253 緋桜奇譚・滅
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――。
[唐傘と少女の1人芝居を止めたが故に。 言葉はかけなくても、以心伝心。 いや、元々意識は1つなのだ。
縦横無尽に飛び回る唐傘と少女。 降り注ぐのは焔下駄と。
それから、千枚通しのように鋭く切り裂く。 唐傘の骨が飛び交っていた。 その合間にも、交互に高速で接近しては。 短刀の一撃か、もしくは身体からはみ出る骨組で相手を削って行こうと。]
(156) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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[戻っていく子供を感じながら腹を撫で。 子守唄をうたう。]
ねん ね ん ころり よ おころり よ
[異形の姿でありありながらも優しく子供に声をかける。
我が子でなくても子供は大事なもの。 だから危ない外には置いておけない。 すぐにいなくなってしまう子供はお腹の中に戻さなければ。 肉はなくても魂だけは。
戻して、守って、ずっといっしょに。
いえはただ己の腹を見つめる。]
(157) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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縮地というやつよ。 一つ利口になって 冥土も土産となったじゃろう。
[天狗の真骨頂は火炎操術や器用な風… 山における天変地異を自在に操る事――と 思われがちではあるけれど、 そもそもそれらの力は神通力を主本にして 起こしたものであり縮地法もそれの一種。
全盛期であれば長い距離も渡れた。 全盛期であれば姿も小天狗のような大きさでは無かった。 妖として長く在りすぎた年月、そして。 信仰が減ってしまった事が今の弱化にある。
旋風に巻き込まれてバラバラに割いたのは 使役の蝙蝠のみで、一難を避けた小娘に>>150 尚も追撃を狙い、団扇握る腕を斜に構え、]
(158) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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うつけめ、邪魔もするわ!
消えたらおなごの肉付きのよいふともも ちらちら艶やかな項も! 現物じゃのうても春画とて見れなくなるわい!
老い先短い年寄りの数少ない楽しみを 潰す真似をするでないわ!
[――並ぶは煩悩の塊。 雪女のお雪をもでるにした春画を思い出して 鼻血がブハッと溢れた。]
会いたい……?
[誰に。]
(159) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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そもそも、おんしが斯様な事をしておること 父母は知っているであろうな?
[一家包みの奇行… であるのならば。 連れ立っていないのは不自然ではあるが。
京の外れに在りし両親の存在>>1:187 それが真実か否か 天狗爺には分からぬもので>>152]*
(160) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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……爺はちょっと桜にぼんのーでも食われた方がいいぞ。
[この感想だけは、間違ってないって断言できる。 盛んが過ぎるというのも、充分よくないことだ。]
だいたい、爺は楽しいかもしれないけど、 見られる側はそんなに楽しくないぞ。 むしろちょっと気持ち悪いぞ。
[正論。 全くもって正論。 "ちょっと"で済ませたのは手心だ。]
(161) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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…………………
[それも、父母を問われれば笑みは消える。 吊り糸に立ち、俯く。]
……父ちゃん、母ちゃん。
(162) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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琴は、いつも通り遊んで帰っただけだぞ。 父ちゃんも、母ちゃんも、琴の大好きなご飯と一緒に、待っててくれてたはずなんだぞ。
[誰が?知らない。 知っているのは、薄らと感じていた、父親《余所者》への迫害心。 西洋が混じりだしたばかりのこの国では、まだ異端の家への―――]
なんでいないんだ? 待っててくれてたはずなのに、待っても待っても、帰ってこないんだぞ。
[あったかい料理と、冷えた部屋。 冷めていく料理と、凍えていく部屋。]
(163) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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なら、琴が迎えに行くんだぞ。 父ちゃんも、母ちゃんも、そういう妖怪だから。 だから、迷ってるのかもしれないんだぞ。
[ジャック・オー・ランタンは何処にも行けない彷徨う鬼火。 夫婦で何処かに出かけて、帰れなくなったのかもしれない。]
だから、目印なんだぞ。 おっきなおっきな真っ赤な桜。 その力があれば、いくら父ちゃん母ちゃんだって、見つけられる灯火になるんだぞ。
[だいすきな二人にまた会いたいから。 そのためなら、なんだって惜しくない。]
(164) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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/* ご両親が居なくなっちゃったんだなあ。 せつなみ。
マジレス正論には笑ったけど。
(+21) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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きゃあぁああ ! !!
[斬り刻まれた腕を振り凛へ振り返る。 そこにいるのは見慣れる妖。
だれ なに だれ だれ だ れ
痛みと怒りでいえの肌が赤黒くなっていく。 この己の姿が好きではなかった。 この姿では我が子が私に気づかないから。]
(165) 2018/11/13(Tue) 22時頃
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そうか。そなたもそう思っていたか。 どうも、年月を重ねると雄弁になり過ぎていかんな。
[こちらはこちらで、さっさと伽耶を攻撃していればよかったのだろうが。水を固めた銛>>104と緑に輝く雷の槍がぶつかり合う。]
雷を水で防げると思うか。そなたは…… ん?
[予期せぬ水の奔流の強さに眉をぴくりと動かす。 稲妻をぶつけられたまま、押し返す勢いで水の銛がこちらに押し寄せてくる。 バチバチ、と電流が流れ、血の通わぬ青白い手を些か焼いた。]
(166) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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………小癪な娘だ。今のは少々痛かったぞ。 とは言え……そなたとて、我が本気とは思っておるまいよ。
[パチンと手を合わせ、浅く短い呼吸を繰り返す。大気に流れる陰陽の気を取り込めば、それだけ仙道の力は増幅される。殭屍の術であろうとこれは例外ではない]
斯くの如く疾く執り行う可し。 急急如律令――――――疾!!!
[再び生み出される緑色の稲妻。電離した大気がいくつもの雷撃球となって飛び散り、伽耶に八方から襲い掛かる*]
(167) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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[再生しつつある腕で八坂神社の舞殿を破壊し、その舞台を投げつける。 それと同時に餓鬼の腕で走りへりんへいもへ突撃する。
舞台を避け上に飛ぶものなら、例え斬り捨てられてもいい、槍の如く尖らせた餓鬼の腕を突き刺そう。
舞台を打ち破るのなら全ての腕で捉えあげこの醜い腕で心臓を掴んでやろう。]
(168) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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削りきれないとは。 流石は鬼って所かしらね。
[その耐久力に呆れたように笑うと。 赤黒い肌に変わっていく彼女の姿を見て。
また笑いかけるように。]
随分と強そうじゃないの。
[そう言っている合間にも八坂の舞台ごと。 此方の方へ向かって来ていた。]
(169) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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[飛ぶのでも、打ち破るのでも無い。 そう、先ほど木の合間を飛び回ったように。
少女と唐傘は空に舞う舞台に飛び乗ると。 いえを目がけて次々と焔下駄を打ち込んで。]
削りきってやろうじゃないの。 ねえ?
美しい鬼さん。
[最後の言葉は本音だった。 彼女が自身をどう思っているかはさておき。
舞台ごと持ち上げるその力。 それはまさしく、妖の華であった。 こんな状況でなければ仲間に引き入れたい程度には。]
(170) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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[餓鬼の腕が来ようが。 それとも赤黒い腕が襲い掛かってこようが。
自分達の機動力ならば避けきれる。 そして、相手に連続打撃を叩きこむ。
それがずっと変わらない。 へりんへいもの戦い方だったから。]
(171) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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[押し返した稲妻がツェンの身を焼く。>>166 少しだけ。ほんの少々。]
少々だなんて、殆ど貴方の稲妻のせいよ。 手を抜いてくれる分には構わないんだけどね。
[手が合わさる。 あれが発動手段か。 こちらと似たようなものね。]
(172) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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[息をする毎に大きくなる雷撃球。 号令によって、空中に現れたそれが、八方を囲むように、こちらへ目掛けてくる。]
全く同じ技しか持ち合わせていないのかしら? それとも少しでも長く私と遊びたいの?
[水の幕が伽耶を隠すように覆い、雷気を地へと逃していく。]
(173) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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まあこっちもあるものは利用させて貰わないと、 私みたいに水しか扱えないとか不利すぎない?
[虚勢含みに微笑めば、散らした雷撃の残りを含む水幕を解いて、輪刀へと作り変えていく。]
(174) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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[回転する飛沫の刃。 雷気を帯びて、 八方から襲うは かの者の真似事]
(175) 2018/11/13(Tue) 22時半頃
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いやじゃいやじゃいやじゃ! どうせ食われるなら若くて色気むんむんの おなごであって欲しいわい!!
[年寄りはわがままな生き物だから――― 植物とシケ込むのはちょっと……>>161]
あーーぁーなんじゃ? 耳が遠くなりおったわい…儂も歳かのう。 歳を取るとつらいのう…腰も曲がるし…
[爺あぴぃるをしているがちゃんと聞こえているし かなりぶっすりと胸に刺さっている。 ある意味、蝙蝠刃を受けていたほうが 刺さらなかったかもしれない。]
(176) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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[しかし、そこから聞く話を年寄りぶって 聞き流すことはしなかった。 正確にいえば、出来なかったと呼ぶが正しいが]
何を、言っておる…。 つい――
[なにゆえ、冥府の扉が開かねば会えないのか。>>162 つい…いつの事だっただろう。 娘と旦那以外に人の姿を見せられないと 高笑いした化け提灯と語らったのは。 性質の悪い冗談だとは思いたかった。 けれど、冗談めかしい事を口にする時ばかり にっかり笑顔が陰へと潜めるものだから。 日々のまま、刻を止めてしまった家の事>>163 化け提灯の母親もじゃこ…なんとかな父親も 『神隠し』となった話に真実味が増す。]
(177) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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[一方伽耶の内心では──
無理無理無理、マジやばい! こっちは蛇憑きのただの娘で雷とかあたったら、 身体が持たないんだってば!
こいつには寺に行く時に息切れしてるの見られてるし、 長期戦は嫌なんだけど。
ともかく、雷にだけは当たれない!!*]
(178) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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[神隠し? 隠されるのは人だけで、妖は隠されぬというに。
何処かへ出かけた>>164? まだ常識も頼りない童女に一言も告げずに。
桜に糧を与え、そして。 冥府の扉を開けて再会を望む――
その幼さに、皺が皺を深めた。]
(179) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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愚か者め。
なにゆえそれを、 ……事を起こす前に、 儂に打ち明けんかった……。
[たとえ、世間挨拶の一端であったとしても。 母親に託されたというに。>>1:148]
(180) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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暖琴よ。
[こうして名前で呼ぶことも珍しい。 めりけんめりけんと呼び立てていただけに]
儂ら天狗に両親や兄弟の概念はない。 尸解…一度人として死に天狗道に堕ちる。 儂に人としての生来の記憶は薄い。
しかし、理は解る。 親は子より先に逝くものよ。
(181) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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おんしが桜を育てることを喜んでも この騒動、親を殺された子もいれば 子を殺された親もおる。
一番大切なものを奪われたのじゃ 苦しかろう、辛かろうよ。
けれど辛くとも、苦しくとも、のう。 それでも、明日を見据えて歩くであろうよ。 明日がある限り歩き続けるであろう。
それを、人に出来て妖にできぬとは言わせぬぞ。
(182) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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―――儂らはおんしの親ではないし 儂は親とは名乗れぬ爺じゃが
孫のように可愛がっておったつもりよ。
[過去を――過去の一家揃う幸せを現実にしたい。 童女の願い、望みはよく解った。]
(183) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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化け提灯が暮らしていたこの町 おんしを生んだ町ぞ。 崩壊の末路を果たして望むものかよ。
じゃこら… ちりめんじゃこだかなんだかは知らんが 夫婦の架橋になった町ぞ。
その町でおんしが妖や町人たちと 仲よう 正しく生きること それを望むものよ。
――親ならば、な。
(184) 2018/11/13(Tue) 23時頃
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