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……阿尾さん、は。
このまま今夜何もなかったところで、
僕の人生においてモブたりえませんよ。
[安心させたいがため、というわけじゃない。
少しばかり苦い気持ちさえ抱えて、吐露したのに。
この夜をスルーして行くことはできないと、
神様に突きつけられた。
このままここから逃げられなければ。
阿尾に唇へ触れられてからというもの、ギリギリで堪えていたものが、溢れてしまう。暴かれてしまう。食い荒らされてしまう。
その想像は──普段「もか」や阿尾を通して巡らせていた想像よりもずっと生々しく、息が詰まるような苦しみを齎した。
それは、苦しみよりも尚鮮烈な快感を伴って]
[ベネットさん。と呼ぶ声
そのくせ、誘い込まれてやってきた阿尾の首に腕を絡ませて、逃すまいとする体は本能に忠実]
──ん、んぅ……
[触れる舌先があつい。重なる心音がはやい。
緊張しているのも、興奮しているのも、僕だけじゃない。
その事実に、くらりと目眩する。
身じろいだ折に彼の下肢に萌した熱を見つけると、
今度は偶然でなく、わざと膝を動かして、
太ももを擦りつけた]
[扉が開かない、と気づいた時。
真っ先に感じたのは、これでは阿尾から、そして阿尾を求めそうになる自分から逃げられない、という危機感で。
ここから出られないことそのものに伴う命の危険だとか、誰かをコンタクトを取って助けを呼ばなきゃだとか、
そういうことをすっかり忘れていたのだ。
……まあ。幸い、スマホはあるから。
明日になったら管理人でも警察でも何でも呼ぼう。
心配は全てぽいと放り投げて、更に舌を伸ばした*]
あ、はい……先生。
[生徒の自主性を重んじると言われても、
観察に徹するべきかと考えていた方向性を
先に制されてしまい、さてどうすべきかと眉を寄せる。
しかしローションを開ける手が震える様子に
彼も緊張しているのだと理解して、
それ以上は彼に要求することはなく
支えを望まれればそっと両手を広げて、腰を抱く]
いいですよ。
葛籠さん、あなたがいい、と思うまで。
時間を掛けてください。
[自分のサイズを大きいと思ったことは無いが、
経験のある葛籠さんが言うならそうなんだろう。
リアルな話に俺も恥ずかしくなって、思わず俯けば
萎えてはいない俺自身と、葛籠さんのものがあって]
苦しい、です?
[女性の秘所から漏れるような水音と、苦しそうな声が
上と下から聞こえてきて、間近の彼に問い掛ける。
眉を寄せる表情に、苦しさが無い筈はない。
しかし俺に出来る事もなく、何度も呼吸を繰り返し
ぐちゅりと卑猥な音をさせる彼を見つめるだけ]
[縋る手に力が籠り、痛みを感じて俺も眉を寄せるが
これは彼が感じているうちの僅かでしかないだろう。
そう思うと、少しでも穏やかなものに変えたくて、
苦痛を分け合おうとするように耐える息を漏らす
唇にそっと俺の唇を重ねる。
吐息を奪うのではなく、触れるだけの、
リップ音交じりのキス。それは鼻や目尻、眉間の皺にも
落としながら、片手で腰を支えつつ腰をぐい、と近付けると
互いの熱を擦り合わせるように腰を揺らしていく]
俺が聴きたいのは、そんな苦しそうな声じゃないです。
[まだ男の快感は性器でしか知らない分、
快感を一緒に感じようと腰を擦り合わせて。
空いた片方の手で2本軽く握って扱き合わせ始めた*]
[違和感を、慣れるまでは必死に抑え込むのが常だった。
だから不満も何もなかった。
楠の視線を感じながら、自分が萎えてしまう前に、快楽を感じとれる段階になりたいと願っていた。
腰を抱く手があたたかさをくれる。
それに、とても、助けられて。
そんな時だった。
ふと視線を上げたなら、寄せられる顔。
今度は頬にキスをくれたりするのかな、想像するだけで、知らず緊張していた身体の力が緩み。
受け入れようと自然に瞼を伏せて――]
……、
[唇に触れた柔らかさに、震えた。
決して嫌だった訳ではない。
ただ、なんとなく、今の自分たちの関係では、彼はしてこないだろうと何となく思い込んでいたから。
意外だったというのが正しいかもしれない。
一瞬のぬくもりは、ひどく優しかった。]
[もし魔法のようだ、なんて過ぎり。
ファンタジー小説家へ転向したみたいだと自分で思う。
それほど彼の口付けは、
感じていた苦しさを溶かしていった。]
あ、あぁ、……っ、ちょっと、待っ、
[熱と熱が直接擦れ合う。
味わったことのない快楽が背筋を這い上がる。
ローション以外の水音が混じり始めるのにそう時間はかからず、苦しげな声は違う色を纏った。
無意識に腰が揺らめき。
もっと、と強張るように身体を寄せる。]
楠、さ、――そろそろ、いい、よ。
[いつしか、後孔は指を3本受け入れて。
達する前に早く此方へと望むみたいに、ひくりと、浅ましく孔の縁を震わせていた。]
生徒さんは、卒業して。
此処からはもう、教えなくても――な?
[解したのとは違う手を伸ばし。
自らからも彼の昂りに指を絡めて、数度弄ぶ。
でもまだ達さないように、
きゅ、と締め付ける振りを。]
抱いてくれるんだろ?
[素早く、掠めるみたいに、唇の端に口付けて。
準備の整った身体でそっと抱きついた。*]
[口付けは大切なものだと女性はよく言っていた。
儀式みたいなものだから、とお姫様の様に
扱って欲しいと常々願っていた女性は口にしていたが。
衛生面以上に大切にする必要はないだろうと言って
怒られた記憶はまだ何処かに埋まっている。
しかし、ふ、と苦痛が和らいだ様に見える葛籠さんの
呼吸に、口付けも特別な力があるのかと
主張がまんざらでもない気もした]
葛籠さん、葛籠さん。
[だから思い出してしまった彼女ではなく、
俺がキスしたいのは、キスしているのはあなただと
名を告げては顔中に唇の雨を降らせては腰を擦り合わせた。
頭は冷静だが、下半身は全然冷静ではなく
綺麗に落としたはずの泡よりもぬるりとした先走りが
掌と2本の熱を包み音を立てていく]
ん、ふっ、ぅ……ッ。
[2人分を扱く快感は今の構図も葛籠さんの痴態も相俟って、
今までにない異様な興奮を俺にもたらした。
このまま彼の腹に押し付けて吐き出したい欲を
我慢出来ずに訴えようとしたのと、彼の許しが出たのは
ほぼ同じだった]
ちょ、出るから、ダメですって。
[気付けば彼と同じくらい息が荒くなっていた。
ふぅ、ふぅ、と暴発を抑えるように肩で呼吸を繰り返す中、
葛籠さんの指に遊ばれた熱は危うく先んじてしまいそうになる。
生徒卒業という割に悪戯な扱いに、悔しそうに
葛籠さんを軽く睨み付ける。
そしてすぐに唇の端を掠めた唇を
追いかけて今度はしっかりと唇を合わせて身体を抱きしめた]
この体勢のまま、挿れます、よ?
[体を抱きしめたまま、彼の身体を下にするように
ゆっくりとシーツの上に横たわる。
勿論彼に重みを与えないよう、彼の背が落ちて
重力が感じられ無くなれば、俺はそのままの体勢で。
支えていた両手を腰から下に下ろして太腿をまさぐった。
そのまま太腿すら越えて膝まで辿り着けば
膝裏を掌で支えて拡げるように持ち上げる]
……女の人みたいに、濡れてますね。
すごく、いやらしく見えます。
[拡げると言っても、彼の表情を見ながら。
それでも繋がる場所はしっかり見えるくらいまでは
抱えて拡げてしまうのだけれど。
女性とは違う秘めた場所を好奇心で思わずまじまじと
見つめてしまったが、じっくり見られたくないと
言われたことを思い出してゆっくりと身体を近付ける。
俺のものは擦り合わせた互いの先走りでねっとりと
濡れている。
硬さも成長も十分なそれを、
艶めかしく濡れて呼吸をしているような場所へと
ひたり、押し付けてから]
葛籠さん、いれますよ。
[ぽた、と顎から汗が落ちるのも構わず、
一言呼びかけてから、数度に分けて全てを突き入れようとした*]
[シーツを背に、見上げた先には楠が居る。
今日やっと沢山話せるようになったばかりのアパートの住人――だったはずなのに、いつしか、こんな距離まで近づいてしまった。
この関係の名前はよく分からない。
きっとどんな辞書にだって載ってない。
今はそこを、考えなくても許されるだろうか。
優しく激しい熱を、ひたすらに感じたい。
女性をエスコートするみたいな動きは、
体勢を変えようとする仕草も、脚を広げる手も、何もかもに此方を気遣う気持ちがこもっていた。
彼は前の恋人にもこうしたのだろうか。
ふと過ぎったが、すぐに思考の彼方へと消え去る。]
……、
[後孔に熱い先端があてがわれて。
吸い付くような音が響くのが、自分が期待していることを明かすようで、どうしようもなく。
シーツを掴もうとしていた手を、少しだけ迷い、
どこか甘える猫のようにして楠の背中に回した。]
[何度も自分を呼ぶ彼も、少し言葉で虐めたら睨んできた彼も、さっき口付けをしてきた彼も。
全部を抱きしめてみたいと思った。'
――いいよ、来て。
[聖夜の夜なんてことは忘れて。
ただ目の前の男と抱き合うことだけに溺れよう。]
ん、――ッ、ぁ、ぁ、……!
[身体を拓かれていく感覚。
浅い息に控えめな声を混ぜながら、身体の力を抜く。
降ってきた朝の雫が首筋に落ちる。
それだけの刺激で、びくん、と震えた。
ゆっくり、ゆっくり。
埋まっていく昂りが熱くて堪らない。
全てが収まりきった頃には此方も額に汗を滲ませて、浅い息の中、楠さん、とそっと名前を呼んだ。]
っ、よく、できました?
[やっぱり茶化してしまうのは。
恥ずかしさからの逃げだとバレバレだろうか。]
は、ッ――……。
[実際に味わう実は、甘いだけではなかった。侵しがたい、なんていうのは皮を剥くまでのことで、熱を分かち合えば快と共に、日常に背く荒々しさが胸を焼く。
いつも穏やかに微笑む彼の顔が複雑に歪む。
一方で、絡む腕の力に熱く息を溢した。――ベネットさんも、それを感じているのだと。
雪に閉ざされていなければ。
微かなキスと言葉
けれど、もう止まれない。止まらなくていいと天に言われた気さえした。彼の変化の一つ一つが、ぞくぞくと背を擽る]
……あ、
[そういえば、ゴム付けてなくないか。
今更思い出してももう遅い。
後で減点しよう、心の中で決め。
自分だって一旦抜けなんて言えないほど、熱くて、先をねだるようにして背中に回した手を引き寄せた。*]
[――もっと食べたい。先を知りたい。
いけないこと、をしている。
同性だから、というでもなく。
こんなにも快いのに、確かに禁忌の味がした。
貪りあうことには少しの恐ろしさとそれ以上の悦びがあった]
ふ、……!
[舌を絡めては、咥内の熱を奪い合ううち。
太ももの感触にびくりと背を震わせて、息を詰めた。気恥ずかしさにむ、と頬を染めつつ、勢いに任せて飛び付くようにベッドに互いの身を沈める]
ベネットさんのせい、ですよ。
[覆い被さって、深い緑の襟を押しのけて肌を強く吸った]
酒のせいでも、雪のせいでもなくて。
ベネットさんも、俺のせいでだめになって。
[後悔させない、と言えるほど熟していないけれど]
[肌の手触りを求めて、右手が這う。
男同士の手順なんて分からなかったが
欲するひとは目前にある。
重なった下肢を押し付けて、左手の指と指を絡めた。
抵抗がなければ、互いの衣服を緩めてそのまま猛りに手を伸ばそうと*]
[見下ろす顔はどう見ても男なのに、
今までの行為も、これから行おうとする行為にも
やはり抵抗はない。
むしろ押し付けた先に吸い付く肉が男の本能を刺激して
知らず、湿った肌とは真逆に乾いた唇をぺろりと舐めていた]
今からは、謝りません。
[来て、と招かれた場所へ、ぐい、と身体ごと押し込むと
卑猥な音と共に熱くきつい粘膜がひたりひたりと張り付いて
締め付けてきた]
く……き、っつ……いし、熱っ……。
やば……焼けそう。
[俺の下半身も頭の中の神経回路も全部。
まとめて焼き切れてしまいそうになる。
熱で焼かれて、抱きしめられる強い力にそのまま
千切られてしまいそうで。
想いを彼の中に遺してしまいそうになる]
葛籠さんのナカ、すごく、熱くて……溶ける。
[浅い呼吸と共に混じる声も女とはまるで違うのに
女性以上に蠱惑的な熱を持って、俺を奥へと迷い込ませていった。
縋ってくる両手すら、そのまま迷宮へと導く誘惑]
俺、全然……余裕ないんですけど。
葛籠さん、余裕ですね。
[根元まで埋め込む間、彼の額に浮かんだ汗も
吸い取る様に拭う様に唇を押し付けていたのに。
まだ続いていた先生からの余裕の発言に
男の意地が顔を覗かせ、負けるものかと息を荒げても]
どうしました?
[何か思い出したかのような、たった1文字に不安そうに
呼びかけた。
しかし答えは言葉ではなく、回された手で。
求められている、そう感じただけで
一回りまた熱が膨らんだ]
……教えてくれないなら。
このまま動きますよ。
[この時の俺は恐らく答えを求めてはいなかった。
答える時間も惜しくて、最後の音を発したとう同時に
ぐい、と一度腰を押し込んでから、ずるりと半分くらい
引き抜いてまた押し込んだ。
最初こそ葛籠さんの表情や声を見ながら
恐る恐ると言ったところもあったが、いつしか
腰の動きは大きくなり、引き抜き突き入れる度に
打ち付ける音が部屋に響く。
動きが大きくなれば届く位置も、擦る位置も変わっていく。
膝裏を抱えていた手も押さえつける力が強くなり
より奥へと貪欲さを見せつける中で、
葛籠さんの声や反応が変わる場所があれば
見逃すことなくそこを抉るだろう*]
[余裕なんて、ない。
ある振りをするのだって精一杯で、彼が律動を始めた今はもう、意味ある言葉を発せられないくらい、
こんなにも、ひたすらに翻弄されている。
でもやっぱり。
意地を張ったみたいな表情は、
男臭くカッコいいのに、どこか可愛らしかった。]
ん、あ、あ……あッ、
[吐息に混じる声は抑えられない。
熱に穿たれる度、合わせるように、固く結ぶことなんて叶わなくなった唇から溢れていく。
探るようだった動きが、大胆なものに変わる頃には、熱に浮かされたような心地で。
霞んだ視界に、男だけを映しこむ。]
そ、そこ、…、弱いから、やめ……!
[自ら弱点を晒すのは、先に達したくなかったから。
しこりを硬いそれに擦られると、直接昂りを愛撫されるのとはまた違う、じわじわとした快楽が身を襲う。
男の分かりやすい悦とは違う、少しずつ降り積もっていく、逃げられない、どこか恐ろしささえあるもの。]
先には、嫌だから、な……!
[変な意地は、偽らない自分の子供っぽさか。
だって彼を気持ちよくしたい、そう願っているのに、自分だけが先になんておかしいじゃないか。
胎の内で暴れる彼自身を、意識して。
その熱さを思い知って。
きゅ、と内側に力を込め――その先を促す。
それは熱をまざまざと感じることになり、自分自身をも追い詰めるものでもあったけれど。
そうして、ふわり、と。
目の前が白くなって、しがみ付いた。*]
[動き出した途端、葛籠さんの声が、息が、体が跳ねる。
それでもまだ、経験の差が彼に余裕を持たせているのでは
ないかと張り合いたくて、追い付きたくて。
我武者羅に打ち付けていた腰の角度を変える為に、
回された手だけでなく、俺からも距離を縮めようと
ぐっ、と前に身体を倒して葛籠さんの顔を間近なものに]
弱いんです?
違いますよね、気持ちいいんですよね?
[先生なら言い間違いはしないでください、と
彼が晒してくれた弱点につい意地悪な言葉を
擦り上げる熱と共に唇へと押し込んだ]
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