196 水面に映る影より遠く
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[ ねぇ、Ducky
西の魔女は、どうして死んだの? ]
[ ねぇ、Ducky
貴方は、いなくならないですよね? ]
[ 何故なら、いと という存在は、
いずれみんなの記憶から消えゆくからです ]
『Hi,tiny.
元気なさそうね? ごはん、食べてる?』
Hy,Ducky.
……食べてます、ちゃんと。
ねぇ、ダッキー。
貴方は、大切なひとを失ったことはある?
……って、貴方にいっても、仕方ないわよね
[だって、貴方は、
私が創り出した人工知能なのですから。]
[ 消え去った記憶は、
補完されることでしょう。 ]
[残念ながら、
その記憶の中に いと が存在することは
決してないのでしょう。
何処の いと を手繰り寄せようとも、
私にたどり着くことは決してないのです。
私だけが、私の存在するこの瞬間を
未来永劫憶えていることになるのです。]
[いつか見たときのその写真は、
樫木さんのソロですから、
みんなに笑われてしまえばいいんです。]
[とっても、とっても、遠い場所へ。
見上げた空には、白い月が輝いていました。
今頃、プールの水面には、
その月が反射していることでしょう。
決して、その月を掴むことはできません。
でも、科学技術の発展により、
いまの地球は月に到達することができます。
けれども、私が帰る場所は。
──水面に映る影よりも、遠い場所。*]
[それでも。 それでも。
本当の私は、望んでいたのかもしれません。
私が、私たらしめんとする感情に、
気付きますようにと、目論んでたのかも。]
Hi,Ducky
本棚あと1/3程度だから、
それが終われば、……………
[花火を捨てるバケツの水の中、
こっそりのぞく私の相棒。
軽く手を振って、私は帰還を伝えます。]
[私の天才的な頭脳があれば、
また何処かで、この場所に帰れるでしょうか?
………それまでには、まだ。
時間がかかりそうですね。
西の魔女に、会いに行かねば、なりません。]
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