24 ロスト・バタフライ
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[けれど]
… わかんない。
[返す答えは、いつもみたいには、笑わないまま]
でも、
イーラの怒ったいらいらした声が、しないのは
なんか、ちょっと、
… つまんない、かな。
[ぽつり、呟くように返す*]
[ふわり、ふわりと、
ガウを追いかけるのは砂色の蝶々。
息のない姉妹の周りを、ひらひらと舞って。]
うん、わかんない、ね。
[声は沈んでいるだろうか、でも。]
よくないなぁ。
うん、よくない。
人間は嫌いじゃない。
イーラとガウは要らなくない。
でも誰か、イーラを居なくしてしまった。
誰が?
よくない、ね。
どうせ奪われる僕が、
僕が奪いたかったのに。
イーラを殺した誰かが死んだら、
その身体から魂の一部が漏れてくるかな。
[紡ぐ言葉は、仲間のことばかり。
冷たくなった姉妹に興味はない。]
ニールは何か聴こえるみたい。
何の声?
僕達の声?
―――違うみたいだね。
じゃぁ、誰だろう。
…イーラの、声?
[そして届いた言葉に、ぶわりと背中が粟立つ。]
フィル。
フィルがやったの?
イーラを消したのは、フィル?
[ぱりん、と、何かが頭の中で割れる音。]
[やめて
いたい
どうして、僕、何もしていないのに。
僕が、駄目だから?
嫌だ。嫌だ。嫌だ。]
ごめんなさい…。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
痛いのは嫌だ。苦しいのは嫌だ。だから、あは、
ガウ。ガウ。
あはは、今日はフィルを食べていいかな。
いいよね。お腹が減ったんだもの。
フィルが悪いんだ。
何も食べさせてくれないで、僕にあんなことするから悪いんだ。
[どこか、箍が外れたように、笑う。楽しそうに、悲しそうに。]
イーラだ。
ええ、却下なの?
フィルは、駄目?うん困ったなぁ。
本当に困った。
ニールは、おれたちの声を聞いてるわけじゃないみたいだけど
[空っぽと自分のこと言った癖に揺れる声、
聞きながら、首を傾げ]
ナハト、なんか却下って言われてるよ
[伝えてはみるけれど、強く止めるようではなく]
頭のいいイーラが言うことだもの。
何か考えがあるのかも。
ガウは、誰が食べたい?
フィリップは──
[ぽつり 言って、少し黙り]
フィリップじゃないなら、
おれは、ぺラジーがいいかな。
こっちに引き込み損ねたから、
邪魔に。なるかもしれないしね
どうせ、残してても、出て行っちゃうから。
[視線、ぺラジーから外さないままにそう答えて]
ペラジーは、そうだね。
[先程匂いを示唆していた彼女。
何か勘付いているのかもしれない。]
そうだね、うん。
彼女にしようか。
「僕達は欠けているか?」
うん、面白い問いだけど。
答えは、
「どうでもいい」、かな。
欠けてようが欠けてまいが、
これで、僕は僕だもの。
片羽が欲しいか?
へんなこと聞くんだね。
──そうだね。
おれたちも、きっと、どっか欠けてる。
でも
… 埋まったら、きっと、
残りたい気持ちも、消えちゃうね。
きっと。 おれは、おれでなくなる。
── どうして、残ってたかったのか とか 忘れちゃったけどさ
[忘れちゃった、というガウに苦笑い。]
僕は、
忘れたかったのかも、と最近ちょっと思う。
[少しずつ、少しずつ。欠けた何かがわかってきたような気がしていた。]
だからおれは、
「 欠けたままがいい。」
ナハトと、イーラがそのうち、また起きてくるなら。
また騒がしくなるのを、待てたらそれでいいよ
思い出しちゃったら、
多分僕は「僕」でいられなくなるんだろうなぁ。
そうだね、僕も、
イーラとガウと、楽しく話せてたら、それでいいかな。
人間たちはちょっと面白いけれど。
…彼らがいなくなって、またイーラが静かになってしまったら、
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