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【人】 幸運の科学 リッキィ ううん。あ、ライジ兄、クッキーあるって。美味しいよ。 (9) 2013/06/25(Tue) 00時半頃 |
― 外へと続く扉の前 ―
「ポプラおーいで」
[ロリコン、と笑う声に続けて呼ばれて
近寄れば細い腕で抱き上げられた。]
「あいかわらず軽いんだから。やになっちゃう」
[羨ましいわ、と笑いながら抱きしめられて、
今度はこちらが額にキスを落とされた。
下ろされる間際、もう一度こちらからぎゅっと抱きしめると、
白い肌に頬を摺り寄せた。]
[内側の扉が開き、閉まって。
厚い扉の向こう側で、ポプラの眼だけがヨーランダを見送る。]
『 ……―― Signal 』
[チチ、と電子音が鳴る。
この時の音が、とても―― 重い。]
『 ………Green 』
「バイバイ」
[外から差し込む光を浴びながら、
ヨーランダがカメラを向いて別れを告げる。
最後に残してくれた表情は、笑顔。]
………。
[扉が閉まる音の後、頭上で聞こえた声
いつだって、この時が一番辛い。
家から家族がいなくなる。
慕ってくれる彼らにここを家だと言っていても、
帰っておいで、とは言えない。
ここを帰る場所にしてあげることはできない。]
【人】 幸運の科学 リッキィ[ヤニクが壁にもたれ掛かっているせいか、詳しい表情まではよくわからなかったが、>>3 (14) 2013/06/25(Tue) 00時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ[ライジ兄の指が頬に触れる。 (21) 2013/06/25(Tue) 01時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ ん。 (23) 2013/06/25(Tue) 01時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ居るにはいるけど、大勢いたしね。 (36) 2013/06/25(Tue) 01時半頃 |
『間もなく実験の準備を開始する。』
[上からの通知に眼を伏せる。
これから始まるのは、長い長い、人体実験。
どれだけミナカタが反対しても止められなかった。
……最初から意見など聞き入れられるはずがなかったのだが。
基盤となる「世界」を作るために、
一足先に制御室へと向かう指令がポプラへと下る。
実験の基準となる「数値」はミナカタの手の中に。]
[ポプラが動きを止めた。
翠が瞬く様子に、何か感知したのかと思う。
それが実験開始の合図だとは知らずに。
己の集めていたテストの結果が
一つの基準になるとは、知らずに。
何カ月か前に言われたその実験内容は
技術も費用もかなりのものが必要で。
それ以上に、何より過酷で場合によっては壊れてしまうと
何度も何度もレポートを提出して
そこまでする必要はないと何度も何度も……
それなのに。]
[近日中に始まる実験。
それは彼らの心を苛むだろう。
自分はなんと声をかければいいのか。
――何もできなかったのに。]
[彼らの返答をまとめたレポートは
今日中にでも提出することになっている。
深く考えて数字を選んだ者はほとんどいないだろうけど
これが果たして何の役に立つのだろうと
少し疑問に思いながら。
数字は――
98 チアキ
66 オスカー
58 ソフィア
57 志乃
50 モニカ
48 ナユタ
43 ヤニク
26 ライジ
16 リッキィ
01 ケイト
となっていた。]
[ミナカタは、実験がいつ始まるか知らない。
何度も止めようとしたから。
だから上からは通知は、実験の開始に必要な自分にのみ届く。
それをミナカタに教えることもできたけれど――しなかった。
止められないのなら、どうせ同じ後悔をするのなら。
その期間は短い方がいい。
いつだって自分だけが泥を被ろうとするミナカタへの意趣返し。]
[ミナカタから送られてたのであろうデータ
通知には添付されていた。
これで実験に必要なものはそろった。
あとは、自分が動くだけ。]
【人】 幸運の科学 リッキィ―少し前:厨房― (165) 2013/06/25(Tue) 23時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ[どこかへ行った兄を見送りながら、小さく息をつく。 (167) 2013/06/25(Tue) 23時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ―現在:→自室― (172) 2013/06/26(Wed) 00時頃 |
[地下へと向かう足取りは重く。
ミナカタが戻ってくる前に、準備を終えてしまおうと。
制御室に入れば、セキュリティをオートモードに変換する。
ここから先は、そこまで回す余力はなくなる。
何本ものコードを擬体につないで意識を傾ければ、
眼から明るさが消えた。
ここからしばらく、直接触れられたりしなければ気づかない。]
【人】 幸運の科学 リッキィ―→診察室― (188) 2013/06/26(Wed) 00時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ
(197) 2013/06/26(Wed) 00時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ その前に無許可で漁ってるのに突っ込みなよ。 (206) 2013/06/26(Wed) 00時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ ……いい子、ね。何か盗るかもしれないよ? (219) 2013/06/26(Wed) 01時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ[せっせと氷をはこびながら。 (258) 2013/06/26(Wed) 12時半頃 |
――反対だ。ふざけるな!!
[何度も反対して、さすがに立ち消えたと思っていた。
手間も時間も、設備投資も必要な実験だったから。
それなのに実験開始の合図は無慈悲に鳴る。]
頼む……頼む、それだけは。
俺が中止を申し立てたことなんてほとんどないだろうが!
下手をすれば全員――
[寒い予感に唇が凍る。
もしかしたら全員、再起不能な傷を負うかもしれない。
もう、誰も笑顔を見せてくれなくなるかも――]
……頼む、それだけはやめてくれ……
[懇願は届かない。
ミナカタという一人の「元被験者」などの言葉より
彼らは実験の成果をずっと強く欲している。]
[通信が途切れ、無力感に膝から崩れ落ちて。
ただ、悔しくて涙を零す。
何のためにずっとここに居たのだろう。
少しは何か出来ているのかと思っていたのに。
最後に画面の向こうから放たれた言葉が
正しすぎて、怒る気力などわいてこなかった。
――お前はその箱庭で自己満足してるただの被験体だ。
ああ、正しすぎて吐き気がする。]
【人】 幸運の科学 リッキィ―少し前:診察室― (311) 2013/06/26(Wed) 23時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ―→実験室― (315) 2013/06/26(Wed) 23時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ[真っ白な部屋の中央に位置するのは、目に痛いくらいの赤色の椅子。 (317) 2013/06/26(Wed) 23時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ[男がわらいながらリッキィの目を目隠しで覆うと部屋を出て行いった。 (319) 2013/06/26(Wed) 23時頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ ―――あっ………がっ……!!!!!! (321) 2013/06/26(Wed) 23時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ[実験終了のアラームが煩い程に鳴る。 (328) 2013/06/26(Wed) 23時半頃 |
【人】 幸運の科学 リッキィ―廊下― (343) 2013/06/26(Wed) 23時半頃 |
― チ ―― チチ、チチチ
[断続的な電子音は、だんだんと間隔が短くなっていく。
画面を流れる文字。いくつも表示される窓。
それらは折り重なって、ひとつの「世界」の輪郭を作る。
電源のプラグをはじめ、
擬体から伸びるチューブは電子板につながっていた。
回線を通して各々のカプセル、
そこで眠る意識の中へと、見えない手を伸ばす。
開かれたままの翠に光は灯らず、
意識の全てはコードの向こう側へ。]
[酷い実験だと思う。
もしかしたら、もう二度と笑顔を見られなくなるかもしれない。]
……ごめん…ね…。
[その謝罪は誰へ対するものか。
そして人の命を弄ぶ実験の開始を告げる、音が。]
[通知音に、顔をあげる。
足早に、誰もいない廊下を駆け抜ける。
――昨日まであった、仮初めの幸せは、
もう、ない。]
『 Experimentation Start―― 』
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