212 冷たい校舎村(突)
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[ 話をして。話して。それで。]
(7) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ ひとの想像力 には、限界があって、 自分の 当たり前 の感覚って、 きっとなかなか越えられないもんじゃないかと思う。
そうして、覗き込んだその先に、 得体の知れないなにか が、いたなら。 自分が、誰かにとって、 得体の知れないなにか だったなら。
……”もしも”じゃ、 想像できないから、怖いんじゃん?]
(8) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ ……だから。 話がしたい と言えるだけ、 おまえは強いんだと思う。入間。]
(9) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ 考える様子を見せた入間>>534が、 あのメールを、怖かったと言った入間が、 言葉を、紡いでいく。
死んじゃったほうが、と、入間も言って、 おかしな異変について、触れていく。
笑い声とか、泣き声とか、イルミネーションとか。 俺にも、それらについて、 それ以上言えることはないから、
ただ、あとひとつだけ、言えるとすれば。]
(10) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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……あのさ 俺は、入間じゃないと思う この世界 つくったの
おまえが抱えてるものの重さとか、関係なく、 というか、ひとの悩みなんて、重みとか、 他人になんて、わかんないんだろうけど
ただ、そんな気がする なんか そんなふうに、理由なんてあげてけないし、 ”なんとなく”……だけど ……上須賀、わかる?
(11) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ この世界のこと、 趣味悪いとか言い切った、上須賀よりも。
ひとつ ひとつ 取り上げて、考えてるとことか、 メール、怖かったのか。そういうとことか。
そういうの、見ていて、 そう思った としか、言いようがない。
あくまでなんとなく で、なんの保証もできない。 不確かな言葉を、それでも口にして、視線はぶれた。
一旦教室に戻ろう。 その言葉に、そこで、議論が止まることに、 うっすら、安堵さえ覚えながら、3階をあとにする。]
(12) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ 死んだほうがいいと思った。
そう言ったおまえたちに、 「 どうして 」と、踏み込みたい、と。
そういう気もちが、芽生えたから、 やっぱり、言えない。
死んだほうがいい というより、 死にたかった。
なんて。*]
(13) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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── 夜:3年3組へ ──
[ 教室に戻ったころには、 眠るための準備が成されていただろうか。
俺は、自分の席に戻って、 ああ、そういえば、ブレザー貸したんだって、 きれいな文字>>2:544を見つめて、思う。 ……気まずいな とも、思う。
それでも、これは、 ”喧嘩中”ってわけじゃないと、 思ってもいいのだろうか。
ふたつ、お礼みたく置かれた飴玉。
もう、みんな寝支度をしていたから、 またあとで食べようって、 ブレザーのポケットに、忍ばせた。]
(31) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ それから、みんなに混ざろう。
暗幕を見て、なんだよこれ って、驚こう。 光が眩しい と文句を言いながら、 みんなを追いかけるように、寝支度をしよう。
並べられた寝袋 に、少しだけ強張った頬を、 めいっぱい緩めて、みんなの並ぶ端にもぐりこもう。
お邪魔します。 外から内に入るときのまじない。 心の中で、呪文のように、唱えて。**]
(32) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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── 朝:3年3組 ──
[ 暗幕とか、カラフルな光とか、 穏やかとはいえない、白色の外の世界 とか。
非日常が多すぎて、朝日なんて見えない中、 目覚ましのアラームとは似ても似つかぬ、 チャイムの音で目を覚ました。
寝返りを打ちながら、音を止めようとして、 床の硬さとか、ストレッチのきかない服とか、 すすり泣くかわりに、どこかで 囁く声。 これは いつもどおり じゃないと気付く。
それから。 隣には、空になった寝袋>>41ひとつ。
……古辺?]
(69) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 見渡せば、足りないのは、古辺だけじゃなくて。>>68
ぽつん と、ひと雫落ちるように、 心の中がざわめいたのは、どうしてだろう。
いなくなったまんま、見つからない水野
それが、過ぎって、俺は、そうっと寝袋を抜け出す。
靴下のまま、教室の床を踏んで、 ひょいと、並ぶ寝袋のうちのひとつ、 その傍らに、しゃがんで。小さな声で。]
元賀、なあ 起きろ な ……古辺とか昴、いねーんだけど
[ ゆさゆさと揺さぶる── ことはしないけど、 起きろ と、不安を不機嫌そうな声に隠して、呼ぶ。*]
(70) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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── 回想:元賀と、買い出し ──
[ 雑用のプロたる庶務と、暇人ゆえの使い走り。 元賀や俺が、おつかいを言いつけられることは、 そう、珍しいことでもなかった。
「 あれ足りない 」「 やっぱりこれもほしい 」
その日も、そんな言葉が湧き出て、 あちこちから買い物メモを受け取って、
その量がそこそこになりそうだったから、 俺は、元賀に声をかけた。 買い出しーって、何枚か重なったメモをひらひら。]
(71) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 買い出し つっても、 学校の近くにある、ホームセンターとかSCで、 メモどおり、買い物して、領収書もらって、 それを会計に提出。簡単なお仕事。
ただ、ひとつ、面倒なのは、
几帳面だったり、親切だったり、 よくわかってるやつは、 メーカーとか、色番とか、メモで指定してくれんのに、 たまに、そうしてくれないバカがいること。]
(72) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 行き掛け、追っかけてきた水野が、 『 フリル足んなくなりそう 保田、買ってきてよ 』と、
「 メモ書けっつってんじゃん 」と返した俺に、 般若のような形相で、その場で書きつけて握らせたメモ。
当てつけのように力強い字で書かれた、 『 フ リ ル レ ー ス 』の六文字。
ふざけんな。]
(73) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 女子の衣装の装飾を増やした>>0:241 とか、 そういう経緯は生憎俺は知らなかったし、
それに元賀が一枚噛んでたとか、 それだけじゃなく、何も、知らなかったし、
想像も、しなかったし。
キレ気味に、手芸コーナーの前で棚を睨めつけて、 見分けの付かないフリルだかレースだかに、言う。]
俺らに分かるかよ こんなん
[ 全部一緒に見えるわ と、毒づいて、 それから、やっぱり、 水野が使ってたやつが見つけられず、ため息。
元賀を振り返って、こぼす。]
(75) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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無理、全然、わっかんねー 違うやつ買ってったら、キレられそうだし 女子、連れて来りゃよかった
[ って。*]
(76) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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[ 元賀の隣にいて、楽だったのは。 距離感 だったのかもしれない と、思う。
じゃれついたりもしないし、 踏み込んでもいい距離をはかりながら、 ぽつ ぽつ と、ゆっくり。 そんなペースが許される とか。
今、こうして、声をかけるのも、 俺が今、不安を隠しきれなかったとして、 おまえ、 笑わない だろ、多分。*]
(77) 2017/03/14(Tue) 12時頃
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── 回想:元賀と、買い出し ──
[ 元賀の表情は、一瞬しか、見えなかった。
ただの違和感。
あれ? と思っている間に、 一歩、前に出て棚に近づいた元賀>>114に、 場所を譲るように、一歩退く。
次に、視線が合ったとき、 元賀はもう、その手に探し物を持っている。]
(119) 2017/03/14(Tue) 20時頃
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えっ…… マジで !
[ 降ってくる声>>115に、 驚きと喜びの混じった声を上げた俺は単純で、 逸れてった視線の理由には思い至らないまま、
けど、知ってる と、思った。
居心地の悪そうな態度とか、 その口ぶり。視線のうつろい。 を、なにか、知っている光景だと感じて、 あ。]
(120) 2017/03/14(Tue) 20時頃
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あー、そういう? こういうのにも、色々あんだな
でも、ラッキー 元賀が知ってて、よかったわ つーか、水野、あいつ、ちゃんと名前で言えっつの
[ 一歩退く。イメージの話。
なにかを踏みつけた と思ったときには、 たぶん、手遅れなんだろうけど。
せめて、それ以上踏み荒らさないように、 何気ない会話 を装って、撤退。撤収。
「 じゃあそれ買って帰ろーぜ 」と、 おつかいを済ませて、学校までの道のりは、 適当な話題 が思いつかず、口が 重い。*]
(121) 2017/03/14(Tue) 20時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 察してくれた ような言葉>>111に、 俺は笑いもせずに、頷いて、返事に代えた。
そんなとき、 まだ寝袋の中の上須賀>>117が、 もぞもぞ となにかを探すように手を伸ばして、
こいつ寝起き悪そうだな と思いながら、 俺は、そっちに声だけ飛ばす。]
上須賀! 理一も! ……古辺と昴、いねーから、 俺と元賀、様子見てくる
[ 声は、いつもと同じ調子で響いているといい。 行こう と元賀に促すようにして、教室の外へ。*]
(122) 2017/03/14(Tue) 20時頃
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── 現在:廊下 ──
[ 人気のない、冷たい廊下に出ると、 降り注ぐ ささやき が、一段と、響いて。
俺は、眉を顰めて、 壁に備え付けてあるスピーカーを見上げる。]
……これ、嫌だな
[ 同意を求めたわけではないけど、こぼれた呟き。
笑い声 よりも、すすり泣き よりも、 なんだか、生々しい と思うのは、
それが、俺の歩んできた18年、 その意味 なのかもしれないけれど。]
(130) 2017/03/14(Tue) 20時半頃
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## なにもかも冗談に塗り替えるような、 囃し立てるような声 や ささやき>>102 から、 取り残されたような気もちで、いる。
前髪の奥、色の読めない眸を見て、 自分も、ささやきを交わしているくせに。
いき苦しい。 ##
(131) 2017/03/14(Tue) 20時半頃
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## いつから という問いは、 あまりにナンセンスだと思う。
だって、みんなは答えられるのか。 『 初恋はいつ? 』じゃなくて、 『 いつから女子が好きだった? 』とか。
……いや、別に、 誰かにそう聞かれたわけじゃなくて、 それどころか、誰にも言ったことなんて、ない。
ただ、自覚 は、最近の記憶ではなく、 それなのに、ずっと、言葉にはせず、直視もせずに、
自分のこと なのに、避けて 生きてきて。 ##
(132) 2017/03/14(Tue) 20時半頃
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##
だから、 交わされる ささやき が、 当たり前の反応 として、刺さる。
##
(133) 2017/03/14(Tue) 20時半頃
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[ やまないささやき声。
ずっと、まともに聞いていたら、 頭がおかしくなりそうなので、
かぶせるように、声をあげてみたりする。]
── ふるべー、すばる いるかー?
なあ、元賀、 あいつらの行きそうなところ、 心当たりとか、ある?
[ ひた ひた と、 無機質な冷たさを、靴下越しに感じながら。*]
(134) 2017/03/14(Tue) 20時半頃
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── 現在:廊下 ──
椅子?
[ 眉をひそめて、反復したのは、 同意の後、物騒な言葉>>144が聞こえたからだ。
放送室での概要を聞けば、 場違いにも、笑いがこみ上げる。
天ケ瀬さんも、三星も。こえーよ。 とか、笑うけれど、
そうしていても、耳に届く不快な音に、 笑ったまま、付け足す。]
(159) 2017/03/14(Tue) 22時頃
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やってみる? あとでさ 機材でも、スピーカーでも ぶっ壊しちまえばいいんだ
(161) 2017/03/14(Tue) 22時頃
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[ 元賀の言葉>>144を受けて、 足を食堂のある方へ向けようかと思った矢先、
探していた声 >>141 が、聞こえる。]
── あ、
[ 安堵 を覚えて、元賀>>144を見上げて、頷く。
それから、少し先に見える影、ふたつ。 マイペースな声に、呑気な追撃。>>156
なんだよ、一緒にいんのかよ。 ふたりしておまえら と、ふつふつと腹が立つ。]
(162) 2017/03/14(Tue) 22時頃
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おまえらさあ、 こういうときに、ふらふら してんじゃねーよ! 朝から びびらせやがって
[ 足を早めて、合流を試みる。
近づいて、はっきり見えた顔>>156が、 やっぱり、常と変わらぬように、見えて。]
(163) 2017/03/14(Tue) 22時頃
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[ 上須賀も理一も、なんかまだ寝てたし、 ひとりで焦ってる、 俺のほうが 変 なのか? って、 ちらり と、くらいには、過ぎった。けど、]
(164) 2017/03/14(Tue) 22時頃
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[ ムカつくもんは、ムカつくから、 俺は、不機嫌そうな表情のまま、 ふたりの元へと歩み寄って、
不機嫌そうな声のまま、 「 で? 」って、聞く。]
何してんの、ふたりで メモくらい、置いてけよな
[ 文化祭の、賑やかな光景。 当日、近寄らなかった屋台の群れは、 なんだか、妙な威圧感を持って、いる。*]
(168) 2017/03/14(Tue) 22時頃
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── 現在:廊下 ──
[ むっとしたまま、放った声に、 思ったよりも、相手がうろたえる>>172ので、
それも、何の毒もない、 気遣いにも思える行動>>172が、 答えとして、かえってきたものだから、
それ以上、何も言えないし。
不思議なことに、 謝られると、なんだか。]
(187) 2017/03/14(Tue) 23時頃
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……あ、いや
[ ……うまくいかないな。
何と言えばいいのかもわからないし、 急に、どう振る舞えばいいのか、悩むから、
ゆっくりと息を吐いて、 これはため息ではなく、深呼吸だと、 周囲にも言い聞かせるように、ゆっくり。]
俺が、気、滅入ってんのかも 悪い パンケーキ、焼いてくれんなら、食べたい
[ いつか、一口もらったパンケーキ。 その味を思い出して、言った。それは本心。]
(189) 2017/03/14(Tue) 23時頃
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……でも、どこで? 家庭科室?
[ そう、尋ねる。
屋台の群れ。 家庭科室なら、こっちじゃないよなって。
元賀は手伝うと言うけれど、 俺、調理班じゃなかったしな。
別に、料理できないとかじゃなく、 ”したことない”だけで、やればできるはず。 ── って、内心思っていたけれど、
文化祭のときは、 「家で料理? 台所入ることねえ」の一言で、 接客に回されていたのだ。解せぬ。]
(190) 2017/03/14(Tue) 23時頃
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[ っつか、体調悪いなら、 今は無理せず休めばいいのに、とか。
思わんでもないけど、 言えないことを飲み込んで。
ふたりが移動するなら、 俺は教室と保健室を回って、 朝ごはんのお知らせでもしてこようか。
と、]
(191) 2017/03/14(Tue) 23時頃
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[ 昴と元賀が、そのあと移動したか、 その場にとどまっていたかは、わからない。
ただ、そうこうしているうち、 自分たちとは逆方向からやってきた、 入間と大和さん>180が、言う。
”三星莉緒と似たマネキンがあった”って、
俺は、ささやきのこだまする中、それを聞く。*]
(192) 2017/03/14(Tue) 23時頃
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── 現在:廊下 ──
[ 落ち着いて聞いてほしい。
と言われると、心臓が跳ねるよな。 情けない話ではあるけれど。
けど、その前置きのおかげで、 続く言葉を身構えて聞くことができた。
相槌も打てないまま、 ただ、辛うじて、「 わかった 」と言う。]
(199) 2017/03/14(Tue) 23時半頃
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わかった。俺、そっち向かうわ 適当に、誰か手伝わすから、 おまえらは上── え、天ケ瀬さんも いねーの
[ さっき、一度は晴れた嫌な予感 は、 残念なことに、外れていたわけではなかった。
クラスメートの不在をにおわせる言葉>>194に、 俺は、顔を強張らせながらも、頷いて。
ただ、去っていく背中に、ひと声。]
……なあ、 ここにいないやつは、……帰れたと思うか?
[ 答えなんて出るはずのない問いかけを、 届くか届かないかの距離に、投げた。*]
(202) 2017/03/14(Tue) 23時半頃
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── 現在:廊下 ──
[ 求めていた答えは、 きっと最初からひとつだけで、 それが得られたことに、心底安堵する。
揃って、『 帰れた 』と、 そう言うふたりに、「 だよな 」と頷く。
それ以外の可能性。 消えた。マネキンそのものになった。死んだ。
……良い可能性は出てこなくて、 だけど、今の状況が、”そう”なら、 無事、帰れるはずだろ、なあ。
だから、ここにいない=帰れた って、 考えたって、いいじゃん な。 みんなもそう思うだろ?]
(218) 2017/03/15(Wed) 00時頃
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[ ……我ながら、ずるい な。]
(219) 2017/03/15(Wed) 00時頃
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[ そんな、儀式めいた確認を終えて、 俺はやっと、歩き出せる気がする。
片付けに という言い方は忍びない、けど。 入間の説明から察するに、 昨日と同じような作業が必要 らしく。
タオル。足りるんだろうか。 例えば、みんな、みんな、いなくなるまで。 こういうことが、続いたとして。 ずっと、同じこと、続けるのだろうか、俺。 いなくなったやつらは、どうしていないんだろう。
……なんで、俺、 自分が 帰る 想像は、してないんだろう。
そんな、着地点の見当たらない、 思案の入り口に、立った頃。]
(220) 2017/03/15(Wed) 00時頃
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── え、 ちょ、大和さん!
[ 動いたのは、大和さんで、 それは、予想もしていなかった出来事。
思わず大きな声を上げたけれど、 彼女は足早に去っていく。>>214
その姿が、まるで、 逃げていく ようで、 一緒にいることを、拒絶するようで、]
──……、
[ 一瞬、動けなかった。間があく。
追いかけていいのか って、 考え込んでしまう、自分が いた。*]
(221) 2017/03/15(Wed) 00時頃
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さっきの曖昧な笑顔より、
こっちの方がいいよ、天ケ瀬。
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── 現在:廊下 ──
[ 一瞬の間の後に、床を蹴った。
追っかける ように聞こえた入間の声>>239に、 まかせろ とは、言えないまでも、 振り返って、言葉を返す。]
また、あとで。教室で ── 無理すんなよ、おまえ も
[ 靴下越しに、うまく踏ん張れない廊下。 足を取られそうになりながらも、 二段飛ばしで、1階へと駆け下りていく。*]
(243) 2017/03/15(Wed) 07時半頃
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── 現在:1階 保健室 ──
……大和さん?
[ 彼女の言葉>>214を思い出して、 追いかけるようにやって来た保健室。
泣いてたらどうしよう とか思ったんだ。 俺は慰めるのも下手だし。
声を先にかけて、それから扉を開けて、 それで、無人だったら、恥ずかしいだけだけど。
バケツと水とタオル、ここから調達していこう。**]
(244) 2017/03/15(Wed) 08時頃
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── 現在:保健室 ──
[ 返ってきたのは、思いの外平常に近い声>>261。
拍子抜けしつつも、 そろりと足を踏み入れれば、 彼女は水道に向かって、せっせと準備。]
や ──、だって、 ここ、女子の寝床にもなってたじゃん ズカズカ入って来られても、嫌だろ
[ 言い訳めいた言葉とか、 そういう口調ながら、隣に立って、 一緒に お片付け の準備をするところ。
ガキっぽいなとは思うけれど、 生憎、前髪の鬱陶しい誰かみたいに、 スマートな立ち回りとか、知んねえしさ。]
(269) 2017/03/15(Wed) 21時頃
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……あ、モップ あったのかよ 最初から、そっち使えばよかったな 使い終わっても、ゴミ箱には突っ込めねえけど
[ モップを手渡されて、一度は受け取った。
入間のバカめ。あとで教えてやろう。 そんなことも思う。俺の脳内は、それなりに平和。
だから、さっきも相手を萎縮させたばっかりだってのに、 思いつくがまま、 何言ってんの って顔で、、言葉を紡ぐ。]
(270) 2017/03/15(Wed) 21時頃
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── そりゃ、心配するだろ 入間じゃなくても、無理するなよって思うよ
[ 腕まくりをして、また下ろす仕草。>>262
それを視界の端に捉えながら、 己の軽率さをたびたび実感していた俺は、 さすがに、付け足すように、続けた。]
(271) 2017/03/15(Wed) 21時頃
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……怒ってんじゃ、なくて、 しっかりしてほしいんでも、なくて、
ただ、無理してほしくないだけなんだと思う ……だって、もう、わかったじゃん 追い詰められたやつが、どうなんのか とか 知ってるじゃん、俺ら
[ どこにいったって、追いかけてくるささやき。 その出処でも有るスピーカーを、ちらりと見やって、 言葉に困るように、ゆっくりとしたペースで、話す。]
(272) 2017/03/15(Wed) 21時頃
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……せめて、みんな でいるときくらい、 それぞれが、できることして、やってきたいじゃん 文化祭のとき みたいにさあ
昴なんて、パンケーキ焼いてくれんだって この状況でさあ ……元賀もそれ、手伝いに行ったし
[ そう、言葉にしていって、 ただ怯えていただけの自分よりも、 あいつはよっぽど、他の みんな のこと、 考えてくれていたのだな と、気付く。
それが、なんだか今更気まずくて、 視線が、斜め上あたりを彷徨ったりもするけれど。]
(273) 2017/03/15(Wed) 21時頃
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[ それから。 ああ、そうだった と、 言い忘れ を思い出したような顔をして。]
昨日、食べ物持ってきてくれたの、大和さんだろ 全然、食べることなんて考えてなかったけど、 あれ見て、気、楽になった サンキュー
飴も、まだ食べないで、持ってる 余計なこと言いそうなときにでも、舐めるわ
[ 準備ができたなら、 三星っぽいマネキンに会いに行こうか と、
モップとバケツの交換を要求するだろう。
ご納得いただけないようなら、言おう。 「 ほら、俺、ムキムキだから 」。*]
(274) 2017/03/15(Wed) 21時頃
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── 現在:保健室 ──
[ そこまで気にする人なんて居ない?
「 そんなことねーって。こんな状況だし 」
なにがこんな状況なのかは自分でも分からないが、 とにかく、今度はこっちの視線が上滑り。]
した っていうか、 上のときは、上須賀に、捕まった
[ 声に出してみれば、愉快な話じゃないか? そういえば、昨日はサボってなかったなって。
なんだろう。 なんか、付き合い悪いわけでもないのに、 急に、ものぐさだったり遠巻きだったりするし。 それって、例の ひとりでいたい ってやつ?]
(305) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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[ それから。]
── そっか
[ 困ったように笑って、うつむく大和さん>>290に、 つられるように、俺も下を向く。
無理をしてなきゃ崩れちゃう。
その感覚は、俺には遠い。
だけど、なんにせよ。 無理して、結果、さっきみたいな感じ なら、 幸福そうには見えなかったな と言えないまま、 精一杯、受け取ろうとしてくれている 様子>>292に、 「 おう 」と短く肯定して、言葉を飲む。 生き苦しい世界ですね。そうでもないですか。]
(306) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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……おー、 じゃ、三星にもお礼、言わねーと なー
[ ここにいないクラスメート。
その名前に、俺はフツウに笑えてたんだろうか。 鏡もないのに、わからないまま、 バケツを片腕にぶら下げて、廊下へと向かう。
首元をタオルで覆う様子>>294は、 なんだか、手当て のようでもあって、
俺は、”ソレ”が、何者でもないと、 やっぱり、思えないままでいる。
モノを扱うようには見えない、丁寧な手つきだ。 とか、そんなことを考えながら、 謝罪に心当たりのない俺は顔を上げた。>>295]
(308) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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── いや、ほんとに 俺が、
俺が、不用意に、変なこと言ったから 大和さんが、気にすることないだろ
かえって、なんか、ごめん
[ 覗き込む ようにも思える視線>>295に、 眉を下げて、きっと今度はこっちが困り笑い。
逃げ込むように、空き教室の扉を開ける。
がらがら。特に支えもなく、開く。 扉の先。]
(311) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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[ ── ”見つめて” いる。]
(314) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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── 現在:1階 空き教室 ──
[ これは”モノ”だから。 マネキンであって、何者でもない。
そう言い聞かせて、握っていた冷たく白い足首を、 その時、握りしめることも、投げ出すことも、 どうしてだか、できなかった。
”見つめて” いる。>>15
扉を開け放した先、誰もいない部屋。 前方の壁スペースを、大きく使った黒板。 誰もいない部屋 に いる 何か。]
(316) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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──── 落書き ?
[ さっきまで、フツウに会話をしていたはずが、 なんだか、情けない、弱々しい声でしかなかった。
怯えていた。怯んだ。
ただの、絵だよ。絵だな。 黒板を埋め尽くすくらい、いっぱいの、眸。
ついてまわるささやき声は、 背中からぶすり ぶすり と、刺さるみたいだ。
固まっていたのは、一瞬。 そっと、マネキンの足を一旦下ろして、 黒板につかつかと歩み寄る。 置きっぱなしの、黒板消しを手に取る。]
(320) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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|
[ ── 消せない と、
呆然とつぶやくのは、ほんの一瞬の後のこと。*]
(322) 2017/03/15(Wed) 22時半頃
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── 現在:空き教室 ──
[ べしゃ って、感じで、
黒板に触れたモップだけが、しなだれた。 描かれた、真っ白な眸は、かすれることもなく、 ただ、爛々と そこにあるから。
どうしてだろう。 目を離せないまま、腕を引かれる。>>340]
── わかった
でも、なんか、 この部屋に置いとくのも、アレだし、 マネキン、別の部屋に動かしとく な
先に廊下、片してて
(342) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
|
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[ 半ば強引に動いた と思う。自分でも。
肩、組むみたいに、 自分よりも小さいマネキンを連れて、]
── 陸上部の部室 とりあえず、置いてきた
なんか、空き教室っていうのも、アレだし
……パンケーキ、俺らも食いに行こーぜ
[ 廊下に戻って、そう告げる。 部室には黒板なんてないからさ。 掃除もさっさと、済ませてしまおう。]
(343) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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[ ……ほんとは、 開けた 隣の教室も、その隣も。 みんな、同じ状態だった なんて。
言わなきゃ、見なきゃ、わからない。 ひみつ ひみつ。*]
(344) 2017/03/15(Wed) 23時半頃
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