82 【薔薇村企画】 Contagio ―共鳴―
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うん 平気。でも 少しだけ…熱い、かな 。
[大丈夫だと視線で訴えるべく ドリベルの顔を真っ直ぐに見つめてみる。
その眼差しは揺るぎなくいつもの通りだが。 呂律が怪しくなるのは、きっと、眠気のせい。
触れ合うままに彼を抱き寄せ、 再び腕の中に抱き込んでしまおうと。 髪に唇を寄せながら、細く息を吐いて。]
ドリー。
[努めて丁寧な発音を心がけて、 大切で愛しい唯一の名前を呼んで。 そのまま、静かに眠りに沈む。穏やかに。]
(15) 2013/05/13(Mon) 00時半頃
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― 朝 ―
…… ?
[静寂の夜は明けて、朝。 寝台にうつ伏せたままシーツを弄る。 何か探すように。夢と現の境の無意識で。
射し込む陽射しを受けて温かなシーツは 愛しむべき感触ではあったが、 そこに探している存在が無いと知って ようやく重い瞼を持ち上げるに至った。]
(89) 2013/05/13(Mon) 12時頃
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[最初に感じた不具合は、異様な喉の乾き。
唾を飲もうとして嚥下に失敗し、噎せて激しく咳き込み。 いよいよおかしいと慌てて身体を起こし、 咄嗟に、ドリベルを呼ぼうとして。]
、 、 、 …… ?
[発声さえ叶わない事を知る。]
(90) 2013/05/13(Mon) 12時頃
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[夜の間に着々と硬化したのは、 舌から更に奥の喉頭のかけてだった。
自分では見えないどころか 普段は意識する事さえほとんど無い器官。 どうなってしまったのか解らず、 しばらくはそのまま呆然として目を見開いて。
そっと触れた喉仏の辺りは やけに冷たく硬かった。]
…、 、 。
[ふと気付き。慌てて視線を室内へ巡らせて。 寝台を下りドリベルを探しに台所へと向かう。
幸い、その他の身体機能は 昨日と変わらず健全に保たれているようだ。]
(92) 2013/05/13(Mon) 12時頃
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― 自宅・台所 ―
[朝食の仕度がすっかり整った食卓。
真っ直ぐにドリベルの傍へと歩み寄り、 自らのことを伝える前に、彼の無事を確かめる。
四肢や五感のそれぞれに不便は無いか、 顔色や呼吸に変化は無いか、と。
どこもかしこも昨日と同じだとわかると、 ひとまずは安心して、深く息を吐いた。 ドリベルの手を強く握りながら。
そして、やっと、 口をぱくぱくと何度か開閉させ、 冷たくなってしまった喉を指し示し、 どうやら声を無くしたらしい事を知らせる。]
(93) 2013/05/13(Mon) 12時頃
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[声が不自由になったところで。
実生活に多少の不便はあれども ライマーとしての活動にはさほど影響は無く。 意思疎通には文字を用いれば良いだろう。 ドリベルも無事で。まだ、彼と共に戦う事は出来る。
そう悲観する状況では無いと安堵して、 改めて食卓に着いた。
いや、絶望的だ…と思い改めるのはその直後。
スプーン一匙分のスープを口に運び。 飲み込もうとして、派手に失敗した。
食道へ落ちるはずの食べ物は気道へ落ち、 呼吸を阻まれる息苦しさに噎せて吐いてしまう。 パンも肉も果物も……水でさえも。同様に。]
(94) 2013/05/13(Mon) 12時頃
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[不恰好に汚れた口元を手で拭い、 ドリベルと顔を見合わせて、弱々しく笑う。
せっかくの食事を。ごめん。
唇の動きだけで、 意思は伝わるものだろうか。**]
(95) 2013/05/13(Mon) 12時頃
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[食事は諦め、水を含ませた布を口に含み、 微量の水分で口腔と喉を濡す事にした。
文字での意思疎通をと安易に考えたが、 この家に帳面やインクを備えてはいない。 どうしたものか、と少し考えこんで。
ドリベルが食事を済ませた頃合いをみて、 彼の手を取り、その掌に ゆっくりと動かす指先で文字を書いてみせた。
《 村長の家に行くよ。紙とペンを貰いたい。》
村長宅に滞在しているという あの錬金術師たちに喉の具合についても 相談して確かめるべきだとも考えて。 これがあの薬の副作用なのか、 そもそもが死に至る病の前兆なのか、と。]
(108) 2013/05/13(Mon) 14時頃
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―→ 村長の家 ―
[ドリベルに付き添って欲しいと頼み、 二人並んで村の街道を行く。
手を握ってから歩き始めるのはいつも通りで、 揃って歩く姿には何の異変も無い。 まるで平穏な昨日のまま。
道すがら。 立ち話をしていると思しき面々を見つけ。
普段と同じ調子で近付いて行く。]
(110) 2013/05/13(Mon) 14時頃
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[少し距離が詰まれば、 彼らの様子が昨日とは違う事を知る。
具合が悪そうなのはトレイルとキリシマ。 トレイルは自立も出来ない程か。
朝の挨拶をくれる彼らへと軽く頭を下げ、 無音のまま「おはよう」と唇を動かす。
それはなかなかに不便な事で、 早急に筆談の仕度を整える必要を感じた。]
(125) 2013/05/13(Mon) 14時頃
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[師の問いかけ(>>129)には無言で頷く。
自らの喉を擦ってみせて 声が出ないという症状を伝える。
食物も水も摂れないらしいという部分は伏せ。 ドリベルが何か言おうとしても、 それについては彼の腕を掴み制するだろう。]
……、
[かわりに、キリシマの手を取り。 掌に文字を記す。
《でもまだ戦えてしまうので。 こんごとも よろしく。先生。》]
(134) 2013/05/13(Mon) 14時半頃
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[《なにその顔 めずらし。かわい。》
笑顔に緩む師の顔など見た記憶が無い。 とてつもないレアリティを感じて 思わずそのまま掌に文字を続けた。
その指先が僅かに震えたのは、 掌からそっと離れる間際で。
何かを逡巡するようにキリシマの顔を見つめ、 掴んだ手を強く握った。
が。結局は何事も伝えぬまま解放を。]
(138) 2013/05/13(Mon) 15時頃
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[頭は至って正常に、人間らしい反応を見せる師の姿は 存外かわいらしいものだと考えていた。
離した彼の手を見つめての逡巡の続き。 飲食が困難な状況を伝えるべきか、と。
正直なところ困り果てている。 病の脅威や直接的な身体能力の欠如よりも、 ゆるやかに確実に死に繋がるだろう事が怖い。
誰かを頼るなら、彼しか居ないだろう。]
… 、 、 。(また あとで。あいたい。)
[ゆっくりと唇の動きだけでそう伝えた。 伝わるか否かは不安が残るところだが。]
(142) 2013/05/13(Mon) 15時半頃
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[きちんと意思を読んでくれる師に感謝する。 伝わった事に安堵しつつ、頷き。
素早く彼の手を再び取り、 掌への文字にて答えを返す。
この方法なら、他の誰にも伝わらない事は 不便ながらにありがたい。]
(146) 2013/05/13(Mon) 15時半頃
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[文字で伝えた言葉への返答の末尾に、 キリシマの胸元を見下ろして吐息落とした。
いつか年長の師匠が老いて寿命が近付き… という状況で感じるべき切なさめいたものを まさかこんなに若いうちに知るとは…と。
不謹慎な事を考えてしまった。
所要を済ませた後の時間を約束し、 頼みを快諾してくれた感謝を込めて会釈を。
その後。 お姫様よろしく抱かれているトレイルの額を 軽くついついと突いて弱く笑いかけ。
改めて村長の家へと向かい歩き出した。*]
(149) 2013/05/13(Mon) 16時頃
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― 少し前 ―
[食欲が無いようだと掌に記す文字で伝え、 ドリベルには常と変わらず食事を摂るよう言った。
彼の食事の様子を眺め、 ひとまずは濡れた布を介し水分を吸いながら 《慣れれば、きっと食べられるようになる》と 心配はしないで欲しいと目で訴えた。
二人で歩く間も、 身近な距離に在るドリベルに不安が見えると 手を取り握って、戯れるように指を絡めた。*]
(183) 2013/05/13(Mon) 21時頃
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― 村長宅へと歩き出す直前 ―
[キリシマに後頭部を叩かれた。(>>170) 頭の中で師を老人のように扱ったせいかと、 相変わらず妙に勘の鋭い彼に、少し安堵した。
頭を擦りつつ近付いたトレイルたちへは、 黙ったままでもいつも通りの 解りにくい笑みを向けて頷いてみせ。
ひどく弱々しく見えるトレイルだったが 笑ってくれる(>>159)なら、安心しよう。
トレイルが小声で漏らした呟きには、 親指を立てて見せた。 問題無い、との意を込めて。*]
(185) 2013/05/13(Mon) 21時頃
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― 村長宅 ―
[声が不自由である旨だけを村長に伝え、 あとは全てをドリベルに任せた。(>>182)
薬の副作用については、 《舌と喉奥の器官になにか不具合が生じていて 一時的に発声と嚥下が上手に出来ない》と。
得たばかりの板に記した文章を見せたが、 村長はとても微妙な面持ちで首を横に振った。
書いた文字はドリベルには見せなかった。 それに気付いた村長も何も言わずに ただ首を横に振っただけ。
思わず、肩を竦ませて溜息を落とした。]
(191) 2013/05/13(Mon) 21時半頃
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[錬金術師の片方が病に倒れたという話も、 落胆を招く悲しい報せだった。
本人たちから少し話を聞きたいとも思ったが、 せっかく無事に過ごせているドリベルを 病の傍へ近付ける気にはなれず。
小さな板とチョーク何本かを手に 村長の家を後にする。]
《うん。ボクはあとで先生の家へ行くよ。 少し、気分転換に。叱られに。》
[板書での会話はまだ慣れず、 途中で立ち止まり書いた板をドリベルへ。]
(192) 2013/05/13(Mon) 21時半頃
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《今なら 勝てる》
[もちろん、冗談なのだが。 感情や言葉に込める意味の細部は、 声に乗せて放つよりずっと伝わりにくい。 細かく、少し歪な、淡々とした文字列。
仕方がないから、 冗談のひとつでも言うに相応しい顔をと。 精一杯、口角を持ち上げて笑って見せた。
たぶん、変な顔だと思う。]
《昼食は 先生の家で食べるよ。 ドリーも、ちゃんと食べるんだよ。》
[もう一文書き添えて。頷く。]
(214) 2013/05/13(Mon) 22時頃
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― 再び、少し前へ戻って。 ―
[トルドヴィンの挨拶に、頷く。
その後、 ドリベルと言葉交わしている様子は、 いつもと同じようでして少し違う。]
《困ったことがあったら 手伝う。 いつでも、声かけて。》
[彼の聴力についてももちろんだったが、 キリシマの容態についても気がかりで。 トルドヴィンの手を取り、掌にそう書いた。
労働について積極的な思考を抱くのは 実に数年ぶりなのであった。]
(234) 2013/05/13(Mon) 22時半頃
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― 現在。ドリベルと歩く途中。 ―
《記念日になるね。》
[声は無くとも意思はちゃんと伝わる。 そう思えばまた少し安堵に気分が落ち着いた。
ドリベルへと両腕を回して抱き締めるのも そんな安心した気持ちを伝えるため。 名前を呼ぶ代わりに、髪へ一瞬だけのキスを。
そして再び歩き始める。 きっとそれぞれの目下の目的地へ向かって。 道が別れる所までは手を繋いで行こう。]
(238) 2013/05/13(Mon) 22時半頃
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― 分かれ道 ―
[ほんの少しの離別だが、 分かれ道ではもう一度ドリベルを抱きしめた。
《いってきます。いってらっしゃい。》
板面の文字を見せ、 それとは別に「すぐにもどる」と唇を動かし。
通い慣れた道を 努めて普段通りの軽やかな脚で歩み出した。*]
(257) 2013/05/13(Mon) 23時頃
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― キリシマの家 ―
[トントントン。 扉を軽く3回叩いて来訪を知らせる。
具合が悪いというキリシマを 出迎えに動かすのも申し訳ない事もあり。 勝手知ったる第二の我が家とでも言うように さらりと扉を開き中の様子を窺い見るのだが。
なんたって5年通っている家なので。 今更咎められる事は無い…と思いたい。]
(268) 2013/05/13(Mon) 23時頃
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[開いた扉の隙間から覗い見た師の家は、 どうやらいつもと変わらない様子で。
迎え入れてくれる声(>>274)に頷き、 遠慮無くそのまま中へとお邪魔します。 トルドヴィンとすれ違うようなら、 「いってらっしゃい」と声なき声をかけ。]
《先生。ごめんね、ありがとう。》
[早速。板書にて。 訪問を詫び、時間を取ってくれた礼を。]
(289) 2013/05/13(Mon) 23時半頃
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[キリシマの向かいに座り。
コツコツと指先で板を何度か叩いて、 どう書こうか、どう伝えようか、と 言葉を選ぶための少しの間を置いて。
結局は板面にそのままを書いた。]
《喉がダメになった。 食べ物も水も苦しいところへ入って 飲み込めない。みたい。
どうしていいのか わからない。先生。》
[最後の一文を記す手は、僅かに震えた。]
(303) 2013/05/13(Mon) 23時半頃
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《え。なにそれ。こわいね。》
[鎖骨の少し上あたりか、 触れられれば、微かに肩が揺れた。 しぱしぱと何度か瞬いた後に素直な感想を。
それから、また少し考えた後、 口を大きく開いて見せる。
冷たく硬化して動かない舌は 明らかに不自然に微動だにせず。 目視でも機能が失われている事は解りやすい。
そこから更に奥までが同じ状態で、 機能を無くして運動を停止している。 飲食物を流し込んでも食道と気道へ疎らに落ち… …といった具合なのだが。 そんな事が我が身に起きているとは知らず。]
(314) 2013/05/14(Tue) 00時頃
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《先生。お願い。
しばらくここで食事してるということに してもらっても いい ?》
[どうするにしても、 ドリベルの前で今朝のような様を見せるのは どうしても避けたい事のように思って。
板にまた文字を書いて見せる。]
(318) 2013/05/14(Tue) 00時頃
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[不自然な位置で途切れた言葉に、 キリシマもまた 体に異変を抱えている事を思い出し。
隣へと移り、彼の背を軽くさする。
まるで老人にするような手付きだとか そういう事は気にせずに 弟子の厚意を受け取ってくれると良い。]
(323) 2013/05/14(Tue) 00時頃
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《大丈夫。 少し ひとりでやってみる。
死にそうになったら 助けて。》
[いっそトルドヴィンに流し込まれるのが 確実な方法のようにも思えるが…。
ひとまずはキリシマ宅で食事を摂っている、 という口実さえあれば。 ドリベルに心配をかけずに 試行錯誤してみる時間は得られるだろうと。
キリシマの背をゆるやかな手付きで撫で、 彼が落ち着くまでは静かに黙ったまま傍に。]
(336) 2013/05/14(Tue) 00時半頃
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《先生も。死ぬなら寿命で。 あるいは ボクに負けて。
口をあけて 細く流す 体を傾けて
やってみる。 ありがとう。》
[どちらにせよ。 想定しているキリシマの死は百年後くらい。 長生きしてね…などと素直に言うほど、 彼は老いているわけでは無く。
こうして助けてくれる頼れる師匠だ。
しばらくそうしていたが、 これ以上、会話を続けて負担をかけるのは あまり良く無いだろうと判断して。
先に書いた「ありがとう」を円で囲んで。強調。]
(351) 2013/05/14(Tue) 01時頃
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[なんとなくの気紛れで、 こんな機会は滅多に無さそうだからと 弱った師の体へ両腕を回して一度抱きしめ。
声で感情を伝える代わりにと トレイルがよくする抱擁を真似てみたが。
柄じゃないな…と思い。肩を竦め、笑った。
そんな唐突な行動に、 師は驚くだろうか。怒るだろうか。
何にせよ、キリシマの反応を見て、 「ありがとう」という唇の動きを残して 今日のところは帰る事にしよう。
修行だと、昨日の二の舞になっても困るしね。**]
(355) 2013/05/14(Tue) 01時頃
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― キリシマの家を出る間際 ―
[抱いた師の体は 思っていたよりもずっと小さくて驚いた… …なんて事があるはずも無く。
いつもと変わらない声に、言葉に、 髪を掻き回す手の容赦無さ(>>364)に、 彼の健在ぶりを示されたようで嬉しかった。 安心もした。
「生きろ」という真っ直ぐな言葉が響く。 頭の奥に。じんわりと。
細くした目でキリシマを見つめて。深く頷き。
またしても攻撃を受けてしまった後頭部をさすり 師と別れて、その家を後にした。*]
(404) 2013/05/14(Tue) 10時半頃
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― チアキと出会ったのはその直後 ―
[キリシマの家を出て少し歩いた箇所で、 連れ立って歩く隣家の二人組に会った。
昨日と変わらない様子に安堵を。]
《怖くて泣いてるかと 思ったのに。 元気だね。チィ。なによりだよ。》
[文字のみでも、雛鳥を揶揄するのは変わらず。
ドリベルについてを聞くと ほんの一瞬だけ表情が曇るが。
あとは普段と変わらず飄々と淡々と。 チアキとの短いを会話を楽しんで、別れた。*]
(405) 2013/05/14(Tue) 10時半頃
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― 自宅 ―
[手にした板に残る キリシマ宅での会話の形跡を掌で擦り、 きれいに消してしまってから。帰宅。
声をかける習慣が失われてしまえば。 限りなく無音で密やかに動く男の帰宅は そっと開いた扉の隙間から流れ込む風によって 室内の気流が変化するだけという静かなもの。
ドリベルが掃除をしているのを見つけ。
そのまま、気付かれないよう傍へ。 後ろから腕を回して寄りかかるのは、 ただいまを言う代わりのいたずら。]
(407) 2013/05/14(Tue) 11時頃
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[不意打ちの攻撃に成功してしまったようで。
痛みに耐えるドリベルを抱きながら こちらは込み上げる笑いを堪える事に。
それでも、背後から彼を抱く腕は ほんの微かに震えてしまう。 声は無くとも、笑っているのは明らかだ。
叱られないうちにと腕を解き。]
《ただいま。ドリー。 帰り道 チィに会ったよ。 泣いてなかった。 残念。》
[適当な椅子に腰掛けながら、 板面に書き連ねた言葉を見せた。]
(451) 2013/05/14(Tue) 19時頃
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[ドリベルの語る村の様子を聞きながら、 椅子の背に深く凭れ、板を指先で撫でた。]
《右腕が使えないなら やっと人間らしく なるね。 熊より巨大で怖い、あのひとが。》
[ケヴィンについては心配にはなったが。 身を案じるのは胸の内でのみとし、軽口を筆記した。]
(486) 2013/05/14(Tue) 21時頃
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《うん。チィが言ってた。 ドリーが何か作ってくれるって。
今は おなかいっぱいだから あとで食べよう。》
[努めて平常に。文字から嘘も見抜けないだろう。
書き終えた文字を見せてから、 ドリベルを手招き、彼の右手を取って。 その指先へ口付けを。たわむれに。]
(487) 2013/05/14(Tue) 21時頃
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《先生。》
[質問に返した文字は大きく力強かった。 チョークが板を走る音もまた荒く。
書き終えて、ドリベルへと向けた顔には、 片眉を持ち上げた少し楽しげな表情が。
そのまま見つめていた先で、 彼の顔に安堵が滲むのを見ると胸が痛んだ。 しかし、それ以上に、安心した。
ドリベルに心配をかけたくない という気持ちも更に大きく膨らんで。]
(506) 2013/05/14(Tue) 21時半頃
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《先生に手伝ってもらって もっとすんなり食べられるよう 練習を。
だから。 しばらくは、先生の家で食事をとろうかと。 ( 少し待ってて。すぐにまた一緒に食べら )》
[そこまで書いて、 最後の一文は擦って消した。
代わりに書き添えたのは、]
《練習 なまけると、叱られるしね。また。》
(507) 2013/05/14(Tue) 21時半頃
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……、 。
[引き寄せられ顔を上げる。
額に落ちた口付けに目を二度瞬かせて、 彼の首筋へと触れた指先で そのままもう少し近くへ…と強請って。
仰ぎ見て、唇を重ねる。
キスの間際の唇の動きは小さく微かで。 声にはならなかった言葉は きっとドリベルにも、伝わらなかった。]
(510) 2013/05/14(Tue) 21時半頃
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[笑ってくれる事が嬉しい。 一緒に声にして笑えないのが悲しい。
細めた目はドリベルを見つめ、 そっと伏せた。 瞼の裏の闇を見つめる数秒。
強請るままに重ねた唇を弱く吸う。 まともな飲食と発声という役割を失い とても無価値になった口だが。
こうしてキスを交わすためだけのものに 成ったのだと思ってしまえば、いっそ、幸せか。
動かない喉を覆う皮膚感覚は生きている。 触れられれば、温かくてくすぐったい。 ふ、と笑って。]
(530) 2013/05/14(Tue) 22時半頃
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[キスを解いて。再び板とチョークを取る。]
《もちろん。 ドリーが作ってくれるものが 一番 美味い。》
[口にした朝食はもれなく無味だった。 水でさえ、昨日まで飲んでいたものとは まったく違うもののように思えた。
そんな詳細も、伝えないまま。
「ドリー。ありがとう。」と。 唇を開閉させる動きで伝える。]
(531) 2013/05/14(Tue) 22時半頃
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《うん。楽しみにしてる。》
[料理を始めるドリベルの背を眺める。
笑ってくれた顔を思い返しながら 触れて貰った喉の感触を自分でも確かめて。 冷たく、硬い。
開いたままの窓から吹き込む風を頬に感じて。
申し付けられた通りに、静かに窓を閉じた。 いっそう静けさの増す室内で、 しばらく、ただただ、ドリベルを見つめていた。*]
(554) 2013/05/14(Tue) 23時頃
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[しばらくはそうして 静かに考え事をしていたが、 妙に凪いだ心地に眠気を誘われて。
うつらうつら、そのままほんの少し眠った。
膝に乗せた板に新しい文字列を残し。]
《出来たら 起こして。
ドリーは、何か したい事はない? 食事のかわりに。 一緒に出来る事を何か。
修行以外でね。》
(567) 2013/05/14(Tue) 23時頃
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……… 、
[浅い眠りに沈み漂っていた意識は、 現から呼ぶ声に引き戻されて浮上する。
重い瞼を持ち上げて、瞬きを何度か。
いかにも寝起きの気怠さのまま 「おはよう」と唇を動かして応えて。
一緒に…との言葉には瞬きを繰り返しながら ほんの一瞬だけ息を呑み悩んだ。けれど。]
《うん。いっしょに いこ せんせいのとこ》
[寝起きはどうやら文字にも眠さが現れるらしく。 気の抜けた、頼りない文字が並んだ。]
(587) 2013/05/15(Wed) 00時頃
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[返事を書き込む際に見つけた、 自分のものではない筆跡。
その一文の下を指先でなぞるように撫で、 黙ったままで、確かに頷いた。
《約束。》と傍に書き込んで見せた。
その一文は、消さないつもり。 約束を果たすまで。]
(590) 2013/05/15(Wed) 00時頃
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