219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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[ いつも思うんだが、 みんなよくその名前言えるよなァ?>>+99 俺は豆腐きなこから先はうろ覚えだぞ、 ……という冗談はさておき ]
……なるほどなァ、それが「口説き文句」って奴か?
[ 振り向けば、 そこに見えたのはあの金の髪の青年の姿と>>+98 学生鞄を放り投げる、ポニーテールの少女>>+99
ああ、なるほど? 一瞬誰だかわからなかったけど、 確かにポニーテールだったわ。>>@81 ]
(@0) 2017/06/21(Wed) 05時頃
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いいねぇ、悪くない。 アンタみたいな可愛い女の子に殺されるってんなら 割と本望かなァ。
[ とたたん、と一気に距離を詰めてくる少女の姿>>+102 すぅ、と目を細めて笑ってみせる。
今の彼女の殺気は混じり気がなく純粋で、 とても心地が良い。 禁断ノイズと対峙したときとは また違う“楽しさ”がそこにはあった。 ]
――…ま、殺せるものならなァ?
[ 射出された双頭の蛇>>+104に左手を翳す。 斥力の力場を前方に形成すれば、 蛇はその勢いを殺されて、拮抗状態に陥るだろうか。 それはさながら、目に見えない壁に 蛇が阻まれているように見えるかもしれない ]
(@1) 2017/06/21(Wed) 05時頃
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[ ――さて、と。 この障壁が持つのも精々数秒といったところ。
翼を広げて彼らからいったん距離を取りながら、 浮かぶ宙空で新しい飴をくわえる。 …さっき>>5:@134は流石に調子に乗りすぎた。 全く、この能力というのも大概不便なものだよなァ? ]
…ちょうどいいや、 せっかくだからアンタに聞きてぇことがあったんだわ。
[ そう声をかけるのは、彼女のほうではなく さっき彼女と一緒にいる男――少女は シーシャと呼んでいたように思う――の方>>+98 ]
(@2) 2017/06/21(Wed) 05時頃
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なァ、なんでこの子を庇ったんだ?
[ 首を傾げて見せながら、 心底不思議だ、と言わんばかりの声音。
それはさながら、子供が大人を 質問攻めにするときのそれと同じ、 未知への好奇心に満ちたもの。 ]
俺、よくわからねぇんだよな。 いや、俺も確かに昔よく似たことをしたし、 そのせいで死んだようなモンだけど。 …そのときの自分が何を考えていたのか、 よくわからねぇっつーか、思い出せねぇんだ…。 [ 記憶はあるのになぁ、と 不思議そうに首を傾げたまま、くしゃと頭を掻く。]**
(@3) 2017/06/21(Wed) 05時頃
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― 回想/サイキックについての考察 ―
[ 契約によって得られる“サイキック”というのは>>0:#5 なんとも不思議な力だといつも思う。
得られる力は個人によってさまざまだが、 何度かゲームに参加して参加者や仲間たちの能力を 見ているいるうちに、この能力の発現には どうやら一定の傾向があるように思えてきた。
まあ、端的に言えば、サイキックというのは その能力の持ち主の在り方と少なからず関わりがあるということだ。 それはたとえば持ち主の死因だったり、 持ち主の心の在りようを表すものだったり、 エントリー料として支払ったものと関わりがあったり。
勿論、上の件に該当しないケースも山ほどあったが、 俺の見てきた参加者たちにはこの傾向が少なからず見受けられた。 ]
(@4) 2017/06/21(Wed) 14時頃
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[ まあ、それはそれとして。
サイキックは超常の能力であり、 同じく超常の存在であるノイズに対抗する強力な手段だが、 手にした力が強いものは、その代償か 何らかのリスクを背負うこともある。 たとえば能力の発動が不安定だったり、 連続して行使すればその分疲労がたまったり、 身体に負担がかかったり。
強い力にはその分代償があるということか。 やっぱり世の中そう上手くはいかねぇんだな。 ]
(@5) 2017/06/21(Wed) 14時頃
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[ 俺の力も、地味な癖にそんな代償を負っていたりする。 俺の場合は、他人より糖分を摂取しないと能力もまともに使えないし、 すぐに疲労がたまって動けなくなる。 というか、頭痛やら眩暈やらで意識が朦朧となるというか、 意識が保てなくなるというか。
どういう理屈でそうなったのかはよくわからないが、 契約したばかりの頃、うっかりそれで一回死にかけた。>>3:@11
おかげで、日常的に飴玉もとい糖分の摂取は欠かせない。 とはいえ、甘いものは嫌いじゃないからさほど苦痛でもない。 他の奴らの代償に比べたらまだ全然楽なほうだと思うしな。
――・・・まあ、おかげで「舐め太郎」なんて 妙なあだ名をつけられることになっちまったが。>>1:486 ]*
(@6) 2017/06/21(Wed) 14時頃
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― 回想/“あいつ”のエントリー料の話 ―
[ ごめんなさい、が口癖だったあいつ。 謝ってばかりで、どんくさくて。 生きているときもそんな感じだったけれど、 ゲーム中はひょこひょこ、後ろをついてくるようなそんな奴だった。]
『戸隠くんは、いい人だったよ』 『学校のプリント持ってきてくれたりしたし』 『いつも優しかった』『それに…』
[ …それ、どうして本人の前でいうかね? いや、思い出してほしいってことなのかもしれないけど。 別に、忘れているわけじゃない。 ただ、記憶と心が繋がらないというだけの話。
ただ、そんな俺の話をするあいつの顔は、 (いつもだったらイラついて仕方ないはずなのに) …不思議と見ていて嫌な気分にはならなかったから。 いつも飴をくわえながら話半分に聞いていた。 ]
(@7) 2017/06/21(Wed) 18時半頃
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[ 嫌といえば、あいつが泣く顔を見るのは どういうわけだか嫌で仕方がなかった。 ごめんなさい、と謝られるのもだが。
あの頃は、彼女の考えていることがわからなかったから、 ただ、死んだときのことを謝られているのかと思っていた。 それでも、別に負い目に感じてほしいわけじゃなかった。
そもそも、どうしてあんなことをしたのか>>5:@2 自分で理解できていないのだから仕方ない。 だって、そうだろう?
あのとき、勝手に身体が動いた。 「逃げろ」と無意識に叫んでいた。
殺されそうになったあいつを、助けたのは 俺が勝手にしようとしたことで、 しかも結果的に両方助からなかったんだ。 結局、俺がしたことは全て無駄だった。ただそれだけのこと。]
(@8) 2017/06/21(Wed) 18時半頃
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[ あいつが泣いていた本当の意味を知ることになるのは ゲームも終盤に差し掛かった頃。
尤も、それを知ったところで彼女に泣かれる理由も いまいちよくわからなかったが。 ただ、ゲーム中ずっと感じていた違和感の正体は 理解することができた>>2:@202>>4:@66 ]
(@9) 2017/06/21(Wed) 18時半頃
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[ 自分に優しくしてくれたクラスメートの“戸隠流生”。
彼女がそいつに感じた、 人の好さだったり優しさだったり、 そういう、人として好ましく思った部分。 それが、どうやら彼女の『エントリー料』だったらしい。
…うん。やっぱり言葉にしてもピンとこないな。 要するに今の俺はそういう「人間としての良心」というか そういうものを欠いた状態らしい。
ひとまずそこまで言われて、漸く納得した。 自制が聞かず、暴力を振るうことを躊躇わない今の自分は 以前では想像もつかなかったから。 ]
(@10) 2017/06/21(Wed) 18時半頃
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[ ごめんなさい、と泣きながらまた謝る彼女に、 気にするなと、むしろ感謝していると そう口にしてはまた泣かれて。
――彼女の背を撫でながら、考えていた。 …どうすれば、彼女は泣き止んでくれるんだろう? 笑って、くれるのだろう? と。 ]*
(@11) 2017/06/21(Wed) 18時半頃
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そんなにあのよくわからんアイス食いたいんなら アンタら今度うちの集まりに来いよ。 うちのコンポーザーも来るみたいだからさァ
[ 俺は絶対遠慮するわ。いろんな意味で>>+16
睨みつける男の視線を受けて、にこっと笑い返す。 ついでにひらり、手を振ってみよう。
さて、どんなふうに怒ってくれるのか。 それを考えると男の姿がとても眩しく見えて、 俺はそれが堪らなく嬉しい。
だって、…殺してくれるかもしれないだろう?俺を。]
(@26) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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[ 此方の問いに眉根を寄せる>>@3 どうやら縁も同じことを聞いたらしい。 ]
別に珍しくはないなァ。 どちらかが死ねば、もう片方も死んじまうから 助けようとするのは普通だろうよ。
[ 障壁に阻まれた蛇が、じゃらり。 そのあいだに彼らと距離をとって宙に浮く。 ま、この程度の距離どうということはないだろうが ]
…ふーん。そっかァ。 “愛されてる”んだなァ、そこのお嬢さんはよ。
[ 羨ましいぜ、とわざとらしく 良く通る声で軽口ひとつ。
そこのお嬢さんの耳にでも入れば、 もしかしたら挑発のひとつにはなったかもしれないな。 ]
(@27) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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[ にっこり、極上と言ってもいい笑顔が 男の顔に浮かぶのが此方からでも見えた。>>@+21 ]
――あはは。 格好良いなあ、アンタ!
[ つい、笑いが溢れたのは …その目が笑っていないことに気づいたから。 ]
そうでなくっちゃぁな!!
[ 間欠泉よろしく地面から吹き上がる水柱>>+22 そしてそれは、空中で鮫の形となり此方へとその牙を向く。 ]
(@28) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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あはははは!!! いいぜいいぜぇ、もっと来いよ!!
[ 瞳孔を見開いたまま笑い飛ばすと、 翼をはためかせて更に空中高く飛び上がる。 ある程度空中での距離を取れれば そのまま、手にした鉄パイプを鮫に目がけて振り下ろす。
そうして振りかぶった先に形成するは、重力の力場。 水柱だろうが鮫だろうが、質量を持った存在である以上、 重力に逆らうことはまず難しい。 ]
(@29) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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[ ――彼らの殺意が、心地良い。
ああ…そうだ。そうでなくちゃいけない。
今までだってそうだった。 なんにも悪いことなんかしなくたって、 ずっと罰を与えられる人生だった。 生きていくことそのものが、俺にとって罰だった。
一度死んでからはそれこそ沢山の命を奪った。
散々傷つけた、散々殺してきた。 俺はそれが楽しくて仕方なかった。 …なのに、今更罰がくだらないなんておかしいじゃないか? ]
(@30) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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――…なぁんてなァ!!
[ 本心? そんなもの、アンタたちに見せると思うのか?
死神の仲間たちにすら、それこそ田舎娘にすら 見せたことも踏み込ませたこともないというのに。>>4:21
あれは技量も度胸も何も関係ない。 俺自身があの場所に踏み込ませなかっただけ。 ぶっちゃけてしまえば、 懐に入れる意気地がなかったのこと。 ]
(@32) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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おらよォ!!!
[ 鮫に向かって更に追撃で鉄パイプを振りかざす。 鮫の頭上から、勢いよく重圧をかけて叩き潰そうと。
その背後ががら空きになっていることに、 地上から蛇を従えて見ている彼女>>+29は 或いは気づいたかもしれない。 ]*
(@33) 2017/06/21(Wed) 23時頃
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[ はは、言われてらァ>>+34
まあ、挑発半分ではあったけれど、 愛されていると、そう思ったのは本心からで。 やっぱ、女心は難しい。 どうして伝わらないものか? ]
…っはは!!
[ 何故、怯まないのかと言われれば。 …怯む理由が、ないから。 そうとしか、言いようがない。 楽しくて楽しくて仕方ないことを躊躇う理由が、 一体どこにあるというのだろう? ]
(@51) 2017/06/22(Thu) 00時半頃
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[ ――だからこそ、“隙”が出来た。>>+35 ]
(@52) 2017/06/22(Thu) 00時半頃
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[ ひしゃげた鮫の頭>>+41 更に押し潰そうと鉄パイプを振り下ろそうとすれば そこから上へと持ち上げられる水の力。
それに対抗するように下へと圧力をかけようとした そのとき――>>+38 ]
「── お ち て ?」
[ 振り向いた先にいたのは、]
―――…ッ
[ お嬢様のように 少女の様に、 たおやかに笑む 彼女の姿 >>+37 ]
(@53) 2017/06/22(Thu) 00時半頃
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[ 言うが早いか、 此方の胴へと巻き付く双頭の蛇>>+39 ]
…。
[ ふ、と笑みが零れた。 ]
いいぜぇ…? ただしアンタと一緒にだがなァ!!
[ 言うと同時に巻きついた蛇の頭を掴もうと。 そうした後に能力を行使しようと、 もう片方の手を伸ばすのは――鎖の少女。
少女の身体を自分の傍へと引き寄せられたら。 そのまま彼女を抱きしめて、 その背中から地面へと墜落する。 ]
(@54) 2017/06/22(Thu) 00時半頃
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[ 一瞬の衝撃と共に、
ベキッ、と何か硬いものが砕けるような音が、 少女の耳に、聞こえたかもしれない。 ]
ぐ…ッガあああァ…ッ!!
[ 次の瞬間、少女の耳朶を打つのは、 黒い翼の男の口から漏れる 悲鳴とも呻き声ともつかぬ、声。 ]**
(@55) 2017/06/22(Thu) 00時半頃
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( ―――… 。 )
[ 落ちていく瞬間、脳裏に浮かんだのは あの日見た――の笑顔。 胸に去来する、なんとも言えない懐かしさと甘さに 口許に浮かぶのは、やはり笑み。 ]
(@62) 2017/06/22(Thu) 06時頃
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[ 抱きしめた少女は、暴れただろうか? 抵抗はあっただろうか?
それに構わず、少女の後頭部と身体に両の腕を回して強く抱きしめた。 そして――>>@54>>@55 ]
っぐ、ァア…。
[ 流石に、こいつはつらい、な…笑う余裕すら、 背中の激痛に奪われる。 状態は見ていないが、わかる。 これでは暫く飛べないだろう。
というか、下手すると死ぬな、うん。 簡単にやられてやるつもりはないが。 ]
(@63) 2017/06/22(Thu) 06時頃
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「リョウ、大丈夫!?」>>+47
[ やがて、男が駆け寄ってきたならば、 とりあえず出せるだけの力を振り絞って、 男のほうへ彼女の身体を押し出す。 彼が彼女の身体を抱きとめるのを見れば ]
……はっ、バーカ…。
[ そして不可解なものを見る目と視線が合えば>>+47 そんな言葉をぽつり。 ]
(@64) 2017/06/22(Thu) 06時頃
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傷つくとこ、見たくなかったんだろ…? アンタ、自分でそう…言ってたじゃねぇかよ…?
[ 言いながら、地面を転がって起き上がろうと。 ]
大事ならば、今度こそ死ぬ気で守れよ…。なぁ?
[ それは、かつて彼女たちの命を奪った 自分が言えた義理では全くもってないが。 先ほど彼女を抱きしめたときに手放した 鉄パイプを手中に引き寄せるとそれを杖がわりに 笑う膝を支えて、立ち上がる。 ]
(@65) 2017/06/22(Thu) 06時頃
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[ ――それに。 いやこれを言ってやるつもりはない。
あのときの、死に逃げるような笑みなんかじゃなく>>4:567 あんなふうに笑えるのなら>>+37 そして、こうして愛してくれる奴がいるのなら>>+20 ……生きてさえいれば、 少しは“希望”を掴んでくれるんじゃないかと。
手前勝手な考えだとは、 わかっちゃいるんだが、なァ。
あんな顔を見せられたら>>+37 そしてあの笑顔を思い出したら>>@62 ……ああせずにはいられなかったんだよ、悪いか? ]**
(@66) 2017/06/22(Thu) 06時頃
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― 回想/呼び名の話と、彼女のこと>>5:263 ―
「“戸隠くん”さ、」
[ 不意に真正面から、此方の顔を覗きこまれる>>5:262 視線を逸らすことなく、ただ真っ直ぐに。 ]
……ぁ?
[ そんな彼女の様子に つい怪訝そうに眉根を寄せるのが見えただろう。 そんな此方に構わず、彼女は不気味に思えるほど落ち着いた静かな声で ]
(@78) 2017/06/22(Thu) 20時半頃
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「—— わたしは、だあれ?」>>5:263
…。
[ 一瞬、言葉に詰まった。――そして ]
(@79) 2017/06/22(Thu) 20時半頃
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……ばぁか。んなもん、俺が知るか。
[ 彼女の額に手を添えると、 その上から力いっぱい人差し指を弾いた。 所謂「デコピン」という奴。 容赦?手加減?さて、知らない子ですね?
ついでにいうと俺はたらしだなんてけったいな生き物ですらない。 そういうのは、もっと気が利いて人を喜ばせることができるような奴にかける言葉だろうに。 ]
(@80) 2017/06/22(Thu) 20時半頃
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[ 彼女の額に添えていた、 仄かに赤く色づいた手をひらひらさせながら。 ]
俺は目の前のアンタしか知らねぇよ。 アンタが『顔の良い』俺しか知らねぇようにな?
[ 記憶を持たない彼女の苦しみを、 彼女が抱える違和感や気持ち悪さをきっと、俺は理解できていない。
昔の俺なら、理解できたんだろうか? 理解できなくても、その苦しみに寄り添おうとしたんだろうか? 仮にそうだとしても、俺はもうあの頃の自分に戻りたいとは思わないのだけど。 たとえそれが、あいつの望みだったとしても。 ]
(@81) 2017/06/22(Thu) 20時半頃
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[ ――それに。 俺が彼女の抱えるものを理解できないように、 彼女もきっと、俺の抱えるものを理解することはできない。
『他人の顔』を褒めそやされる、あの違和感を 記憶と心が結びつかないもどかしさを、 俺であって俺ではない『自分』を求められる苛立たしさを、 誰かに理解してほしいかと言われたら…まぁ、そうは思わんな。 ]
だがな……なぁ、鳴李。
(@82) 2017/06/22(Thu) 20時半頃
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[ 普段は滅多に呼ばない彼女の“名前”。 先ほどとは反対に、今度は俺が彼女の顔を覗き込む。 視線が合わさるように少しだけ背を屈めながら 彼女の顔にかかる前髪を指先で払って ]
たとえ昔のアンタがどんな存在だったとしても、 俺は変わらねぇ。 変わるつもりはねぇよ。
[ 少なくとも、こうして生きて“記憶”のあるうちは。 ]
昔の記憶を取り戻すことで、 アンタが幸せになれるかは、正直わからない。
[ 少なくとも、俺の記憶が俺を幸せにしたことはない。 だけど、もしもそれが彼女を幸せにすることができたのなら―― ]
(@83) 2017/06/22(Thu) 20時半頃
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…ま、いいや。 たとえ何があったとしても、俺はアンタの味方でいたいと思ってる。 それだけは、忘れんなよ?
[ そういって、再度彼女の額を――流石に今度は手加減した――指先で弾く。
そうしてこちらの言葉に薄っすらと笑った彼女>>5:268が あのとき何を考えていたのか、それは今でもわからない。
ただ、妙にしんみりした雰囲気を誤魔化したくなって、 わしゃわしゃと彼女の前髪を掻き乱したのを 今でもまだ、覚えている。 ]*
(@84) 2017/06/22(Thu) 21時頃
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[ 立ち上がれば、背中から伝わる一瞬の熱と 急速に熱を失って冷めていく冷たい液の感触。 何より、背中から全身に伝わる痛みに ぐい、と意識を持っていかれそうになる。 ]
……っは。
[ それを鼻で笑って、 鉄パイプに添えた手をもう一度握り直す。 倒れるにはまだ、少し早い。
そうして、彼女が語る言葉に耳を傾けていた>>+73>>+74 ]
(@91) 2017/06/22(Thu) 23時半頃
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…あはは。
[ ああ、悪いなぁと思いながらも 口をついて出たのは、微かな笑い声。 ]
……奇遇だなァ、お嬢さん。 俺もそうだよ。
[ 生まれてきたことが罪で、生きていることが罰。 それが、俺にとっての“せかい”だった。>>4:@31 ]
あの人たちにとって俺は、 「愛する誰かの命を奪って生まれてきた存在」でしか ないんだからさ。
[ 父にとっては最愛の妻の、 祖父母にとっては愛しい愛娘の、 そんな、顔も知らない「母親」という誰かの命と、 引き換えに生まれてきたのが、俺なのだから。 ]
(@92) 2017/06/22(Thu) 23時半頃
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……そりゃ、愛されるわけなんか、ないよなぁ。
[ 自分の子や孫に、 「命が流れてしまえばいい」「消えてしまえいい」 「遠くへ行ってしまえ」だなんて、 そんな意味の名前をつけるような人たちに いったいどうしたら、愛してもらえたんだろうか?
「格好良い名前」だなんて、 そんなことを言ってくるほうがむしろ珍しい。>>1:52
誰かに名前を呼ばれるたびに、覆しようのない事実を ずっと突きつけられてきた>>1:@174 母親がいない寂しさより、父や祖父母から 愛する人を奪った申し訳なさを抱えてきた。
そうしてそのたびに、思ってきた。 自分が生きていることは、罰なんだって。 ]
(@93) 2017/06/22(Thu) 23時半頃
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……逆に聞くけどさァ、お嬢さん。
一番愛してほしい奴に愛してもらえなかったら、 今アンタを大事に想って、愛してくれる そんな奴の気持ちを蔑ろにしてもいいのか?
アンタが一番大事にしないといけない奴ってなんなんだよ? どれだけアンタが愛を求めても、 それに応えようとしない奴のほうが大事なのか? そんなの、そこの奴が可哀想すぎんだろ? 違うか?
[ 首をかしげてみせる。 それから口の中に飴玉を一つ放り込むと、 ]
(@94) 2017/06/22(Thu) 23時半頃
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……まぁ、少なくともさ。 俺は、一度“パートナー”の気持ちを蔑ろにしちまったことがあるからさ。
[ “昔の俺”に帰ってきてほしいと>>3:@9 ずっとそう望んでいた“あいつ”。 でも、俺はそれに応えられなかった。 あいつの望みを叶えることが、俺にはできなかった。 ]
(@95) 2017/06/22(Thu) 23時半頃
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…勝手なことばかり言ってる自覚はあるけどさ。 パートナーの気持ちはできるだけ、尊重してやったほうがいいと思うぜ?
[ そうでなければ、自分のように 相手を思い出すとき、その泣き顔ばかりが 浮かんでくるようになるから。
それから、彼女たちとは何か言葉は交わしただろうか? それが終われば、今度こそ装備を整えるために 一度この場を後にする。 ]*
(@96) 2017/06/22(Thu) 23時半頃
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[ 二人と別れたあと、 禁断ノイズを数匹排除しながら暫く道を歩いて、 十王ストリートから離れた路地裏へと身を滑り込ませる。 その途中、妙な連中を遠目に見たりもしたが。>>#3]
…っ。
[ ここまで派手にやられたのは久しぶりだな、と 吐く息に混じってついつい笑みが浮かぶ。
痛みより、なにより。 戦いの中で真っ先に感じるのは、この高揚感。 どうにも耐え難い、抑えきれない衝動。
だからこそ、もう、俺は戻れないのだろうとも、思う ]
(@115) 2017/06/23(Fri) 03時半頃
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[ あのお嬢さんは。 ―― まだ、“戻れる”んじゃないか、って。
そう考える俺は、甘いんだろうかね…? 去り際、彼女に投げられた言葉に、 結局答えることはできなかったけれど。
ひとつだけ確信を持って言えるのは、 勝手に殺したり、勝手に諭そうとしたり。 勝手に期待したり。 “普通”に考えても、自分勝手なのは俺のほうだということ>>+80 ]
(@116) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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[ ――愛されてみたかった。 誰かに必要とされたかった。 ただ一度でいい、「ここにいていいんだ」と、 誰かにそう、言われてみたかった。
それが、かつての俺が願っていたこと。 ずっと忘れてしまいたかった、 でも忘れることの叶わなかった俺の過去の“記憶”。 ただ、俺の場合はそれこそ「誰でもよかった」のだけど。
だから、エントリー料として「自分自身」を奪われた。>>2:@47 なにひとつ好きになれない、 だけどそんな自分の願いを叶えるために必要だったもの。
誰かに肯定してもらいたがっていた自分を失って、 正直、息をするのが楽になったことは、否定できない。 実際、一度死んでから過ごした時間は、 (あいつと過ごしていた時間を含めて) 今まで生きてきたどんな時間よりも、 穏やかで、何よりとても“楽しい”ものだった。]
(@117) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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[ それと同時に、 自分やあいつが支払ったものを知ったことで わかってしまったものもある。 仮に、エントリー料を返還されたとしても、 俺はもう、かつての“戸隠 流生”には戻れない。 あいつが切実に取り戻したがっていた“俺”は>>3:@9 もう元には戻らないんだ、と。
だって、知ってしまった。
人を傷つけて笑っていられる俺は、 他者を踏みつけて平然としていられる俺は、 誰かの命を奪って生き残ろうとしてきた俺は、 …他の誰でもない、俺自身でしかないんだってことを。
エントリー料を奪われたからおかしくなったんじゃない。 あいつが好きでいてくれたものに抑えられていた 俺の本性が表に出ただけに過ぎないんだ、と。 それを突きつけられた、……だから。 あのときの俺は、あいつの手を振り払った。 ]
(@118) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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[ 「Q、失った大切なものを取り戻すことができたとして、 その存在は、「失う前」に戻ることができるか?」>>5:22
――かつての俺の選択は、No、だった。* ]
(@119) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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『prrrrrrrr...』
よぉ、生きてるか田舎娘? 俺はまだ死んでねーぞ。
[ 相手の声が聞けたのなら、 ふ、と声を漏らすのと同時、口許に笑みが浮かぶ。 ]
ヘマはやらかしたがまぁ、明日までにはどうにかなってんだろ。 アンタが無事ならそれでいいさ。 ゲーム続行のためには、“ゲームマスター”が必要不可欠だもんな。
(@120) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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ああ、いろいろトラブルはあったが、 俺としては楽しかったぜ? 禁断ノイズも、特例の『強き魂』どもも。
今回のゲームは最初“平和”だと思ってたからな。 お人好し共が妙に多くて、 けどまァ…今思うと、それも楽しかったな…。
[ 最初の三日間を思い出す。 どいつもこいつも、出会う連中は皆、危なっかしくて 他人を出し抜こうとするような奴よりも、 協力し合おうなんて考えるような奴らが多くて。
最初に会った、集人とヒナはまだ生きているだろうか? それとも、死んでしまっただろうか? いちおう、こちらが先に死んでしまっては 特別ミッションの続行ができないので なんとか生き延びる方向を選んだが。 ]
(@121) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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[ ロイやニキたちはどうしただろう? 最初の三日間はよく顔を合わせていたのだが ここのところ見かけていない。 簡単にくたばるとは思いがたいところがあるので どこかで生きていればいいと、 ついついそんなことを考えてしまう。
…今思うと、こっちも随分、 奴らに影響を受けてしまったのかもしれない。 ずいぶん、甘くなったものだと思う。 今回のゲームは、なんというか、 妙なことが多いものだ。 ]
(@122) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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――…なぁ。
[ 電話口の彼女に問いかける。]
俺に、何かしてほしいことはあるか? 俺が、アンタにしてやれることは、あるか? [ ――ふ、と。 口の端から笑いが漏れる。 もし、相手から怪訝そうな反応があれば ]
なんだろうなぁ、今聞いておかねぇと アンタ、どっか手の届かないところにいっちまいそうでな。 …柄じゃねぇことは、わかってるんだが。
なんにせよ、後悔なんつーのはしたくねぇんでな。 何かあるんなら、聞いとくぞ?
(@123) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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[ 電話先の彼女の答えは、どうだったろう?
それを聞くのが先だったか、 それとも日付を超えるのが先だったか。
いずれにせよ、次に迎える夜明けは、最終日――** ]
(@124) 2017/06/23(Fri) 04時頃
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