159 戦国 BATTLE ROYAL
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……っの糞熊……。 左腕くらいならくれてやる算段だったが……肋までもってきやがったな……、ッ……!
[息をするだけで、左胸がズキズキ痛む。 左の腕は、複数箇所で折れ、くわえて肩が完全に外れてしまっていては、持ち上げることすら出来そうにない。 指先をぴくりと動かすのが精一杯。]
異教徒の徴なんざぶら下げやがって……
[土竜が胸元を切り裂いた一瞬、森の胸元に、ちらりと十字の飾り>>46が見えたのを思い出し、ベッと、口に溜まった血を地面に吐いた。]
(73) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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[赤嵐の僧兵に躱された槍は、地を穿つ。 深々と刺さった穂先から伝った衝撃は地を震わせ、 盛り上がり罅割れる土は波打つようであった。
畝る地面に足を下ろすと、 得物を抜き再び槍術の構えを取り、はっ、と息を吐く。]
舞うなら付き合ってやらんでもねえが ……確かに、坊主に雅は似合わんか。
[見たところ、僧兵は肉体を最たる武器としている様子。 躍動する筋肉の流れに無駄は無く、 よく跳ぶものだと空を仰いだ。]
どいつもこいつも…… 空は、鷹の領分と知れ――ッ!
[鷹船悠仁の名を嘲笑うつもりかと 悠々と空を舞い上がった赤嵐寺の姿に声を上げ。]
(74) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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[寄越せ、と傍の騎兵が持つ槍一本奪い取っての二槍装備。 ニ槍の茎を十字に合わせて頭上に構え、 落とされる蹴りを受け止めるつもりで。
叶うなら、そのまま跳ね返し再び空を舞わせてやろう。 もちろん悠仁の跳躍はその後を追う。]
飛鷹千撃 !!
[空中、大気を裂き風を貫く瞬速の連撃。 千手観音から考案した二槍でこそ成せる技、 坊主を狙うには最適だろうと唇曲げた。*]
(75) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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三元道士 露蝶は、メモを貼った。
2015/05/20(Wed) 22時頃
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[転がる岩のような勢いで巨躯を弾ませれば、確かに人の身体にブチかました手応えを掴んだ。 地面に血の痕を残しながら、転がる勢いがようやく止まったところで顔を上げる。]
何処へ行った──
[あれほどの強敵。これしきで仕留め終えるとは思わない。 竜使いを蛇を見誤ったは番瓦衛門の不覚であった。 ゼェハァと肩を上下させ、土下の姿を探して巡らせた視線が、鷹船の馬印を捉える。]
(76) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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ぬ、 その用兵、 危うく背後をつかれるところだったか。
[即席で組み上げた櫓から跳躍した修羅坊主が果敢に攻めかかるのが見える。]
うぬぅ…
[複雑な唸り声が洩れた。]
(77) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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[風もないのに静かに船は進んでいる。 気まぐれに立つ細波の揺れなど馬の背に比べれば歩くのは容易い。
かけた声に変えるは否であった。>>+8 よくよく見れば、髪を背に流し暗い色の装束を纏った女の姿は船頭にはあまりに似つかわしくない。 血の気の薄い肌の上に口元の紅が鮮やかに目を引いた。]
あら失敬。
[死出の道にて他者との出会いがあるとは思わなかった。 が、考えてみればあの戦。彼岸へ向かう船はさぞ盛況となっていよう。 ならばこれは、かえって少ないのかもしれない。]
(+9) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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そうそう、そうこなくッちゃァナア……
[その実力を見せ始めた水上の鷹(>>74)に碧如は笑みをこぼす。 しかし、次の瞬間に周囲から槍を奪い、二槍で連撃を繰り出す様子(>>75)には]
(78) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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ええ、そのとおりだけど。 どこかでお会いしたことあったかしら…?
[紅色の唇から落ちた名に、目を瞬かせる。 生を振り返っても覚えはなく、ふと女性の纏う装束に目を惹かれた。 これと似たものを、関ノ原へと向かう道中で目にした記憶がある。]
あなたもあの戦にいたの。
[忍には女性もいたのかと死してから新たな事を知り。 敵か味方か。同じ戦場に身を置いていた者と、ここで顔を合わせる奇妙な縁を感じた。]
(+10) 2015/05/20(Wed) 22時頃
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[柳の葉と扇がふたりをはさむ間で、かげとら、と老女もまた名前を転がす]
鬼子ん景虎…。
惜しいのう…ほんに惜しいのう…。
[いい筋をしてる。将来の成長が楽しみな天賦の才を持っている。 されどこの鬼子は西軍の当主であるのだ。 幼子と侮りがたし、この危険な才を見過ごせば、東軍の危機は重なる。 この才は、確実に摘み取るべきだと八重の勘が囁いたのだ。 桜と柳の舞いを打ち破り、終幕に導かなければならないのだ]
(79) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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[ぐい、と扇に食い込まされた刃が、獲物をへし折らんと傾けるも>>69]
…通りまへんえぇっ!
[両者の獲物は、どちらも悲鳴を起こす事はなかった。 違う、景虎が傾けた、柳の動きとまるで写し鏡の様に、指先の傾き、手指の捻りを揃える事で、刃の食い込みこそ解けないが、獲物への負荷を受け流したのだ。 このままでは、ただ刃を捕らえるだけで攻撃は出来ないだろう。然しそれでいいのだ]
(80) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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…ホウイチさま…八重はもうすぐ…おそばに…
(81) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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てっぽぉぉおおおおお!!!
[山芭の大老女が、喉を振り絞る様な大声で山芭の者達を叱咤した]
撃ち さらせぇえぇぇええええ!!!
(82) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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クソ、千手観音を模すとかこン罰当たりの阿呆がっ!!!
[空中戦は苦手では無いとはいえ、やはり槍持ちと素手とでは射程(リーチ)が違う。 ここは一端、形勢を整えるが吉。体を翻し、くるりとその足を大地へと着ける。]
(83) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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[そのとんでもない号令に、山芭軍の大鉄砲隊は動揺するだろう。 此処で鉄砲を放てば、大将である八重の危険も決して免れないのだから当然だ]
舞いを恋して七十余年! 良き人愛して五十余年!
よう覚えときぃ、隅慈ん玉姫!! 良き人ばため、無謀も死ぬ気もほんきで尽くしませい!
これが山芭八重 戦国おんなん底意地どすえぇええ!!
[然しやがて、山芭軍の鉄砲が、桜と柳の園を狙い、二人の肌を衣を掠めんと狙うだろう。 動揺して躊躇する山芭鉄砲隊の弾に直撃する事は無いが、その場はまさに、扇と刃を介する、最期の死闘の場なのだ。 銃弾か扇の冴えが、鬼子の柳を打ち払うが先か、既に幾許ない老桜の最期のひとひらが散りゆくが先か]
(84) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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山芭八重桜最期ば舞いよ! 八霞 霜かがみ !
[銃弾のあれるいくさばの、荒々しいひのき舞台での最期の舞い。 途端に、桜片と柳が舞い遊ぶ、春の園が、鉄砲の弾にぱりんぱりんと撃ち砕かれゆく、朧な氷の鏡が幾つも浮かぶ冬の園へと戻りだした様に辺りに映り出した。 相手と呼吸を合わせて扇をひらめかせる、まるで冬場の霜にうっすらと映る鏡の様な幽玄さ、美しさ。 嘗て年青い忍もまた、この冬の霜に返り撃たれた、八重桜のもうひとつの得意舞踊だった。
それはやがて霜が融けゆく先には、ひぃらりと揺らめく桜のまぼろし。 その薄らやかで慎ましい桜の、はじめのひとひらこそが桜のうつくしさ*]
(85) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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……いえ、直接は。
[出会ったかどうかを問われ、僅か逡巡する。 監視をしていたなど、知らないほうがいいはずだ。]
ただ、主が茶飲みに良い友だと貴方のことを話しておりました。
[それで主が知れようか。心当たりが多くあるようなら、鷹船悠仁の名くらいは出すつもりだ。 死出の路、隠し事などもう意味を成すまい。]
(+11) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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ええ。 天下を討ち、そして討ち取られました。 実のある戦いであったと、思っていますよ。
[その点においては、悔いなどない。良き手合いであったと思える。 西に身を置く彼が、その言葉をどう思うかは――彼のみぞ知る。]
ここにも茶があるといいのですがね。 貴方と飲む茶の味が、気になりますから。
[総軍裏切りながらも、討ちたくないと言わしめる男。 さてどのような男かと、気になってはいた。]
(+12) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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[八重の持つ鉄の扇を砕こうと込めた力は、烈破の声と共に受け流される>>80]
…ほういち?
[静かな声音で、誰かの名を口にした八重にこてりと首をかたむける。
誰?ダレ? ねぇ、雪がここにいるのに。雪はここにいるのに。
頼りなく揺れた灼眼。 歳相応よりも幼く、まるで迷子の子供の様に頼りのない表情を見せたのは一瞬。]
「てっぽぉぉおおおおお!!!撃ち さらせぇえぇぇええええ!!!」
[>>82八重の丹田から気力もろとも絞り出したかのような八重の声を正面から受けて、ビリビリと肌が震え白髪が風に煽られたように後ろへなびく。]
(86) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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―――ッ!!
[自軍の横腹を抉った、重く地を揺るがす銃弾の音が十重二十重と重なり響く。 咄嗟に鉄扇へ食い込ませた刃を引き抜いて後ろへ飛べば、先ほどまで自分が立っていた場所に砲弾を思わせる鉄の弾が地面を抉って深々と埋まった。
隅慈の弾雨より質量も球数も圧倒的に多い鉄の雨。 戦の最中。絶えず笑っていた景虎の顔が苦渋に歪む。 ひとつやふたつであれば、狙いを定めれば弾を切ることもできるだろう。 しかしこうも闇雲に降られては、ひとつを斬る間に八重の鉄扇に捉えらえてしまいそうだ。
くるり、ゆらり、ひらり、はらり。
鉄の弾降り注ぐ関ノ原を、円を描くように舞いながら。 まるで初めから示し合わせていたかのように。 剣と扇で完成された一つの舞いを舞うように、剣戟を響かせながらも歩みは止めず。]
(87) 2015/05/20(Wed) 22時半頃
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………あはっ。
[打ち合う刹那。間近で目が合えば、景虎の顔を彩るのはやはり歓喜の笑み。 死と隣り合わせであるはずなのに、死神の鎌が薄皮一枚を裂いて優しく撫でる感触すらも楽しむさまはまるで狂気だ。]
[八重の扇を受け流すのに夢中で、捌ききれなかった鉄の弾がひとつ、ふたつ、戦場で舞うには小さな景虎の身体を撃つ。
したたかに右肩を撃たれてよろめいて。]
(88) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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――おいで。桜の古木を、藤の花で飾ってあげる。
[微かに血を吐いた唇が、優しく弧を描いた。*]
(89) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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くっそ…… 槌熊の野郎、どこまで転がっていきやがった。
[>>76追撃をくらわせてやろうにも、森の姿は土埃の中に消えていた。 いや、この体では、追撃どころではないかもしれないが。]
ッ うるせぇ騒ぐなかすり傷だ!
[そんなことよりと、慌てて臣下たちが駆け寄ってきたが、鬱陶しいと、刀を握ったままの右手で軽く払い除け、ふらふらとした足取りで、馬まで戻る。]
おい水。 それと丸薬出せ。
[もう一度、赤ばかりの唾液を吐き出し、水と鎮痛薬を出せと臣下を急かした。]
(90) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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[惜しみなく攻め込んでも、僧の余裕は崩せぬ様子。
それどころか叱られてしまう始末。 奔放で読めない男だと胸の内ぼやき、 この不確定要素も戦場に留まれば脅威になるだろうと 猛攻の手に一層の力を込めた。]
格好良いだろう? 拝んでくれても構わねえよ!
[にんまり笑みに歪む口は、余裕ぶった軽口を吐く。]
(91) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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[先に地に降りた赤嵐寺を追って 更に下方を攻めようかと宙に留まった、一瞬。 程遠い野に建つ、森の櫓(>>77)が見えた。
――さすがの土下も、森は討てなかったか。
そこに建つ森番瓦衛門の姿を見て笑う。 今は恐るべき敵軍の将、 しかし彼が容易に落ちぬ武人であるという確信は 悠仁に奇妙な安堵を齎した。]
(92) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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――……受ける一方で、構わねえのかい? その名に恥じぬ、赤き嵐を見せてみよ!
[眼差しは、再び赤嵐寺の姿のみを捉え。 爪を剥き狩りに燃える鷹の如く、 落下の加速に乗って赤嵐寺に襲い掛かる。
二槍の穂先は揃って、僧を睨めつつ迫る。*]
(93) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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[奇矯な口調より、良し悪しはともかく人の記憶には残りやすい名ではあるだろう。 何処で擦れ違ったかと思ったが、どうやら縁は人伝てであったようだ。>>+11]
悠仁殿のところにいたのねぇ。 仕えるに、気持ちの良い御仁だったのではなくて?
[伸睦を茶飲みの友として挙げる心当たりはそう多くない。 その内で、最も記憶の浅瀬にいた名を挙げ同意を得られれば口端に笑みを刻んだ。]
(+13) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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まァそんな急かすなッて。慌てる海賊は貰いが少ねェ……なんてな?
[着地した碧如は首をゴキ、ゴキと鳴らしながら鷹船を見据える。]
だが、
(94) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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[ぐ、と膝に気合いを込めて立ち上がる。
土下とはぐれたが、機会があればまた会えよう。 互いの傷と魂が呼び合うならば。
番瓦衛門は対峙する鷹船と碧如の方へと、のしのし歩き出す。 胸は晒し布で簡単に縛り、止血だけしておいた。]
(95) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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お望みなら、極楽へ送ってやンよ!!
[碧如は数珠を握りしめれば念仏を唱え始める。]
(96) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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[こてりと傾けたおさな子の瞳を見たのも微かな間。
地面にはじける鉄の弾は、八重桜の舞いを持ってしても往なし切れず ぴりぴりと、藤色をした老女の桜振袖は、その生地を大きく痛めていく。
鉄の雨がふりそそぐ中でも尚、剣と扇の舞いは、ふたりひとくみさながらに描く孤を絶やす事はなく…]
(97) 2015/05/20(Wed) 23時頃
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