140 Erwachen〜lost wing of Jade〜
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[自室に入れば、そこは私の空間だ。 両親にも入らないように言ってあるそこに、 あの頃を示す特別なものは何もない。
今の私はあの頃のような『目』を持っていないし、 けれど何にも干渉できない不自由な両手じゃない。
机の上に並べた、お手製の小さな独楽をつつく。 楽器を抱えた独楽。 白衣を纏った独楽。 黒鎧を纏った独楽。 眼鏡をかけた独楽。 執事服を着た独楽。 幼い少女姿の独楽。 若い青年姿の独楽。 丸い貴族服の独楽。 姫君の装いの独楽。
そして、金の王様の独楽。]
(@12) ここあら 2014/11/26(Wed) 23時半頃
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あの日までの私達に、B・Y・E《ビョルン・ヤース・エイテルン》……
そして、この平和な日々よ、
――― 永久となれ………
(@13) ここあら 2014/11/26(Wed) 23時半頃
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なんて、ね。
[くすりと笑って、独楽の立つステージにガラスの蓋を被せる。
明日を思って見つめた独楽たちが、微笑んでいる気がした。**]
(@14) ここあら 2014/11/26(Wed) 23時半頃
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[生まれ落ちた一冊の歴史書は、朱の姫君に抱かれて。
始めは、小さな体で彼女のドレスを追い掛けて。 次第に目線は近く、やがて追い越して。 彼女はずっと変わらぬまま。
恋心を抱いた事も、無かった訳じゃない。 けれど、自分の容姿の年齢が彼女を大きく超えてからは該当項目を黒く黒く塗りつぶし、朱の復元典《本人》に読まれぬよう破り捨ててしまった。 そうして長い、久遠の時が過ぎて、 通常の歴史書《イストワール》よりも随分長く《存在》出来ていると気付いた頃。その時初めて、自分の期限が彼女に引き伸ばされていた事に気付く。
自惚れてしまっても、良いのか。 彼女にとって自分が大切な存在であると、引き伸ばしをしてまでも、傍に置くことを望んでくれているのだと。 今は、自分の歴史書としての役割など遠く忘れて、幸せな勘違いだけを噛みしめて居たい。
そして、本の寿命の許す限り、ずっとそばに居られればいいと。 そう思っていた。]
(154) mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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[抱いた朱の本の最終頁は既にノンブルが振られた後で、それより後には続かない。 それは即ち完結と、本の眠りを意味している。
きっと彼女はもう目覚めない。 幾ら己が泣き叫んだって、エンディングは綴られてしまった後なのだから。]
(155) mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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[だが、終わった訳じゃない。
本は自らのページを開く事は出来ない。 しかし、の自分なら? かつての《歴史書》ではなく、今度は《読み手》として。翳した手に現れたのは一冊の本《過去の己と彼女の一部》
ページはひとりでに捲れ、開かれ、内包された章の項目は――]
(156) mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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[最終ページが割り振られた? ならば、【続編】を作ってやればいいだけの事。
確かに、”その記憶”を起こすのは、彼>>113ではない。 だが切っ掛けは、かの金の王《ゴルディオンカイザー・セイヴィア》
代償は幾らでも捧げよう。 舞う、天地樹の一部《翡翠の葉》を表紙に織り込んで、王からの贈り物《万年筆》は輝く金を溢れさせる。 その本に刻むのは己のサイン。 その本の創造主として、彼女と歩む半身として。]
…夢芽、 愛しい姫君。
もう一度、話しましょう。 時が満ちてからと、そう言ったではありませんか。
[三女神の真似事をするには、人の子の身体は力不足。 下手をすれば魂を捧げても、永劫苦痛に囚われてもおかしくない筈の歴史書の製本作業は、金の王と天地樹がそれを支えて。]
(157) mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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[朱と黒を中心に舞う風はゴウゴウと図書館中を駆け抜け、本棚を揺らし、キャビネットを揺らし、 そして、内部を作り変えて行く。
続編に合わせて、 その内装を大きく書き変えて、 過ごした広間はそのままと、棚は近く、少なく、より高く。 吹き抜けの広間と高い天井。太陽と月は誰の干渉を受けずとも自然にその役割を変えるよう。 管理者不在でも来客が迷わぬように、好きに本を探せるように。 高い本棚には丈夫な梯子を。追加の椅子とテーブルも設えて。
作り変える姿は随分とサービス精神に満ちていて、今まで以上に図書らしく。 白露の城は、今は、誰が居なくとも正常に機能するように。]
貴女が居ないと、寂しくて仕方ありません。 またお傍に、
いえ、
(158) mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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私が、傍に居たいのです。
[もう自分は、歴史書では無い。 彼女《続編》の性質の変化までは予測できないけれど、以前より繋がりは薄くなってしまった気がする。
なら《前》に塗りつぶして破り捨てたページは、《今》思い出してしまっても誰も咎めない。 継ぎ接ぎの項目をセロテープで補強して、塗りつぶした文字を新しく金のインクでなぞり直す。
作りを変えた図書館の中心。キャビネット達や黒いテーブル、椅子と螺旋階段は以前のまま、 透明な涙をぬぐう事も忘れ、抱き寄せた愛おしい存在にそっと口付けを。
姫君の目覚めは絶対にキスだと、そう言うセオリーは昔から変わらないし、 《前》の自分《ハワード》もそう"記録"しているのだから。]
(159) mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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執事 ハワードは、メモを貼った。
mzsn 2014/11/27(Thu) 00時頃
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[それは、運命だったのかな。 それとも、必然か、あるいは、奇跡か。
物語の最終章《エピローグ》の後には、心地よい読了感。 それだけでは、終わらない。
何がどうなって、どうして。 ひとまずそれは、話好きな誰かが手製の駒を手に語るに任せることにして]
……ね、ハワード。 まだ寝惚けてるんだ。
ワガママだって? そんなの、ずっとずっと昔から、知ってたでしょ? それに……
ずっとずっと待ってたんだから。 ねえ。
(160) lalan 2014/11/27(Thu) 00時頃
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トルドヴィンは、フランクの傍にいる
mikanseijin 2014/11/27(Thu) 00時頃
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