158 Anotherday for "wolves"
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[身体が押される衝撃が 突き飛ばされたことによるものだと 理解したのはその一瞬ののち。]
(319) 2015/05/18(Mon) 22時半頃
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[衝撃に咄嗟に目をつむって、 再び開いた時、目の前に大きな影。>>315
日に褪せてチリと光る黄金の毛並がうねる。 獲物をしとめるしなやかな獣の動き。
手の内の真っ白な封筒が泥に塗れる。]
(320) 2015/05/18(Mon) 22時半頃
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イヤァァァアアアアアアア!!!!!!
[ざわつく家畜の鳴き声、羽の音、足の音。 そしてほとんど悲鳴のような少女の声が辺りに響き渡った。]
(321) 2015/05/18(Mon) 22時半頃
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[駆け寄るおとなの気配>>338に助けを求めようと思ったが それは今朝自分を疑っていると言っていた、サイラス本人で。>>113>>114>>146
すがる眼は一瞬で、すぐに眉をしかめて不快感を纏う。
「何がどうなってると」と何度も尋ねられるが 今はそれどころではないと不機嫌で気を立てて]
知らない!! わたしが聞きたい!!
お前たちのせいで グレッグお兄ちゃんがヘンになっちゃった! みんなみんな知らない! どうしてみんなわたしたちをほっといてくれないの?!
[とわめき散らすだけ。]
(341) 2015/05/18(Mon) 23時半頃
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お兄ちゃんッ…――!! グレッグお兄ちゃん!
[やめて、やめてと叫ぶわたしは無力で。]
[まって、ダメだよ。 やっと、希望が 持てそうなのに。 家族がみんないなくなっちゃう。 お兄ちゃんがいないと わたし生きてる甲斐なんて ないのに。]
[頭の中に浮かんでくる先の話。 でも目前の出来事に言葉はうまく出てこなくて。
必死だったから。 思わずその身を小さな獣にやつして。
クラリッサに覆いかぶさるようにして跨る兄の後足を 力任せに噛んだ*]
(342) 2015/05/18(Mon) 23時半頃
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[幸なことに長いゆるやかなウェーブの髪が絡まって兄の牙の行く手を阻む。
少女が突き立てた牙に、兄はよろめいて とうとうその身体は地面に崩れ落ちた。>>352]
[立ち上がらないことを確かめると姿を人の身に戻し サイラスをドンと突き飛ばすように押しやって 兄に掛け寄る。]
グレッグお兄ちゃん…! 大丈夫?
[加減もせず噛んだその足は血が出ていただろうか。 倒れた兄を見守りながら、 クラリッサを、集まった人びとを見渡した。 兄の傍でその存在を守るように。]
(358) 2015/05/19(Tue) 00時半頃
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グレッグお兄ちゃんを苛める奴は わたしが殺す!!
[こんなことをしてしまってはわたしよりも 兄が疑われてしまう 想像するに容易く 非常に残酷な仕打ち。]
[すっかり気が動転した少女は 誰彼かまわず敵意をむき出した*]
(359) 2015/05/19(Tue) 00時半頃
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ッ…――!!
[「過ちの現場」と言われれば返す言葉もなく。 ただただ、獣の姿のままの兄を掻き抱いて。
サイラスに肩を押しどけられたらややも抵抗するが やがて叶わぬことと悟ると、不本意ながら身を引いて。]
[怯えた目のクラリッサと 弱弱しく呻き押さえつけられる兄を見て。 ただ、声を押し殺して泣くことしかできなかった。]
(370) 2015/05/19(Tue) 01時半頃
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なにが…大丈夫なの…。 全然大丈夫じゃない。 全然!大丈夫じゃない…!! ふ、とうっ…!もらったのに…! …ごめんなさ、い…!わたしが… 困らせたから…。 [降り積もる言葉を うわごとのように吐き出して。
もう泥だらけになってしまった封筒を視界の端に。 ぐったりと横たわる兄が段々ぼやけて映る。
涙で見えなくなる視界がブラックアウトしていき まもなくわたしの身体はしな垂れ落ちた。]
(373) 2015/05/19(Tue) 01時半頃
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―9歳の記憶―
[わたしの大事なルージュの話。
真っ赤なルージュはおとなの証。 その赤はとても魅力的でドキドキした。
試しに塗ってみたら、幼い顔に 真っ赤な唇だけが変に浮いてて お世辞にも可愛いとも綺麗ともいえない顔だった。
でも今よりおっきくなったら。大人になったら。 わたしはこのルージュをつけて今よりも おっきいお胸で綺麗な服を着るんだ。 自分の将来に思いを馳せて。]
(386) 2015/05/19(Tue) 02時半頃
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[ その日兄はとてもうろたえていた。 わたしにけっこんをせがまれたから? わたしが机の裏にお父さんの絵を描いたから?
配送するハズのルージュがなくなったから。]
[ わたしの嘘はすぐにバレて 机の上にコトリと一つ置かれるルージュ その時ばかりは険しい表情で見下ろす兄 俯くわたし。]
[ 兄は理由を問うた。 わたしは泣いた。 さらに理由を問う兄に告げた。]
(387) 2015/05/19(Tue) 02時半頃
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「昔お母さんゆってた。 いつかわたしが大きくなったら お母さんのルージュくれるって。」
「でも、お母さんのもの…… 全部燃やしちゃったから…。 なくなっちゃったんだもん……。」
[兄はその表情を一層険しくし 隣で聞いていた父は視線を外した。]
(388) 2015/05/19(Tue) 02時半頃
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[ 少ししてから兄がわたしにゆった。 その口紅、メアリーが持ってていいよ そんなような言葉を。]
[ わたしは素直に喜んだ。 その日家畜が数匹いなくなったし しばらくご飯が質素になったけど わたしは特に気にするでもなく。]
[その日 わたしは大切なことを学んだ。]
(390) 2015/05/19(Tue) 02時半頃
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[ その気がなくても人を傷つけてしまうことがある。 その気がなくても人を傷つけることができる。]
(391) 2015/05/19(Tue) 02時半頃
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