281 緋桜奇譚−忌−
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なあ、耳の早いお前らなら知ってるかもだが、
昨日六道珍皇寺で大陸の殭屍女が術を施してたんだぜ。
そこの術式、破ってやったら面白いかもな。
あの住職の血で汚すのか。
そいつはいい考えだ。
あんたが直接手を下したいならそうすればいいさ。
蜘蛛女か、久しぶりだな。
俺は招かれたんだな。
開きたい側の妖として。
[今までさほど意識していなかったが、面子を見て自分が緋桜についてどうしたいかという────腹が決まった。]
百話語って貰うにはコミュ力が必要ですから。
それに場所は変われど、やることは変わってません。
[御山に行ったり、アマゾンに行ったり、電子の妖精になったり、現代では随分と様々な場所に進出しているが。]
青行燈は。腕っ節を誇るような妖ではないですよ。
最初にお会いした時も言いましたが。
ただ、広げる、ものです。
[初対面は突撃路地裏怪談スポットだと称して、縄張りのあたりをうろちょろとした時だったか。
あの時は大変だったと、男の声は坦々と言う。]
あら、蜘蛛女だなんて。
志乃ちゃんとか。
SHINOさんとか
シノたんとか。
もっとかわいい呼び方にしてよー?
[そんな事を一方的に伝え。
いっそこっちもガルムたんとか呼んでしまおうかと。]
シノとアオだ。
短くていい。
[それ以上は譲れないとばかりに吐き捨てる。変な呼称で呼んでも気にするところではないが。
能天気め。]
[実際に会いに行っていると聞いたり。
知らないかと問われれば。
体験談を喜んで話しただろうが。
ネタバレだろうと、語らない。]
僕からはガルムさんとアマミヤさんでいいですよね。
[『アオちゃん』からはどちらもちゃん付けだ。
そこはこちらも譲れない。キャラ付け的な意味で。]
君も志乃ちゃんとか
シノたんでいいのに
ガルムたんみたいにさ
[笑いながらそんなことを言って。
まあ、能天気なのは性分だから仕方ない]
[そういうもんかねーっと。
もし御山やアマゾンなどに行ったと知れればやっぱりパリピじゃんという感想を持つだろう。]
ただ広げるって、妖ってそういうの多いよな。
人間依存つうか。
やっぱ俺そういうの好かねえや。
[以前会った時の事を淡々と言われると、段々と記憶が鮮明になってくる。
裏路地で上納金を回収してる所を見つかったんだったか。]
そういやいたな。
2、3発放電しても平気な面してるから変な奴だと思ってた。
反撃もしてこない、大変だったって言ってたって普通に会話してきてたぞ。
[見た目以上に大変だったとしても、攻撃して来ない奴は弱い奴。
俺にはその括りでいい。*]
そういやさ、アオの真似かね。
変なのが六道珍皇寺で人外を桜に食わせる実験なんてのやるとか動画で豪語してたぜ。
逆に食わせてやりたくね?
[雑談ついでにそう話す。]
好かないと言われてもそういうものですから。
[百物語の先に現れる怪異。
それが青行燈であるのだから人依存は仕方がない。]
いえいえ。
こちらは防御で手いっぱいで平気だなんて全く。
いい絵は取れましたけれどね。
それにほら、ひとの間にいる妖は大概話通じますから。
[そうは思われずとも、実際に強すぎる雷というのは精密機械には天敵のようなものだ。
撮影機器と本体の防御に集中したからこそ、反撃どころではなかった。
撮影の為なのでする気もなかったが。]
ああ、さらしなやの彼女ですか。
[雑談のように振られた話には。
さも今思い出したというように声を上げる。
それにしては、考えるような間は一切なかったが。]
それはたぶん。
話は通じない、話してはいけない相手ですよ。
妖とも、霊能者とも思えませんが。
応答した途端に僕も壊されましたから。
もし会ったら会話の前に呼んでくださいね。
撮影しに飛ばしますから。
[どちらが強いのか、撮影する価値はあるだろう。]*
あれ撮ってたのかよ!
動画配信者がめついな。
[撮られてたとは知らなかった。ではこいつの100物語の一つに俺が…?
まあいい。
さらしなやの話題になれば]
話してはいけない、話してはいけない、壊されるって、俺の理解がついてかねえな。
ggrks案件か。
そういうのこそ撮っとけよ。
[実際に対峙するまでピンと来ないだろう。
だが、注告は聞いた。*]
呼べたら呼ぶさ。
がめついというかソレを撮りに行ったので。
裏通りコワイって評判でしたよ。
[どちらかというと、コメントでは柄の悪い人間や治安がコワイと言われていたような気はするが。]
撮りましたよ。
でもそれを出したらそれが百話目になるじゃないですか。
だから次の時の為にとっておいてあるんです。
呼ぶ余裕がなくともせめて。
監視カメラの前でお願いしますね。
[後で回収できるかもしれないのだから。]*
[絶対コワイの意味が違うと思ったチベスナ顔。
は置いといて。]
100話が終わったら次を考えてるんだ。
冥界の門が開いたら人間界終わるのに?
監視カメラもあんたの目であり支配下なんだな。
[ワザの拡張性と定着性、諸々あるよなあ。
一度了承の意を伝えたので二度めは要らんだろう。**]
ー 朝 ー
[そうだ。確かスマホというのは他者と連絡し合えると聞いた。
このスマホも誰かと繋がるのだろうか。
アオちゃんとは昨日話したしな。
スマホを持ち、神通力でもって念じる。
とりあえず誰でもいいから連絡してみよう!
えーっと、なんだか美味しそうなひと…
人間の臓腑…じゃなくて赤色…
[手の中でパチンと何かに繋がった気がした。
きっと相手のスマホにはこちらの声か、顔か、言葉が通じているだろう。」
おーい!誰かいないぃ?
だーれーかーさーんー
お話しようよぉ〜
緋桜の事でも人間の事でもいいからさ〜
[人間はいつもスマホを手に持っていると思っていたが、そういえばアオちゃんは鞄にも入れていた!
少しそわそわしながら相手の反応を待った。*]
― 朝 ―
[朝ごはんを食べていたら突然スマホから子どものような高い声が聞こえる。すわ怪奇現象かと恐る恐るとスマホを拾いに行くと映っていたのは]
あれ、チトちゃん?しばらくぶりだね!
どうやってこのスマホにかけてるの?チトちゃんにまだ教えてはいなかったはずなのに…
[不思議だ。とっても不思議だ。けれどそういえば彼女は外見よりも年上だということを思い出して]
緋桜?チトちゃん、もしかして150年前のこと詳しかったりする?
ナツちゃんだ!!!
[修行に飽きて御山を降りてお腹を空かしてた自分に人間のお菓子を食べさせてくれた恩人のナツミちゃん!
あの時のお菓子のおかげで、人間以外にも凄く美味しいものがあると知った。そしてパフェを知った…!
強く念じると画面に彼女の顔が映った。]
150年前の緋桜?
うーん、噂くらいしか知らないよ。
六道珍皇寺の桜が緋くなってくると人間が消え出すとか、満開になったら冥府の扉が開いてあっちとこっちが繋がっちゃうとか?
[人が減った原因の一つに自分がいる事が…。
うん、恥ずかしいので伏せておこう。]
あの時は扉が開きかけて溢れかけたって聞いたよ。
妖や人間が頑張ったらしいけど…。
ごめんね、私その時寝ててあんまり知らないんだぁ。
[チベスナ顔、見えていたなら撮影したかった。]
語るのは、人だけと限りませんし。
人間界が終わっても、人が全て消えるとも限らない。
折角なんですから用意しておかないと。
[そもそも150年前の阻止されたように開かないかも。
さすがにそれは、口にしなかった。]
トコロデ、今緋桜来てるよ〜。
住職の姿は見えないけど〜。
SHINOちゃん、いつでもおっけいだからね。
[撮影準備は万端だ。]
そりゃいい。
常世と繋がる世の中になったら、人間も異形も纏めて百物語やろうぜ。
何が起こるだろうな。
準備がいいのはご苦労なこった。
[開かなかった時の事など考えていない。]
そっか、やっぱり前回≪150年前≫も緋桜のために人がいなくなっていたんだね…。
[伏せられたことには気付かずに。寝てたということは、当時あまり京都に興味がなかったんだろうなあと苦笑し。通話を続ける]
溢れかけた…それは…やっぱり穏やかじゃないね。
ううん、十分助かったよー。ありがとうチトちゃん!
あのね、私、緋桜のこと、できたら止めたいと思っているんだ。
[これはきっと志乃に頼めば傷つけることだと、昨日の志乃の表情を思い出して顔を上げる]
犯人さんには理由があるのかもしれないけど、私は今の京都が好きだし、壊れたりしてほしくない。
もしチトちゃんも止めたいと思ってくれてるなら、手を貸してほしいな。
[修行中といっていたから、頼まなくてもやってくれるかもしれないけれども、ナツミは妖でありつつも美味しい美味しいと幸せそうにただびとの作ったご飯を食べるチトセだから信じて協力を頼みたかった*]
私も行くわ。
派手に暴れてくるとしましょうねー
ね、アオちゃんにガルムたん★
[楽し気な口調でそう告げていて。]
協力?いいよいいよぉー!
犯人の事も扉を開ける理由もどうでもいいけど、悪“すぎる”事はやっちゃいけないからね!
それにこれを防げば修行が終わるかもしれないし!
[自分本位にしか考えられない。
この情緒の欠陥が、たとえ千年生きたとしても大きな体躯を得たとしてもいつまでも子狐で在る理由なのかもしれない。
でもちょこっとの成長はあるようで。]
あと、ナツちゃんのお店のパフェもまだ食べたい。
ナツちゃんもあそこがなくなったら困るもんね!
協力って何すればいいかな?
[ころころと笑いながら尋ねる。
犯人の捜索か、騒いでる妖の退治か、、]
言ってくれれば引くんですけれどね。
[またコメントが『治安』文字に溢れてしまう。]
俺はな、ちょいと足留めしてるよ。
性根は素直で力もあるやつなんだがな。
お上が怖いんだとよ。
もうちょっと別の努力するように説得してみるぜ。
[路地裏での事を伝えている。]
そうだね。悪”すぎる”ことはやっちゃいけないよね。
[どうでもいいと言い切るところに、まだまだ長寿の妖は考えが及ばないかーと己の社会経験不足を恥じたけど、お店がなくなったら悲しいという彼女にはにかんで。]
ありがとうチトちゃん。また来てくれるの楽しみにしてる。その時は特別おっきなパフェサービスするね。
[それこそ、メニューにない欲張りDX季節のフルーツプリンパフェを作ってあげようと決めて]
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