76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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…………なんでかな あの時なんで逃げたのかわからなくなった
[紅を隠すよう俯いて、蕾を指先で撫でた]
もう少しだって言ってる もう、あと少しだって
……ヴェス、運ぼうか
[眠りに落ちていないのは、あと誰がいただろう。 薔薇の熱に触れていないものは、もういない]
(13) 2013/03/30(Sat) 23時頃
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サイラスは、…サイラスも、一足先に寝ちまったよ。 どうせ夢ならって思ってたけど。 …眠りこむなり起きるなりして終わらせなきゃ、 夢だ、つっても続いてくんだよな…
[自分の発する言い訳じみた声音に、 自嘲気味に喉を鳴らす。 薔薇を撫でるオスカーの言葉には、頷くしかなく]
ああ。どこかでちゃんと寝かせてやらないと。 あいつの部屋のベッド、空いてるかな… それで…
[それで、どうするか。 一度言葉を切って歩き出すが、数歩歩いたところで再び口を開いた]
皆眠らないと、朝は、来ない?
(14) 2013/03/30(Sat) 23時頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2013/03/30(Sat) 23時頃
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ああ、そうだね
[耳を澄ます。窓の外、月を見上げる紅は濡れているように艶めいて]
うん ……聞こえない よく寝ているみたい
[サイラスの声。あいつだけは、といい続けた彼は、今何を想うのだろう]
そうかもしれない そうじゃないかもしれない
……君の心は、まだ此処にある? それも、くれる?
[ヴェスパタインを抱くエリアス。よけられることはないだろうと、その頬にと手を伸ばして]
(15) 2013/03/30(Sat) 23時頃
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[どれだけの時間、座り込んでいただろうか。
サイラスとサイモン。 二人の目覚めない生徒を確認し、 薔薇の支配から一時解放された頭は現実へと目を向ける。
二人の同級生は?
もうすぐここを去る先輩は?
先刻まで共にいたヤニク以外に確実に眠っていないのは?
今の状況の原因を未だ知らない少年は焦燥感が募らせる。]
…探さなきゃ。
[ぽつりとそう呟くと、ふらふらと立ち上がった。]
(16) 2013/03/30(Sat) 23時頃
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ん、そっか。 …それって…いや、ぐっすり寝るのは良いことなんだろうな。
[煌々と輝き続ける月。 黒い髪と紅い瞳に、ふっと目を奪われる。
頬に当てられた手に静かに頷く。 心は、自我は、まだ夢の中に残っている。 どこに放り出されることも、連れ去られることもなく、 取り残されたまま、なのだと]
ああ、あるよ。 此処に、まだ、ある。あるから。
どうか、持って行ってくれないか。
[まっすぐに。 その紅を見て、言った。
やがてロシェの部屋に辿りつけば、彼の身体を寝台に降ろそうと部屋に入る]
(17) 2013/03/30(Sat) 23時半頃
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嗚呼、もうすぐ。もうすぐだ。
[夢見心地。浮かされたような足取り。 その口元に浮かぶは喜悦の笑み。 まだ眠っていない。根付いてもいない。 最後の栄養を求めて廊下を歩く]
(18) 2013/03/30(Sat) 23時半頃
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良いこと、うん そうだ
痛くなければ ……いい
[ヴェスパタインの部屋。たどり着けば扉を開いたまま、寝台に下ろそうとするエリアスの背中を眺め]
望んでくれてありがとう 嫌がることはしたくないんだ
……見えれば、したくないんだ
[自らのその細い肩を抱くようにして、繰り返した。 薔薇の意識は一定で途切れることはない。 それでも、少しずつ溶け出す眠っていた心。
見えるものは多く、そしてまた、少なく]
(19) 2013/03/30(Sat) 23時半頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2013/03/31(Sun) 00時頃
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[廊下に出れば、無事な人の姿を求めて歩き回る。
しかし、徐々に薔薇の香りに意識が塗り潰されていくだろうか。]
(20) 2013/03/31(Sun) 00時頃
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…そうだな。痛くないといい。 お前は、大丈夫なのか?痛く…なかった、のか?
[ロシェを寝台に降ろし、おやすみと呟く。 これで3人の寝顔を見届けたのかと。ぼんやり、考えた。
振り返れば、彼が自分で自らの肩を抱いている。 己に向けられる瞳は誰のもので。 己に向けられる言葉が誰のものなのか。
それがどちらだとしても]
…ごめんな。ごめん。 ありがとう。
[そっとその肩に手を触れ、ぽつり、言葉を落とした]
行こう。お前の部屋、誰もいないんだろう? 朝まで、一緒にいよう。
(21) 2013/03/31(Sun) 00時頃
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ロシェ……
[その姿に、眉を垂らすけれど、 乾いた肌の手、伸ばしても、届かない気がして。]
(+12) 2013/03/31(Sun) 00時頃
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俺?
[何の話?そう言いたげに赤い瞳をまあるくして見返した]
痛くないよ だってそれが 彼の、俺の ええと 望み、だったんだから
[肩に触れたエリアスの手。 それに触れ、うん、とひとつ頷いた]
誰もいない、し 何もない ……一緒に、いよう
[そのまま手をひいて、歩き出した]
(22) 2013/03/31(Sun) 00時頃
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[微かに聞こえたシリィの声に振り向く。 片目から滴り落ちる赤。]
…あぁ、俺…、俺ッ、…君に、ひどいことを…
(+13) 2013/03/31(Sun) 00時頃
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ならいいんだ。 …それならさ。
[口元を緩めて、黒い髪をぽんぽんと撫でる。 引かれた手はそのままに、彼について歩き出す。
何もない。 ふっと今更ながらに思い出したのは、 未だ片付かない自室のことで]
まあ、いっか。今日はもう充分やったんだしな。
[現実味がなく、遠い話。 ふらりふらりと。抗うことは無く。 薔薇の香り満ちる宵闇の中を進んでいく]
(23) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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[強い薔薇の香りに身体の芯に熱が宿る。 自分の地盤が崩れていくような感覚に胸をおののかせ。 熱い息を吐きながら無事な人の姿を求めつつ。 蒼い目はうっすらと滲み。]
…誰か…。
[徐々に塗り潰されていく意識の中、 安堵を与えてくれる人を求めていた。]
(24) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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……あは。
[前方に見える影。 それは自分に栄養をくれた]
そうだ……お礼、しないとね。
[近付く。 笑みを湛えたまま。 彼にも、蕾をあげよう。 もっともっと、快楽に堕ちれるように]
(25) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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[少しだけ肩をすくめて、大人しく撫でられる]
うん、それでいいんだ
[つないだ手は暖かく、熱く、けれど離したらすぐに冷えてしまいそうで。
やがて辿りついた自室。 開いた先、片付けたにしろ、少ない荷物。 目立つのは枕元の本だけ。そんな部屋にエリアスは何を思うか]
……ぅ
[嗚咽みたいな音が喉奥からこみ上げる。ふる、と一度強く首を振ると、寝台へと促した]
(26) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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[近付いてきたのがヤニクと分かれば、びくりと瞳を揺らし]
…ヤニク先輩…。 お礼とか、いらないですし。
[サイラスの寝顔を思い出す。 随分と心配していた様子を考えれば、彼の事は言ってはいけないとそう思った。]
(27) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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ロシェ、ひどくないよ。 僕こそ、
ごめん
[嘆く人に俯いた。]
(+14) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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遠慮なんてしなくていいよ…… もっと、もっとヨくしてあげる。 もう何も怖くないし心配もしなくていい。 だから……ね?
[伸ばされる指が、白い顎を伝う。 擽るようなその動き。 そのまま顔を寄せ、間近で微笑む。 薔薇の香りが、恐ろしく強い]
(28) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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…。
[がらんとした部屋。 枕元に本が残っていたことに、思わず安堵してしまった。
卒業するということは。 寮を去るということは。 こういうこと、なのだと]
…なあ。本当に、大丈夫なのか? お前は、痛く、ないんだよな。そうだよな、オスカー?
[首を振った時の彼の瞳はどうだったのだろう。 促されるまま寝台に腰かけて。 紅をじっと見つめる]
俺は大丈夫だから。 何がどうなっても、大丈夫だからさ。
[言いながら、手指を絡ませようと]
(29) 2013/03/31(Sun) 00時半頃
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……。
[薔薇の誘惑に抗わなければと本能は警鐘を鳴らす。 ヤニクの言葉に、声に縋ってしまいたい。 彼との交わりが強い快楽を生み出す事は身体が覚えている。]
…貴方は誰?
[けれど、目の前の相手が同室者の事を懸命に探していた姿と、助けたいと願った姿と重ならず。
相手の手に触れながら、困惑ぎみに問い掛けた。]
(30) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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大丈夫、大丈夫だ
[腰掛け、近くなった視線。 じ、と見返しもう一度]
大丈夫だよ、エリアス お前がそうなら、いてくれれば
[絡む指先。視線は逸らさずに、親指で優しく撫で さっき触れた頬にそっと唇を寄せた]
……だから頂戴
心を、想いを ……咲くための、力を
[刹那瞳を揺らした躊躇いは瞼の下に押し込めて、そのまま唇を重ねようと]
(31) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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……ふふ。 誰だって、いいじゃない。 そんなことどうだっていいでしょう?
[クスクスと。 低い笑いが周囲に響く]
……貴方ももうすぐ。 私と同じになる。 私になる。 私を……咲かせるための。
(32) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/31(Sun) 01時頃
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ううん、それでも……。
あの時、俺……止められなかった。 いけないことだと分かってるのに、なのに俺……
確かに欲に溺れてた。 君を力任せに蹂躙することが、確かに気持ちいいと感じてたんだ。
そんなこと、許されるはずもないのに。
(+15) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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此処にいる。 お前が望んでくれるなら、いつまでも、ここに。
[灰色の双眸を溶かすのは、快楽への予感か、それとも。 ほとんど入っていない力を抜いて、 唇を受け止め、味わう。
腕は小柄な彼の背を抱くように回されて。 ただ、全てを受け入れるべく]
だから… 全部、持って行ってくれ。 俺を、どうか、全部。
(33) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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[目の前の相手は、ますます自分の知る先輩から掛け離れていく。 そして、自分には理解出来ない言葉。]
貴方と同じ…? 咲く? どういう事ですか?
[薔薇の香りによって意識が覆い隠されようとしている。 けれど聞いておかねばと、何とか踏み止まろうと。]
(34) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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……花を。 咲かせるの。
[ふわり、身を寄せる。 動くたびに強く香る、薔薇の香り]
だけど……まだ、足りない。 あと少し、足りない。 皆から精気を貰って…… あと少しなの。
[愉しそうに。嬉しそうに。 熱っぽい息を耳元で]
(35) 2013/03/31(Sun) 01時頃
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[重なる唇。濡れた音はこのまま全て奪ってしまえ、と身体の熱をあげる]
ありがと、エリアス
[薔薇の知識に追い付かないのか、たどたどしい口づけ。 洩れる吐息を飲み込んで、そのままエリアスの肩を軽く押して寝台に横たえる]
……好きだよ、エリアス
好き、だって
[そう、伝えた]
(36) 2013/03/31(Sun) 01時半頃
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みん、な…? …それじゃ…。
[蒼い目を見開く。 薔薇から告げられた言葉は自分の想像を超えていて。 守りたいと願う人は、サイラス達と同じように眠ってしまったのだろうか。
−蒼がじわりと滲む。
けれど相手の纏う薔薇の香りに、誘惑に最後の対抗をするように、 ヤニクではなく…目の前の相手を強い眼差しで見つめ。]
俺で…終わりに出来るのか?
(37) 2013/03/31(Sun) 01時半頃
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[寝台に柔らかく灰色の髪を散らして。 紅い双眸を見上げ、彼の頬を撫でる。
伝えられた言葉に、双眸は泣きそうに歪んだ]
…俺も、好きだよ。 オスカー。 お前が、好きだ。
[だから一緒に。 どうか一緒に。
薔薇の宵闇にその身を投げ出す。 塗りつぶされていく自我の中で、再びのキスをねだる]
(38) 2013/03/31(Sun) 01時半頃
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