41 アンデッドスクール・リローデッド
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[あと少し、その姿が見えそうだったのに。 どうして、振り返るレティーシャの表情は見えない。 呟いたコーネリア>>2のその声音は耳に届くことはなく]
…………っ!
[再び滑り落ちたレディスミスは、廊下をくるくると弧を描いて回った。]
(3) oranje 2011/12/12(Mon) 23時半頃
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[伸ばされる手>>6を、茫然としたまま受け入れる。彼女の表情の意味は、コーネリアの零した声は、駆けていく田原の足音は。その先にいる者は。 少女はその全てを知らず、ただ双眸を虚空へ向ける。]
(どうして?)
[呟いた声は最早声にすらならず]
(9) oranje 2011/12/12(Mon) 23時半頃
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[レティーシャに手を引かれ、入った部屋は先ほどの書庫だった。少し薄暗く、埃っぽい部屋に入れば途端に膝をつく。 もう、満足に立っていることもできそうにない。
隠れてて、と彼女は言った>>14。 一緒に行くと伸ばした腕はその手には届かない。]
……レティ、さん。
[彼女が書庫の扉を離れれば、蹲るようにその部屋の中に、一人**]
(15) oranje 2011/12/13(Tue) 00時半頃
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― 書庫 ―
[扉が開く音>>27にすら、反応は示せなかった。 レティーシャから伝えられた事実を一つ一つ飲み込むには気力が少なくて、それでもかき集めて必死に飲んだ。一つ一つ、己がまだ生きている証拠として。]
ゾンビ、たくさんいるんですよね。 レティさんの背中は誰が守るんです?
[床に置かれたレディスミスを拾い上げて微かに微笑んだ。彼女を日常に戻したいからとここまで生きたのだから、セシルと会うそのときまでは、せめて]
一緒に、いさせてください。
[身体を奮い立たせるように一度床に手をつき、立ち上がる。レティーシャから少し離れて、後ろからついていこうと]
(30) oranje 2011/12/13(Tue) 23時半頃
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― 廊下 → 地下へ ―
[前方を歩くレティーシャの背を見つめる。いつも、彼女の背中を見ていた。この屋敷に来たすぐ後にも、メイド服のファスナを上げるためにその背に回った。 交わす言葉は何もない。ただ手に持った銃を今或る力全てで握り締めた。
地下室へ向かうその道は、随分と長く感じられる。幸いにもゾンビと遭遇することはなかった。それならば、もうここにいる理由すらないというのに、レティーシャから目が離せない。]
ここが、地下……
[ぽつりと零す。ひんやりとした空気が足元を掬ったような気がした。]
(36) oranje 2011/12/14(Wed) 00時頃
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― 地下 ―
[かすかに聞こえるのは、吐く息と足音か。 振り返るレティーシャ>>42との距離を詰める。促すような視線に、深く一つ、頷いた。]
……セシルさん、いらっしゃるのでしょう?
[久しぶりに出した声は掠れていたが、その声ははっきりと彼がそこにいることを求めて発される。 足はゆるゆると、けれど確実に前へ、前へと。]
(45) oranje 2011/12/14(Wed) 00時半頃
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[カツン、足が止まった。転がる腕をはっきりと捕らえれば顔は強張る。
そして双眸が見つめる先、誰かがそこに、居る。 無意識にレディスミスを握ったその手を、抱きしめるように胸元に引き寄せた。]
……レティさん
[空いた手を彼女の背>>46に添える。己が体温を伝えるように]
ここにいらっしゃったのですね、セシル、さん。
[そこに居るのは、よく知る彼だと。目を背けたくともその事実は変わらない。]
(47) oranje 2011/12/14(Wed) 00時半頃
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―――ッ!
[微かに聞こえた>>48唾液を飲み込むその音。彼は振り向かず、整然と言葉を紡ぐ>>49けれど その姿はどこか、玄関ホールのソファに座っていたヴェスパタインのそれに重なって]
レティさん、待って……
[近づくレティーシャ>>50に声をかけ、その横に一歩踏み入れる。落とす双眸に力はないが、声音は先程よりもはっきりしていた。]
セシルさん、貴方を ……戻すことは、叶いませんか。
[落ちている腕と、セシルの姿を交互に見る。この推測があっているのならば、彼は]
(52) oranje 2011/12/14(Wed) 01時頃
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……そう、ですか……
[セシルの返答>>54に唇を噛んで俯いた。もう、陽の下を歩くことは叶わぬことだと頭の中では理解する。 何度も口を開いては閉じ、言葉を探せずに、黙ってレティーシャ>>53の腕をそっと掴んだ。]
レティさん、帰りましょう。 ……いえ、帰るんです。
[セシルも共に連れ帰りたい、そう思う気持ちは彼女と変わらない。それでも現実はそう上手くいかない。 ならば憎まれようが、恨まれようが、傷つけられようが。彼女を連れて帰ることだけを今は考え]
(55) oranje 2011/12/14(Wed) 01時半頃
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帰るんです!……帰るの!
[レティーシャの姿はいつもより更に小さく見えた。毀れる涙が胸に響いて、苦しい。その気持ちが痛いほどわかるから、彼女の意のままにしたいとすら思えるのに。腕を離す手は緩まない。]
……レティさん。 セシルさんが、セシルさんでいられるうちに お願いします、あたしを、恨んでもいいから
[先の続かない沈黙>>58に、涙を堪えるので精一杯だった。]
さようなら、セシルさん。 私ね、
[レティーシャを引き摺ってでも部屋を出ようとするその前に、唇を動かして]
(59) oranje 2011/12/14(Wed) 01時半頃
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っぁ……!
[手を振り払われ後方に転ぶ。その衝撃で一つ、涙が床に落ちた。]
レティさん、……レティさん! だって、セシルさんは!!
[立ち上がったセシル>>60にびくりと反応し、それでも弾かれたように立ち上がってレティーシャの横へと戻る。 ゾンビは、人の血肉を求める。それは学校内で見た光景。推測は当たっていた、それならばセシルは]
―――……
[声は出ず、ただセシル>>62の身体からレティーシャを守ろうと手を伸ばして]
(63) oranje 2011/12/14(Wed) 02時頃
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[レティーシャに、己の言葉は届かない。 置いていかれそうになっている彼女を引き止めることで、一粒でも涙が増えてしまうのか。 その迷いは、一つ身体の反応を鈍らせて]
―――……っ!
[セシルに吸い寄せられるように、その身体は離れていった。もうこちらを振り返ることもきっとない。
羨ましい、悲しい、辛い、悔しい。 ――それでも、]
(置いていかれるのは、あたしだけでいい)
(68) oranje 2011/12/14(Wed) 02時半頃
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[背後にあった毒薬の壜に手を伸ばす。これ以上置いていかれる人が増えてはいけない。自分が死ぬのは、この毒薬で屋敷の周辺にいるゾンビを葬ってからでも遅くはない。
今すぐにでも会いたい人がいる。大好きで、どうしようもなく愛している人がいる。飛び込めばすぐに楽になれるのに、そこから手を招く死の誘惑>>67から、敢えて目を逸らして。]
あたしは貴方なんか、あなたなんか――!!
[戦慄く唇を噛んで、少女は一人、地下から逃げ出した**]
(70) oranje 2011/12/14(Wed) 02時半頃
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― 玄関ホール ―
[どさり、と鈍く何かが床に倒れる音が響く。 あと少し、あと一歩で玄関の扉に手が掛かるその前で、振るわれたゾンビの腕に身体は斃れた。 そこに群がるように、動きの鈍いゾンビたちが襲い掛かってくる。]
(もうすこし、だったのに)
[横たわる床の振動で、何か大きなものが近づいてきていることはわかっていた。それは新たなゾンビの襲来か、或いは誰かの助けか――
少女の胸にしっかりと抱かれたのは、地下から持ち出した壜。ゾンビに全て喰われてしまう前に、その壜を誰かに託すために。 首筋に走った痛みはやがて、血が逆流するように身体の中を駆け巡る。ぞわりと、己の中に這入って来たのは、ナニモノなのだろう。]
(82) oranje 2011/12/15(Thu) 00時半頃
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―――……ぁ……
[遠く、ゾンビでない誰かが屋敷の中を歩いている。淡い金色の髪――コーネリアと、もう一人。田原の背中の向こうに見えた]
(ばーれー、さん)
[田原が叫んだ、彼の名前。こちらからはその後姿しか見えない。やはり彼がと、気がついたそれはあまりにも遅すぎた。]
(あなたが、あなたが――!!)
[首元から滴り落ちるのは、何だろう。最早痛覚も意思も、殆ど存在しない。今、屍となりかけた少女はゾンビを振り切るように上半身を起こすと、その手の中の壜を思い切り彼らに向かって投げる。
その軌跡を追うその前に、その双眸は光を失った**]
(83) oranje 2011/12/15(Thu) 00時半頃
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[少女はゆっくりと立ち上がる。 壜が描いた軌跡は、どこへ向かっただろう。あの紙飛行機>>0:1と同じで、己が手放したの物の行き先はわからない。]
(……ここは、寒い)
[周りにはゾンビの姿はない。 ここはどこだろう、歩き出そうとしたところで、誰かの声が聞こえた気がした。名前を呼ばれた、気がした。何を言っているのかも最早聞こえないのに、泣き出しそうな自分がいる。]
(どうして、悲しいんだろう)
[少女はやがて、引き寄せられるように進んでいく。その先に、何があるのか。まだそれはわからずに]
(100) oranje 2011/12/16(Fri) 00時半頃
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