16 漂流旅行
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……気のせいかな。
[いよいよ幻でも見たのかと疑心暗鬼に囚われつつも、岩場から辺りを見渡してみる。 もし、何処かから反応があるようであれば、その方向へ向かえるよう、周囲に意識を傾けた。]
(102) 2010/08/05(Thu) 02時半頃
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[暫し、辺りを見渡して。 不意に、何処からともなくか細い声が聞こえ。]
……!
[声の方を見やれば、船で最後に見掛けた姿の片割れが目に映った。]
マーゴ……!?
[弱々しい眼差しに、無残に破れた制服。咳き込む様子を見て、慌てて駆け寄った。]
……マーゴ! おい、大丈夫か!?
(103) 2010/08/05(Thu) 03時頃
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[……やや刺激の強い光景に一瞬絶句したのもつかの間。]
っ、と……危ねっ。
[何処か虚ろな眼差しのまま此方に倒れ込む華奢な身体を抱き止め。息の荒さと、恐らく発熱しているのであろう熱い身体に気付き。]
……。 ……大丈夫か、じゃねーだろ……。
[笑みを作り此方に声を掛けるマーゴを見て、呆れたように大きく息を吐いた。]
(105) 2010/08/05(Thu) 03時頃
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[胸元に感じる手の熱に、小さく謝意を述べる声。]
……謝る事じゃねーよ。見ての通りの五体満足だ、人の事よりまず自分の心配しやがれ。
[やや乱暴な口調とは裏腹、水滴を払うようそっとマーゴの額を手で拭い。]
他の連中は……解んね。俺も、今やっとお前見付けたばっかだ。
[小さな声に応えつつ、辺りを見渡した。何処か、雨風を凌げて傷の手当てが出来る場所は無いものかと、思案しながら。]
(107) 2010/08/05(Thu) 03時頃
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[……と。岩場の間に、小さなトンネル状の風穴を見つけ。]
こっちも、独りで流されたんでなくて一安心だ。 ……まずは、傷の手当てだな。あの岩場まで、歩けるか? 無理だったら無理で、ちゃんと言ってくれよ?
[いざとなれば彼女を抱えて運ぼうと、そっと問い掛けた。]
(108) 2010/08/05(Thu) 03時半頃
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[……にわかに曇る表情に、恐らくは片割れの事を案じているのだろうと察し。]
……なぁに、アイツなら島の原生物ぶっ飛ばしてでも生き延びてんだろ。心配すんなって。
[根拠も何も無いが、少しでも憂いが晴れるよう出来るだけ優しく笑みを作り。 癖なのであろう、再び謝りかける少女を小突く代わりにそっと頭を撫でた。]
……だな。もし最初に見掛けたのが……―――だったら……。
[……掠れて言葉にならない、声。何だかんだ言っても、生きている人間に出逢えて安堵したのは自身も同じで。 やがて、腕を離れたマーゴが風穴に歩き出すと。]
……ん。無理だったら遠慮はすんなよ? いつ『お互い様』になっか、解んねぇんだからな?
[後ろから見守るよう、そっと後に続いた。**]
(111) 2010/08/05(Thu) 03時半頃
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[今は未だ、何も知らぬ瞼の裏。
―――、何時か戻る日常を願い意識を淵へと落とす]
へクターは、マーゴの首を振る仕草に苦笑した。(警戒されてんのかな、俺。)
2010/08/05(Thu) 08時頃
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ああ。だからまず、お前が元気な顔見せれるようになんねぇと。……な?
[何処か宥めるような口調なのは、小さく同意する声音の奥に潜む何かを感じ取っての事か。]
…………。……そう、だな。
[強い制止に、絡まる言葉を絞り出す。 それ以上は言いたくない。聞きたくない。……互いに共有しているであろう意志を、静かに乗せて。]
(117) 2010/08/05(Thu) 08時頃
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[無理を隠しきれていない笑みを浮かべふらふらと風穴に向かう姿に眉を寄せるも、細心の注意を払いながら後を追い。 やがて辿り着いた風穴で腰を下ろした少女に礼を述べられ、]
いらねぇよ。……話し相手が居ただけ、俺も安心したんだ。
[……律儀で真面目な少女の何やら肩口に手をやる仕草は、過去のオツキアイから何となしに覚えはあるものの。]
………………。
[……状況上、気付かぬ振りをした。]
(118) 2010/08/05(Thu) 08時頃
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[リュックから箱を取り出し、中身を広げる。 練習代の足しにと始めたバイト先でかじった応急手当の知識が、ここで役に立つとは思わなかったが。]
で、怪我は……と。 ……ああ、こんなモンか。凄い格好してっし熱あるみたいだし、どんな大怪我なのかと思いきや。
[肩口は、制服の惨状の割に綺麗な物で。 他の見える範囲の異変も、岩場で付いたらしい小さな擦り傷切り傷程度らしく。……軽く、安堵の吐息を漏らした。]
(119) 2010/08/05(Thu) 08時半頃
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えーと、じゃあ……解熱剤、か? ……って、水どっかにあったかな……。
[そうして、リュックの奥を漁っていると。]
ん? どした?
[黙って下を向いていた少女が何かを呟いたのに気付き、その声を拾おうとして。]
? ……え、おい、眠いって……お前……。
[此方を見ぬまま呟く声に、一瞬狼狽するも。 >>115 お願い と呟く声に。]
…………。
[……黙って、横に腰を下ろした。]
(120) 2010/08/05(Thu) 08時半頃
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へクターは、マーゴの微睡みが微かな寝息に変わる様子を、ただ感じていた。
2010/08/05(Thu) 08時半頃
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[やがて、小さな寝息が耳元に届き。]
……少しは、信頼してくれたんかな……。
[……これはすぐには目を覚ましそうにないと判断し。 利き手が伸びる場所にリュックを引き寄せつつ、起こさぬよう位置を変え。岩肌を背に座り込むと脚の間に少女を座らせ、少しでも眠りやすいよう自らの胸にその背を凭れ掛けさせた。]
(121) 2010/08/05(Thu) 08時半頃
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[……起こしてしまったろうか、と寝息を確めるも、乱れは無く。]
起きねぇし……。 ……あのよ。これちょっと、気ぃ許し過ぎじゃねぇの?
[とは呟くモノの、事態が事態なせいか不埒な本能はなりを潜め。]
…………ったく。
[抱えた温もりに命の気配を感じながら。そっと、周囲の物音に意識を傾け始めた。**]
(122) 2010/08/05(Thu) 08時半頃
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― 岩場・風穴 ―
[……辺りに耳を澄ませど、さしたる物音は聴こえず。 もし人の声が聴こえよう物なら、助けを呼ぼうかとも思いつつ、見渡せば。]
…………。 ……?
[かさり、こそり、と聴こえる音。]
(143) 2010/08/06(Fri) 01時頃
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[……荷物から懐中電灯を取りだし、音の方を照らせば。]
…………。
[小さなカニの姿。 光が苦手なのか、灯りを当てると直ぐに逃げ出したが。一瞬ちらりと見えたその体色は。]
今のカニ、虹色してた……よ、な。
[…………。]
……いや、まあ。貝殻みたいなモンか。まだ常識の範囲だな。
[無理やり、言い聞かせた。]
(144) 2010/08/06(Fri) 01時頃
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……どーすっかなー……。
[今は何事も無いとは言え、この岩場も潮の満ち引きでどう変わるかは解らない。]
食えるモン探さにゃどーにもできねぇし、マーゴが目ぇ覚めたらまた林の方行ってみっかな。 それか、海岸線沿いをも少し探索してみるか……。
[……まあ、いずれにせよマーゴの体調次第だろうか。等とも思いながら。]
……あ、また出てきた。もぐら叩きかっての。
[再び出てきた虹色のカニに、懐中電灯を向けた。]
(145) 2010/08/06(Fri) 01時頃
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へクターは、出てくるカニをライトで照らし、遊び始めた。ぴこぴこ。
2010/08/06(Fri) 01時頃
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[眠り続けるマーゴを起こさぬように、かつ逃げられない程度に懐中電灯をカニに当てながら。ふと。]
……外照らせば、人が通りかかった時に気ぃ付かれっかな……。
[風穴の両サイドを、チラチラと照らしてみる。 誰か、気付くだろうか。そもそも、誰か居てくれるだろうか。等と思いながら。]
(151) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[……と、風穴の外から、人の声が聞こえた気がして。]
! ……誰か居ンのか? おーい、こっちだこっち!!
[マーゴが目を覚ましてしまうだろうか、とは思いつつも。光を振りながら、外に声を掛けた。]
(157) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[外から、ざわりざわりと人の声は聴こえるが。会話の細かな部分迄は聞き取れず。]
……アンコウ? アンコウが岩場彷徨いてるわきゃねーだろ、深海魚だろアレ。
[と、>>160、【イチネン】という単語が聴こえれば。]
!! 学校のヤツか!? こっちは三年のヘクター、一年のマーゴも一緒だ!
[期待を胸に、声を掛けた。]
(164) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[と。外から足音が聞こえ、胸元のマーゴが身動ぎしたのに気付き。]
……悪ぃ、起こしたか?
[状況を問いかける声に、]
今、近くに誰か来てるらしい。呼んでみたんだが……
[大まかに説明しつつ。]
(165) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[と、覗き込む人影は確かに高校生位の姿で。 逆光で。まだ顔や人数ははっきりとは見えないが。]
おっ、助かった! お前も、船から遭難したヤツか?
[灯りを点けたまま、声を掛けた。マーゴの警戒の色を感じとるが、]
……大丈夫だ、何かあったらどーにかすっから。
[そう、小さく囁いて。]
[但し。無残な制服を纏ったマーゴを胸元に抱えるような格好になっている事は、完全に失念していたが。]
(170) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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…………は? ん? この声は確か……アイリスか!?
[いきなり、少女らしきすっとんきょうな声。声の主がマーゴの友人である事に気付き。 ……更に、その内容から、ちょっとこう色々と誤解を受けかねない状況を思い返し。]
ばっ……違っ、俺は無実だ!!!
[慌てて、否定した。]
(175) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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だから!!! 何もしてねぇっての!!!!!
[錯乱してとんでもない事をのたまいだすアイリスと、回れ右をしだした彼女の連れと。]
違ぇっての! 俺と合流した時にはもーこんなんだったんだ! つか、イイ事してたら呼ぶわきゃねぇだろ!
[とにかく、潔白を訴えるしかない彼は。]
……マーゴ……お前の友達どーにかしてくれー……。 ……え、どーにもなんねー? やっぱなー……。
[慌てて離れたマーゴを横目に見つつ、ため息を吐いた。]
(181) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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[と、名乗ってくる少年に気付き。]
そ、三年のヘクター。多分……初めまして、だな。オスカーね、了解。
[……ふと、二人が無事な衣服を纏っているのに気付き。]
あれ。何、お前ら着替えあんの? ならさ。コイツの服、どーにかなんね?
[アイリスの絶叫の原因……マーゴの惨状を指で示した。]
(183) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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へクターは、アイリスの絶叫で耳がキンキンしている。風穴はよく響くぜ……。
2010/08/06(Fri) 02時頃
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[>>180、落ち着きが一周したのか妙な解釈に行き着いたアイリスを、微妙な眼差しで見やり。]
…………。
[……説教は、何やら目が据わったようにも見えるマーゴに任せる事にした。 オスカーの言葉を聞くと、]
こっちこそ、ヨロシクな。 おっ、服あんのか。……ま、説教が落ち着いたらってトコか?
……そーかい……。
[最後の呟きには、やや脱力しつつ。]
(188) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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[小さく、恐々と呟くアイリスを見て。]
……そーかそーか。 まあ、まずはゆっくり怒られてろ。
…………日頃はっちゃけてんのがたまにこんなんなる方が、小動物っぽくて可愛いと思うがな。
[……ぽそりと。アイリスとマーゴには届かぬよう呟いた声が、オスカーの耳に届いたかは、解らなかったが。]
(190) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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へクターは、マーゴの微笑みを見て、苦笑した。……まあ、それはそうか。
2010/08/06(Fri) 02時半頃
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[……こそり、と囁いてくるオスカーに。]
……まあ、そーゆー事にしとくか。
[敢えて、曖昧に返すと。抱き合う少女二人の姿にふっと安堵に似た笑みを浮かべ、オスカーの言う化け物の話に返した。]
へぇ、やっぱアイリスは殺人スマッシュの……じゃねぇ。そんな化けモンまで居やがるのか。
[こちらは、虹色のカニの話や、林で見かけた蛍光ブルーの怪しい果実の話等を返す。]
……何処なんだろな、ここ。お前ら、途中で他にも誰か見掛けたか?
[最後に、最早不安や恐怖も通り越した単純な疑問としての問いを、口にしつつ。]
(199) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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[やがて、アイリスとひとしきり再開を喜びあったマーゴが着替えに向かえば、軽く手を挙げ見送りつつその方向へさりげなく背を向ける位置に移動して。]
あれ、そういやアイツ熱あったっぽかったんだけど。大丈夫なんだろか。
[マーゴを見付けた時の話に及ぶようなら簡単に事情を説明しつつ、見つけた荷物の中身も報告したかもしれない。 と、アイリスから道中には誰も居なかったと聞き。]
……だよな。 四人も集まりゃもう少し流れ着いてても良さそうなモンだが……まだどっかに誰か居ンのかな。
[疑問でもなく問いかけでもなく。ぽつりと呟いた。]
(204) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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そっちの化けモンも大概だろ……この島、マトモな食料あんのかねー……。
[少なくとも緑のゲログチャは食料ではなさそうだな、と思いつつ。]
メアリー?
[知り合いだろうか、知らぬ少女の名を出され。]
いや、俺らもお前ら以外誰も見掛けてねぇな。
[事実のまま、答えた。]
(206) 2010/08/06(Fri) 03時頃
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……誰かしら居るだろ、多分。同じトコからこんだけ人が流れてきてんだからし。
[と、願望にも似た言葉を二人に返し。] オスカーが寝床を作ると、礼を言う。潮の満ち引きは、どうやらここの岩場には及ばないらしい。]
おっ、サンキュ。 ごつごつしてっから寝にくそうだったんだ。
[彼もまた、寝床に潜り込んだ。]
(211) 2010/08/06(Fri) 03時頃
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