267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】
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( 被検体は所詮被検体≠セった
完治しないのなら患者にすら成り切れない
僕にとっては消耗品で、籠の中の鳥だ。
箱の中の魚だ。
君の洞窟に光る碧海のような瞳の奥に
ちらりと存在を主張するモノが見えても…
────── 水底は見えないものだろう )
夜の帳が下りて来るより深い闇の中だった。
締め切ったカーテンは風に踊りもせず、
冷たい■の中に潜む息吹にゆらめいている。
生まれ落ちる頃に眠る籠より大きな箱を一瞥し
想像上に生きる深海ほどに昏くなった室内で、
ぼう、とため息にもならぬと息を吐き出した。
・・
それが人の眠りより長く 深く微睡むうち
僕は研究の為に棺のような箱を開いただろう。
或時にはガートル台を引っ張ってきて
人離れした身に 人らしい補給を施した。
閉じ切られた瞼がぴくりとも動かないのなら
はじめて見た時より小さくなった唇の上へと手を翳し
うっすらと、呼吸を確かめようとも。
過ごしやすいとは言え 蒸し暑い夏を通り過ぎ
葉が老いはじめて来た頃に、持ち上げた蓋の下
水から這い出た生物のように
薄いキャラメルの髪が濡れているのを見る。
折角合わせた服のサイズも
また指先が隠れるようになってしまったのか。
空気の悪い室内の、窓を少しばかり開きながら
僕は少し涼やかになった風を頬に浴びていた。
──────────
──────
ところで
体温が低ければ 心が冷たいと揶揄され
人情に乏しければ血は異色だと云われるが
心臓が赤色でないとの文句は聞くに珍しい。
大海原のまんなかの 青い部分を切り取って
もしくはブルーホールなんかを胸に埋めたような光が
僕の目に見えたのかは分からないが……
見えていたのだとしたら 僕は
僕より薄い体に埋めこまれたようなそれに
冷たいと指差される この手のひらを
そッと 重ねようとしたことがあった。.......
・・・・・・・
「 ......おかえりなさい。
食事の用意は出来ていますが
点滴の方が良いですか、153 」
被検体153が夏の眠りから覚めたとき
それが、彼に真っ先に届いた音だったろう。
灰色の街に踏み込んだときに
ほとんどの確率で見る死体に、
情を沸かす暇はむしろ惜しい
僕が被検体たちに抱いているのは
それとよく似た■■だろう。
不治と揶揄されている病に侵された身は
いずれ冷たくなる躯と何が違うのだろう。
擦り寄られても微笑まれても手を握られても
僕には生きている筈の君たちこそが
まるで生きながらにして死んでいる■のように感じる。
そういう風に 患者たちはいつも
医者を海底に沈める■■を軽々と吐く。
言葉
あの頃のように 口角を持ち上げて
患者の声に耳を傾け 柔和に首肯し
否定を滅多にしないで受け止めるのは
錘を抱え込むようだ。
足に枷を嵌めるようだ。
「 …どうかなあ 」
僕はひんやりとしたかんばせのまま
夏より空気の軽くなった建物の中の
空気を舌の上にと転がした。
「 だって、君、
波打ち際からすら海底は覗けませんし
海底から陸の生活は見えないでしょう 」
距離を縮めようとした先で
ずいぶんと目線の離れた被検体を見下げながら
僕はまばたき一つ 落としていた。
「 ただの人である僕は、けっして、
水の底へは往けませんから
君が陸に上がって来てください。
無理なら海の底に居ても判るように
目立つものを抱えてください。 」
目の前の■を前にして
冥府行の列車に手を振るような言葉だと...
過っては まばたきから再び姿を現した、
瞳水晶を 春ばかりでなく
153からも遠退かせた。
・・・
「 いつもではないことに
順応するのは骨が折れますけど
いつものように逢いに来てくれるなら
君を見付けられるかもしれませんね 」
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おれより若くなっちゃったの? かわいい御飾りつけちゃって。
(54) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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[ 居並ぶしらぎくから 碧が逸れ。
白布は、 随分と余っているようで、 袖だって裾だって、 隠してしまうよに長々と。 見下ろすちぃさな手のひらは、 男の知らない頃の、 未だ 蕾だったときの しらぎく色をして。
幼い子に話し掛けるよに、 しゃがんで見せた。 ひとまわり大きいよにも見える黒色は、 姿に似つかわしくない おとな を示していて、
( しらぎくは、 花嫁の真実の愛を象り、 死出の旅立ちに沿う。 少女を形作るなら、棺より真実が相応しくも、)
───── 星が翔しる。 ]
(55) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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何故だか、その星になら、 ねがいごとをしたって 良いような気がしました。 恐らくは 夜闇に死消える其れよりは、 行方が見えないものですから。
かみさまなんて信じ得ないものよりも、 瞳のなかの星の方が、ずぅっと存在していたのです。
(56) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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[ ひとつ、 瞬き。 ]
(57) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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なにを、 おねがいしようかなあ。
毎年 さくらがさきますように、とか あじさいが上手く育ちますように、とか……
あ、 しらぎくの種が無事に芽吹きますように?
(58) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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[ 実験内容に口を滑らしつ、 指折り しょくぶつに関するだけを並べ───、
軈て、 その場に尻を付いた。 白衣の裾が地面を擦る。 ]
(59) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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……しょくぶつに成りたい、なんて 叶えてくれないんだろうな。
[ "苗床"と 言うのなら、 しょくぶつに成る、 とは 異なるのかも知れず 其れでも 成り行くかんじゃさまの隣に座り込み、 鬱々と呟くものでも無いのかもしれないが…
さくら咲かせる方が先だしね、 と接ぐ。 おとなげないし、執念的で ─── 未練がましい。 絡む蔦より、 繁る羊歯より、 ]
(60) 2019/06/18(Tue) 21時半頃
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[ ひとつずつ増えていくしらぎくは、
真実のなにかよりも、
ずぅっと、彼方へ導くものでしかなくて、 ]
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chian 俺の親は、瀝青 だったらしいんだよね。
空想を形にして、死に行くことが出来るなら、 うつくしく死んだって良かったンだろに、
(69) 2019/06/19(Wed) 14時頃
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[ ちぃさな舌先の、 更にちぃさな種子を、 惹かれる碧色が、唯、 見詰めていて
きっと、 願いが込められた、星ひとつぶ。
瞳を通り過ぎ、 行方を顕にした其れか、 …なんて、 fantasyな "空想"だ。]
(70) 2019/06/19(Wed) 14時頃
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[ 名前以外に残された、 唯一の 呪い。
産み落とされた直後には、 唯、黒色の液体として溶け落ちた彼女から、 ……… 祝いは、 あったのだろか。
舌先にゆびさきを伸ばした。 ちぃさな其れが落とされるのが先か、 摘み上げられるのが先か、 ──────]
(71) 2019/06/19(Wed) 14時頃
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──── でもね、しらぎくさん。
もし貴女が信じてくれるなら、 ……"この" 死に抜く流星に、願うなら、
きっと 貴女の病は治るよ。
(72) 2019/06/19(Wed) 14時頃
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[ 指先の其れを、 夜空に掲げ、 空を翔しらすよに踊らせた。
( 疾にさえ嫌われた己は、 何を 犠牲にするのだろう。 )
( 嗚呼、 酷く無責任な男だ! ひとの病に乗っかって、 誰かへ総てを押し付けてしまって! )
──── 微かに わらっていた。
何れまた、 星が降ると同時、 光を 呑む様に、 **]
(73) 2019/06/19(Wed) 14時頃
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