260 【R18ペア村】“Bloody Curse”
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[抵抗がないのは 腕のように動かせないからだろうか。
いつからとも 聞く事を許してくれなさそうな視線の棘に 口を噤んだまま黒い線を指でなぞった。>>3
感覚がないのか腕は垂れ下がったまま。 袖の影の奥に潜り込んでいる線が どこまで続いているのか確かめたかったけど。
剥くのは往来でやる事ではないし、 後ろ暗さがあると踏み込みも甘くなる。]
(5) 緋灯 2019/03/14(Thu) 01時頃
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話す気なんてなかったでしょう。
[溜息を吐いて袖を元に戻した。 唇を引き結ぶ弟は約束を反古にされたと 思っているのかもしれない。]
……本当に話してくれるなら、待つよ。
[聞かなくとも弟の身に何が起こっているか 外枠は分かってしまったけど。]
(6) 緋灯 2019/03/14(Thu) 01時頃
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歩ける?
[腕だけなのか足だけなのか。 さすがにこのまま外で立ちっぱなしだと また体が冷えてしまう。
すぐに歩けるようになるなら一緒に待つつもりで。 そうじゃないなら背負うつもりだった。]
(7) 緋灯 2019/03/14(Thu) 01時頃
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(そりゃあ、だって。ねぇ。)
[確信を持ったのは黒い線を見てからだけど、 姉を舐めてもらっちゃ困る。
たとえ表情から読み取れなくても 思考回路は十数年一緒にいるから想像つくもの。
(それに隠そうとする気持ちは私も分かるから。)
私の希望を汲み取って 少しだけ教えてくれるのを聞く。]
(35) 緋灯 2019/03/14(Thu) 22時頃
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[それが全部ではないんだろうけど>>21 今はこれでいいか、と 頭に手を伸ばしてくしゃりと髪を掻き混ぜた。 変わらない髪質にほっとする。]
また言いたくなったら吐き出しなさい。 別にエルが気に病むことじゃないんだから。
心配くらいはさせなさいよ。 [と言ったって この弟は頑固に口を割らないんだろうけど。]
(36) 緋灯 2019/03/14(Thu) 22時頃
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[力のない腕を引いて 家までの残り少ない距離をたどった。
その間、呪いについて考えながら。
薬草を手に入れるのに無理をしても 弟は喜びはしないだろう。
ならできるのは心配することと 無力さを痛感しながら見守ることだけ。 もちろんやれる範囲のことはやるつもりだけど。
それが私のツケなら甘んじて受けよう。]
(37) 緋灯 2019/03/14(Thu) 22時頃
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(でも、できるなら)
[蒼い三日月亭での話を思い出して、]
(死んでほしくはないなぁ)
[弟が頻繁に寝込んでいた頃みたいな思いは もう何年もしてなかったのにね。]
(38) 緋灯 2019/03/14(Thu) 22時頃
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ただいまー。
[母はもう宿の仕事に回っているようだった。
弟の呪いのことまで話すかは別として、 話だけはしておこう。
私も今の状態で表に出るのは 水が零れててもたぶん気付かずに踏んだり 塩と胡椒(器が色違い)を間違えかねないから、 弟の世話を焼く名目で裏に引っ込みたい。]
(54) 緋灯 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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え、家出のつもりだったの?>>42
[それなら『探さないでください』くらい 書いておいてもらわないと分からないじゃない。
その時は即行で探しに行くけど。]
(55) 緋灯 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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おかえりなさい。
[握り返されて軽くなった手と いつも通りの挨拶に口元が緩んだ。
冷えた体を温めて来いと風呂に叩き込んで、 その間にココアを温める。
ここからの段取りを考えながら目を瞑れば 日常に戻った気がした。**]
(56) 緋灯 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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[意識を向ける暇がないせいか それともこれが終着なのか、 あれ以来、呪いの進行は落ち着いている。
自覚してから急激に 視界が色褪せていったから、 病は気からは案外本当なのかもしれない。]
(84) 緋灯 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[色のない世界はすっきりしすぎて 味気なくはあるものの、 私の呪いは死に至るものではなさそうだし。
ご粘土みたいに見えるから ご飯が美味しそうに見えなくなったりとか、 液体が透けているせいで天気を間違えたりとか。
不便さは一通りあるけど、命あっての事だし、と。
あとは、いつか“白”と“黒”だけの世界になったら 目がチカチカしそうだなぁとか。 自分の呪いについて思うのはそれくらい。]
(85) 緋灯 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[開きっぱなしの弟の部屋から 滅多に聞けない大声で私を呼ぶ声がする。>>72]
ちょうどご飯できたところだから、 一緒に食べちゃってよ。
[謝罪は不要と聞き流して 水差しの隣に料理の載ったトレイを置く。
コップに水を注ぐ時は どこまで入っているか分からないから 控えめになってしまうけど、 飲ませるにはちょうどいいって事にしよう。]
(謝らないといけないのは私だろうし)
[こうして世話を焼くのが懐かしいと 不謹慎ながらに楽しんでいる。]
(86) 緋灯 2019/03/15(Fri) 22時頃
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はい、あーん。 ちゃんと口開けないと零すからね。
[冷めたら美味しくないと言いくるめると スープをすくって弟の口元へ運ぶ。
どれがソレなのか私には分からないけど 母が作ったスープには、 赤い悪魔は平然とした顔で浮かんでいるはずだ。*]
(87) 緋灯 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[スプーンがこちらの手の内にある以上 弟は言う事を聞くしかないのだ。
世話を焼くというマウントを取って 嬉々としているように見えるに違いない。]
いいじゃないの。
[甘やかせるのも(甘やかさせてもらえるのも) あと少しなんだから。
諦めて溜息を吐く弟に笑って すくったスープには人参が入っていたらしい。]
(94) 緋灯 2019/03/15(Fri) 23時頃
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好き嫌いはきけないなぁ。
[本当はどれが人参か分からないから 避けようがないんだけど。>>92
とはいえ、識別できていても 避けるつもりはないから変わらない。
にこりと笑みを浮かべたまま待ち、 渋々開かれた口にスプーンを差し入れれば 嫌そうな顔をしながらも食べるのは分かっている。
昔の記憶に重なる光景に 少しばかり思い出に浸りながら。]
(95) 緋灯 2019/03/15(Fri) 23時頃
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もう少ししたら 魔術師の人がきてくれるって。
[料理を粗方弟の胃に押し込めたところで 母から教えられた事を伝えようか。
根治の方法が見つかった事と、 症状的にも早めに順番が回された事と。
食事の前に伝えたら 落ち着いて食べれなかっただろうという言い訳。*]
(96) 緋灯 2019/03/15(Fri) 23時頃
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[>>120などと言いつつ 動いた口角に姉の機嫌は上向きだ。
家族二人しかいないからか 割とすんなり私に世話を焼かせてくれる弟も この茶番を楽しんでくれているといい。 ただ居るだけじゃ気も滅入ってしまうだろうから。]
(129) 緋灯 2019/03/16(Sat) 12時半頃
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あははははは だぁれがオニババだって?
[にこぉり。 笑みを深めて一旦スプーンを置くと 陶器みたいな額にでこぴんをお見舞いしてあげた。
小気味良い音が聞こえて満足したら 食事の続きといこうか。
私も鬼じゃないし、 復活するまでは待ってあげるとも。
こういう時くらいじゃなくて こういう時だからこそいつも通りにするんだ。]
(130) 緋灯 2019/03/16(Sat) 12時半頃
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[そうして食事が終わって 大事な事を告げている間、ぽかんとした弟は 治る現実に頭が追いついていないらしい。
前日まで感染経路も治療法も不明だと 言われていたから無理もないか。
噂と呪いが広がっている間、 都の方で偉い人達がずっと頑張っていたらしい。
治療法が確立するまでは 混乱を起こさないよう部外秘にされていたせいで 治りますって言われても唐突に感じるけど。]
(131) 緋灯 2019/03/16(Sat) 12時半頃
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なにしに、ってもちろん。 エルの腕にある黒い線を消しによ。
[治るんだよと重ねて言った。*]
(132) 緋灯 2019/03/16(Sat) 12時半頃
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[私より頭がいいくせに 物分りや諦めがよすぎるきらいがある弟は、 治る事より残り時間ばかりを考えていたらしい。
なかなか口を割らない頑固者は 弱音を吐いたり癇癪を起こしたりもしなかったけど。
それは死ぬかもしれない事を 受け入れていたからだと気付いてしまった。]
(156) 緋灯 2019/03/16(Sat) 23時頃
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――出てもらわなきゃ困るんだけど?
席はもう決めてあるし お色直しの随伴、誰がするっていうの。
[歪んだ顔は怒ったように見えただろうか。
別にそれでも構わない。 怒っているに間違いはないんだから。
膝の上に投げ出されている弟の、 まだ黒い線の見える手を強く握った。*]
(157) 緋灯 2019/03/16(Sat) 23時頃
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[小さな頃から弟が熱を出して寝込む度、 いなくなってしまうかもと不安に駆られていた。
それを表に出したらもっと怖くなるから、 あえて目を背けて暗い考えは持たないようにして。
弟が生に無頓着なら その分、引きずってやればいいと思っていた。
いつか一人で生にしがみつけるまで。 代わりに引っ張ってくれる誰かを見つけられるまでは。
だってお姉ちゃんは心配なんです。 なにせこんな事を言うものだから!>>160]
(164) 緋灯 2019/03/17(Sun) 00時頃
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弟が姉より先越すなんて生意気。
[一方的に手を握ったまま もう片方の手で布団を頭まで被せてあげた。
怒らないでよと言うなら 怒らないといけないような事を言わないでほしい。 そんな式絶対出てやらないし。]
当日、一番に祝ってよ。
[頭か肩かは分からないけど そのあたりの膨らみを軽く叩きながら。 増えた瞬きを堪えて小さく鼻をすすった。*]
(165) 緋灯 2019/03/17(Sun) 00時頃
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[うん、よかった。本当に。
きっと全部治って、元気になったら、 今を顧みて自室に引きこもるんだろうなと思うと ふとんつむりをもうしばらく眺めているのも悪くない。]
今はね。
[さっき馬鹿な事を言った時は怒ってたけど。
機嫌を伺うように二度も聞いてくる弟に 布団の中の手をもう一回しっかりと握ってやって。]
(172) 緋灯 2019/03/17(Sun) 00時半頃
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怒ってないから出ておいで。 治してもらおう。
[部屋の外で母の声が聞こえる。 どうやら魔術師が到着したらしい。
布団の隙間から見える目に なるべく優しく笑いかけて起き上がらせよう。]
(173) 緋灯 2019/03/17(Sun) 00時半頃
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[大人しくしていれば治療はすぐに終わるはず。 無事に終わればほっと安堵の息を吐いて。
同じ家にいるから ついでにお姉さんも一緒にやっちゃいましょう、と。
最後の最後で罹患しているとバレて、 私がふとんつむりになりたい気持ちだった。+]
(174) 緋灯 2019/03/17(Sun) 00時半頃
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[魔術師の仕事を間近で見る機会は 一般人にはそうそう与えられるものではない。 頼んで治療を見学させてもらった。
ちゃんと弟が治るのかどうか 自分の目で確かめたかったのもある。
――といっても黒と白が 視界で忙しなく動くのを眺めるだけだったけど。
黒い針金は弟の腕から消えたし、 もう大丈夫と魔術師のお墨付きももらえれば 私の愁いは消えたのだった。
――すぐに別の問題が出たけど!]
(182) 緋灯 2019/03/17(Sun) 01時半頃
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いや、私は……
[誰だ言ったの。母親しかいないけど!!
歯切れ悪くしている間に 弟が魔術師に確認を取ってしまったおかげで ますます言い逃れができなくなった。
じとりとした視線が怖い。 治療を拒否したら数日間が針の筵なのは 容易に想像できたから、 私も大人しく治療を受ける事になり。]
(183) 緋灯 2019/03/17(Sun) 01時半頃
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