268 オリュース・ロマンスは顔が良い
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[弱いのは自覚があるので、マーケットでくらいしか飲まないようにしている、のは変わらない。 が、例外として誰かとの食事のときは少しだけ入れることもある。 というのも、それほど飲めないにもかかわらず、アルコールの味自体は嫌いではないのだった。 故に、悩みは深い。 チーズリゾットと共にワインを舐める楽しみと、初デートで失態晒したくない心とを天秤にかけて、メニューをじっと見つめている。
もしだんまりを訝しがられたら、この思考回路を恥ずかしながら晒してみる。 フィリップ自身もそれほど飲まないほうだと知っているけれど、さて*]
(259) mmsk 2019/08/11(Sun) 13時半頃
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ね。おいしそう。 君が気になってたなら、なおさらよかった。
シェア、しようね。
[>>268いつの間にかすっかり頭の中が分ける前提になっていて、むしろその瞬間を楽しみにしている。 気になってた、という濃厚なリゾットを口にしたとき、彼はどんな顔をするんだろう。 そのためにも、早く注文しないと、と思うのだけど。]
(312) mmsk 2019/08/12(Mon) 10時半頃
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んー…… 君がノンアルコールなら、それでもいいかなって思ってるけど。 迷惑かけたくないしねえ。
[と、覗きこまれたあたりでぱたん、とメニューを閉じた。 迷いなくアイスティーに決めたフィリップの選択に乗ってしまうのが一番自然だ。 馴染みの職人仲間と食事に行けば、半ば自動的にティーが出てくるし、アルコール抜きの食事に不満があるわけではない。
ただ、もしかしたら少しだけ、彼の存在に甘えてみたくなったのかもしれない。 好きなアルコールを好きに飲んで、ふわふわに酔ったまま、二人で帰るのは幸福な気がした。 とはいえそれも自分一人の幸福でしかない。フィリップに対する迷惑を考えれば、なんてことない我慢。]
(313) mmsk 2019/08/12(Mon) 10時半頃
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[注文を通せば、程なくして前菜から運ばれてくる。
細めの櫛切りにカットされたフルーツは彩りも鮮やかで、白いリコッタやモッツァレラとのコントラストも美しい。 そこにラインを描くように振られたバルサミコソースが、甘い香りをさらに引き立てていた。 数分前のアルコールへの葛藤どこへやら、目が輝いてしまっている自覚がある。 食べてしまうのが勿体ないような完成されたひと皿を前に、それでも食欲が勝つのだから人間というのは浅ましいものだ。]
(314) mmsk 2019/08/12(Mon) 10時半頃
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いただきます。
[略式に手を合わせて、美味し糧に感謝を告げる。 ルビーグレープフルーツにリコッタを乗せて口に運べば、ミルクのほどける風味と果汁の弾ける酸味、バルサミコの甘味がひとつに混ざり合い、至福に胸踊った。]
あー……
[想い人がいるからと、格好つけた表情を保つことすら放棄して、ゆるく相好を崩した*]
(315) mmsk 2019/08/12(Mon) 10時半頃
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え? えーっと、何だっけ。何とかフラワー……
[フラワーなのは花の時点で確定だが、その前の部分がなかなか思い出せない。 こういった店だといちいち説明されるわけでもなく、自然と皿に乗っているひとひらの名前を記憶から引き出すのは至難の業だった。 何より、それよりも。]
……フィリップ、可愛い。
[花びらをつまんでは口に運ぶ姿がキュートで、その様子をつい頬杖ついて眺めてしまったので、思考どころじゃなかった。 顔赤らめられたら、次の料理が来るまでずっと笑っていたろう。]
(385) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時頃
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どう? おいしい?
[初体験らしい冷製スープへの反応を見れば、上々のよう。 苦手だった時に備えてこちらは冷たくないポタージュにしておけばよかった、と思いはしたものの、いらぬ心配だったらしい。 こちらもとろりと濃く、芋の甘味を感じるポタージュに仕上がっていて、贅沢な体験をさせてもらった。]
(386) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時頃
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[続いて来たローズマリーの香るフォカッチャとリゾットには、目もくらむような心地で息を呑む。 ラムチョップのピンクの肉色に、ハーブの緑が映える。 小山に盛られたねっとりしたリゾットは、クラッシュペッパーが乗っていた。 向かいのイカスミとちょうど白黒反転したような色合いに、目も満たされるよう。]
ん……! おいしい。
[リゾットをひとくち口にしたところで思わず声を出したら、フィリップのそれと重なった。 あは、と小さく笑って、それからは夢中。 シェアの話が出るまで、手を止め忘れてた。]
(387) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時頃
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[そうして、白と黒を混ぜながら食べ進めた頃。 アルコールの話が出れば、少し眉下げる。]
んん……そりゃあ、しっかりした赤ワインがいいんだろうけど。
あんまり調子に乗ると、悪い癖が出るからなぁ。
フルーティで軽めの赤ワインとかあるなら、一杯くらいほしいけど。
[悪い癖、について聞かれたら、酔うといつも以上に気が緩んで、人に絡んだりするのだと答えよう。 絡み方は人に触れたがったり凭れかかったりと平和な方なのだが、相手が職人仲間の奥さんだったりしたので、酒は次第に控えるようになっていった。]
(389) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時頃
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もし……帰り際、君に甘えてしまってもいいなら。
[なるべく格好いい"ソウスケさん"でいたいという気持ちはなくもないのだが、いつかは明かされてしまうだろう悪癖。 きっとNoは出ないと信じて、ホールボーイを呼んだ。 フルーティな赤をグラスに一杯ずつと頼んで、その間は少しだけ食べるペースを遅くする。]
(391) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時頃
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本当は、飲むの好きなんだけどね。 強くもないくせに、致命的に失敗する前に止めてくれる人がいるって思うと、気が大きくなるみたいで……
[程なくして運ばれてきたふたつのグラスに、浅めの赤が注がれる。 照明を透かして、薔薇色がテーブルに落ちた。 くるりグラスをひとまわしして、舐める程度にひとくち。 それからリゾットを食べて、またひとくち。]
……ふは、
[至福、を隠しもしない表情で息を吐いた*]
(394) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時半頃
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……う。
[>>400告白したのは酒の勢いか、と言われて、一瞬詰まる。 確かにほんの少しもその兆候がなかったかと言われれば嘘になるしいいやでも明確に言葉にしたのはフィリップのほうが先で僕はそれに乗った形で――
言い訳を頭の中巡らせていたら、冗談と続いて深々と息を吐いた。心臓に悪い。 運ばれてきた酒の味が余計においしく感じたのは、この安堵感のせいもあったかもしれない。]
(405) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時半頃
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ん、美味しい。
[緩んだ頬をフィリップに向けながら、笑う。 パスタもちょうだい、なんてねだりながらリゾットを差し出す。 次第に杯を傾けるペースが早くなり、二杯目を無心したのは許されたろうか。 デザートにたどり着く頃には、目元が赤く染まっていた。]
(408) mmsk 2019/08/12(Mon) 23時半頃
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[デザートと一緒にオレンジのきいたアイスティーが運ばれてくれば、その冷たさに酔いもゆっくりと冷めていくのだけど。 彼に酔った心は簡単に冷めそうもない。
デザートを楽しんで、アイスティーと他愛ない会話を楽しんで。 店を出る頃には、行きは触れなかった指先が、星空の下絡みあう**]
(412) mmsk 2019/08/13(Tue) 00時頃
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