化していなかった。
こちらはと言えば、数年分の歳月を重ねただけでやはり、時を止めた姿]
その呼び方をやめろと千回は言った
[表情に乗せた険は、どうせ見えていまいと、露骨も露骨。 舌打ちをしなかっただけ上等、 部屋の角に設えられたティー・コーナーでポットに新しい茶葉を入れる]
(331) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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お茶請けは? クッキーはさっきので最後だからな
[柔らかく上等な生地ではあるけど、ラフな服装。 フリルのついたエプロン?するわけないだろ]
ダージリンね。ダージリン
(332) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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[自ら、この屋敷の門を潜り踏み込んだ。 あの出逢いから数年 つけていた日記のノートが一杯になったから、捨てた日に。 刹那の繰り返しに生まれた、それが一つのピリオド。 だから、 まるでノートとカメラだけ持って旅にでも出るかのように
醒めない夢へと]
──。
[湯の温度を確かめ、ポットに注ぐ。 芳香が特徴の茶葉が踊った。
ツヅラ・リンディスはこの屋敷の使用人──”なんでも”こなせるがおよそは、メイドとして。 四半世紀ほど勤めていた]
(333) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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はいよ
[安楽椅子の傍らの、紫檀のカフェテーブルから カップを取り去って、新しいカップを置く。 僅かの違えもなく、前のカップと同じ位置にソーサーとカップの把手が配置されるように。
優しく豊かな芳香が立ち上る。
それはダージリンではなかった。 香りも味もよく似ているけれど 正確にはシッキムという紅茶、 主人の指示通りの葉を選ばなかったのはわざと、だ*]
(334) 2019/10/06(Sun) 21時半頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 21時半頃
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― とある日のリンディン大学 ― [それは百年前だったかな? それとも数日前? よく覚えてないけど、 僕はよくリンディン大学に足を運んでいた。
目当ては吸血鬼教授の講義!>>12 たくさんの学生達に交じってちょこんと椅子に着席。 そうして僕はお行儀よく講義を聞くんだ]
ねえ、せんせー? 僕分からない所があるんだ、教えて?
[講義の終わりに壇上の先生に駆け寄って、 愛らしく小首を傾げて捲る参考書の71ページ]
(335) 2019/10/06(Sun) 22時頃
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[僕は経済学や政治、軍事、様々な学問を修めてきた。 でも、歴史は分からない事ばかり! (会社の運営に必要ないからって、 父さんが教えてくれなかったんだもの) だから僕、知りたいなって好奇心で講義を受けるの。
学生以外の一般人も入れる講義を見つけては、 僕はセイルズ先生の講義をいい子に聞きに行ったよ。
疑問が解消されれば熱心にメモをとって、 ぺこりと行儀よく頭を下げるんだ]
ありがとうございます、ウォルフォード先生。 そうだ! お礼に僕の会社の新商品をあげます。 どうぞ、「トナカイのほっぺ」です。
[すっと差し出すふわふわのクリームケーキ。 美味しいですよって、愛らしく笑うんだ。*]
(336) 2019/10/06(Sun) 22時頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 22時頃
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[間違っても上機嫌とは言えない“使用人”の声色に>>331 主人たる女の、顕わにされた顔の下半分だけがにんまりと満足げな笑みを浮かべる かりに上半分だけ顕わだったとしても概ね人に与える印象は同じだろう] だけどこの呼び方が好きなんだもの、 って千一回は言ったわ [ぎい、と安楽椅子を揺らす だって、こんなふうに嫌がるんだもの 可愛いでしょう?]
(337) 2019/10/06(Sun) 22時頃
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[顔は窓の外へと向いたまま] 最後なの? じゃあ買ってきて。 ……嘘よ。今日は、もういいわ ココアとマカダミアのクッキーは 明日のお楽しみにしましょ。 [暗に、明日までに用意しろということ かといって明日になると別のものを所望したりする そんな調子で、もう四半世紀ほど]
(338) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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[こんなにしあわせな時間があることを、 あたしは知らなかった。
“遊園地”という聞き慣れぬ場所は、 あたしにとって天国のようなところだった。
回転木馬や観覧車を指差せば、 セイルズと共にそれに乗り込む。 年相応の子供のように、はしゃいだ。
見るものすべてが新鮮で、 見る人すべてがしあわせな表情をしていた。
――灰色だったあたしの世界に、色がつく]
(339) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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ねえ、パパ。 あれすごくおいしそうだよ! クレープ、っていうの?
[甘いデザートをセイルズにねだって、>>288 いっしょに食べたりした。
椅子に座って上機嫌に足を揺らして、 遊園地という夢の世界に浸る]
(340) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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(――ううん、夢じゃない。 ――あたしはいま、本当にしあわせなんだ)
(341) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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[夢ならどうか醒めないでほしい。 だって、あたしはきっともう ひとりきりの世界に耐えられないだろうから]*
(342) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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―― 朝 ――
おはよう、ママ。 [クラリッサの部屋にそうっと入る。 写真立てに飾られたママの写真に 毎朝そう挨拶をするのがあたしの日課。
あたしに似た髪と瞳。 とっても綺麗な女の人。 会ったことのないママに思いを馳せて。 それから、セイルズを起こさないように 足音をしのばせて台所へと向かう。
今日は大学がお休みの日。 起こさずにゆっくり寝かせてあげたいし、 サプライズでお祝いしたかったから]
(343) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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此処は生きるための場所じゃない。 死ぬための場所だ。
[言い聞かせるように告げたいだけなのに、声から温度が下がっていく。本当にその言葉で諭すべきは、彼ではなく己自身だったはずだ。 彼が生に執着を見せ始めた時も、今も。
細い首に肉は殆ど乗っておらず。 ただ、眩しいばかりに白かった。 いつまで生きられるか知れないとは理解の上だったが、これでは今生きているのも不思議なくらい。儚く薄いその肉体は魂の入れものとしては規格外だったのだろう。]
(344) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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[だって。今日は、パパのお誕生日なんだもの!]
(345) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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お前に死の恐怖を教える場所でも、 生の可能性を示唆する場所でもなかった。
痛みだけ消してやれれば、良かったのにな。
[彼の心身が軋むことないように、眠るような旅立ちの手伝いが出来れば。己がしてこなかったIFを数えて、溜息が彼の首筋を下る。]
(346) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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――― ガキのお前に? 自分を支えることも出来ないのに?
[揶揄うように酷薄に笑っても、咽喉が揺れて声が歪んだ。 彼の双眸には苦悶の色を乗せた己の顔が映る。
カウントダウンの音色は彼の心臓から生まれ、己の魂にまで響いていく。牽制めいた言葉で頭を冷やそうとしても、脈拍が勝手に上がりゆく。]
(347) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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[ホットケーキを焼いてくれる セイルズの背中を思い返す。
あたしはパパの“子供”なんだから、 きっと彼みたいに上手に作れるわ。 小麦粉と卵と牛乳を目分量でボウルに入れて、 たっぷりのお砂糖と共に泡立て器で混ぜた。
型に生地を流し込んだら、オーブンの中へ。 今度は冷蔵庫にあったジャムづくり用の苺を拝借して 可愛いハート型に切ってゆく。
生クリームをボウルでいくら混ぜても パパの作ったホイップクリームのように 角が立たないけれど、 見た目じゃなくて味で勝負だからきっと問題がないわ]
(348) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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[そうして、出来上がったのは ぶさいくなお誕生日ケーキ。
あれれ。 想像していたのと違うぞ。 おかしいなあって小首をかしげた。
階段を下りてくる セイルズの足音が響いてきたなら、 あたしは満面の笑顔でパパを出迎える]
(349) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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Daddy, Happy Birthday!
(350) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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ロウソクは何本立てればいいかしら。
[そういえばパパの年は知らないなあって あたしはべちゃべちゃのお誕生日ケーキを片手に セイルズにそう聞いたんだ。
そのときのあたしは世間知らずで、 何も知らない子供だった]*
(351) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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フェルゼ!
[焦燥は彼が揺らいだことで一気に堰を越えた。
装うべき平静を忘れて、腕が彼を捕まえる。 ぞっとするほど軽い肢体には、死が巣食っていた。 死の影に動揺を覚えるなど、どれほどぶりだろうか。
胸に抱いた彼は、もう声も途切れがち。 だが、口にするのは己のことだ。>>324 今際の貴重な時間を浪費して、自身に分ける。]
(352) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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お前の人生だぞ。 どうして自分のことだけを考えない。
[彼は腕の中に仕舞っておけるほど細かった。 成長期を経て縦に伸びても、印象が出会った頃から変わらないまま。]
――― 俺はもう、ずっと我慢してたから良いんだよ。 これからも……、
[大きく吐き出した息が湿っていた。 告げ損ねてきた沢山の言葉が咽喉の奥で溜まって塩水と化している。]
(353) 2019/10/06(Sun) 22時半頃
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良いんだよ、別に。 俺は。 [幾度も指を滑らせていた首筋に、高い鼻梁が触れる。 俯けば前髪が視界を塞ぎ、生暖かい息が彼の肌に染みた。
唇で素肌に触れるのを躊躇って、少しだけ唇を開いた。 赤い舌の向こうに、鋭い犬歯が覗いている。
あと何分、あと何秒。 自らを偽り、彼と眼を合わせずに耐えれば、 彼は人のまま逝けるだろうか。]
(354) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[己は友のままで、いられるだろうか。*]
(355) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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あんたが余計なことあれこれ言いつけて来なけりゃ お好きなクッキーくらい焼いてやれたんだけどね
[烟草を咥えていない唇を皮肉に撓めた。 ココアはあるけど、ナッツはアーモンドしかない。 結局買い物には行かなきゃならない話でもあった]
……少し窓を開けて風を入れるか? 庭でクレマチスが咲いてる
[然程香りの強い花ではないが。
窓の外を向いたままの主人の髪を眺めた。 今日、その髪を梳いて結ったのは自分だ]
(356) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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よんじゅーいち よんじゅーに
[ぶらん、ぶらん きのうは途中でわかんなくなっちゃったからダメだった。 ぶらり、ぶらり くるかな、くるかなってとおくを見つめてる]
よんじゅーさん よんじゅーよん……
[きょうもだめかな、 しょんぼりブランコを降りようとして]
(357) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[でもまだあきらめない]
よんじゅーご
[あ、近づいてくる かげ]
よんじゅーろくっ
[おおきく手をふる。 みえるかな、わたしはここだよー!]
(358) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[ヴェルヌイユに触れたり、自ら近づくのは避けていた。 けれど身の回りの世話をするというのは、そういうことだ。
眷属となっての歳月、 彼女の髪をいじるのが嫌いじゃないことは、隠しきれなくなってきている]
(359) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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おにいちゃん!
[やさしいおにいちゃん。 駆け寄ってきてくれたなら、こっちからも。 ぴょんぴょんしたら眼鏡がすこしズレちゃったけど それでもうれしいからきにしない。]
わあ!チョコだいすき! わたしからもプレゼント!はい、ありすだよ。
[飴とチョコなら、チョコのほうが先かな? ひとりでもおいしいけれど、ふたりなら しあわせがじゅんわりして、あまくて、
とってもしあわせ。
あまいもの、大好きだから えへへってふたりで笑いあう]
(360) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[おたんじょうかい、そう、クリスマス。 あれ?おにいちゃんに言ったっけ? でもそんなこと、そのときは些細なこと。
だっておにいちゃんがきてくれるって。 わたしはとってもとってもしあわせだった。]
ほんとに?うれしい! おとうさんたちにも言っておくね! あーあ、お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくて おにいちゃんがおにいちゃんだったら良かったのに。
あのね、お兄ちゃんはね―― それでね、おかあさんがね――
[聞かれてもいないのに うれしくなって、ついたくさんお話ししちゃった。 おにいちゃん、こまらせてないかな?]
(361) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[ちらり、覗いてみたけど おにいちゃんはにこにこしてくれた。 だからうれしくて、チョコレートをもうひとかじり。
ぽんぽん、おにいちゃんの手が頭にのっかれば>>318 あんずがちょっぴりくしゃりと音がたったら
耳元でささやく言葉。 ちょっぴり、くすぐったい]
(362) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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わあ……それすてき! おにいちゃん、手伝ってくれるの?
わかった、やくそくね おにいちゃん、ぜったいよ!
[―――この時の私は、ただ、ただ無邪気に。 おにいちゃんとまた逢える喜びと 大好きな家族に、なにをあげられるだろうって
ただ、ただ。
――――なにもしらない、しあわせなおんなのこ。]
(363) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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あのね、おにいちゃん わたし、ケイトっていうの!
[帰り際。 そういえばまだ名前言ってなかったっておもって おおきなこえでなまえを言うの。
ちょっと離れてたけど、聞こえたかな? そしてぶんぶん、手をふる。
クリスマス、そしてお誕生日の日まで ――――運命の日まで、
あとは指を折ってそのときを待つだけ*]
(364) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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―― とある日のリンディン大学 ――
[それはきっと、吸血鬼教授が職場に復帰し、 ”娘”を家族に迎えた後の話。]
(365) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[随分と幼い姿が座席に見える。
吸血鬼が一般的なこの世界では、 きっと大学の講義に子供が混ざっていても 驚くものは少ないけれど 視線を向けるものはちらほらと。
講義の終わりに 絵本の続きをねだるように、彼―― チトフ ホワイトが愛らしく近づいてくれば セイルズはにこりと微笑んで「やあ」と挨拶をした。]
(366) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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よく来てくれたね、チトフ君。 おや、その頁は……民族の移動についてかい? 様々な人種がひしめき合うから、 頭がこんがらがってくるだろう。 それで、わからないところは……
[参考書の71ページを指し示され、 チトフの”分からない”所を聞く。]
(367) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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「人口の増加。気候の変動。略奪。 そういったものによって大陸を駆け巡った民族の中に ”吸血鬼”の姿は見えない。 …………群れを成すことができなかったのだろうね。 昔から」
[今は亡き妻とそんな会話をした事を一瞬、思い出す。]
(368) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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[――――それはさておいて、
セイルズは疑問点の解消に努めながら、
随分昔に世界中の武器をお菓子に変え>>125 今も世界中でお菓子を売り出している 「ホワイトラビット」の社長が 熱心にメモを取る様子に目を細めた。
彼のおかげで救われた子供達も多いときく。]
どういたしまして。 君がここに来るのは不思議だけれど 学ぶことを楽しんでくれればいいな。 歴史なんて役に立たないという人も多いから。
[ケーキを渡されれば穏やかにそれを受け取った。]
(369) 2019/10/06(Sun) 23時頃
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ああ、ありがとう。 これは愛らしいクリームケーキだね…… クリスマスのお菓子にぴったりそうだ。
[ふわふわのクリームケーキを受け取り、 愛らしい微笑を浮かべる彼の頭を、 そっと撫でようとした。
それが叶っても叶わなくても、 「すまない、つい」と 謝罪の言葉は口をつき苦笑しただろう。 曲がりなりにも、チトフは齢100を越えた吸血鬼である。]
(370) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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……同じ年頃の――見目、の話だけれども。 子供が家にいるもので。
君の会社のお菓子に、 いつも笑顔にさせてもらっているよ。 僕も、娘も。
ありがとう。
[セイルズはチトフに、普段世話になっている、と 丁寧に礼を述べた。*]
(371) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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あら、余計なことって何かしら [やがて茶葉の豊かな香りが立ち込めると>>334 主人たる女は笑みを絶やさぬまま 先程までと寸分違わぬ位置へ手を伸ばす 苦心なくカップを持ち上げ、まずは少しの間その香りを享受する] ええ、お願い。 クレマチスの香りなら ダージリンにブレンドすればよく合うわ。 ふふ、そろそろ咲く頃だと思っていたの [風に乗れば僅かな薫りでも楽しめるだろう>>356 獣並みとまではいかないが、常人よりも嗅覚はやはり鋭い]
(372) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[此処が死ぬための場所ならば。 痩躯を包む腕が、彼自身が棺となるのか。
肩ごと胸筋を上下させ、ぜ、と荒い息を吐く。 己の姿が映るほど近くにある主治医の顔は ともすれば患者より痛々しくて、視界を睫毛で洗う。]
は……そう、だな…… もっと…早く、逝くべきだっ た
[残り数年の人生の中で、やりたいことを見つける前に。 この世に未練を残さぬうちに。 もし、あの時、紹介状を破り捨てていれば。
3年も生き長らえたのは、皮肉にも。]
(373) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[彼女の視線には気づいている その理由にも>>359] [女はやはり彼女には顔を向けないまま、 カップの端に紅い唇を寄せる 豊かに薫る液体をゆっくりと舌の上へ流し込み 口腔内に広がる風味とまろみ、 そして熱さを存分に楽しむ] [一連のその行為は、何かに酷似しているともいえよう]
(374) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[しょんぼりする顔も、>>357 大きく手を振ってくれる君も、>>358 その姿がとてもとても愛しくて可愛くてたまらない。
大きな声で僕を呼んで、>>360 ぴょんぴょん跳ねる君は兎よりも可愛いんだ! だから僕もぴょんぴょん一緒に飛び跳ねる。
お互いにお菓子を交換しあって、一緒に食べて]
わあ、ありがとう! とっても美味しい。 アリスの微笑みは僕も大好きなんだ。
[チョコをもぐもぐ、飴をころころ。 一人より、二人のほうがより美味しい。 楽しくて幸せで甘くって]
(375) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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えへへ、しあわせだなー♪
[二人で笑い合う。 幸せな一時、大好きな時間]
(376) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[アリスが幸せそうに何か話してる。>>361 その大半は理解できるが、”分からない” (お兄ちゃん? お母さん? んー…、そういう”設定”があるのかな?) でもまあいっか、アリスが幸せそうだから]
ふふ、僕はいつでもお兄ちゃんになれるよ。 それを望んでくれるなら、ね。
[僕がおにいちゃんだったらいい、なんて。 可愛い事を言われてにこにこ笑顔でお返事する]
(377) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[扉の向こうでは湿気を抱えきれなくなった雲が ひとつ、ひとつ、大粒の雫を落とし、 やがて静謐に雨音のノイズを混ぜる。
先ほどまで熱かった身体は急に冷えていき、 代わりに抱きとめる腕が、頚筋に落ちる吐息が やたら温かく感じた。]
でも…僕は、後悔していない ここに来て……色んなことを…知って
自分のこと、以外を 心配できる、 くらい…成長、したんだ あんたのお陰 だよ ……グスタフ
(378) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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――"マスター"探し――
[リンディンに多くの吸血鬼が存在するというのは有名な話だった。 生まれやすい街、という訳ではない。家系的なものではないから。 ただ、「多くの吸血種が存在する」という事実は他の地域で生まれた吸血種にとっては「住みやすい」街であるだけだ。
ダイコンの国にいるニンジンは目立つし迫害されるがニンジンの国においては目立たない、そんな昔ばなしを読んだ記憶があるが、つまりはそういうことだろう。
そんな訳で、ひとりになったガラス職人がその生を伸ばす為の"マスター候補"はかなりの数がいた。 調べてわかる程度の数でも相当だったから、きっと名の知れていない吸血鬼はこの街にもっと存在していることだろう。
そんな中で男が選んだのは、「クチキ アオ」という自分と同じ民族をルーツに持つと思われる翻訳家だった。
偶然出会った訳でもなく、運命的に巡り合った訳でもない。
サクラ ソウスケが、クチキ アオを運命にしたいと決めただけだ。]
(379) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[それからぽんぽんって頭を撫でてあげて。>>362 くすぐったげな様子に――……]
うん、約束だよ! ゆびきりげんまん♪
[無邪気なアリスに愛くるしく笑ってみせて。>>363 小指を絡ませゆびきりげんまん。 東方に伝わるおまじないなんだって自慢げに]
(380) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[元々読書は好きだった。 此方に移り住んでから故郷のストーリーがこの地の言葉でどんな風に綴られるのか気になって読み始めた。 大胆な解釈はなく、かといって機械的に単語を置き換えるつまらなさもない。 文章の癖は限りなく自分好みで、どこか「さびしそう」な雰囲気を感じていた。]
『翻訳家にツテはありますか? パイプを繋いで貰えるなら、取材を受けても良いですよ。』
[ひとりになったガラス職人に雑誌の取材が来た時、政治家育ちの手腕で"アオ"(この土地の住民はクチキを上手く発音出来ない者が多い)とのコネクションを結ぶことに成功した。
国内で絶版となり手に入れるのが難しくなった児童書を手土産に、薄い青色ガラスに桜の花弁を閉じ込めた栞を添えて。
桜はすぐに散ってしまい、そのままだとすぐ朽ちる。 こうしてガラスで挟んでやれば、花弁は「死なない」のだという蘊蓄は、その後の押し売りの前口上。 長生きの為に君の眷属にして欲しい、と直球で告げた。 直接会った吸血鬼翻訳家は、顔もまさに好みだったから、迷うことなどなかった。]
(381) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[アパートメントに通う内に部屋に咲かせた桜はいくつか。 気に入られる為の土産は何時しか「共に時を楽しむ為のもの」に代わり、第一候補は今では唯一候補だ。]
……喉、乾いてんだろ?
[促すように言葉を重ね、ごつごつとした首を晒す。]
その渇きをたすけるの、俺でいたいんだよ。
[告白ついでだ。 彼がどう解釈するかは別として、言ってしまおう。
ソウスケの蒼は「アオ」とも読めて、 ソウスケの佑は「たすける」という意味を持つ。
こじつけと言われようが何でも良い。
長く 生きて
(382) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[そうしてたくさん遊んだ帰り際。>>364 駆け出す僕に、アリスが呼びかける。 だから僕、立ち止まって、 (少し不思議そうに小首を傾げて)]
……? うん、わかった! またね、ケイト。
[アリスがそう言うなら、アリスは”ケイト”なんだろう。 可愛い洋服を着替えるみたいに、 女の子は名前も気分で変えるものなのかもしれない。
それでも君は僕のアリスだから。 特に何も問題はなかった。 可愛いアリスの戯れに付き合ってあげよう。 たっと駆け出す、白兎が一匹。 名前は次に会った時に教えてあげるね、と。*]
(383) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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いられるなら。*]
(384) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[必死に息を継ぐうち、重なっていた双眸は外れ 頚筋を張りのある毛先が擽った。 施術以外でこれほど至近距離にあるのも珍しく、 ほとんど力の入らない掌を、そっと後頭部に置く。
彼が何を堪えているか知りもしないまま。 我慢を嗤い、踏み潰すように茶髪を撫でて。]
(385) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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うん、美味しい。 さすがよ、ハニー やっぱりあなたに淹れてもらうに限るわ。 [女の紅い唇は、さらに深く深く 三日月を思わせる弧を描き] 未だに茶葉の種類も覚えられないんだから [もう片方の手に握ったままの白杖で、 ぺしんと下僕(しもべ)の尻を叩く]
(386) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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はぁ……ッ、く、…そう、だ…… これが最期かもしれない、から
聞いてくれるかい? グスタフ
[見えない表情を窺うように額を寄せ、視線を落とす。
薄っすらと尖った犬歯が見えた気がして ああ、本当に吸血鬼なんだな、と 呑気な感慨が脳裏を掠めた瞬間。
灰青が揺らぎ、ぽた、と雫が彼の頬に落ちた。]
(387) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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ほ──…んとうは、すごく、怖、んだ だから、 …もう少しだけ、そば…… に …
[彼の後頭部に触れる掌が小刻みに揺れるが、 震えているのか、痙攣なのか、もうわからない。
わかるのは、このまま死にたくないということ。]
(388) 2019/10/06(Sun) 23時半頃
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[──どうせ死ぬなら、今、この瞬間がいい。]*
(389) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 00時頃
|
――そうだよ、ミルフィ。 薄い生地でクリームやフルーツを巻いたもので…… 実際に食べてみるほうが早いか。
[久々にフィールドワーク以外に広い場所を―― 人ごみを歩いたもので、少し張る足を感じながら 嬉しそうにクレープを指差す君と、店に並んだ。
回転木馬。観覧車。>>339>340 一緒に乗ってしまった分、 写真に収められたのはほんの少し。 それでも、青い空の下で幸せを謳歌する君の姿は 本当にすばらしい。]
ミルフィ。楽しいかい? 良かった。――僕は、きっとそれだけで――……
(390) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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[――――ふっと、鼻を雨の匂いが掠める。]
(391) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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―― 何百回目の誕生日 ――
[意識が浮上する。
カーテンの隙間から陽射しが漏れていた。
今日は大学の講義も、研究会もない日だ。 ゆっくり眠りすぎたかなと時刻を確認すれば 普段より少し遅い時間を指し示していて 空には雲ひとつも見えはしない。
気のせいかな、と思いながら セイルズは寝ぼけ眼で顔を拭い、眼鏡をかけた。 そのまま階下へ降りていく――――]
(392) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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わっ……? ミルフィ?
[リビングに入ってすぐ見つけたものは、 満面の笑顔を咲かせたいとしい娘>>349と、 精一杯の努力の証が見えるケーキ>>348
Happy Birthdayと出迎えられ、 セイルズはぱちぱちと眼鏡の奥の瞳を瞬かせた。
ミルフィの誕生日を祝うことはあっても 自分が祝われたことはしばらく無かったものだから 咄嗟に、何を祝われているのか解らなくなって 感動が遅れてやってきた。]
(393) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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僕の誕生日を? お祝いしてくれるのかい? ケーキ、自分で作ったの? ああ…………
[セイルズは息を吐き、 首を振って、ミルフィをそっと抱きしめた。]
ありがとう、僕の可愛い娘。 [感無量。というべき様子である。 ケーキが潰れないようには気をつけたが 直前の問いに答えるのは遅れた。>>351]
(394) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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ろうそくは………… …………何本になるのかなあ。 きっとそのケーキには乗り切らないよ。
だから、そうだな、 ミルフィとすごした年数と同じ数だけ立てよう。
そうすれば、年々増えていくのが楽しみになる。
(395) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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[と、来年も祝ってもらう画策をしながら、 己の年をぼかす吸血鬼教授は、 いまだに、自分の正体を明かすことを怖れている。
――怖いのだ。 眷属の自覚を持ったミルフィが病に蝕まれるのが。 あるいは、眷属であるからこそ、 自分と己との間の絆を疑いだすのが。
だからまだ明かしていない。 いずれバレてしまうことと解りながら 無駄な足掻きを重ねている。]
(396) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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[セイルズはそうしてロウソクの数をごまかしてから、 ケーキを食べるべく、食卓についた。
朝からケーキを食べるのは胃に来るのではないかと 直感めいた何かを感じたのだけれど このために早起きして 慣れないケーキ作りに勤しんだミルフィを思えば 胃もたれなどたいした事ではない。
彼女と過ごした年数分の――もしもまだ一年未満なら、 月数分の、ロウソクを立てて火を消してから]
(397) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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神に感謝を。
[普段神を嫌っているセイルズは思わずその言葉を口にし ぱくり、とケーキを口に含んだ。
小麦粉と卵と牛乳を目分量でボウルにいれ たっぷりお砂糖を含んだケーキは やはり甘く甘く、甘かった。>>348
けれどもミルフィが作ったものが 父親にとって不味いはずがない。 少し「ガリッ」という音がしてもたいした事はない。]
(398) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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すごく、すごくおいしいよ、ミルフィ。 ところで、これは砂糖をいくら使ったのかな…?
[ふと興味が出て、 投げかけた問いには何と返っただろうか。
何と返ってきても、 愛娘が作った料理に、難癖をつけるはずもない。*]
(399) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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[カップはかちゃりと音を立ててソーサーの上 ぎい、と安楽椅子を軋ませ 女が脚を組む] 寂れた喫茶のウェイトレスだって 四半世紀も働けば もっとマシな仕事をするでしょう、ベイブ? [そう、未だにこんなささやかな抵抗をしてみせるのだから 愛らしくて仕方がない 寂れた喫茶ごときではこの愉しみは味わえない 女の嗜好にこれだけ沿った茶を淹れる給仕もなかなか居ない] ……それとも、
(400) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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お茶“は”、もう飲むなということかしら? [ようやく主たる女は下僕に顔を向け 開いた唇、覗く犬歯を ちらりと紅い舌で舐めた**]
(401) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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[この男は、どこまでわかって言っているのか。>>325 眷属を「メシ」と称する軽い口調に、眉間に皺が寄った。]
そういう吸血鬼もいるかもしれない。 でも僕は、そういうことはしたくない。
[幼い僕は、吸血鬼がどういうものか知りもしなかったし。 知らないまま眷属を持ってしまったけど、今は違う。
吸血鬼がどういうものか。眷属の依存症にかかった眷属がどうなるのか。 知っているからこそ、嫌悪が浮かぶ。
それは、何も知らなかった幼い僕自身に。 長生きのために眷属となることを望みながら、まるで自身を使い捨てのように言う、この男に。
これが奪う側の詭弁だということが、わかっていても。]
(402) 2019/10/07(Mon) 00時頃
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[バルコニーへ続く掃き出しの窓を開け、空気の流れをコントロールするようにレースのカーテンをゆるくかけた。
外の香は入れたいが、少しばかり風が冷たく。
吸血鬼の体調になど気を遣う必要も感じないが、 冷えた体を温めろと命じられるのも面倒だし 失敗のお仕置きと称したセクハラも学習済み]
自覚あるだろ 気紛れ放題の奥様?
(403) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[何がそんなに嬉しいのだろう。>>327 犬越しに笑っている男を訝しむものの。 ひどくなっていく渇きに、掴んだシャツのボタンが外され露わになったその肌から、物欲しそうな視線を逸らせない。
渇いた喉に声が掠れる。 この衝動をなんというのか、僕は知っている。]
そういうあんたは、 ちゃんと僕を認識してないんじゃないか。
僕は、優しくなんてないし。 早く死なせるのが怖いんじゃなくて、 叶えられるかわからないのに期待されるのが嫌なだけだ。
[大丈夫だ、と見上げてくる大型犬を撫でて。 手をついて身を乗り出せば、晒された肩口に顔を寄せていく。]
(404) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[学習は、している。 しているが。
ケツを叩かれてペシンと鳴った音に、眉を顰めた。 あるいは嫌がるほどに喜んで使われる甘ったるい呼称に]
似たようなもんだろ
[シッキムの茶樹は、ダージリンを祖に持つ眷属のようなもの。 より澄んで繊細な甘み 華やかでありながら優しい香りは、 杯のおかわりを求めた主人の望みには適っていただろう]
(405) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[蟀谷を掠める髭の感触と息遣いに、ほんのすこし眉を顰め。確かめるように、肌へ唇を押し当てる。 ごつくはあっても太い腕よりも柔らかい皮膚の下、微かに脈打つ音を感じて。ほんの一瞬、息を止めた。]
……だから、あんたが気にしなくても 僕が気にする。
長生きしなかったら、怒るからな。
[微笑む男の目をちらりと一瞥だけして目を逸らし。 子どもの駄々のように囁きながら、口を薄く開いたなら。
一息に。 人間より尖った二つの犬歯を、その肌へ押しこんだ。]
(406) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[彼女の顔がこちらを向く>>401 オーロラの視線を受け止めるような心地、錯覚。
ヴェルヌイユの唇を、見たりはしない。 仮面に覆われた双眸を受け止める。ゆるく瞬いて]
別に
[誰がベイブだ。 ハニーより嫌いな呼び方に舌打ち]
(407) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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あらぁ もうお腹が空いてるんでちゅか、お嬢さま?
[揶揄の言葉を吐いて 髪の一房を右耳にかけた。 主人がそう命じない限り、自ら近寄ったりは**]
(408) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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───……
[浅く息をして食い込んだ牙を浅く抜けば、溢れだす赤をこぼさないように啜り。 咥内に広がる、数十年ぶりに味わう甘さ。 満たされていく渇きに、とろりと目元が緩んでいく。
久しぶりの吸血衝動に、加減なんて言葉も浮かばないまま。 夢中で吸い上げ、破った傷口が塞がるまで舌で丁寧に舐めとって顔を離せば。 そこに残るのは、微かに赤い二つの痕。]
……ごちそうさま。
[ぺろりと唇を舐めながら。 大丈夫だったろうかと、恐る恐る男の顔を伺った。*]
(409) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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……パパ。
[ふわり、とセイルズに抱きしめられる感覚。>>394 陽だまりのようなあたたかさに、 思わずあたしは頬を緩ませた。
よかった。喜んでくれた。 胸があたたかくって、しあわせで。 あたしはとっても満ち足りた気持ちになる]
(410) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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うん、じゃあ今日は1本ロウソクを立てる。
[セイルズの複雑な心の内なんて そのときのあたしは知る由もなかったから、 ただ無邪気に笑って、ぶさいくな苺のケーキに 1本のロウソクを突き立てたんだ]
(411) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[血のように真っ赤なロウソクを1本]
(412) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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いっぱい、いーっぱいお砂糖を入れたよ。 甘い方がパパも喜んでくれると思って。
[切り分けられたケーキを口元に運べば、 甘くて甘くて口の中が蕩けそうになる。
ドブネズミのように残飯を漁って生きてきたあたしは、 ちょっと味覚が他の人とは違うらしい。
それを知るのはもう少し先のことで、 あたしはケーキを口に運ぶパパに向かって 「ねえ、おいしい?」を連呼した]
(413) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[パパのために苺ケーキを作るのは、 それから毎年の恒例行事になっていった。
1本だったロウソクが、2本になり、3本になって。
あたしと、パパの ふたりだけの小さなパーティは続いてゆく。
あたしはどんどん大きくなって、 けれどパパは何も変わらなくって。 いつまでも隠し事が続けられるわけはなかった]
(414) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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[――でも、6歳のときのあたしは 何も知らぬ無邪気な子供だったから]
あっ、いけない。
そういえばこのケーキで 家にあるお砂糖ぜんぶ使い切っちゃったの。 ジャムの分の苺もなくなっちゃって、だから……。
[上目遣いにパパを見つめて、おねだりをするんだ]
(415) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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パパ。 今日はいっしょにお買い物に、いこ。 お休みだよね。 砂糖も、苺も、買い足さなくっちゃ。
[いくら言い訳をならべたところで、 結局はパパといっしょにお出かけがしたいだけ。 幼いあたしの浅はかな考えなんて、 きっとセイルズにはお見通しだったんだろうけれど]
(416) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 00時半頃
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ね、ね。いこ。
[だって、今日は大好きなパパのお誕生日だから。
いっしょにお出かけしたら、 もっとすてきな1日になるわ。
くいくいっとセイルズの袖を引っ張る。
この頃のあたしには すっかり遠慮というものがなくなって、 “本当の娘”のように、パパに甘えていたんだ]*
(417) 2019/10/07(Mon) 00時半頃
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ちゃんと、いのちを大事にしてる。 俺のいのちをぞんざいに扱わない。 それだけはわかってる。
うっかり車に轢かれたり、死に急いで拒食に走ったりしねぇで。
美味いって言いながら
長く生きてく間に、俺が君を認識する機会は何度もあるだろうよ。
[反論>>402>>404は、これまでのように「噛まない」という結論を導き出さない。 乾いている相手に飲み物をちらつかせるのは卑怯かもしれなくて、このことを彼が後悔するかもしれなくとも。
その後悔を忘れる程長く生きてやれば良いだけだ。
死んだら怒る、なんて言葉が好意から来るように聞こえる都合の良い頭はきっとこの先も楽しく生きることにフル回転するだろうから。>>406]
(418) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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っ――――ぅ、 ……!
[痛みよりも異物感に眉根を寄せた。 くらりと世界が回るのは、まるで昨日の酒を呑んだ直後のよう。 零れた血液を啜る音は間近で聞こえている筈なのに、耳腔内の気圧の調節が上手くいっていないのか、ぶわんと反響したような音が響いて水音はどこか遠くに聞こえた。
吸われている。 奪われている。
筈なのに、身体が熱く逆に力を与えられているようだ。
これが「眷属になる」ということか。]
(419) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[ぺろりと舐められて、吸血行為の終わりに気づく。>>409 行儀よく食事終了の挨拶を告げた顔は、今までどんな食事を出して一緒に食べても見たことがない程上気して陶酔しているようなのに、此方を案ずるように伺うものだから、クスクスと笑いながら自分の血で濡れた唇に親指を滑らせた。]
……すっげぇエロい顔すんね? 俺の方こそごちそうさま、だよ。
(420) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[――さあその唇につい顔が吸い寄せられてしまう訳だけれど。 記念すべき「一回目」がその時成功したかは――実は蒼佑は覚えていないのだった。
何せつくりかわった身体がアップデートの為に意識を一時的にシャットダウンしたのだから。**]
(421) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[華奢な身体は生命を留めておく機能を失いつつあった。
二百年以上も人の死を見送ってきたのに、今更腕の中から零れていくたったひとつに取り乱す。冷たくなっていく肉体に覚えるのは、確かな怖れだ。 耐え難い息苦しさが肺を満たし、眉間には皺が刻まれる。
見ない振りをしてきたものが、己の中で暴れ出す。 ――― 悔いるのも、きっと己の方だ。>>378]
良いって、言っているだろう。 もう止せ。
[彼を見殺しにせよと、人の理性が訴える。 もっと聞きたいと、理性よりも脆い情動が言葉を強請る。
どちらの思考も追い出すように頭を振れば、癖のある髪が彼の頬を擽った。まるで駄々を捏ねているようだと、客観視も出来ないまま。]
(422) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[彼を抱きしめる腕に力が籠り。 その癖、彼の指が己に触れると露骨に肩を震わせた。
まるで促されるように感じたのは、都合の良い妄想か。 今ばかりは自身の精神性を全く保証できない。]
………、
[恐ろしい言葉が降ってくると予感していた。>>387 道を誤らせ、己の血から湧く病を蔓延らせると。
けれど、彼が泣くから黙って頷いた。 小さく首を動かすだけの些細な反応だったが。]
(423) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[吐息のような願いは、呪いに等しい。
こんなことをしても、彼を内側から蝕む病が変わるだけ。 投薬の副作用よりもずっと強い衝動が先に待っている。
職業柄、その危険性を重々理解していたのに、唇が彼の首筋へ吸い寄せられた。痙攣を経て脱力していく彼に首筋を晒させて。]
(424) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[熱い唇を押し付け、鋭い犬歯が皮膚を断つ。 細い身体の薄い肉を裂き、彼と己を創が繋ぐ。
ゆっくりと咽喉を鳴らし、 離れていく魂を取り戻すように。
咽喉を流れ落ちていく命の水は、 人生を狂わせるほど、甘美な味がした。*]
(425) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[血のような真っ赤なロウソクに火が点る。 ――――尊い、彼女と過ごした年数だ。>>412]
(426) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[包丁を使って形を整えてくれた苺をひとくち。 それから彼女が作ってくれたケーキをひとくち。]
そうか、いーっぱい、か。 うん、甘いのはパパも大好きだよ。
[食欲は娯楽と化した、とはいえ、 人間並みの味覚はあるため 「おいしい?」と問われながらセイルズは 「おいしいよ」としきりに繰り返して ちびちびとブラック珈琲を啜った。
いつ、「もうちょっと砂糖は少なくしよう」 と教えようか…と思いながら]
(427) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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[この時のセイルズは吸血鬼である事を忘れて ただの人間の親のように振る舞った。
いずれ、いつか、に己の正体がばれる日が来ても 甘すぎるケーキを口に含むこの時ばかりは ミルフィの無邪気な上目遣いにほだされて 「仕方ないなあ」と嬉しそうに笑う。]
あんなにあったのに、全部使っちゃったのかい? 次はもう少し少なめに使わなきゃ…… ミルフィの紅茶に入れる分がない。
(428) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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ああ。そうだな。 せっかくのお休みだ。 一緒にお買い物に行こうか。 支度をしよう。
[買い足さなきゃといいながら 待ちきれないように袖を引っ張るミルフィは 天使のように愛らしい。>>416>>417
セイルズは頷き、身支度を整えて よく晴れたリンディンの町へ、娘と二人繰り出した。]
(429) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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ミルフィ。おいで?
[無骨な手のひらを差し出す。 そうしてミルフィが自分に近づいてきたなら 瞬く間に片腕で彼女を抱き上げ、 笑って歩きだすだろう。
まるで父親が娘にするように。 まるでお姫様を抱き上げるかのように。]
(430) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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はは。重くなったなあ。 ……ミルフィが太ってるわけじゃないぞ? まだまだ軽い。でも、ちゃんと重くなったなあって。 [わけのわからない事を言いながら 娘が重くなったことを喜ぶ。 出会った頃はそれはそれは軽かったものだから。
彼女の反応がどうあれ、セイルズは町へ歩きだす。
インドア派の腕力ではきっと、 六歳児をずっと抱えているのは無理だっただろうけれど きっと、砂糖が売っているスーパーまでくらいなら 吸血鬼の腕の力も保った*はず*。]
(431) 2019/10/07(Mon) 01時頃
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― アリスの誕生日 ― [その日は楽しいクリスマス。 そして僕の大好きなアリスの誕生日。 町中がきらきら光ってみんなとっても幸せそう。
僕はそんな街並みを、 僕の孤児院の聖歌隊を引き連れ巡礼する]
Angels we have heard on high Sweetly singing o’er the plains And the mountains in reply Echoing their joyous strains Gloria, in excelsis Deo!
[白い聖歌隊の服を身に纏い、 みなそれぞれに美しい蝋燭を胸に抱いて。 天使のようねと人々は僕らを讃える]
(432) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[そうして聖歌隊は商店街から住宅街へ。 その中からアリスの家を見つけ、 (アリスが家を出た後というのは他の孤児の監視で知ってたから) コンコンっとノックして。 出迎えてくれたおじさんとおばさんにぺこりとお辞儀]
こんにちは、聖歌隊の巡礼です。 祝福の歌を歌わせていただけますか?
[二人は快く頷いて、 家の奥から男の子も連れてきてくれたかな。 白い犬も行儀よく僕を見て尻尾を振ってくれる]
(433) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[玄関の向こうの部屋の奥から、ご馳走の匂いがする。 温かい、幸せな、愛された、麗しい、 家族の、(分からない)、福音の、(拒まれた)
???????????????
――なんだ、これ? 分からないわからないわからない理解できない気持ち悪い。 妬ましいおぞましい憎らしい、狂 お し い]
……ふふっ。
[愛らしい口元から、黒く塗れた笑みが零れ]
(434) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[ ――ガチャリ 聖歌隊のローブの下に隠した銃を抜き放ち。 天使のような無垢な顔を歪める事無く。 ただ単調に、壮年の男の脳天を銃弾が撃ち抜いた。
どさり、 倒れる男、呆然とする女と少年。 僕は作業のように続けざまに女を撃ち抜き。 (女は咄嗟に少年を庇い、その場に倒れ)
少年は訳も分からず倒れた両親に取り縋り (その少年を守るように犬が立ちふさがる。 吠えたて牙を剥き、僕の腕に食らいつく)]
(435) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[ ――ドガッ!! 腕に食らいついた犬を無表情に床に叩き付け気絶させ。 何の感情も映さぬ目で、 少年に銃口を向けて――、
(かみさま――、耳に聞こえた声が酷く哀しい)
無慈悲に、その脳天を銃弾で撃ち抜いた]
……神様なんて、いないよ。 僕にはアリスしかいないんだ。
[ぽつり呟き。 そうして――……]
(436) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[ばさりと白い聖歌隊の服を脱ぎ棄て、 (返り血がついていたものだから、ねえ。 サンタさんみたいって思って)
後ろに控えていた聖歌隊の子供達に目配せする]
お誕生日をお祝いしよう。
[その言葉に、素直に頷いてくれる僕の可愛い子供達。 (僕の眷属になりたいと、 そう焦がれ慕う僕の可愛い使い魔達)
三人の死体をみんなで運んでリビングへ。 室内はお祝いの飾り付けがとても綺麗だった]
(437) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[テーブルの上にはたくさんのご馳走とケーキ。 「誕生日おめでとう ケイト」 そう書かれたメッセージカード。
たくさんのプレゼントがツリーの下に積まれて]
……?
[僕は首を傾げ、 三人の死体をおいしょってテーブルに座らせる。 死んだ後も家族の団欒、ずっと一緒。 だから、ねえ、し あ わ せ だ ね ?]
(438) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[次に部屋に放り込むのは手に持った蝋燭だ。 パチパチと、可燃性の家屋からゆっくり家が燃えていく。 投げ込んだ数は丁度アリスの年の数。 ねえ、誕生日のケーキの蝋燭みたい! ロマンチックで素敵って微笑んで。
ぽいっと仕上げで投げ込む、 愛らしいラッピングを施した小箱を一つ。
中には過去のホワイトウルフ社がその愚直な数多の人間達の寿命と労力を引き換えに開発した火薬がぎっしり! 一度火が付けば即座に周りのもの全て吹き飛ばし灰に変える。 殺害の痕跡すら残さずに、灰は灰に。
時間差で火薬に火が付くよう、少し離して]
(439) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[そうして、家を出る前に。 玄関で泡を吹いてぴくぴく伸びてる犬を見て]
……あ、そうだ。犬は助けてあげよ。 だって白くてふわふわで、可愛いもの!
[よいしょって犬を抱えて家を後にする。 犬は火が届かない安全な場所に寝かせておいて。 聖歌隊の子供達はそのまま住宅街を巡礼させよう。 アリスの家だけ訪ねたら不自然だものね。
僕は聖歌隊リーダーにお願いして手を振ってお別れしたんだ。*]
(440) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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― 昼下がりの公園 ― [僕はアリスとの約束の時間ぴったりに公園に到着した。 元気よくアリスに手を振って。 (犬に噛まれた傷はもう治ってた。 袖を捲れば歯形が見えたかもだけど、 寒いから僕は長袖のセーターにコートを着てたよ。 血の痕すらない綺麗な服だ)]
ケイト! おまたせー♪ じゃあ、街にプレゼントを買いに行こう? 君のプレゼントと、家族のプレゼント。
僕ね、実はお金持ちだもの。 なんでも好きなもの買ってあげれるよ。
[得意げにそういって、 大好きな君と手を繋いでクリスマスの街を散策。 ――ああ、楽しいなぁって]
(441) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[そうして、時刻は夕刻頃。 街角で消防車のサイレンがけたたましく鳴り出し。 住宅街で火事があったと人々が噂する。
その方向を聞けば、アリスの家がある方向! どちらからともなく駆け出して。 そうして辿り着くのは君の家があった場所。
今はごうごうと燃え盛る大きなキャンドルと化した場所。 「火の周りが強い! 全焼は免れんぞ!」
「せめて延焼は避けろ! なにが何でも消すんだ!」 「住人は! 住人は無事か!?」
色んな人が叫ぶ声がする。 慌てふためく怒号、喧騒、野次馬の不躾な視線]
(442) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[僕はそんな世界からアリスを守るように。 ぎゅっと、抱きしめてあげるんだ]
……大丈夫、落ち着いて。 何があっても僕は君の傍にいるからね。 守ってあげるからね。
[もしアリスが燃える家に飛び込もうとしたら全力で止めよう。 だって危ないもの。(離したくないもの) そうして、君をずっとずっと抱いていた。
――僕の背後で、狂ったように吠える犬の鳴き声。
でも、僕は特に気にせず君も愛してあげよう。 だってだって、犬って可愛いじゃない?]
(443) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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― それからの数日 ― [燃えた家屋はその火の勢いが激しく全てが灰に。 辛うじて、三人の遺体がリビングで発見されたと警察の調査で分かる。 死因は銃で脳天を貫かれての即死。
犯人の行方も、その手掛かりも、 激しい炎が全て灰にしてしまっていた。 犯人は未だ逃走中――……。
僕は一人になったアリスの手をぎゅっと握り。 優しく優しく、言葉を紡ごう]
ねえ、僕の家族にならない? 僕、実は吸血鬼で大きな会社の社長なんだ。 だから、君をいつでも受け入れられる。 ずっとずっと、守ってあげれるよ?
[優しく頭を撫でて、心配そうに見つめて]
(444) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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["血の誓約"を交わし"吸血したことで "メルヤは"吸血鬼"ジャーディン・ヴィラドメアの眷属となった。
その有様を本人は大変遺憾に思い、 メルヤを見下ろした。
――酷い有様である。
頭痛を痛く感じ思わず頭を押さえてしまうが 実情は変わらない。 >>311メルヤも腕を回してきていたが、 こればかりは"吸血鬼"としての自尊心の問題である]
(445) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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……馬鹿な 眷属の血がここまで美味とは……
[>>310膝の擦り傷程度既に回復していよう。 身体も幾分も元気になっているだろう。
眷属にするということはそうした副次的効果があると聞いている。
立ち上がり、メルヤの背へと腕を回して俵を担ぐように肩に乗せる]
(446) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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ねえ、家族になろう? そうしてずっと僕の傍にいてよ。
ねえ――……、”ケイト”?
[アリスが望む偽りの名でそう呼んで。 僕はずっと君の傍にいて、君を守り続けよう。
君が欲しいものは何でも与え、 したい事は何でもさせて、 たくさんの愛情を君に与えよう]
(447) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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そうだ……悩む前にすることがある その身を清め仕事着に身を通すのだ
……よし
[メルヤの反応があったかなかったか。 それは兎も角として惨状の痕跡を隠滅するために 担いだメルヤの身体をバスタブに張った湯の中に 入水させるのが先決であろう]
(448) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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―― 浴室 ――
[ヴィラドメア城(スチュアート宅)の浴室は有り触れた広さであり、 有り触れたサイズのバスタブしかない。 ヴィラドメア城は利便が良いとは言えない場所に建てられた雑居ビルである。
かつて城を作りたいと思ったジャーディンの前に立ちふさがった 土地の代金と建造費という壁は超絶に分厚くぷちっと潰された。 その為現在では四階建ての雑居ビル「ヴィラドメア城」を建て、 二階を仕事部屋、三階と四階を居宅にしているのである。
一階はと言えば世知辛い世界の法則に従い保育園に貸している。
そんな有様であるものだから理想的な"吸血鬼"城とはかけ離れており 唯一内装だけがそれっぽく見えるようにしているだけである]
(449) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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目覚めの刻だ 地獄の釜で茹でられ喘ぎ苦しむと良い
[そんなバスアブにメルヤを投入する。 溺れはしないだろうし湯なのだから冷たくもないだろう。 ヒートショック? 眷属に起こるわけがないだろう。
眷属投入後、バスタブに真っ赤なバスボールを投入する。 血風呂になったようで"吸血鬼"らしく好きなのであるし、 仄かに香りもつくので良かろう*]
(450) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[そうして、長い年月をかけて。 僕はアリスと家族としての穏やかな時間を築いてきた。
ゆっくりと(蝕むように) じっくりと(染め上げるように) たくさんの愛で!(僕がいなければ生きられないように)
自宅である大きな屋敷の中。 君の飼っていた犬と共に。 (よぼよぼの老犬になった今も 相変わらず僕に懐かないで牙を剥くけれど)
負った傷を癒すように、 ただ甘く穏やかな時間が数年間流れた。**]
(451) 2019/10/07(Mon) 01時半頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 01時半頃
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[夕方から振り出した雨は大地を洗ったが、淀んだ心の内側までは濯いでくれなかった。――― 丘の上の診療所で繰り広げられる、退廃的な奇跡を閉じ込めただけ。
抵抗の出来ない少年の肌に数えきれないほど唇を落とし。 己の血が持つ驚異的な回復力を疑いもせず施した。
彼の首に穴を空けるたび足が縺れ、 自立していられなくなるまで時間は掛からなかった。 しかし、床に伏しても唇は首を這い、滲む赤を求め続けた。
甘美な鮮血を知ってしまえば、今まで己を生かしてきたのは魚の死骸が浮いた溝水だったのだと理解する。彼を巻き込んだ禁忌の味は、正しく芳醇な罪の味がしたのだ。]
(452) 2019/10/07(Mon) 02時頃
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[お互いを主僕の血で結び、 関係性を作り変えてしまうほどの。**]
(453) 2019/10/07(Mon) 02時頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 02時頃
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[覆い被さられた際 絡めた腕はいつのまにか解けてしまったか 自分の身に起きたことを知る由もなく>>445 マットレスの上、規則正しい寝息を続ける。
黴臭くない寝床で寝るのは久しぶりのこと そこに、疲れも加わればなおさら目覚めも遅く 担がれたくらいでは目覚めるわけもない>>446
そのままぐったりと運ばれて>>448 バスタブへと、落とされれば────]
(454) 2019/10/07(Mon) 02時半頃
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[落とされただけでは目覚められず 頭までお湯の中へ潜り、ぶくぶくと沈む。
やがて鼻が水を吸い 苦しさに目を開ければ、そこは一面血の色で>>450]
(455) 2019/10/07(Mon) 02時半頃
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──────!?!?
[パニックになりやみくもに手を動かす。
水飛沫を上げ一頻りもがいた後 どうにか、無事に水面へと顔を出せば]
──ッ……ケホッ。 ケホ、ケホッ…………
……ぅ、なん……で
[バスタブにしがみつきむせこける。 水を吸い込んだ鼻が痛くて、涙目を手で拭った**]
(456) 2019/10/07(Mon) 02時半頃
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[>>456バスタブに落としたメルヤが浮上してくると わしゃわしゃと頭を撫でた。
飛んできた赤い液体が飛び跳ねるが 差して気にすることもなく桶に真水を入れて差し出した]
目と鼻の中を洗え、次いでに顔もだ
お前は髪もぼさぼさだし肌も荒れている 俺の僕なのだから身嗜みくらい整えんとな
[血の色に染まるバスタブは目や鼻を洗い終えれば 薔薇の香りを感じられるだろう]
(457) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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黴臭いのは叶わん 服も俺の用意してやる……が 髪を洗ってやるから目を瞑ってろ
[一方的にそう告げ、 自分の使っているシャンプーを用いてメルヤの髪を洗っていく。
一度軽く洗うとバスタブの縁から頭を出させて湯で泡を流し、 二度目は頭皮を刺激するように擦っていった。
身体も同じ手順である。 柔らかスポンジで二度、バスタブの中で肌を擦っていくつもりである**]
(458) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[おにいちゃんと一緒に甘いおやつを食べて。 おしゃべりをして。 ぴょんぴょんとびはねて またねのやくそくをして
やくそく、ゆびきり ゆびきり ゆびき ゆ
・・・_ ]
(459) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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― X day ―
[その日は楽しいクリスマス。 そしてわたしのたんじょうび。 町中がきらきら光ってみんなとっても幸せそう。
だいすきなおにいちゃんとの待ち合わせは わたしはちょっぴりはやくやってきた。
だってこんな楽しいことってない。 こんなにしあわせなクリスマスは、おたんじょうびは きっと
きっと にどとないんじゃないかって なんだかおもったから]
(460) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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おにいちゃん!
[昼下がりの公園。 やってきたおにいちゃんに手を振って、たたたって駆け寄る。
きょうは特別な日だから貯金箱からとりだして わたしはちょっとだけ裕福なのです。]
ええっ、おかねもちなの? びっくり!
でもだめだよ、プレゼントは自分で買うもん!
[ふたり手をつないで、街の中をおでかけ。 おとなのおねえさんとおにいさんだったら こういうの、デートっていうのかな。
ほんのすこしだけドキドキしたけれど こどもは、子供だから。 すぐにそんなことも忘れちゃった。]
(461) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[街の空気に、雰囲気に。 煌びやかな景色に、楽しいおもちゃ。 美味しいお菓子の匂いに すっかり夢中になった夕暮れ時。
そろそろおうちへ向かおうか。 手の中にはプレゼント。 その中には、ね。 でもなんだか街がざわざわ騒がしい]
なんだろ……
[あっち。 おうちがあるほう。 自然と繋ぐ手の力が強くなる。
偶然だよね、心配そうにおにいちゃんの顔を見て]
(462) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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きゃっ。
[ひょいと片腕で抱き上げられて、>>430 あたしは思わず甲高い声を出してしまう。 顔を赤くして、パパの首筋に手を回して]
もう、パパったら。
[お姫様のように抱っこされて、 お買い物へと出かけたんだ]
(463) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[重くなった、と言われて>>431 怒るような年頃の娘にあたしがなるのは まだまだ先の話。
セイルズの言わんとするところは、 幼いあたしにもおぼろげながら理解できたから]
うん。パパのおかげで、あたし元気だよ。 おいしいものいっぱい食べて、重くなったよ。
[そう言って、はにかんだ。 あたしの成長を喜んでくれてるんだって気持ちは ちゃあんと伝わっていたから]
(464) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[ねえ、きっと街の誰が見ても あたしたち仲の良い父娘にしか見えない]
(465) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[大好きなあたしのパパ。 “捨てられるんじゃないか”なんて不安は すっかりそのときのあたしからは消え失せていて。
ああ、あたしたちは家族なんだって あたたかな気持ちが、胸いっぱいに広がっていた。
買い物を終えて、家に帰って、 読み書きを教えてもらって、お風呂に入る。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去って、 あたしは1日の最後に、 いつものように寝室のパパのベッドに潜り込んだ]
(466) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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ねえ。 たくさん文字が読めるようになったでしょ。
[買ってもらった児童書を朗読して、笑う。
たくさん勉強しないと、 パパの大学には入れないって聞いたから。 ちゃあんと学校にも行くし、勉強もするんだ]
おやすみ、パパ。
[本を閉じてベッド脇に置くと、 セイルズの頬に口付けをして布団の中に潜り込む]
(467) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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("I’m so happy being your daughter.")
(468) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[小さな呟きは、パパの耳に届かなくたっていい。
ねえ、あたしはしあわせよ。 あなたの娘でいられて、とってもしあわせ。
そっと両目を閉じて、夢の世界へと旅立った]**
(469) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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ねえ、だいじょうぶ、だよね?
[だいじょうぶ。 うちなわけない。 はやる心音と裏腹に中々縮まらない距離。
走ってるのに、ふわふわ浮いてるみたいな おかしな感覚。
だって、 だって、うちなわけ、ないよ]
(470) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[ほら、あかいやねの おうち ほら
ほら……
ほら ]
(471) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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わあああああああああ!!!!
[どうして? 真っ赤な火がおうちの窓から出てるの?
どうして? ドア、あそこにあるよ?いかなきゃ]
やだ、やだやだやだやだやだやだ おうちかえる、おとうさん、おかあさん
お兄ちゃん!!!! アリス!!!!!
[悲痛な叫びは野次馬達の視線を真っ向に受けて もがく少女を少年がそっと抱きしめる絵は
それは最高に、最悪に 人々の記憶に残るものとなったでしょう]
(472) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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チトフくん!!!!やだ!!!! はなして!!!!! やだ!!!!!
わあああああ!!!!
[はじめておにいちゃん”を、 おにいちゃんの名前”で呼ぶ。
大事そうに抱えられていたプレゼントは 人々に踏みつけられ、ぐちゃぐちゃで、ボロボロで
もうだれも、それがプレゼントだったなんて思わない]
(473) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[その中のひとつ。
家族分よりひとつ多い、ちいさな箱からは 可愛らしいサンタのブローチが その場に似つかわしくない微笑みを湛えていた*]
(474) 2019/10/07(Mon) 03時頃
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[その後の事は
実際、よくは覚えていない。
傍にはずっとチトフ君とアリスが居てくれた。
私の家族は、誰かに殺された。”
私の幸せは、誰かに潰された”
あのプレゼントのように。]
(475) 2019/10/07(Mon) 03時半頃
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― ×年後 ―
ふぁ ん……
あまーい
[女の子はお砂糖で出来ているのです。
きっと私は例に漏れず、
いいえ、きっと 例よりもずっと たくさんお砂糖でできているに違いない。
一粒含んだ「アリスの微笑み」は 相変わらずとっても甘い。 ミルクに包まれて、練乳の甘さに口づけされて バニラの香りであっというまに 私はデザートにされてしまう。]
(476) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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[…………1番好きなの、
やっぱりアリスの誘惑っていうチョコだけど 1番売れてる「微笑み」は 時々ものすごく、もうそれ無しではいられないような そんな甘い甘い猛毒みたいな……
私にとってはそんなお味。]
(477) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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[……、と。そんな食レポをしている場合ではなかった!]
社長。
しゃーちょーーー
……チトフ君ってば!
[つんつん。 お昼寝中の愛らしいほっぺをつっついたら 流石に目を覚ましてくれるかな。 そう信じたい。
あまりにも無防備で幸せな寝顔は起こすのは忍びないけれど 取引相手がもうすぐやってくる時間とあらば 社長秘書という立場上、その眠りを妨げる必要がある]
(478) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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■■■・・・__
(479) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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―◆◆―
[わたしは、天涯孤独の身となった。 リンディンにおいてはさして珍しい事でもないのかも知れない。
わたしが知らなかっただけで、 深淵は覗き込めばいつだって口をあけている。
ちいさな、ぬくぬくそだったこどもが いきる術なんて知ってるわけ、なかった]
(480) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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………(かぞく?)
[音にならない音が空を切る。 虚ろな目で綺麗な双眸の瑠璃をみつめて。]
……(きゅうけつき?)
[声の出し方を忘れてしまったみたい。 ぱくぱくと口は動いても、音は出なかった。
一時的なショックだろうと、 お医者様のような人は言ってたかな ]
(481) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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[おにいちゃん”は本当のおにいちゃん”になってくれた。 家族が居なくなった事は悲しくて 本当に悲しくて、寂しくて 寒くて、心が張り裂けそうだった。
でもわたしには、彼が居てくれた。 悲しくて、怖くて、嫌な夜は おにいちゃんがそっと抱きしめてくれた。
ちょっとずつ声が戻った事を おにいちゃんはとても喜んでくれた。
ほんの少しずつだけれど 哀しみが薄れるように、 彼はずーっと、ずっと側にいてくれた。 傍らには甘いお菓子。 相変わらずの甘い甘い夢の味。]
(482) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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[いつしかわたしは背が伸びて、 髪も長くなって、体つきも女性らしく。
おにいちゃん”はおにいちゃんではなくなった。 いつも一緒の私達は おねえちゃんと弟の見た目に変化したけれど。
大好きな大好きなチトフ君。 大切な家族。 もう二度と失いたくない、だいじな。
それが変わる事は、きっとこの先 訪れる事はないと思う。
―――だって、私達は、結ばれているから。]
(483) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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[チトフ君は沢山の事を知っていた。 彼からは沢山のものを学んだ。
彼の役に立つ事は無いかと聞けば お菓子食べる係りなんてものに任命されそうになった。
いえいえ、それでは困ります 出来ればお給金の頂けるちゃんとした立場を、とお願いしたら 社長秘書のお役目をお預かりする事になった。
お洋服も、おもちゃも、お勉強道具も 望んでも、望まなくても、チトフ君は何でも与えてくれた。
孤児院もあるのに、そこに連れて行けばいいのに どうしてこんなに良くしてくれるのかは分からないけれど。
今はちょっとこの立場に甘えてしまおう。 彼に恩返しするために。
そして―――**]
(484) 2019/10/07(Mon) 04時頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 04時頃
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[一回、二回、咳き込んでも 気管に入った水はうまく出てくれず 繰り返し咳き込んでいるうちに 上から手が伸びてきた>>457]
──やっ しずめ……ないで ……ぅ。あれ?
[寝起きに突然お湯に叩き込まれる。 そんな目に遭ったのだから、当然とはいえ 再びお湯の中へ押さえ込まれるのだろうと 頭に置かれた手に、身が固く硬直してしまう。 けれど予想に反し、置かれた手は髪を撫でるだけ さらには水の入った桶を差し出されれば]
(485) 2019/10/07(Mon) 08時半頃
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みだしなみ…… ぼさぼさ、汚いの?
[そういうことなのかと納得する。
昨日、あの子の所へ行った時には きちんと洗った服を着た 靴も履いたし、体も先に水で洗って行った。 それでも染みついた汚れはきっと、取れないから。
差し出された水で顔を洗い、目と鼻を擦り ついでにチンと鼻をかんだ頃には 辺りの景色もきちんと見えるように。
バスタブの中の真紅のお湯からは 良い香りを感じられるようになって──]
(486) 2019/10/07(Mon) 08時半頃
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[甘くて強い香り 時々客がつけていた香水にもあった匂い 花の香りだとは聞いたことがあるけれど なんの花の香りなのだろう。
そんなことを考えていれば、目を瞑るよう言われ 今度は泡立つ液体で頭をわしゃわしゃされ]
────目、しみる……
[まさか二度も洗われるとは思わずに>>458 一度目を流された後、つい目を開いてしまった。
ちくちく痛む瞳を一層強く閉じ 人形のように身を硬くして髪を洗い流されれば どうやら次は体を洗うつもりのようで]
(487) 2019/10/07(Mon) 08時半頃
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[相手の持つスポンジを奪える程の気力はない。
どうぞというようにバスタブの中、四肢を伸ばし 相手の顔と泡立つスポンジを見比べて]
この香り、なぁに?
[必要ないだろうけれど、とりあえず目を閉じて
瞳の奥がチカチカするほど強く瞼を合わせながら ぽつんとそんなことを尋ねてみた*]
(488) 2019/10/07(Mon) 08時半頃
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[>>485どうやら入水させられると思ったらしいが、 それならば眷属になどせずにそのまま放置し 海に沈められたところをしめじに後追いさせた方がマシである]
当たり前だ 染みついた臭いは中々落ちんのだぞ 毎日風呂に入れ そうすればマシになる
……ちゃんと目を瞑れと言ったが 身体を洗うときは要らんだろ常識的に考えて
[>>486染みついた臭いを消すために 強い香りがするバスボールを投入した]
(489) 2019/10/07(Mon) 10時半頃
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[それにしても>>487しめじは伝わらないわ、 目を瞑るタイミングがおかしいわと 中学生の割に判断能力が小学生であることも気になる]
これは薔薇の香りだ 俺に相応しく高貴なる香りだろう
よし、洗い終わった そのまま五分くらい浸かってろ
[そう命じてジャーディンは資料室へと向かった。 資料室には確か服を詰め込んでいたはずである。 僕に相応しい服装を探して数分。 適当に服を手にすれば脱衣所に服をかけて 無遠慮に浴室へと踏み込んだ]
(490) 2019/10/07(Mon) 10時半頃
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そろそろ温まったろう 上がってシャワーで流してこい タオルはこれを使え
[自分基準でもう良いだろうと声をかけ、 ふかふかした真っ白いタオルを手に下げて メルヤが風呂から上がってくるのを待った*]
(491) 2019/10/07(Mon) 10時半頃
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[アリスと約束した昼下がりの公園。>>461 手を振ってくれる君に笑って駆け寄って、
プレゼントを自分で買うって、 そう言う君が可愛くて可愛くて仕方がない]
ふふっ、分かったよ。 じゃあとびっきりのプレゼントを探しに行こう?
[手を差し出せば繋いでくれる君。 (僕達こうしてよく買い物をしたね。 デートみたいって笑い合って、じゃれ合って。 ねえアリス、僕達百年前からこうしてたよね。 君は覚えてなくても僕は覚えているよ)]
(492) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[僕は嬉しくて幸せで。 にこにこ上機嫌で街を二人で歩くんだ。>>462
たくさんプレゼントを買って、遊んで。 そろそろ夕刻頃。 騒がしくなる喧騒と遠くに聞こえるサイレンの音。
アリスが不安そうにするから寄り添って。>>470 一緒に君の(仮初の)家まで駆けていって]
ああ……、
[さすが、朽ちてもかつて世界を恐れさせた白狼の火薬。 赤い屋根が火に映えてごうごうと、>>471 よく燃えてるなぁって僕は感嘆の吐息を漏らした。 (拍手はお行儀悪いからしないけど!)]
(493) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[悲鳴をあげて駆け出そうとする君を抱きとめる。>>472 そうして燃え盛る火から懸命に遠ざけようとする]
だめだよ、危ない!! ねえ、僕と一緒にここにいて、いい子だから!
[だって君の家はあそこじゃないもの。 君の本当の家族は僕だけだもの。 だから離れて行かないでよ、置いていかないで。 そっと抱きしめる腕に自然と力が篭って――]
ねえ、消防隊さん、彼女を安全な場所に避難させて。 野次馬達から、燃える炎から守ってあげて?
[そう言って、消防隊に頼んでアリスの避難を。 それまでの間は僕が好奇の目から君を守ろう]
(494) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[初めて名前を呼んでくれる声が愛おしい。>>473 離してと言われても、離す気はなかった]
いやだよ、離さない。 僕の腕の中にいるんだ。
[外の世界はこんなに苦しくて醜くて、辛くて。 (君の大事なプレゼントだってみんな踏みにじる) (その痛みを僕は知っていた) 子供は独りで生きられない、だから。 (みんな、『アリス』なしでは生きられない)]
僕が傍にいるから、守ってあげるから。
[言い聞かせるよう、(浸食するよう) 何度も何度もアリスにそう声をかけ続けた]
(495) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[足元に転がる小さな箱。>>474 可愛らしいサンタのブローチ。 アリスを宥めながらちらとそちらに視線を向けて。
(サンタさん、僕にアリスをくれてありがとう)
ふっと目を細め、 騒ぎがおさまった頃、 再びブローチが転がるその場所へ。
愛くるしいサンタのブローチを拾い上げ。 大事にだいじに、ポケットの中へ入れようか。*]
(496) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[警察の対応や、アリスの家族の葬式。>>475 アリスを正式に養女として引き取る手続きなど。 面倒な大人の作業は全て僕が引き受けた。
”殺された家族” ”潰された幸せ”
理解はできるが、決定的に分からない。 だって君は僕のアリスなんだもの。 最初から二人だけの世界に、他はいらないじゃない?
だから、僕が分かるのはアリスが悲しんでるって事だけ。 可哀想だね、アリス。世界は残酷だね。 でも大丈夫、僕が君を守ってあげるからね]
(497) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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― それから月日が経って ― [むにゃむにゃ幸せなお昼寝タイムを送ってた。>>478 でも、君がほっぺをつついてくれるから、 僕は最高に甘ったるくゆるんだ声で返事をするんだ]
むにゃむにゃ……、やだぁーもっと寝てたい。 ねえねえ、いいでしょー? 可愛いかわいい僕の秘書さん。
[君が子供の頃から変わらぬ愛くるしい笑みを向け。 甘えるようにアリスにじゃれる。
でもね、アリスを本気で困らせる気はないから。 ある程度じゃれたらいつも素直に起きてあげるの。 ねえ、僕ってとってもいい子でしょ?*]
(498) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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― 甘い甘い日々 ― [引き取った頃の君は痛ましいほど傷付いていた。 虚ろな目、声も出せずにぱくぱくと。>>481
だから僕、心配でずっと傍にいてあげたよ。 吸血鬼の知り合いの医者に>>26 どうしたらいいかなぁって相談にも行ったかな。 (専門とか、よく分かんなかったけど!)
アリス一人で眠る寂しさに耐えられない夜。>>482 一緒にふかふかの毛布にくるまって眠ったっけ。 震える君をそっと抱きしめて、髪に、額に、愛おしむように優しくキスをして]
大丈夫だよ、僕は、僕だけは君の味方だから。 何があっても君を見捨てない、置いていかない。 ずっとずっと、一緒にいようね。
[君が安心して眠れるまでずっと腕の中で慈しむ]
(499) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[そうして、少しずつ声が戻ってくアリス。 それがとても嬉しくて嬉しくって!
話せる言葉が増えるたび、 話せる時間が伸びるたび、
お祝いしようって子供みたいにはしゃいで笑って、 とびきり甘いお菓子を揃えてお茶会をするんだ。
哀しみを、痛みを、(その存在を) 忘れさせ、幸せで窒息させるほどに甘い愛を。 永遠に覚めない甘い夢を見せ続けよう]
(500) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[やがてアリスは少女から大人の女性へ。>>483 もう”おにいちゃん”って言われる背格好じゃないけれど。 変わらず僕を呼んでくれる君が愛おしい。
(アリスはね、本当は”おにいちゃん”って言わないんだ。 ようやく分かってくれたんだね。 ・・・・ 馴染んできたんだね。 よかった、それがすごく嬉しいなぁ)]
ねえねえ、そろそろ「君」付けもやめよ? なんだかくすぐったくて変な感じ。 呼び捨てのほうが嬉しいんだけど、だめ?
[愛くるしい子供の顔で君におねだり! 聞いてくれるかなーって上目遣いで見上げてみる]
(501) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[ああ、でもねでもね! 僕、子供みたいだけど実はすごく偉いんだ。>>484 アリスのお勉強も見てあげたし、 大抵の事は答えてあげられたと思う。
アリスがお仕事したいって言ってくれた時は]
じゃあね、じゃあねっ! 僕の傍で会社のお菓子をいっぱい食べよ? 新商品とか、改良版とか、そんなの色々。 僕専属の「お菓子食べる係」! お給料もいっぱい出すよ♪
[って言ったけど、丁重にお断りされたんだ。 だからアリスは社長秘書になってもらったの。 僕の傍にいて、僕のお世話をしてくれる役。 嬉しくってアリスがいるといつもお仕事を頑張るんだ]
(502) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[アリスが望むなら素敵な洋服をたくさん贈ろう。 おもちゃもいっぱい与えよう。 お勉強道具も、お菓子も、アクセサリーも。 面白い本も。>>17 美しい桜のガラス工芸品も。>>177 ありとあらゆる世界の夢を、福音を、君に。
甘やかしすぎかなぁって思う時もあるけど。 別にいいんじゃない? アリスがそれを望んでくれるなら。 二人の世界には甘いものだけあればそれでいい。*]
(503) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[染み付いた臭いはなかなか落ちない>>489 その言葉に一瞬泣きそうに顔が歪む。
あの場から離れて、違う名前を名乗って それだけで違う自分になれる、生き直せる そう思っていたのに──]
常識……?
[それもまた、よくわからない 自分の知る常識はきっと、非常識 この人の知るものとは大きく違うだろう。
ぽしゃんと、新たに投入される香りの元 さらに強くなった香りにクラクラする。 汚れも、染み付いた臭いもきっと こうして他の何かで覆わないと隠せないから]
(504) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[何も知らないふりをしよう。 生まれたてのように、何も覚えていないふり。
壁の落書きを見えなくするときに 違う色を上から重ねて隠してしまうように そう決めれば、泣きたいのもおさまっていき]
うん。わかった そっか、薔薇の匂い……
[知らないふりをするのは容易い そもそも自分は読み書きも計算も出来はしない 常識だってきっと、危うい
だから、全てを忘れたように、記憶がないをして そうして知らないことを習っていけばいい]
(505) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
|
|
[やがて、体の汚れが洗い流されたなら 浴室を出ていく姿に首を傾げ>>490]
ごふん。つかるの?
[さっきの決心とは関係なく、怪訝な顔 洗い終わった後もなお 浸かるというのが不思議でたまらない。
とはいえ、そう言われたのだから ぼうっとバスタブの中に身を沈めて]
(506) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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[危険がないと感じたからか うとうとしかけ、扉の開く音に跳ね起きる。
危うく溺れる一歩手前というところ あたふたとバスタブから洗い場へと上がれば 言われるままにシャワーの前へ立ち]
シャワー……?
[本当はシャワーくらいは知っている。
けれど、記憶のないふりをするならば これも知らないふりをしなければ。と 困った表情を作り、ジャーディンへ視線を送る*]
(507) 2019/10/07(Mon) 11時半頃
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― リンディン大学での一時 ― [大学にある大人用の座席にちょこんと座り。>>366 偶に足をぷらぷらご機嫌に講義を受ける僕。 それを見て学生達が視線を向けるから、 僕はいつもにっこり笑顔で手を振ってあげるんだ。
講義が終わってとととって先生の所に駆けてって、 微笑んで挨拶してくれるから、 僕もお行儀よく笑ってお辞儀をするの。
参考書をちょんって指差して、>>367 絵本を読み聞かせてくれるのを待つ子供のように。 キラキラと目を輝かせて先生の話を聞くんだ]
(508) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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[民族の移動、様々な人種のひしめき合い。 人はいつだって争い奪い合う。>>368 吸血鬼はいつもそれを遠くから見ているだけ。 (世界から拒まれた、人ではない、 みんなの輪の中に存在しなくても。 人間の文書に”記述”がなくても)]
こんなにたくさん民族が動いたんだもの。 きっと一人くらいは吸血鬼が混じってたと思いますよ。 記述されていないとしても、 その空白に”友”を描く事は可能でしょう?
[にこりと、文字にするとたった数行の記述。 そこに積年の夢とまだ見ぬ友を思い描こう。 歴史とはつまり、そういうもの。 零れ落ちた砂の一粒に人々の想いを掬い取る事]
(509) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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[疑問が解消されたならぺこりと頭を下げて。>>369 忘れないようにしよってメモをさらさら。 僕が学ぶ事に不思議そうな先生に、 心底不思議そうに小首を傾げ]
……? どうしてですか? 勉強、楽しいですよ。 知らない事を知れるのはとても楽しい。 それを糧に僕の世界が、視野が広がるのがとても楽しい。
参考書は読む宝石のよう。 読む度に心にきらきらとした宝石が育つよう。 ねえ、見てくださいウォルフォード先生。 一つでは無機質な文字の羅列がこんなに綺麗!
[無垢な瞳でそういって。 慈しむように参考書の表紙を撫でて
(510) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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それに、役に立たないというならお菓子も同じ! お野菜みたいに栄養がないもの。 吸血鬼なら尚更無意味!
でも、それでもお菓子を食べると幸せでしょ? ほら、だから大丈夫。 役に立たないものなんて世界にはそんなにないもの。
さあ、美味しいおいしいケーキをどうぞ♪
[愛らしい笑顔でケーキを差し出して、 受け取ってくれる先生にまた笑って見せて]
(511) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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[頭を撫でてくれるなら嬉しそうに撫でられるんだ。>>370 嬉しいな、先生の手って大きいなって]
えへへ、ありがとうございます。 謝らなくてもいいのに。 僕、頭を撫でられるととっても嬉しいですよ。
[こう見えて百歳は越えたし、社長だし。 気安く頭を撫でてくれる大物はそうそういない。
(両親も僕の頭を撫でてくれなかった)
だから、とっても嬉しいですって。 僕は子供みたいに先生に甘えてみせるんだ]
(512) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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[それから、先生に子供がいると聞いて。>>371 お菓子を食べてくれてるって聞いて]
本当ですか? わあぁ、嬉しいな! 僕の会社のお菓子で笑顔になってくれるって、 そう聞けるだけで僕も胸がぽかぽかします。
僕からもありがとうございます。 幸せのお裾分けをもらった気分です。
娘さんとどうか末永くお幸せに。
[丁寧なお礼に、僕からもお礼を返して。 楽しいたのしい大学での一時。*]
(513) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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[それから月日が経って、 僕がアリスを養子に迎え入れた頃。 講義の以外の質問も先生にするようになっていた]
ねえ先生。 どうして食事はバランスよく食べなきゃいけないの? 好きなものだけ食べて生きればいいじゃない? その方が楽しいじゃない?
どの育児書を読んでも、違うって言われて。 納得いかないんだぁー。
[むくれた子供みたいにそう言って。 質問の理由を聞かれれば、 僕も人間の養女を迎え入れたんですって。 とても嬉しそうに、幸せそうに報告するんだ]
(514) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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[携帯の画像でアリスと白い犬が戯れる写真を見せて]
可愛いでしょ? 大切なたいせつな、僕のアリスなんです。
[愛おしむように、画像を撫でて微笑んでいた。*]
(515) 2019/10/07(Mon) 13時頃
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風呂で寝るやつがあるか メルヤが嫌な苦しさを味わいながら 黄泉へ向かうことになるぞ
[>>507眷属となれば身体能力は向上するはずだ。 危ない薬をヤっていたとしても 時間的には抜けても良い頃合いのはずである。
風呂寝して溺れかけるスタイリッシュな芸当を 披露したメルヤを見て肩を竦めた。
しかもシャワーまで知らないらしい]
(516) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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シャワーくらい知ってるだろう? 自分の名前を書けたんだ 記憶喪失ではあるまい
[>>504常識も知らぬようであるし、 移民か孤児集団に所属していたのだろうか。 JCにもなってそれは致命的ではないか。
そう考えた瞬間にジャーディンは己の顔を掌で覆う]
……待てよ、義務教育だと 学校に行かさないといけないのか
[それは不味い。 何よりも15歳以下である場合自分はロリコンになってしまう]
(517) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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メルヤ……歳はいくつだ いや、やはり聞かないことにしよう
良いか、お前は既にこの偉大にして崇高なる"吸血鬼" ジャーディン・ヴィラドメアの眷属なのだ
昨日までのお前は忘れろ 今日からのお前が正しいお前だ 昨日までのお前は上手くやれなかったが 今日からのお前は上手くやれる
わかったか、よし、これがシャワーだ
(518) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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[寧ろ目の前に立っているのだからシャワーと知っているだろう。 だが、それは今は置いておこう。 その方が自分にとっても都合が良い。
シャワーのコックを捻り熱い湯を出してやる。 頭から湯が振り注げば――ジャーディンの身体も メルヤの身体とともに洗い流されていく*]
(519) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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― 何度目かのクリスマスの夜 ― [アリスが大人になって、僕の秘書になって。 そうして数多の月日が流れたクリスマスの夜。
その日はいつも会社をお休みにしてるんだ。 だって大切なアリスの誕生日だもの。
屋敷をとびっきり綺麗に飾って、 美味しいご馳走もたくさんたくさん用意して、 アリスに友達がいるなら呼んでもらって。 そうしてその日は一日中お祝いするんだ]
誕生日おめでとう。また一つ、大きくなったね。
[ケーキの上で吹き消す蝋燭の数は年々増えていく。 人間だもの、当然だよね。 でも、なんだか僕はそれが寂しくて、切なくて。 いつもちょっぴり、泣きそうになるんだ]
(520) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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[そうして楽しいパーティーがお開きになる頃。 いい子は眠ってサンタを待つ頃合い。
そんな夜も更けた頃。 僕はアリスの寝室のドアをそろりと開けるんだ]
……ねえ、起きてる?
[返事がなくてもベッドの傍までとっとっと駆けてって。 君の寝顔が見えるようにしゃがみ込んで、 そうして、迷子の子供みたいな顔で君を見る。 今にも泣き出しそうな、 独りぼっちが怖いと怯えるような子供の目で]
(521) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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今日は一緒に寝よう? ねえ、いいでしょ……? 子供の頃はたくさん一緒に寝たじゃない。 ねえ……、お願い。
[縋るようにそう頼み込んでゆさゆさ揺すって、 一緒に寝る用に持ってきた枕をぎゅっと握り締めて]
あと何回、君の誕生日をお祝いできるかなぁ……? 君と一緒に寝れるかなぁ……? ねぇ、それを考えると僕、すごく寂しい。 君に置いて行かれる時を考えるのがすごく怖い。
だから、ねえ……今日は一緒に寝てくれる?
[愛くるしく、寂し気に、独りぼっちの子供のように、 そうして君が応えてくれるのを静かに待った。**]
(522) 2019/10/07(Mon) 13時半頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 14時頃
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[反射的にシャワーの前へ立ったのは失敗だったと ジャーディンの言葉>>517に遅れて悟る。
名前を書けたことを持ち出されれば 言い訳しようにも上手い言葉が見つからない。
独り言を言い、顔を覆う相手の姿に いつ叩き出されるのかと怯えの色を瞳に宿し 身を縮こまらせたまま、恐る恐る伺えば]
義務教育……? どこかへ行かないといけないの?
[また一つ、知らない言葉が出てきた。 学校は知っている、 自分たちよりももっと良い生活の いわゆる普通の子たちが通える場所 そこに憧れたこともあったけど]
(523) 2019/10/07(Mon) 14時頃
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わからないの。怖いの ……どこにも行きたくない
[ここから出れば、仲間たちに見つかる可能性もある。 そうすれば、待っているのは今度こそ確実な終わり。
学校へ行きたくないという願いは 幸いにして相手と利害が一致したようで>>518]
昨日までのわたし……? ──うん。よくわからないけど わかった…… って、わ。ぷ!?
(524) 2019/10/07(Mon) 14時頃
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[相手の言葉は自分にとっても望ましいもの 忘れることを望んでくれるならどこまでも 文字通り、今までの全てを忘れたふりをしよう。
そう心に決め 信頼を込めた瞳でジャーディンを見つめたのは ちょうど彼がシャワーを捻った瞬間で]
な、なに……!?あ、あつっ!?
[顔を上げたところにシャワーのお湯が直撃する
お湯の熱さに驚いて 一旦浴室の反対側へ逃げてから またそろそろとジャーディンの傍へ戻り]
(525) 2019/10/07(Mon) 14時頃
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────── 。
[ぎゅっと相手の体にしがみついたまま シャワーのお湯を体に浴びる。
ジャーディンも濡れて良いものなのか 一瞬気になったけれど、聞かないことにした*]
(526) 2019/10/07(Mon) 14時頃
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[>>523メルヤは義務教育も知らないようで、 しめじたちのことや海に没シュートされる話を踏まえると リンディンに登録していない人間だったのかもしれない。
>>524外は怖いらしいが怖いからと言って 外に出られないでは困るものだ。
通信教育で学を与えながら助手として教育していこうか。 そう思案に耽っていたために頭から湯を浴びてしまう]
あー……クソ、相変わらず流れる水も平気だな 全然"吸血鬼"らしくないではないか
メルヤ、おい、どこ行った
[水の滴る金髪をかきあげ周囲を見回すが姿は見えず、 >>525悲鳴と共に主を置いて逃げた眷属は >>526此処にいるとでも言う風にしがみついてくる。
ジャーディンはその頭を撫でてやり嘆息する]
(527) 2019/10/07(Mon) 14時半頃
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そういうのはGカップくらいになってからやれ 今のままではぺったんこな胸の感触しかないからな
だが――それはロリ巨乳……邪道と言われる存在だ 幸いにもまだ成長期だろう これから大きくなるさ
[どうしてしがみついているかは分からないが、 頭を撫でてから背筋を擦り ぬめり気が取れていればシャワーを止めた。
そのままメルヤを片手で担ぐと脱衣所に出て、 ふわふわタオルで頭からわしゃわしゃと水分を拭っていく]
(528) 2019/10/07(Mon) 14時半頃
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満足したら離れろよ 着替えられんだろうが
[そうして拭けるところを拭き終われば、 資料室から持ってきたやたらとフリルの多い ピンク色の冥土服を示して見せた*]
(529) 2019/10/07(Mon) 14時半頃
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[一旦逃げ出してから戻ったのは 単純に、叱られるのを恐れたため>>527 体が小さいのも手伝い逃げ足だけは早いから "お父さん"に叱られそうな時もそうしてた。
今までに染み付いた癖 けれど、これからはそうしなくて良いのだと 思い出したのは再度『メルヤ』と呼ばれた時で]
(530) 2019/10/07(Mon) 15時半頃
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ごめんなさい 熱いの、落ちてきたから びっくりして……
──ぅ、ぺったんこ? ロリ……?
[頭を撫でられ、こそこそと相手の表情を伺う。
なんだか失礼なことを言われた気がするものの>>528 何かを言えばやぶ蛇になってしまいそうで 反論する気はというと、あまりない。
体を離すより先にシャワーが止まり きょとんとしている間にまた担がれて]
(531) 2019/10/07(Mon) 15時半頃
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着替え……うん これ……?
[言われて体を離したけれど>>529 彼の手にあるそれが着替えだと、今ひとつ飲み込めない。
目の前にあるのはリボンとフリルのかたまり ピンク色でとてもヒラヒラしているそれは お金持ちの家のカーテンのようで
──そういう服を好むお客もいた、と 一瞬過去へと引き戻され、ふるふると首を振り]
わたしの?
[着ればいいのかと、着替えへ手を伸ばし*]
(532) 2019/10/07(Mon) 15時半頃
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―― 数年後:曇天の日 ――
[パパとあたしの穏やかな暮らしは、 あっという間に過ぎ去ってゆく。
あたしは、年相応に好奇心旺盛な子供で だからパパの隠し事が知れてしまうのは きっと時間の問題だった。
その日はパパの大学の発表会だった。 あたしは「いってらっしゃい」って笑顔を浮かべて 玄関でパパを送り出したの。
「雨が降りそうだから、傘を忘れないでね」って]
(533) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[結露で曇った窓から外を見遣る。 鉛色の雲が立ち込めた空。
その日は、セイルズと出会ったときのような 薄暗い曇天だった。
最近のパパは 発表会の準備で寝不足が続いてるみたい。 あたしには疲れを見せないようにしていても、 全部全部お見通しだ]
(534) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[大丈夫かなって、パパのことを考える。 いつまでも元気でいてほしい。 体を大切にしてほしい。
――だって、あたしはパパが大好きなんだもの!]
(535) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[ひとりきりの家はなんだか落ち着かなくって。
お仕事の邪魔をしちゃいけないと思って 普段はあまり入らないパパの書斎に、 あたしはこっそり忍び込んだ。
難しい本がたくさん並んだ部屋。 けれど今のあたしには少しだけ理解できる]
(536) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[政治、歴史、複雑な国際情勢。 背表紙だけで頭がくらくらしてしまうような 文字が並んでいて、パパはすごいなあって思った。 そうして、その本を見つける。
――吸血鬼。
あまりにも周りとは毛色の違う本。 ペラペラと本をめくれば、 眷属、病、依存……むつかしいことが たくさん書かれている。
その半分も理解できなかったけれど、 あたしには思い当たることがあった]
(537) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[誇りの被った、古めかしい本を手に取る。 それは西洋史の論文集。
著者の名前は、セイルズ・ウォルフォード。
その本の発行年を見遣り、あたしは息を飲んだ。 そこに記された日付は、百年以上昔の年月日だった。
いつか、パパに言われた台詞を思い出す]
(538) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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(君の血を飲んだ。 ……「吸血鬼」はわかるかい)>>165
(539) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[まだ子供だったあたしも、 ようやく現実を理解し始める。 ――自分が何であるかを、識る。
もう何年も忘れていた “捨てられるかもしれない”という感覚を、 あたしは久々に思い出していた。
気付けば、書斎に籠ってから 何時間も経過している]
(540) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[がちゃり、と玄関の開く音がする。 続いて響く、聞き慣れたパパの足音。
それは予定の時間よりもとっても早くって、 きっとやさしいパパはあたしのために 急いで帰ってきてくれたんだって分かる。
あたしは慌てて書斎から出ると、 いつも通りにパパを笑顔で出迎えた]
おかえり、パパ!
[それから、あたしは 何事もなかったかのように振る舞った]
(541) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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[パパといっしょに夕飯をつくって、 料理にたくさん砂糖を入れようとして止められて、 いつものように食事をして、お風呂に入る。
「お仕事今夜はない?」「いっしょに寝られる?」って 上目遣いにおねだりをする。
そうしてパパのベッドに潜り込むと、 あたしはいつも通りに しあわせな顔をして目を閉じたんだ。
――ただ、いつもと違ったのは]
(542) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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ねえ、パパ。 疲れてるときはあたしの血を 飲んでいいんだよ。
[ぽつりと呟いて、パパの返事を待たずに 頭まで布団を被った。
パパがお仕事で疲れていることは、 ようく知ってたから。
あたしは少しでもパパの役に立ちたかったし、 パパのためだったら自分の血なんて いくら抜かれようと構わなかったんだ]**
(543) 2019/10/07(Mon) 17時頃
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それは驚くだろうがな 主人である俺を置いて逃げるのは頂けないぞ
[>>531逃げた理由は一応の理解を示した。 先も入水時には驚いていたし それでいて風呂寝という高等技術を発揮する。 よくわからないが変な眷属である]
大体12-15歳くらいをロリータと言う 略してロリ、そして胸がない=ぺったんだ ……がそれは別に覚えなくても構わない
[極めて真顔で言ってのける]
(544) 2019/10/07(Mon) 17時半頃
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そう、お前のだ とは言っても副職の資料だがな 他にも衣装はあるから色々着てくれ
[下着はないが着替えれば良いと頷いて見せた。 男性物から女性物まで衣装は色々あったはずだ。 ナイチチであればどちらを着ても構わぬだろう]
(545) 2019/10/07(Mon) 17時半頃
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その服が不服なら別の服にすると良いさ 下着はいるのか……女物の下着など俺は知らんぞ
……いや、まて、女は生理用品というのも必要だったか おい、自分に必要なものくらい分かるよな
[不安そうにするメルヤに逆に問い返して、 風邪をひかぬうちに早く着ろと頭を撫でた*]
(546) 2019/10/07(Mon) 17時半頃
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ノン、似たようなものじゃ だぁめ [シッキムがダージリンでなければいけないように>>405 アーモンドがマカダミアでなければいけないように] あなたと私でなければいけないように、ね? [聞こえる舌打ちにさらに笑みは深く>>407] ……うふふ、 気紛れだって言ったのはあなたの方でしょう?
(547) 2019/10/07(Mon) 18時頃
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[白杖を突き、すうと安楽椅子から腰を上げる 図らずしも、絶えず流れ続けるオーケストラの調べが レコードの最後の曲を奏で始めた頃合い] [こちらが命じない限り、下僕自ら膝を突いたりはしない そこも彼女の愛らしいところ>>408 だから一歩、二歩、と主の方から近づいて]
(548) 2019/10/07(Mon) 18時頃
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やっぱり、お茶請けが欲しくなっちゃったわ だってダージリンじゃないんだもの [まあ別に、そこまで固執しているわけじゃない これはこれでゆっくり頂くとして 重要なのは命を違えたという名目]
(549) 2019/10/07(Mon) 18時頃
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[あと一歩、近寄れば触れられる距離で立ち止まる くるりと白杖を持ち替え] ふふ、どこにしようかしら 希望はあって? [その先端で、つつ、と服の上から起伏を辿り 彼女のシルエットをなぞりだす*]
(550) 2019/10/07(Mon) 18時頃
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ああそうかい
[安楽椅子が揺れる。 主人である吸血鬼の振る舞いに、あまり音は伴わなかった。 蝋のように滑らかな彼女の脚が一歩、二歩 するりと床を踏む。
紡がれる音の一番の特徴はその白杖。
視覚の代わりを果たすその杖先が動き、”私”を観る]
(551) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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[僕というものは主人を置いて 逃げてはいけないものらしい>>544 人の命令に従って動くのは同じなのに その点だけは、今までとはだいぶ違う。
今までは、何かがあれば 仲間たちはこぞってその場から逃げていた 稀に誰かをかばってとどまる者もいたけれど そうして捕まれば、馬鹿を見るだけ そういうものだとずっと思っていたから]
(552) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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[紅茶に、小さな甘味を添えなかった時。 命の通りの茶葉を選ばなかった時。 こうなることを想像していたか?──さあ。知らない]
気まぐれのおやつなら、少しにしておくんだね 晩飯には早い時刻だ
[あと一歩、近寄られたら触れられる距離で待つ。
彼女の杖が持ち上がり、服に触れた。 脛から膝、腰へと輪郭を観る動きに瞼を閉じる。 胸の中心で心臓が弾んだのまで、読み取られはしまいと思っている。
これは弱視だからしていることだ けれど直接眺め回されるよりもよほど]
……
(553) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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[けれどそれは"メルヤ"ではない自分のこと これからは違うのだから
覚えていかなければいけないと 与えられる知識を一つずつなぞり]
……うん、わかった。逃げない
で。えーと、12〜15歳ぐらいがロリータ? でも、それなら……
[僕としての振る舞いも、常識も 正直まだ、わからないことだらけ。 教えてくれる知識のうち どれを覚えればいいのかもわからない。
ただ、この知識は覚えなくていいらしいので こくこくと繰り返し頷くだけにして]
(554) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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希望? ……変なとこじゃなきゃ、 どこでもいいんだがね
[好きにしろなどとは言わない。 起伏を確かめてくる白杖のセクハラをそのままにして、 一歩分の距離 腕を伸ばす。
笑みを湛えたヴェルヌイユの唇へ、中指の背を触れさせた]
これでもしゃぶってな
[投げ出すような台詞を選び、ながら。 指はするりと、花弁を愛しむような淡さで主人の容良い唇を撫でる*]
(555) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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[そうして衣装へと手を伸ばそうとすれば 他にも服があると言われ また少しきょとんとなるが>>545] 他の服? ううん、いらない
下着……えっと、ごめんなさい よくわからないから、適当でいい 必要なものわからないから、なくていい
[いつもあるものを適当に着ていた。 生理自体、ある時とない時が不規則で 自分でも何が必要なのかがわからない。
そもそも、全てを忘れたことにするならば それだけ知っているのも不自然というもの。 全て知らないことにしてしまおうと 問いに答えながら>>546衣装を頭から被り]
(556) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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──ん、と
[しばらくごそごそした後 布地から、ぷはっと顔を出す。
下着はつけないまま それでもどうにか衣装を身につけ]
着れた。見て
[心なしか得意げに見せたふりふりの衣装は サイズは少しばかり大きいものの フリルのおかげで貧弱な胸が隠れ 全体としてのバランスは取れていた*]
(557) 2019/10/07(Mon) 19時頃
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[すべてが理解の範疇を越えていた。
何事か訴えかけるグスタフの声は耳に遠く、 潤んだ視界が闇に落ちる刹那。 頚筋に、まるで焼印を押されたかのような熱が触れ 鋭い痛みが頸動脈から脳髄へと走った。
反射で身を竦ませるも、あとはされるがまま。 強い吸引と、鎖骨に触れる咽喉骨が上下する度 壊死していた臓器が修復し、細胞が活性していく。
皮膚を深く貫かれたとて、感じる痛みははじめだけ、 あとは痺れに似た疼痛が創の周りに残るものの 不思議と、暫くすれば溢れる血も止まってしまう。]
(558) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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つれないのね [唇への感触に、くつりと喉を鳴らし] でもいいわ。許してあげる ……少しだけ、ね。 [よくできましたのご褒美は与えてやるのが主の務め 胸の鼓動は知ってか知らずか>>553 少しの間彼女のデコルテをやわやわと漂っていた杖を下ろす]
(559) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[ざあ、と、遠くで雨音と雷鳴が響く中、 窓に浮かぶ影はふたつからひとつに、やがて闇に溶け。
200年の時を経て覚醒した吸血鬼の衝動に応えるべく 生まれ変わった心臓は、赤く、甘い血を運ぶ。]
(560) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[取返しのつかないことをしてしまった。 ────させてしまったと知るのは、翌朝のこと。]*
(561) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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── それから ──
[あの日から、何もかもが変わった。 失くしたのは家族と、初めてで唯一だった友。 得たのは先の見えぬ命と、血の契を交わした主。
はじめこそ途方に暮れたり絶望したりもしたが 悲観して過ごすには余命が長すぎる。 元より彼は、死の淵から救ってくれたのだ。 ──往生際の悪さを詰ってさえいた癖に。
何故、の問いに答えは返ったか。 何故、あれほど頑なに拒んでいた眷属を得たのか。
それがフェルゼであったのは、何故か。]
(562) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[理由がどうあれ変わらないのは、 変わらず傍にある存在。
白亜に包まれた二階の窓に浮かぶ影は、 ひとつからふたつに増え、時折、大きなひとつの影に。]**
(563) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[メルヤが着替えている間にジャーディンも 己の身体をタオルで拭いた。
使ったタオルやシャツはまとめて洗濯機に放り込む]
"アレックス"、洗っておけ
[昨今そうして命じればAIが勝手にやってくれる。 便利な世の中になったものであるが、 絶望的な世界であることに変わりはない]
衣装は沢山あるから毎日着まわせよ 脱いだら今やったみたいに洗濯機に 放り込んで命じればいい
[>>556他の服は要らないというが、 毎日同じ服を着ていたら垢臭くなるし 汗臭くもなっていく。 それは改めさせなければならないことだった]
(564) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[それにしてもが続くが、 メルヤは己の身体のことも理解していないようである]
よし、よく着れたな、偉いぞ ……サイズもぴったりだな
[何故か服を着ただけで得意げな眷属の頭を撫でる。 撫でた後で肩の位置などを直してやったが 胸が大きいと似合わない衣装なので丁度良いようであった]
(565) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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さっきは昨日までのお前は云々言ったが、 日常的な記憶くらいは覚えておけ
これから通信教育を頼んでやるから学べ 仕事のやり方も教えるからそれもするように
家事とかは代行を頼むから気にしなくていいが…… 次はこっちだ
[そう告げるとメルヤの手を掴みキッチンまで案内する。 電灯は近づけば勝手に点き、 離れると勝手に消えるようにしてあった。 ほぼ全自動の家の中、ほぼ使わないキッチンで鍋に水を入れて火にかけた]
(566) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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火の扱いには気をつけろよ 流石に火事は普通に死ぬはずだからな……死ぬよな
[死ぬようなことは試していないのでわからないが、 "吸血鬼"であれ眷属であれ死ぬだろう、多分。
湯が沸けば火を消して備蓄しているカップ麺を並べていく]
塩、シーフード、カレー、トマト…… どの味が好みだ?
[問いかけながら自分用に焼きそばを用意しはじめた*]
(567) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[かわりにもう一方の手を伸ばし 彼女の指に己の指をそっと這わす その柔らかさを、その滑らかさを、 ぬくもりを確かめるような手つきで] [いちど爪の先を、唇で食んでから 彼女の中指の腹に犬歯を立てる*]
(568) 2019/10/07(Mon) 20時頃
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[主人はこうして気紛れに、寛容を示してみせたりもする。 それが見透かされているよう、だろうか]
……ん
[指先に灯る体温 絡めとるごとき吸血鬼の指に眉を寄せた。
犬歯の硬い感触に漏らす吐息は、ほとんどため息の長さ]
(569) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[餌で味が変わる家畜のように、普段の食餌によってこの血の味も変わるのだろうか?──さあ。知らない]
[眷属の依存衝動が深まるほど、その血は甘く、美味しくなるらしい。 今の私の血は?──さあね。知らない]
[初めての夜から変わらずあればいい。 いっそ少しほろ苦いくらいならばいい。
まだこの病が 深くなければ。いい]
(570) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[そうしてジャーディンの言葉を待てば 予想通りまた髪を撫でてもらえ>>565 自分の行動が正しかったのだと理解する。
たくさんある服は着回せば良い 脱いだらそこの四角い箱──洗濯機 そこに入れて、彼のように話しかければ>>564
そこまで頭に入れたところで 洗濯機を突こうとすれば手を引かれ>>566]
(571) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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日常的な記憶? でもそれは、これから覚えるものじゃ……
[記憶がないふりをしているけれど それ以前に、彼のいう日常が自分の中にはない
自動で灯る明かりなど見たこともなかったし 着回せるほどに服のある環境も初めて 特に日常部分に関しては 今までを参考にできるとは思えない]
(572) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[あまりにも今までとかけ離れている場所。
いっそ本当に記憶がなくなってしまったなら どんなにか、楽だったのに。 そんなことを思いながら、台所の前に立つ。
並べられたカップ麺は知っている けれど、その質問への答えは どれほど探しても、自分の中にはやはりない]
どれが好きかわからないから、端っこの
あのね、私。 自分がいくつなのかわからない だから、これから育つかどうかも……
(573) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[過去の記憶があるかと問われたら 覚えていないと嘘をつこう シャワーがわからないと嘘をついたように。
けれど、このわからないは本当 好きな味も、服の好みも 自分の誕生日さえ忘れてしまったから 今までいくど季節が巡ったかも覚えていない。
育たなかったらごめんなさいと告げて 目を閉じて隅っこのカップ麺を一つ手に取った*]
(574) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[妖精のような声をあげて抱き上げられたミルフィに セイルズは明るく笑って、青空の下を歩いていく。]
そうかい。 これからきっと、もっともっと重くなるぞ。 [はにかむ娘の言葉を喜んで、 彼女の数年後の姿を思い描く。>>464>>466
今はこんなに小さくとも いつか成長期が来てしまうのだろう。 それが惜しくもあり、待ち遠しくもあり―――― セイルズは人知れず娘の可能性に目を細める。]
(575) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[きっとその時は、二人とも紛う事なく父娘であった。]
(576) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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ああ。ずいぶん沢山の言葉を読めるようになったね。 えらいぞ、ミルフィ。
[橙色の灯りをともして、ミルフィの朗読を その髪を梳きながら聴いていたセイルズは、 得意げに笑う少女の言葉を肯定して頷いた。>>467
最初は文字もわからなかったのに このごろのミルフィの成長は目覚しいものがある。
きっと好奇心が旺盛だからだろう、と 微笑ましく思っていると 終わりを迎えてしまった絵本を脇において 娘が頬に口付けをくれるものだから]
(577) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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……本当に、今日は最高の誕生日だったよ。 [照れるように笑って、 布団に潜り込もうとする彼女の額にキスを落とした。 成長段階の子供独特の、あいらしい頭の形を眺めて 布団にもぐりこんでしまった彼女の頭を撫でて]
おやすみ、ミルフィ。
[暖かで幸せな色で光るテーブルランプを消せば 静かな夜がそこには横たわっている。]
(578) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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"I'm so happy to be your daddy, my love."
(579) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[布団の上からいくらか、少女の背をとんとんと叩いて セイルズは窓の外を見つめる。
星も月も見えないベッドの中で、 静かに、祈るように手を組んだ。*]
(580) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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―― 曇天の日 ――
[このところ学会の準備が続いている。 セイルズ・ウォルフォードは疲れた目を癒すように 眼鏡をはずし眉間を揉んだ。
大陸に横たわる歴史を読み解くのも苦労するが それをまとめ論文という形で発表するのも一苦労だ。
どうにか学会までに一通りまとまりそうではあるものの ミルフィの学校の話を今週は聞けていないことを 申し訳なく思いながら、セイルズは家路を急ぐ。
気がふさぐような、寒い、灰色の日だった。 こういう日は決まって昔を思い出す。]
(581) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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("Keep your promise.")
(582) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 21時頃
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[ひさしぶりに、妻の声が聞こえた気がした。
よくないな、とひとりごちて、首を振る。 雨の匂いが鼻を掠める前に、 学校が休みで暇をしている娘が待つ家へ――――]
(583) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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『いいかい、ミルフィ。 パパの仕事部屋に勝手に入っちゃだめだよ。 入ってもいいけれど僕が居るときだけ。 古い本や紙がいっぱい置いてあってね……』
(584) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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……ただいま、ミルフィ。
[扉を開けたとき、 慌てて何かを開け閉めする音が聞こえた。 セイルズは瞬き、出てきたミルフィを見つめる。 何事もなかったかのように笑う彼女を 訝しく思ったのは一瞬。
気のせいか、と思おうとして、 ふっと笑顔を浮かべその頭を撫でる。>>541]
(585) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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|
[そうだ、気のせいだ。 娘は何も知らない。 知っていてもいいことは何もない。
……逃避するようにそんな事を考えて、 セイルズもまたいつものように振る舞った。
ミルフィと一緒に好きな料理をつくり>>542 砂糖を沢山いれようとするものだから、 「だめだよ」と笑ってそれを止め、 いつものように同じ食卓を囲んで、風呂に入る。
ミルフィがおねだりをしてくれば 「ようやく大方準備が終わったから、 今日は一緒に寝られるよ」と 寝不足の目をしぱしぱと瞬かせながら微笑んだ。]
(586) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[幸せな日常。幸せな表情。
それら全てに一瞬、安堵したセイルズは けれどミルフィが呟いた言葉に目を見開き まるで時間を止めたように固まってしまう。]
(587) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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………………、 [外は冷たい雨が降っている。 布団をかぶった娘を、 いつもと同じように撫でてやろうとして 少しも動けない己自身を、セイルズはあざ笑った。
首を横に振る。]
僕の書斎に入ったんだね。
[それは問いかけではなかった。 確信めいた呟きだった。
舌先が己の犬歯をなぞる。 不味い家畜の血で何年も永らえてきた吸血鬼の本能が ぐるぐるととぐろを巻いている。 ――――それを、セイルズは認められなかった。]
(588) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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駄目だよ、そんな事をしては。
[淡々と咎める声は、 書斎に入ったことを怒るようでもあり、 ミルフィの呼びかけを怒るようでもあった。]
(589) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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駄目だ。
(590) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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[何度も否定して首を振る。 そうして苦く笑って彼女の背を布団越しに撫でた。
――彼女もまた妻と同じように 「 」しまったら? ――
恐れが全身を這う。 白い首に牙を突きたてる幻想を――そこに滲む喜悦を 憎むように噛み殺せば、 吸血鬼の牙は娘の肌ではなく、己の口腔を傷つける。
なおも優しく娘の背を布団越しに撫でて セイルズは闇の中で弱弱しく微笑んだ。]
(591) 2019/10/07(Mon) 21時頃
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ミルフィ。随分大きくなったね。 ……学会が終わったら、きみのベッドを新調しよう。 ママのおさがりで少し、古臭かっただろう?
[それが意味するところを、 娘が気づく事はあっただろうか。
セイルズは少しだけ息をつき、 娘の耳があるだろう場所へ顔を寄せ、囁いた。]
(592) 2019/10/07(Mon) 21時半頃
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"......I'm so happy to be your daddy, my love."
(593) 2019/10/07(Mon) 21時半頃
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[青空の下、幸せを噛み締めた日と同じように**]
(594) 2019/10/07(Mon) 21時半頃
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[>>574端のカップ麺は塩味である。 メルヤが手にした味の包装を剥いてそれはゴミ箱へ捨てて見せ、 蓋を開けば生卵を落して熱湯を注いだ。
これはどちらかと言えば"吸血鬼"らしいのではなく、 作家らしい生活習慣に基づいてのものである]
湯を注いだら三分だ カップ麺は沢山あるからその内好きな味もできるだろう
俺のヴィラドメア城は特殊だ 世間一般的な日常ではないという点は忘れないように
[蓋を閉じた後、自身の焼きそばの湯切りをしてから ソースを投入しかき混ぜていく]
(595) 2019/10/07(Mon) 21時半頃
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[最低でも家と外は違うことくらいは覚えて貰おう。 尤も教えるのは"違う"という情報だけである]
食べるところはこっちだ
……眷属となったのだ 寿命は我と同じくらいはあろうさ 運が良ければ育つであろうし 運が悪ければそのままロリぺったんであろう
確か眷属はこうして普通の食事を摂らねばならぬ……はずだ
[非常にうろ覚えである。 "吸血鬼"である自身は血があれば良いのだが 眷属は確か違った気がしないこともない]
(596) 2019/10/07(Mon) 21時半頃
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育っても育たなくても構わないが 今のままでは不健康すぎる 俺の為に美味なる血になれ
全てはこれからだ これから見つけていけば良い
ぬいぐるみも買ってやろう 誕生日も祝ってやろう まったく、手のかかる僕だ
[完成した焼きそばと塩味のカップ麺を持って 食卓のあるリビングへと移動する。 食卓の上にカップ麺を置いて一緒に箸も出して置いた。
蓋を取り熱さに気を付けて食べるように告げよう。 食べねば今のまま鶏ガラである。 それでは些か不味かろうと食を与えるのである*]
(597) 2019/10/07(Mon) 21時半頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 21時半頃
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― 終わりの始まり ―
[道を踏み外してしまうほど沢山雨が降った翌日は、当然ながら休院になった。その日、彼が眼を覚ましたのは、ふかふかのソファの上。 心臓のポンプを押し上げる力強さを彼に教えるは、他ならぬ吸血鬼の血。]
――― 起きたか? おはよう。
身体は如何だ、どこか痛むか。 [昨夜酷く取り乱したと言うのに、今朝は抑揚を殺して穏やかに問えた。 常のカウンセリングの際と同じように対面のソファに長躯を落ち着けているが、もう己には主治医の資格がない。 お互いの間には別の関係性が横たわっている。]
(598) 2019/10/07(Mon) 22時頃
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――――…、
[続けるべき言葉に迷うのは数分。 何を告げても、時は戻らない。 雨が全てを流し、曇天の向こうに連れ去ってしまった。]
(599) 2019/10/07(Mon) 22時頃
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[最初に痛ましく眉根を寄せ、一拍置いて溜息を吐く。 視線を脇に捨てれば、自然と眉尻が下がった。
一度、二度。 声にならない言葉を噛んで、最後は精悍な顔を両手で拭って天井を仰ぎ。]
ごめんな。
[喘ぐように吐き出した謝罪が、新しい関係性を始める最初の言葉になった。*]
(600) 2019/10/07(Mon) 22時頃
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― 新しい生活 ―
[彼の主治医と言う立場から降り、血親と言う位置に納まれば、今度は彼を正式に迎える準備を始めた。とは言え、彼は生まれも正しく肉親もある身。 東欧の言い伝えに在る化物ように奪って攫って囲うと言うのは、理性あるヒトが選ぶ方法ではない。
沢山の書類を集め、行政の手続きを進め、幾度かシューマッハ家にも掛け合って彼の住居を白亜の診療所に移した。 流石に学校の退学手続きを経る際には、彼に了解を求めたが。]
学なら俺が教えてやるよ。 ――― フェルゼは何になりたい?
(601) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[彼を己の血で穢してから暫くは自己嫌悪の日々だった。
当人である彼の前では露骨過ぎる態度は避けたが、時間が諦観を齎すまでは殊更に溜息が増えた。 それでも、眷属を――、ひとりの人間を受け入れる生活の地盤を整え、己の傍らを彼の生活拠点に変えた。
無論、些か身勝手に進めてしまった感はある。 彼の倦怠や絶望感の育成に全く寄与しなかったと言えば嘘になるだろう。
だが、己は急いて、焦っていたのだ。 我が血が齎す副作用をなるべく遠ざけさせるように、発症させぬように、彼に隠すようにして。
何故の答えを噤んだように。>>562]
(602) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[ ―――― 無駄と知りながら。*]
(603) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[パパの声>>588に、 びくりとあたしは肩を震わせた。
その声音は確信めいた響きがあって、 ああ、パパは全部お見通しなんだなあって あたしは悟ったんだ。
こんなふうにパパに怒られるのは、初めてだった。
いつもやさしいパパ。 大好きなあたしのパパ。
だからあたしを咎めるパパの淡々とした言葉に どう反応していいか分からなくって、 布団にくるまって、固まってしまったんだ]
(604) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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("Don't leave me alone.")
(605) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[胸の内に芽生えたのは、確かな恐怖心]
……わかった。 もう書斎には勝手に入らない。
[消え入りそうな声で返すのが、やっとだった。 心臓が、ばくばくと脈打っていた]
(606) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[布団越しに撫でられる、あたたかな感触。
パパの手のぬくもり>>591に あたしはようやく安堵を覚えたんだ]
ベッドを?
……いい。 パパのベッドでいっしょに眠るから 新しいベッドなんていらない。
[駄々っ子のような声で返した]
(607) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[ママの使っていたものを処分して 新しいベッドを買うだなんて。
今夜のパパは、すこしおかしい。
いなくなって何年も経つママの部屋を、 ずうっと残してあるくらい、 今でもパパはママを愛しているのに。
古臭いベッドで構わない。 あたしはママのおさがりで、いい]
(608) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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"......I’m so happy being your daughter, too."
(609) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[なんだか怖くって、布団から顔を出して パパの表情を見ることができなかったから。
あたしは小さな声でパパにそう返すと 目を閉じて、必死に眠ろうとしたんだ。
明日になれば、きっとすべてがいつも通りで。 あたしたちは仲の良い家族でいられるから。
だから今夜は、おやすみなさい]
(610) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[その夜は、会ったことのないママの夢を見た。
部屋に飾ってある写真そのままに 綺麗な顔をしたその女性は、 あたしをやさしく抱きしめてくれた。
あたたかく娘を抱いていたその手が、 なぜかあたしの首筋に向かって伸ばされ――]
(611) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[ぎゅう、とそのまま締め上げられる]
(612) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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("......Have difficulty breathing, Mom!")
(613) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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[うなされて翌朝、目を覚ました。 全身汗だくで、息が苦しかった。
それからだ。 あたしがママの夢を見る回数が増えていったのは。
きっと、勝手に書斎に入ったバツが当たったんだわ。 当時のあたしは、そう思っていた]*
(614) 2019/10/07(Mon) 22時半頃
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─ 始まりは終わりと共に ─
[目が醒めた瞬間は、此処がどこで何時か曖昧だった。 "あれ"からどれくらい経ったのかも。]
………いや、どこも。 痛くない [一切の痛苦を感じないことなど生まれて初めてで もしかして自分は死んでしまったのかと思うほど。
だが、そうじゃないことくらいは解る。 時間を巻き戻したように、定位置に腰を据えているが 互いの間に過ぎた時間が、二度と戻らなぬことも。
じ、と彼の双眸を見つめて、己の首筋に掌を宛がう。 ぷっくりと膨らんだ、直線にならぶ牙痕を撫で。]
(615) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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────…それだけ?
[流石に彼の方から、説明があると思っていた。 急変した態度。吸血の真意。 一切の弁明もないまま、後悔と責務に苛まれる態度に 何故だかむしょうに腹が立った。]
他に何か言うことがあるだろう、 なあ……グスタフ どうして、こんな…
愚かなことを
[細腕で肩をつかみ、揺さぶり、慟哭と共に詰問した。 それくらいの権利はあるだろう。
吸血鬼にとって眷属はひとりじゃなくとも。 眷属にとって、主は唯一無二なのだから。]
(616) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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[けれど、どれだけ粘ろうと頑固な口は割れず。 得られぬ解に自分なりの結論をつける。
ひしひしと感じる罪悪感が辛くて、不快で、哀しくて。 悔やんでいるならいないものとして扱えばいいのに その後の彼の行動は、まるで新たな鳥籠を 用意するかのようで、困惑を深めた。
すべては彼の言葉足らずと、己の知識不足によるもの。 眷属が後に患う病なぞ、知っていようと実感は薄い。 他人への感情や距離感が希薄だったのも一因だろう。
──ただひとりを除いて。]
(617) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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[ちなみに。 既に息子の未来を諦め、養子を検討していた両親は これ幸いと、世間体と彼の申し出を盾に、 重篤の末に死亡したことにして諸々の手続きを進め
「フェルゼ・アルブレヒト」として 白亜の建物に戻る頃には、だいぶ心も凪いでいた。]
(618) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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[────凪いだふりを、していた。]*
(619) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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―― リンディン大学にて ――
[投げかけられた言葉に、懐かしそうに笑った。>>509 亡き妻と似たようなことを幼い見目の少年が言う。 夢想を追えど、どこか諦めている僕とは違うな、と そんな事を思いながら相槌を打った。]
友、か。
ここに”吸血鬼”の記述がなく 一族として歴史に名を残すことは少なくとも―― いないと断じてしまうより ある、と思ったほうが辛気臭くなくて良いね。
[時間の砂を掻き分けて、 少年は何かを見出しているようだ。>>509 感性が若いな、と思うのは、 やはり彼が不思議そうに首を傾げてから>>510 チトフが慈しむように参考書の表紙を撫でる様子に、 セイルズは声をあげて「成程」と笑う。]
(620) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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そうだね。そのとおり。 君の事を穿ってみていたようだ。 やれ虚学だなんだのと言われ倒しているものだから すぐ、学問の戸を叩く人を疑ってしまう。 よくない癖だね。
僕もチトフ君のように 新しい風を浴びてみるべきかもしれない。 でないと宝石を育てることも、 お菓子を食べることも忘れそうだ。
[何せ、セイルズは吸血鬼としては そこそこ年を取っている。 埃を被りそうな己の感性に肩を竦めて>>511>>512 愛らしい少年からありがとう、とケーキを受け取った。]
(621) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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[さらさらとやわらかい髪と、丸い頭を撫でて 嬉しそうな顔を見てはにこりと微笑む。>>512
いつだって、子供は愛らしいものだ。 愛されるべきものだ。 それは人間も吸血鬼も変わらない。
とはいえ謝罪は一言挟むのだが、 礼を述べられてしまったので]
そうかい? 怒られると思った。 何せ天下のホワイトラビットの社長だもの。 そんな風に答えると、 またつい撫でてしまうかもしれない。
[特に臆すこともなく、 吸血鬼教授は次回の犯行予告を述べた。]
(622) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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本当だとも。 このケーキも、娘といただくよ。 また感想を伝えたいから、 暇なときにでも聴講に来ておくれ。 楽しげに授業を聞く生徒がいるというのは やはり、嬉しい事だからね。
[――きっと後日、「トナカイのほっぺ」の感想を チトフに伝えることもあっただろう。>>513]
(623) 2019/10/07(Mon) 23時頃
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―― 秘密の講義 ――
[それから、いくらか月日が経った頃だ。 相変わらず講義を聴きにきてくれるチトフが 講義以外の質問をするので、 セイルズは興味深そうに耳を傾けた。]
おやおや。
”人間の子供の発育にはバランスの良い食事が必要。” とはいうが。
体の構造は似ているのに、 人間は随分と色んなものを口にしなければいけない。 娘も苦い野菜が嫌いで、食べさせるのに苦労したな……
でも、どうして?
[むくれた様子のチトフに首をかしげる。 理由を聞けば>>514彼もまた養子を迎えたのだという。]
(624) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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そうか。 チトフ君も人の親になったのかい。 いいことだ。
[幸せそうに報告する彼を見ていれば 自然とそういう言葉が口をついた。 アリスの写真を見せてもらう。
白くてふわふわな犬と ピンクのおさげ髪に眼鏡をかけた少女が遊んでいる。 和やかなその景色につられて笑んだ。]
(625) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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かわいらしい子じゃないか。 「アリス」―――― 「アリスの微笑み」を思い出すな。あの飴玉を。
[セイルズは孤児院の子供達の呼び名を知らない。>>142 だから、彼の会社の主力商品の名をなぞって、 思いいれのある名前なのかな、と考える。>>125]
家族になるのは難しいね。 その子のためと思っても嫌がられてしまう事もあるし 育児のことなんか全然解らないから苦労する。
けれど、子供の笑顔一つで なんだかんだ報われてしまうものなんだ……。
[ミルフィの笑顔を思い浮かべながら セイルズは微笑を浮かべ、写真を見つめる。]
(626) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[しかしややあって彼は顔をあげ、 「でも」と言い添えた。]
それだったらなおさら、 栄養や健康状態には気遣ってあげなければいけないよ、 チトフ君。
遊んでいて転んで骨が折れたり 風邪を引いて寝込んでしまったり 虫歯になってしまったらかわいそうだ。 ビタミンが不足すれば足が動かなくなることもあるんだ。 痛い思いをするのは子供の方なんだから 吸血鬼の尺度で人間を測ってはいけない。
それにここだけの話……
[子供の健康状態にうるさい父親だったセイルズは、 「めっ」と諭すようにチトフに語りかけ 真剣な顔で声を潜め、人差し指を立てた。]
(627) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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……栄養価を考えて 嫌いなものもちゃんと食べさせた後、 好きなものをごちそうした時の子供の顔は、
すごく可愛い。
[そこまで言うと、ふ、と表情を崩して微笑んで またいつかのように、 彼の頭をそっと撫でようとしただろう。]
つらつらと語ってすまないね。 でも、嬉しいんだ。君が家族を持ったことが。
君とその子が、末永く幸せでありますように。
*
(628) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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何に……? 難しいことを聞くね ここからじゃ働きに出るには不便すぎるし……
教えてくれるって言うなら あんたの仕事を手伝おうかな [何かにつけ、突き放すような態度を取る癖に、 此処から離れられないよう外堀を埋める彼に、 此処に居るのは、自らの意志だと伝えたかった。]
僕なら、死に逝く人間の気持ちも解るし
[なんて皮肉も忘れずに。 まともな社会生活の経験がなくとも 受付やカルテの整理くらいはできるだろう。]
(629) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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|
[頭上の呻く声は、聞こえていた。>>419 咬みついた喉元から直接響くのを拾ったというのが、正しいのかもしれない。 ひとしきり渇きを満たして首筋から顔を離したなら、犬歯を隠すように口を閉じて。男の表情を、確認する。
初めて咬んだ時のことは、幼すぎて覚えていない。 だから咬まれた側にどんな影響があるかも、わからない。
咬んでから気づいて心配するなんて、間抜けだけど。 下から覗きこむように男を見上げれば、伸びてきた固い指腹に唇を拭われて思わず半目になった。>>420]
……そんな軽口が言えるなら、大丈夫そうだな。
[咬む前と変わらない調子で笑う男。 それに内心安堵した。なんてことは、教えてやらない。
もうちょっと飲んでもよかったかと嘯きながら、男の手首を掴めば親指についた赤も舐めとってしまおうとして。]
(630) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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|
[適当に選んだカップ麺>>595 その味が塩味だとは、教えてもらえたか。
卵を割り、容器の中へ落とすのを見れば その一手間が珍しく、興味津々で眺めたりもして。 そのうち好きな味ができる その言葉に少しだけ救われた気持ちになる。
この場所もまた、特殊な場所 他とは違うと言われれば、どこが違うのかと 首を傾げ、問いを発してはみたけれど その答えはあったかどうか。
どちらにしろ、ジャーディンの分の食事もできれば 彼の後ろについて食事をする場所へ移動し>>596]
(631) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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|
[不意に、遮られた視界。>>421 数秒遅れて、それが男の顔だと気づき。
目を丸くした、次の瞬間。]
……っちょ。 おい、どうしたんだ。……蒼佑っ。
[崩れ落ちた上半身を慌てて受け止め。 ずしりと重さのある身体をどうにか仰向けに転がした。 呼吸は、している。というか、これは。]
(632) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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…………。寝てる?
[なんと人騒がせな。 はぁ、と息を吐き出し、ぺしりと額を叩く。
恐らく、男にしてみれば記念すべき「初めて」呼んだ、その名前は。恐らく、本人の記憶に残らないまま。 僕はベッドの端に腰掛け、口元を手の甲でぬぐった。*]
(633) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[彼の言葉に耳を傾けながら 椅子に座り、ぱたぱたと足を揺らす。 目の前には二本の棒切れ>>597 よく知ったフォークはそこにはない。
二本とも一緒くたにフォークのように握り 容器の中をぐりぐり。──どうやっても麺が逃げる]
うん、美味しい血に…… そうしたら喜んでくれる?
好きなものもこれから見つける だけどね、誕生日は思い出せないから "けんぞく"になった日が誕生日 だって、全部これからなんでしょう?
[相変わらず麺がつかめずに 今度は縁からすすろうと容器を持ち上げて]
(634) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[しばらく男の寝顔を眺めていれば。 床に降りて待っていた大型犬が、くぅん、と鳴いて。 僕は手を伸ばして、大人しくしてたのを褒めるよう、犬の背を撫でた。]
悪いな、モモ。 今日の散歩は、もうちょっとあとで。
[さすがに男を置いて、外に出るのは気が引ける。 盗まれて困るようなものはないが、一応倒れた原因が僕であるわけだし。
甘える用膝に足を乗せて伸びあがってくる犬に、黒目を細めて腕を回す。 そっと抱きしめて柔らかい毛に頬を寄せれば、温もりにゆっくりと息を吐き出した。]
(635) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[目が覚めたら世界が変わっていた――
なんてことはなかった。]
(636) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[思えば、出会い頭から物好きな男だった。>>381 ただ眷属になりたいだけなら。リンディンには多才さを発揮し、医者や教授といった各方面で名の通る吸血鬼だってそれなりにいる。
それを同郷というだけで、こんな翻訳家の端くれをわざわざ訪ねてきて。 調子がいい言葉を並べ立て、珍しい手土産でご機嫌をとったり。すげなくあしらっても、懲りずに通ったり。
そして極めつけは。 まるで、僕を助けにきたようなあの台詞。>>382]
……わかったようなことを言うな。
[喉が渇いても、助けてもらおうなんて思わなかった。 助けてもらったところで、僕にはそれに対して返せるだけのものがないのだから。
寿命が延びたところで、長生きする保証はなく。 むしろ依存症を患わせて、最悪の場合は────]
(637) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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役に立つように努力する だって、他に何もないから
だからね、えっと…… 吸血鬼のことを教えて
[そうすればきっと役に立てるから。と伝え
熱いスープをふーふー吹いてはみたけれど やっぱり、棒切れ二本で食べるのは難しく なかなか口に入らない麺に お腹が小さく、ぐーっとなった*]
(638) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[とはいえ、患者は定期的に減る上に 診療に訪れる数も街医者ほど多くはない。
持て余すだろう時間の使い方を決める切欠は 食器棚に見つけた、花の模様の彫られた硝子の猪口。
恐らく酒を飲む為の器だったのだろうが、生憎と 飲酒も喫煙も、接吻すら経験ないままの今なので。]
これ、綺麗だね 花瓶にするには浅いし…蝋燭でも浮かべようか
[元々、炎の揺らぎを見るのは好きだった。 丸みのある灯りも、生命の強さを感じさせる熱も。 ──酸素を断てば呆気なく消える儚さまで。]
(639) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[でも、今日新たに知ったことがある。
この男にはどうやら。 僕の顔に、助けるだけの価値があるらしい。
そして。さっき、ちらっとだけ見えた男の表情。>>260 初めて見るあれは、ちょっとよかったな。なんて。 寝ている男を見下ろして、思う。]
(640) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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……あんな顔も、するんだな。
[ぽつりと、こぼし。 伸ばした手で、男の首筋に見える痕をそっと撫でた。
覚えたのは、優越感に似た感情。 その名前を、僕はまだ知らない。
残念ながら僕は、普通の人間なら”思春期”と呼ぶだろうその時期を学校に通うことも人と関わることもなく、学校に通うこともなく箱庭の中で過ごしたせいか。
人間社会で生きる為に、感情を機微を本や映画の知識を理解はしても。 未だ情操教育が圧倒的に足りていなかった。*]
(641) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[なんとなくの興味で始まった趣味が、 やがて手に職をつける、なんてよくある話。
アルブレヒト医院の雑務と、主の世話と、蝋燭職人。 生まれ変わったフェルゼは、二足では足りぬ草鞋を履く。]
(642) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[身体は、というか血液は確かにつくりかわったのだろう。 そうでなければ強制的な眠りの説明がつかない。
キスが成功したかも知らなければ、自分の身を案じた彼が、今までのように「あんた」と呼ぶのではなくちゃんと名前を――それもガラス作品の意匠に使う「サクラ」ではなく、ただ一度同郷の文化のネタの為に渡した「名刺」に書いた「蒼佑」を――呼んだことも、知らない。>>632
ただ、とても幸せな夢を見ていた気がする。 自分が世界一幸せないきものであると世界中に自慢したくなるほどの。
噛み痕はじわり熱を生み、触れる主>>641の手を乞うように吸い付いた。]
(643) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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[傍目には穏やかな日常が続いている。 互いに腹の底を曝さぬまま、 頑固と意地をぶつけ合い、見えぬ罅を刻みつつも。]
──… ……
[ナイフの使い方だってだいぶ慣れた。 皮と実の間に刃をあて、する、すると剥いていく。]
……ッ、
[さく、と。指先に沈ませる刃先の加減もこの通り。 果物やナイフ、床を汚さぬように腕を掲げ、 と、と、と。軽い足取りで主の元へと向かう。]
(644) 2019/10/07(Mon) 23時半頃
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―― 冷たい夜に ――
……いい子だ。
[自分でも驚くほど、低く淡々とした声だった。 セイルズは思わず己の喉に手をやる。>>604>>606 それから、ミルフィの背を優しく撫でた。
彼女が飼っている恐怖を知らず>>605 彼女の安堵を知らず、 駄々っ子のように返る言葉に苦笑する。]
体が大きくなって、僕と一緒じゃあ狭いだろう……
[もう、こんなに大きくなった。 背を撫でる手を一瞬止める。 あと何年一緒にいられるだろう。 そう考えてしまうのは、早いだろうか。]
(645) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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『この依存症は、現在のところ 進行性かつ不治の病であるとみなされている。――』
『――疾患の終末期には しばしば悲劇的な結末を迎えることが知られているが――』
(646) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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あーあ… また やってしまったよ 治してくれるかい? …グスタフ
[患者の相手をしていなければ、いつだって構いなし。 彼に創つけられたままの姿で止まった痩躯は 精悍な膝に乗り上げることをためらわず。
さあ、と。否応なく口元に突きつけるは、 赤くて、甘い誘惑。
こうでもしないと"食事"を摂ろうとしないのだから まったく、うちの主は世話が焼ける。]
(647) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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[とある雑誌記事の記述を思い出し首を横に振る。>>27
長年連れ添った妻は、 共に歩み続けることで病を進行させた。 妻と同じ道を歩ませてはいけない。 それだけは。
けれども突き放したところで 眷属の病はなくなるものなのだろうか。 頭をもたげる疑問に悩まされながら セイルズはミルフィが眠るまで、 そっとその様子を見つめていた。*]
(648) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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[――――雨の匂いが鼻を掠める。]
(649) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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(「ねえあなた、もう耐え切れないの。私、私は――……」)
(650) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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…………ミルフィ?
[翌朝、ベッドから起きてきたミルフィは 妙に疲れていて>>614 セイルズは首を傾げて、家具の広告から視線を娘へ移した。
早く娘の朝餉を作らねば、という思いから その日は起きてすぐ彼女の異変に気づくことはなかった。]
眠れなかったかい?
[目が合えば、セイルズはいつもどおりの優しい父親だ。 ミルフィのために朝食や紅茶を用意して 向き合って人間の食事をとる。]
(651) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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[彼が娘の異変に気づいたのはしばらくしてからのこと。
魘されるミルフィの手をとって、 心配そうに覗き込む朝が増えた。
……あんなふうに怒ったりしたからだ、と
当時のセイルズは娘の異変について、 自分の過失だと反省していた。**]
(652) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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[──白銀で覆う双眸が、無駄な努力を嘲笑う。]**
(653) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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炉の番 チトフは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 00時頃
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[>>634メルヤは箸の使い方も知らないようだった。 だが、それもそうだろうとは思う。 自分も物書きなどしていなければ使い始めなかったろうし、 食事もブロック型のものを選んでいたかもしれない。
自分の箸の持ち方を見せるが真似できそうになければ フォークを取ってきて渡した。 >>638腹の蟲を鳴かす程なのだから 腹が減っていることは間違いない]
(654) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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"吸血鬼"たるもの美味な血は 至福であり歓喜することは間違いない
[鷹揚に頷くと焼きそばを口にする。 ソースの香りはメルヤの鼻腔をも擽るだろう。
少なくとも汚泥のような血を混ぜるには、 こうした匂いと味のキツい料理が良い。 特にカレーだ。 あれは大体カレー味になる]
(655) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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誕生日は今日で良いのか 次の誕生日まで一年待たないといけなくなるのだがな
[クリスマスにしようかと思っていたが今日で良いらしい。
欲がないのか、抜けているのか。 はたまた生まれ変わった日を大事にしたいのか。 何れかは分からないが望むならそうしてやろう。
眷属としてではなく助手として努力するのなら猶更だ]
"吸血鬼"か…… それには二つある 一つは物語上のものであり、 もう一つは現実のクソのようなものだ
[一つ、一つ、話てやろう。 理想的な"吸血鬼"を教え、 幻滅的な吸血鬼である自分のことも教える]
(656) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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……おはよ。 寝ちゃってたね、俺。
[世界は変わらなかった。 時が進んだ分、少し気温は高くなっていたか。 1時間以上、4時間未満といった再起動時間だったと推測する。
そっと触れた首筋には、ぽこっと盛り上がる肌がある。 出血は止まっているようだ。]
これからよろしく、ご主人様――っつーのはなんか違う気がすんな、今まで通り「アオくん」て呼ぶわ。
アオくんは俺の名前覚えてる? これから長いつきあいなんだし、「蒼佑」って、名前で呼んでくれたら嬉しい。
[呼ばれていたことに無自覚なまま、名を呼んで欲しいと告げた。 そう願うくらいはきっと、依存症の発露とは呼べない筈。]
(657) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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["吸血"の事も、自分の衝動や依存症のことも 包み隠さず伝えていく。
教えは始まりに過ぎない。 一日が経過し、一週間が経過し、 一月が経過する間にも教えることは山程ある。
簡単な教育から、箸の使い方。 買い物の仕方は一緒に連れ出したろうし、 下着も買い揃え、ビーズクッションなども買っていく。
一年が経過する頃には多少はマシになっていくだろうか。
仕事もさせるがやりたいことがあればやらせた。 それでどう進歩したかは正直なところ分かってはいないが、 眷属である限りは比較的真面目(ジャーディン比)に教えただろう*]
(658) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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[喉に落ちるその一滴が甘いかどうかは、秘密] [眉を顰めようと、歓喜に目を細めようと 二人を隔てる仮面が覆い隠すから ――初めての夜から、ずっと]
(659) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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[かたん、と微かな機械音 それを合図に主は下僕を解放してやる] [自由にしてやる、ためじゃない 次の命を言いつけるため] レコード、終わっちゃったわね。 替えてくれる? [さきほどまでとそう変わらぬ笑みを彼女へ向けて**]
(660) 2019/10/08(Tue) 00時頃
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――それから〜たくさんの時間の使い方――
[男は元々健康体であった。 単身異国に乗り込んで住み込みで働き自らの能力で稼ぎを得られる程の精神の図太さにも自信があった。 だから本当に自分のいのちが伸びたのだという実感が最初はあまりなかった。
世界の色は変わらなかったし、一日が長くなることもなかった。
早朝に起き、準備運動とジョギングで汗を流す。 シャワーを浴びて、生野菜とトースト、ミルク、フルーツの朝食を摂る。 そこから暫くインプットの時間を取る。 新聞のコラムを書写したり、読書をしたり、レコードを聴いたり。 脳に疲れを感じる頃、今度はコーヒーや紅茶を淹れてゆっくり飲みながら、アオに持って行く土産のことを考える。 男が眷属となれば犬の血は飲まずとも良くなるのだから、主人を奪った罪滅ぼしのようにモモ宛の土産の率も高くなった。]
(661) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[そして散歩をしながらアオのアパートへと向かう。 途中に見かけた花屋に美しい花があれば買うし、露天で興味を惹かれたアクセサリーがあればデザインの参考にと買う。 眷属が罹る病の自覚などない。 こうして自分には「好きなもの」「その時主人に会うより優先したいと思う用事」がまだあるのだから。
ドアが開いてアオの顔を見た時に胸に流れる温かい気持ちは、眷属になったから覚えたものではない。]
(662) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[アオにとって何の栄養にならないと知っても、昼食はニンゲンの食事を一緒に摂る。 表情の変化があまりないから感情が読めないと彼の担当編集者が嘆いていたが、そんな彼が興味を示す時に眼鏡の奥の黒目に星が瞬いているように見えるから、男はアオの興味を引くように色んな料理をつくり、インプットした知識を惜しみなくアウトプットした。
そしてアオの「喰事」を経て、仕事の為に工房に戻る。 そこからはひたすら制作に没頭し、また夕飯頃にアオのアパートをノックした。
吸血が入る分少し伸びただけで、一日に会っている時間が劇的に伸びるということはなかった。]
(663) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[吸血時間は互いの為に時間を測ろう、と提案した。 長生きさせられないかもしれないと言う彼が理性なく飲み干すとは考えにくいが、吸われる此方が癖になって死んでしまったら元も子もない。
『もし「足りない」と思うなら、違う欲望で昇華しよう?』
そう言って押し倒したのは幾度も夜を越えない内。 敏腕政治家の息子は狡さをまんまと父親から譲り受け、性的知識が文字上にしかない無垢な吸血鬼に「違う欲望」への興味を植付けたのだった。]
(664) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[アオが口にした「10年」が経過した頃、漸く男は自分の肉体の老化がゆっくりになったことに気が付いた。
工房は今やすっかり「師匠の後継者の店」ではなく「サクラ ソウスケの店」と世間に認知されているし、男自身の腕は確実に上がっていて時が経過しているのは事実なのに、鏡に映る自分は相変わらずの髭面で、その髭も剃らなくとも同じ長さのままだ。
そして100年ぐらいが過ぎて、取引先の孫も鬼籍に入る頃、アオには老朽化したアパートから自身の工房直結の家屋に引っ越して貰った。
その間に各地の眷属が依存症により死亡したというニュースを多く聞いたが、男にとってそれはまだ対岸の火事だ。**]
(665) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[あの日。 目覚めと共に始まった糾弾に視界を閉ざし、口を結んだ。
彼には己を責める権利があって、詰る理由がある。 否、彼が理解する以上に、己だって理解している。 生きていればそれで良いと、そんな綺麗ごとを吐けるほど無知ではない。]
――――………、
[彼は正当に己を責めた。 その赤誠は鋭利であったが、同時に己を慰めてくれた。
本心で己を糾し、憤っているのだ。 きっとこれは彼の本音だ。 ――― そう、自らを安堵させてくれる叱咤だった。]
(666) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[吸血鬼の血は人を変える。
碌なことにはならないと再三言い続けた理由。 己が眷属を決して持たなかった理由。
我が身に流れる血は、彼を穢す。]
(667) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[吸血鬼の血は餌を飼うように、強い依存症で眷属を縛る。
ヤられるんは精神なのか、脳なのか、細胞なのか。 未だ現代医学では解明できていない呪いめいた疾患を等しく発症させるのだ。
二百年以上生きる己ですら、例外を聞いたことがない。 遅かれ早かれ、彼は己無しでは生きられなくなる。
――― 彼の意思に関わらず。]
(668) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[伏せた瞼の上から両手を押し付け、力無く首を振った。 その後暫く続く自己嫌悪の正体は、彼への不信が故だ。
彼の真摯を支える根幹は、血の病ではないか。 彼本人がそう思っているのか、 彼に血が言わせているのか。
己のエゴで選択した癖、彼の心の変化を恐れた。
―――― 彼を失いたくなかっただけなのに。]
(669) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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[彼の命を掴んでも、 その心はどこにあるか分からない。
その日から丘の上の診療所は、 沢山の後悔を詰め込んだ柩になった。*]
(670) 2019/10/08(Tue) 00時半頃
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("I am you, and you are me.")
(671) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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("......Yes, Mom.")
(672) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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―― 出会いから13年後 ――
[やさしい微睡の中で、 確かにあたしは女の人の影を見た。
小鳥のさえずりで目を覚ます。 ふぁ〜あとベッドの上で大きく伸びをして、 あたしは目覚まし時計に手を伸ばした。
パパのベッドでいっしょに眠るのをやめてから もう何年の月日が経っただろう。
あたしはもう19歳の女子大生で、 立派な大人に成長していた]
(673) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[目覚まし時計の時間を見て、 あたしは思わず目を大きく見開く]
きゃーーーーー!!!! うそ、うそうそうそ!!!
[慌ててベッドから飛び起きて、 自分の部屋から駆け出した。
どんなに寝坊したとしても 毎日の日課を欠かさないあたしは、 ママの写真立てに向かってにっこりと微笑むと]
(674) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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おはよう、ママ。
[写真の中の女性に、いつも通りに朝の挨拶をした。
それから手早く洗顔を済ませ、ドレッサーに向き合う。 化粧水と乳液をして、化粧下地を入念に塗り込む。 そばかすを気合いとファンデーションで消し去った後、 真っ赤なルージュを唇に引いた]
よし、完璧じゃん。
[鏡に映ったのは 写真立ての中のママそっくりな、あたしの姿だ]
(675) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[艶やかな亜麻色の髪。紅茶色の瞳。 淡い薔薇色に染まった頬。
おしとやかさはすこうし足りないかもしれないけど、 お化粧もママのを真似てるんだ。
……ね。母娘だから、似てるのは当然でしょ。
そうして、壁に掛かった時計を見遣って]
やばいやばいやばい。のんびりしてる暇ない!
[1階のキッチンへと駆け下りた]
(676) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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ねえ、パパ! どうして起こしてくれなかったの!
[きっともう朝食を先にとり始めているパパに、 精一杯の抗議をしてやるんだ]
大学に遅刻したら単位落としちゃうじゃん!
[何度起こされても起きない私の性分は棚に上げて、 あたしはぷりぷりとトーストに齧りついた]
(677) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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……ん、おいし。
[パパの作る朝食は世界で1番だから、 数秒前までぷりぷりしていたことも忘れて あたしは自然と頬を緩ませてしまうんだ。
あたしが朝食に作る 砂糖たっぷりのスクランブルエッグを パパはいつも「おいしい」って褒めてくれるんだけど。
なぜか我が家の朝食当番は、相変わらずパパのままだ]
(678) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[春からあたしは晴れて大学生になって、 パパの生徒になった。
親子だけど、先生と生徒。
あたしはママと同じ道を進んでいる。 自ら望んで。パパといっしょにいるために。
だってあたしたちは家族だから、 いつでもいっしょにいるのは当然のことなんだ]**
(679) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[かたん、微かな音>>660]
[いずれ瞬く睫毛に、陶然とした色が残るのは隠さない。 吸血行為が快楽なのは病ではなくただの生理現象だし ポーカーフェイスを気取ったところでどうせ見えていなかろう]
ああ ……次はピアノの何かをかけるか
[解放された指をハンカチで拭いながら、主人の笑みに視線を流し]
(680) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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お茶が冷めたな もう一杯淹れ直す。香りが細ったのは私が飲むけどいいね
[つれない態度などと笑われるが、 愛想をしなくとも憎からぬ主人だ、当然]
(681) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[媚びることはしない 自ら跪きはしない 彼女の毒気や戯言にはいやな顔をする]
ヴェルヌイユ ──ダージリンとシッキム、どっちを飲みたい?
[羞恥心や自尊心なんかのためでなく。 それに、 こういう間柄も居心地悪くはない**]
(682) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 01時頃
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[結局、箸で麺をつかむのには成功せず お腹の虫が限界を迎えた頃には音を上げて フォークを使う形に落ち着いた>>654
美味な血>>655 美味しい血が至福だと言いながらも 自分の首にではなく、麺へ箸を突き立てる姿
相反する様子に怪訝な顔を見せながらも フォークに絡めた麺をすすり、言葉を交わす 誕生日に関しては今日がいい。と
そして、一番知りたかった話には]
二つあるの……? 片方は物語で、もう片方が──
(683) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[教えられ、理解する。
目の前に眷属である自分がいるのに 他のものを口にする理由も、衝動のことも そして自分がこれから陥ると言う依存のことも
全て聞いて、 どこまで理解できたかはわからないけれど 少なくとも、ジャーディンへ依存していく そのことへ恐怖を感じることはなく。
不安だったのはただ一つ、捨てられることだけ
これが症状の一つなのか、 それとも単に、 失い続けてきた反動なのかはわからないまま ゆっくりと季節は巡り──]
(684) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[一年が過ぎる頃には>>658 文字を書くのはともかく、読めはするように
値札を読めるようになってからは 少しは買い物もできるようになってきた。
相変わらず、下着や服の好みはないまま それでも自分の部屋には物が増え ぬいぐるみもちらほらと増えていった。
仕事の手伝いはできているかは不明だが 床に落ちたゴミを拾ったり 必要ならばデッサンのモデルにはなったり
そうやって過ごす毎日は幸せで "メルヤ"になる前のことなど忘れてしまうほど**]
(685) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[どれだけ恐怖と罪悪感に苛まれても、時は過ぎていく。 長すぎる寿命はたっぷりと落ち込んでもお釣りをくれて。 歪に走り出した二人の生活も、ガタつかない程度に表面上は安定した。特に彼が素直に留まってくれたことは幸いだった。おかげで勃発を予感していた口論を幾つ回避できたか。 多少嫌味を聞かされても問題ない。 不安を訴えられるよりかはずっとマシだ。
彼の皮肉なら笑えるが、彼の懊悩は己の胸を刺す。 鋭く。]
患者にはそのハイセンスを発揮するなよ? 俺だけにしとけ。
(686) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[特殊な専門医であるから、閑散期はあるが元々独りで回しているような診療所だ。やることは無くならない。 それでも仕事を趣味のように扱う己とは違い、彼は彼で長い時を生きるための手慰みを見つけた。死を遠ざけても儚い印象を与える彼に良く似合う、静かな趣味だった。]
職人が作った良いものだからな。 欲しければやるよ。
―――― 俺は酒を飲まないし。
[否。彼と暮らし始めて止めたのだ。
自己嫌悪に陥っていた時期。 深酒が過ぎて、彼の首に噛みつきかけて以来。]
(687) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[表面上は良かった。
そもそもお互いに憎み合って犯した過ちではない。 曲がりなりにも友人関係からスタートした気安さだ。 関係性が歪に変化しても、同居人としては悪くなかった。
―――― たったひとつ、彼の施しさえ除けば。]
(688) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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|
[例えば大雨が降った翌日。 例えば長く通っていた患者が旅立った日。 例えば白いレースの花が美しく咲き誇る時期。
酷く酷く、咽喉が渇いて堪らなくなるのだ。
かつてなら衝動も理性で踏み躙れていたのに、舌が肥えると何もかも贅沢になった。たったひとりの血が飲みたくて、仕事の手が止まり、注意は散漫になり、夜に眼が冴えた。
飢えに耐えれない身体になっていく。 そう自覚するたび、彼は見計らって唆しにくるのだ。
何食わぬ顔で、素知らぬ口振りで。]
(689) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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ッ、
[最初は拒絶し、二度目は一口。 三度目は言い訳を並べ、四度目は瞳だげで期待した。 彼の血は咽喉を通るたび、己を美食家に変えていく。
咄嗟に口を掌で塞いでも、身体の奥から競り上がる興奮が隠せない。]
止せ。 お前がそんなことをしなくても良いって言ってるだろ。
耐えきれなくなったら、ちゃんと俺から言うから。
[彼に言葉で血を強請ったことなど一度もない癖、反論は欠かさない。 視線は彼の指先から滲む緋色に留まったままだけれど。]
(690) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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止せって、……仕事が、
[膝に乗る自重を拒絶出来ない。 視線は彼の指先を追い掛けて、口腔の唾液が増す。]
フェル、ゼ。
[指先から玉になって落ちるひとつぶ。 己を生かす、尊い命の水だ。
真っ赤な舌が、犬のように伸びた。**]
(691) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 01時半頃
山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[もっと、慾に従順ならば別のやりようがあった。 200年の飢餓を堪えた鉄の理性を砕くには たった一度の贅沢で足りると思えたが。
いつかの夜、はっきりした。>>687 眷属を得て尚、彼は吸血行為を忌避している。 それは、己の存在意義を否定されたも同じこと。
許せなかった。 そんなつもりじゃないと暗に訴える態度が。 一方的に穢しておいて、自分ばかり清廉を気取って。]
(692) 2019/10/08(Tue) 02時半頃
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ほら、早く吸ってくれないと 大事な書類を汚してしまう
[治癒行為という大義名分があれば、 彼も重々、渋い顔をしながら岩戸のような唇を開く。 掌を裂き、指を削ぎ、 割れた硝子をわざと踏み付けたこともあったか。
待っていれば、いつまでも"お預け"を喰らう。>>690 そんなの冗談じゃない。]
……何度も言ってるだろう 耐える必要がどこにあるの、…って
[結局は、堪え切れず舌を差し出す癖に。 片手を添え、指の左右を挟んて紅玉のよな雫を落とし。]
(693) 2019/10/08(Tue) 02時半頃
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……他に──… 君にしてあげられることがないんだから、さあ
そう。 …それでいいんだよ、グスタフ
[爪まで剥がれそうなほどの吸引。 指股まで唾液で濡れても厭うどころか、 どこか恍惚とした表情で。
あっという間に塞がる創を吸い終えたら 掌に残る筋まで甘さず舐めるように掌を向け、嗤う。]**
(694) 2019/10/08(Tue) 03時頃
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[溺れるにはまだ早い ――お楽しみ(ディナー)は、まだこれから] いいわね、 じゃあショパンをお願い [ちろりと唇をなお紅い舌で拭いながら リクエストも忘れない>>680]
(695) 2019/10/08(Tue) 04時頃
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ええ、構わないわよ ……ふふ。 シッキムを頼むわ、スイート [結局はそれで正解なのだ>>682 つれない態度も 媚びることのない主従関係も どれもが女には愛しい夢の一部**]
(696) 2019/10/08(Tue) 04時頃
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