人狼議事


193 ―星崩祭の手紙―

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【人】 保険調査 ライジ

[

        “  星崩祭  ”


その名は、いったいどこの誰がつけたのだろう。
宇宙プランクトンの大移動の様から
そう名付けられたとは聞いているが
いまのこの星にとっては
なんとも皮肉の効いた名に聞こえてしまう。


星が、崩れる。
それはいったい どれほど美しい夜なのか。


期待よりも重く胸に広がる
この気持ちに名前をつけるなら、それは

            ────恐怖、だろうか。]

(37) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



       「  パパ、あのね!  」


[俺を呼ぶシンの声に、ハッとする。
いけない。ぼうっとしていた。

いまは明日のためにシンと二人でおつかいに来ている。
星崩祭の準備ではなく、
誕生パーティーのごちそうのため。
食べ物のたくさん入った袋と、
先日贈られてきた鶴たちを飾る、
鳥籠型のドームを脇に抱え
左手には小さな彼の手を握る。]

(38) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  んー?どうした?


[ゆっくり、並んで歩きながら彼の話に耳を傾ける。
イースターという子に送った手紙は届いたのか、だとか
菓子屋のおばさんがおまけをくれたのは
クリスマスという子から貰ったコインのおかげだとか、
彼の口から紡がれるのは
ここ数日、手紙のやり取りをした
外の世界の話のことばかり。
時折、なにかの曲を口ずさんでいたが
きっと、あのカプセルから響いた歌声を真似ているのだろう。]

(39) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

[そんな家路を辿りながら
シンがぎゅっと俺の手を握る。
「あのね、」
先ほどよりも少し小さな声で切り出されたのは、]


  うちゅう…ひこうし?


[「おおきくなったら、うちゅうひこうしになる」
シンはたしかに、そう言った。
俺は一瞬だけ、言葉に詰まる。]

(40) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  ……おー、すごいな。
  そんな言葉どこで覚えてきたんだ?

  宇宙飛行士かー。
  いいなあ。
  いろんな星に行けたら
  すごく楽しいんだろうなあ。


[できるだけ、自然に見えるように笑顔を作る。
シンはそれを見て嬉しそうに笑い、
また機嫌が良さそうに鼻歌をうたった。
どうやら、文流しをして外の世界に興味を持ったらしい。

“ おおきくなったら ”
その言葉が 胸をきつく締め付ける。

彼の夢が叶うことは、果たし────]

(41) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

  ………ッて!?!?


[コンッ。
俯く俺の後頭部に、何かが直撃した。
地に転がるのは、
掌サイズの淡赤色をした、僅かに光を放つガラス玉]

(42) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  これは、やっぱり……
  あの子から、だよな。


[家に帰ってきた俺は、
頭に直撃した手紙を何度も読み返す。
開いたカプセルは今日は歌わなかったけれど
「世界が終わるとき」
その文面には、見覚えがあって。
送るはずのなかったあれを、
なにかの間違いで送ってしまった ということだろうか。]

(43) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  なにを願う、か。


[ごろりとソファに寝転がり、
何度も何度も、読み返す。
部屋の隅では、鳥籠型のドーム中で
折り鶴たちがふよふよと飛んでいる。

シンは、昨日生まれた“星”に
今日あった出来事や、明日の祭のこと、
誕生日のこと、それから…将来の夢を話していた。
ちいさな“星”は相槌でも打つかのように
ゆらゆら、光のカーテンを揺らしながら
虹色に揺れていた。]

(44) 2016/07/20(Wed) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

── xing ──

[パパがおへんじをかきにいったとき
ぼくはちっちゃなこえでおほしさまにはなしかける]


   あのね、おほしさま
   ぼく こっそりおてがみかいたんだ
   パパにもママにも ナイショだよ

   かみさまに おねがいごとするの


[いひひってわらって
ぼくはまどから かぷせるをとばした。
だれにもヒミツ。
ぼくと、おほしさまと、
おそらのどこかの かみさまだけがしってるおてがみ。]

(53) 2016/07/20(Wed) 01時半頃

【人】 保険調査 ライジ

[手紙を書き終えリビングに戻ると
シンが窓辺でなにかをしていた。]


  ………?どうした、シン。


[声をかければ、彼はビクリと大きく肩を揺らし
ぎこちない笑顔で振り返った。
……こういう誤魔化しの笑みが下手くそなのは、
いったり誰に似たのやら。
何か隠しているようだけど、
彼が言いたがらないのなら無理に聞くこともないだろう。

ぽんぽんと頭を撫でると、
俺は窓を開け手にしたカプセルを空に放つ。
前夜祭、最後の手紙。
夜空に溶けて見えなくなるまで 見送った。

どこかで、歌う声がする。]

(58) 2016/07/20(Wed) 01時半頃

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