193 ―星崩祭の手紙―
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[星崩祭の始まりに。
BARの外に建てた即席の舞台。 スポットライトは零れ落ちる満天の星空。 お祭りの間はオープンテラスを開くようです。
舞台の上、楽しそうに舞う彼女を見てお客たちは不思議に思うでしょうか。
黒のドレスに星形のイヤリングを揺らして。 いつもより軽やかに感じるステップも、いつもより柔らかな表情も気のせいではないでしょう。
揺れる彼女の中にある私の心も穏やかな気持ちになります。
まるで人のようだ、と誰かが呟きました。]
(0) dix73 2016/07/20(Wed) 03時半頃
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[魂、とは何でしょうか。 それは心、と同義であると私は考えました。
心、とは何でしょうか。 それは記憶、と同義であると私は考えました。
霊魂が気体のように肉体に込められていて、人が生命活動を停止したら空へと上るだとか、生まれ変わるだとか、そういうことに科学者としての性質か期待を持ったことはなく。
けれど、今は。 確かに彼女の中には、記憶の回路だけではない、21g相当の魂が宿っていることを感じます。]
(1) dix73 2016/07/20(Wed) 03時半頃
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[そして、彼女のチップの隣、ただあるだけの私のチップ。 彼女の行動には関与しないその中にも、確かに私の魂はありました。
空の向こう。 私の魂も、其処へ旅立つ準備を始めても良いのかもしれません。
きっとまたいつか、巡り巡ってまた会える。 そんな奇跡をガラにもなく信じてしまうくらいに、星空は美しくて。
そして何より、この数日の出来事は奇跡に溢れていましたから。]
(2) dix73 2016/07/20(Wed) 03時半頃
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[計5曲。 彼女は溢れる星空の下踊りを踊り終えました。
いつもは客の疎らなBARも、今日はマスターの目論見通りに大繁盛。 鳴り響く拍手もいつもよりずっとたくさんで。
私は、もし目頭があるならばきっと熱くなっていたでしょう。 時を止めたはずの彼女は、確かに成長している。そのことが、たまらなく愛しくて、嬉しくて。 父親は、親というものは、そういうものなのです。 そう、地下の星に住む彼が言っていたように。
一度舞台を降りると彼女は暫しの自由時間を貰います。 空を見上げながら、くるくると踊る足取りで向かう先は…。]
(41) dix73 2016/07/21(Thu) 23時頃
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[そう、ここ数日行くのが日課となっているカプセルの受信機です。
どうやら2つ、彼女宛のお返事が来ている様子。
部屋まで我慢できなかったのか、近くの積まれたパイプに座ると彼女はお手紙を開きました。
まず、1つめの中には綺麗な青い光を帯びた球体が入っていました。 彼女は首を傾げます。 壊さないように、そうっと掌で包み、膝の上へ。
それを開くと中からは美しい歌声が響きます。 彼女と私は。 そしてその近くにいた街の人々も足を止めて歌声に聴き入りました。
歌声が終わると、誰かが、ほう、とため息を吐く音が聞こえて。
一瞬、誰もが息を飲み歌声だけが響いていた街は穏やかな賑わいに戻ります。]
(42) dix73 2016/07/21(Thu) 23時頃
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[歌に夢中だったのか、中の手紙にようやく気づくと、彼女はそれを読み始めました。
どうやら先の歌声は手紙の送り主のもののようで。 歌姫の歌に合わせて彼女が踊る。 そんな素敵な提案に彼女も嬉しそうに足を揺らしました。
私もそれを、観て、聴いてみたいと願います。
オルゴールを送った相手が歌姫であった偶然。 やはり星崩祭には、奇跡が起きるのかもしれません。]
(43) dix73 2016/07/21(Thu) 23時頃
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[ガラス玉を大事にカプセルにしまうと、もう1つのカプセルを開きます。
ぎゅうぎゅうに詰められていたのは羊皮紙。 私は実物を初めて見ました。 彼女も不思議そうに質感を確認しています。 そして、1枚のコイン。 銀に輝くそれは、高価なものに思えました。 少し歪に刻まれた模様は機械の技ではなさそうで温かみがあります。 それにたくさんの星の模様と踊り子の模様なんて、まるで今日の彼女のようではないですか。
手紙の最初にはミツボシのサインと同じ星形が添えられていて、彼女はそれをなぞります。]
(44) dix73 2016/07/21(Thu) 23時頃
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[手紙の送り主は彼女と同じくらいの年頃の女の子でしょうか。 明るく可愛らしい、愛されて育った子。 そんな印象を受けました。
クリスマスという女の子の星は、まるで物語の中のよう。 獣人、の文字に彼女は首を傾げます。 この星とは、まるで違う世界のような星々。 宇宙の広さに驚きながら、彼女は先を読み進めました。
クリスマスもまた、彼女と同じように父に焦がれていることがわかると、私の胸は(胸も心の臓も最早ありはしませんが)締め付けられる思いになります。
彼女はジッと何かを考えこむようにしながら手紙を読み終えて。 コインを空にかざしました。
キラキラ。 溢れ崩れる夜空を背景に、コインの中の星が瞬きます。
彼女は何かをお願いするように唇を動かして。
2つのカプセルを抱えてBARへと帰りました。]
(45) dix73 2016/07/21(Thu) 23時頃
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『あ、待って!』
[返信の手紙を読み終えてBARへと帰ろうとした彼女に、いつもの工員が声をかけます。
振り返ると、彼の手には銀色をした楕円形のカプセルがひとつ。 どうやら、手紙をたのしみに毎日ここへ来る彼女に1つとっておいてくれていた様子。
彼女はそれを受け取ります。 掌が触れた場所が光を放ち、首を傾げました。
あちこちぺたぺたと触りながら帰りますが、開け方がわかりません。 ですが、触るたびに光るそれが面白いのかしばらく楽しんだようです。
BARへと帰り着くと、マスターは大忙しで酒や食べ物を振るまっていました。 彼女は一度カプセルを置くと、それを手伝います。
お客の一人がそのカプセルに興味を示したのか、手に取りました。]
(52) dix73 2016/07/22(Fri) 01時頃
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『ミツボシちゃん、なんだいこれは。 文流しのカプセルかな? ハイカラな容れ物だねえ。』
[彼が物珍しそうにカプセルに触ります。 すると…。]
『わわっ、な、なんだあ?!』
[大きなぎょろりとした目玉が浮かび上がりました。 彼の大声に驚いた周りの客も注目します。
彼女も配膳の手を止めてそれをじっと見つめました。
目玉が離れ、映るのは一人の隊服を着た若い青年。 気さくそうな話し方に、明るい声音。
彼女が手を伸ばすと、彼の体をすり抜けます。 どうやら、ホログラムのようですね。]
(53) dix73 2016/07/22(Fri) 01時頃
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[彼もこの文流しでたくさんの文を流し、受け取りをしたようで。 あちこち渡り歩いているという話からしても、よく文明の発達した星の出なのでしょう。
彼の話した歌姫、の言葉に彼女はぴくりと反応を示しました。 そしてあのカプセルを取り出します。
中には歌姫の歌声がするガラス玉。 彼女は彼と、ガラス玉を交互に見ます。
マスターと、客たち、彼女。 皆で彼の話を聞き終わると、誰かが言いました。]
(54) dix73 2016/07/22(Fri) 01時頃
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『よし、このボウズにうちの祭りを見せてやろうじゃないか。 こんな若えのにひとりぼっちたあ、難儀な話さ。』
[そして、同封されていた記録装置を設置して舞台へ向けます。 ここは鉄クズの街。 機械の扱いなら誰でも何となくわかるのです。]
(55) dix73 2016/07/22(Fri) 01時頃
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[彼女は音響機器の近くに、あのガラス玉を置き、蓋を開きます。
それから、彼の物ほど上等ではありませんが、録画機器を舞台に向けて設置しました。
流れ始めるのは、歌姫の歌声。
彼女はその歌声に合わせて、踊り始めました。
それはまるで、誰かと踊るワルツのような。 見えない誰かがそこにいるような気がしてくる、そんなダンスでした。
体を後ろに大きく逸らしても、倒れることがないのは彼女の機械の体故にですが、ダンスのパートナーが支えているように見えるでしょう。
歌声が終わると、彼女も止まり、丁寧にお辞儀をしました。]
(56) dix73 2016/07/22(Fri) 01時頃
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[歓声と拍手。 何だか彼女と踊っていたような気にすらなっていた、とは客たちの感想。]
(57) dix73 2016/07/22(Fri) 01時頃
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[お返事の録画カプセルが空へ吸い込まれていくのを皆で見送ると、またBARへ戻り賑やかに街の人々は騒ぎます。 きっと、お祭りの間は夜通し楽しむのでしょう。
彼女はというと、少し寄り道をして。 ジャンク屋でなにかを数個購入していました。
そうして。 ピートの送ってくれた返信用とは別に録画していた機器>>56を持って、部屋に戻ります。
部屋の隅の端末を取り出すと、小さなディスクにそれを焼いていきます。 ホログラムは出ませんけれど、専用の掌サイズ程の再生機で映像が見られるものです。 音も一応鳴るようです。 先ほど購入していたのはその再生機のようですね。]
(67) dix73 2016/07/22(Fri) 09時半頃
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[普段はあまり開かない窓を開けると、祭の賑わいがよく聞こえます。
彼女は2つのガラス球を閉じました。 眠るわけではないようです。
ジッと、この数日の出来事を反芻しているのでしょう。
星崩祭が終わるまでに、たくさんの人にありがとうを言わなければなりませんね。
お手紙をくれた人たちに。 送ったお手紙に返事をしてくれた人たちに。
彼女は引き出しにしまった貰った手紙たちを机にひとつひとつ取り出して。 紺色の紙を広げると、黄色のペンを手に取りました。]
(68) dix73 2016/07/22(Fri) 09時半頃
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[彼女はまず、最初に返事をくれた彼に手紙を書き始めます。
二度も彼の元へ届いた彼女の手紙。 その偶然、奇跡に感謝しながら。
彼女が身体を揺らすと、カランとお腹でキャンディーが鳴りました。]
(74) dix73 2016/07/22(Fri) 21時半頃
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[そういえば、と彼女はひとつ思いつきます。 彼からの手紙には、うまいものはあるのかな>>2:-114とありました。
彼女はおいしいと店のお客が言っているものを手紙には書きましたが、実物を送ってはいませんでした。
湖の星に宇宙鼠は、いるのでしょうか。チーズを作る原料になる宇宙ヤギや宇宙牛はいるのでしょうか。
賑わうBARの店内にそっと戻ると、いくつかジップされた宇宙鼠のジャーキーと、チーズをカプセルに入れました。 ナユタが気に入ってくれたら、良いですね。]
(85) dix73 2016/07/22(Fri) 22時半頃
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[崩れてしまった手紙は、大事に袋に詰めて引き出しにしまいます。
机の上には中身の入ったカプセルが3つ。
彼女はまた手紙を書き始めます。]
(86) dix73 2016/07/22(Fri) 23時頃
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[5つのカプセルを抱えて、彼女は送信機へ向かいます。
お手紙を送れるのは、きっとこれが最後。
少し寂しい気もしますが、カプセルたちを見送れば彼女は前を向いて歩き出しました。
何故か、BARとは逆方向に。
一体どこへ行くつもりでしょうか。]
(106) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[辿り着いたのは小さな墓地。
十字に括られたパイプが疎らに立ち並んでいます。
彼女はそのうちのひとつの前にしゃがみ込みました。
そう、彼女の父親の。 私の。 魂の抜けた肉体が眠るお墓です。]
(107) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[彼女の唇が動きます。]
(パ パ)
(ここに いるの?)
[いいえ。
私はそこにはいません。]
(108) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[私は、私は]
『私はここにいるよ。』
[その音は。声は。
ミツボシの、声帯のない唇から確かに響きました。
彼女は、辺りを見回して、喉を押さえます。
ぱくぱくと、口を動かす彼女の口からは再び音は出ませんでした。
けれど、彼女は、心を、胸を押さえます。
そう、私は]
(109) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[パパは
確かにそばにいてくれたの。]
(ありがとう、パパ。
大好きよ。)
[私は唇を動かした。
一度失った私の肉体は目の前のお墓の中に。 パパの肉体と一緒にある。
だけど、私はここにいる。 私の魂は、この機械の体の中にある。
そして、ずっとパパと一緒にあった。]
(110) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[『泣かないで、ミツボシ。 パパは空の向こうに行くだけだから。』
それがパパの最後の言葉。 それがまた、今、胸に鳴り響く。
涙の流れないガラス球から、一粒なにかが溢れ落ちると、
再び聞こえることはなかった。]
(111) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[だけどね、私、寂しくないわ。
私は星空を見上げる。
いつかきっと、巡り巡ってまた会える。]
(112) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[遠くないうちにきっと会える、あなたとあなたの娘。 湖の上で暮らす自然豊かな星の、あなた。 空気に溺れた星に住む、妹と暮らす、あなた。 藍色の星で歌う、たいせつなひとと暮らすあなた。 獣人たちと暮らし、お父さんを待つ、あなた。 星を飛び回る、明るいあなた。 どこかまだ知らない星の、あなた。
空の向こうの、あなた。]
(113) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[あなたにあえる、その日まで。
私はここで踊りを踊って、待っている。]
(114) dix73 2016/07/23(Sat) 00時頃
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[カラン。
BARの扉が開き、 私は舞台の上から扉の先を見る。
入ってくるあなたを見て、小さく微笑んだ。
そして私は今夜も踊る。 あなたと逢えた、奇跡に感謝して。]
(175) dix73 2016/07/23(Sat) 02時頃
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