人狼議事


24 ロスト・バタフライ

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片羽探さないなら──

 急がないなら


  ──みつけちゃうかもしれないよ?

[はやくはやく]

急いだ方が、いいかもね
のんびりしてると




ニールも、悪霊に齧られちゃうかもしれないよ?

[聞こえない忠告。きしし、と声は笑って]


でもそれが、

わかんない限りはさ


"おいら"には、良い事しか起きないんだ。


"おいら"は

 自分の失くしたとこは、


     ── 埋まんなくていい。

* 埋まらないままが、いいんだよ *。


イーラ?

  イーラ、
 
 イーラ。

 …。


ねぇ、もしかして。

…僕とイーラは、もう混ざれなくなっちゃったのかな。

声がしないね。

寂しい?ガウ。

寂しい、のかな。


──回想、番人の姉妹──

[それは昨日の出来事。湖畔で歌が歌われている時分のこと

フィリップたちと分かれて
霧の中に消えた身体の足元から、
すう。と影が広がる。]

 おれ、今、
 二人におやすみっていいにいくけど
 ナハトも、食べに来る?

[尋ねる声。待つ気はあまりないみたいな調子で響く]

         [それと同時に霧に浮かぶ影]

[近くの青い蝶が数匹 巻き込まれて黒い影に成った]



[もしも、小屋に忍び込むところ
 誰かに見られたとしても問題は無い
  なぜなら手足が伸びた姿は、

        子どものかたちはしていない]


 こんばんは?

[──声も大人びて、それは
 無力な子どもを装うことをやめた 青年の姿 ]




 [ ざわり ]

     [ 影が蠢き、背で広がる ]



[片羽はやはり欠けて無いけれど──
 それは、蝶のかたちをしてはいない。]

 よかったね

 イーラがやるより、おれがやる方が、
 あまり痛くなくて済むかも

[二人をやさしく包むように広がるそれは、
 ──御伽噺によくあるような 蝙蝠の皮翼。]

   ああでも、痛かったら叫んでもいいよ?

[包む影は、──冷たく、人の身体から熱を、*血を奪う*。]



イーラ、

 イーラ? 終わったよ。

終わったけど、


イーラ?

[番人の二人が起きてこないの確認して、
声をかけるけれど返事はなく]



ナハト。

[ 声がしない。と、
そう、呟かれるもう一人の声に
ぽつりと名前を呼んで]




── 寂しい。 さびしい?

寂しい…


[言われたこと、なぞって確かめるみたいな声。]


……

[少しの間、沈黙が挟まって]


[けれど]


… わかんない。

[返す答えは、いつもみたいには、笑わないまま]


でも、

イーラの怒ったいらいらした声が、しないのは

なんか、ちょっと、


 … つまんない、かな。

[ぽつり、呟くように返す*]


[ふわり、ふわりと、


 ガウを追いかけるのは砂色の蝶々。

 息のない姉妹の周りを、ひらひらと舞って。]


うん、わかんない、ね。


[声は沈んでいるだろうか、でも。]


よくないなぁ。

うん、よくない。



人間は嫌いじゃない。

イーラとガウは要らなくない。


でも誰か、イーラを居なくしてしまった。


誰が?

よくない、ね。

どうせ奪われる僕が、
僕が奪いたかったのに。


イーラを殺した誰かが死んだら、
その身体から魂の一部が漏れてくるかな。


[紡ぐ言葉は、仲間のことばかり。

 冷たくなった姉妹に興味はない。]




── 人が、泣くんだ。

[感情無く、声が呟いて]


ニールは何か聴こえるみたい。

何の声?

僕達の声?

―――違うみたいだね。

じゃぁ、誰だろう。

…イーラの、声?


[そして届いた言葉に、ぶわりと背中が粟立つ。]

フィル。

フィルがやったの?

イーラを消したのは、フィル?

[ぱりん、と、何かが頭の中で割れる音。]


[やめて
  
       いたい

  どうして、僕、何もしていないのに。

                 僕が、駄目だから?


   嫌だ。嫌だ。嫌だ。]


[   旦那様。   ]


ごめんなさい…。


ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。


痛いのは嫌だ。苦しいのは嫌だ。だから、あは、


―――…仕方ないよね。
悪いのはフィルだもの。


ガウ。ガウ。

あはは、今日はフィルを食べていいかな。

いいよね。お腹が減ったんだもの。

フィルが悪いんだ。

何も食べさせてくれないで、僕にあんなことするから悪いんだ。


[どこか、箍が外れたように、笑う。楽しそうに、悲しそうに。]


 イーラだ。

ええ、却下なの?

フィルは、駄目?うん困ったなぁ。

本当に困った。


ニールは、おれたちの声を聞いてるわけじゃないみたいだけど

[空っぽと自分のこと言った癖に揺れる声、
聞きながら、首を傾げ]


ナハト、なんか却下って言われてるよ

[伝えてはみるけれど、強く止めるようではなく]


頭のいいイーラが言うことだもの。

何か考えがあるのかも。

ガウは、誰が食べたい?


フィリップは──

[ぽつり 言って、少し黙り]

フィリップじゃないなら、


おれは、ぺラジーがいいかな。


こっちに引き込み損ねたから、
邪魔に。なるかもしれないしね


どうせ、残してても、出て行っちゃうから。

[視線、ぺラジーから外さないままにそう答えて]


ペラジーは、そうだね。

[先程匂いを示唆していた彼女。
 何か勘付いているのかもしれない。]

そうだね、うん。
彼女にしようか。


「僕達は欠けているか?」

うん、面白い問いだけど。

答えは、

「どうでもいい」、かな。

欠けてようが欠けてまいが、

これで、僕は僕だもの。


片羽が欲しいか?
へんなこと聞くんだね。

──そうだね。

おれたちも、きっと、どっか欠けてる。

でも



… 埋まったら、きっと、
残りたい気持ちも、消えちゃうね。

きっと。 おれは、おれでなくなる。




── どうして、残ってたかったのか とか 忘れちゃったけどさ


[忘れちゃった、というガウに苦笑い。]

僕は、

忘れたかったのかも、と最近ちょっと思う。

[少しずつ、少しずつ。欠けた何かがわかってきたような気がしていた。]


だからおれは、


 「 欠けたままがいい。」

ナハトと、イーラがそのうち、また起きてくるなら。
また騒がしくなるのを、待てたらそれでいいよ




…それでいい。


思い出しちゃったら、

多分僕は「僕」でいられなくなるんだろうなぁ。


そうだね、僕も、

イーラとガウと、楽しく話せてたら、それでいいかな。

人間たちはちょっと面白いけれど。

…彼らがいなくなって、またイーラが静かになってしまったら、


それは多分、「寂しい」。


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