15 ラメトリー〜人間という機械が止まる時
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[ある大きな町には、 研究所と呼ばれる施設がありました。 その建物では、戦争のための兵器をつくっていました。
ヒトという機械を利用した、殺戮兵器。 異形の力を借り、使役する、機械。 けれどもなかなかうまくはいかず、 沢山の子供が―何故か対象は全て子供だった―内側から異形に食われ、死んでいきました。
少女がそこに連れていかれたのはある日のこと]
(11) 2010/07/23(Fri) 08時頃
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[少女に名前はありません。 だから大人はこう呼びました。
コードネーム“Holy”と。 聖なる、機械。 その名前は、左腕に刻まれています。
やはり少女も同じように、 異形の力を注ぎ込まれました。 それはとても難しい原理と方法だったので、 ここに書くような事はしません]
(12) 2010/07/23(Fri) 08時半頃
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[それはぴしりとひび割れて、キラキラ壊れていきました。 鉱石の身体は無数の塵となり、キラキラ大気に消えていきました。
残ったのはただ、大事な手帳に書き連ねた、彼の生きた記録だけ。]
(+13) 2010/07/23(Fri) 09時頃
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[いえ、もう一つ。
左手首の腕時計。自動巻きの古いアンティーク。 時を刻み続けるそれを、飛蝗鼠が拾い上げます。
銀色のバンドを首にかけ、飛蝗鼠はぴょんぴょんと、目指す場所へと跳ねました。
大事な大事なお願いを、かなえてあげるためだけに。]
(+14) 2010/07/23(Fri) 09時頃
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ベネットは、ヨナのことを、さがしているようでした。
2010/07/23(Fri) 09時頃
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>>8
……――そ、か そこ…見えるんだな
ヨナには、……いや
[心が先に壊れた人間を何人も見て来た。 死者が生者を連れて行くのも。]
何でも、ない
[送り出した数は、
計り知れない。]
(13) 2010/07/23(Fri) 09時頃
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[ぴょん ぴょん
かちゃり
時折コケて転がりながら、ヨナの居場所を探しています。]
(+15) 2010/07/23(Fri) 09時頃
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>>13
見える? フィルには見えない の?
そこに、いるのに。
[何でもない、というフィルに問いかける。]
――……
(14) 2010/07/23(Fri) 09時頃
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ヨーランダは、フィルに続いて、部屋を出る。ラルフの身体は一緒じゃないけど、ラルフなそれとは一緒に。
2010/07/23(Fri) 09時頃
ベネットは、飛蝗鼠の姿で、出てきたヨナにぴょんと飛び乗ろうとしました。(偶数なら失敗ころころ93
2010/07/23(Fri) 09時半頃
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― 回廊 ―
…?
[フィルと出てきた廊下。 ふと何かが低く横切って、なんだろうとしゃがむと、 そこには、飛蝗鼠の姿……。]
――……おまえ、どうしたの?
[その小さな目がこちらを眺めているようで…。]
(15) 2010/07/23(Fri) 09時半頃
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…ヨナ。
[呼ぶ声が届くかは判らないけれど、腕時計をさし出して見上げます。]
きみのお願い、まだ覚えてる?
(+16) 2010/07/23(Fri) 09時半頃
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ヨーランダは、飛蝗鼠から声が聞こえて、瞬いた。
2010/07/23(Fri) 09時半頃
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――……お願い……
[そして、しゃがみこんだまま、その腕時計に手を伸ばす。 その小さな異形……そこから漏れた声は、聴いたことのある声だけど……ああ、フィルには聞こえてるのだろうか。 聴こえてなければ、また、気が触れたように見えるだろうか。]
――…あなたにしたお願い。 あなたが訊いてくれるといったお願いなら、
覚えている
お願い ( で)
(16) 2010/07/23(Fri) 09時半頃
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[そして、ベネットのことを思い出す。 そう、彼はあれから、あの部屋にいたのだろうか。
半分、食べてくれる、そんなことを云ってくれた彼。]
――……
[また飛蝗鼠を見て……。]
――…あなたは、また生まれたの?
[それなら、また、痛がって眠っているのだと思った。]
(17) 2010/07/23(Fri) 10時頃
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[クスリと小さく、笑う声。]
そう…全部食べられてしまわない方法。 …ちゃんと、考えていたんだよ。
ソレに耳を当てて聴いてごらん? ぼくの、しんぞうのおと。
全部食べられてしまわないように、半分その中に隠したんだ。
[時を刻み続ける機械に寄せて、僕は優しい嘘をつく。]
ずっと君の傍に居させてくれたら。君の手首に居られたら。 僕はずっと、止まらずに、そこで生きていられるんだ。
[腕時計は自動巻きのアンティーク。半永久的に時を刻み続ける。 手にしたものが、止まらぬ限り。]
(+17) 2010/07/23(Fri) 10時頃
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ベネットは、飛蝗鼠はリィと、羽を震わせて啼きました。
2010/07/23(Fri) 10時頃
森番 ガストンは、メモを貼った。
2010/07/23(Fri) 10時頃
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――…心臓の音?
[そして、また声が響いて…… 懐中時計を見た。
それから、そおっと、それを耳に当てる。]
――…心臓の、おと? これが、ベネットの、おと?
[聴こえる規則正しい音。 それ乱れのなさに、目を閉じた。]
これがあれば、半分、食べてくれるの?
(18) 2010/07/23(Fri) 10時頃
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うん。
辛いことも、苦しいことも、 楽しかったことも、よかったことも。
みんな、聞かせて? 半分、食べてあげるから。
[耳元でカチカチと、機械は時を刻み続ける。]
(+18) 2010/07/23(Fri) 10時頃
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………あ
[耳に響く音、 半分、あげる、の声。
ふと、気がついた。]
(ベネット、あなたは死んでしまったの?)
[だけど、口には出さない。 死んだというと、その時計は止まってしまうような気がした。
そして、時計を左手に嵌める。 細い手首にそれは、最初ずしりときたけど。 それが、一人の人の重みなら、嬉しいと思った。]
(19) 2010/07/23(Fri) 10時頃
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―城内・ある部屋―
結局これは、何だろうな。 …考えるのが億劫になってきた。
[ベッドのそれは何であるか判断できなかった。 半ば錯乱していたような状態から覚めると、部屋を出て外に出た。]
(20) 2010/07/23(Fri) 10時半頃
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君の望む限りずっと、そばにいるよ。
[その重みが、刻み続ける音が、一緒に生きていられる証。]
だから、泣かないでとは言わない。 泣きたいときは、僕に聞かせて?
(+19) 2010/07/23(Fri) 10時半頃
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―城内・廊下―
この城、こんな廃墟だったか?お前はどう思うよ。 本当に人が何人もいたと思うか?お前はどう思うよ。
[初めてこの城下に降り立ったときの生活感が、いつの間にか無くなりかけている。
時が加速したかのような色褪せていく感覚に、城下に入ったときから幻を見たような、そんな感じになった。]
(21) 2010/07/23(Fri) 10時半頃
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森番 ガストンは、メモを貼った。
2010/07/23(Fri) 10時半頃
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ベネット……わかった。 いろんなこと、この時計に話せばいいのね。
そしたら、 いろんなこと、半分に、
なる?
[手首の腕時計を摺って、立ち上がる。]
(22) 2010/07/23(Fri) 10時半頃
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うん、辛いことや嫌なこと、苦しいことは半分に。
いいことはきっと倍になるかもね。
[クスリとまた、小さく笑う声。 抱きしめてあげることは出来なくても、きっとそばにいることはできるから。
飛蝗鼠はぴょんと、ヨナの肩へと乗りました。]
(+20) 2010/07/23(Fri) 11時頃
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[最期を看取った青年の身体は ひび割れて鉱石の塵となり壊れて儚くなった。
コトリと床に落ちたのは、アンティークの時計。 飛蝗鼠がそれを拾って掛けて行くのを 常よりも揺れる紺青がぼぅと見送る。]
常々、思っていたのですが。 何故、人は人の死を悲しむのでしょうね。
[神の御許へと導かれるのならば 向けられる感情は祝福であるべきなのだと思う。
それでも、悲しむのは、涙を流すのは 嗚呼……――― 自分本位の想いからかもしれないと思う。
置いて行かれたのだと。 ともすれば、その“死”を羨む心から。]
(23) 2010/07/23(Fri) 11時頃
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[飛蝗鼠が肩に乗って、それから、またフィルを向く。 その青色は、まっすぐ、フィルを見た。
それは心壊れたものに見えるだろうか。]
――…ラルフも生きている。 ――…ベネットも生きている。
[細くて軽い身体に、生線と死線が纏わりつく。]
(24) 2010/07/23(Fri) 11時頃
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フィル……あなたも、生きていて……。
[それもまた願い**]
(25) 2010/07/23(Fri) 11時頃
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[死を羨みながら、けれど何故、人は生に固執するのか。 壊れかけの世界では、その理由は酷く希薄に思えてならない。
それでも、死に逝った人々が、己の生を望むならば それが己という存在への贖罪なのかもしれない。
そう、思わずには生きられない。
息を吐く、視線を上げれば、儚くなった少女の残骸が舞っていた。 その中に落ちていた2つの翡翠を拾い上げた。 一先ずそれは、チャールズの懐に入れられる。]
(26) 2010/07/23(Fri) 11時頃
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―――……
[立ち上がれば、そこには コリーン、ホリー、アリーシャの姿があったか。 チャールズは微笑んで銃に手をかけた。
銃口は、明らかに殺意を見せる異形 ――……シィラに向いた。]
(27) 2010/07/23(Fri) 11時頃
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『タァンッ……―――』
[乾いた銃声、命を絶つ為の音が響く。 シィラが避けないのならば 放たれた弾は、その紅い眼の中心を打ち抜くだろう。
例え撃ちぬけたとして、それでシィラが儚くなるかは *知らねども*]
(28) 2010/07/23(Fri) 11時半頃
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―城内・廊下―
…その子を背負って生きるのは… ―――……重たくない……?
[見つけたのは、物言わぬ骸は、少し前まで自分と話していた少女。あの時の言葉が…何か塞き止めていたものをゆるりと開けて。]
背負うのは重くないと俺は返したよな。 ―本当は、逆だよ。逆なんだ。 相棒が居なかったら、俺だってもう足に地を付けるかわからなくなるくらい軽くなるんだ。きっとそうだ。
だから相棒が生きろと、俺を食った分まで生きろと云うんだ。だから俺はまだ生きているんだ。
そうなんだろ? なあお前はどう思うよ?
[相棒の、マーゴが手をかけた位置に自分も片手を握り、。もう片手は自分の肩甲骨を摘んだ。]
(29) 2010/07/23(Fri) 11時半頃
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―生命の泉―
[ ぽちゃり ] [割れる] [割れる]
[水面に映る姿は、割れる]
[溢れでる清らかな源、生命の泉] [異形の大樹は、泉に与えられ生かされ、泉を護り生かす]
[それは命を繋ぐ水]
[ ここにあることが彼の願いの証 ]
(+21) 2010/07/23(Fri) 12時頃
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[触れることができなくても、 想いを伝える言葉がなくても、 抱きしめる腕がなくても、 傍にいられなくても]
[けれど、 そこに生じた矛盾《バグ》、相反するもう一つの想い]
[ ―――銃声が響き、水面を揺らした ]
(+22) 2010/07/23(Fri) 12時頃
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[彼の影は――亡霊は、 ただヨナの傍らに寄り添っている。**]
(+23) 2010/07/23(Fri) 12時半頃
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