196 水面に映る影より遠く
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[当たり前、なのです。>>21 この世に、私より素敵なひとなんて いるわけがありませんでした。 大和撫子ですし、バストもありますし、 天才的な頭脳を持っていますからね。 唯一、私が負けを認めざるをえないのが、 西の魔女だったのですが、 彼女は此処にはいませんから、 私より、素敵なひとがいたら、 たまったもんじゃありません。 樫木さん、よくわかっていますね。>>21
私は、在らざる眼鏡の位置を調整しようと、 フレームに触れようと指を目元に伸ばしました。 けれど、鼻の頭にゆびが当たるだけで、 見事にスカします。 ………樫木さんにばれていませんように。]
(81) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時頃
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……不安、?
[散る花は確かに、私たちの記憶に残るのです。 儚い一瞬のことだからこそ尊いのです。 切り取ったその一瞬の私は、>>23 ちょっぴり照れくさそうに、 笑っていたことだと思います。
私だけに残されるその写真は、 私の宝箱の一部に綴じ込めましょう。 誰かが、気付いてくれたら。 いつか、科学の発展した未来で、 私がいたという事象に気づいてくれるなら、 なんて、傲慢知己な いと は思うのでした。]
(82) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時頃
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[ちらり、周りの景色を仰ぎましょう。 あとで下さるという、想い出の数々。 私だけに残される宝物たちを、 これからの未来、何度もなんども 見返していくことになるのでしょう。
嬉しいのは、私の方なのに。 どうして、こうもただのひとは、 何気ないことでも喜んでしまうのでしょう。 本当に安いにんげんですね。]
(83) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時頃
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[落ちた視線は、 遠くで描かれていたぺかちゅうには、 気付けなかったことでしょう。 最も、そのぺかちゅうは、まだ 下手の極みでしたから無理もありません。
芽生えかけている甘酸っぱい恋二組の気配には、 気づいていたので、それとなくぼやきます。]
…なぜでしょう、 樫木さんが、寂しそうだったから。 なんて、こじ付けにも程がありますか?
[俯いたときに、はらりと落ちる横髪。 夜と言えど、夏の夜なのですから、 汗で頬に張り付くのは少し鬱陶しいものです。 指で掬い上げ、耳にかけましょうか。]
(84) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時半頃
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[そうして向けた笑顔。 立ち上がりざまに、浴衣の砂埃を払って、 軽く頭を下げてその場を離れようとしました。]
(85) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時半頃
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[ 樫木さんの掌は、 私の掌を確かに掴み取りました。 ]
(86) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時半頃
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[私は、双眸を丸くさせて、振り返りました。 何かを言いたげな様子に、ぱちくりと瞬きます。 何か、返答はあったでしょうか? 青い春は、寂しがりやさんを 沢山生み出すのかもしれませんね。]
一緒に花火、していましょうか。
[と、私は二人分の花火を確保でもして、 ぱちぱちと火花を散らせていたかもしれません。 その間は、来年の受験の話であったり、 ここ数日の補講であったり、 よく見かける白い毛並みの猫ちゃんのことだったり。 他愛もない話をしていたのかも、しれません。]
(87) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時半頃
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[きっと、そのあとでしょう。 樫木さんと仲の良い、若菜さんが来たのは。 彼に名を呼ばれて、綻ぶその笑顔は、>>33 きっと、シャッターチャンス。
私は、お邪魔をしないように、 今度こそ。 そそくさとその場を離れたことでしょうね。*]
(88) ゆら 2016/08/24(Wed) 16時半頃
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[線香花火の火種は、 楽しいひと時の終わりを象徴することでしょう。 私は、アオイ[[who]]さんよりも長く花火を散らせていたと そう信じていますが、ほんの僅かな差ですから、 実際はどうだかわかりませんね。
名残惜しさを抱えながら、>>-251 私たちのは各々帰宅するのでしょう。 それぞれが抱える想いは、 決して寂しくて悲しいことだけではありませんでした。 深まる友情に、色恋沙汰。 そう、色恋沙汰。
大事なことなので二回言いました。]
(91) ゆら 2016/08/24(Wed) 17時頃
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[私だって、恋バナくらいしてみたかった。 今更ながらですが、そんな淡い想いを抱きます。 ああ、でもきっと、 久水さんと鈴宮さんのお話を聞いたら、 あの野獣どもを赦すことがあるかと言われたら、 それはそれで別なのですが。 あとは、東明さんに丹野さんたちにも、 魔の手が襲いかかっていることを知っていたならば、 暑い夏の魔法はどうやら恐ろしいらしいです。 ただ、もしも彼女たちが、 泣くようなことがあれば、この いと は、 地の果てまで追いかけ回そうと思います。
…………呪います。]
(92) ゆら 2016/08/24(Wed) 17時頃
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[さて、私も、この世界の自宅へと帰りましょう。 浴衣は、丁寧に手もみして洗ってから、 後日返すつもりですから、このまま。 後ろ髪引かれる思いですが、 この校舎から、去ることと思います。 …あ、明日からも私は図書室にいますよ。 だって、まだ読み終えてはないですからね。
だから、また明日。 校舎さん。]
(93) ゆら 2016/08/24(Wed) 17時頃
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[ 肩に乗る温もりを感じました。 ]
(94) ゆら 2016/08/24(Wed) 17時頃
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[ ──── ……!?!?!?
鼓膜を震わせる音はまさしく、 ぺかちゅう そのものでした! よもや、この時代にぺかちゅうが本当に、 本当に実在するなど、世界中が大騒ぎです。 トキ(をかける猫)ニャンなんて、 目じゃありませんよ!
しかし、……しかし。 ぺかちゅうって、こんなに大きかったでしたっけ。 肩に乗る温もりに疑問符を浮かべつつ、 私はくるりと振り向きました。]
(95) ゆら 2016/08/24(Wed) 17時頃
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[ おまえだったのか !
其処にいたのは、千島さんでした。>>54 もしかして本物かと思ったので、 少ししょんぼりしつつ、 ちゃあに込められた意味を解読しようとします。]
………ちゃ、ちゃちゃあ?
[ぺかちゅうのコツを早く教えろという内容に 違いありません。そうに決まっています。 夏祭りの話はまだ聞いていませんでしたし、 ぺかちゅうのその鳴き声に込められているとも、 天才的な私でも解読不能でしたので、 いつにしましょうか?なんて、返答を。 もちろんぺかちゅう語です。 さて、伝わりましたでしょうか?]*
(96) ゆら 2016/08/24(Wed) 17時頃
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─お祭り当日のひるま─
[窓から吹き込む風が涼しく感じます。 陽射しを遮るカーテンは、大きく棚引いています。 昨夜とはまた異なり、いつもの私。 首回りに、髪が汗でぺったりとくっついています。
私が眼前に広げているのは、 真っ白な冊子でした。 私の宝箱、まだ何も詰め込まれていない。 大切な、大切な、宝箱でした。]
(132) ゆら 2016/08/24(Wed) 22時半頃
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[私は、お気に入りのぺかちゅうペンを片手に、 まだ鮮明に残る宝物を綴じ込めようと、 真白に向かいましょう。
夢中になって走らせるそのペン音だけが、 この静かな図書室に響くのでした。 時はあっという間に過ぎてゆく感覚を、 この身にはっきりと感じながら、 空が茜に染まるまで篭城していたことと思います。]
(133) ゆら 2016/08/24(Wed) 22時半頃
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[帰り間際の、ぺかちゅうトークは、 端から見れば滑稽なものだったことと思います。 描き方のコツを伝えるタイミングがいつなのか、 噛み合わない私たちの会話の結果は。 自宅に帰ってからの、お祭りのお誘いによって おそらく、たぶん、きっと判明したことと思います。
真白のノートの色が、 だんだんと色を変えてゆくことで、 私は漸く時間を認識しました。 家に帰っている暇はあるでしょうか? みんなは、浴衣でくるのでしょうか? ぱたり、と冊子を閉じて。 私は、図書室をcloseしたことでしょう。]
(134) ゆら 2016/08/24(Wed) 22時半頃
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[もちろん、今回も既読スルーでしたが。 私が来ることはわかっていたのではないでしょうか?
昨夜、 転校 を打ち明けてしまってから、 私はそれなりに、分かりやすい女に、 なったことと思います。]*
(135) ゆら 2016/08/24(Wed) 22時半頃
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─ お祭り─
[勿忘草に桔梗の花が咲き乱れ、 深い紅の帯で締め上げました。 髪は、三つ編みに仕上げて、 眼鏡は、今夜も外してみましょう。
結局、家に帰っては着替えてきました。 紫がかる空に、私はふぅと息を吐き出します。 みんなで遊ぶのは、きっとこれで最後でしょう。 ぺかちゅうの約束も、今夜果たされるはずです。]
(156) ゆら 2016/08/24(Wed) 23時半頃
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[コンクリを鳴らす下駄の音が耳に届くのは、 割と心地よい気がしていました。 本来ならば、ヒーローは最後に登場するものですし、 芽生える甘酸っぱいものを見守るために、 外から眺めておくことも必要でしょう。
けれど、今回ばかりは 私の我儘を通してもいいですよね? 集合場所へとたどり着けば、 多くの人で賑わっていました。 この大勢の中から、誰かを見つけられるでしょうか? 手元の巾着袋を、きゅと握りしめ、 私は、あたりを見渡していました。]
(157) ゆら 2016/08/24(Wed) 23時半頃
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[まず、視界に入ってきたのは。 耳許でささやき合うほも、でした。 私の眼は、輝くことはありません。 何か見てはいけないものを見てしまった、 そんな心地で視線を逸らします。 近づくのは、やめておこうと思いました。
次に見つけたのは、 可愛らしい浴衣美少女、東明さんと、 ぺかちゅうの声真似の上手い千島さんでした。]
(158) ゆら 2016/08/24(Wed) 23時半頃
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[ すこしだけ、ほんのすこしだけ。 胸がちくりとしたのは秘密です。 ]
(159) ゆら 2016/08/24(Wed) 23時半頃
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[浴衣姿の二人が並ぶ様子を見れば、 ほんのちょこっとだけ 下を向いてしまったかもしれません。 本当に、ばかな女ですね。
今はそのままにしておきましょう。 みんながもう少し集まってから、 みんなの元に合流すればいい。 私は、すみっちょにある木の陰に 一人哀愁を漂わせる主人公のライバルのごとく、 そっと佇んでいたのでした。]*
(160) ゆら 2016/08/24(Wed) 23時半頃
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[ぽつん。 一人佇んでいれば、 目の前にひとかげが近づいてきました。 浴衣姿の男の子。 携帯を片手にこちらを見ています。]
大原さん? ……ふむり。 浴衣、似合って………こほん。
[似合っていると、思いましたが、 素直に言うのは少しばかり憚られます。 携帯から揺れるストラップを、 少し目で追いかけながら、 大原さんの向こう側を、ちらり。]
(176) ゆら 2016/08/25(Thu) 00時半頃
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彼処には、近づけませんねえ。
[なんて、笑ってみましょうか。]*
(177) ゆら 2016/08/25(Thu) 00時半頃
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[さらりと口にする褒め言葉に、 私はぽ、と頬を赤らめて下を向きます。 褒められ慣れてはいませんから、 どのように反応するのが正解なのか、 それが分からないのです。]
い、いわゆる日本人顔ですから、 あまり派手なものは似合わないのだと、 思われます………ええと。
[こほん、ひとつせきばらい。]
(186) ゆら 2016/08/25(Thu) 01時頃
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大原さんこそ、お似合いですね? て、 わ。 ………アイスクリーム、…アイスクリーム
[……ぴこん! アイスクリームのお礼は、どうなったのでしょうか! ゆらゆら揺れるアイスクリームストラップ。 私は、アイスクリームを食べたかったのですけれど、 これで許してあげてもいいんですよ? と、ちらちら。]
(187) ゆら 2016/08/25(Thu) 01時頃
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[東明さんに、千島さん。 二人と、そして離れたところにいる丹野さん。 彼らの姿を見納めれば、 私は彼らに手を振るのでした。]
こんばんは、みなさん集まってきましたね。
[東明さんに、小さく手をふりふり。 お返事しましょう。 木陰から、祭りの喧騒の傍までゆけば、 可愛らしい姿に胸がきゅるるんでした。]**
(188) ゆら 2016/08/25(Thu) 01時頃
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[私の向けた視線は気付かれてしまったようです。>>191 揺れていたアイスクリームは、私の手の内に。 これが、先日のお礼だと思えば、 私はつん、と二匹の動物を模したキャラクターを 指でつつきました。 …ぺかちゅうには負けますが、 可愛らしい見た目に、 ふふりと笑みが零れたことでしょう。
そして、私は、ぺこり。彼に頭を下げるのでした。]
(260) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[近づく東明さんに、私は目を奪われました。 かわいいのは貴女のことです。>>193 と、隣の大原さんの言葉に、大きく頷き、 僅かに施された化粧に、女の子を垣間見た私は、 艶やかなその姿に、西の魔女のことを、 重ねて見ていたのかもしれませんね。
揺れる花も>>194、伏せられた睫毛も>>203、 染まる頬も、恋する乙女の横顔も、 私は直ぐそこで交わされる会話に、 眸を細め、同時に胸の奥に灯る灼熱感に、 襲われていたことと思います。]
(261) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[何かを、大原さんの耳許で囁いたあとの彼女は、 逃げるように木陰へと向かい、 しゃがみこむ姿に寄り添いたい気持ちはありましたが、 残念ながら、私の掌が届くことはないのでしょう。
其処にいくのは、私の役目ではありません。 大原さんは、何をしていたのでしょうか? ちらりと、彼へと視線を向けていたかもしれません。]
(262) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[ …………一方で。 ]
(263) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[ほ っと、する自分がいたことに、 ひどく辟易しています。
目の前に立つ浴衣男子に、意識を戻しましょう。 其れがよもや、物は試しで、 そう、ただの練習台として掛けられたもので、 たまたま其処に丁度よくいただけでしたが、 向けられる視線と、掛けられた言葉に>>200 先ほどいただいたアイスクリームのストラップが、 大きく跳ねるように揺れたことでしょう。]
ぁ、ありがとう、ございます……
[瞬く回数が増えて、視線は宙を泳ぎました。 ……こんなに暑いのは、 きっと夏の夜に浴衣を着たせいです。]
(265) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[三つ編みの先っちょを掴んで、 鼻の下で交差させます。 別に笑わそうと思ってやっているのではなく、 湧き上がるこの気持ちのやり場に迷ったから、 この恥ずかしい想いを放出してしまおう。 そう考えた結果のこれなのでお許しください。
頬を走る三つ編みは、そまる赤みを 隠してはくれたでしょうか? ちらりと、目の前の彼を見ると、 千島さんも赤く見えましたが、 それはきっと夕日のせいだったと思います。]
(267) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[追撃される言葉には、>>201 私はいまほど、ぺかちゅう語を学んでおくべきだったと 後悔したことは、ありませんでした。
一生懸命、天才的な頭で解読しようと、 脳をフル回転。 …………わかり、ませんでした。]
ちゃあ………?
[翻訳機:何ですか? 千島さん、翻訳をお願いしたいです。 そう思って前を見れば、顔面を覆う姿。]
(268) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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きぶん、わるいのですか……?
[第一に浮かぶのは、それ。 ……けれど次に浮かぶのは、隣の大原さんたちの様子 もしかして、千島さんはちぇりーぼーい? それとも。それとも。
東明さんのあの様子から推測されることは、 ただひとつしかありませんから、 もしもまだ大原さんがいたならば、 彼の背中を押したことでしょう。 そして、]
(269) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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いってらっしゃい。
[と、手をふりふり。 なんて。 二人を追いやったことでしょうね。 残されたのは、丹野さんと、千島さんと、 私だったことのように思います。]*
(270) ゆら 2016/08/25(Thu) 21時半頃
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[ は !!
もしかして、もしかして。 私の笑いを取ったつもりではないこの顔面が、 眼鏡を外して晒してしまった醜態が、 千島さんの体調を悪くしてしまったのでは? そのような結論に至った私は、 眼前に巾着を持ち上げて、自らを隠しましょう。
これで、大丈夫なのでは… と、巾着の上部から、千島さんをちらり。]
(291) ゆら 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[首を振るのは、否定の意。>>275 体調が悪いわけでも、私の醜悪な顔面のせいでも ないのだろうということが推測されたため、 私は、安堵の息を漏らしていました。
ですが、そのあとの私の心臓は、 停止アラームと共に遠い世界に飛んで行ける。 そんな心地が待っているとは、 いまはまだ、気付いていませんでした。]
(292) ゆら 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[私の眸を守る眼鏡は、いまはありません。 私を守る空気は、いまはありません。 私と千島さんの間に築き上げた城壁は、 いまや瓦解寸前でした。]
は ぇ、え。
[言葉にならない音が、 口から漏れ出るのがわかります。 眼前に持ち上げていた巾着で、 私は先ほどよりも熱くなる体温と、 夕陽よりも赤くなる頬を隠しましょう。 埋もれてしまっても、東明さんのように、 リップも薬用のものしか使っていませんし、 崩れる化粧などないものですから、 気にすることは、ありませんでした。]
(293) ゆら 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[ぐりぐりと、巾着に頭を顔を押し付けます。 中に入った小銭入れと、携帯。 それに、薬用リップが当たって、 鼻が痛い、です。
落とした視線の先には、 爪の食い込む右手が見えます。>>227 右手の下に隠されたその眸。 私は、はたとここで気づいたのです。]
(294) ゆら 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[ 呪われし眸に、呪いをかけられたのだ!
と。 彼が、あの眸を隠しているのは、 きっと悪魔の呪いのせいなのだと思います。 なぜなら、先ほど見たときの彼の瞳は、 (夕日を受けていたから)赤く見えましたし。 先ほどから、うるさいこの心臓の原因も、 きっと、間違いなく、あの眸のせいでしょう。 私は、胸元できゅっと拳を握りしめて、 いたむ意味を考えたのでした。]
(295) ゆら 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[そのあと、気づけば千島さんとふたりきり。 丹野さんは、カメラを片手にどこかへと 行ってしまったあとだったように思います。 ぺかちゅうに夢中でごめんなさい、です。
恋仲であろうひとびとの邪魔はできませんけれど、 どれだけのひとが集合場所へと集まれたことでしょう? 集まった中で、ろんりー同盟でも組んで、 青い春真っ只中のひとたちは 外へ追いやったかもしれませんね。]*
(296) ゆら 2016/08/25(Thu) 23時頃
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[間抜けな声に、私は赤くなった鼻を 巾着で隠したままでした。 けれど、彼の手が私の巾着袋を退かしては、 この呪われた八竹の鼻を見つめるのです。]
そうですね、私なのかもしれません 千島さんは、転校、
………しないですよね?
[今さらですし、もう隠す必要もないでしょう。 曖昧に肯定してみせましたけれど、 私は彼の安否の確認が必要であることを、 思い出しましたので問いかけ返します。]
(311) ゆら 2016/08/26(Fri) 00時頃
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[にゅっと、伸びてきた指は、私の鼻に。 つつかれた鼻先から、また赤い呪いが広がります。 けれど、その呪いに隠された微妙な笑顔に、 私は強い不安に駆られました。
やはり、彼こそが真なる転校者なのではないのかと。 じじじ、見つめた後の答えは、 返ってきましたでしょうか?]
(313) ゆら 2016/08/26(Fri) 00時頃
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[どんな理由であれ、 “ 転校しない ”の言葉を耳にいれれば、>>317 ほっと、胸を撫で下ろしていました。 千島さんがいなくならなくて、 本当によかった、と。 きっと、いつめんのみなさんも悲しむことでしょうし。 ぴんぴんと、三つ編みを摘んで伸ばし、 口許を緩め、目元を緩めていたでしょう。]
(322) ゆら 2016/08/26(Fri) 00時半頃
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[でも、私はもう。 貴方には逢えないのです。 ふるふる、と首を左右に振り、 私は、眉を垂れて千島さんを見ました。]
遠いところへ、いってしまうのです。 だから、………そう簡単には遊びに来れませんし もう、千島さんと お会いすることはないのでしょうね
[なんて。 困ったように笑いました。 こんなときに、ぺかちゅうの 励ます声が聞こえたならば、 私はもっと頑張れたのかもしれません。 もう 逢えない ことを認識してしまえば、 私の心は再び後悔をはじめるのですから。]
(323) ゆら 2016/08/26(Fri) 00時半頃
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いままで、ありがとうございました。
[ねぇ、千島さん。 城壁が必要なくなったときは、 誰か壊してくれるひとを、紹介してくださいね?
ぺかちゅうの約束は忘れていませんから。 と、最後に付け足しましょう。 必ず、約束は果たします。]*
(324) ゆら 2016/08/26(Fri) 00時半頃
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[お祭りは、さぞ楽しかったことでしょう。 並ぶ屋台に視線は、右へ行っては左に行って。 共に祭りを楽しんだひとたちとともに、 わたあめに塗れてみたり、たこ焼きで舌を火傷してみたり、 金魚すくいで粋のいい子を追いかけてみたり、 弓道でへなちょこな矢を飛ばしてみたり。
この補講に出なければ、 このメンバーに出逢わなければ、 決して迎えることのなかった宝物です。]*
(330) ゆら 2016/08/26(Fri) 01時頃
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[一昨日も、昨日も、今日も。 明日も、明後日も、明々後日も。 私たちの毎日は、続いてゆくのです。
けれど、流石に長居をしすぎてしまい、 干渉しすぎてしまったようでした。 因果律の揺らぎが強まってきていると、 ダッキーから連絡が入りました。 このままでは、私が元の世界に戻れなくなると。
私の足は、お祭りから直接、 学校へと向かっていました。 やはり、足を踏み入れるのは、図書室でした。]
(370) ゆら 2016/08/26(Fri) 02時半頃
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[明日も明後日も明々後日も。 この図書室は繋がってゆくのです。 私は、はやく綴じ込める必要のある宝箱と、 読み終えてしまわなければならない図書たちと。
私の世界へ戻る準備を、はじめたのでしょう。 たった数日だったかもしれませんし、 それなりに日数があったかもしれません。 私は、筆を執って、埋まり始めた白いページを 更に色濃く染め上げるために、ペンを走らせました。
補講が終わってからも、 補講組のメッセージチャットは、 活発に動いていましたでしょうか? 恋に、友情に、芽生えた感情たちは、 みんなの心の隙間を埋めてくれたならば、 私の願いは叶えられたと。 そう確信します。]
(371) ゆら 2016/08/26(Fri) 02時半頃
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[私は、傲慢でした。 私は、我儘でした。 私は、愚か者でした。
いまでも、その事実が変わることはないのでしょう。 私に与えられた僅かなときは、 無情にも過ぎ去ってゆきます。 気づくのが遅かったのかもしれませんね。 でも、あまりにも深い想い出を作り出してしまえば、 離れるときの悲しみは一際ですので、 これくらいがちょうどよいのだと思います。 手紙を書くと言ってくれた呪われし眸を持つ彼が、 もう他の誰かに呪いをかけませんようにと、 いもしない神に祈るばかりです。]
(372) ゆら 2016/08/26(Fri) 02時半頃
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[図書室は、朝の暖かなひざしをうけて。 日中の照りつける暑さをうけて。 炎のような茜色に塗り替えて。 白い月明かりが差し込んで。
何度も顔を変えていったことでしょう。 変わる表情の図書室から見える景色もまた、 日に日に変化を繰り返して、 気づけば、還るときが来たのだと思います。]*
(373) ゆら 2016/08/26(Fri) 02時半頃
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[個別でいただいた写真たちを胸に。 私はいよいよ、帰還します。 みなさんへと配られた、丹野さんお手製のアルバム。 それが配られる頃には、もういなかったと思います。 私の存在していた世界と、この場所は。 異なる世界線のはなしだったかもしれませんし、 全く異なる次元の話だったかもしれません。
帰れば、西の魔女の死を再び痛感することは、 避けられようのない事実でした。 私が、別の世界に渡った理由。 それは、西の魔女の死を無駄にしないことでした。 私の世界に、雄はいません。 かつては、雄は存在していたようですが、 全て絶滅してしまったのです。]
(385) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[誰もまだ来ていない、早朝のこと。 私は、教室に佇んでいました。 鞄から取り出した携帯に揺れるアイスクリーム。 終ぞ、数字のアイスを食べることは、 叶わなかったように思いました。
幾つか重ねたお約束。 私は、ふたつの机の前にたちます。
ひとつめ。 『世界を股にかけた魔女』を机の中に押し込みます。 若菜さんは、読んでくれますでしょうか? 絶対に面白いと感じると思います。]
(386) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[ふたつめ。 ぺかちゅうのメモ帳を取り出します。 なかには、丁寧にぺかちゅうの描き方のコツを、 一から十まで記載しておきました。 これを読めば、誰だって完璧に ぺかちゅうが書けることでしょうね。 机のなかに押し込んでおきましょう。 芽生えかけた想いもまた、一緒に押し込みます。
私は一番後ろの席に最後の着席。 見渡す景色は、忘れようのない現実。]
(387) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[作ってしまった想い出たちが、 何事もなかったように消されてゆくのを、 私は強く後悔します。 まだ、胸のこの辺りが痛むのは、 呪いにかかったからでしょうとも、 だから、寂しさを覚えているわけではありませんし、 なんともなくて、ぜんぜんへいきなのです。
机の上のぺかちゅうは、 何を言っていたのでしょうか? そのほっぺあたりを、さわさわと撫でます。]
(388) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[ 転校すること
これを、あと幾人に伝えることができたでしょうか? 何かを伝えれば、それだけ辛くなります。 こっそりと、消えるのがやはり良いのです。 夏休みが明けたら、この席は空白になるでしょう。]
(389) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[きづけば、図書室に私はいました。 校内の探検をしながら向かったものです。 ふと、のぞいた美術室に仕上げられた、 想い出の重ねられた絵を 見つけることはできましたでしょうか? 弓道部部長の凛々しい立ち姿を見つけることは できましたでしょうか?
それから、それから。]
(390) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[私は、鼻に付く本の匂いに囲まれて、 奥の方の棚、ひとつに一冊の本を忍ばせました。
主人公の女の子が、 世界の平和を守るために戦士になった、 愛と勇気と平和をモチーフにした物語。 内気だったはずの彼女が、 夏休みの補講をきっかけで、 クラスメイトたちに心を開き、 ともに悪と戦うというハートフルなストーリー。 主人公には、変わった鳴き声の相棒がいます。 「ちゃあ」と鳴くのは、まるでぺかちゅう。 ………そして、彼女は恋をしました。 その恋の結末は、読んでみてのお楽しみ。]
(391) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[タイトルは、略してみなかげ。 『みんなのおかげでした、ありがとう。』
まるで、ラノベのようですね。知っています。 でも、タイトルは少し不揃いでしたから、 もしかしたら、誰かが気づいたかもしれません。
この図書室は、私がいなくなれば どうなるのでしょうか? 本の背表紙を撫でながら歩きます。]
(392) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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[私はいっぱいの宝物を胸に、旅立つのです。 とおい、とおい手の届かない場所へ。]
さようなら、みんな。 また、どこかで会いましょう。
[図書室のカーテンが大きく揺れました。 残されたのは、空っぽの図書室だけ、でした。]
(393) ゆら 2016/08/26(Fri) 06時半頃
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