267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】
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なりたかったもの
死ぬとして、死にいくかたち
すべて叶ったはずなのに、あの瞬間、私の胸は
引き裂かれるように痛かったのです。
傍にいるお友達の顔すら少しずつ欠けていって
「まるで流れ星のような■にざまね。」って、
微笑うこともできなかったのです。
いつしか身の回りを取り巻いていた
・・・・・
「もう、こんな世界になってしまったから」
渡し舟の片道切符みたいに
死の免罪符みたいに言われる言葉が
ぐるぐると渦を巻いていて……、
─── 私が成りたかったのは
ほんとうに、星だったのかしら。
『 まだ……まだ
私、いきていたいのに………… 』
ずっと前に見ていた、転がるひとびとの
ぴくりと一瞬だけ動いた指先のように
私のくちびるは、あのとき、そう囁いていた。*
[ ───── しょくぶつさん には分からないってさ。]
[ かのじょ の なまえは
それでよかったんだっけ。 ]
だけどそれより、
床に散らばって広がった藍色の星の…
女の子のくちびるが崩れていく寸前の囁きを、
僕は拾いあげてしまった。
スープと砂の付いたシルバースプーンよりも先に。
女の子が■になる■だ。
シルバーが雨の落ちるより強かに
床に降る音が妙に耳に残っていた。
肩に掛けられた羽織がずるりと落ち
砂時計の容器が決壊していたように
彼女の命が床に降り積もっていく■。
命は容易く風に吹かれる。
いつか亡霊が囁いていた、
星の欠片は無残な塵芥と化して
空を流れることも出来ないまま
掬っては零れる命砂になるだけ。
外に飛ばせばどこまで飛ぶだろうか
僕はそんなことを考えていて
他の同僚たちのように、箒や塵取を
持ってくる■■などまるでなかった。
ホルマリンに漬けられたもの一つ
崩れてなくなってしまっただけの
吹けば消えるような思いが過っていた。
遠くでシーツに腰掛けた、■■が
窓辺の景色を眺め、見上げながら
硝子越し 反射光 うつした唇に
■■めいた言葉を吐き付けている。
弾けたスープの残骸が、
まるで蜘蛛の巣のように絡んでいた
僕はそれに気付けなかった。
白昼夢の延長線上で
僕はそのように、153に問い掛けていた。
医務室へ向かう背を 星砂となって朽ちた彼女に
騒ぎ、喚く被検体たちを後目に…時に体に纏って。
彼の病状≠ヘ覗ける範囲に確認出来ていたか?
僕は淡藤色の絵の具に白を垂らしたような
春には遠い色の瞳を 向けていた。
「 何、 覚えてないのかい?
──── 病気じゃないだろうね。 」
( 病気かどうか、 なんて誰にもわからず、
少年は唯、茫然と流れ行く人を眺めていた。 )
( 「 このひとたちは何を言っているんだろう。 」)
( 「 いないものを おぼえているか なんて
……きくほうがわるいんじゃない?」 )
・・・
( 確かに 記憶の奥深くを敢えて探るのなら、
ひとのかたちさえ為していなかった ─── )
[ わらってみせた。 ]
[ しょくぶつ、に、片足突っ込んだおんな! ]
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