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そう、きっと、欲しいもの、
あるよね?
[青と新緑、薔薇の芳香。
それまでにあまり言葉を交わしたことなどないのに、
薔薇の仕業かそれとも、もともとの気質か。
年上なのに、子猫のような彼の唇に薄紅の唇を寄せる。
共犯者を仕立てるように、
甘やかな、甘やかな、落とし穴のような口づけをしようと…。]
[そう、先に触れた彼の指先には笑みが返った。]
触れて…。
そう、大丈夫。
君が欲しいよ…。
[ねだられて、拒絶などない。
むしろ、欲望は、高まるばかり。
彼の唇に薄紅を重ね、触れる、そして、触れる以上の口づけを。]
[ほしいもの。漠然とした影はすぐに消える。
薔薇の香りが隠してしまうから
[流されるまま、秋空の色が瞼の裏に隠れると同時。
薄紅に同じものをふわり、重ねた。
甘い香りは脳髄をしびれさせて感覚を麻痺させる]
ん……
[次第に深く、抱き寄せる腕も力がこもる。
求める様はそれこそ子猫がミルクを舐めるよう]
ああ、可愛いね……。
[口づけは、深く、されど、その仕草はどこかあどけない。
けれど、欲望はそれでつきることはない。]
――……君が欲しいよ。
僕をもっと欲しがって……。
[薔薇の力で、蘇った肌の弾力は、彼に触れることを求めて……。
そう、月明かり、薔薇の木の下。
彼の望みに答えるよう、その指先を動かしていく。
そう、彼が抱かれたいのならば、そのように、抱きたいのなら、やはりそのように……と、問うて……。]
[薔薇の木の下、あえやかな声は幾程続いたか。*]
【人】 さすらい人 ヤニク最後の、満月…… (76) 2013/03/24(Sun) 23時半頃 |
[深くくちびるをあわせて、吐息まで取られてしまったよう。
くたり、その肩口に頭を預け。
息はあがり、頬は僅か上気して。
薔薇の蔓が意識を侵食する感覚がわかる]
……。俺も。
[手はぎこちなくその肌に触れた。
同性の筈なのに自分とは違う、花弁のようなしっとりしたそれにまたくらり。脳裏がしびれる
唇を滑らせて浮き出た鎖骨に紅薔薇の印を一つ、刻みつけ
持て余す薔薇の香と毒のような棘の感覚
抱き寄せて痩躯をゆるく押し倒す
どちらを求めているかは月明かりが照らすまま。
薔薇の霞の中の交わりは、熱く深くとも、
そこに名残は残さない
誰が訪れても一時の色の香は消えうせる筈]
【人】 さすらい人 ヤニクええ、いてください。 (86) 2013/03/25(Mon) 00時頃 |
【人】 さすらい人 ヤニクああ、そうだ。 (87) 2013/03/25(Mon) 00時頃 |
【人】 さすらい人 ヤニク……そう、ですね。 (104) 2013/03/25(Mon) 20時半頃 |
【人】 さすらい人 ヤニク[手が離れ、身体を離す間まで。 (105) 2013/03/25(Mon) 20時半頃 |
【人】 さすらい人 ヤニク― 自室 ― (106) 2013/03/25(Mon) 20時半頃 |
[そう、さきほど、声の通うものと、
肌を合わせたばかりなのに、
疼きは収まらず、なお、
求めてやまない……。]
ああ、君も苦しいだろうか。
[声の届くものへ。今、その苦しみが、そして、甘やかさを共有するものへ。
心の中で、細い指を伸ばす。]
──……。
[頭を振って、懸命に香りを脳裏から消そうとする。
あの細い指が触れてくるような感覚に
吐息にかすか、熱がこもる。
けれど。目の前の彼に触れて、箍が外れたら多分、自分は]
だめ、だ。
[苦しいけれど。切ないけれど。
それでも、まだ]
この苦しさ、わかってくれるのは、
君だけだよ……。
[それは、いつのまにか、彼自身の言葉だけではなく、
薔薇の言葉にもなっている。
枯れたまま、終わるのは、嫌だ。
また、あの花を咲かせたい。
美しく、そして、甘美なあの想いを……。]
君だけだ……。
君がいないと……。
[細い指は、もがくように、
唇は、浅い息を繰り返しているかのように、開ききらない五分咲きの薔薇のように…。]
ぅ……ん
[入ってくるな、これ以上、香りはいらない
懸命に拒絶しようとするけれど
酔いは拒絶の仕方を忘れてしまったよう。
ヤニクからそらした目は熱で秋空を写す湖面のよう。
もう耐えられないくらい理性はぎりぎりで。
月の下で暴いた体の感触が手に残る。
あぁ、かなうなら、もう一度触れたいと
伸ばされた指に応えるように
夢の中で自分の指も絡ませる]
…欲しいのに。
【人】 さすらい人 ヤニクだって、帰ってこない事もあるじゃないですか。 (117) 2013/03/25(Mon) 22時頃 |
ああ
欲しいなら、
摘み取ってしまうかい?
[薔薇の囁き。
それは甘美な欲望を否定しはしない。
その伸ばした指は、きっと彼の身近な人からも伸ばされたような幻影。
薔薇は、咲き誇るために、
吐息をこぼす。]
――……
【人】 さすらい人 ヤニクどうして……謝るんですか? (123) 2013/03/25(Mon) 22時半頃 |
摘み とる…?
…何を、どういう……
[息が上がる。目の前のヤニクの熱と薔薇の香りの熱で
逃げ場のない感覚。
潤んだ目はその水滴を零す]
熱い、よ…たす け…
[どうすれば熱は収まるのか。
どうしたら、このやり場の無い感情はきえてくれるのだろう]
[助けを求める響きに、
薔薇ではなく、彼自身が眉を寄せた。]
ああ、
壊したくないんだね。
[指先、それは、眠る子を宥めるように…。]
――……君を慰めてあげる。
僕なら、いくら壊されても、
構わないよ……。
[優しく、語りかける。]
君の大事な人は、
大事にして………?
[その言葉はどう響くだろう。
だけど、深い意味はない、そのままの意味だ。
大事な人がいるのならば、
大事な人は、大事に………。
欲望だけで、何かを壊してしまいそうならば、
壊れてもいいものを壊せばいいと……。]
僕のことは壊してもいいんだよ。
むしろ、僕は壊れることを………。
[薔薇とは違う、願い。本当は見えない、未来。
美しくありたい。枯れてしまいたくない。
そこは同じなのに。]
――……そして、賛美歌を紡ぎ出す……。
───……ぁ、う…… !
[熱と理性と、大事な人と薔薇の声。
持て余してどうしようもない感情と
それでも失いたくない大事な友人と
満ちる香り薔薇が脳裏を壊してしまったよう。
悲鳴のような声は悲痛で、けれどやはりどこか甘やかで
助けてたすけてタスケテ
辛い。熱い。苦しい。
けれどどうしていいのかわからない。
ずっと人に頼ってきた代償。この依存心の塊は]
ああ……
つらいなら、
薔薇の木の下にまた、おいで。
[苦しげな声に、薔薇は甘やかに…。]
――……いくらでも、君を慰めてあげる。
いいえ、愛してあげる……。
だから、今は、おやすみ?
[そんな慰めを。]
【人】 さすらい人 ヤニク嗚呼……そんな顔、しないでください。 (129) 2013/03/25(Mon) 23時頃 |
僕も、苦しいから……。
[ひとりじゃないよ、と。
依存には、依存で答え…。*]
【人】 さすらい人 ヤニクん……っ、ふ……ぅ…… (145) 2013/03/26(Tue) 00時頃 |
【人】 さすらい人 ヤニク[好き、という言葉を唇だけで紡いで。 (146) 2013/03/26(Tue) 00時頃 |
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