171 獣[せんせい]と少女
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…まだ、お礼を言うのは…。早い。
[取られた手>>295に、僅かな緊張。 少女の手は、やはり小さく。暖かい…。]
君にだって、ドレスが必要…だろう…?
[一年前。 巨大書庫で、君が言ったこと…だ。
灰かぶりの少女に、ドレスを着せた魔法使いを、指差して。 『この本にはせんせいがいるから』>>1:206…と。
魔法使いの、役は。]
(330) 2015/10/12(Mon) 16時頃
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――― パチン
[魔法使いらしく。 指をひとつ、鳴らす。 表情を、浮かべることができれば。 少しだけ、何かを企むような、笑みを浮かべていた…かもしれない。
一年間。秘密の練習をしていたのは…、アヤワスカだけでは、ないのだ。]
……誕生日、おめでとう。
[パティシアに知恵を、貸してもらい。 想像したのは、アヤワスカの髪と、同じ色。 宝石のように、輝く、葡萄色。 丸いシルエットを描く、スカートには。 レースをふんだんにあしらい。 胸元には、穢れのない、白い一輪の薔薇を。]
(331) 2015/10/12(Mon) 16時頃
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魔法は、3分間だけ……だ。
[クリスマス、ミツボシ、ヒナコ、クラリッサ、コリン。 5人の少女たちへ、順に視線を、巡らせて。
先ほど、アヤワスカがプレゼントしたドレスを。 “少女たち全員が、ドレスを着ている姿”を、想像する。
ずるいと。言われる…だろうか? けれど、最後にひとつくらい…。 せんせいらしいことをしても、いいだろう…と。
努力した、アヤワスカへのご褒美…。 その、つもりで。 姉妹たちの、元へ。アヤワスカの背を、押した。*]
(332) 2015/10/12(Mon) 16時頃
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−巨大書庫・昼−
[用意した手帳は、思っていた以上に喜んでもらえた、ようだ。>>249 白で統一されたページ、は。 この先にある、少女たちの…。 ヒナコの、未来のように…。
その白紙のページに、なにを、記すかは…。 ヒナコの、自由だと。 どこへ行くのも。何を、見るのも。]
………いい、のか…?
(348) 2015/10/12(Mon) 19時半頃
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[渡した手帳ごと。 小さな手に包まれる、黒い皮手袋。>>250 無機質な皮ごしに伝わる、ヒナコの、手の感触と、温もりを。
握り返そうとして、まだ、躊躇う…。]
契約は、一度きり…だ。 本当に…。
[私でいいのか…?
その言葉を、飲み込んだ私は狡いのだろう…な。]
(349) 2015/10/12(Mon) 19時半頃
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[静かに伏せて、頭を垂れる。]
神木の枝に実りし果実より、 生まれた穢れなき御身よ…
我が身を盾とし、我が牙を剣とし 我が力の、全てを以って…
御身を守り、御心に従い…、 御身が朽ちるその時まで、
御守り申し上げると、誓約申し上げる…。
(350) 2015/10/12(Mon) 19時半頃
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我が誓いを、受け入れてくれると言うなら…
どうか、赦すと…。
[せんせいと少女から、少女と従者へと。 過去に、幾度となく謳った、誓文を奉げて赦しを待った。*]
(351) 2015/10/12(Mon) 19時半頃
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[古いだけの、誓約の文言。 今ではこれを、言う獣も少なくなったか…。 私にとって、これを口にするのは、ひとつの、くぎり。 そして…。
赦すと言った、ヒナコの言葉に小さく安堵する。>>377
そして、言葉を詰まらせた、ヒナコに。 顔を、上げようとして…。]
ヒナ……?!
[
―――不覚……、だ。
ヒナコの唇が、触れたあたりに手を、伸ばす。 顔を上げれば、林檎のように、顔を赤くしたヒナコと、目が、あった…。]
(402) 2015/10/12(Mon) 21時半頃
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………あぁ。 私こそ、よろしく…頼む…。
[無表情な、骨の頭では。 分からない…だろうが…。
私は今、主たる少女の愛らしい様子を。 ただ、目を細めて見つめている…。
そして、改めて決意…する…。 君の、命の物語を記そうと…。 楽しいことも、悲しいことも、苦しいことも、ひとつ、残さず…。 もちろん、楽しいことが、沢山あればいいと…。 そう、願うし…。出来る限り、そうするつもり…だが…。
その…、命の、終わりまで…。 片時も、離れることなく…。*]
(403) 2015/10/12(Mon) 21時半頃
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旧知の友よ、同胞よ。
我が主が、旅の幸せを願って守りを編んだ。
暇あらば発つ前に、手渡すことはできるだろうか。
喚ばれれば、何処へでも鷲が飛ぼう。
そうでなければ、まなびやの出口で待っている。
貴殿達と、唯一の主へ
私達も此処に居た思い出を贈らせて欲しい。
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―――……?
[つんと、引かれたローブの裾。>>431 ヒナコの視線を追う、ように。>>433 指差す先を、振り返る。
ヒナコには、まだ、手の届かない棚の、上。 一列に、行儀よく並ぶ本の。 背表紙に刻印された、文字を目でなぞって…]
………あぁ、わかった…。
[立ち上がり、自分には、幾らか低い位置にある。 その本の、背表紙に、指をかけて。 懐かしい一冊を、手の内に収めた…]
(444) 2015/10/12(Mon) 23時半頃
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これで、あっているかな…?
[初めの頃…。 ヒナコは、私の外見に怯えていたのだ。 理由は…、考えるまでも、ない。
それが、たった一冊の本で、変わった。 この本が、私とヒナコを、結びつけたと言っても…。 間違いでは、ないのだろう…。]
気に入ったのなら… 持って、行くか…?
[手渡した、本のタイトルは――……。*]
(445) 2015/10/12(Mon) 23時半頃
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……、クラリッサへと、伝えました。
[獣にしか使えない響きを、短く返す。
と同時に、何か自分からも贈り物が出来ないだろうかと考えた。
贈り物になりえるようなものは、なかなか思いつけないけれど**]
ミツボシと星を見に行くことにした。まあちゃんと伝える。
[事前報告である。
いやしかし、贈り物か。
厨房で何かを残してもいいのだけどそれこそ野暮になりそうだ。
また、旅に荷物は多いよりは必要なものがあればそれでいいと考える自分からすれば…。]
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[その本を…。 よほど、気に入ってるのだろう。
表紙のタイトルを、確かめて。 また、嬉しそうに笑うヒナコの様子に。>>460 人知れず、目を、細める。
その本を、持って行くかと提案した私に。 迷いながらも、持って行きたいと…心の中では、思っているのだろう。 その背を、押すように。 短く肯定の、意を示す。]
(470) 2015/10/13(Tue) 00時半頃
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……あぁ。
[実際に、そうして過去…。 持ち去られた本は、あるのだ。 返って来た本も、返ってこなかった本も…。]
そう…か。 なら、次に来る時には…忘れないように、しないとな…。
[借りるだけ。 なら、いつか返しに来ようと…。 先の、約束をして…。
頭の中に、直接響いた声。>>442]
(471) 2015/10/13(Tue) 00時半頃
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……分かった。
必ず、向かおう…。
[応えて…。
少しだけ…、昨夜見た、ミッシェルの白い髪を、思い出す。
恐らくはもう…残されてはいない、時間…。
なぜこうも…少女たちの命は、短いのだろうか…。]
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………ヒナコ。 まなびやの、出口で。 ミッシェルが、妹たちに渡したい…、物がある…らしい。
[ヒナコには、獣の声について…話したことが、あっただろうか…? それとも、他のせんせいから、聞いていた…だろうか?
知らなければ、教えるが…。]
行く、準備が出来たら…。 まずは、ミッシェルたち二人に会いに…行こうか…。
[そう、提案した。**]
(472) 2015/10/13(Tue) 00時半頃
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[世界は広い。 それでも、ヒナコが再びここへ戻って来たいと、望むのであれば…。 その望みを叶えるのが、私の務め。 幸いなことに…。 高い山を越える足も、海を渡る翼も。 私にはある、のだから…。
オズワルドの事を伝えた後。 ちょっとだけ待っててと、言うヒナコに。>>485]
分かった。 なら…、私も少し、時間が欲しい。 用事が済んだら、まなびやまで…、来なさい。
[そう言って、ヒナコの背を、見送り…。 私も一度、自分の部屋へ足を…向けた。]
(508) 2015/10/13(Tue) 21時頃
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[まさか、見付けてすぐに、ヒナコが書庫へ来るとは…思わず。 それ、どころか…。 ヒナコと契約を、結ぶことになるとも、思っていなかったから…。
ろくな荷物が、無いとはいえ。 なんの準備も、出来ていないとは…。 流石に言い、にくかったのだ…。]
とは、いえ…
[本当に…、持って行くべき、荷物など…。 呆れるほどに、少ない…。]
(509) 2015/10/13(Tue) 21時頃
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−まなびや−
[ヒナコと別れて、10分と経たず。 約束していた、まなびやの出口に着く。 そこに、オズワルドとミッシェル。 二人の姿を見付ければ…]
オズワルド、ミッシェル…
[荷袋をひとつ、背負った黒いローブの… 肩の上に、羊の頭骨を乗せた、けものがひとり…。
他にも、旅立つ少女と。 従者となった、獣の姿は…あった、だろうか…?*]
(510) 2015/10/13(Tue) 21時頃
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出口だな、わかった。ありがとう。
お守り……すごい喜ぶだろうな。
[簡潔な返事の後。
さっき、忘れられた家の端に、落ち葉で言葉のようなものが書かれた跡があったのを見つけたのを思い出して。
そんなことをしそうな、器用な風使いなんて…1人しかいない。
そのあとの言葉は…口下手だけれど、心からの感謝の言葉。]
……ありがとうな。コリンを励ましてくれて。
― 少し前 ―
……なんだ、バレたか。
[ くつくつ、と喉鳴らし。彼等が手を取り合って
「忘れられた家」の扉をまたぐとき
脇から入り込んだ風は、落ち葉の文字を吹き飛ばす。
くるくる、くるくる、つむじ風。
橙、山吹、焦茶に紅、まだ温かい秋の色。
風の遣い手の腕が鈍っていなければ
彼らの旅立ちを祝うように、
ちらちらと舞う秋色のライスシャワーが
ふたりの周囲を彩ったはず。*]
お守りか…。
昨日のアヤワスカといい、みんな本当に
良い子たちだね。
オズウェル君の手を煩わせるでもないよ。
僕らみんなそちらへ向かうのだから。
僕は、クリスマスと行くよ。
[聡明な鷲の声に返ってくる言葉に
それぞれの少女がそれぞれのせんせいを見つけ
それぞれの主人がそれぞれの従者と契約を交わしたと悟る。]
ユージン君。
よかったよ、君の少女はやっぱりコリンじゃないと、ね。
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――………? 言って、いなかった…か…?
[一人で現れた、私に。 旧知の鷲が、悪戯めいた顔で、言うのに>>536 肩に乗せた、頭骨をカタリ…。傾ける。
そう言えば、先に応えたヴェラと、ブローリンは…。 クラリッサと、ミツボシの名を、言っていた…ような…。]
私は……
[言いかけて、止める。 オズワルドの顔に、浮かぶ。楽しげな笑みに、気付いたから…。]
私の、おひめさま…なら。 時期に来る…さ。
[そうして。風に乗って、飛んできた橙色の果実を、ひとつ。 空中で受け取った。]
(553) 2015/10/13(Tue) 23時頃
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[空中で、受け取ろうとした果実は。]
――――………。
[送り主の、気まぐれで。 そのまま、やってきたヒナコの手に、行儀よくおさまり…。>>546]
………ふむ…。
[ヒナコと話す、二人の姿を眺め…ながら。 先ほど、ヒナコに言われた言葉を、思い出す。>>542
数百年。 まなびやに籠っていると、忘れがちだが…。 街へ、降りれば…。 この顔は、流石にマズいか…と。
三人の視線が、私から逸れている…間に…。]
(562) 2015/10/13(Tue) 23時頃
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[ローブのフードを、目深に、被り。 羊の頭骨の、代わりに。 ヴェラが描いた、似顔絵の顔を、思い浮かべる。>>1:161>>1:191]
こんな…ものか…。
[ただ。 ヴェラの描いた絵では…色、までは、分からなかった…から。 適当につけた、髪と目の、色。
振り返れば、目に、止まる…だろう。 見なれたローブを着た、ミルクティー色の長い、髪に。 鬼火にも似た、蒼玉色の瞳の男が。*]
(563) 2015/10/13(Tue) 23時頃
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よう、久しぶりだな。鷲のオッサン
元気してたか?
今からそっち行くけど・・・・・・何だか懐かしいな
あの時のことが何百年も昔のように思えるよ。・・・まだ300も生きてない娘が言うにはオヤジくさいかもしれないけど
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…ヴェラが。 私の顔だと描いた、絵を真似たんだが…。
[オズワルドの反応に。>>566 なにか、不自然なところがあるのだろうか…と。 まだ、表情の乏しい顔で、首をかしげる。]
確かに。 オズワルドよりは…若く、見えるかもしれない…な。
[普段より砕けた表情で、笑う旧知の友に。 返す笑みは、無機質な骨よりも、分かりやすく。]
そう…だな。 おそろい…だ。
[思った以上に、喜ぶヒナコに、小さく笑う>>588 その後やって来たブローリンと、ミツボシの姿に目を、止めて。>>582 ミッシェルから、御守りを受け取ったヒナコの。>>289 耳元へ、耳打ちをひとつ。]
(590) 2015/10/14(Wed) 00時頃
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[さて、花のお姫様は、どんな花を咲かせただろうか…?
それぞれの用事が終われば。 ヒナコの手を、取り…。]
さぁ、行こうか…。 おひめさま?
[まなびやに、暫しの別れを告げようか。*]
(591) 2015/10/14(Wed) 00時頃
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