191 The wonderful world -7 days of MORI-
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とんだお人好しだな。テメエも、俺も。
[どうやら、小津はミッションよりも人助けを優先するらしい。 北エリアに向かって歩いていく道すがら、肩を竦めた]
……ん。
[その時、端末から着信音>>126。差出人は―――]
イースター、よくやった。
[小さく呟いて、返信を打つ]
(168) 2016/06/14(Tue) 00時半頃
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『情報さんきゅ。 ノイズ如きにやられるタマじゃねえさ 俺を誰だと思ってる?
PS. 後でクレープ奢ってやるから待ってろ』
[その約束は、終ぞ果たされることはない**]
(169) 2016/06/14(Tue) 00時半頃
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―→ モリ美術館 ―
なんだか、美術館に近付くにつれて。 どんどんやべえ雰囲気になっていってる気がするんだが。
[空を覆う不気味なクラゲの影が、 歩を進める毎に濃くなってきた。
先程まであんなに晴れていたというのに。 現在の時刻が分からないほどに、あたりは薄暗い。
頭上を覆いつくさんとするノイズの大群のせいで。 元の空の色さえ分からないような有様だ]
(178) 2016/06/14(Tue) 20時半頃
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(だから“善人”になんて、なるもんじゃねえんだ。 そうだろう? “人助け”なんて、馬鹿馬鹿しい―――)
(179) 2016/06/14(Tue) 20時半頃
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[誰かの声が聞こえた気がした。 心がちぐはぐで。噛み合わない。 手に持った弁当が、ずっしりと重く感じられた]
なあ、小津。どう思う。
[ぴたり、と立ち止まって。 目の前のおぞましい光景に、微かに声が震えた]
もしかして、あれが。 ……タカシなのかよ。
[無数のクラゲが浮いている、ノイズの群れの中に。 微かに人影が見えた気がした。 地面に投げ出されたカバンとハンカチ。 ハンカチの刺繍には―――たずね人の名前]
(180) 2016/06/14(Tue) 20時半頃
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おいおいおい。ノイズ沢山出してるらしいよ、って。 そういう意味かよ……!?
[朝比奈からのメールの文面>>126を思い出し、舌打ち。 まさかタカシ本人がノイズの発生源だったとは。 ―――ということは]
……はッ。なるほど。 これが今回のミッションだっていうわけかッ!
[クラゲから伸ばされた触手が、怒鳴に向かって伸ばされた。 持ち前の機動力で、その攻撃を避ける]
(181) 2016/06/14(Tue) 20時半頃
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―――小津、弁当は任せた!
[横にいた小津に弁当と手紙を渡すと、にぃと微笑んだ]
俺が持ってると、黒焦げになっちまうからな。
[ぼう、と音を立てて。 怒鳴の拳が、ひときわ大きく燃え上がった]
道は俺が切り開く。 テメエ、転んで弁当ひっくり返したら。 ただじゃおかねェからな。
[一方的に小津に言い放つと。 まるで生前のような凶悪な面構えをしてみせるだろう]
(185) 2016/06/14(Tue) 21時頃
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さあて、バケモノども。ひと暴れしてやらァ!
(186) 2016/06/14(Tue) 21時頃
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[怒鳴の拳が、地を突く。 瞬間、地面から大きな炎が立ち昇った。
それはまるで、火口から噴き出すマグマのようで。
憐れクラゲの群れは、炎をまともに食らって。爆発四散する。 べしょり、と。ゼリー状の破片が次々に地に落ちて。 蒸発するように消えるだろう。
モーセの十戒のようにできたノイズの合間から。 はっきりとスーツ姿の男が確認できた]
(187) 2016/06/14(Tue) 21時頃
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[テレパシーで相棒に指示を飛ばす。
こうしている間にも、 男からはクラゲのノイズが生み出されている。
躊躇している暇などなかった*]
(188) 2016/06/14(Tue) 21時頃
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……タイマーが、消えた。
[ぽつり、と呟いて]
やった!やったぞ小津! ミッションクリアだ!
[柄にもなくはしゃいで、小津に向かって手を高く上げた]
あァン? ハイタッチだよ、ハイタッチ! やり方も知らねえのか。
[口を尖らせて、それからふっと相好を崩す。 ぱしん、と乾いた音が響いただろうか]
(233) 2016/06/14(Tue) 22時半頃
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[そこで怒鳴は周囲を見渡して]
……なあ、小津。 なんでノイズが消えてねえんだ。
[怒鳴の表情が大きく強張った。 行き場のなくなったクラゲのノイズは、 変わらず周囲に漂っている]
ミッションをクリアしても。 俺らの戦いは、まだ終わってないらしいなァ。
[怒鳴の拳に、ぼうと再び炎が灯った*]
(234) 2016/06/14(Tue) 22時半頃
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[怒鳴は、見た。
小津に向かって振り上げられる包丁の刃を。>>275 ノイズに気を取られ、それに気付かぬ小津の姿を。
まるでスローモーションのように。 その光景は、怒鳴の目に焼き付いて。
考えるよりも先に、身体が動いていた]
(286) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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―――小津、危ねえッ!
(287) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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[そうして、時が動き出す]
……あ。
[瞬間、熱い痛み。 小津を突き飛ばした怒鳴の腹に、包丁が生えていた]
……か、ハ…ッ…
[ごぽり、と口元から血が溢れて。
―――あれ、こんなこと。どこかで。
確か小津の探偵事務所の前>>0:77で。 ああ、そうだ。死んだ時も。確か、こんな]
(288) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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(―――だから言っただろ)
(“善人”なんかになっても、得なことは何もねえって)
(289) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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[また、男の声が聞こえた]
[それが自分の心の声であることに、怒鳴は気付いている]
[うるさい。うるさいうるさいうるさい]
[俺は、俺は――――]
(290) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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(……小津を、助けてえんだよ!!!)
(291) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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やってくれるじゃねえか、てめえ。
[口元から血を一筋、垂らしながら。 紀陸に向かって、不敵な笑みを浮かべて見せて]
………ッ
[しかし反撃しようと、拳に纏おうとした炎は。 すぐに掻き消えてしまう。 そのまま、怒鳴はがくりと膝をついた]
くそ、力が。
[―――入らねえ、と言葉を続けることが出来ずに。 そのまま、前のめりに倒れ込んだ]
(292) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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[今倒れるわけにはいかない。 自分ひとりの命ではないのだ。
しかし、身体は思うように動かなくて。
ダメなんだ。ダメだ。くそ。 何でだよ。どうして―――]
(小津を、守らなきゃ。いけねえのに)
[奥歯を、噛みしめて。己の無力を呪った*]
(293) 2016/06/15(Wed) 00時半頃
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……う、るせえ。よ。 聞こ、えてるぜ……。
[ああ。なんだよ、小津。慌てた声を出して。 らしくねえだろ。そんなのは。
口の中に広がる鉄錆の味が、酷く気持ちが悪くて。
感覚が段々となくなって。 腹を刺されたはずなのに、痛みをもう感じない。
―――椅子取りゲーム。>>312 ―――強いひとが残ってたら、困る。>>313
遠くの方から聞こえてくる単語は。ああ、なるほど]
(315) 2016/06/15(Wed) 01時頃
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[この紀陸という男は、たぶん。“昔”の自分なのだ]
(316) 2016/06/15(Wed) 01時頃
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[目的のためには手段を選ばず。 どこまででも、冷酷になれて。 人の不幸に“鈍感”で――――
“生前”の怒鳴だったら、 紀陸と同じ行動を取ったであろう自信があった。
生き返るためには、他人を蹴落とすことを厭わなかっただろう。 例え、その命を奪ってでも。
きっと、それが正しいのだ。でも]
(317) 2016/06/15(Wed) 01時頃
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(何でだろうなァ、小津)
(俺、今の自分が。割と嫌いじゃねえみたいだ)
(318) 2016/06/15(Wed) 01時頃
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[―――ただ、と怒鳴は思う。
俺はそんなに優しい男じゃねえよ、と。 紀陸の言葉>>306を心中で否定する。
もしも自分が本当に優しい男だったならば。 そもそも、こんなゲームに参加するはずもないのだ。
どんなに“今”の怒鳴自身が“善人”であろうと。 過去の行為が消えるわけではない。
きっと俺は地獄行きだな、と。 怒鳴は嗤った*]
(319) 2016/06/15(Wed) 01時頃
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(―――謝るんじゃねえよ。俺が好きでやったことだ)
(339) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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[ぽたり、と。怒鳴の頬に涙が落ちて。 ああ、コイツ泣いてやがるのかと。
本当にテメエはお人好しだなァ。 俺の為なんかに泣いて。
霞んだ視界の中で、 涙を拭う小津の姿>>331がぼやけて見えた]
(340) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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[小津の語る“生き返った後のこと”は。 怒鳴からすれば、まったくの夢物語で。
思わず、鼻で笑いたくなってしまうような。 そんな―――]
(……そんな未来が、あったら良かったのになァ)
[気付けば、怒鳴の目からも涙が溢れていて。
コイツに負けず劣らず。 自分もとんだ“お人好し”になってしまったものだと。 震える口の端をやっとのことで上げた。
それはなんとも、ちぐはぐな笑顔]
(341) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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(俺の為に泣いてくれる奴が、まさかいるだなんてなァ)
(342) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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[最後の最後くらい。 少しくらい自分に素直になっても良いと思った。だから。
そっと小津にそう語り掛けると。
静かに目を閉じて、怒鳴は事切れたのだった。 1度目の死に顔よりも、どこか満足そうな表情で。
かつて冷血漢と呼ばれ、 優しさの欠片も持ち合わせてなかった男は。
こうして、最期に。人の温かさを知った**]
(343) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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