160 東京村
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降りちゃダメだったよ。
[女――なぎさを見ず、答えた。表情は髪で見えず、代わりに彫刻のように美しい鼻と唇のラインが覗いている。]
……お前が先に襲ってきたんだろーが。
[どうしてか、口調は落ち着いている。落胆したような、諦めたような。観念したような。 それとも、これが彼の『素』なのか。]
[辺りは真っ暗だが、ホームの外灯がスポットライトのように二人を照らしている。 季節は夏に近いのに、虫の一匹も灯りには寄ってこない。 『世界にふたりきりみたいだね』なんて、恋愛映画みたいなセリフが浮かんで、口の端が少し上がった。]
(+17) 2015/06/07(Sun) 17時頃
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[答えるなぎさの言葉を遮ることなく、向いた片耳だけで終わるまで聞く。>>+15 >>+16 彼女の言葉が終わってからも、またすこし間をあけて。]
……タバコ吸っていい?
[聞いたくせに、答えを待たずにポケットから煙草を取り出す。ライムグリーンのパッケージに、煙草を吸うインディアン。 残りは4本、といったところか。]
この駅に降りても、紙を燃やせば出れるって聞いたけど…… たぶん、無理だろうなあ。
[独り言のようにそう言って、軽く咥えた煙草に火を付ける。ちりちり、と先端が輝いて後退していく。 しばらくして、紫煙がゆったりと吐き出された。勿論、何も起こらない。]
(+18) 2015/06/07(Sun) 17時頃
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…………殴んないよ。 おれ、女の子殴ったことないし。
[ようやく、会話の形になる。昨日は掴んじゃったけど、と小さく付け足した。]
アイリスは、俺にとって特別じゃなかったから、 あんたを殴る資格も、責める資格も俺には無い。 その証拠に、あんたからDMが来るまで失踪してたなんて気づきもしなかった。
[煙草をもう一口吸う。先端の瞬きはわずかだ。]
ってーか…… あんたが本当にアイリスの姉なんなら、 本当は俺があんたに殴られてるはずなんだ。 うちの妹に何したの!ってね………
だから……あんたが本当に殺したっていう………ん………、殺した原因だとしてもさ。 それはあんたらの話だから。俺は知らねー。 アイリス、たまにめっちゃウザいの判るし。
(+19) 2015/06/07(Sun) 17時半頃
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ごめん。
[喫煙を止められた言葉にはそれだけ返した。]
(+22) 2015/06/07(Sun) 18時頃
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そっか。やっぱアイリス、死んだんだ……
[まだ、頭のどこかで死んでないと思っていた。作り物の写真かもしれないし、とは思ったけど、 実際に犯人と独白する女に”襲われて”しまったのだから、疑うほうがおかしい。 今の自分たちは、どうなんだろうか。 生きているように思えるが、電車が来るホームに落ちたのは覚えているから、たぶんアイリスの仲間入りなんだろう。]
[素敵ですね、という言葉には反応しなかったが、彼女の夫の話になると、ようやく顔を向けた。 まじまじと、顔を見る。やっぱり痣はない。白い肌が美しいと思った。よくこんな顔を殴る気になるものだ。]
あの痣って旦那にやられたんだ。つか若いのに結婚してんだね。 痣、なんで消えてんだろね?やっぱ死んじゃったのかな俺ら。
違ーよ。妹のこと心配してないからキレたんだよ。あとTPO。 ジョーレー怖いよ。だからあんたのせいで職場にバレるとこだったんだっつーの。
……体位の話とか聞く?
[少し、おどけながら言った。]
(+23) 2015/06/07(Sun) 18時頃
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フランクは、「ビール、いいねー。」と続けた。
2015/06/07(Sun) 18時頃
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……あれフェイクじゃないんだ。まぁ、いいけど。 両親は捜索願、2件出さなきゃいけないわけか……
[自分のことが過ぎった。母さんは捜索願を出したとき、心配してくれていたんだろうか。 その心配が、ずっと持続すればいいのだが。]
全然見えないよ人妻。エロさが足りないよね。 自虐ネタわらえねー。つれえ。 ってか、それ、たぶん発散できてないし。だから何回も殴られてんじゃん。 ホントのやつ教えて。得意な家事。
ふーん……ドライだね結構。俺は痣無い方が全然いいよ。 痛々しくないから。普通の人と話してる感じがする。
[煙草が終わりを告げようとしている。地面にこすりつけて灯りを消し、その辺に投げ捨てた。 いつもならしないことだけど、こんな状況でもポイ捨て条例や山火事のことなんか気にしていたくない。 次を吸おうと煙草を取り出そうとしたが、さっきの『ダメです』を思い出して、やめた。]
(+26) 2015/06/07(Sun) 19時頃
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やめてくれ。あんたに謝られたら、今度は俺があんたの首根っこつかんだの謝らなきゃいけなくなる。
あぁ…… 確かに、あんときのテンション、おかしかったよ。引いたもん。 完全にアブナイ奴だったし……あんたの見かけとか、格好からしても異常な感じがした。 「マジでこいつがやったのかも」って思ったし。 『性格』…………今みたいな大人しめのが、いつもの性格?
[軽く冗談で聞いてみた『体位とかの話』だったが、昨日との反応の差に驚く。]
マジで別人みたいなんだけど。 なんかツキモノ?が落ちたみたいになってるし…… 何かヤバい薬でもキマってたわけ………
(+27) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
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[虚空にビールを求めるなぎさを、呆れたような目線で見る。]
……あんたとアイリスって趣味全然ちがうんだな。 あいつ、ビール全く飲めなかったよ。なお、俺はビール、ダイスキ。
……絶対無いと思うけど。 駅出て、飲み屋でも探しに行く?
[冗談とも本気とも取れる言い方で聞いた。**]
(+28) 2015/06/07(Sun) 19時半頃
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(>>+29-31)
そしたらダンナが捜索願出すでしょ。 掃除、してほしくってさ。 まぁ……どっちにしろ多分帰れないけど。
弱腰がいつもの、ねぇ。よくわかんねーけど…… 本当はその弱腰もホントの性格じゃなくて、 今の開き直ったサバサバしたのがホントなんじゃない?
(+32) 2015/06/08(Mon) 21時頃
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[自虐ネタを受け流しつつ。『巻き添え』の話に戻ると眉を潜ませた。]
あのさぁ、その話やめね? さっきも言ったけどさぁ、そもそもお前が俺を突き落とそうとするからだろ。 殺されたも同然なのに、恨まずにこんな神対応な俺を褒めて欲しいぐらいだ。 お前が俺を襲ったりしなきゃこんなことに――……
[そこまで言って、少し考える。]
……やっぱり謝る。
悪かった。
ただ「死ぬ」んじゃなく……「ここ」に引きずり込まれたのは、俺のせいだ。 それは、……謝る。ごめん。
[ぺこり、と小さく頭を下げた。]
(+33) 2015/06/08(Mon) 21時頃
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[それから、なぎさが伸びをする様子を見上げる。]
ねえ、なぎささん。
[自分も億劫そうに立ち上がる。一足先を行くように、改札へゆったりと歩いて行く。]
俺ね、むかし、ここに来たことがある。一人でね。 そのせいでまたここに来たんだと思う。 そんときは、どうやったのかわかんねーけど、3年後にようやく出れた…… でも、俺、遅かれ早かれ、ここに連れ戻されるんだったんだと思うわ。 たとえなぎささんに突き落とされなくてもね。 それが怖くて、電車にもバスにもタクシーにも乗れなかった。 どっかにまた、一人きりで連れて行かれると思ったから。
だから、変な話だけど―……
なぎささんが今いることが、 会話してくれる存在が、だいぶ嬉しいんだよ。
[それが、だらだらと会話を続け、自分を殺そうとした者を責めない理由だった。]
(+34) 2015/06/08(Mon) 21時頃
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……なんだっけ。あー。ビールの話。 気取ってただけってマジかよ。 まぁ、んな若い頃からビールうめぇなんて言うなんて女子力低いもんな。
そうしたら、あいつ、姉ちゃんとキャラ被りたくなかったのかな? 家族の誰とも。 変なの。俺、ガチの天涯孤独だから、全然わかんねー、そういうの。
うん。それは俺も同感。 んじゃ、行きますかね……
[きさらぎ駅改札を、*通った。*]
(+35) 2015/06/08(Mon) 21時頃
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