人狼議事


193 ―星崩祭の手紙―

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【人】 保険調査 ライジ



  なんだこりゃ。


[宇宙カプセルを飛ばした翌朝、
眠気眼を擦りながらリビングのカーテンを開けると、
バルコニーにいくつか見覚えのない物が転がっている。
その数、一、二、三………]


  ……っと、おぉ………?


[からりと窓を開け外に出れば
空からふわりふわりともうひとつ。
全部で四つとなったそれらは
この星のものとデザインは異なれど、
大きさや形状から、宇宙カプセルであることがわかる。]

(58) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

[見知らぬ誰かから、俺たちの星へ
たしかに届いた贈り物。
終わりゆくこの星が
一つの空でどこかと繋がることの証。]


  本当に、届くのか………


[舞い降りてきたひとつを捕まえながら
ぽつりと言葉の粒を落とす。
ならば、俺の声も 届いただろうか。
一方的に託した、あの願いも。]

[動かない俺を不思議に思ったのか
シンがバルコニーへ出てくると
転がるカプセルを見つけるや否や
「あー!!!!」と大きな声をあげた。
今日は休息日で仕事もない。
家族でゆっくり、カプセルの開封会をしよう。]

(59) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  んじゃあ、ひとつめ。


[俺の両端にはシンとセト。
三人並んでソファに座り、
テーブルの上にカプセルを並べた。

二人とも、キラキラとした目でそれらを見つめている。
その表情にくすりと笑みを零しながら、
端に置いたひとつを手に取って。
期待と、わずかな緊張を胸に
金色に水色で縁取りされたカプセルをゆっくりと開く]

(60) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  ……ん、いい匂いだ。
  それから……
  へぇ、珍しいものを贈ってくれたな。


[蓋を開けば、ふんわり広がる優しい空気。
料理の香りだろうか
嗅いだことはないはずなのに、
どこか懐かしさを感じるそれに
隣のシンの腹の虫がぐうと鳴いた。]

(61) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

[カプセルの中に入っていたのは
見事な彫刻の施された銀のコインと
羊皮紙に綴られた手紙。
貨幣の使われなくなったこの星では
コインは骨董品として扱われあまり見かけることはない。
まじまじとそれを眺めたあと、
手紙に書かれた最後の一文に目を細めた。]


  いいこと、あったな。
  お礼を書かなきゃ。


[シンは、まるで宝物でも見るように
まあるい瞳に手のひらの上の銀を映していた。]

(62) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  なあ、これ……


[便箋の中ほどに書かれた文を指差し
隣のセトに視線を向けるも、
彼女は不思議そうに、首を振るだけだった。]

(63) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  それじゃあ、ふたつめ。


[カプセルから取り出したのは、白い紙。
自分のものとは違う、
丁寧で綺麗な文字が綴られたそれを
声に出して読み上げる。

シンには少し難しかったようだが、
セトは手紙に耳を傾けながら
同封されたプレゼントを嬉しそうに指で撫でた。]

(64) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

  ……へ、写真?


[手紙を読み終えたあとのこと。
セトの唐突な提案に思わず間抜けな声が出た。
「せっかくだし!」と笑顔を見せる彼女は
自慢のカメラを取り出しセットしだした。
シンは嬉しそうに俺の膝に乗り、
3,2,1…とあっという間にシャッターが切られる。

家族写真を撮るのはいつぶりか。
俺はうまく、笑えていただろうか。]

(66) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  みっつめ、開けるぞ。


[印刷された写真を楽しそうに見ている二人に
「パパ変な顔〜」なんて笑われながら
俺は少しムッとした顔で次のカプセルを手に取る。
銀色のそれは、つるりと滑らかな手触りで心地良い。
中に入っていた手紙の文字は
さっきのものとは正反対の印象を受けた。]


  もらってください、だとさ。


[同封されていたのは三羽の折り鶴。
色の異なるそれらは、
折り目が少しずれていたりもするけれど
手紙の文面とも相まって、微笑ましく思う。]

(68) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

[シンは最近折り紙を覚えたのだが
鶴の折り方はまだ知らない。
手のひらに乗せた三羽の鶴に
わあぁ、と感嘆の声をあげると、
僕にも教えて!とせがんできた。]


  わかったわかった、
  あとでママに教えてもらおうな。


[わしわしと頭を撫で、そう告げれば
「パパは下手くそだものね」なんてセトが笑った。]

(69) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  これで最後だ。


[手にしたカプセルは今までのものよりやや重い。
また何か贈ってくれたのだろうか。
中を覗き込めば、そこには一通の手紙と──]


  ……、これ
  クダモノ ってやつか……?


[入っていたのは、瑞々しくきらりと輝く
良い香りのする 果実と思しきもの。
遠い昔に草木が絶滅したこの星では
歴史書でしか見ることのできないもの。]

(70) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  ……へぇ、宇宙は広いな。
  全く別の世界じゃないか。


[手紙に書かれた内容は、
知識としては知っていても
この星では見られないものの話。
言うなれば、おとぎ話…だろうか。
シンの瞳がきらきら輝く反面、
俺は──…]

(71) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ

[全ての手紙を読み終え、ふぅと小さく息を吐く。]


  ……これ、切ってみて。
  赤いの。そうそれ。

  俺、返事書いてくる。


[セトに果実を手渡すと、
俺はひとり自室へと向かいペンをとった。

世界を教えてくれた彼らに、
俺の言葉で、俺の世界を。]

(72) 2016/07/18(Mon) 01時頃

【人】 保険調査 ライジ



  ………よしっと。


[全ての手紙を書き終えると
シンとセトと一緒に贈り物を作り、
三人でまた、屋上から空へ飛ばした。
彼らの元へ、無事に返事が届くことを祈るのみ。]

[帰ってからは、例の赤い果実の試食会。
生まれて初めて口にするそれは、
甘くて酸っぱくて瑞々しくて

すごく、美味かった。]

(78) 2016/07/18(Mon) 01時半頃

【人】 保険調査 ライジ



[テレビのニュースが
例の小惑星が更に接近したことを告げている。
真新しい写真立てに飾られた写真の中の俺たちは
幸せそうに笑っていた。]

(80) 2016/07/18(Mon) 01時半頃

【人】 保険調査 ライジ


[ 飛ばしたカプセルのひとつに、
  本来捨てるはずだった手紙が混じったことに
  俺は、気がつくことはなかった。      ]
   

(82) 2016/07/18(Mon) 01時半頃

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