88 めざせリア充村3
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騙したんじゃなくて、
…………騙しました、ごめんなさい。
[言い訳を探そうと少し考え込んだけれど、 うまい言葉は思いつかず。 たっぷり数秒の沈黙の後に、素直に謝罪を。
拗ねるソフィアがそっぽ向くので、 今度はちゃんと真顔で頭を下げて見せる。]
許してくれる?
[さて、ソフィアのご機嫌はどうだろうか、と 頭を下げたまま上目に彼女の顔を見上げる。]
(144) 2013/06/25(Tue) 23時頃
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[ミナカタは、実験がいつ始まるか知らない。
何度も止めようとしたから。
だから上からは通知は、実験の開始に必要な自分にのみ届く。
それをミナカタに教えることもできたけれど――しなかった。
止められないのなら、どうせ同じ後悔をするのなら。
その期間は短い方がいい。
いつだって自分だけが泥を被ろうとするミナカタへの意趣返し。]
[ミナカタから送られてたのであろうデータも、
通知には添付されていた。
これで実験に必要なものはそろった。
あとは、自分が動くだけ。]
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……っ ちょ、コラ っはは ッ !
[にこりと笑う表情の変化を眺めているうちに、 気付けば手袋に覆われたソフィアの手で くすぐられる事になっていて。
腰を引いて逃げるものの ソファの背に阻まれて追い詰められて。
抵抗する程でも無いので、 笑いながらソフィアの気が済むまでくすぐられる。
途中、反撃とばかりに、 ソフィアの頭をくしゃりと撫でるけれども。]
(153) 2013/06/25(Tue) 23時頃
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[笑って乱れた息を整えながら 改めてソファの背に深く凭れて座り直す。 ソフィアの隣。視線は彼女の手袋へと落としつつ。
次いで聞いた突然の質問に、 ぁー……、と小さく声を零して。]
叱る事はあるけど、 あんま、無いかなぁ…怒るってのは。
[実際のところ 怒りや悲観といった感情そのものが薄く、 日常の些細な事のほとんどは笑っていれば やり過ごせるわけだが。
どうして? とソフィアに問い返して。 緩く首を傾がせた。]
(163) 2013/06/25(Tue) 23時半頃
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なんだろうなぁ… 悪意が無い物事についてを怒ってもさ、 そんなつもりじゃなかったのに…って 悲しい気持ちになるだろ?
あんま、好きじゃないんだよなぁ… 悲しい気持ちになってる子、見てるの。
[くすぐられる程度なら実害はゼロだし。 もちろん、ナユタやヤニクにされたら、 おもしろがって仕返しもしただろうが。
少し、考えこんで。 窓の外へと一度視線を投げてから、呟きを。]
あと、やっぱ… がっかりされたく無いんだろうな。
[誰に、何を、とは言わないが。 失望されるのは何よりの恐怖。なんて、思う。]
(176) 2013/06/26(Wed) 00時頃
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[地下へと向かう足取りは重く。
ミナカタが戻ってくる前に、準備を終えてしまおうと。
制御室に入れば、セキュリティをオートモードに変換する。
ここから先は、そこまで回す余力はなくなる。
何本ものコードを擬体につないで意識を傾ければ、
眼から明るさが消えた。
ここからしばらく、直接触れられたりしなければ気づかない。]
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[瞬くソフィアの頭をまた少し撫でて、 弱く少し笑って肯いて見せる。]
泣いて、面倒くさいと思われたくないとか 甘えて、鬱陶しいと思われたくないとか そういうのって、無い?
[感情を露呈する事への躊躇。 頭では他人はきっとそんな風には思わない、と 解ってはいても自分の中にある躊躇い。]
……悪い。変な話したよなぁ。 飯、行こうか?
[ニィと明るく笑って立ち上がって。 食堂へ行こうか、と。ソフィアを誘う。]
(203) 2013/06/26(Wed) 00時半頃
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[そうでもない、か。と呟いて。 ソフィアの髪を緩く撫でて微笑うのは、 彼女の返答に、なんだか安心したから。
黙りこむ様子にゆっくり頭を横に振り、 ごめん、と小さく付け加える。]
飯。何だろうなぁ。楽しみ。
[そしてふたり並んで食堂を目指す。
食堂に着いたら、まず、配膳台にて職員を相手に、 「掃除頑張ったからハンバーグふたつにしてくれ」と 真剣に交渉に挑む事になる。]
(215) 2013/06/26(Wed) 01時頃
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― 食堂 ―
[いかに掃除が大変だったかをやや脚色をつけて語り、 職員を説得してみた結果、 ハンバーグは半分だけ増量された。 僅かとは言え重みの増した皿を盆に乗せてもらい、 満足げに席に着くだろう。
残りの半分は、チアキの皿に乗せてくれるらしい。
既にそこに居た志乃の明るい声を聞き、 挨拶を返して、近くの席へとソフィアと並び座る。
食前と食後はいつも丁寧に手を合わせる志乃に倣い、 いただきます、と両手を合わせてから、 食事に取り掛かった。
盆には、食後に飲むようにと、 錠剤の薬も置かれたが、それはポケットにしまって。 今は忘れたふりをする。]
(226) 2013/06/26(Wed) 01時半頃
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頑張ったもんな。 チアキが、かなり助けてくれたんだけど。
[食事をしながらの話題は、 各々の掃除場所とその様子についてなど。 うさぎリンゴを獲得したソフィアを労い、 チアキの魔法による功績を志乃に話した。
人が増え、賑わう食堂でのひとときを過ごし。
食堂を出る間際、厨房へ立ち寄り、 職員からコップ一杯分の水をもらい、 夜の投薬だと渡されていた薬を飲んだ。
廊下へと踏み出す足で向かうのは、診察室。]
(255) 2013/06/26(Wed) 11時頃
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― 診察室 ―
[とくに用があるわけでも無く、 治療を必要とするような傷も無い。 それでも、1日の終わりにはこの部屋を訪れる。 日課のようなものだった。
話はせずに先生が仕事をする傍で、 ぼんやりと本を読んでいるだけの夜もある。]
先生、居る? 入っていい?
[扉を数度叩いた後に適当な声をかける。 入室は、返事を聞いてから。**]
(256) 2013/06/26(Wed) 11時頃
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― 診察室へ行く前 ―
[厨房へ立ち寄ったついでに、 職員に頼んで、リンゴを一つ貰った。
「ちょっとした“実験”のために、 ミナカタ先生が持ってくるようにって。」
嘘の説得に応じてくれた職員に感謝。 実際のところは、夜食にするつもり。
リンゴを弄びながら歩く廊下で、 夜の実験へと向かうケイト(>>244)の姿を見かける。]
(262) 2013/06/26(Wed) 12時半頃
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[ケイトに軽く夜の挨拶をして、 少しだけ会話をしてから 再び、目的地へと向かって歩き出す。
途中、 一度だけ振り返り、 薄暗い廊下の先に消えるケイトの背を見た。*]
(263) 2013/06/26(Wed) 12時半頃
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いいだろ。 先生にはあげないけど。
[診察室に入ると いつものようにベッドの一つに腰掛けて、 仕事をするミナカタ先生を眺める。
会話はその合間だろうか。
自慢げに掲げてみせる左手で持つリンゴは、 綺麗にカットされて、半分になっていた。]
あのさ、先生、 薬の事なんだけど…――、
[と。少し言いにくそうに。潜めた声で。 歯切れ悪く、相談を持ちかける。]
(280) 2013/06/26(Wed) 21時頃
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― 少し前。食堂にて。 ―
[食事の時間は相変わらず賑やかだった。
ヤニクとチアキが揃って現れると、 仲良いなぁ、と軽く揶揄しつつも 適当な近い席で一緒に食事をするだろう。
チアキの1.5倍ハンバーグを羨むヤニクに、 俺の皿も豪華仕様になっている事は 見つからないように増量分はさっさと食べた。
チアキが結局ハンバーグを分ける様子には、 思わず少し笑って。]
良かったなぁ、ヤニク。 いい兄貴分じゃん。チアキ。
[さらにもう少し、彼らを揶揄するのだった。*]
(290) 2013/06/26(Wed) 21時半頃
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ライジは、食堂にて。スプーンを握り締めるヤニクをにやにやと眺めていた。
2013/06/26(Wed) 22時頃
――反対だ。ふざけるな!!
[何度も反対して、さすがに立ち消えたと思っていた。
手間も時間も、設備投資も必要な実験だったから。
それなのに実験開始の合図は無慈悲に鳴る。]
頼む……頼む、それだけは。
俺が中止を申し立てたことなんてほとんどないだろうが!
下手をすれば全員――
[寒い予感に唇が凍る。
もしかしたら全員、再起不能な傷を負うかもしれない。
もう、誰も笑顔を見せてくれなくなるかも――]
……頼む、それだけはやめてくれ……
[懇願は届かない。
ミナカタという一人の「元被験者」などの言葉より
彼らは実験の成果をずっと強く欲している。]
[通信が途切れ、無力感に膝から崩れ落ちて。
ただ、悔しくて涙を零す。
何のためにずっとここに居たのだろう。
少しは何か出来ているのかと思っていたのに。
最後に画面の向こうから放たれた言葉が
正しすぎて、怒る気力などわいてこなかった。
――お前はその箱庭で自己満足してるただの被験体だ。
ああ、正しすぎて吐き気がする。]
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― →廊下 ―
[静かに診察室を出て、 後ろ手に閉めた扉に凭れて深呼吸を一度。
それから、名残惜しさを振り切って、 何処へ向かうともなく歩き出した。*]
(307) 2013/06/26(Wed) 23時頃
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― 再び少し前。食堂での夕飯 ―
[チアキに得付けられる 野良犬もといヤニクの様子を楽しげに眺める。 年長者らしくふるまっているチアキの方が、 どこか幼く見える不思議さに笑いながら。]
おぅ。大きくなれよ。 チアキもヤニクも。
[チアキについては、背丈はもう伸びなくて良い。 僅かなりとも俺の方がまだでかい。 追い抜かれたらちょっとショックだ。
なんて思いは心の中にとどめておく。]
(312) 2013/06/26(Wed) 23時頃
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ライジは、スルーされてちょっとしょげたり…とかしてない。してないもん。といった様子。
2013/06/26(Wed) 23時頃
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― 現在。廊下→自室 ―
[診察室を出てからは、 真っ直ぐに自室を目指して進んだ。
寝る前に、妹に夜の挨拶を…と、 自室の前を過ぎて彼女の部屋へと思ったところ。 廊下の先に、白衣の大人と、妹の姿を見つけて。]
リッキィ…?
[実験…だろうか。 不安と心配に駆られるものの、 それを止める事は出来ないだろう、と。 そう思ってしまう無力感に溜息を落とした。
眺めるうちに、 彼女は、連れて行かれてしまったか。]
(320) 2013/06/26(Wed) 23時頃
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[俺にとっての消灯時間以降の実験は、 いつも呼ばれると陰鬱な気分になる内容だった。
それを思うと、 呼び止められなかったリッキィが心配で 自室へ戻って眠る気分にはなれない。
診察室で得た安堵が消え失せ、 ひどく落ち着かない気持ちを抱えたまま しばらくそこに立ち尽くしていた。]
(326) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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[ぼんやりと廊下に立ち尽くしていたところ、 背後から腕を掴まれて振り返る。
そこには、本日3度目の対面となる、 お馴染みの研究員の顔。
驚き、思わず「何…」と雑な言葉を返せば 腕を捻り上げられた。]
……夜這いなら、もうちょい丁寧にさぁ…
[なんて冗談も彼らにはまったく通じず。
実験室へと連行される事となる。]
(337) 2013/06/26(Wed) 23時半頃
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― 実験室 ―
[連れ込まれた部屋ははじめから暗かった。 こんな事は今まで無かったと訝る間も無く、 一寸先さえ見えない闇の中へと 力任せに突き飛ばされ。]
………ッ ァ ?! …ッ、
[気付けば、水の中に居た。
闇に閉ざされた視界からは 自分が置かれた状況は解らないが、 おそらくは水槽か何かに落とされたのだろう。]
(348) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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…………ッ !!! あ゛、
[必死で浮き上がり呼吸を求めたところで、 水槽の縁から、電気を流されたようで。 全身を貫く痛みに、一瞬、呼吸が止まった。
電気に満ちた水の底へと身体が沈み、 全身に与えられる強すぎる刺激に誘発されて 薬によって高められていた力が、溢れる。
水面が青白く光る。 先の物とは比べ物にならない程の痛みを感じる。
幸か不幸か、 俺は、いくら電気を流されても死なない。]
(349) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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[その後は、 自身が放つ雷電に身を撃たれ、呻き、溺れ、 掬い上げられてはまた同じ事を繰り返し。
夜の間ずっと。ずっと。
完全に意識を失うまで、それは繰り返された。
落ちる間際の頭に過ぎったのは、 今日あった事、会った人、聞いた声、感情、幸せ。 そういったものが掠れて消えて。
俺は、完全な闇に呑まれた。**]
(351) 2013/06/27(Thu) 00時頃
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― チ ―― チチ、チチチ
[断続的な電子音は、だんだんと間隔が短くなっていく。
画面を流れる文字。いくつも表示される窓。
それらは折り重なって、ひとつの「世界」の輪郭を作る。
電源のプラグをはじめ、
擬体から伸びるチューブは電子板につながっていた。
回線を通して各々のカプセル、
そこで眠る意識の中へと、見えない手を伸ばす。
開かれたままの翠に光は灯らず、
意識の全てはコードの向こう側へ。]
[酷い実験だと思う。
もしかしたら、もう二度と笑顔を見られなくなるかもしれない。]
……ごめん…ね…。
[その謝罪は誰へ対するものか。
そして人の命を弄ぶ実験の開始を告げる、音が。]
[通知音に、顔をあげる。
足早に、誰もいない廊下を駆け抜ける。
――昨日まであった、仮初めの幸せは、
もう、ない。]
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