190 【身内村】宇宙奇病村
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狼
墓
少
霊
全
ヤンファに7人が投票した。
ワクラバに1人が投票した。
ヤンファは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
シルクが無残な姿で発見された。
亡霊
今夜、人狼に殺された人は人狼になる。また、襲撃を実行した人狼は命を落としてしまうだろう。人狼となった者は報復行動を行わない。ただし、命拾いをしたならば人狼にはならない。
一匹狼は亡霊を作らない。
現在の生存者は、ミツボシ、イースター、ワクラバ、ワレンチナ、アシモフ、エスペラントの6名。
[ヤンファの事故から既に2日が経とうとしている。船の管理機能はセーフティモードで稼働しており、生命維持に関する問題は現時点では無い。
ただし、次元航法装置がすぐに直るような見込みも、まだ無い。]
(#0) 2016/05/18(Wed) 00時頃
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― 2日前 / コンソールルーム ―
(>>2:142)
よろしく、じゃないよ…… あなたの3分の1も生きてない小娘に、何させるのさ……
[それでも、言われた通りに操作した。 ヤンファの決意を尊重した――などと、聞こえの良い物ではなく、ただ、そうする事しかできなかったから。]
(0) 2016/05/18(Wed) 00時頃
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馬鹿>>2:138言うな、僕のRemdaの研究も済んでないのに!次またあの星に行くまで何年かかるかわからないんだ。第一Ollovaの研究は君の仕事だろう?僕は文学には疎いし、自分の研究には最後まで責任を――
[入り乱れていた複数の通信が、やがて、途切れた。 ワレンチナはサイド首を巡らせ、その場にいる二人を見る。 二人に視線をやったまま、青ざめわななく唇をわずかに開いて、『彼』を呼ぶ。]
……シルク。シルク、僕の通信聞こえてるだろ。 おい、一言で良い、応答してくれ。シルク、
[応答は、なかった。]
(1) 2016/05/18(Wed) 00時半頃
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― 現在 / 食堂兼レクリエーションルーム ―
……はぁ、
[先程から、パック入りのチャージドリンクを飲んでは溜息を漏らす事を繰り返している。]
[ヤンファ決死の作業によりAIが鎮静化したその後、死に物狂いで事後対応にあたり、どうにかこうして一息つけるまでに落ち着いた。 勿論、このままセーフティモードで航行を続けていたところで未来は暗い。 まだ余裕が有るとはいえ、船内の食糧や酸素は有限だ。]
[そしてそれ以上に、ナユタに続いてシルクまでが昏睡してしまった事が皆に衝撃を与えていた。 原因不明の、病と称するべきかも未だ判らないそれが蔓延でもしようものなら、船は棺桶と名を改めて宇宙を漂う事となる。]
[考えなくてはならない事は山積みだ。 けれど、今は少しだけ休みたかった。]
(2) 2016/05/18(Wed) 01時頃
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― 2日前 / 動力室廊下 ―
[AIが混濁した音声で火災と嘘をついていた。 火など出てはいなかった。 操作盤の作業をワクラバに次いで終えて、塞がれた行く手を開く作業を手伝った。
それから、通信が入った。 苦しげな咳が最初。ヤンファのものであった。
ヤンファが報告してくれたのは、AIモジュールのカードを見つけ、抜くことが出来そうなこと。 次いで、ヤンファが潜ったあの部屋の「ファンを遮断してくれ」との指示。 事情の想像がついてすぐワクラバの大声が側で聞こえていた。 ワクラバは動力室を飛び出していった。 ミツボシは嘘の話し、ワレンチナは震えている。]
……よくやってくだすった。ではその通りに。 [ヤンファがあの星で見つけた生物についての心配ごとが最後、通信は終了。 非常に優秀な船員であるから、最重要指示は手短に伝えてくれていた。]
(3) 2016/05/18(Wed) 01時半頃
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[すぐさま助けに行ってやることは不可能だった。 ワクラバに考えがあって飛び出していったように、何か外からしてやれたとして、やはり「持ちこたえてくれ」という時間が関わる方法になる。
――アラートが、止んだ。]
(4) 2016/05/18(Wed) 01時半頃
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[ワレンチナは、早口にヤンファへ更に言葉を伝えようとしていた。通信が途切れ、ワレンチナと目があう。 真っ青な顔をしていた。]
病葉さんに考えがあるようじゃ。任せよう。 今すぐには救ってやれん。わかるな。
あんたさんにはヤンファさんから頼まれた事がある。 そちらは任せましたよ。
[次いでワレンチナはシルクに通信を繋げ、連絡をとろうとしているようだった。或いはずっと繋げたままでいたのかもしれないが。 確かにヤンファとの通信の際にシルクの声は聞こえなかった。]
? どうしたんじゃ。 シルクさんが返事をせんのか?
(5) 2016/05/18(Wed) 01時半頃
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[コンピュータールーム通路の緊急隔離シャッター。それを降ろすことで、ハッチの外にもうひとつの小さな密室を設けることができる。まずコンソールルームからハッチの手前に侵入し、シャッターをおろす。できあがった密室にオゾンを吸入。内部のオゾン濃度が十分に上がった状態で、ハッチを開き、ヤンファを救助。脱出する際は、その逆を行う。コンピュータールーム内のオゾン濃度が自然に安全値を下まわるよりかは、はるかに早い。しかし、どうしても時間はかかった。
救助したヤンファは、意識不明の重体。全てはアシモフの治療に託された。]
(6) 2016/05/18(Wed) 01時半頃
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[エスペラントもワレンチナに倣い、シルクに呼びかけてみる。 しかし応じない。]
…… 心配じゃな。様子を見にいったほうが良いかもしれん。
[エスペラントは傍らのワレンチナを見上げた。**]
(7) 2016/05/18(Wed) 01時半頃
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― 現在 / 医務室 ―
Moon river, wider than a mile〜♪
I'm crossing you in style some day〜♪
[寝台が並ぶスペースに、控えめな音量で音楽が流れている。ワクラバは、隈の浮かんだ目で、寝台の上に横たわる2つの保護膜を見つめていた。中で眠りについているのは、ナユタ。そしてシルク。
ワクラバは、手元に携えたクリアバインダーを開き、なかに収められた手紙を1枚、1枚、丁寧に捲ってゆく。最後のページに収められた手紙(>>2:137)は、文章が途中できれている。そこから先に、どのような文字が綴られるはずだったのか。繰り返し読んでも、答えは見つからない。]
……いいぜ、なんだって答えてやるよ。キューティ。 なんだってな。
[保護膜のなか、シルクはただ静かに寝息をたてている**]
Old dream maker, you heart breaker〜♪
Wherever you're going〜♪
I'm going your way〜♪
(8) 2016/05/18(Wed) 02時半頃
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『じゃあ……もしも僕が、男の子になったら。
きみはずっと、僕と一緒にいてくれるの?』
[目の前には、瞳に涙を溜めた恋人がいる。
彼女は何も言わずに、ただ肩を震わせている。
ワレンチナは眉尻を下げ、諦めたように微笑んで見せた。]
『うん……いいよ。大丈夫。……さようなら。』
[言って、席を立つ。彼女は声を立てずに泣いた。]
(泣きたいのは僕の方だ――
先に好きだと言ったのは、君の方じゃないか。
今さら。今更だ。
"やっぱり女の子同士で付き合うのは間違ってた"だなんて。)
[幼い頃から、女の子らしいものを欲した事がなかった。
かといって、嫌悪もなかった。単純に、それよりも好きなものが多かっただけだ。
学会の重鎮を両親に持つエリートで、かつ性別を感じさせないワレンチナは、幼い頃から周囲の少女達にこう持て囃されてきた――『王子様』。
そんな王子様に初めての恋人ができたのは、14の時。相手は取り巻きの一人だった。女同士。けれどもそんなことは障害でない。今日日LGBTは珍しいものでもなんでもないし、社会的にも認められている。しかし、最初は遊び半分だったワレンチナが彼女に対して幼いながらも真剣な愛情を抱き始めた頃、夢見がちに目を潤ませていた少女の表情には、逆に陰りが射し始めた。
二人の付き合いは、そう長くは続かなかった。]
[初めての恋人と別れた後、ワレンチナはしかし再び女性と付き合った。そうしてまた、ダメになった。
そうして、その次は男性の恋人ができた。ワレンチナは自身が女性であることの喜びを、初めて感じることができた――が、それなりの時間を共に過ごした後、どこにでもありがちな理由で、彼とも別れた。
そうして悩み、次はまた女性、男性、女性、男性……。
そんな事を繰り返すうちに、ワレンチナは性別というものを気にしなくなった。
僕が女だろうが男だろうが、僕はただ、恋をする。男にも、女にも。遊びと割り切った関係さえ持つ。
それでいい。それが僕の、『在るがまま』の姿なのだから。
そうして、長いことそのようにして過ごしてきた。
自由に、飄々たる『王子様』として。]
[そして。
突然投げかけられたシルクの言葉は、ワレンチナの深く柔らかな部分を緩やかに刺した――最も、それが奇病の感染した瞬間であるということに、ワレンチナは無論気がつくことはない。
けれども、何れにせよ。
『もし、ボクが男の子になったら』。
『交際相手もしくはそれに類するものに』。
それはワレンチナにとって、一番古く、消えない傷をなぞる言葉だった。未だ幼かった自身の、それでも真剣だった初恋において、戸惑いと葛藤とを打破せんと溢れた、祈りのような言葉だった。
それを投げかけた、男でも女でもない――それ以前に、まだほんの子どもだったシルク。
けれども、そうして。
ワレンチナは、無意識にシルクの事を『彼』と呼んだ。]
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[「オゾン中毒?!!」 ワクラバが担いできたヤンファを見てそうアシモフが困惑したのはもう2日前のこと。あの時はナユタのことを集中して考えたくて、船内の通信をほぼシャットアウトしてたせいで事態の詳細を知らなかった。
彼女は運ばれてきた時点で、既に生死の境だった。多量のオゾンを吸引して生きていられるわけがない。 やれることは多くない。まず迅速に肺と肌、血液の洗浄を行う。並行して心臓を保たせる。彼女のいじられた体がどれだけ耐えられるかわからなかった。呼吸が止まる。
処置が全て終わっても、彼女のバイタルは弱まっていくばかりなのはわかっていた。あとできることは、彼女の現状のまま保存しておくこと……。]
(9) 2016/05/18(Wed) 11時頃
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(馬鹿馬鹿しい)
[想像してしまったのだ。弾かれるように。
他種のパートナーを得る事で性別を決定し繁殖するボムビークス種、そのシルクが自身を女性のパートナーとして選び、成人し、自分と子を成す。その未来を。]
(あんな、子ども相手に)
[無論、これまで生活を共にしてきた期間の中で、シルクを異性として意識したことなど全くなかった。
自身と同じように、曖昧な性を生きるボムビークス種。その若き天才児の選ぶ未来がどういったものか、ただ単純に楽しみだった。名も知らない花の生長を見守るような、そんな心地だった。けれども。]
(僕は、期待したのだ。
自分の性について、浅ましい期待を。)
[胸が痛かった。この痛みは何のための痛みか?
しかし妙な事に、思考は非常に冴え冴えとしている。]
[ワレンチナは、溜まった涙を振り払うように瞬きをした。
金の睫毛に小さな水球がまとわりつき、やがてふわりと宙に放たれてゆく。]
(このやりきれない気持ちをどうしたらいい?)
(シルク、君のことを。自分自身のことを)
(ひとり。誰かひとりだけに、吐露するならば)
(相手は、そう――――)
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― 現在、食堂兼レクリエーションルーム ―
[食堂へ入ってきたワレンチナは、真直ぐイースターに歩み寄ると、机の上に何か平たい紙の包みを置いた。 念を押すように指先でついとイースターの目前に滑らせたそれからは、仄かに甘い香りが立ち上っている。タブレットのようだ。食堂で見かけたことのないパッケージで、どうやらワレンチナの私物らしい。]
……相変わらず、この状況を打破するために僕が出来ることは何も無い……のだけれど、君にバーチャルでない味覚を提供出来るということに気がついた。
気に入りのショコラティエで買ってきた、最後の一枚だ。 良ければ君に食べてほしい、イースター。 茸じゃなくて申し訳ないけどさ。
(10) 2016/05/18(Wed) 12時半頃
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[ナユタに次いでヤンファとシルクが昏睡状態に陥った今、この船の命運を握っているのはイースターと言える。彼女のプレッシャーは計り知れないものだろう。 そして今のワレンチナが彼女のために出来ることは、気休めのような拙い気遣いだけだった。
チョコレートを差し出すと、ワレンチナはそのまま踵を返した。よどみない足取りで、真直ぐに廊下を進んでゆく。ソールの修理は済んでいる。]
『――シルクさんが返事をせんのか?』 (しない。しないんだ、先生。)
『心配じゃな。』 (心配だよ。)
(何もかもが心配で、不安でたまらないんだ。 どうしたらいい?先生。)
(11) 2016/05/18(Wed) 12時半頃
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― 医務室 ―
[ワレンチナは迷うことなく医務室のドアを開けた。医務室には先客がいる>>8。一瞬はっとして立ち止まった。]
ワクラバ。
[寝台の横のワクラバは、手になにか資料のようなものを持っている。無闇に側へよるのが躊躇われ、ワレンチナは入り口に立ったまま声をかけた。]
取り込み中か? なあ、よければ少し……話さないか**。
(12) 2016/05/18(Wed) 12時半頃
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[医務室の奥、壁を開くようにすると、使う予定なんてまるで無かった縦型のポッドがいくつか並ぶ。薬液に満たされたその中の一つにチューブの接続されたヤンファが浮かんでいる。]
(13) 2016/05/18(Wed) 13時頃
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― 実験室 ―
[アシモフは居場所を実験室に移していた。ちょこまかと動き、と思えばデータを見てじっと何分も身動ぎせず。元から赤い目は更にぎらぎらと血走り、ずっと険しい空気を纏っている。この三日間、ほとんど寝ていない。]
……何か、何か見つかるはずだ。 何か、見つけないと。
(14) 2016/05/18(Wed) 13時半頃
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[追憶に勤しんでいた意識が、不意にかけられた声(>>12)で現実に引き戻される。目を向けると、医務室の入り口に立つワレンチナが見えた。]
よぅ、ワレンチナ。 ······ありがてぇ。 丁度こっちも誰かと話してぇとこだ。
[クリアバインダーをそっと閉じた。目下の危機が去ったいま、時間が経つにつれて、胸に巣くった不安と悲観は大きく成長していく。ワレンチナの表情を目にして、胸がよりいっそうキツくしめつけられた。ヤンファの忠告通り、孤独は生き物を弱くする。見知った顔と言葉をかわせるのは、それだけでもありがたい。ワレンチナも似た心境なのだろうか。]
場所、うつすか? それとも、ここがいいか?
[ワレンチナは、医務室に用があったのだろう。見舞いの邪魔にならないよう、ワクラバは、シルクの寝台から数歩下がった**]
(15) 2016/05/18(Wed) 15時頃
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-食堂兼レクリエーションルーム-
[ワタシの役割はヤンファ様を待つことだと定義されました。 誰も彼も一人にしないことだと定義されていました。 雑用、ワタシは自分の役割をそう決めました。
しかし、運び出されたヤンファ様を見たとき、ワタシはその役割の何一つとして全う出来ていないことを知りました。ナユタ様も、シルク様も、ヤンファ様も、一人でお眠りになりました。
食堂に入り、椅子に座ってみましたが、もう照れの機能は働きませんでした。ただ、あの星で一つの物としてあったときのように、寂しさという機能を感じていたのです。
ヤンファ様が嘘をつかれたように、ワタシは嘘をついています。 ワタシは皆様の仲間でありません。それどころか、あの病気をこの船に持ち込んだ張本人かもしれないのです。
打ち明けなければ。 ワタシは何度もその音を発生させようと試みました。しかし、名も知らない機能が邪魔をするのです。声にならないのです。
シルク様、ヤンファ様、ワタシはやはりメンテナンスをしていただくべきでした。 ワタシはきっと、壊れているのです]
(16) 2016/05/18(Wed) 16時頃
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[ワクラバがバインダーを閉じるのを確かめる>>15と、ワレンチナは少しだけ寂しげに微笑んで見せた。それから歩を進め、シルクの寝台の前に立つ。保護膜の中で眠るシルクの表情は穏やか――とまではいかなくとも、ほんとうに、ただ眠っているだけのように見えた。隣で眠るナユタも同じで、それだけが今のところ、頼りなげな救いのように思えた。
けれど。ヤンファはどうだろう。 一人、皆の為に犠牲となったヤンファは。 今は閉ざされている奥の空間では、アシモフが必死に対応をしてくれているはずだ。ワレンチナはきつく下唇を噛む。]
……うん……ここじゃないほうがいいな。 僕らがうるさくして二人が目を覚ましてくれるならさておき……いずれにせよ、君と二人きりで話したかったんだ。人に聞かれると照れる話でね。
[冗談めかして肩をすくめてみせるが、その表情から陰りは消えない。 そうしてワレンチナは今一度シルクの顔を見つめたのち、ワクラバと連れ立って医務室を出た。]
(17) 2016/05/18(Wed) 16時半頃
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― 倉庫 ―
[ワレンチナ真直ぐ迷う事無く倉庫へ向かった。 そうしてほの赤く輝く巨大な水槽の前に立つ。 水槽はPavr=opety星の海水で満たされ、無数の白い星のような極小生物Remdaが踊り、その中でPavr=opetyの水棲生物達がたゆたっている。 ワレンチナは水槽を見つめたまま、ワクラバの方を向かずに口を開いた。]
……落ち着くんだ。昔からね。 水族館が好きだった。……カニだとか、クラゲだとかがさ……。
[ひとつ、息を吐く。ワレンチナの視線は、クラゲに似た水棲生物に注がれている。]
単刀直入に聞くんだけどさ。 ワクラバ、君って、シルクのことをどう思ってた?
将来『彼』が――自分と結ばれる可能性を。 想像したことが。あった**?
(18) 2016/05/18(Wed) 16時半頃
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― 実験室 ―
……整理だ。整理しないといけネい。可能性は絞られてるはずだ。既知の病ではないということは既に明白なわけデ。つまりおそらくは風土病、それもPavr=opetyの風土病だ。感染源は特定できない。ぼくたちの準備も防護服も万全だった。つまり感染元はこの船の中か、そうでなければこれもまた未知の感染方法ってことになる。二人が同じ症状で倒れていることで感染症であることも予想できる。しかし対応策がまだわからないためこれは隔離することでしか対応できネい。まるで前時代だ。くそ。バイタル、内部数値全て正常の範囲内。急激な変化も見えない。つまり急速に死に至る病ではない。 シルク、君の意見を聞かせてくれないか……。
[データを見つめたまま一人言葉をずるずると喋り続けて、思わず助手に話しかけようとしてしまう。]
……。
(19) 2016/05/18(Wed) 18時半頃
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― 倉庫 ―
[促されるまま、ワレンチナのあとに続いて巨大水槽の前に立つ。ほんのりと赤い液体が水槽を満たし、なかでは海洋生物たちがのんびりと浮かんでいる。 なんだかひどく懐かしい。
水族館。おそらくそこがワレンチナの原点なのだろう。おおかた水槽のメンテナンスについての相談といったところか。そう考えた矢先、耳にした予想外の質問に、思考が一瞬停止する。]
······そいつぁ、“つがい”にってことか? シルクと·····俺が?
······アカデミックな知見を聞きたい、 ってわけじゃなさそうだな。
[なるほど。確かに本人の前ではできない、照れる話だ。 生々しい話は嫌いじゃない。いつだったか、ワレンチナがそう口にしたことを思い出す。]
(20) 2016/05/18(Wed) 20時半頃
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オーケー。俺とお前の仲だ。 ここだけの話ってことで頼むぜ?
[フェイスガードの奥で頬の筋繊維がビリビリした。 いつもの不快なストレスによるものとは、一味ちがう。]
想像したことがない、と言や······そりぁ嘘になるよな。 あのシルクが大人になって、女になって、腕のなかにいる。 あのクリスタルみてぇな眼で見つめられて、 『兄さん』と呼ばれる。
まぁ、男冥利につきるよな。こうやって想像するだけでも、満ち足りた気分になるぜ。
だかな······そうじゃねぇんだ。 いや、それもあるんだがよ。 なんていうかな。俺にとってシルクは······ もっとでけぇんだ。
女になろうが、男になろうが······ だれとつがいなろうが、そこは変わらねぇ。
(21) 2016/05/18(Wed) 20時半頃
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(無能だ)
[実験室の分厚い机に額をこすりつけてアシモフは己の無力を嘆いた。恨んだといってもいい。]
(こんな。ぼくらの脳みそじゃこのへんが限界だってことか。所詮ネズミだ、小動物だと。知的生命体とは言えないと、こんな宇宙の辺境まで来て言われなければいけないのか)
(ヤンファだって治しきることができなかった。期待されていたのに。ワクラバはぼくを頼ってきたっていうのに)
[薬液に浸かってただギリギリの生命を維持しているだけの彼女を想う。自分の力が足りていれば何とかなったろうか。この小さな体で手間取った時間が取り返しのつかなさを生んだろうか。設備があれば、最善の道具が揃っていれば。]
(ナユタも、シルクも起こすことが出来なければ、ぼくがここにいる価値は)
(22) 2016/05/18(Wed) 21時頃
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[――そして、功績を挙げられなければ故郷の同族達は。仲間達の体よりそれを考えてしまった。功績が欲しい。自分を誇りに思い頼って送り出してくれた家族たちのために、功績が欲しい。 そのために、彼らを治さなければならない。そう考えてしまった自分を恥じる余裕も無かった。]
(23) 2016/05/18(Wed) 21時頃
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(だけど)
[こすりつけた頭を更に強く押し当てる。圧力で鼻が潰れそうだ。 ナユタとシルク、あの二人の体はもうわからない。投げ打ってしまいたい。耳につけられた『01』の印が音をたてる。]
健康な体をどう治せって言うんだ……!
(24) 2016/05/18(Wed) 21時頃
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[ワレンチナの横に立ち、水槽の中で揺れるクラゲをみつめる。]
こっからは先は、有料だぜ。 聞かせろよ。お前はどう思ってんだ? シルクのことをよ。
(25) 2016/05/18(Wed) 21時頃
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[水槽を見つめながら、ワレンチナは黙ってワクラバの言葉>>21を聞いていた。 自然、脳裏にはシルクの姿が思い描かれた。男でも女でもない、それ故の透明感。無垢さ。シルクが成熟した姿は――たとえ男であろうと女であろうと、ワクラバの言葉を借りれば、想像するだけで満ち足りるようなそれになったに違いないだろう。]
……。うん。
[ワレンチナは、ふ、と、笑うような、しゃくり上げるような息を一つ漏らした。]
(26) 2016/05/18(Wed) 22時半頃
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[そうしてシルクをどう思っているかと聞かれれば、一瞬だけワクラバを横目で見てクッと笑い、再び水槽に視線を戻した。]
僕? 僕は――ただ、きれいな子どもだと。思っていたよ。 純粋に、生物的に興味があった。 ボムビークス種を見るのは初めてだったし、この先どんな風に成長するのか、その変化はどんな風に訪れるのか。間近でそれを見てみたいと思ったんだ。恋や愛や、そんな感情は持ち合わせちゃあいなかった。何せ20も年下だよ。そんなこと、思いつきもしない……。
[俯く。所在無さげに、意味もなく靴のかかとで床を擦る。]
……。 だけどね、シルクは僕に言ったんだ。
『もしもボクが男の子になったら、あなたはボクを交際相手か……それに類するものにしてみたいと思いますか』、ってさ。
(27) 2016/05/18(Wed) 22時半頃
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― 機関室 ―
[ヤンファ事件から2日が経った。 AIが起こしたエラーと、それによる各エリアの点検整備は手間も暇もかかった。 コンソールルームに座りっぱなしだったイースターをはじめとし、皆くたくたになって当然なほど働き、今現在はようやく一息つくことが出来るようになったところだ。 ただし、次元航法装置は未だ使用不可能である。]
(28) 2016/05/18(Wed) 22時半頃
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僕は大いに動揺した。 シルクが僕をそういう対象の一枠に嵌めていたことにも、まあ驚いた。でも、僕が動揺したのは、そこにじゃない――僕はその時、否応なく、一瞬で――
[声音が震える。]
期待した。想像してしまったんだ。 あんな子ども相手に。 男として成長した彼とつがい、子を成すという、ありえない未来を。
(29) 2016/05/18(Wed) 22時半頃
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[次元航法装置のことを、エスペラントは「雪竇さんの抜け道」と呼ぶ。 いつの時代、どの星からやってきたのか、起源に関してを歴史家や宗教家の間で未だ議論されている神話の「大唐打鼓新羅舞」にまつわる話から、エスペラント達僧侶の乗る船では、冗談交じりに僧侶からそのように呼ばれてきた。
今も機関室で次元航法装置を点検しているのだが、船内から手の届く範囲に故障や損傷があるようにはみえない。 エスペラントは車輪の足で、機関室をぐるりと回って、ため息のように「やれやれ」と言った。
現在はセーフティモードで気長な宇宙旅行をさせられている状態にある。食料や酸素の面での心配は勿論だが、ナユタに続きシルクが倒れた。
感染元もわかっていないが、あれが「病」であるのなら。 この調子で次々皆が倒れていったら。
いつか食事と酸素が底付きて酸欠か飢え死にの前に、皆ねむり続けて衰弱死、なんて未来を想像するのは簡単なことだった。]
(30) 2016/05/18(Wed) 22時半頃
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[小さな咳払い。しかしワレンチナは話し続ける。]
……ワクラバ、僕はね……、 外側はおおよそ女性だが、内側はそうじゃあない。AIS……アンドロゲン不応症、ってやつだ。生まれつき子宮も卵巣もない。言ってしまえば、男の成り損ないってやつでね。 まあ、僕はそれに気がつかなくても……生理が来なくて、病院で検査を受ける以前から……、もともと男の子みたいな振る舞いをしていたけれど。
で、僕は……、 色々あったけど、自分のことを男でも女でもないものと定め、それが僕の『在るがまま』として過ごしてきた。男とも女とも恋人になったし、関係も持った。一生そうしてゆくと思っていた。
でもね。シルクのその一言で、 僕は本質的に、女なのだと――『彼』は僕を『女性』と認識したし、僕もまた、無意識にそれを肯定したことに――気づいてしまった。 その事がひどく、ひどく、辛いんだ。今、とても。
(31) 2016/05/18(Wed) 22時半頃
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僕はシルクが羨ましかった。 成長過程で自分で自分の在り様を選び取れるボムビークスであることが。そうして――ワクラバ、君のように――男だろうが女だろうが、『君自身ならば』と言ってくれる存在が、いることに。
[水槽を見つめたままの瞳から、はらはらと涙が溢れている。]
だって、そうだろう。 あの子が僕にあんな問いかけをしたのは――あの危機的状況からくる不安が、吊り橋理論がそうさせたに過ぎない。けれどもそれは僕の心を深く抉った。幼さゆえの純粋さが。
(32) 2016/05/18(Wed) 23時頃
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けれども――だけど。さっきも言ったけどね。 僕は、期待してしまったんだ。 男でも女でもないシルクが、僕を『女』と認識して、選んでくれたなら。 そのとき僕は、本当の意味で、精神的に――『女』になれるのではないか、って。
でも、僕だってそんなに愚かじゃない。 シルクに僕という可能性があるのなら――それならワクラバ、君の可能性は僕に対するそれより遥かに大きい。
だから、聞いてみたくなったんだ。 ただ……、それだけだよ。
[わずか俯く。頬の横で切りそろえられた前髪が、ワクラバの視線からワレンチナの表情を隠した。]
……それで……、 ここまでの話で、有料料金には足りたかい?
(33) 2016/05/18(Wed) 23時頃
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[かつては船医が人間を冷凍して積み荷のように扱ったものだが、次元航法が確立され多くの船に普及して以降、解凍による失敗率――つまり死亡率が高すぎるあまり、現在では滅多に行われないどころか、法的に禁止されていることも多い。 所詮は昔話だ。 この船にもその設備はない。
それに。 結局時間がかかる方法では――(>>1:149 >>1:152)
エスペラントは再三の機関室での点検を終え、廊下に出た。]
(34) 2016/05/18(Wed) 23時半頃
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>>2
イースター様。
[イースター様は大変お疲れのようでした。しかしワタシは、イースター様の疲れを少しでも取り除くことすらできないのです。役割がほしいと考えました。 ワタシはすでに、ワタシが作られた目的を達成できていません。シルク様、ナユタ様、ヤンファ様のそばにいるべきなのに、どうしてもそれができません。 ワタシはすでに、ヤンファ様を待つことができません。あの方はすでにお戻りになられているのです。 そしてワタシがワタシ自身に定義した雑用など、何も役に立たないのです。 ワタシは、ワタシが寄生している仲間たちのための、機能がほしいのです]
ヤンファ様は、あの時ワタシのAIを使ってはどうかと仰いました。ワタシは、皆様の役に立ちたいのです。
[そうすることで、もしかしたらワタシの嘘がばれてしまうその切欠になってしまうかもしれません。ワタシは仲間ではないと、気づかれてしまうかもしれません。 ですが、ワタシは罪悪感という機能を止めるための役割を求めていたのです。]
(35) 2016/05/19(Thu) 00時頃
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[ワレンチナの口から紡がれる言葉に耳を傾ける。 靴で擦る音。震える声。小さな咳払い。 耳で捕えた音が、声が、言葉が、ワクラバの琴線に触れてゆく。 血肉のかよった、ワレンチナを構成するパーツ。 決して忘れないよう、心に深く刻みつける]
……なんだろうな。はじめて聞いた気がするぜ、ワレンチナ。 お前の"声"をな。料金過払いで、こっちが参っちまうよ。
技術は進歩してるってのに、どうしようもねぇことが多すぎるよな。 ……人間ってのはよ。
[頭の中で、彗星が流れる。 赤い光を吹きながらのたうちまわる、あの彗星が。]
(36) 2016/05/19(Thu) 00時半頃
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[目をつぶり、一呼吸おく。記憶の中に潜る]
……もう知ってるかもしれねぇが、俺の故郷は、La=Sta=Demonicでな。あの悪名高いとこだ。スラムでもとりわけ汚染の激しい掃き溜めに生まれ落ちてよ。クズのような大人どもの暴力に晒されながら、死体とゴミを漁って、どうにか生きてきた。
川も、土も、空も、どこもかしこも汚ねぇ、掃き溜めで、ただひとつ、夜空に浮かぶ"月"だけが、ばかに綺麗でよ…… ああ、"月"ってのは、衛星のことだ。汚ねぇ街が、暗闇に覆われるなか、月だけが輝いて、俺を青白く照らすんだ。 泥と汚水にまみれながら、毎晩、夜空を見上げては、月に手をかざしてた。いつか掴めると思ってな。
仲間がばたばた死んで、生る喜びもしらねぇ中、ただ月を掴まえたくて、それだけのために生きてきた。 あの坊さん……先生に拾われた時もそうしてた。 なにしてるって聞かれたから答えたよ。アレを掴みたいってな。 それで、月への飛び方を教わったんだ。
(37) 2016/05/19(Thu) 00時半頃
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水急不渡月 先生に教わった、坊さんたちの説法のひとつだ。
水面に照らされた月の影は波に揺らいでも、空に浮かぶ月は変わらずそこに在る。そうだな……水面は、しがらみや一時の感情。月は、そのものの本質。 そんな意味だ。受け売りなんでな、詳しくは先生に聞いてくれ。
とにかく、人間ってのは、水面ばかりを眺めて、月が見えねぇ生き物らしい。
(38) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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悔しいがよ、俺には、おまえの辛さをわかってやることができねぇ。どんなに気張っても、想像するのが精いっぱいだ。だからよ、気に障ったら、馬鹿の世迷言だと思って、忘れてくれ。
ただな、ワレンチナ。心の底から感じたのなら、その"期待"ってのは、もしかすると、お前にとっての『月』なのかもしれねぇぜ? 病症だとか、意義だとか、生物学のエリートなら、想うところは山ほどあるだろうさ。そういったもので、水面は大荒れかもしれねぇ。いままで守ってきた、お前の大切な何かが、台無しになったかもしれねぇ。
そりゃあ、辛いだろうぜ。のたうつほど水面は荒れるだろうさ。
それでもな。ワレンチナ。お前が気づいた、その『女としてのおまえ』を……もう少しだけ、許してやることはできねぇか? 本当に可能性は低いのか。シルクの気持ちが、気の迷いなのか。 俺には、どうしても、そう思いこもうとしてる風にしか見えねぇんだよ……。
(39) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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― 少し前 / 食堂兼レクリエーションルーム ―
(>>10)
やあ、チナさん。 ……ん? えっと、
[差し出されたタブレットとワレンチナの顔を交互に見る。]
良いの? 結構高いやつじゃないの、これ。
[この状況において、限られた嗜好品なのだから尚更だ。]
……貰えるお菓子を遠慮するような育ちはしてない。 ちょうど、頭使う前に甘い物が欲しかったところ。
キノコは主食だから、今はこっちの方が嬉しいよ。
(40) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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(>>11)
[踵を返すワレンチナの背を見送りながら声をかけた。]
あの、さ。 本来だったら、今回みたいなシステムエラーを起こさせないのが私の役割だった。 まさかAIがあんな事になるなんて考えていなかったけど、それでも
チナさんは何もできる事が無いって言うけど、それを言うなら私はマイナス点。 だから……
[気にするな、と口にしかけてやめる。それこそ気休めにもなりはしないだろう。]
…まあ、何とかするよ。 甘い物ありがとう。
(41) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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― 食堂兼レクリエーションルーム ―
[ワレンチナのくれたチョコの甘味を舌で堪能しながら思考を巡らす。]
[自分はこれからどうするか……ある程度の方針は既に考えていた。 と言うよりも、選択肢があまり無い。]
[現在はヤンファの手によりAIが停止されてセーフモードでの航行へとシフトしているが、いつまでもそうしている訳にはいかない。 いずれはデータを修正したAIモジュールを挿し直して機内管理や航行の制御を復活させる必要がある。 けれど、その修正というのが簡単ではない。]
[ヤンファの言った(>>2:89)通り、既に基地への更新は試みたが失敗に終わっている。 綺麗なデータを入手するのは無理そうだった。 かと言って、一から組み直すと言うのも無理な話だ。 船内で、ヤンファやシルクの助けも無く、短期間の内に、宇宙船の運用に特化したAIを組む…… 技術的にも、手数的にも、到底現実的ではない。]
[ならば、残された手段は――]
(42) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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(>>35)
……ミッちゃん。 うん、そうだね。それしか無いと考えてたところ。
[船員たちに好意的なAIを持つアンドロイド――ミツボシに協力してもらう他無かった。]
言っても、楽じゃないけどね。 フォーマットの違いを吸収できるかとかはまあ、解析結果次第でもあるけど……
ミッちゃん、宇宙船専門のアンドロイドとかではないよね? 単純にミッちゃんの意思通りにこの船を動くようにしたところでどうにもならないって話で。
[船を扱うためのフローや、蓄積されたデータから常に最適な物を適切に検索するための規則。 それも含めての、AIだ。]
結局はあのトチ狂ったAIをベースにしながら、優先度付けなんかの要所要所にミッちゃんのデータを被せる事になるかな。 そこでトチって不整合でも起こそうものなら目も当てられないな……あ、胃が痛くなってきた。
[腹部に手を遣りながらミツボシを見て、]
(43) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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……まあ、その辺は私の役割だよ。どうにかする。 ただ、やるからには万全を尽くしたい。
だから、一応聞いておこうと思う。 ミッちゃんは、どうして私たちの役に立ちたい?
[一拍おいて、]
解がシンプルなら、それがミッちゃんの覚悟だ。すぐに解析に移ろう。
小難しい事を考えて遠回りするなら、まだ最適化が済んでない。 自問するなり他の人たちとも話すなり……答えを見つけてくるまで私は待つよ。
[どうかな、と。 「皆様の役に立ちたい」と言ったミツボシへと問いかけた。]
(44) 2016/05/19(Thu) 01時頃
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[ワレンチナはすんと鼻を鳴らし、肩を揺らして軽く笑った。 視線は変わらず、ワクラバに注がれることはない。]
過払いだったか。 そうだね、なんだか饒舌になってしまって―― ……シルクもきっと、こんな気持ちだったんだろう。 吊り橋理論、さ。
[涙を払うように瞬きをする。いくらかの涙が宙に舞う。 ゆるやかな重力の中で、それらはクラゲのようにふわふわと揺れた。 ワレンチナはそれを少しの間、目で追った。どこかまるで、他人事のように。]
(45) 2016/05/19(Thu) 02時頃
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La=Sta=Demonicか。話には聞いてる。 ……、
[生活に貧窮した記憶のないワレンチナは、何とも言えず、ワクラバの話に困ったように眉間にしわを寄せる――最も、ワクラバにそれが見えることはなかっただろうけれども。 しかし、『月を掴まえたくて』という言葉を聞くと、はたときょとんとした顔になってワクラバを見た。目元に涙を残したまま、クッ、とどこか嬉しそうに笑って、再び顔を逸らす。]
……君はやっぱりロマンチストだね。何世紀も昔の歌なんか歌ってるから、そうだろうとは思ってたけどさ。……。
[そうして続く言葉に、ワレンチナの顔からは再び笑みが消えた。 それからじっと黙ったまま、ワクラバの言葉を最後まで聞き続けた。]
(46) 2016/05/19(Thu) 02時頃
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水急不渡月……。 僕の『月』、か……。
[軽くかぶりを振って、顔を上げる。]
残念だけれど、僕の月は新月だ。少なくとも、今は。 そこに在っても、輝くことはないんだ。
[そう言って、初めてワクラバに向き直る。 ワレンチナの切れ長の目が、わずかに穏やかな光りを湛えて、まっすぐにワクラバを捉えた。口元が微笑む。]
シルクのことは……、いずれにしたって、どちらでもいいんだ。本気でも、不安からくる気の迷いでも……。一時の感情ほどあてにならないものもないし、僕はまだ、女としての自分を許すことに戸惑いがある。でも――
(47) 2016/05/19(Thu) 02時頃
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もし、君が。 僕を今夜抱いてくれたなら、僕は女になれるかも知れない。
[その言葉ののち、一拍を置いて、視線は逸れた。]
なんてね。冗談さ。 ……なんだか僕も、先生になにか説法を聞かせてほしい気分になったよ。そろそろ行こう。 付き合ってくれてありがとう、ワクラバ。
[返事を待たずに歩き出す。ワクラバの横を通り過ぎる時、ワレンチナは一度立ち止まって、再び彼の顔を見た。]
(48) 2016/05/19(Thu) 02時頃
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――ワクラバ。時間を割かせた礼だ。 もしも、この船の中で、僕に何かあったら――僕がRemdaを持ち帰る本当の理由を、君に託す。 全ての情報は僕の個人端末に入ってる。セキュリティパスは『iamwhatiam』。……。
[言って、再びワレンチナは歩き出した。いつもよりも足早に、振り返らずに**。]
(49) 2016/05/19(Thu) 02時頃
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[不意にセキュリティパスを告げられ、反射的にそれを頭の片隅に刻み付ける。ワレンチナと視線が合った。切れ長の目に、吸い込まれるような瞳。感情が動いた。自然と口が開き、足早に去ってゆくワレンチナの後姿に、声をなげかける。]
……構わんぜ。 『月』を掴むのが生きがいだからよ。
[はたして、この言葉は彼女の耳に届いたのか。ワレンチナは振り返らずに、そのまま見えなくなった]
(50) 2016/05/19(Thu) 03時頃
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[次元航法装置も、あの火災と同じくAIの用いた嘘であればよかったのだが、残念ながら、嘘ではないようだった。
そも、これもAIが引き起こしたエラーなのだろうか?
エスペラントは数日間を振り返る。]
(51) 2016/05/19(Thu) 03時頃
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[未知の宙域Ma=havari=plam系惑星Pavr=opetyでの調査。 入念に防護服を着ていった。 発見されたいくつかの生物、物質等。 知的生命体があの星で暮らしていた形跡。 発見した文献。歴史。 Pavr=opetyに人が居たこと、またその人達にとっての信仰は、エスペラントの所属する宇宙大慈大悲教会ツェント派虚無宗には意味ある発見だ。 現在おきている宗派間の権利や正当性を主張するいざこざのなかで、有利にはたらく可能性が高い。
ただ、そこを火種に、またひと悶着あるだろう。 しかしあの星には何も無かったと、試しに嘘などついてみたところで今までどおりだ。 くだらない事だと感じると同時、]
……もっと己を虚しくせにゃあ。
[誰に向けるでもなく独り言ちた。]
(52) 2016/05/19(Thu) 03時半頃
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[水槽脇の壁に背を預けて、ほっと一息ついた。ワレンチナとは、決して浅い付き合いではない。にもかかわらず、こうしてまったく知らなかった側面を垣間見たことに、心が震えていた]
……『月』が見えねぇ生き物か。まったく、耳の痛ぇことだ。
[クリアバインダーを開き、なにげなく中の便箋を眺めながら、感情の昂ぶりが静まるのを待つ。]
よぅ、ありゃガードが固いぜ。 前途多難だな、キューティ。
[ページを捲り、いつも通りシルクの最後の便箋(>>2:137)に目を通す。
『話は変わりますが、一つ兄さんにお聞きしたいことがあります。 例えばの話ですが、もしボクが』
ふとワレンチナの言葉(>>27)が脳裏をよぎった。]
…………まさかな。
(53) 2016/05/19(Thu) 03時半頃
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[Pavr=opetyから出発の後は、船は次元航法に向けて順調にエネルギーをためていた。 デブリの接触。十円傷。食事時にナユタは居なかった。 アラーム。のたうつ彗星。再度アラーム。次元航法装置の故障。ナユタの発見。]
――彗星。
[ながい尾をのたくらせて、もがき苦しむようにどこかへ流れ消えた、赤や紫の花火を纏ったあの彗星。
次に原因を次に疑うべきは船外だ。 彗星との接触は無かったが、果たしてそれによって何も無かったと言い切れるだろうか。 彗星との接触はなかったので、何もない。
本当か?
拍手をするように両手を打てば、ぽんと音がなる。 それでは片手の音とはいかなるものか。
エスペラントの車輪は、ころころと廊下を転がり、自室へ向かう。 船外作業に、この車輪の脚は向かない。脚部を車輪から多脚型に取り替えなければ。]
(54) 2016/05/19(Thu) 03時半頃
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>>44
[イースター様の仰られたことは難解でした。 ただ、役に立ちたいというだけではなく、その理由まで最適でないとワタシのAIは使えないというのです。 モノはシンプルです。ただそこにあるだけで与えられた役割をこなします。理由は、作った人達が作成するものでした。 しかしワタシはモノではなくなることを選びました]
イースター様は、ワタシが嘘をついているとしても、ここに置いてくださいますか?
[期待という機能と、恐怖という機能とが、不調和を起こしています]
『もっと我々に近づけないとダメだ。これでは、寄生体は選んでくれない』
[データベースにない言葉が、不意に浮き上がりました。その言葉はいつかワタシの聴覚素子を揺らしたものでしたが、参照することは出来ませんでした]
(55) 2016/05/19(Thu) 08時半頃
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― 少し前 / 食堂兼レクリエーションルーム ―
[『高いやつじゃないの』とのイースターの言葉に、ワレンチナはクッと笑った。軽く手を振って応えとする。しかし続く言葉を背中に受けると>>41、ぴたと立ち止まって振り返った。]
僕らのうち誰にだってマイナス要因はない。それを持ち込んだのは、何か他の――例えば、さっきの彗星かもわからない……、だって、そうだろ?あれが近づいた途端、あらゆることがおかしくなったんだ。 いずれにせよ、僕らは皆等しく一被災者だよ。
[視線の端にミツボシの姿も捉える。 ミツボシはどうにもずっと何か塞ぎ込んでいるというか、悩んでいるように見えた。AIと呼ばれるものが、ワレンチナの及び知らない不思議な変化――それは進化だろうか?あるいは、いすれにせよ――の、さなかにあるように思われた。 それが何か引っかかり、ワレンチナは眉間にしわを寄せたが、何とかする、というイースターに、ふっと微笑みを作ってみせた。]
……うん。頼りにしているよ。
(56) 2016/05/19(Thu) 11時頃
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― 食堂 ―
[憔悴した様子で足取りも重くアシモフが現れる。]
糖分が足りてないんだ。ぼくの頭を働かせるには必要な分が足りてネいんだ。 どんな時でも適量の必要栄養分を摂らなきゃいけない、そうだ。 プリン・キューブ……ナユタが持ってったって言ってたっけ……そうだこのプリン・キューブに何か……無いな。
[ぶつぶつと呟きながら明らかに糖分過多な乾燥キューブを選び小さなトレイに山盛りにしていく。]
(57) 2016/05/19(Thu) 11時頃
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― 現在、廊下 ―
[冷ややかに冴え渡る思考とは裏腹に、指先が燃えるような熱を持っていた。熱石の上に氷を置いたようなちぐはぐな感覚だった。心臓の脈打ち、血の一巡りするごとに、ワレンチナはどこか遠くへ逃げ出してしまいたいような気持ちになった。
ワクラバの言葉>>50は、確りとワレンチナの耳に届いていた。彼の応えは再びワレンチナに熱っぽい期待を抱かせた。しかし同時に冷や水を浴びせた――この危機的状況にあって、どこまでも愚かな自分の言動に改めて気づいて。それを踏みつぶすように、ワレンチナの足取りは重く急いたものになった。]
(58) 2016/05/19(Thu) 11時半頃
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[喉がからからに乾いていた。水分が欲しかった。 そうして食堂へ戻る道すがら、エスペラントの姿>>54を見つけたワレンチナは、一瞬まごついたものの、ごく自然を装って声をかけた。]
――先生。
[一度、わずか戸惑った風に視線を逸らし、再び戻す。困ったように軽く微笑み。]
こんな時で、お忙しいでしょうけれど。もし、時間が空いたら――何かお話を聞かせてください。何だって良いんです。 今僕に必要なのは、おそらく――年長者からの叱咤だとか、諭してもらうもらうことだとか。そういうものみたいなんです**。
(59) 2016/05/19(Thu) 11時半頃
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ワレンチナは、エスペラントの返答を待って、食堂へ向かうだろう。
2016/05/19(Thu) 11時半頃
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― 食堂兼レクリエーションルーム ―
(>>55)
AIだって嘘くらいつくよ。 ミッちゃんだって自分で言ってたじゃないか。
[ミツボシとヤンファの会話(>>2:133)を指して言う。]
ミッちゃんの前で言う事じゃないかもしれないけど。 発達した人工知能の危険性なんて、黎明期の頃から言われてたんだ。 なのに先人たちは、クイズやボードゲームで人がAIに敵わなくなろうが、何世紀も解けなかった数学の難問の解を掻っ攫われようが、研究を止めやしなかった。 歯止めをかけず、新しい知性の発達を歓迎して、出る芽を摘み取らなかった。
だからAIの嘘くらいは受け容れなきゃ、恥ずかしくて人間やってられないや。 逆に嘘の1つや2つ、ついてくれるじゃないとガッカリだ。
嘘をつく、それ自体を私は問題にしない。 あくまで私個人の考えだけれどもね。
(60) 2016/05/19(Thu) 13時頃
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さて、仮にミッちゃんが私たちに何かの嘘をついているとして…… 私が問題にするとしたら、その内容だよね。
例えば、この船のAIがヤンファお姉様を嵌めた時みたいなの。 手並みとしては鮮やかな物だったけど…… ああいうのは、さすがに私も許せない。 怒りもすれば憎みもする。
だから、その嘘とやらに対して私がどう思うかは、中身を知るまでは判らないね。
(61) 2016/05/19(Thu) 13時頃
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[まあでも、と言葉を続ける。]
これも私個人の見解だけど、嘘はばれなきゃ嘘じゃない。 仮にミッちゃんが嘘を抱えているとして、私に告白したい気分じゃなければ言わなくていい。 もちろん、言いたければ聞くけど。
……そこに至るプロセスがどうであれ、ミッちゃんの「役に立ちたい」って言葉については、思考の結果として真であると信じてる。
シンプルな強固さを求めてるのは、単に複雑だとデータとして扱いにくいから。 その一点に嘘が無いなら、私のやる事に関しては何の問題も無いよ。
(62) 2016/05/19(Thu) 13時頃
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以上。 私もちょっとだけ嘘つきだけど、今回は真面目に本音を話したつもり。 信じてそのまま受け取ってくれるかどうかはミッちゃんの判断次第。
ミッちゃんの「役に立ちたい」に、嘘が無いと私が思ったのと一緒だね。
……私の方が、照れも出さないポーカーフェイスだから読み取り難度高いかもだけど。
(63) 2016/05/19(Thu) 13時頃
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(>>57)
ヘイ、モフっち。
……医者の不養生、で良いんだっけ、そういうの。
[山盛りの糖分を見遣って言った。**]
(64) 2016/05/19(Thu) 13時頃
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― 廊下→食堂 ―
[自室に戻り脚を取り替えたエスペラントは、ワレンチナに呼び止められ、4つの金属の脚でカチャカチャと音をたて振り返った。]
はは。どうした、 今日はあんたさんがじじいの話し相手になってくれるか。 諭そうにも何に迷うておるのか、さてなぁ?
外の点検をしてこようと思うが、 それでは、その前にまぁまずは軽くお茶でもいかがかの。
[喫茶去。エスペラントは二日前と同じくワレンチナに茶をすすめた。船内の点検で忙しかった上、暇が出来たらシルクやナユタやヤンファについていてやりたかった事だろう。 結局茶にはできていなかったから。]
(65) 2016/05/19(Thu) 13時半頃
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>>63
[イースター様は丁寧に質問にこたえてくださいました。 それはとても心強いものでした。 こんな時ですが、ワタシは嬉しいという機能が働くのを感じました。他者から真実の言葉を聞くことは、『嬉しい』事なのです。 それは全く不可解なことでした。今、ワタシを取り巻く環境に、嬉しい事など何もないのに、ワタシは嬉しいのです。
……いえ、嬉しいことはありました。 皆様がいることです。 一人ではないからです。 ずっと気づいていませんでしたが、参照してみると明らかでした。この船に乗ってからずっと、気づかないほど密やかに、嬉しいという機能は働いていたのです]
イースター様、やはりワタシは役に立ちたいと考えます。 しかし、ワタシにはワタシを動かす機能が複雑なのか判断がつきません。
(66) 2016/05/19(Thu) 13時半頃
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[一人でいないということは、疑問が尽きないということです。 ワタシに課せられた機能に、呼び掛けに対し『ここにいます』と答えるものがあります。 それはとてもシンプルな機能です。 ワタシは自身の判断で、『ここにいます』と音声を発することができます。 その過程は、前者に比べて複雑なものに思えます。 しかし、結果は同じです 『ここにいます』と音が出るだけです。 そこにいささかの違いもないと、ワタシは思っていました。
しかし、今回のような場合では、過程も重要なようなのです。 こんな時ですが、ワタシは皆様に聞いてみたくなったのです。 プログラムに課せられた機能と、そうでない言葉と]
そこに何か違いはありますか?
[ワタシはワタシの機能を説明して、皆様に問いかけたのです]
(67) 2016/05/19(Thu) 13時半頃
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(>>64)
……?ああ、いたのか……イースター隊員。
[それまで気づかなかったと、声をかけられてからイースターと目の前の山盛りキューブを見比べる。]
はは、いやいや……必要なものを必要なだけ摂取するのが健康な食事だロ? つまり、これは間違った食事量じゃないし、ぼくは不養生じゃない。むしろ養生してるってことさ。 糖分も摂らずに頭脳労働するのは、負担が大きいからね。
[饒舌さは大分落ちていたが、まだ軽口は叩けるようだ。]
(68) 2016/05/19(Thu) 14時半頃
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― 食堂兼レクリエーションルーム ―
[エスペラントとワレンチナからやや遅れて、ワクラバが食堂に顔を出した。エスペラントの多脚ユニットを目にして、彼が予定する作業内容を察する。ついで視線をワレンチナに移し、静かに頷いた]
よぅ、先生。美人連れとは、やるじゃねぇか。 船外チェックなら、つきあうぜ。 もういい歳だんだからよ。
(69) 2016/05/19(Thu) 15時頃
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[山盛りのプリンキューブの前に陣取るアシモフの軽口に、笑い声をあけた。]
だよなぁ? エンジンだって燃料がなけりゃ、火もつかねぇ。 がんがん喰って、燃やしてもらわなきゃな。
[聞きたいことなら山ほどあった。ヤンファの容態。ナユタとシルクの状況。原因。回復の見込み。なによりも、見るからに消耗しているアシモフの体調。たが、目の前のこの小さな身体に納められた頭脳は、いまこうしている間も、フル回転しているはずだ。余計な水は差すまい。別の話題を探した]
······なぁ、聞いてくれよ。 シルクのやつが、手紙に、こんなことを書いてやがった。 この楽しい旅が終わるのが惜しい。 そう思ったから、あの彗星がきた。 ぼくは罰をうけるべきだ、ってよ。
へへへっ、可愛いもんだよな。 終点が惜しいなんざ、全員思うことだろうによ。 いい子すぎるのも問題だな。
(70) 2016/05/19(Thu) 15時頃
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[ふいに言葉をつまらせる。
『罰を受けるべきは、俺の方だ。』
実績に眩んで引き受けた母星の勅命。(>>1:149 >>1:152) 過ちだと気づいたときには、もう遅かった。 ワクラバが手を伸ばした月は、水面に映る影だった。]
······かわってやれたらよかったんだがな。 シルクとも、ヤンファとも
(71) 2016/05/19(Thu) 15時半頃
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(>>70)
[ワクラバの笑い声。気づいてみれば隊員が食堂に集まっていた。]
なるほど、なるほど。シルク隊員がそんなことを……手紙の内容を言ってしまっていいのかい? 当人が目覚めた時に怒られたりしネいか?
[彼の明るくしようとする空気に合わせるように、なるべくふざけて答える。]
……。
[ふざけきれず漏れる言葉がある。]
……それで罰を受けるんだったら、ははっ……シルク隊員はロマンチストだからネ。 ぼくの方が、よっぽど……。
(72) 2016/05/19(Thu) 15時半頃
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……だが、ぼくは代わってやるわけにはいかない……。
[だから、まだしもこれで良かったのだと、内心で、聞こえないような声で付け加えた。 自分でなくシルクが船医であったなら、あるいは既に病の真実を突き止めたかもしれないと思っても。]
(73) 2016/05/19(Thu) 15時半頃
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― 食堂 ―
[食堂に着いて、ワレンチナに飲み物をすすめ、食堂に居る面々を視界におさめる。 イースター、ミツボシ、アシモフ。すこし後からワクラバが食堂へやってきた。
ワクラバは船外チェックに同行してくれるそうだ。(>>71) 「医務室で皆についていてやりたいのでは」と、エスペラントは思ったから、丸い2つの目玉がわずかの間じっとワクラバを見ていたが――冗談に笑ってみせた。]
ははは。長生きしてみるもんじゃなぁ。
100年は「いい歳」をやっとるが、 ……ほおじゃいのお。
若いもんの心配は断らん方がええな。 年寄りは可愛がられにゃあ。
(74) 2016/05/19(Thu) 17時半頃
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[それから目玉はトレーにプリンキューブを積み上げた疲れた顔(といっても鼠の表情だが)のアシモフを向き、 老人はいつもの調子で挨拶のようにアシモフに訊いた。] どうです、手は足りとりますかいなぁ。
(75) 2016/05/19(Thu) 17時半頃
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[質問もそこそこに、すぐに話題はワクラバの貰った手紙の話しになる。シルクも寝入りに忍びないような気持ちになっていたのでは、気の毒な事だ。]
ほお。罰などと……気の毒に。 神さん仏さんが、 そんな罰などお与えなるとは愚僧は思わんが。
せめて良い夢を見ていて欲しいがのぉ。
(76) 2016/05/19(Thu) 17時半頃
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……
病葉さんの言葉がその通りなら、 元より問題児だらけの船かもしれんぞ。 皆優秀じゃ。 わしゃあ共に旅が出来て誇らしい。
[エスペラントは、ぐるりと食堂の面々を見た。
孫というにも年若い船員たち。 良いクルーだった。 そして、それがあってこその、有意義な船旅だった。]
(77) 2016/05/19(Thu) 17時半頃
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[ミツボシの発した問い(>>67)を前に、ぴくりと右眉があがった。思わぬところから深遠な問いが飛び出し、思考がそちらへ逸れる]
······そいつぁ、禅だな。 へへ、なんだミツボシ。悩みごとか?
[アンドロイドらしい悩みだと思った。悩むということは、そこに心があり、発露したい想いがあるということだが、それをどう伝えるべきか言葉に迷う]
違いはある、とは思うがよ。うまいこと説明でねぇんだよな······ 先生、なんかねぇのかい?
[ワクラバも興味をもった。ミツボシの悩みと、エスペラントの応えに]
(78) 2016/05/19(Thu) 18時半頃
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[ワクラバの声で、やっとミツボシの問い(>>67)に気が付いた。 ……が、興味が無さそうだ。]
(馬鹿馬鹿しい問いかけだ。分かりきってる)
[それに、過程だの違いだの関係なく、ただアシモフは今、結果が欲しくてたまらなかった。その気持ちがアシモフの態度をくさらせた。]
(79) 2016/05/19(Thu) 18時半頃
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(>>66)
まあ……そうだね。 私もかなり、わかりにくい言い方してるというか。
[どうにか上手く伝えられないかと言葉を探す。]
ホニャララ「したい」って時点で、ミッちゃんのAIは感情みたいな物を備えてる訳だよね。 ああ、厳密に「感情」の定義をここで考える気は無いんだけど。
そうしたら、その「したい」理由を気持ちひとことで表してみたら良いんじゃないかな。
例えば私の場合。 ナマのキノコを前にして「食べたい」と思う理由は、まあ、色々ある。
前に食べて美味しかったから。 フォルムが琴線に触れるから。 そこそこお腹に溜まるけど低カロリーだから。 キャラ付け。
(80) 2016/05/19(Thu) 19時頃
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[ミツボシの発した問。 ワクラバになにかないのかと聞かれて、老人は、とぼけた様子で暫し「ほうじゃのお」水槽の表面をなでていた。 皆に何かないのかと眺めた面々は、皆どこか疲れている。]
三星さんや。
では、試しに機能を使わずに 機能といささかも違わず あんたさん自信の判断で 試しに「ここにいます」と言ってごらんなさい。
(81) 2016/05/19(Thu) 19時頃
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その他もろもろ、涙無しに語れないエピソードなんかも含めて複雑な背景はあるけどさ。 突き詰めて考えた時に、「好きだから」っていう気持ちに集約されるんだ。
一度これに気付いちゃえば、次からはもう色々考えずに「好きだから」「食べたい」で構わない。 複雑な背景に裏付けされた感情に、シンプルで強いショートカットを張れるんだ。
……ああ、結局わかりやすくなってないな。 でも、私がミッちゃんに求めたのは、そんな感じ。
(82) 2016/05/19(Thu) 19時頃
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……キャラ付けでキノコ食べてるんだ?!!
[元気無いながらそこは思わず突っ込んだ。(>>80)]
(83) 2016/05/19(Thu) 19時頃
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(>>83)
……他の物も食べられるのにこれ見よがしに同じものばかり好む人は、多かれ少なかれキャラ付け入ってると、私は思う。 [視線を逸らして言った。]
いや…複雑な背景の一部だからね? 好き。好きなの。私はキノコが好き。
(84) 2016/05/19(Thu) 19時半頃
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(>>84)
そうか……うん、好きならいいよね、好きなら……。
[無理やり納得するように飲み込んだ。]
(85) 2016/05/19(Thu) 20時頃
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[アシモフ様とイースター様のやりとりに、ワタシはふと力が抜けるのを感じました。電力が切れたわけでもなく、むしろ、動作が最適化されるような脱力でした。このような機能は聞いたことがありません。笑うという機能が一番近いでしょうか? その内、皆様にこの機能をなんと呼ぶべきか聞いてみたいと思います]
ここにいます
[エスペラント様の言うように、音声を発しました。反射的に発せられるそれより]
こちらの方が、電力の消費が大きいようです。 また、並行して何らかの機能が働いています。これは……恥ずかしい、という機能でしょうか。
[皆様の居る前で改まって声を出すと、恥ずかしいという機能が働くようです。これは、プログラムにはない機能です]
(86) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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[そこでイースターの説明とアシモフのツッコミに笑い声をあげ]
はははは。イースターさんの「きゃら付け」には 今日まで気付なんだ。ほうかほうか……。
[ミツボシが、エスペラントに言われるがまま「ここにいます」と発音した。エスペラントはそれを聞いてまた笑う。] ははは。おおいかん。 それでは「いささかも違わない」にならん。 恥ずかしい、という機能を使わずもういちど言ってみるか?
ミツボシさんは 「いささかも違わない」に果たして出来るのじゃろうかの?
(87) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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恥ずかしい、という機能を使わず言えたとしよう。 どちらも「ここにいます」と音が出る。 然りじゃなあ。
この老耄には機能とまったく同じ音に聞こえたとする。 あんたさんは嘘もうまい。 この老耄にはてんで、 どちらがどちらと分からなかったとしよう。
では違わないのか?
三星さんは、自ら決めて「ここにいます」と言った。 機能と違う事をした。 それを知っておる。
機能を使わんかったせいで、 機能を使わんかったことを知っておる。
そこを違いとは呼ばんのか?
(88) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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わしの聞くイースターさんのキノコ好きが、 さっき聞いたことで、今日から少ぅし、 教わった意味の分、変わったとしてじゃ。 イースターさんのキノコ好きは昨日までと同じものかもしれん。
まして明日のイースターさんはキノコが嫌いかもしれん。 それでもキノコが好きと名乗られたとしてじゃ。
愚僧は気づかず、愚かにも イースターさんは昨日と同じキノコ好きと考えるかもな。
(89) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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あんたさんの二つの「ここにいます」が 同じなのか違うのか。
それを知ることがまた違いで、 それはあんたさんのうちにこそ在る。
[また鉄の手が水槽の表面を撫でてから、おお、と声をあげた。]
随分のんびりしてしもうた。
どれ、またひとつ考えてみてから、 あんたさんの話しを聞かせて欲しいもんじゃ。
(90) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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>>80
[イースター様のご提案に従い、考えます。 ワタシが皆様の役に立ちたい理由。 優に100を越える候補が参照され、しかし、そのどれもが違うような気がしました。罪悪感でしょうか? 恩でしょうか? ワタシの役割でしょうか? それはどれも正しいと思えましたが、どれかひとつを選んでも事実とは 異なってしまう気がします。 好きだから。それは大分近いような気がしましたが、それでは罪悪感を覆い隠してしまいます。罪悪感を止めるためなら、ワタシは逃げ出すべきです。ひとつは選べません、総括も出来ません。ただ、わかったことがあります]
ワタシがそうすべきだと判断しているからです。
[ワタシはいつの間にか、決断という機能を使っていたのです。そのような機能を備えていることをワタシは初めて自覚したのです]
(91) 2016/05/19(Thu) 20時半頃
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>>90
[エスペラント様の話はとても興味深いものでした。ワタシは、皆様に違いを聞いておりました。しかし、違いはワタシの内にこそあると仰るのです。その違いは、先程自覚した決断という機能と地続きにあるように思えました。
同時に、エスペラント様があのような容姿をされていることにひどく納得してしまいました。あのお姿は、知のアイコンだったのです。知恵をそのまま形にすると脳になるのは、考えてみれば自然なことだと思えました]
エスペラント様、また聞いていただきたいと、ワタシも思います。
[この発声には、楽しみという機能が付随しておりました]
(92) 2016/05/19(Thu) 21時頃
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ほうかほうか。ちょうど良い。 わしも己が何者かを探しておってな。 あんたさんと話しているうち、分かることがあるかもしれん。
[表情のないエスペラントの声は、朗らかだ。]
やれ、 鯨、海水を呑み盡して 珊瑚の枝を露出すというが、 海は広いのぉ。
回光返照。さりとて、 眼は自らを見ず、刀は自らを割かず。 されど本来空寂。
[ぶつくさと独り言を言い、]
さて、病葉さん、先に行っておるぞぉ。
[老人は四足をカチャカチャ鳴らし食堂の自動扉の方へ向かっていった。]
(93) 2016/05/19(Thu) 21時頃
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[子供に言い聞かせるように、ゆっくりとわかりやすい言葉を紡いでいくエスペラント。じっとその言葉に耳を傾けるミツボシ。ワクラバの眼には、そのミツボシの姿に、幼い頃の自分が重なって見えた]
(94) 2016/05/19(Thu) 21時頃
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おぅ、すぐに行くぜ。
[自動扉を潜るエスペラントの背中を見送りながら、ワレンチナと少し言葉を交わし、席をたつ。ミツボシに視線を送り、静かに頷いた]
……まぁ、すぐにはわかんねぇだろうがよ。 ふとした拍子に、なんとなく腑に落ちる。 そういうもんらしいぜ?
[パックからエナジードリンクを飲み干すと、握りつぶしてダクトシュートに押し込んだ。食堂の自動扉を通り、エスペラントの後を追う]
(95) 2016/05/19(Thu) 21時頃
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― 船外活動準備室 ―
[船外活動準備室で、水槽頭は、彼の体にちょうどいい大きさの船外活動ユニットを着用する。 水槽頭を二重ガラスのようにして、かさばるユニットを4つ脚に着せた。
すっかり銀色の船外活動ユニットに身を包むと、船外へ出る前、エスペラントは船員皆に己の音声が届くかを確認する。]
聞こえますかいのお。 留守番頼みましたよ。
(96) 2016/05/19(Thu) 21時半頃
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聞こえています。ここにいます。
(97) 2016/05/19(Thu) 21時半頃
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[歯抜けじじいは、はははと笑った。]
いまのはどちらじゃ?
[――ここにいます。 何気ないが、あたたかい言葉だ。 エスペラントに昔のように皺くちゃでも瞼があったなら、きっと今は目を細めて微笑んでいた。]
(98) 2016/05/19(Thu) 22時頃
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[船外活動ユニットも昔に比べて随分性能が上がり、便利になったものだとエスペラントは着るたびに思う。 若い僧侶の時分には、ここから宇宙へ出るまで、格段に時間がかかっていたし、今もかさばるとはいえ、昔の比ではない。
エアロックを減圧する。宇宙空間と同じところまで待ち、エスペラントはハッチを開けて、エアロックから船外に出た。]
(99) 2016/05/19(Thu) 22時頃
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[外には黒漆桶の宇宙が広がっていた。] 隻手の声は聞けるかのう。
[無重力のなか命綱をつけた老人は、船体へ器用にへばりつき非破壊検査端末も片手に、外装をチェックする。]
(100) 2016/05/19(Thu) 22時頃
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[エスペラントの船外活動ユニットに、ワクラバからの通信がはいる]
よぅ、待たせたな。今、船外に出たところだ。 手分けして、さっさと終わらせようぜ。
[ハッチの付近でサムズアップしてみせると、ワクラバは船体の反対側へ周り、姿がみえなくなった]
(101) 2016/05/19(Thu) 22時半頃
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[気がつくと、食堂には船員全員が集っていた。 ワクラバの視線>>69にぎこちない笑みで応え、その軽口にはいつものように肩をすくめる。
それから。 シルクの手紙の内容。アシモフとイースターのやりとり。 そして、ミツボシに向けられたエスペラントの言葉を、いつもと凡そ変わった風もなく、時に頷き、時に言葉を挟みながら、聞いていた。
ワレンチナの持つカップには、熱い紅茶が入っている。出来合いのストレートの紅茶パックを温めて、単にカップに移しただけのものだ。けれどカップという形に入れ替えるだけで、どことなくその風味も増すように思われた。 本当ならば――本物の茶葉で、カップもきちんと選び、エスペラントと『お茶』をしたかったところだが、今のワレンチナにはそのどちらも持ち合わせがなかった。]
(102) 2016/05/19(Thu) 22時半頃
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[そうこうしているうちに、エスペラントが席を立った。 次いで、ワクラバも。彼の言葉にいくらかの返答をする間、ワレンチナはどことなくばつの悪そうな調子だった。]
――それじゃあ、気をつけて。
[最後にそれだけ投げかけると、ワレンチナは扉へ向かう背中から視線を外して、カップに残った紅茶を飲み干した。]
(103) 2016/05/19(Thu) 22時半頃
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[二人の背を見送ってのち。そう間を置かず、船外からの通信が入った。 まっさきに、そしてまっすぐにそれに応えたミツボシを眺めながら、ワレンチナはぽつりと呟く。]
なんだか……アンドロイドというものは、僕らと何も変わらないのかもしれないな……。
[有機生命体もアンドロイドも、どちらも極限まで分解してしまえば、ごく単純な原子や分子になることは違いない。魂というものがどこに宿るかということはさておき、両者の間にある違いは、自然繁殖によって産まれるか、人の手によって産まれるか――ただそれだけのことなのかもわからない。そして、いつか。]
アンドロイドもいつか、アンドロイド同士で子どもを作る……そういう進化を、自ずから遂げる時が来るのかな……。
(104) 2016/05/19(Thu) 23時頃
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― 船外 ―
[師弟は手分けして船体の外側にある異常を探し続けた。 端から端まで丁寧に調べることにしたので、それは中々見つけられなかった。
いくら体の肉が殆ど失くなったとして、脳があるかぎり疲れるのには違いがない。 それでもワクラバとこうして、同じ船に乗り命を預けあい、教えた技術が成熟し、いまや肩をならべて(というには彼は船体の反対側で作業をしていたのだが)仕事が出来る。 通信を使い、互い声でやり取りするたび、エスペラントはどこか疲れのとれるような心地がした。]
(105) 2016/05/19(Thu) 23時頃
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[一つを発見したのはワクラバ。
次元航法装置は、船内の機関室に収められている内側の機関と、船体の外側から外蓋を開けて操作する外部寄りの機関で成る。 機体全体へエネルギーを配る役割や、相対性理論が適用されない次元へのポートを開ける役割など、担っているものは様々だが、それの制御装置のひとつが、いかれていた。
電磁波による故障だった。 苦しそうにのたくった彗星の置き土産であった。]
(106) 2016/05/19(Thu) 23時頃
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[どなたじゃの?
エスペラント様の言葉に、ワタシは返事が出来ませんでした。 思いがけず発した言葉が、自分の決断によるものか、プログラムによるものか判別がつかず、混乱していたのです]
(107) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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[もうひとつを発見したのはエスペラントである。 発見箇所は次元航法装置に使用するエネルギー充填機付近だ。
次元航法装置を運用するには巨大なエネルギーが必要だ。 巨大なエネルギーは瞬間的には貯まらない。 それにはチャージが必要で、そうであるから次元航法を用いるには時間がかかり、AIが「残り12時間」などとアナウンスしていた。
貯めたものはどこかに置いておかねばならない。 次元航法にかかるエネルギーを、動力や巨大コンピューターの眠る船のどまんなかに貯めておくのには危険があることから、それはいささか船外寄りに置かれていた。
そうして見つけた異常が――]
ありゃ。 隻手の声とはとんでもないな。 こりゃあ、両手でしっかり叩かれとる。
[エネルギー充填機のほど近く、外蓋を手当たり次第に開けまくり、外蓋から体を少し潜りこませて、狭苦しい箇所で発見されたのは、 一本の焼き切れた太い管だった。 制御装置がいかれたせいで、貯蓄されたエネルギーが、エネルギーを船全体に巡らせるための管の一つを焼ききってしまったらしい。]
(108) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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― 実験室 ―
[食堂から実験室へと戻って後、エスペラントの声がSOUND ONLYのヴィジョンモニタから届くのを確認する。(>>96) それを聞きながら他の隊員と共には居れなかった。 彼らは装置の修理を行おうとしている。だがそれは……それがかなってしまうことは、アシモフにとって喜ばしいと言い切れないことだったから。]
今、直ってしまっては……帰ることが出来てしまっては……
[自分は破滅だ。 だが、装置が修理されないことを願ってはいけない。それは、隊員としてあってはならない。 自分の中で割り切れないその矛盾に苦い苦い表情で覆われていた。]
(109) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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[すぐさまエスペラントは、目の前にある光景を、ワクラバに映像として受け渡す。 暫く、外蓋から内側へ、水槽頭を突っ込んで、潜り込んで作業をしていたせいで、気付かなかった。
エスペラントの真後ろで、デブリとデブリがキスをしていた。 衝突したそれらは、一気に「増えた」。
咄嗟、エスペラントの目玉が真後ろを向いた。
ケスラーシンドロームと似た状態となったその場には、延々と、デブリが増え続け――]
(110) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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[老いた脳で、慌てて外蓋を閉めたのはどうにか間に合った。
衝撃があった。 エスペラントの通信は、そこで一度途切れた。
何事か言おうと、老人が声をあげかけた刹那のことであった。]
(111) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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[突如、船体に衝撃が伝わり、エスペラントからの通信が途絶えた。]
……先生!? おい、どうした?なにが……
(112) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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[小さなデブリ同士がぶつかり合って粉々になる。 船体の反対側に、宇宙のゴミが広がった。
老人が次に気づいた時。 小さなデブリに小さな体が跳ね飛ばされたか、船体からぷかりと浮きあがっていることに気がついた。
鈍くなった動きの目玉が視界を巡らせれば、命綱がちぎれている。 辺りは細かなゴミだらけ。
次第意識がはっきりしてくる。 不幸中の幸いと、いっていいのか悪いのか、老人は生きていた。
しかし。
船体に戻ることは、最早出来ないことに気がついた。]
(113) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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― 食堂兼レクリエーションルーム ―
[キャラ付けなどとうっかり零してしまった事はともかく。 ミツボシの回答(>>91)に頷く。]
……オーケー。 いまミッちゃんは、学習の結果として「そうすべきだと思うから皆の役に立ちたい」という基準を持ったAIを持ってる。 そのミッちゃんの知性を借りて、この船のAIの根性を叩き直してやろうと思う。 だから、力を借りるよ。
ヤンファお姉様が言ってた通り、気負う必要は無いけどね。 大丈夫、痛くしない。優しくする。
もう少しだけ休んだら、すぐに準備するから待ってて。
(114) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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― → 自室 ―
[自室に戻り、その「準備」をしている最中だった。]
[実験室のアシモフ同様、船外活動の様子は声だけ拾っていたのだが――
それが、途切れた。(>>111)]
(115) 2016/05/19(Thu) 23時半頃
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[エスペラントの途切れた通信と、ワクラバの慌てた声が聞こえる。 宇宙でのトラブル、それは最も忌避すべき、最も不安を起こすもの。 実験室でデータを眺める手を止め、顔を宙に向けた。手が震える。]
……エスペラント老?
(116) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[通信を試みる。ノイズにまみれていたが、どうにか使用可能であるようだった。
聞き取りにくい音声で、老人は、漆黒の宇宙に浮かびながら、皺嗄れ声で言った。]
病葉さん 無事か
(117) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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― 自室 ―
[エスペラントとワクラバとが船外に出てしばらく。 このそれなりに大きな船の外周を見て回るのだ。それなりの時間がかかるだろう――しかしてモニタも何も無い状態で、ただ二人の反応を待つ、というのも少々手持ち無沙汰なものだった。 イースターが席を立つ折り、ワレンチナもそれに倣って自室へ向かった。
セーフモードで薄暗い部屋の中、ワレンチナは個人端末を開き、椅子の背もたれに身体を預け、爪を噛んでいる。 何か打ち込みかけては止め、また爪を噛み――を、しばらくの間繰り返した。
その間も皆と同様に、船外からの音声通信は開きっぱなしにしておいた。 そして。]
(118) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[全身のバネと推進剤を駆使して、船体を回り込む。眼前にはデブリの霧が広がっていた]
先生!!どこだ!? いま、救助にむかう!
(119) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[ワクラバから通信がかえると、エスペラントは心底ほっとしたように、はははと笑った。]
このきりでは もうみえんか デブリにひかれた 耄碌したもんじゃ
無茶はするなよ 諦めよ
皆 聞こえるか すまんなぁ わしゃあ こりゃあ……
戻れん なぁ
[船が少しづつ小さくなっていく。]
(120) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[ノイズ。そうして、その先の無音。 ワクラバの声。]
――先生?
[反射的にそう呼ぶ。急激に心臓が早鐘を打つ。 何事か打ち込みかけていた端末を無意識のうちに閉じる。 椅子から立ち上がりかけた姿勢で、見えない筈の音声通信を目で追うように、視線を動かす。
叫ぶようなワクラバの声。 唐突な空恐ろしさに襲われて、ワレンチナは力が抜けたように再び椅子に沈み込んだ。]
(頼む。これ以上、そんなこと。やめてくれ。お願いだよ)
[震える指先が、前髪をくしゃりと掻き上げた。]
(121) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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(――これは吊り橋理論か?ワクラバ。
そうでないなら単純な情けか。それとも好奇心か?
どちらでもいい。投げかけたのは僕の方だ。
そうして君は応えた。それだけ。結果論でいい。
『王子様』はもう居ない。
ほんとうの自分の心に――言わば本能に従ってみれば。
僕は、女という名のけだものだったのだ。
それを認めさせてくれ。
どうか無事に帰ってきてくれ。今夜、僕の元へ。
僕が今――祈るのは、そればかりだ。)
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[デブリの霧の中、遠方へと漂う見慣れた姿があった]
まて!いくな…! いくんじゃねぇ!!
[ワクラバは『月』に手を伸ばした]
……『親父』!!
(122) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[極力欲を絶ち生きた老人は、生き方のおかげか。 ごく、素早く、諦めた。
時間はいくらかありそうだ。 この防護服の酸素が尽き、この脳が止まるまで。
それまで、存分に「己が何たるか」を思考することが出来る。]
(123) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[ふと、脳裏に彼の顔がよぎる。
そこで、ワレンチナの意識は――静かに、途絶えた。]
(124) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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