29 Sixth Heaven
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[一瞬引き寄せかけられた手に、少し息が詰まった。 そうして、呟かれた言葉に視線を上げた]
でも……ここにいたら、確実に離れてしまう事になるから。 それに、フィルは言ったから。 “一緒に生きたい”って。
[もう一度器として接続されれば、間違いなく寿命を迎えるだろう]
もう、生きられるチャンスは……来ないと、思うから。
[このまま殉じて死ぬ事はできないと、ゆるやかに、 しかしはっきりと首を振った]
(215) 2011/04/23(Sat) 02時頃
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[温厚そうな彼が殴りかかるとは思えなくて。 驚いて両手で口元を覆った]
え、……!?
[と言いつつ、半ば巻き込まれるような形で]
だ、大丈夫……?
[一体何が何やら。 しかし、>>218と紡がれた言葉には真面目な面持ちで]
何度も言った、けれど。 ……許されるつもりなんて、ない。 でも、誰かが私達を罰する権利だって、ないはずだわ。
だから、これは私達の心の問題……。
(221) 2011/04/23(Sat) 02時半頃
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……さようなら。 これから今まで私の歩いてきた道を辿る、貴方達。
[過去を奪われた者と、これから奪われる者。 彼らにとって、そんな認識ではないのかもしれないけれど。 成長期を失った少女は、去り行く背に向けてそう呟いた]
いつか、貴方達も満足できる“最期の決断”を……――。
(223) 2011/04/23(Sat) 02時半頃
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…………。
[ぱたりと、今は扉を閉じる。 そして、寝台に腰掛けるとペットボトルを手に取った。 冷たい水が、乾いた喉を潤していく]
手当て……頼んでも、良い?
[蜜柑を食べて一息ついたところで、そう切り出す。 ムパムピスにしてみせたように髪を横に流し、 服の背を少しずり下ろして。
露わになった傷跡は、既に血が固まりかけており。 同時に、嫌な記憶を呼び起こす刺し傷の跡も はっきりと見えた事*だろう*]
(224) 2011/04/23(Sat) 03時頃
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― 個室3 ―
[柑橘の香りで上書きされた部屋。 久々の消毒液が少し沁みて、微かに口元が結ばれる]
……痛かった。 心の方が、痛かった。
[髪が邪魔にならないよう俯きつつ手で抑えたながら。 彼の痛みもきっと心の痛みなのだろう、そう思って]
ごめんね……傷つけちゃったね……。
(240) 2011/04/23(Sat) 20時頃
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[手当ての間は言葉少なに、彼に任せたまま。 やがて手当てが終わったら髪を下ろしフィリップに向き直る]
あのね、フィル……。 もう、こんな事したくないの。 でも、自分じゃどうにもできないの。
[一度、俯いて]
胸の中で不安な気持ちが一杯になって。 何かに……縋りたくて。
[どんな感覚なのか、説明する事ができなくて言葉を探る。 そうして、中途半端な沈黙の後に探り出した言葉と共に、 不安に揺らめく灰青を翠へと向けた]
(241) 2011/04/23(Sat) 20時頃
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ねえ、フィル。 抱き締めて、良い……?
[どうにか寂しさと不安を埋めたくて。 彼をしっかりと感じられれば、その不安を埋められるような気がして。
少女は答えを、待った]
(242) 2011/04/23(Sat) 20時頃
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[穏やかな笑みに、瞳に浮かんだ不安の色が消える。 髪を梳く手がくすぐったくも温かい。 両手を広げる彼に、そっと近付くと両腕で抱き締めた]
手も、繋げる……? 抱き締めたままで繋げるかな。
[くすりと笑って少し身を離す。 額を寄せ合うような間近で、綺麗に拭われた 両手を広げてみせた。
シーツがきゅ、きゅと引っ張られる。 リベラが拙い様子で歩いてくるのには、また小さく笑った]
(251) 2011/04/23(Sat) 21時半頃
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[右手を捕られて、抱き寄せられれば]
それは名案だわ。
[自らも開いた左腕を彼の肩へと回す。 フィリップの視線を追ってリベラを見れば、 子供らしい笑みでまた頷いた]
リベラ、仲間外れが不満?
[絡めた指を軽く握り、少年の肩に頬を預けながら 少し首を傾げるような姿勢で見上げてくるつぶらな瞳を見る]
(255) 2011/04/23(Sat) 22時頃
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繋いでるだけで不安、消えちゃった。 忘れちゃった、っていうのが正しいのかな?
[離れればまた不安にもなる事もあるだろう]
心配……?
[よくするように髪を食まれて、無邪気に微笑んでいたけれど。 その言葉に小さく首を傾げた]
大丈夫だよ、リベラ。 皆一緒なら、私は昔と同じ。 だからリベラも、一緒にいてね。
[少しだけ絡めた指を離して、リベラの頭を撫でた]
(263) 2011/04/23(Sat) 22時半頃
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フィル以外に、誰が私の器になれるの?
[全てを失い、何も持たぬまま籠の鳥となった少女。 今目の前にある者達が完全な自由ではないとしても、 彼らの自由こそが自らの自由に等しくて。
人生の半分以上を此処で過ごしてきた少女は、思う。 生まれいずる感情はそのほとんどが己の責任で処理されるものと。 それが、いつしか当たり前になっていたと]
何もかも、失くしたと思ってた。 ただ、生かされているから生きてきた。 でも、これからは違うよ……。
[人としての権利と生活を奪われたけれど、 少女は此処で人としての感情を得た。 この世界の人からすれば異端かもしれない]
(271) 2011/04/23(Sat) 23時頃
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一緒に、生きていこうね……。
[翼を広げ2人の間に飛び込んできた極彩色。 まとめて抱き締めるように、今度は少女の方から手を繋いだ]
(272) 2011/04/23(Sat) 23時頃
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今の世界を壊して
そうして、
次へと、いければ いい のに。
約束も
ある。 ――チャールズの妻子、
その、安全――さえ――脅かす
ような 私の、
決断、は
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小さな嫉妬なら、される方は嬉しいのよ? 大きな嫉妬は、怖いものだけど。
[最初はころころと笑って。 次はちょっとだけ目を伏せて。
フィリップが寝台に転がるのに引き寄せられて、 吃驚したような、慌てたような声をあげる]
リベラが潰れちゃうわ! もう、フィルったら……。
[苦笑交じりにリベラを辛うじて隙間から外に逃がすと、 寝台の上、寝転がる彼に抱かれたまま一緒に横になった。 白の中に黒檀の髪と鮮やかな色彩が入り乱れる]
(281) 2011/04/23(Sat) 23時頃
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他の人なんていないもの。 これから先も、フィルと離れなければ フィルより大事な人なんてできっこないわ。
[それはとても幼い少女らしい発想だった。 リベラの違和感に気付く事はないまま、 不安が消えるまでは微塵も感じなかった眠気が 心地良さも相まって今更現れ始める]
ん……実は寝てない。 不安だと、お薬使わないと眠れない事があるの。
でも、怖いの収まったから、ちょっと眠くなってた。 フィルの腕の中、気持ち良いし……。
[こてりと彼の胸の上に頭を預ければ、心音が心地良く。 一度目を閉じると、少し瞼が重たくなって。 ゆっくりと、体の力が抜けていく。 このまま下敷きにして眠ってしまいそうである]
(287) 2011/04/23(Sat) 23時半頃
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それでも、いいよ……? だって、そうしたら……。
[眠気の滲む声でほんわりと囁く。 髪を撫でる手が気持ち良い]
(295) 2011/04/24(Sun) 00時頃
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ん……頼りっきりでごめんね、ありがとう。 私、このまま……、……――。
[寝ちゃいそう。 そういい終わる前に語尾は小さく窄んでいき。 幸せで深い眠りの中へと、誘われていくのだった]
(296) 2011/04/24(Sun) 00時頃
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[重ねたのは]
どうか己の選択を
意志を
もって
大切に
生きて
ならば私はアンテノーラだろうかな…
[それは、祖国に対する、裏切り。
即ち、地上への。]
それでも、私は。
願っている。
願って。
約束も、あるのだ。
あの、聖書を。渡さなければ。彼の、妻子に。
お前は、
笑うだろうか。呆れるだろうか。
軽蔑するだろうか。
…ギルバート。
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