270 「 」に至る病
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人
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墓
少
霊
全
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("I am you, and you are me.")
(671) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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("......Yes, Mom.")
(672) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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―― 出会いから13年後 ――
[やさしい微睡の中で、 確かにあたしは女の人の影を見た。
小鳥のさえずりで目を覚ます。 ふぁ〜あとベッドの上で大きく伸びをして、 あたしは目覚まし時計に手を伸ばした。
パパのベッドでいっしょに眠るのをやめてから もう何年の月日が経っただろう。
あたしはもう19歳の女子大生で、 立派な大人に成長していた]
(673) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[目覚まし時計の時間を見て、 あたしは思わず目を大きく見開く]
きゃーーーーー!!!! うそ、うそうそうそ!!!
[慌ててベッドから飛び起きて、 自分の部屋から駆け出した。
どんなに寝坊したとしても 毎日の日課を欠かさないあたしは、 ママの写真立てに向かってにっこりと微笑むと]
(674) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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おはよう、ママ。
[写真の中の女性に、いつも通りに朝の挨拶をした。
それから手早く洗顔を済ませ、ドレッサーに向き合う。 化粧水と乳液をして、化粧下地を入念に塗り込む。 そばかすを気合いとファンデーションで消し去った後、 真っ赤なルージュを唇に引いた]
よし、完璧じゃん。
[鏡に映ったのは 写真立ての中のママそっくりな、あたしの姿だ]
(675) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[艶やかな亜麻色の髪。紅茶色の瞳。 淡い薔薇色に染まった頬。
おしとやかさはすこうし足りないかもしれないけど、 お化粧もママのを真似てるんだ。
……ね。母娘だから、似てるのは当然でしょ。
そうして、壁に掛かった時計を見遣って]
やばいやばいやばい。のんびりしてる暇ない!
[1階のキッチンへと駆け下りた]
(676) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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ねえ、パパ! どうして起こしてくれなかったの!
[きっともう朝食を先にとり始めているパパに、 精一杯の抗議をしてやるんだ]
大学に遅刻したら単位落としちゃうじゃん!
[何度起こされても起きない私の性分は棚に上げて、 あたしはぷりぷりとトーストに齧りついた]
(677) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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……ん、おいし。
[パパの作る朝食は世界で1番だから、 数秒前までぷりぷりしていたことも忘れて あたしは自然と頬を緩ませてしまうんだ。
あたしが朝食に作る 砂糖たっぷりのスクランブルエッグを パパはいつも「おいしい」って褒めてくれるんだけど。
なぜか我が家の朝食当番は、相変わらずパパのままだ]
(678) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[春からあたしは晴れて大学生になって、 パパの生徒になった。
親子だけど、先生と生徒。
あたしはママと同じ道を進んでいる。 自ら望んで。パパといっしょにいるために。
だってあたしたちは家族だから、 いつでもいっしょにいるのは当然のことなんだ]**
(679) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[かたん、微かな音>>660]
[いずれ瞬く睫毛に、陶然とした色が残るのは隠さない。 吸血行為が快楽なのは病ではなくただの生理現象だし ポーカーフェイスを気取ったところでどうせ見えていなかろう]
ああ ……次はピアノの何かをかけるか
[解放された指をハンカチで拭いながら、主人の笑みに視線を流し]
(680) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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お茶が冷めたな もう一杯淹れ直す。香りが細ったのは私が飲むけどいいね
[つれない態度などと笑われるが、 愛想をしなくとも憎からぬ主人だ、当然]
(681) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[媚びることはしない 自ら跪きはしない 彼女の毒気や戯言にはいやな顔をする]
ヴェルヌイユ ──ダージリンとシッキム、どっちを飲みたい?
[羞恥心や自尊心なんかのためでなく。 それに、 こういう間柄も居心地悪くはない**]
(682) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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独尊隊 ツヅラは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 01時頃
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[結局、箸で麺をつかむのには成功せず お腹の虫が限界を迎えた頃には音を上げて フォークを使う形に落ち着いた>>654
美味な血>>655 美味しい血が至福だと言いながらも 自分の首にではなく、麺へ箸を突き立てる姿
相反する様子に怪訝な顔を見せながらも フォークに絡めた麺をすすり、言葉を交わす 誕生日に関しては今日がいい。と
そして、一番知りたかった話には]
二つあるの……? 片方は物語で、もう片方が──
(683) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[教えられ、理解する。
目の前に眷属である自分がいるのに 他のものを口にする理由も、衝動のことも そして自分がこれから陥ると言う依存のことも
全て聞いて、 どこまで理解できたかはわからないけれど 少なくとも、ジャーディンへ依存していく そのことへ恐怖を感じることはなく。
不安だったのはただ一つ、捨てられることだけ
これが症状の一つなのか、 それとも単に、 失い続けてきた反動なのかはわからないまま ゆっくりと季節は巡り──]
(684) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[一年が過ぎる頃には>>658 文字を書くのはともかく、読めはするように
値札を読めるようになってからは 少しは買い物もできるようになってきた。
相変わらず、下着や服の好みはないまま それでも自分の部屋には物が増え ぬいぐるみもちらほらと増えていった。
仕事の手伝いはできているかは不明だが 床に落ちたゴミを拾ったり 必要ならばデッサンのモデルにはなったり
そうやって過ごす毎日は幸せで "メルヤ"になる前のことなど忘れてしまうほど**]
(685) 2019/10/08(Tue) 01時頃
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[どれだけ恐怖と罪悪感に苛まれても、時は過ぎていく。 長すぎる寿命はたっぷりと落ち込んでもお釣りをくれて。 歪に走り出した二人の生活も、ガタつかない程度に表面上は安定した。特に彼が素直に留まってくれたことは幸いだった。おかげで勃発を予感していた口論を幾つ回避できたか。 多少嫌味を聞かされても問題ない。 不安を訴えられるよりかはずっとマシだ。
彼の皮肉なら笑えるが、彼の懊悩は己の胸を刺す。 鋭く。]
患者にはそのハイセンスを発揮するなよ? 俺だけにしとけ。
(686) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[特殊な専門医であるから、閑散期はあるが元々独りで回しているような診療所だ。やることは無くならない。 それでも仕事を趣味のように扱う己とは違い、彼は彼で長い時を生きるための手慰みを見つけた。死を遠ざけても儚い印象を与える彼に良く似合う、静かな趣味だった。]
職人が作った良いものだからな。 欲しければやるよ。
―――― 俺は酒を飲まないし。
[否。彼と暮らし始めて止めたのだ。
自己嫌悪に陥っていた時期。 深酒が過ぎて、彼の首に噛みつきかけて以来。]
(687) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[表面上は良かった。
そもそもお互いに憎み合って犯した過ちではない。 曲がりなりにも友人関係からスタートした気安さだ。 関係性が歪に変化しても、同居人としては悪くなかった。
―――― たったひとつ、彼の施しさえ除けば。]
(688) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[例えば大雨が降った翌日。 例えば長く通っていた患者が旅立った日。 例えば白いレースの花が美しく咲き誇る時期。
酷く酷く、咽喉が渇いて堪らなくなるのだ。
かつてなら衝動も理性で踏み躙れていたのに、舌が肥えると何もかも贅沢になった。たったひとりの血が飲みたくて、仕事の手が止まり、注意は散漫になり、夜に眼が冴えた。
飢えに耐えれない身体になっていく。 そう自覚するたび、彼は見計らって唆しにくるのだ。
何食わぬ顔で、素知らぬ口振りで。]
(689) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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ッ、
[最初は拒絶し、二度目は一口。 三度目は言い訳を並べ、四度目は瞳だげで期待した。 彼の血は咽喉を通るたび、己を美食家に変えていく。
咄嗟に口を掌で塞いでも、身体の奥から競り上がる興奮が隠せない。]
止せ。 お前がそんなことをしなくても良いって言ってるだろ。
耐えきれなくなったら、ちゃんと俺から言うから。
[彼に言葉で血を強請ったことなど一度もない癖、反論は欠かさない。 視線は彼の指先から滲む緋色に留まったままだけれど。]
(690) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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止せって、……仕事が、
[膝に乗る自重を拒絶出来ない。 視線は彼の指先を追い掛けて、口腔の唾液が増す。]
フェル、ゼ。
[指先から玉になって落ちるひとつぶ。 己を生かす、尊い命の水だ。
真っ赤な舌が、犬のように伸びた。**]
(691) 2019/10/08(Tue) 01時半頃
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山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 01時半頃
山師 グスタフは、メモを貼った。
2019/10/08(Tue) 01時半頃
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[もっと、慾に従順ならば別のやりようがあった。 200年の飢餓を堪えた鉄の理性を砕くには たった一度の贅沢で足りると思えたが。
いつかの夜、はっきりした。>>687 眷属を得て尚、彼は吸血行為を忌避している。 それは、己の存在意義を否定されたも同じこと。
許せなかった。 そんなつもりじゃないと暗に訴える態度が。 一方的に穢しておいて、自分ばかり清廉を気取って。]
(692) 2019/10/08(Tue) 02時半頃
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ほら、早く吸ってくれないと 大事な書類を汚してしまう
[治癒行為という大義名分があれば、 彼も重々、渋い顔をしながら岩戸のような唇を開く。 掌を裂き、指を削ぎ、 割れた硝子をわざと踏み付けたこともあったか。
待っていれば、いつまでも"お預け"を喰らう。>>690 そんなの冗談じゃない。]
……何度も言ってるだろう 耐える必要がどこにあるの、…って
[結局は、堪え切れず舌を差し出す癖に。 片手を添え、指の左右を挟んて紅玉のよな雫を落とし。]
(693) 2019/10/08(Tue) 02時半頃
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……他に──… 君にしてあげられることがないんだから、さあ
そう。 …それでいいんだよ、グスタフ
[爪まで剥がれそうなほどの吸引。 指股まで唾液で濡れても厭うどころか、 どこか恍惚とした表情で。
あっという間に塞がる創を吸い終えたら 掌に残る筋まで甘さず舐めるように掌を向け、嗤う。]**
(694) 2019/10/08(Tue) 03時頃
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[溺れるにはまだ早い ――お楽しみ(ディナー)は、まだこれから] いいわね、 じゃあショパンをお願い [ちろりと唇をなお紅い舌で拭いながら リクエストも忘れない>>680]
(695) 2019/10/08(Tue) 04時頃
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ええ、構わないわよ ……ふふ。 シッキムを頼むわ、スイート [結局はそれで正解なのだ>>682 つれない態度も 媚びることのない主従関係も どれもが女には愛しい夢の一部**]
(696) 2019/10/08(Tue) 04時頃
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