281 緋桜奇譚−忌−
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【SCP-xx00-JPについて】
■アイテム番号:SCP-xx00-JP
■オブジェクトクラス:Euclid
■百物語の語り部
■特別収容プロトコル:SCP-xx00-JPはセクターxxにあるインターネット環境の存在しない物品保管庫にて、金属製の箱に入れられて収容されています。
定期的に研究員による対話を行い、その内容は記録してください。
斜線が引かれ書き換えられている。
事案xx00-Aにより、SCP-xx00-JPは電磁シールド内の物品保管庫にて収容し、24時間の監視を行ってください。
再び斜線。
SCP-xx00-JPは現在収容できていません。
■説明:SCP-xx00-JPはxx社より販売されたスマートフォンの内部に存在する人型存在です。
構造的には異常な部分は見つかりませんでしたが、内部に意思疎通可能のコンピューターグラフィックにより製作された人型実体SCP-xx00-JP-1が存在します。
これはこの機種のスマートフォン本来の容量を超えています。
また電源に繋がれていないにも拘らず、充電の切れる様子はありません。
SCP-xx00-JP-1は10代と思われる女性型で、日本のインターネット上で活動していた『アオちゃん』と名乗る動画投稿者と一致しています。
スマートフォンは定期的に起動し、会話を要求します。
このスマートフォンは、京都で発生した別件の収容違反事例及び大規模な異常事件「緋桜奇譚」時に存在を確認されました。
その後、イベントの中心点になった六道珍皇寺前にて破壊された状態で発見され、回収、修復されました。
【レポート:SCP-xx00-JP】
SCP-xx00-JPは他者との会話を非常に好みます。
その好みは特に「怪談」と呼ばれる怖い話、不思議な話等の向けられています。
自らが収集したとして語ることもですが、職員に話をするように促すことの方が多いです。
促しに強制力はなく、職員が答えなかった場合は対話相手に似合う話と称してSCP-xx00-JP自身が怪談を語ります。
その内容はSCP-xx00-JPが『アオちゃん』として投稿していた動画で語っていたものもあれば、未知の話である場合もあります。
また定期的な対話をしなかった場合、より短い頻度でSCP-xx00-JPは監視装置に向かって「怪談」を語ることが確認されています。
その話自体に異常は一切ありません。
【事案xx00-A】
担当研究者による定期インタビュー。
通常通りの手順で行われました。
<記録開始>
SCP-xx00-JP:今日もアオちゃんが話すのー?たまにはお話してくれればいいのに。
研究員:いいえ、遠慮しておきます。
SCP-xx00-JP:えー、残念、折角の半分記念なのに―。
研究員:半分、ですか?
SCP-xx00-JP:今日はここについて語っちゃいましょう〜。ぱちぱちぱち。ここってーアオちゃん以外にも色々いるよねえ。例えばほら、会話すると相手が壊れちゃう寡黙なあの子、あの子の話をしようか。
研究員:なんですって。
■補遺1
SCP-xx00-JPは研究員制止を無視して、語り終えました。
この時話したのは、SCP-xx49-JPの事であると、SCP-xx49-JPはインタビューにおいても認めています。
情報の入手先についてはSCP-xx49-JPははぐらかし黙秘。
研究員がその情報を教えた記録も発見されなかったため、外部の情報を何らかの方法で入手している可能性もあると判断され、収容プロトコルの変更を要請。
■補遺2
事案発生時の定期インタビューが50回目であったことが確認されています。
SCP-xx00-JPが動画投稿時代には100物語を語っていたこと、事件「緋桜奇譚」100話目と称していたことから、インタビュー100回目にも何かあると思われ、警戒がされています。
【事案xx00-B】
担当研究員による定期インタビュー。
本日は、100回目のインタビューに当たるため電磁的にも物理的にも完全隔離された実験室にて行う。
SCP-xx00-JP:ぱんぱかぱーん。本日はついに百話目となりまーす。今日まで聞いてくれてありがとう。今日のもちゃんと記録してくれてるよね?
研究員:何をするつもりなのですか。
SCP-xx00-JP:アオちゃんは語るだけでーす。皆々様に対しての百話目のお話はアオちゃんの事、『百物語の語り手』としましょうか。昔々から、百物語を語り終えると奇怪な出来事が起こったり、怪異が現れたりすると言います。そう、例えばこうやって監視されている中で、語り部そのものが消えてしまったり、とか。
SCP-xx00-JPが強制終了。再起動の試みは失敗に終わっています。
同時、外部の動画投稿サイトにて『復活のアオちゃんの百物語ちゃんねる〜』の投稿が確認される。事件「緋桜奇譚」について語り合おうと呼びかけが確認される。
すぐに削除対応するもののエラーが発生により失敗。
最終的にサーバーをダウンさせるもののそれまでにかなりの数の閲覧者が発生した模様。
以降。
SCP-xx00-JPは定期的に動画を投稿。
収容の試みは失敗しております。
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─ 雑踏の中 ─
ふ、ふ、ふ。
[雑踏に紛れてしまうような特徴のない男が。 手にしたスマホ画面を見て、小さく笑みを零す。]
彼らもこれで。 記録し、語り継いでくれるだろうね。
でも、今回は気づかれる前に外に端末移動したけど。 閉じ込められるのは困るからね。 また新しいアバターでも作ろうか。
[今のこの蒼の姿を流用するものいいかもしれない。 その時は『蒼の怪奇スポットてくてく散歩百物語』なんていいかもしれない、とスマホのメモ帳に記入しながら、男は雑踏へと消えていく。]
(12) simotuki 2020/10/10(Sat) 23時半頃
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『此度語られたるは忌むべき緋桜奇譚。 その伝承は人が語り続ける限り永遠に。
我ら語り部、青行燈もまた、人と共に。**』
(13) simotuki 2020/10/10(Sat) 23時半頃
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