268 オリュース・ロマンスは顔が良い
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─ オリュース・街角 ─
[白い壁、石の路。煉瓦の屋根にも燦と陽の注ぐ、 ああ、どこぞの誰かのスクリーンセーバーを覗き込んだような甘やかな街。
坂の多いその市街の、一番底。すなわち港を背景に、メインストリートの2つ隣を登っていく]
(44) 2019/07/25(Thu) 23時半頃
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[時計屋と銘打っているものの、店内に置かれた品物らしい時計は数点程。 客から時計購入の注文があれば、都会にあるメーカーから取り寄せ販売も承っているが。主な請負業務は時計修理とメンテナンスである。
街の住人からの依頼は勿論のこと。ネットと宅急便で、遠方からの修理依頼も受けることができる時代である。 一人でもやっていける程度の仕事があるのは、有難い限りだ。]
さて、食堂のランチは……もう終わりの時間かな。 適当にテイクアウトでもしてくるか。
[右手と同じ白い手袋を、左手にもはめ直し。 作業中のエプロンを外したなら、いつもの外出着である黒い帽子と上着を手に取った。*]
(45) 2019/07/25(Thu) 23時半頃
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ち──暑い
[なぜ船から直ぐタクシー、という妥当な選択をしなかったか。 あるいは、路面電車?いや、あれは彼にとっては眺めるモノで、乗るものではない。
色の薄いサングラスを外す。純チタンのフレームをつまんで、]
……
[眼鏡ケースは荷物の中だ、と思い出した。 滞在中の生活に必要なものは既に全てホテルに運び込まれているだろう。 雇いのバトラーは優秀だった。少なくともこの数年、夏の流星群のたびにオリュース市を訪れているが、『スイート・スチュワード』>>24に不快な思いをさせられたことは一度もなかった]
(46) 2019/07/25(Thu) 23時半頃
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[立ち上がったついでにカレンダーを見やれば、ああ、と小さく声を漏らした。 右下隅に、小さな印。 今日は、月終わりの金曜日>>37じゃあないか。 明日のマーケットのことばかり頭にあって忘れていた。
とうに子どもと言える歳は過ぎた身。 第四金曜日に何を得られるわけではないのだが、街の人形劇団が何をしているかくらいは、人形を作る側の人間として知っている。]
ま、見にはいけないんだけどね。
[言いながら、何とはなしに工房を出て行く。 休憩中だもの、散歩よ、散歩。 どこかで腹ごしらえがしたいものだけど、さてどうしようか。]
(47) 2019/07/26(Fri) 00時頃
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[なお、入り口の鍵はしっかり閉めたものの、窓を閉めるのはすっかり忘れている。 はためくカーテンを通行人に見られでもしたら、不用心を叱られても、致し方ない。]
(48) 2019/07/26(Fri) 00時頃
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[命題、なぜ、わざわざ到着早々、昼間だというのに徒歩移動を決断したのか]
[──浮かれているからだな。はい解決。
それでも、人通りの多い道に出るのは少し嫌悪するかのように。石畳を踏む靴先は、 建物の日陰と、白く照り返す昼との境目で速度を落とした]
絵か。
[緩く動いた視線は、数人の女達と道端の似顔絵描き>>40のその後ろ、 並べられた『夜』を眺めた。 わずかに進む軌道を修正して、商品らしきキャンバスの一つに歩み寄る。
体を前に傾ければ、シャツの胸ポケットでサングラスが揺らいだ]
(49) 2019/07/26(Fri) 00時頃
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[『スイート&スチュワード』の従業員は能力と経験に応じてランク分けされている。 創業時から務め、定年間近のベテランともなればランクも価格設定も一番上。 おまけに年齢を重ねればそれだけ、重労働から遠ざかり、誰でも担えそうな仕事は、前途ある後輩へ優先的に回された。
故に猫の手でも借りたい時期だというのに、やや乾いて皺の寄った掌は少々、暇を持て余し気味。
別段不満はない。代わりに、長年懇意にしている顧客など、マティアス・ハワードしか請け負えない仕事も多く、生活にも十分なゆとりがある。
ただ──少し、物足りなさを感じるだけ。]
(50) 2019/07/26(Fri) 00時頃
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銀行屋 ザーゴは、メモを貼った。
2019/07/26(Fri) 00時頃
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[白の開襟シャツ、麻綿のジャケットに紺のスラックス姿は、夏の制服のようなもの。 姿見の前で身だしなみを確認し終えると、眼鏡を胸ポケットに収め、パナマ帽を浅く被って、明日からの催しに浮かれる街へと足を向け。
数年前、初めてペルセウスマーケットに訪れたと言っていた彼は元気にしているだろうか。>>46 旅行鞄と転がし、はしゃぐ観光客とすれ違い様、そんなことをふと、思い出した。
一度担当した客の顔は忘れやしないが、流石に全顧客を把握しているわけじゃない。街を往く誰もがそうなりえる以上、何処であっても油断はできない。 背筋を伸ばし、常に穏和な笑みを浮かべ、見知った住人には状況を見て気さくに声もかける。]
(51) 2019/07/26(Fri) 00時半頃
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[海から競り上がってくる風が襟足を弄んでいく。
潮の匂いをかぎ分けると縦に並んだ電車用の信号機に視線を持ち上げ、スラックスの隠しから懐中時計を取り出した。 裏にオリュース市電のロゴが刻印されている鉄道時計だ。
朝一番の点呼で時刻合わせるその精度は毎日一秒の狂いもない。―――― もしも、狂いが生じたり故障すれば市電が認可した店でしか修理出来ないのが玉に瑕ではあるが。 幸い、自身の自宅の近所の時計屋は市電に認められている。>>43 店主の腕の良さは毎日時計を使う己も認めるところで、車掌になってからの定期点検は殆ど彼の店の世話になっていた。]
(52) 2019/07/26(Fri) 00時半頃
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[子ども中心の無料公演は、大体いつも昼には終わる。 夜にはいつもの有料公演……が、いつもならあるのだけれど、今週はおやすみ。 まぁ、お休みといってもそれは、劇場での公演のことで。 ペルセウスマーケットの最中は、そちらに出張公演なんかするわけで。 尤も、何かの演目というよりは、人形たちと一緒に星を眺めよう……みたいな、台本のない、観客に語りかけるような舞台なわけで。 だから勿論、タダ。 劇団ゼロイチの宣伝の場でもあるからね。]
さて、と。 昼飯済ませたら、移動の準備しなくっちゃなー。
[小さいけど、舞台の設置もしなくちゃならない。 この時期は、結構忙しいのだ。]
(53) 2019/07/26(Fri) 00時半頃
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[白手袋に隠れる掌の上に乗せ、肩と水平に腕を持ち上げて指差し確認。
懐中時計の秒針を数えて子供らに声をかける。 聞き分けが良いのは己の言葉を聞いたというよりも、重なった運転士の一声が利いたのだろう。格付けするなら運転士の方がより彼らのヒーロー像に近い。 努めて会得した顔が利かないのは悔しくもあるが、子供たちの素直な感性には同意出来る。年輪を描くように積み重ねたものこそ真に魅力的に映るものだ。]
出発進行 ―――――、
[信号機のグリーンランプが灯る。 車両に乗り込む際、鉄道時計をしまいながらホームを振り返った。少しばかり視線が周囲を巡ってしまうのは癖のようなもの。
ガタン、と走り出す路面電車がまた坂の街を行く。**]
(54) 2019/07/26(Fri) 00時半頃
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[尤も、始めから完璧に振舞えたわけじゃない。 若い頃には失敗も山ほどしたし、礼儀作法も身の程も知らず、たいそう生意気だった。 今のように教育係もいない時代であるから、すべてを独学で、時に客から教わることも多々。
そうした経験を経て今の自分があると思えば、仕事のひとつやふたつ、みっつやよっつ譲ったとて全然、まったく、一言も文句はない。 お陰でこうして、平日の昼間にのんびりと街を散策するだけの体力も時間も持てるのだし。
物思いに耽りながらも、赤信号を前に自然と足は止まり。車とは違う、一定の速度でレールを走る車輪の音に、視線は自然と上向いた。
──そう。 いつかのような失態を犯すくらいなら。>>42 疲れなぞ、足りないくらいが丁度いい。]
(55) 2019/07/26(Fri) 00時半頃
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[さて、時間忘れがちな職人仕事、この時間どこならランチにありつけるかなんてのは気にせず外に出てきてしまった。 まあ、行きつけのタヴェルナのママならきっと、ランチタイムが終わっていようが何かしら恵んでくれるに違いない。
なんて考えながら歩いていれば、視界の端に翻る、夏空には何とも目立ってみえる黒>>45。 眩しい夏には不似合い? いやいやそんな失礼なことは言わないさ。]
やあ、こんにちは時計屋さん。 どちらへ?
[まさか同じように時間を吹き飛ばした仲間とは知らず、散歩か何かだろうかと当たりをつけて声をかけた。 いや、僕も散歩なんだよ。本当さ、少し腹の虫が鳴いているだけ*]
(56) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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はい、いかがでしょうか? 青い空、白い建物の眩しさに負けないくらい 眩しいあなたの笑顔を描けて僕も嬉しいです。
[客の彼女たちは心からこの場所に来れた事を 喜んでくれている。 明日から始まるペルセウス・マーケットも含めて、 期待に満ちている。 それを前面に押し出した笑顔を描き込んだ絵は 写真よりも強く記憶に残ってくれればいい]
(57) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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[観光地ならではの昂揚感も手伝って、彼女たちも いつも以上に良い笑顔をしていたからか、 反応は悪くなく、小さいが、一枚余分に購入して くれる位は喜んでもらえたようだ]
あなたの想い届くといいですね。 どうぞ楽しんで。
[観光客へ手を振れば次の客だろうか>>49 途中で手を止めるわけにはいかなかったから 『どうぞご自由に見て言ってください』と 声を掛けたが、まだ見ていてくれるなら 向き直って丁寧に接客を行おう]
(58) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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― 海上 ―
ああ、そうだよ ペルセウス・マーケット
……なんだよ、初耳みたいな顔しやがって この船の客の何割がそれ目当てだと思う?
[この時期、オリュース市に寄港する船は多い。 人だけ乗せる船は、それ自体がでっかい観覧席にもなる。 荷物と人と、両方乗せる奴は大体が行ったり来たりだ。 俺が今乗ってるのもそのひとつ。 今週末はふらっとするらしいが、その次は確か、一番星が降る夜だったかな]
あ? 違う違う、そんなんじゃないって。 いいだろ別に。 稼いだら陸で使うのが俺たちだ たまには揺れない地面で寝かしてくれよ
(59) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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どうも
[作業に忙しかろう主>>58には声だけを投げて、絵を眺めていた。 宵闇を走る無数の光の軌跡。 キャンバスの上にある黒は、けれど真黒ではなく、仄かに温度があり、街の匂いがする空の夜。
一枚の絵を端から端まで眺めて、隣の絵に視線を移す。 そこにも、放射する流星痕が煌めいていた。 ペルセウスの、だろう。この街が舞台であるならば]
(60) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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ふん
[吐いた息に少し音が混じった。 芸術活動のどれか一種に対する特別な好意はない。必要ならば”アート”の投資価値を計算することはあるにせよ。 だが視覚に訴えるものを偏愛する自覚はあった。だから絵でなくても、写真でも。映像でも良い。今は世界の様々な景色がリアルタイムに配信されている時代。
サングラスが動かないよう片手で胸ポケットを押さえ、腰を屈める。 筆の跡を見分けるほどに顔を近づけて、離れ、拡げられた売り物の絵を眺め渡し。 若い画家の手元のスケッチブック上を掠めた視線はすぐに離れた]
(61) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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何か気になるものがありましたか?
ご希望がありましたら、似顔絵だけでなく 風景画のリクエストも承っておりますよ。
ただ、似顔絵とは違ってお時間を頂きますので 皆さまの滞在日数次第となりますが。
[彼の眼に留まったのは夜を走る光たち。 普段見ない顔だから彼もこの時期に合わせた 観光客だろうかと、風景画も含めて提案する。 と言っても彼が滞在する時間は判らないのだから 念の為受けられない可能性も含めなければならないが**]
(62) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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[地元民と思しき数人の人間が歩いてきて、音の総量が増える。 道の端に立ってそれらをやり過ごしながら、色の薄いサングラスをかけた。 ──その動きで、暑さを思い出してしまった。 汗が滲みそうな予感に片目を眇める。
踵を引いて日陰に入り直せば、坂を吹き抜ける風が皮膚の温度を下げるか]
……今ここにある以外の作品は、どこかに?
[向き直った画家>>59に、似顔絵は結構。と断って。 素っ気ないだろう声で尋ねた。 滞在日数はかなり見込んでいたが、このオリュースの絵葉書のような町並みをリクエストをすることはないだろうと思考しつつ**]
(63) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2019/07/26(Fri) 01時頃
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― 港 ―
[まずは命のある荷物(人のことだ。この言い方をすると船長に殴られる)を下ろし、その次に積み荷を降ろした。 メンテナンスに入る船大工たちと挨拶を交わし、あたたかくなった懐を叩く。
週末の市に向け、街の騒めきは始まっている。 それとも、いつもこうだったか? 最後に来たのは、―――少なくともあと2枚は衣服を着ていた頃だったか。
連続する季節は過ごさない。 今年も、夏が終わる前には経つだろう。 足を向けるは、宿ではなく時折人を雇って痛まないよう管理している、一応の持ち家。先祖から受け継いだ家に愛着はなく、けれど売るつもりもない。 持ち上げることの出来る錨のひとつに向けた足は、まずは迷うように街中を泳ぐ**]
(64) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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[歩幅に合わせ、自身にしか聞こえぬ音を鳴らすのは、ジャケットの内ポケットに仕舞っている懐中時計。 当時、住み込みで働いていた富豪の主人から成人祝いに貰ったものだ。 彼は『スイート&スチュワード』の創設者でもある。
再び足を止めるのは、どの駅にも必ずある時計の前。 年代ものの時計は定期的な手入れを必要としていたが、長らく世話になっていた老夫婦が営む店が閉まった後は、此処、という店を見つけられずにいる。
眉間に皺寄せじ、と双眸を眇め、手元と頭上と、じっくりピントを合わせる。秒針がやや遅れているのを確認するとポケットに仕舞った。 そろそろランチの宛を決めねば食いはぐれてしまいそうな頃合、近場にある店のいくつかを脳裏に、革靴は緩やかに石畳みを歩く。
三度目に足が止まるのは、さて。]**
(65) 2019/07/26(Fri) 01時頃
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執事 ハワードは、メモを貼った。
2019/07/26(Fri) 01時頃
山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/07/26(Fri) 01時頃
銀行屋 ザーゴは、メモを貼った。
2019/07/26(Fri) 01時半頃
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[オールバックの頭に帽子を乗せ。 夏物のジャケットを羽織り店外に出たなら、鍵をかけたドアノブに「close」の札を出しておく。 シムシム、なんて唱えられても開かないのであしからず。
店先に出してある看板は、以前街角で拡げられていたキャンパスの絵を気に入り。その絵描きに頼んで描いてもらったもの。>>5 時計屋だとわかる看板を頼みたい、などとひどく漠然とした注文をしたものだ。
その看板のおかげもあって、店の入口がわかりやすくなったと概ね好評である。 何せ近所の住人でも、最初は時計屋がどこにあるか迷った人物がいるくらいだ。>>52]
あの車掌さんの時計も、定期点検の時期が近かったな。
[時折利用する路面電車で向けられる、爽やかな笑顔。 オリュース市電から、鉄道時計の認可店として贔屓してもらっているのもあるが。定期点検も欠かさず依頼してくれる、彼のように時計を大事にする人物はこちらも贔屓したくなるもので。
時間に余裕があるようなら、店内にある接客兼休憩用のソファで世間話がてらお茶を出した日もあっただろう。]
(66) 2019/07/26(Fri) 01時半頃
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[さて、と歩き出そうとして。 掛けられた声に、足を止め振り返った。>>56]
こんにちは、ソウさん。 それがまたうっかりしてしまって、 ランチを食べ損ねてしまったんだ。
そういうソウさんは──……ふは、腹ペコ仲間か。
[聞こえた腹の虫に、小さく吹き出した。
近くに己の城を構える職人仲間であり、街の住人として先輩である彼には、越してきた当初から近所の飲食店情報など色々と世話になったものだ。 自分も大概、時間に緩いが。彼はその上をいく緩さでたまにそれに呆れつつも、年近いこともあり。 こうしてふらっと会えば、食事や酒を共にする友人だ。]
ちょうどいい、今からでも食べさせてくれる店があれば 教えてほしいんだが。 それと、今日はちゃんと入口の鍵を閉めて出てきたかい?
[まさか窓を閉め忘れてるなんて、知る由もない。>>48*]
(67) 2019/07/26(Fri) 01時半頃
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[ネクタイこそ締めてないものの。爽やかな夏空に不似合いな黒いジャケット姿は、見た目ほど暑くはなく。 それは長年着てきた慣れもあるのかもしれない。
大の男が二人、頭を突き合わせて食事の相談をするという、平和な昼下がりの路地。 会話の合間、ちょっと失礼、とソウスケに断れば携帯を取り出した。 午後に待ち合わせしていたことを思い出したのだ。>>17]
『すまない、今から食事なんだ。 時間を少し遅らせてもらっていいだろうか。』
[店に戻れるだろうおおよその時間を添えて、メールを送信する。 画面の向こうの顔を脳裏に思い描けば小さく肩を竦めるも、自分がゆるいのはいつものこと。 もし時間をすらすのが無理なら、彼のことだ。 折り返し連絡をくれるだろうと。**]
(68) 2019/07/26(Fri) 02時半頃
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-- 裏通り --
"ミ゛ャーオ゛"
[何処かから聞こえる濁声に足を止めて] [あたりを見回しながら、耳を済ませる] [オレンジの屋根の家々は白い塀に囲まれていた]
"ミ゛ャーァァオ゛"
[聞こえた] [方向を聞き定め、そちらへ素早く移動すれば]
[ガタンタタン] [塀に立てかけられた粗大ごみの上を影が走った]
[その、影] [猫だと判ずるにはかなり大型] [しかし身のこなしは猫だとしか思えない]
(69) 2019/07/26(Fri) 03時頃
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そこかっ! 毎度毎度逃げ回りやがってー!
[ガタンガタン!] [バタタタ、ガタタタ!] [追う人間も身のこなしは軽く] [粗大ごみを足場にして塀に駆け上がった]
"ミ゛ャー!!"
[塀の上で追い詰められた猫は威嚇して鳴いた後] [細い裏道を飛び越えて向こうの家の塀へ] [一度振り返ってから塀の向こうへと飛び降りた]
(70) 2019/07/26(Fri) 03時頃
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[見えなくなった猫の行方を半睨みで]
んだよ、マドンナの野郎…
[登った塀の上に座って、がっくりうなだれる]
[このままあちらの方へ行けば表通りだ] [明日からペルセウスマーケットが始まってしまう] [すでに観光客が増えた街の中では、逃走犯…] [もとい、逃走猫を探すのは至難の業だ]
今日中に捕まえなかったらやばくない?
[焦って立ち上がると、ポケットの中で電話が鳴った] [手に取った電話が示すは、マドンナの飼い主の名前]
(71) 2019/07/26(Fri) 03時頃
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