252 Aの落日
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[ われわれ自身の享楽を目的とする。]
(227) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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──現在──
[ 伏見美鶴は、どうやら機嫌がよさそうには見えない。>>219
雰囲気が変わった。という指摘に、 それ以上の返答はなく、 女の化粧の腕や持ち得る技術など、 一昼夜で大きく変わることなどないと、 思ってはいたが、気に留めなかった。
ただ、彼女が一瞥した方向>>219と、 そこに残る人々の群れ。
それに、やはり私は笑いを零し、]
(228) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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われわれ一人ひとりの気が狂うことは稀である。
(229) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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[ 何が面白いのか。という問いかけ>>221に、 ごく率直に答えるつもりで諳んじる。]
──読んだ? ……そういえば、あの本。 返してもらいに行かなくちゃね。
[ 棘のある視線から、微笑みを隠すよう、 片手を、口元を隠すように顔に寄せ、]
みんな、寄ってたかって、 馬鹿みたいに騒いでるっていうのに、 あなたは、つまらなさそうね。
[ その方が奇妙だ。と言わんばかりに、 黒江仄日はただ、騒がしい生徒らを見つめていた。]
(230) 2018/10/18(Thu) 00時頃
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[ 気が狂っている。みんな、病気だ。**]
(231) 2018/10/18(Thu) 00時半頃
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──現在/ゴミ捨て場へ──
[ 女といくらか言葉を交わし、 黒江仄日は当初の目的に戻ることにした。
ゴミを捨てる。燃えるゴミの山を。 紙の山はそれなりに重く、 とっとと捨ててしまいたい気持ちならずっとあった。
その道中で、ふと立ち止まる。 見知った顔があった>>210ためだ。]
(271) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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[ 悪意は育つ。膨らむ。芽吹き、花実をつける。]
(272) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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──各務くん。
[ 重いゴミ袋を提げていた。 立ち止まるのと合わせて、 だらりと腕を下げたら、 それは地面にどさりと落ちた。
ほんの、悪戯心が芽生えた。 陽射しの強い晩夏の日に、 黒江仄日の目も口も三日月を象った。]
(273) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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良かったじゃない。 望み通りになって。
(274) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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[ ポケットの中で、スマートフォンが二度震えた。 まだ見ぬ問い>>260に答えるのならば、そう、 良い肥やしとなったとでも言うのだろう。**]
(275) 2018/10/18(Thu) 19時半頃
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[ 身を乗り出す安住の後ろ姿の写真を
こちらを見て微笑む安住を、
手が離れた瞬間を、
スライドさせるごとに
ゆっくりと、落ちていく様子を
万年青は何度も見つめる。
最後はふざけて身を乗り出す生徒たちの写真。
下から見ていたら、こんな様子だったのだろうか。
ぶるりと体が震える。
もっと、こんな様子が見たい ]
[ 彼女が死んでしまえば、
きっと感化される生徒が増える。
箱におさめられた生徒たちは
簡単に人に流される。
水をとどめるた堰が亀裂ひとつで破壊されるように
一人目が出れば連鎖が起きてもおかしくない。
そのための土壌は、すでに整えられているのだから ]
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──現在/ゴミ捨て場──
[ 前夜祭、赤い炎の周りを囲んだとき。 昨日、ステージに立っていたとき。 或いはいつか私の部屋で見たとき。
そのいずれとも異なる表情>>283に、 私はやっぱり、いつもより楽しい。
つまらない、繰り返しの毎日。 導入部分をようやく読み終えた。 きっと、そういった感覚に近い。]
(314) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ いつか、黒江仄日の見た各務公陽は、 その後、同じ箱に住まう者同士として、 時折見かけることのあったその男は、
彼の口からも第三者的に語られる、 三年の不良ともまた違って、 表情の薄い男であった。
苦笑。戯れのような手つき>>285。 それを、手で払うようにして避けながら、 警告めいた言葉>>286を受けたことを思い出す。
去り行く姿に、その時は言わなかった。]
(315) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ 知っている。そんなこととうに知っている。 自身の欲なら、自身でどうにかすればいいのだ。]
(316) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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そういう顔もするのね。
[ 淡々と言った。じっとその顔>>287を見て。 いくらか堪えた様子の各務公陽は、 何かを後悔したりするのだろうか。はて。
自殺かな。と彼は言った。 いくつか可能性を考えるように首を傾げた。]
自殺かもしれない。 誰かに突き落とされたかもしれない。 或いは事故かも。夕日に目が眩んで。
[ ただの、羅列でしかなかった。 いくつか考えた可能性なら、 最後のひとつでなければいい。と思う。]
(317) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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写真。
[ それも、ひとつの思い付き。 というふうに、黒江仄日は呟いた。]
撮った人に聞けば分かるんじゃない。 そこまでして、知りたいなら。だけど。
[ 試してみる? というふうに、 私の目はまっすぐに彼のそれを覗き込み、
不意に返された問い>>287に、 なんのためらいもなく、答えていた。]
(318) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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──ええ、おもしろいわよ。
(319) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ そう、答えて。 ああ、と気づく。私は楽しい。 そして、こうも願っているのだ。 この物語の、終わりまでを見届けたいと。*]
(320) 2018/10/18(Thu) 22時半頃
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[ 万年青は、記事のためには
彼女が死んだ方がいいと思っている。
けれど、まるですべてから解放されたように
これだけきれいに笑った彼女が、
この世界から逃げられずに絶望する顔の方が
実は見たいと思っていた ]
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──現在/ゴミ捨て場──
迷子の子どもみたいな顔。かしら。 僕は弱いですとでも言いたげね。
[ 言葉を交わしている内にも、 やや常の調子を取り戻したように見えるが。
聞かれたこと>>331に率直に答え、 分からないだろうと言われれば、 そうね。と言って頷いた。
そうだ。答え合わせのしようがない。 遺書か、犯人でも見つからない限り。 或いは揺ぎなき目撃者の一人でも。]
(346) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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そう、写真。 直後じゃないと撮れないでしょう。 すぐに人だかりができて、 少ししたら運ばれていったんだから。
[ 当然のことを繰り返すようにして、 一瞬、不思議そうな声を上げた男>>332に、 いくらか親切な言い方をしてやる。
調べてみるか。という誘いは、 どこか拾われたようで癪だが、 ふと、もしすべてが明らかになったなら、 この男はどんな顔をするのだろう。と思う。]
(347) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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[ ほんの、ありきたりな物語。 ありきたりな女であった少女A。 それが物語の中心に収まったのなら、 その親しい人間を追うのも悪くない。]
(348) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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いいわよ。一緒に来る? ちょうど、会いにいこうと思ってたから。
[ 知り合いがいるか。その問い>>336に、 明確に答えずとも伝わるだろうと。
スマートフォンを取り出して、 メッセージを送り付ければ、歩き出した。*]
(349) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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────────────── To 万年青 常彦 From 黒江 仄日 ──────────────
芽吹くかもしれない種の少女A。 あの本に記した通り。
今から行くけど、いいわよね。
──────────────
(350) 2018/10/18(Thu) 23時頃
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──現在──
[ 不機嫌そうな仕草>>357に、 思わず、小さく喉を鳴らして笑った。
弱くないし。どこか言い聞かせるようだと思い、 浮かべられた笑みに、なぜか思い出したのは、 弱さから生じるすべてを悪とする言説であった。
ゴミ袋を運ぶ姿を尻目にメールを送り、 帰ってきた男>>358に「ありがとう」と笑む。
弱くないし。そう言う意味。 やはり理解はできない男に、 ひとつ頷いて新聞部へと歩き出し、]
(361) 2018/10/19(Fri) 00時頃
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──現在/新聞部──
[ ノックを一度、二度、三度。]
万年青くん、いる?
[ やはり慣れた調子で扉を開き、 その部屋の中へと勝手に立ち入る。
同行者にどうぞとも言わず、 きょろきょろと室内を見回したのは、 もう一つ探し物>>328があったからだ。
机の隅を漁るように、躊躇なく手を伸ばし、 少しの作業の後に、薄っぺらい本を見つけ出した。
それを手に取り、振り返った先に、 さて、目当ての人物はいただろうか。*]
(362) 2018/10/19(Fri) 00時頃
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