237 それは午前2時の噺。
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[ うすだいだいいろの光の中で、すこし暗くひかるわたしとパパが見えていた。相変わらず聞き慣れた鼾は響いていて、落ち着くけど、ちょっとうるさい。 時計を見ると、短い針は1のちょっと前で眠たそうにしている。
そぅっとふとんから抜け出して、お気に入りのワンピースをタンスから引っ張り出した。引き出しに入れたいいにおいのせっけんとおんなじ匂いがする。柄のついてないそれを鼻先に押し当てて、胸いっぱいにかおりを吸い込んだ。けれど、胸はいっぱいにはならなかった。
前よりちょっぴりだけくたっとしたそれと、ふりふりのついた白いくつした。ぴかぴかつるつるの、……ぴかぴかつるつるだった靴をしずかに、しずかに履いて、ランドセルから外したおうちの鍵を首からさげて。
奥の部屋から鼾の音が聞こえてくる。そおっとそおっと鍵を開けて、そおっとそおっとドアをあけたとき、ガチャっと大きな音がしてしまって身が固くなった。 …………けれど、鼾の音は相変わらず聞こえてくる。わたしはしずかに息を吐いて、音を立てないように家の外へ出て行った]
(2) 2018/03/23(Fri) 04時頃
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[ うんざりするくらいに晴れた日だった。空には雲がひとつもなくって、お洗濯ものがにこにこしながら風に揺らされるような、素敵なおひるだった。
「パパとママ、どっちが好き?」 ずるい。 あなたたちは何日も、何か月も、喧嘩しては離れて、長い長い間考える時間があったのに。わたしには今すぐ決めろというんだ。ママはもう大きな荷物を玄関の脇に積み上げていた。パパはリビングの入り口のほうに何も言わずに立っていた。 ずるいよ。
考えたことなんて、ない。 ずっと一緒に居られると思っていたから。
二つ並んだケーキからどちらか一つを選ぶのとはわけが違う。そんなことくらい、わたしにだってわかってた。半分こして、ちょっとずつ味わうこともできないイチゴみたい。どうして隣にいることも出来ないんだろう。二つのケーキを繋げるクリームには、わたしにはなれなかったのかな。 ふたりが好きになって、けっこんして、その好きになったあかし がわたしなら、その好きがなくなってしまったら、半分にできないいちごはどうすればいい?半分こになれない責任はイチゴにあるんだ、ろうか。
わたしはひとつのケーキをえらびとった。]
(3) 2018/03/23(Fri) 04時頃
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[ おふとんに守られていたからだがまよなかの空気にひっぱられて、少しずつさむくなっていく。春が近いけれど夜はまだ冬にとりのこされて、寂しそうに手を引いてくれる春を待っていた。昼は子供がたくさん走ってにぎやかなコンクリートの道も、いまは、静かに眠っている。 眠りについたととらの町。ひとりぼっちで歩く、起きているわたし。ひとつも車なんか通っていないのに、フェンスにぶら下がってる黄色い旗をとって向こうがわの筒に入れた。
もっと小さい頃は、眠っているあいだは全部が眠ってるものだと思ってた。わたしが眠れば町はねむって、そのあいだはなんにもない。わたしが眠るから朝が来て、一日が始まって、そしておわる。バカみたいだけれどほんとうにそう思っていたんだ。
きょうとあしたのあいだにはすき間があって、それを見ていいのはお正月とおとなだけ。それを守れないのはわるい子。わるい子はたくさん怒られて、おやつを抜きにされてしまうんだ。
通り過ぎた街灯の明かりが、わたしの影ばっかりをおとなみたいに おおきくしていく。]
(4) 2018/03/23(Fri) 04時頃
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双生児 ホリーは、メモを貼った。
2018/03/23(Fri) 04時頃
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[ たどり着いたのは山の麓の発電所。 「あぶないからはいってはいけません」の看板をくぐって おくへ、]
(60) 2018/03/25(Sun) 02時頃
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