145 来る年への道標
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[所変わって客室。働き詰めで予定が立てられず、結局予約ギリギリだった
青年は一人部屋を確保出来なかった。相部屋は特に気にしていない様子だが
この先を思うと大きな溜息も付きたくなった。]
・・・・・・はあ。
[深く肩を落としつつ部屋に入る。
スーツケースを部屋の片隅まで運んだ。・・・先客はいるだろうか?]
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さっきの そっか、次はあのねずみさんの星なんだね
[アシモフと呼ばれていたねずみさん。 さっきの男の子みたいに、窓の外を見てる。]
らっと☆すたーかあ どんな星なんだろう?
[ねずみさんが、とてもうるうるしてたから。 男の子はとってもきになるみたい。]
(2) 2015/01/02(Fri) 00時半頃
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― 所変わって ―
[机の上には、たばこを吸った形跡がありました。
机をとてらすのは青色に輝くガラスの細い管です。
側にある小さなケースは、たばこのカートリッジケース。]
[窓の側には、先客がいました。
部屋の扉があいたことで、振り向いたのでしょう。
青年を、眼鏡のレンズの向こうがわから、見ていた彼は
ため息が聞こえてか、小さく笑っていました。]
よろしく。
[乗る船を直前まで定めたくなかったエフもまた、
予約がぎりぎりになってしまった人間です。
彼は端的に自己紹介をしました。]
名前はエフ。行き先はアースまで。
お兄さんは、お疲れのようだけど、どこまで?
[先客の姿を認めると先ほどの溜息が聞かれていた事にも気付き、
口元に手を当てた。]
すみません・・・。
[気を悪くしていないか、と相手の表情を伺いながら。
自己紹介をされれば姿勢を正して名乗る。]
俺はナユタ。行き先はクオデイ・オカヨフ。
数年ぶりに、帰省するんです。
[話しつつ疲れが残っている様子の青年は休める場所を、と
部屋を見渡して・・・ここが個人客室であることを思い出した。]
・・・毛布、もらってきます。
いやいや。気にしないで。
[エフと名乗った先客は、気にした様子もなく、
目尻にわらいじわを作って首をふっていいました。]
じゃあ、久しぶりの帰省だ。
向こうについたらゆっくりしないとね。
[エフは、顔色の冴えない帰省客を
長々雑談に付き合わせるのは止めにして、
彼が毛布を取りに行くので、どこかくたびれた背を見送りました。
それから少しして。
ナユタが戻ってくる前に、エフは部屋を出ていきました。
荷物の少ない客なのでしょう。
机の上で灯っていたタバコの灯りも
彼が持って行ってしまうと、
そこは元々の個室のような様子になっておりました。
そうしてその後、廊下を歩いていて会ったのが、
シルクと名乗った女の子なのでしょう。**]
あ。
[ラウンジで見えた赤毛の男に、ぺこりと頭を下げた。相部屋になった、ヨット乗りらしい。様々なスポンサーの広告を背負い宇宙を旅する彼の事を、乗船前に幾らか調べた。何時か自身のアトリエの広告も掲げて貰いたいものだと…
――勿論、新米の自分が勝手を言う事など、親方には許されないのだが。]
アンタレスさ、ちょぺっどの間だてが、たのめすじゃ。
おら寝相わりだばって…かにな。
[ふわりと浮いた真っ白な髪は、無重力の髪の流れでも、セットでも無く、アーティスティックな寝癖COである。]
[暫くして部屋に戻ってきた青年は、毛布を抱えて中央まで運ぶ。
エフの姿はないようだ。彼の荷物らしきものも見当たらない。
部屋を変えたわけではないのだろう。
備え付けのソファにスーツケースを寄せ、
毛布を広げて寝転がると、忘れていた疲れがどっと押し寄せた。
目を閉じて思いを巡らせる。
今日は憧れの人に遭った。無数の流れる星を数え、
その輝きに似た光を見た。
船の中で見るものが皆、目新しかった。
思い返せば故郷から移る時もこんな気持ちがあった気がする。
満足感を得ながら、青年が眠りにつくまでほど時間はかからず。
しかし再び起きるまでは結構な時間を要した。
少なくとも、相部屋の客が戻ってくるまでは。**]
気にしないでくれ。
それを言うなら私の方こそイビキがうるさいらしいんでな?
これ、使ってくれ。
[用意したのは耳栓だった]
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[おじさんがくれたのは一冊の本。>>24 どうやら観光案内の本みたい。 それを受け取った男の子は、 きらきらとした瞳でおじさんへお礼をいった。]
ありがとう ! でも、いいの?
[おじさんの言葉に男の子は頷く。 きっと、おじさんはいろんなところにいって、 いろいろとみてきたんだろうなあ。 そう思うと、羨ましくて、楽しそうで。]
いいなあ 僕も、いってみたいな
途中下車しちゃったら、 また乗るためのお金が、ないから…
(45) 2015/01/03(Sat) 23時半頃
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[男の子は、すこしだけうつむいて、 その先に見えた本をじっとみる。]
… あっ、僕は本をよんでるね
おじさん、ありがとう
[男の子は、売店へと向かうおじさんへ きちんとおじぎして見送った。]
(46) 2015/01/03(Sat) 23時半頃
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