158 Anotherday for "wolves"
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[大切なものを守るため、死に急ぐ姿に 私は扉の向こうで肩を震わせていました。
私はちゃあんと伝えたのに。
『ルパートもメアリーも、そんなこと望んではいない』って。
その時のことを思い出します。 手を繋いで、言葉を繋いで。 死体を運んだ、その帰り道。]
(50) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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( 全部終わって、『ぼく』が生きていたら。 )
[ 分厚い黒のいろを、 靡かない風の衣を、
背に向けて、空に落ち切る前に。 もういちど、宿のほうへ、
――― 全てを断ち切るよな、 『投票』をしに。 ]
(51) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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───さよなら、グレッグくん。
[戻ることなんて出来ません。 今日はもう、昨日とは違う、明日。 また明日がやってくるのです。
『今日とは違う、明日』が。
扉越しに呟いた声は、中の喧騒に紛れ。 誰の耳にさえ届くことはありませんでした*]
(52) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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―― 未明 ――
[ 闇 ] [ それは次第に 形となり ]
[ 黒い塊と為して、浮かび上がる ]
[ 次に見えたものは ]
[ 人の形 ]
[ 瞬く閃光の中 ]
[ 人と黒の塊は重なり、塊が牙を向く ]
[ 次の瞬間、人はコトリと事切れた ]
[ 闇に残るのは塊のみ ]
[ くるり と その塊が 此方を向いた ]
(53) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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―― 朝 ――
――…っ!!
[目が覚めると同時に、シーツを剥いで飛び起きる。
上がった息を抑えるように胸を抑え、何度も呼吸を繰り返す。 眠っていたとは思えぬほど、身体は疲れを訴え。 額に、背に、伝う汗が気持ち悪く、不快さを訴える。
寝乱れた髪を緩く、手櫛で掻き上げて。 次第に落ち着き始める呼吸を整える。
今まで視た夢の様子とは違っていた。
塊はきっと、獣の形をしていた何か。 闇の中に浮かぶシルエットの中で ぎらりと光った瞳は 赤い色。
あの瞳の色は―― ]
(54) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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――ラディ…?
.
(55) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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─投票、そして処刑─
[投票の時が訪れたなら、私は『星』の名前を書きました。 自然さを装うのなら、幼馴染の名前を書くべきだったでしょうか。 それでも別の名を書く方が『ラディスラヴァ(わたし)』らしいと思います。
『人』の死を悼み、泣き崩れ。 声も出せぬのに嗚咽を懸命に溢し。 まるで自身を責めるように、首を絞めるような。
それが “わたし” 。
幼馴染に処刑の時が近付くのなら 偽りの涙を溢しましょう。 『やめて』『いや』『グレッグくん』と 音無く叫ぶ口許は、みんなの悲しみを引き立てられたでしょうか。 背中へと突き刺さる爪に、痛いほどに唇を噛んで見せて。]
(56) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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[ゆっくりとベッドから降りて、 窓辺に置かれたサイドテーブルへと向かう。 連日置かれたままの洗面器を、おそるおそると覗き込む。
洗面器に撒いた白い花びらは、紅く染まり 水の上を泳ぐ。
数枚の紙が浮かぶ中で 一枚の紙が、水に沈んでいた。*]
(57) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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─翌日、宿屋─
[その夜、家には帰りませんでした。 泣き喚いて見せた疲労でしょう。 遺体となった獣の姿の幼馴染の横に。 添うようにして、眠って。
はっと、目を覚ますのはか細い悲鳴に。>>41
血に濡れたラズベリー(死肉)色のスカートを翻し。 彼女の元へと、駆け寄りました。]
(58) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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「メアリー、さん…。」
[音を出すことなく、私の唇は紡ぎます。 叶うのならば手を伸ばしましょう。 許されるなら体に触れましょう。 抱きしめることは出来たでしょうか。 そっと、そっと、弱い力で。]
(59) 2015/05/20(Wed) 00時頃
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―― →村へ ――
[身支度もそぞろに村へと駆ける。 誰かに早くこのことを伝えなければと 焦る気持ちが、縺れる足を動かす。
まずはベネットへ、そしてドナルドにも。 自警団にも伝えなければならない。
道中、見知った姿を見つけたなら、 その人へも伝えて。
今夜の投票までに、 このことを皆へ、早く――!]
(60) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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なんだ、気にしてたのかい。
[髪の話題>>+27には、くっと噴きだすように小さく笑い。 わざとらしく、ちらと視線を上へとあげた。 琥珀がじろりと睨み来れば、 笑み含んだ赤い鳶の瞳を涼しい顔で逸らして。
そうして闇に光る白い月、 やたらと生前のまま映る景色を眺めながら口を閉ざした。 素直に綺麗だなと思う。 今更、あの空に手を伸ばし救いを求める気もありはしないが]
(+37) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[沈黙。互いに互いの思いで暗い空を眺めていた。 心はこれまでになく凪いでいる。 一度、彼の肩に置いていた手に手を触れられて、 その時ちらりと彼の横顔へと目を向けた。
生前と、昔と代わらず真摯に映るその横顔に目を細める。 八年前のキャサリンのこと、自分のこと。
結局まだ気にしているのだろうと、 死ぬまで──…死んでいるが、 消えるまで気にしているのじゃないかとすら思う。 …薄くなりつつあった、髪と同じに]
(+38) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[沈黙を破る声>>+29があった。 問いならぬ問いに、再びちらと目を向ける。 視線が交わることはなかった。 だから男も、また空を仰ぎながら言葉を落とす]
…───、さあ 、なあ…。
[返す声色は少し茫洋として、 あの空の星への距離を問われたかのように、 少し、想像を広げるかの間を置いた]
(+39) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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………けど、
…… けど、……
[躊躇うように、少し沈黙は落ち]
(+40) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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…なあ。 我らには…この村の人狼族には。 少しでも、ほんの少しでも、 あの子らの声を聞く余地はなかっただろうか。 同胞の声を聞く余地はなかったろうか。 同族を罰する殺すという前に。
…───少しでも声を聞いて貰えたなら、
[或いは、と。 顔は空へ向けたまま、自らに重ね合わせるように呟いた。 自分とて、妻が助けられるなら同じことをした。 同じことをして、逃げ場を失えばさて…どうしたことか]
…。 私は、彼らを助けたかったよ。
(+41) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[あの子らと呼び、彼らと呼ぶ。 犯人とも裏切り者とも呼ばれる者らと、 心通じていたこと隠す気は元よりなく。
少し、間が途切れる。 躊躇うように傍らを見、ゆるく口を開いた]
…… ”犯人”と呼ばれる者が、 私だけで済めば良かったのだが。
[そう願っていたと低く零して]
(+42) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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だから僕は、とうに心で裏切っていたんだよ。 族長の意に抗ったのは、確かにこの私だ。 同族を殺したいと思ったことはなかったが、…
[見殺しにしたことはあるとまでは言わず、口を閉ざした。 己が手を汚したと、思われるならそれで良いのだ。 村医者は何も間違えたことはしていない。 問われずあるならば、だからそれ以上を語ることもまたなく]
(+43) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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ああ。行くよ。 何も出来なくとも──…
[傍にいてもいいですよね、と。 やさしい少女の声>>4:+49が、ふと脳裏を過ぎる。 その面影にゆっくりと瞬いて、そして小さく首を振る。 そうじゃない。自分はそれ程綺麗なものではなくて]
… あの子らの、傍に居たいんだ。
[己の我侭な狂気の末路、その末を。 見届けることを選び、男もまた森から足を*踏み出した*]
(+44) 2015/05/20(Wed) 00時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2015/05/20(Wed) 00時半頃
宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/20(Wed) 00時半頃
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[視点は定まらないまま 空を彷徨って。
すると視界がぼんやり暗くなった。 何かが目の前に横切って…――
いや、目の前にいる。
そう思った時には 抱きしめるというには余りに弱く タンポポの綿毛に触るような力で 何かが、触れた。>>59]
(61) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[何が…――。]
[それが人だとわかると、 無意識に顔を探そうと、少し首をもたげて。]
(62) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[どこかから、嫌な風が吹いたように思います。 ぞくりとする寒気。 まるで何かに『視』られているような。
それでも私は少女の影に隠れて、 どこか恍惚めいた表情を見せていたでしょう。]
(63) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[ゾ、クリ…――]
(64) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[下から見るその人の眼が 燃える夕焼けのように紅に染まっていて。 その中にキラキラと眩い星が、7つ、瞬いて。
もう一つ、小さく瞬きだした星は 死を前にしたものにだけ 見えるのでしょうか…。]
[そんなことが頭によぎってから 少女はそれが誰かわかって]
…ラディス…おね…。
[呟きながら、頭はぼんやりと
わたしはまだ、怯えられるんだ…――。
なんて驚いた。]
(65) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[だから、聞いてみた。]
わたしを…、殺しにきたの…?
[少女が何を思っていたのか 少女自身もそれはもう*わからない*]
(66) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[赤い、紅い、あかい瞳。 その中に浮かぶ星。 瞬きを少女に向けながら、怯える彼女の背中を、頭を、頬を。 なでつけて、いきました。]
「大丈夫…。」
[それは彼女が慕う『兄』の口癖を真似て。 怯える彼女を諭すように。
そうっと撫でていきました。]
(67) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[男には昔、許嫁が居た。 家同士の繋がりで生まれた時から決まってた話。 別の村に住まう彼女と会えるのは年に数度。 恋だとか愛だとか考える前に、 彼女が伴侶になることを当たり前のことなのだと思っていた。 仲は良かったように思う。 親にも仲良くするよう言われていたし、 大事にするよう言われていた。 守ってあげなさい、とも、言われていたから、 そうする心算でずっといたのに――。
彼女の村で流行り病があった、と、 男の耳に伝うは遅すぎて、
彼女は死の淵にいて、 薬屋のおじさんに薬を貰い 話を聞いて間もなく出立するも 彼女の村に着く頃には既に埋葬された後だった。]
(68) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[守るべきものを守れずに。 唐突な別れに。 守る心算でいた男は守る力などないのだと知る。
守れぬのだから 最初からそのような存在を作るべきではないと 彼女の死以降、女性との触れ合いを極力避けるようになった。
一族の血を守るために。 家を継ぐものとしての役割を果たすために。 ずっと両親から、妻を娶る事を望まれているのを知りながら 彼女の事が忘れられないのだと伝え、 誰も好きにはなれないのだと嘘をついて。 大事なものを作らぬようにしていたはず、なのに――。
平静を装う心は、いともたやすく乱されてしまう。*]
(69) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[そして、私は答えるのです。]
……あぁら、よくわかったわね?
[それは明確な音をもって、少女に微笑みかけました。 キラキラと、死を告げる星を瞳に宿して。]
(70) 2015/05/20(Wed) 01時半頃
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―― 朝/本屋 ――
[配達に来る者はもう居ない。 うしなわれた存在を思い目を伏せる。 彼がさいごに届けてくれた本の背を軽く撫でて 深く、深く、息を吐き出す。]
――… グレッグ。
[ぽつ、と名を紡ぐ。]
メアリーも昨日頼みごとをしに来たんだ。 なんて言ったか、知ってる?
[届かぬと分かりながら綴る、 語りかける相手なきままの言葉。]
(71) 2015/05/20(Wed) 01時半頃
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