84 ― 手紙 ―
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ジェフに5人が投票した。
ポーチュラカに1人が投票した。
ジョージに2人が投票した。
ミナカタに1人が投票した。
ジェフは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ジョージが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ウェーズリー、アイリス、レオナルド、ポーチュラカ、プリシラ、サイラス、ミナカタの7名。
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[蒲公英に散らすには余りの、雑なインク文字を連ね 時折、便箋を覗き込んでは一人百面相を繰り返す。
書き終わる頃には 子猫が既に丸くなっているほど、時間が経っていて。]
花……… には、花言葉が在るんだったな。
[元教え子の手紙に目を落として、ぽつりと漏らした。 何度も書き直して薄汚くなった灰色に、溜め息を漏らす。 それを、旧友の手紙にも加えようとしたけれど 結局上手くことばに出来ず、]
……… 臆病なのは
[続く筈のことばは、飲み込んで。 ころり。子猫が寝返りを打った拍子に、奏でたおとに、かおも知らぬ送り主を思い出して、表情を弛めた。]
(0) 2013/05/28(Tue) 00時頃
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[
「幸運のナイチンゲール、どうかあの窓辺で歌って。 どうかどうか、皆が幸せになりますよう――」
少女は祈りを混め、青白い月光の下で一人祈った。 金色の光射さぬ明日などないと、ひたすらに希い。
組んだ手に震える唇をそっとつけて 夜明けが来るのを、待っていた――
]
(+0) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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[ガタン!
と、大きくテーブルは揺らめき、インク壷があわや滑り落ちそうになる。慌ててそれを押さえ、ペンを握り締め、肝心の原稿を抑える手はもうどこにもなかった。]
あ、ああ…… 汽車なんかで原稿は書くものではありませんね。
[車内の揺れがおさまると、インク壷から手を話し原稿を拾った。]
(+1) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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[それぞれを畳み、封筒に封をして、仕事鞄に放り込む。]
『もしも』
[自分が書いた文字と、昨夜の恩師の声が重なる。 今は出来るだけ聞こえない振りをして 草臥れたスーツから、何時ものシャツに装いを変える。
鞄の中身を郵便屋に手渡したのは 上の空で授業を終えた、夜。職場に態々出向いてくれたところで。]
これを。
[―――全て届くものだと、この時は信じていた。 差し出した手紙が懐に仕舞われるのを眺めて 郵便屋の背を見送ってから、一人、煙草に火を*点ける*]
(1) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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―― 電話口にて・回想 ―― ――ジェフリー・キースです。 ……ご無沙汰しております。
『久しぶりだな、ジェフリー』
お手紙、ありがとうございます。
『突然すまなかった。 けれど君しか良い人選が浮かばなかったんだよ。 それで、どうだね?』
私でよければ、お受けしたいと……ええ、……
『それはよかった。最近は警校も人員の入れ替わりが多くてね、すぐにでも君に講師として来てもらえれば……』
――、ですが一つだけ条件が……
『出来るだけ考慮しよう』
(+2) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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――私をもう一度、 生徒として警察学校に入学させてください。
(+3) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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―― 汽車内 ――
[窓の外に、住み慣れた街の風景が見える。 遠く遠く、小さくなっていくそれを、目を細めて眺めていた。
自宅はまだ借り上げたまま、荷物も置いたままだ。 それ故に手紙が届かなくなることはないだろう。
――ただ、時折訪れてきてくれた小さな客人、ミナのために 窓辺に目印になるよう、一度首輪から外した喧しい音の鈴を引っかけてきた。]
(+4) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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[上官からの手紙の内容は、警察学校の講師として招きたいという誘いだった。 素行もよく、取り立てて派手さはないが着実な勤務態度を評価されてのこと、とても嬉しかった。
仕事は確かに、向いていなかったと今でも思う。 けれど誇りに思ったあの職業に、もう一度挑戦できるのなら。
しかし一度は警察官としての職務から逃げた身、 素直に講師として返り咲くことは自分自身許せない。 だからこそ、その条件を申し出たのだった。]
(+5) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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書き終わったら一度見ていただいて…… ああ、絵本のこともお話しなければいけませんね。
[だが青年は、小説を書くことをやめたわけではない。 ただでさえ厳しい警察の職務の中、それでも書き続けようと決心したのは 手紙を交わし、清かに友情を育んだ者たちへのせめてもの恩返し。
たとえもう二度と手紙を交わすことができなくなったとしても 本の内容で、跋で、感謝の気持ちを伝えるために**]
(+6) 2013/05/28(Tue) 00時半頃
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― 昨日のこと ― [例のジョージ少年から手紙が来た日は、 言葉通りに立ち寄ってくれた郵便屋に返事を渡して。
結局、一晩中まんじりともしなかった。 仕方なしに夜遅くまで論文集を読んでいたせいで、 朝からひどい顔をしていたに相違ない。]
――もしも本当に、僕とアマンダの子だったなら。
[それは、彼女が傍に居たころによく夢見たこと。 彼女譲りの豊かな栗色の髪に、薔薇のような頬。
彼女が居なくなる一週間前に「一緒に暮らそう」の一言を言えたなら、何か変わっていただろうか。]
(2) 2013/05/28(Tue) 02時頃
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[けれども、その可能性がそう高くないのも分かっていた。 「君のパパの万年筆は僕のものではない」と書けなかったのは、 そうしたら、もう手紙が来なくなるような気がして。
親にも内緒で出す手紙なら、複雑な事情があるのだろう。 そう思って、一緒にポストカードを同封したはみたが――
『先生、大丈夫ですか』
前列の学生のいぶかしげな声。 そのときに漸く、己が教壇に立っていることに思い至る有様だ。]
すみません、少し……立ちくらみがして。
[以後、淡々と続けたつもり……だったが、板書を五回は間違えた。その日の講義のゴシップが、学生の格好のランチの友になったのは言うまでもない。]
(3) 2013/05/28(Tue) 02時頃
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―今日のこと―
[少しの早起きと、朝の手紙の時間は日課。 珍しく共にあるハーブティーは貰い物で、手紙を書くときに必ずあるポプリとは違う新しい香りがする。
受け取った手紙の一つ一つに目を通し、それぞれに向けて返事を書いた。 買い貯めておいた便箋は、きっとこれで、尽きる。
残り少ない、淡いピンク色。 初めて見た“ポーチュラカ”の花の色とよく似た色の一枚を手にとった。]
(4) 2013/05/28(Tue) 09時頃
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[すべてに返事を書き終えて、ゆっくり、一度深呼吸をした。
もしもの未来を嬉しいと言ってくれた言葉に、 幸運を祈ってくれる二人の天使に、 楽しみをくれた優しいプレゼントに、 悩みながら綴ってくれた手紙に、感謝する。]
(5) 2013/05/28(Tue) 09時半頃
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[それから、この数日で幾度も開いた詩集へと向けて。]
……頑張ってきます。
[迷いなく、小さく、言葉を向けた。
学校からの帰宅し郵便屋に手紙を預けることが出来た、その後。 母親と新しい家庭教師を前に、少女は珍しく反抗した。
その結果、更に母親に自由を制限される結果になったとしても、言わずにはいられなかったのだ**]
(6) 2013/05/28(Tue) 10時頃
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[窓辺で風に揺れる花>>4:36。 届いた時に添えられていた手紙へ視線を落とす]
誰が届けてくれたのかな。
[差出人の名前は書かれていなくて、 思いめぐらせながら手紙に添えられた花を指先でなぞる]
……ちょっとだけ、あの子から届いたのかと思った。
[あまり花には詳しくないけれど、その白い花には見覚えがあった。優しく野の風にも揺れる優しい花]
(7) 2013/05/28(Tue) 19時半頃
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[新作入荷の荷ほどきをしながら息をつく。 シャッターをしめた店内は、もともとの敷地が狭い分余計に圧迫感がある。 それでも、自分で店を持てたことは小さな誇りでもあり。
ディスプレイが終われば簡単に掃き掃除。 そろそろ雨が降り出すだろうか、普段より遅く店をでた頃には、 すこし雨の匂いがした]
(8) 2013/05/28(Tue) 21時頃
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[家に戻って一息ついたころ、ぽつぽつと音がして雨が降り始めた。 次第に雨音は強くなり、ざあ、という音に変わった。
それをBGMにしながら、受け取っていた手紙を読む。 しばらく悩んだあと、レターセットを二つ選んだ]
(9) 2013/05/28(Tue) 21時半頃
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― 自宅 ― [昨夜は、手紙の差出人を眺めながら、寝台の引力に負けた。
朝起きて眠気覚ましのコーヒーを沸かしがてら、 シチュー鍋に向かう母親の背中へ声をかけてみる。]
母さん。 もしも僕に隠し子がいたら、どうします。
[彼女は目をまるくして振り向く。あらあら、いるの?]
いえ、……例えばの話です。
[思案げに目を伏せる息子に頓着せず、彼女はシチュー鍋をかき混ぜる仕事に戻った。うーん、としばし首をかしげて。]
(10) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[珍しく男は店の外に居た。 店に立てなくなる時に番を頼む友の家だ。]
引き受けてくれる?ありがとう。
[品評会の間の店番は確保できたから、出かけても大丈夫。 気がかりなのは、手紙を直ぐに返せなくなることだけ。]
じゃあ、明日からで、時間はいつも通り。 入荷は止めてあるからあるものだけでよろしく。
待てる注文なら、 日には戻るから。
[あれこれと頼み込んでから、寄り道をして喫茶店へ。]
(11) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[席に案内されて注文をし、持ってきていた手紙を開く。 名前の無い手紙に首を傾げて、どうしたら良いかと少し迷い。 コーヒーを飲みながらさらりとした文字を綴る。]
(12) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[『そうねえ。吃驚仰天するでしょうけれど、 孫の顔を見られるのは悪くないかもしれないね。
だってこのままじゃ見込みが薄そうじゃないの』
彼女は、呑気に笑う。]
そうか……そうですね。
[つられて笑みをこぼしたそんな折、表からした声に]
ああ、郵便屋さん。今日もご苦労様です。
[数通の手紙を受け取って、自室に戻ることにした]
(13) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[昨日、ジョージはレターセットを使い切りました。 ジョージはその手紙に御伽噺を書きました。 嘘ではありません。 夢に見るような、望むこと。素敵なこと。 けして本当にはならないこと。 それらを少しだけ、紡ぎました。 いっぱいは書けませんから、 綺麗な便箋が一枚、余ってしまいました]
(+7) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[思い切って開いたもう一通。 ああこれがパパの文字なんだ、って 僕はパパと同じものが好きなんだ、って
そうジョージの目は語っていました。 すぐにお返事を書こうと私を手にして、そして 最後の便箋に一文、書いたのです]
(+8) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[まずは、昨日の手紙。 住所間違いの返送の礼のようだった。]
随分と律儀だな。…ふむ、K大学の卒業生。
[コーヒーを一口。 大学からそれなりに近い住所のようだから、そういうこともあろう…とは思っていたが。
さすがに「ミナカタ」の名前を見つけたときは、盛大に噎せた。]
ミナカタの教え子か……! ふふ、矢張り、慕われているのじゃないか。
(14) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[ぽつんと書かれたその文章を、ジョージはずーっと見ていました。
机の上には封をしたあの子あての手紙。 本が一冊。 それに便箋一枚と私。 それだけ。
机の中には何もありません。 部屋の片隅には、ジョージがちゃんと一人で持てるくらいの、小さな鞄が転がっていました]
(+9) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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―――今日―――
[酒自棄でも、二日酔いでもない 不快感とも異なる胸のもやつきに、朝早く目が醒めた。 カーテンの隙間から覗く空は、曇り空。
ベッドの隅で、子猫が小さく丸まっている。 起こさないように起こさないように、毛布を抜け出して 外履きを踵で潰し、玄関を開ける。 ―――遠く耳に届くのは、小学校の喧騒。それだけ。]
届いたかな。
[すっかり見慣れて仕舞った郵便服は見当たらない。 昨日渡した手紙は、何処まで届いたろうかと、考える。 書き直したい、ことばを足したい、結局口下手は治っていないじゃないか。]
(15) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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[ジョージを呼ぶ声がします。 こんなに嬉しそうな叔母さんの声は初めて聞きました。 息子がテストで良い点でも取ったのかしら?
……違うことくらい、私はもう、わかっています]
はい!
[大きく返事をして、ジョージは鞄を抱えます。本を入れて、私を胸にさして、封筒に手を伸ばして 最後の便箋一枚は、くしゃりと丸めてポケットに入れました]
(+10) 2013/05/28(Tue) 22時半頃
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