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声、出さないと苦しいんじゃないですか?
[根元を擦るだけで、先端を弄るだけで手の中の
熱が脈打ち躍る。
耳元で聴こえる彼の声も余裕を失い、艶めいて
荒れる息と重ねた身体に上がる体温が心地良かった。
言葉以上に明確に跳ねる姿態は腕の中でも
鏡の中でも美しかったが、やはり言葉が欲しいと
口を抑える手に片手を重ねて外そうと試みる]
他人を触るの初めてなんです。
ちゃんと、何処触ったら気持ちいいか。
どんな風に触って欲しいか教えてください。
[怖がらせないように、乳首ごと胸全体を掌で
大きく撫でまわし、熱も根元から先端まで搾り出す様に
数度一気に扱いては尋ねていく。
彼が望むならその通りに、言われるまま場所に触れ、
導こうと懸命に指や掌を
少し痩せている肉を痛めぬように躍らせた*]
[確かに息は苦しい、が。
それよりも居た堪れないくらいに恥ずかしい。
快楽に溺れかけながらもそれだけは中々拭えない。
それなのに手を重ねられ、口元から外そうと促されたら、何故か素直に言うことを聞いてしまう。
絆されているのとはまた違うのだ。
声を、言葉を望まれていると、言外に伝えられた気がして、それを叶えたくなった。
その癖、少し恨めしげに。
潤む瞳を薄く開き、鏡越しに彼を睨んだ。]
え、あ、はじめてって……ひぁっ、
[どういうことだ、と。
続けようとした言葉は、胸元への刺激に途切れる。
気持ちはなかったとはいえ彼女が居たのなら、柔い身体に触れたことくらいあると思っていたが、そうではないのだろうか。
膨らみのないそこを愛撫されれば、経験のある身体は正直に快感を拾い上げ、昂りがとぷりと蜜を溢す。]
そこ、気持ち、い……んんッ、ぁ、
[どうせ隠しきれない。
良いということを言葉にして、ただ胸をどう弄って欲しいかまでは言葉にできなかったのは許して欲しい。
生理的な涙が滲む。
何もかもが、あつい。]
――ッ、!!
[此方を思いやる指先は優しく。
激しすぎない気持ち良さが、積み重なっていく。
溢れ、達する瞬間は言葉にさえならず、楠のように予告なんてことも出来ずに、欲を吐き出してしまった。*]
[あまりに強い抵抗があれば外そうと思っていた手は
俺の手と共に唇から離れていく。
代わりに鏡越しに睨まれた気がするが、
潤んだ瞳は逆に可愛いと思わせて
的外れかもしれないが鏡の中の彼に
俺は微笑みかけていた]
だって俺しかあんな恥ずかしい声出してるのって
ずるくないですか?
[自分だけ気持ちよくなっても嫌じゃないですか。
ちゃんと葛籠さんに気持ち良くなって欲しいんです、と
耳元で念押しし、男であることを確かめるように
喉仏や胸を丁寧に洗っていく]
ここ、ですね?
強すぎません?
もっと優しくした方がいいです?
それともこう?
[素直に気持ち良いと声が響き出せば安堵が勝り、
もっと気持ち良くなって欲しいとばかりに、
1つ触れるごとに確認しては強く弱くを
繰り返して彼の好みを探っていく。
プログラムの反応を探っている様に似ているせいか
嫌悪など欠片も感じなかった。
むしろ拙い自分の動きに反応してくれる葛籠さんが嬉しかった]
すごく硬いし熱いし、ぬるぬるしてきました。
[問いかけに応えるのは言葉ではなく、
声や身体だったけれどそれでも十分判りやすく、
一度高く声が上がった場所は
執拗なくらい触れ続けて]
葛籠さんも結構久しぶりでした?
[手の中で震える熱に予兆はあったが、突然切羽詰まった
呼吸と共に手の中で熱が弾け飛んだ。
俺の分と合わせて浴室にボディシャンプーとは違った
雄の香りが混じったが気にもせずに、吐き出した後の
熱を労わる様に清める為にまた泡を掌で擦りつけた]
少しは落ち着きました?
今度は洗いますね。
[さっきと今度の手の動きの違いの理由を説明して
シャワーを手に一緒に身体の泡を落とそうとするが、
悪戯を覚えたばかりの子供の様に、彼の中心からは
まだ手は離さない*]
……なんか、君、色々狡いな……。
悪いわけじゃないけど。
[達した後の冷静さの中で。
とても素直に、自分の状態を実況されたことを思い出し、今更ながら羞恥心が限界突破しそうだ。
彼の中では意地悪でもなんでもないだろうことが分かるからこそ、言い返すこともうまくできない。]
うん、久しぶりだった。
ここに越してきてから、誰とも付き合ってないし……。
1人でするの、あまり得意じゃないし。
[いっそ自分も優雅なんちゃら、買うべきか。
隠し事なく、自分について語る。
苦手だったはずなのに、自然とそうなっていた。]
いや、洗うのは自分で……!
[一度落ち着いたとはいえ。
これ以上触られていたら、また危ない気がする。
狭い浴室で慌てて身動いだせいで。]
[打ち付けた肘と腰が痛い。
バランスを崩しかけたため、彼の手を下肢から退けるどころか、逆に先程までより身体を寄り添わせることになる。]
風呂場で暴れちゃ、ダメだな。
[後ろを振り返って。
気恥ずかしげに苦笑する。
鏡越しでなく、瞳に、瞳を映した。*]
失うものがないやつは……強い。
[真顔から数秒、吹き出す相手に
同じく真顔で告げて、数秒後には吹だしていた。
恋とか愛とかの『すき』はまだよくわかっていないが
俺は間違いなく、こいつが好きだ。]
聖夜だからハッピーにか。
レンレン、いいこというじゃんよ。
勢揃いしてはしゃぎまわるの、スゲー楽しかったしなー…
[うんうんと頷いて、じぇらぴけの感覚を味わいながらのうとうとがはじまり…]
いや、ずるいのは葛籠さんじゃないです?
[正々堂々一片の曇りのない目で言い返した]
でも色々教えてくれたので優しいずるさって事に
しておきます。
[説明を求められてもこれだけは文章化出来そうにない。
これこそずるいと言われても、詰め寄られたら
首でも傾げて似合わぬてへ、とでも言っておくべきか]
そうなんですね。
それこそ葛籠さんにも好きな人また出来ると良いですね。
何ならあのプレゼント差し上げましょうか?
未使用ですし。
[彼も彼で独り身を持て余していたのかもしれない。
俺はこの先もデスマーチの連続で、使用する未来は
かなり先だし、有効利用してもらった方がと言い出して]
1人でするのが得意じゃなかったら、
こうやって2人でシます?
[取り戻し過ぎた冷静さは前向きな対処法を導き出した]
彼女とはこういう事でも
上手くいかなかったんでしょうね。
他人のここに触るのは初めてでしたが、
葛籠さんの、触るの全然嫌じゃなかったですよ。
だから葛籠さんさえ良ければ。
[と、ひどい提案を続けながら彼を洗おうとしたのだが、
思わぬ動きにアパートの屋根ではなく、風呂場の壁が
悲鳴を上げた]
じゃあ…次はカレーね……かれー……
[もにょもにょ。
寝言に口が動いて、首元をあむあむと食べるように唇押し付けて。]
ごめんなさい……俺無茶、言いましたね。
[何がいけなかったのか判らない位
複数やらかした自覚はあって、しょぼんと謝罪を
口にしながらも、腕の中に入って来た身体を
離すことなく抱きしめる]
管理人さんに怒られますよ。
それに壊して追い出されたら行くとこないんですから。
[苦笑する葛籠さんの瞳に映っている俺は笑っていた。
男同士でヌきあって、裸で抱き合ってる形になっても
笑っていられる事実に。
俺は、あ、と気付いたように唇を近付けて
彼の瞼にそっと押し付けた]
俺、もしかして葛籠さんとなら
最後までエッチできるかも。
[衝動的にそう囁いた。
同性同士でどうやるかは知らないけれど]
なんだろう……葛籠さんが怖がった俺を
守ってくれたみたいに
このままあなたを離しちゃいけない気がするんです。
どうせなら……あなたと全部分け合ってみたいって。
思っちゃダメですかね?
あなたとセックスしてみたいって言ったら……怒ります?
[やり方は判らないんですけどと戸惑いつつ
ぐい、と抱きしめて密着した身体は離さない。
どちらがより熱いのか判らぬまま、問い掛けた**]
[優しいノーの突き付け方なのだろう。
そう思って、目を伏せる。
綺麗だと思うものを写真に収めるように
美味しそうなものを少しずつ味わうように
衝動のままに手を伸ばす自分を、大人の
分別で諭されて、しゅんと気落ちする。
雪と酒とを言い訳にする後ろめたさはあったが
ずっと遠巻きに見るしか出来なかった林檎に触れられることなんて、容易く訪れるとは思えなかった]
後悔なんて。
このまま、あなたの背景を通りすぎてくモブでいるより
ずっと――いいのに。
[見てみたいな、と思った。
話してみたいな、と思った。
叶う端から、次を求めてしまう。
迷惑をかけたい訳じゃないのに、身体は正直だった。そっと距離を取っていたのは、自分にしては随分賢明だったのだろうと、遅れて理解が追い付いてくる]
………、
[すみません、と囁きかけたところで口ごもる。
耳まで色づいた赤
[――ベネットさんは、後悔しないのだろうか]
いや、いらないって。
あの玩具は、君がもらったものだし。
[有効利用、と彼は言う。
本当に真っ正直だ。
それに合理的だし――部屋にあった書籍のタイトルを垣間見る限り、かなり理系な人間なのだろう。
典型的文系の自分とはきっと正反対。
だから話す度に新鮮で、驚きの連続なのだろうか。
いや、楠という人間だからこそか。]
……ふ、あはは、
じゃあお互い、恋人できるまで、ふたりで?
なんでだろう、別に嫌じゃないな。
君のこと、セフレなんてことは思えないし、思いたくないけど……これ、特別な友達に、なるのかなぁ。
[打ち付けた肘が痛むことはすぐに忘れてしまった。
抱きしめる腕から、逃れようとは思えなかった。]
オレに謝るなって。
アパート壊れたら、ふたりで謝罪しよう。
[間近の彼の顔は笑んでいた。
心臓ではなく、こころが熱くなる。
自然と瞼への口付けを受け取る。
ふわりと降る温かさ。
擽ったいなぁと口元が微笑む――なんのてらいもなく。
閉じていた瞳をゆるゆると覗かせると、お返しに、楠の鼻の頭に、掠めるように唇を落とした。]
[楠の台詞に、驚きはなかった。
なにも飾らない言の葉が真っ直ぐ届く。]
怒らない。
楠サンだからな。
[確かにそう答え。
真摯に見つめ。
そして、その数秒後。]
やり方って、それは、……そんなに大きく女相手と変わらない気もする……あ、童貞なんだっけ。
[茶目っ気を声に乗せた。
変な罪悪感を彼が感じにくいように。]
[都合のいい考えが過る。
杯を干す喉の動きが艶かしい。
見慣れたベッドの上に彼がいるのは、やっぱり夢みたいだと思った。
両手を差しのべられて、喉を鳴らす。
無断で唇を盗む以上の背徳感があった。
穏やかで綺麗な皮の中身、それがもたらす芳香に目眩がしそうで、けれど、躊躇えるはずもなく]
[今にも触れ合いそうな距離で見つめ合う。
黒曜石のような瞳が綺麗だな、とこんな時に思って。]
オレのこと、抱いてみる?
逆でもいいけど。
[なんてことないように。
目元だけは赤いまま。]
え、あー、でもここだと狭いし。
ほらとりあえず、一度、上がろうか。
ベッド、行こう。
[今まで夜に誰かとこんなに恥ずかしさを抑えながら会話したことなんてなかったような気がする。
耳元に許しと、誘いを。*]
………ベネットさん。
[片膝で乗り上げ、ぎ、とベッドが軋む。
ふらりと腕のなかに誘い込まれるまま、今度は正面から唇を合わせた。近い体温と、早い心音が重なるのに興奮して、顔の角度を変えては深く、舌を蛇のように交わらせて]
ふ、……ぅ、ん。
[少年少女の瑞々しい性の延長の、生々しい熱。酔うように味わって、僅かに息を漏らす。
自分の青さを思い知る心地がする。
悪い男、などと言いながら惑うばかり。余裕は一切なくて、欲望を兆しつつあった]
[甘く下唇を噛んで、強く抱きしめながら鼻が触れあう距離でグリーンアイに魅入る]
ベネット、さん。
[もっと食べたい。
きっと、百の言葉を弄するよりも、自身の熱の方が雄弁だった*]
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